スターティアの年収は持株会社849万円と現場597万円|評判と将来性を有報で読む
※本記事にはプロモーションを含みます。
この記事の結論
- 年収の主値は597万円:有報の849万円は持株会社60名の数字
- 応募先は事業会社:スターティア㈱やクラウドサーカス㈱が採用主体
- 収益力は高い:営業利益率13.6%・ROE29.0%で5期連続増収
- 評価は二分:20代の成長環境は高評価、待遇面は厳しめの口コミ
この記事は、株式ではなく転職を判断するためにスターティアを調べている人に向けて書いています。「スターティアホールディングス」で検索すると株価・配当・掲示板といった投資家向けの情報が大量に出てきますが、求職者が本当に知りたいのは「どの会社に応募することになるのか」「実際の年収はいくらか」「現場の働き方はどうか」のはずです。本記事では第31期(2026年3月期)有価証券報告書の実額をもとに、持株会社の数字と現場の数字を切り分けて整理します。
スターティアホールディングスの公式データ一覧(有価証券報告書ベース)
まず、本記事で扱う数値を一覧にします。すべて第31期(2025年4月1日〜2026年3月31日)有価証券報告書にもとづく公式情報です。注意すべきは、平均年間給与・平均年齢・平均勤続年数の欄が「提出会社(持株会社)」と「最大人員会社(スターティア株式会社)」で二段構えになっている点です。転職検討者が目安にすべきは後者です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 商号 | スターティアホールディングス株式会社(証券コード3393・東証プライム市場/東証33業種は卸売業) |
| 本社 | 東京都新宿区西新宿二丁目3番1号 |
| 設立・沿革 | 1996年2月 有限会社テレコムネット設立(埼玉県所沢市)→2004年2月 スターティア株式会社へ商号変更→2005年12月 東証マザーズ上場→2014年2月 東証一部→2018年4月 持株会社体制へ移行 |
| 代表者 | 代表取締役社長 本郷 秀之(創業以来の社長。2026年3月31日現在、発行済株式の25.52%を保有する筆頭株主) |
| 平均年間給与(提出会社=持株会社) | 848万9千円(8,489千円/対前事業年度増減率+2.8%)※従業員60名の管理・経営機能のみ |
| 平均年間給与(最大人員会社=スターティア株式会社) | 596万5千円(5,965千円/対前事業年度増減率△2.0%)※従業員535名 |
| 平均年齢 | 提出会社 41.75歳/スターティア株式会社 33.22歳 |
| 平均勤続年数 | 提出会社 8年7ヶ月/スターティア株式会社 6年9ヶ月 |
| 従業員数 | 連結974名(ほか臨時雇用者 年間平均91名)/提出会社単体60名。セグメント別はITインフラ関連事業681名、DXソリューション関連事業215名、全社(共通)78名 |
| 売上高 | 連結237億90百万円(前期比+7.1%・過去最高) |
| 営業利益 | 連結32億43百万円(前期比+18.4%・営業利益率13.6%・過去最高) |
| 経常利益/当期純利益 | 経常32億94百万円(+18.3%)/親会社株主に帰属する当期純利益23億18百万円(+18.3%) |
| 財務指標 | ROE 29.0%/自己資本比率54.0%/純資産84.9億円/総資産155.5億円 |
| 離職率・職種別年収 | 有価証券報告書では開示されていない |
| 出典 | 第31期 有価証券報告書(2026年6月16日提出・EDINETコードE05539)/公式IR資料 |
スターティアホールディングスと事業会社は別の法人|応募先の見取り図
最初に押さえるべき結論は、求職者が実際に応募するのは持株会社ではなく事業会社であるということです。ここを混同したまま年収サイトの数字を見ると、実態と大きくずれた期待値を持ったまま面接に進むことになります。
2018年4月に持株会社体制へ移行した経緯
スターティアは1996年に埼玉県所沢市の有限会社テレコムネットとして創業し、2004年にスターティア株式会社へ商号変更、2005年12月に東証マザーズへ上場しました。公式情報として、2018年4月に吸収分割によって持株会社体制へ移行し、商号をスターティアホールディングス株式会社に変更しています。つまり現在の上場会社は事業を直接営む会社ではなく、グループ全体の経営管理・資本配分を担う会社です。第31期有報における提出会社の従業員数はわずか60名で、連結974名に対して約16.2倍の開きがあります。この60名は経営企画・財務・人事・法務といった本社機能に属する人たちであり、複合機を提案する営業やSaaSを開発するエンジニアはこの中に含まれていません。
グループ会社と、混同しやすい社名の整理
第31期有報「関係会社の状況」によると、主な連結子会社は次のとおりです(いずれも公式情報)。
- スターティア株式会社(東京都新宿区・出資比率100%):ITインフラ関連事業の中核。単体売上158億57百万円、経常利益18億98百万円、当期純利益12億35百万円。従業員535名でグループ最大
- クラウドサーカス株式会社(新宿区・100%):DXソリューション関連事業の中核。単体売上42億05百万円、経常利益8億95百万円
- スターティアレイズ株式会社(新宿区・100%):2026年4月1日付でスターティアテクノス株式会社へ社名変更。求人票や過去記事では旧社名の表記が残っている可能性があります
- 富士フイルムBI奈良株式会社(奈良市・66.6%)ほか、株式会社エヌオーエス(鹿児島市)、ビーシーメディア株式会社(大阪府堺市)、株式会社ビジネスサービス(兵庫県姫路市):地方のOA商社をグループ化したロールアップ型M&Aの受け皿
- スターティアウィル株式会社(千葉市中央区):障がい者雇用を担う特例子会社。ほかシンガポールにStartia Asia Pte.Ltd.
もうひとつ注意したいのが「スターティアラボ」という社名です。かつてデジタルブックやARで知られた会社ですが、2021年7月に吸収合併・商号変更を経て現存せず、現在のクラウドサーカス株式会社にあたります。転職サイトの古い口コミや過去のニュース記事で目にした場合は、時点のずれを意識して読む必要があります。

求人票の会社名が「スターティア株式会社」でした。上場しているのはホールディングスですよね?
その理解で正しく、両者は別法人です。上場しているのは持株会社のスターティアホールディングス、雇用契約を結ぶ相手はスターティア株式会社などの事業会社になります。年収・評価制度・働き方はすべて事業会社側のルールが適用されるため、内定時の労働条件通知書で社名と条件を必ず確認してください。
何で稼ぐ会社か|ITインフラ79%とDXソリューションの二本柱
スターティアグループを一言でいえば、中堅・中小企業のオフィスまわりのITをまとめて引き受けるIT商社型のグループです。東証の業種分類では「卸売業」に入りますが、実態は物販・回線取次・保守・SaaSが混ざった複合モデルで、これが後述する高い営業利益率の背景になっています。第31期のセグメント別売上・利益は次のとおりです(公式情報)。
| セグメント | 売上高(第31期) | 前期比 | セグメント利益 | 前期比 |
|---|---|---|---|---|
| ITインフラ関連事業 | 188億95百万円(構成比約79%) | +6.4% | 21億77百万円 | +10.9% |
| DXソリューション関連事業 | 48億77百万円(構成比約21%) | +9.7% | 9億45百万円 | +44.5% |
| CVC関連事業 | 売上計上なし | — | 営業損失2百万円 | — |
ITインフラ関連事業(連結売上の約79%)
複合機(MFP)やビジネスホンといったOA機器の販売・設置・保守を軸に、ネットワークやクラウドの構築、セキュリティ対策、光コラボレーション・ISP・電話回線の加入受付代行、さらに電力小売やLED照明までを扱います。法人向けトータルサポート「ビジ助」のように、中小企業のバックオフィスを丸ごと支える商材群を持っているのが特徴です。従業員681名のうち大半がこの領域におり、グループの人員構成上も主戦場はここです。転職検討者が「スターティアの営業職」として応募するポジションの多くは、この事業の新規開拓・既存深耕にあたります。
DXソリューション関連事業(成長ドライバー)
マーケティング・営業支援の統合型SaaS「Cloud CIRCUS」を中心に、RPA「RoboTANGO」、iPaaS「JENKA」、デジタルブックの「Fullstar」、AIチャットボット「IZANAI」、Web制作・コンサルティングを展開します。売上構成比は約21%とまだ小さいものの、セグメント利益は前期比+44.5%と急伸しており、グループの利益成長を牽引しています。クラウドサーカス株式会社単体で経常利益8億95百万円を稼いでいる点からも、SaaS側の収益性の高さが読み取れます。
CVC関連事業
コーポレートベンチャーキャピタルとしての投資事業で、第31期は売上計上がなく、営業損失2百万円です。専属の従業員も置かれていません。規模としては小さく、転職先としてこの事業を目当てにするのは現実的ではないと考えられます(推定情報)。
年収849万円は現場の数字ではない|有報が示す3つの水準
この記事でもっとも伝えたいのがこのセクションです。結論から書くと、求人検討で目安にすべきなのは約597万円であり、849万円ではありません。しかも、この差は推測ではなく同じ有価証券報告書の同じページに両方載っているという、比較的珍しいケースです。
①持株会社の848万9千円=60名の管理・経営機能の数字
第31期有価証券報告書の「従業員の状況」②提出会社の状況によると、スターティアホールディングス株式会社(提出会社)の平均年間給与は848万9千円、対前事業年度増減率+2.8%です。同時に、平均年齢41.75歳、平均勤続年数8年7ヶ月、従業員数60名と記載されています。日本経済新聞をはじめとする各種の年収データベースが「スターティアホールディングスの平均年収849万円」と表示するのは、この提出会社ベースの数値を引いているためです。数字自体は正確ですが、母数は連結974名のうちわずか60名で、しかも本社の管理・経営機能に限られます。営業やエンジニアとして応募する人の期待値としては適切ではありません。
②事業会社スターティア株式会社の596万5千円=現場に近い水準
同じ有報の③「最大人員会社の状況」には、従業員数が最も多い子会社としてスターティア株式会社の実額が開示されています。平均年間給与596万5千円、対前事業年度増減率△2.0%、平均年齢33.22歳、平均勤続年数6年9ヶ月、従業員数535名(ほか臨時44名)です。多くの持株会社は事業会社の給与を開示しないため、ここまで具体的に現場側の水準が分かるのは求職者にとって有利な材料といえます。
注目したいのは方向が逆になっている点です。持株会社は前期比+2.8%で増えている一方、事業会社は△2.0%で減っています。差額は約253万円。平均年齢も約8.5歳離れており、33歳前後の若い組織が現場を回している構図が数字から読み取れます(公式情報にもとづく整理)。
③口コミベースの405万円との距離をどう読むか
二次情報として、エン カイシャの評判ではスターティア株式会社の口コミ傾向として平均年収405万円(回答者の平均年齢31歳)という水準が報告されています。求人ボックス 給料ナビでは755万円という別の数値が表示されるなど、サイトによって前提が異なる点にも注意が必要です。以下の整理が現実的でしょう。
- 849万円:持株会社60名(平均41.75歳)の公式情報。経営・管理職層の水準
- 596万5千円:事業会社535名(平均33.22歳)の公式情報。全社平均であり管理職を含む
- 405万円:回答者平均31歳の口コミ傾向。若手・非管理職の投稿が集まりやすい母集団バイアスがあると考えられる(推定情報)
したがって、20代で入社した場合の実感値は405万円寄り、30代半ばで役割が上がるにつれ597万円に近づき、経営レイヤーまで到達すると849万円のレンジに入る——という理解が、3つの数字を矛盾なく説明できる読み方だと考えられます(推定情報)。面接では「同年代・同職種の実際のレンジ」を必ず確認したいところです。
給与制度と賞与|年4回の報奨金がある「数字を追う営業会社」
年収の絶対額と同じくらい重要なのが、どういう仕組みで給与が決まるかです。第31期有価証券報告書の人材戦略に関する記載によると、基本給は資格給・職務給・業績給・役職給の4階建てで構成され、賞与の原資は利益連動、さらにセールス職には年4回の報奨金制度が設けられています(公式情報)。
この構成から読み取れることを整理します。
- 成果が短いサイクルで金銭に反映される:年4回の報奨金は、四半期単位で数字を追う営業文化と表裏一体です。実績を出した月・期にすぐ跳ね返る一方、成果が出ない期間は基本給部分に近い水準にとどまる可能性があります(推定情報)
- 年功より役割・成果の比重が大きい:資格給・職務給・役職給が明示されている以上、昇給は勤続年数ではなくグレードと役職の移動で起きる設計です。エン カイシャの評判では口コミ傾向として「ほぼ全員に年1回の昇給機会がある」「実力主義」という評価(実力主義3.9)が見られます
- 賞与は業績に連動する:連結営業利益が5期で大きく伸びている局面では追い風になりますが、逆の局面では変動要因になります
なお職種別・等級別の年収レンジは有価証券報告書では開示されていません。転職会議には賞与に関する投稿が16件ほど集まっていますが、いずれも匿名の口コミ傾向であり、確定的な数値としては扱えません。オファー面談では、基本給・みなし残業の有無・報奨金の平均支給実績・賞与の過去3年の月数を分けて質問するのが確実です。
業績と財務|5期連続増収と営業利益率13.6%の中身
転職先として見たときの安心材料は、業績が明確な右肩上がりで、財務が厚いことです。第31期有価証券報告書「主要な経営指標等の推移」から、5期分を並べます(公式情報・連結)。
| 決算期 | 売上高 | 経常利益 | 当期純利益 | 自己資本比率 | ROE | 連結従業員数 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2022年3月期(第27期) | 160億11百万円 | 5億54百万円 | 9億58百万円 | 37.1% | 21.8% | 872名 |
| 2023年3月期(第28期) | 200億04百万円 | 18億44百万円 | 12億12百万円 | 44.1% | 24.4% | 893名 |
| 2024年3月期(第29期) | 195億72百万円 | 22億53百万円 | 15億46百万円 | 46.2% | 24.8% | 908名 |
| 2025年3月期(第30期) | 222億12百万円 | 27億84百万円 | 19億60百万円 | 53.5% | 27.3% | 938名 |
| 2026年3月期(第31期) | 237億90百万円 | 32億94百万円 | 23億18百万円 | 54.0% | 29.0% | 974名 |
この表から読み取れるポイントは3つあります。
- 利益の伸びが売上の伸びを大きく上回っている:5期で売上は約1.49倍ですが、経常利益は5億54百万円から32億94百万円へ約5.9倍。利益率の高いDXソリューションが伸びたことと、ITインフラ側の保守・回線収入といったストック性収益の積み上がりが効いていると考えられます(推定情報)
- 2022年3月期は明確な谷だった:経常利益5億54百万円は直近5期で突出して低い水準です。赤字ではないものの、そこからの急回復であることは押さえておくべきで、「昔から安定して高収益だった会社」ではありません
- 従業員数が5期連続で増えている:872名→974名と着実に増加しており、第31期は増益要因として「新卒社員の早期戦力化」が挙げられています。採用を継続的に行う組織であることが数字に表れています
先行きについては、2027年3月期の会社予想が売上260億円(+9.3%)・営業利益35億50百万円(+9.5%)、中期経営計画では2028年3月期に売上370億円・営業利益50億円・ROE20%以上を掲げています。配当は2027年3月期に年間145円の予想です。自己資本比率54.0%で借入依存も小さく、「経営が不安定だから避けるべき会社」という見立ては、公開されている財務数値とは整合しません。
口コミ傾向|「20代の成長環境」と「待遇」で評価が割れる
ここからは口コミ傾向のセクションです。断定はできませんが、複数サイトで同じ方向の評価が繰り返されている項目は、傾向として一定の参考になります。
| 出典 | 総合評価 | 高い評価が集まる項目 | 厳しい評価が集まる項目 |
|---|---|---|---|
| OpenWork | 3.41(回答者162人) | 社員の相互尊重4.4/20代の成長環境4.2。月間残業25.7時間、有給消化率63.7% | 待遇面の満足度2.0 |
| エン カイシャの評判 | 3.5(正社員146名回答/口コミ総数700件) | 20代の成長環境4.0(研修期間が長い)、実力主義3.9、人間関係の良さ83%、休日の取りやすさ82% | 社会貢献の実感2.9、事業の独自性3.0、営業系の残業月34時間、年収納得度60% |
| キャリコネ | ホワイト度2.1 | — | 労働時間満足度2.6、やりがい2.8、ストレスの低さ2.2、休日数2.9、給与満足度2.1 |
| 転職会議 | — | — | 賞与に関する投稿が16件ほど |
この分布から見えてくる構図を整理します。
- 育成と人間関係は一貫して高評価:「研修期間が長く新人育成に力を入れている」という趣旨の投稿が繰り返し見られ、20代の成長環境スコアはどのサイトでも高めです。未経験から法人営業のベースを作りたい人にとってはプラス材料といえます
- 待遇の納得感は一貫して低め:OpenWorkの待遇2.0、キャリコネの給与満足度2.1、エンの年収納得度60%と、複数サイトが同じ方向を示しています。前述の「事業会社の平均が596万5千円で前期比△2.0%」という公式情報とも整合的です
- 部門差が大きい:ネガティブな投稿はテレアポ中心の新規開拓営業に集中し、ICTソリューション系・コーポレート系・内勤系は相対的に穏やかという整理が転職メディアの検証記事でも示されています。「スターティアの評判」として一括りにすると誤読しやすい部分です
- ギャップの存在:エン カイシャの評判では中途入社者の満足度3.7に対し退職者評価3.0と差があります。入社直後の印象と、数年在籍した後の評価が異なる可能性は意識しておきたい点です(推定情報)
なお離職率は有価証券報告書では開示されていません。「体育会系のノリ」「上司との相性で評価が振れる」といった投稿も見られますが、いずれも匿名の個人の感想であり、事実として確定したものではない点は明確にしておきます。
人的資本データで見る組織の実像|数字が語るグループ内格差
第31期有価証券報告書には、口コミよりも硬い根拠として人的資本のKPIが開示されています。ここでも持株会社と事業会社で数字がまったく違う点が重要です(すべて公式情報)。
| 指標 | 提出会社(持株会社60名) | スターティア株式会社(535名) | グループ実績/目標 |
|---|---|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 16.7% | 6.5% | グループ9.6%(2027年3月期までに15%が目標) |
| 男性の育児休業取得率 | 0.0% | 33.3% | グループ61.9%(目標70%) |
| 男女の賃金差異(全労働者) | 49.4%(正規54.4%/パート有期101.0%) | 73.6%(正規80.2%/パート有期28.5%) | — |
| 従業員ワークエンゲージメントスコア(5段階) | グループ実績3.07ポイント | 2027年3月までに3.5ポイントが目標 | |
読み解くうえでの注意点と示唆を挙げます。
- 持株会社の育休0.0%・賃金差異49.4%は母数60名の数字:60名という小さな母集団では、対象者が数名いるかどうかで比率が大きく振れます。この数値だけでグループ全体の子育て支援を評価するのは適切ではありません。実際、事業会社側の男性育休取得率は33.3%、グループ実績は61.9%です
- 賃金差異は職位構成の影響が大きい:提出会社の49.4%という数値は、管理職・経営層に男性が多い構成の裏返しである可能性が高いと考えられます(推定情報)。一方で事業会社側は73.6%と、持株会社より差が小さくなっています
- 女性管理職比率は事業会社側が低い:スターティア株式会社6.5%はグループ実績9.6%・目標15%を下回っており、営業現場の管理職登用は今後の課題として同社自身が目標を掲げている領域です
- エンゲージメント3.07は目標未達:会社が自ら目標3.5に対する実績3.07を公表している点は、開示姿勢としては誠実です。同時に、現時点で社員の満足度に伸びしろがあることを会社が認識していることも示しています
関連する公式情報として、同社は健康経営優良法人2026(大規模法人部門)に認定されており(2026年3月9日)、2025年6月20日開催の第30回定時株主総会をもって監査等委員会設置会社へ移行しています。ガバナンス面では、取締役9名のうち6名が独立社外取締役という構成です。
営業電話に関するネット上の書き込みと、行政処分の記録は別のもの
スターティアを検索すると、電話番号検索サイトに営業電話への書き込みが並んでいるのを目にすることがあります。転職判断に直結しうる論点なので、事実として確認できることと、確認できていないことを厳密に分けて整理します。
①行政処分の記録について:消費者庁「特定商取引法ガイド 執行事例」、消費者庁の行政処分・措置命令情報、総務省の報道資料を検索した範囲では、スターティアホールディングス株式会社およびスターティア株式会社を名宛人とする、特定商取引法にもとづく業務停止命令・指示処分、景品表示法の措置命令、電気通信事業法にもとづく行政指導・業務改善命令は、いずれも見当たりませんでした(2026年9月5日時点での調査)。また第31期有価証券報告書の「事業等のリスク」にも法令違反・行政処分・係争中の訴訟に関する記載はなく、有報本文に「訴訟」「行政処分」「特定商取引法」といった語は登場しません。したがって、同社が行政処分を受けたと書ける根拠は存在しません。ただしこれは「調査した範囲で公表事案が見当たらなかった」という意味であり、「一切の問題が過去に存在しない」ことの証明ではありません。
②ネット上の書き込みについて:一方で、電話帳ナビには「スターティア」名義で約130件、jpnumberにも支店名義の番号に対する書き込みが存在し、複合機・光回線・電力小売の営業電話に関する苦情の投稿が見られます。内容としては「振込手数料削減の提案から光回線の見直しへ話をすり替えられた」「社長と話したと言って取次を求められた」「繰り返し架電がある」といった趣旨のものです。ただし、これらは匿名の一般ユーザーによる投稿であり、次の限界があります。
- 投稿内容の事実確認が行われていない
- 同名の別会社・販売代理店による架電である可能性を排除できない
- 行政機関が違法性を認定したものではない
つまり「行政処分の記録は見当たらない」ことと「ネット上に営業電話への苦情投稿がある」ことは、まったく別のレイヤーの話です。前者は公的機関の公表情報、後者は匿名の個人の感想であり、同じ重みで扱うべきではありません。なお同社は公式サイトで「カスタマー・ハラスメントに対する基本指針」を掲出しています(公式情報)。
転職検討者にとっての実務的な含意は、処分の有無そのものよりも「自分が担当する商材と営業手法が何か」です。ITインフラ関連事業には新規開拓の電話営業が含まれる領域があり、そこが業務の中心になるのか、既存顧客の深耕やソリューション提案が中心なのかで、日々の負荷はまったく変わります。面接では配属予定チームの営業スタイル(架電件数の目安、アポの獲得経路、既存と新規の比率)を具体的に確認するのが有効です。
卸売業5社比較|持株会社の平均年収が高く出る仕組み
スターティアホールディングスは東証33業種では「卸売業」に分類されます。同じ分類に属する4社と並べると、同じ卸売業でも収益構造がまったく違うこと、そして持株会社の平均年収がなぜ高く出るのかが一目で分かります。決算期はコスモ・バイオのみ12月期、他4社は3月期である点に注意してください。
| 企業名(証券コード) | 連結売上高 | 営業利益(利益率) | 従業員数 | 有報の平均年間給与 | 対象期 |
|---|---|---|---|---|---|
| スターティアホールディングス(3393) | 237億90百万円(+7.1%) | 32億43百万円(13.6%) | 連結974名/提出会社60名(16.2倍) | 持株会社848.9万円/スターティア㈱596.5万円 | 2026年3月期 |
| 明治電機工業(3388) | 763億60百万円(△2.9%) | 36億70百万円(4.8%) | 連結709名/提出会社550名 | 665.6万円(事業会社そのもの) | 2026年3月期 |
| デリカフーズホールディングス(3392) | 622億19百万円(+5.9%) | 21億10百万円(3.4%) | 連結850名〔臨時2,429名〕/提出会社25名(34.0倍) | 持株会社860.8万円/デリカフーズ㈱484.3万円 | 2026年3月期 |
| 大木ヘルスケアホールディングス(3417) | 3,603億58百万円(+3.1%) | 7億19百万円(0.2%) | 連結685名〔臨時713名〕/提出会社15名(45.7倍) | 持株会社685.6万円/㈱大木598.0万円 | 2026年3月期 |
| コスモ・バイオ(3386) | 107億66百万円(+7.26%) | 3億43百万円(3.2%) | 連結182名/提出会社144名 | 665万円(事業会社そのもの) | 2025年12月期 |
この5社比較から導ける論点は3つです。
- 持株会社3社すべてで、持株会社と事業会社の給与が大きく違う:持株会社側は685.6万〜860.8万円、事業会社側は484.3万〜598.0万円。今回の5社では3社とも有報の「最大人員会社の状況」に事業会社の実額が載っているため、どの数字を見るべきかを一次情報で判断できます。年収サイトが表示するのは通常、前者の持株会社ベースです
- 営業利益率の差が約68倍:スターティアホールディングス13.6%に対し、大木ヘルスケアホールディングスは0.2%。同じ「卸売業」でも、SaaSと保守収入を持つIT商社型と、OTC医薬品・日用品の中間流通ではビジネスモデルがまるで異なります。スターティアHDの13.6%はこの5社で突出して高い水準で、賞与原資や投資余力の面では相対的に有利な構造といえます
- 売上規模と収益性は一致しない:売上は大木ヘルスケアHD 3,603億円とコスモ・バイオ107億円で約33.5倍の開きがありますが、営業利益額ではスターティアHD(32.4億円)が大木ヘルスケアHD(7.2億円)を上回ります。転職先を「規模」だけで比較すると、稼ぐ力を見誤ります
より近い比較先を挙げるなら、中堅・中小企業向けOA機器とITインフラを扱う大塚商会(4768)、中小事業者に通信・電力・POSをクロスセルするUSEN-NEXT HOLDINGS(9418)、ITインフラとSaaSの二本柱という構成が近いソフトクリエイトホールディングス(3371)、法人向けICT環境構築の内田洋行(8057)あたりです。営業スタイルや顧客層を踏まえて併願先を考えるなら、この方向が現実的でしょう(推定情報)。
将来性|中期経営計画の目標と、有報が自ら挙げるリスク
将来性を評価するときは、会社が掲げる成長目標と、会社自身が開示しているリスクの両方を見る必要があります。まず成長側の材料です(公式情報)。
- 中期経営計画で2028年3月期に売上370億円・営業利益50億円・ROE20%以上を掲げる。第31期実績(237.9億円/32.4億円/29.0%)からの逆算では、売上を2年で約1.56倍にする計画
- 成長の柱は、①DXソリューションの拡大(セグメント利益+44.5%)と②ロールアップ型M&A。富士フイルムBI奈良、エヌオーエス(鹿児島)、ビーシーメディア(堺)、ビジネスサービス(姫路)と、地方のOA商社をグループに取り込んで顧客基盤を積み増す方針
- 自己資本比率54.0%・純資産84.9億円と、追加投資の余力がある財務状態
一方、第31期有価証券報告書の「事業等のリスク」で会社自身が挙げている主なリスクは次のとおりです。
- 複合機需要の漸減と単価下落:ペーパーレス化の進行で、売上の約79%を占めるITインフラ関連事業の中核商材の市場が構造的に縮小する方向にあります
- 新電力の調達価格変動:電力小売は市況次第で採算が振れます
- 生成AIによる介在価値の希薄化:IT商社としての「間に立って提案する価値」が、AIの普及で薄まる可能性を会社自身が明記しています
- M&A後ののれん減損:ロールアップ戦略の裏返しのリスクです
この構図は、IT商社・技術商社という業態が共通して抱えるテーマとも重なります。仕入販売の粗利だけでは伸びしろが限られるため、保守・運用・自社SaaSといった付加機能を上乗せして収益を確保する——スターティアの場合、それがDXソリューション関連事業とストック性の保守・回線収入にあたります。転職先として評価するなら、「複合機を売る会社」ではなく「複合機の顧客基盤にSaaSを載せていける会社かどうか」で見るのが実態に近いと考えられます(推定情報)。
キャリアの観点では、ITインフラ営業で中小企業の経営者と直接対峙する経験と、SaaSのカスタマーサクセス・マーケティング支援の経験では、次の転職市場での評価軸が変わります。前者は法人新規開拓力・顧客基盤の構築力として、後者はSaaSプロダクトの導入・定着支援スキルとして評価されやすく、グループ内でどちらの経験を積むかが5年後の選択肢を左右するという点は、応募段階から意識しておく価値があります(推定情報)。
応募先別に見る、向いている人・向いていない人
ここまでの公式情報と口コミ傾向をふまえ、グループ内の主な応募先ごとに適性を整理します(推定情報を含みます)。「スターティア」を一括りにせず、自分がどこに応募するのかを起点に読んでください。
| 応募先・職種 | 向いている人 | 向いていない人 |
|---|---|---|
| スターティア株式会社/ITインフラ営業(新規開拓) | 短いサイクルの成果が金銭と評価に直結する環境を歓迎できる人。年4回の報奨金制度を活かして20代のうちに法人営業の型を身につけたい人。中小企業の経営者と直接話す経験を積みたい人 | 架電・訪問を軸とした新規開拓の量的負荷を長期間続けることに抵抗がある人。安定した固定給と年功的な昇給を重視する人 |
| スターティア株式会社/ICTソリューション・内勤・保守 | 複合機・ネットワーク・セキュリティ・回線と幅広い商材を横断的に理解し、提案の引き出しを増やしたい人。既存顧客との関係構築を得意とする人 | 単一プロダクトを深く極めたい人。商材ごとの仕様キャッチアップの負担を負いたくない人 |
| クラウドサーカス株式会社などDXソリューション側 | SaaSの企画・マーケティング・カスタマーサクセスに関わりたい人。セグメント利益+44.5%という成長フェーズの事業で裁量を求める人 | 組織や制度が完成された環境で働きたい人。事業立ち上げ的な曖昧さを避けたい人 |
| 持株会社(コーポレート機能) | グループ経営・M&A・IR・人的資本開示といったホールディングス機能の経験を積みたい人 | 現場の顧客接点を持ち続けたい人。60名規模の少人数組織で幅広く動くことが負担になる人 |
編集部の見解として、スターティアグループは「20代で法人営業の基礎体力をつける場所」としては合理性のある選択肢だと考えられます。研修と育成への評価が複数の口コミサイトで一貫して高く、業績・財務も5期連続で改善しており、会社が傾くリスクを心配しながら働く環境ではありません。一方で、待遇の納得感については複数サイトが同じ方向の評価を示しており、事業会社の平均年間給与が前期比△2.0%だったことも公式情報として確認できます。「成長環境を取りにいく数年」と割り切れる人には推奨できる一方、いまの年収から大きく上振れさせることを第一目的にする転職には慎重な検討が必要——というのが、公開情報から導ける総合評価です。
スターティアへの転職に関するよくある質問
検索されている疑問のうち、公開情報で答えられるものに絞って回答します。
スターティアホールディングスの平均年収849万円は本当ですか
数値自体は第31期有価証券報告書に記載された公式情報で正確です。ただしこれは提出会社(持株会社)の従業員60名・平均年齢41.75歳の数値であり、現場の水準ではありません。同じ有報には最大人員会社であるスターティア株式会社(535名・平均33.22歳)の平均年間給与596万5千円も開示されています。転職検討時に目安とすべきは後者です。
応募するのはスターティアホールディングスですか、事業会社ですか
実際の採用・雇用は事業会社が行います。ITインフラ関連ならスターティア株式会社、DXソリューション関連ならクラウドサーカス株式会社などが窓口です。持株会社の採用ページとは別に、事業会社側に新卒採用サイト・キャリア採用ページが用意されています。労働条件は応募先の事業会社の制度が適用されるため、雇用契約の相手方の社名を必ず確認してください。
評判で「待遇」の評価が低いのはなぜですか
OpenWorkの待遇2.0、キャリコネの給与満足度2.1、エン カイシャの評判の年収納得度60%と、複数サイトで同じ方向の口コミ傾向が見られます。背景として考えられるのは、①事業会社の平均年間給与が前期比△2.0%だったこと、②回答者の平均年齢が31歳前後と若く、報奨金・賞与が乗り切っていない層が多いこと、③グループの利益成長率(営業利益+18.4%)と給与の伸びに体感差があること、の3点です(推定情報)。
離職率や職種別の年収は公開されていますか
いずれも有価証券報告書では開示されていません。人的資本KPIとして開示されているのは、女性管理職比率(グループ9.6%)、男性育児休業取得率(グループ61.9%)、男女の賃金差異、従業員ワークエンゲージメントスコア(3.07/目標3.5)などです。離職に関する情報は口コミサイトの投稿しか手がかりがなく、断定的な数値としては扱えません。
「スターティアラボ」「スターティアレイズ」という社名は今もありますか
スターティアラボ株式会社は2021年7月に吸収合併・商号変更を経ており、現在はクラウドサーカス株式会社です。またスターティアレイズ株式会社は2026年4月1日付でスターティアテクノス株式会社へ社名変更されています。古い求人情報や記事では旧社名が残っている場合があるため、応募時は最新の社名を確認してください。
どのサービスを使えばいいか決められないとき
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本記事の出典・参考情報
本記事で参照した一次情報・口コミ情報の出典は以下の通りです。最新の正確な数値は各リンク先で確認してください。
公式情報源
- スターティアホールディングス株式会社 公式サイト
- スターティアホールディングス株式会社 IRページ
- スターティアホールディングス株式会社 採用情報
- EDINET(金融庁・有価証券報告書検索)/第31期有価証券報告書(2026年6月16日提出・EDINETコードE05539)
口コミ・評判の参照元
免責事項:本記事の数値・評価は公式情報・口コミ集計・市場推定の3分類で示しており、口コミ傾向や推定情報は断定ではなく傾向・可能性として表現しています。最終判断は読者自身で公式IRおよび内定時の労働条件通知書で確認してください。
この記事の編集方針・情報の確認について
この記事は、公式公開情報(有価証券報告書・IR資料)、求人情報、口コミ傾向をそれぞれ分けて整理し、転職・就職判断に役立つよう編集しています。年収・平均年齢・従業員数などの中核データは第31期有価証券報告書「従業員の状況」を一次情報として確認し、口コミ・推定情報とは明確に区別しています。行政処分に関する記述は、消費者庁および総務省の公表情報を調査した結果にもとづき、匿名の投稿とは明確に書き分けています。記載内容は最終更新時点の公開情報にもとづきます。最新の正確な数値は各公式IRページでご確認ください。
