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クラシル株式会社の年収642万円と評判|旧delyとLINEヤフー54.5%の実態

コロ助

※本記事にはプロモーションを含みます。

この記事の結論

  • 正体:レシピ動画「クラシル」を運営する旧dely。2025年10月に商号変更
  • 年収:有価証券報告書の平均年間給与は約642万円(第13期・単体)
  • 資本:LINEヤフーが議決権54.5%を持つ親子上場のグロース銘柄
  • 収益:広告だけの会社ではなく、購買領域が売上の35.5%へ拡大

はじめに、この記事の位置づけをはっきりさせておきます。本記事は、クラシル株式会社を「転職先・就職先」として検討している方に向けた企業分析記事です。アプリ「クラシル」やポイント機能「レシチャレ(旧クラシルリワード)」の使い方・安全性・ポイント交換の可否を調べに来た方に向けた内容ではありません。検索結果には、同社を運営会社として扱う記事とアプリ利用者向けの記事が混在しますが、この記事が扱うのは有価証券報告書に載っている企業としての実像——すなわち事業構造・年収・親会社との関係・業績・働き方の口コミ傾向です。なお同社は2025年10月1日にdely株式会社からクラシル株式会社へ商号変更しており、ネット上の口コミやニュースは旧社名「dely」で残っているものが多い点も、最初に押さえておくべき前提になります。

クラシル株式会社の公式データ一覧(有価証券報告書ベース)

まず、転職判断の土台になる数字を先に置きます。以下はすべて公式情報で、第13期有価証券報告書(2025年4月1日〜2026年3月31日/2026年6月23日提出)および同社IR資料から取得したものです。年収・年齢・勤続年数・従業員数は提出会社(単体)ベース、売上高と営業利益は連結ベースである点に注意してください。最新の正確な数値は公式IRページで再確認をおすすめします。

項目内容
商号クラシル株式会社(旧・dely株式会社/2025年10月1日商号変更)
証券コード・市場299A・東京証券取引所グロース市場(2024年12月19日上場)
本社東京都港区芝浦三丁目1番1号 msb Tamachi 田町ステーションタワーN 23階
代表者代表取締役社長 堀江 裕介(2014年創業の創業社長)
設立2014年4月
平均年間給与約642万円(6,417千円・前事業年度比+2.6%/提出会社)
平均年齢31.8歳(2026年3月31日現在・提出会社)
平均勤続年数2.8年(2026年3月31日現在・提出会社)
従業員数連結221名/提出会社219名(臨時雇用者125名は外数・年間平均)
売上高170億131万円(2026年3月期・連結/前期比+29.8%)
営業利益34億6,314万円(2026年3月期・連結/Non-GAAP営業利益は36億2,180万円)
当期純利益24億6,111万円(親会社株主に帰属・2026年3月期・連結)
自己資本比率78.3%(2026年3月末・連結)
親会社LINEヤフー株式会社ほか(被所有割合54.5%/最終親会社はソフトバンクグループ)
配当2026年3月期は無配(成長投資を優先する方針)
出典第13期 有価証券報告書(2026年6月23日提出)/2026年3月期 決算説明資料

クラシル株式会社とは何の会社か|旧dely・堀江裕介氏・2024年上場までの経緯

結論から言うと、クラシル株式会社は「レシピ動画メディアの会社」から「生活者データを持つ販促支援企業」へ移行している最中の会社です。転職を検討するうえで最も誤解しやすいのがここで、「レシピ動画を作る会社」という理解のまま面接に臨むと、事業の実態と噛み合いません。有価証券報告書によると、会計上のセグメントは「プラットフォーム事業」の単一セグメントですが、実際の事業は①メディア領域、②購買領域、③その他領域の3つに分かれており、そのうち購買領域の比率が急速に高まっています(詳細は次の章)。

2014年の学生起業から2024年12月の東証グロース上場まで

沿革は公式情報として有価証券報告書に記載があります。2014年4月、東京都渋谷区でdely株式会社として設立され、当初はフードデリバリー事業でした。2015年3月にキュレーションメディア事業へ転換し、2016年2月にレシピ動画サービス「kurashiru(クラシル)」としてリニューアル。ここから現在の事業の骨格ができています。2024年12月19日に東京証券取引所グロース市場へ上場し、2025年10月1日にdely株式会社からクラシル株式会社へ商号変更(英文名もdely inc.からKurashiru, Inc.へ)しました。つまりサービス名を会社名にしたのがごく最近の出来事であり、10年かけて3回事業の軸を変えてきた会社だという点は、企業カルチャーを読むうえで重要な事実です。

創業から現在まで代表を務めるのは堀江裕介氏です。有価証券報告書の大株主一覧では個人として7,268,600株・17.055%を保有しており、上場後も筆頭の個人株主です。同時に有価証券報告書の「事業等のリスク」には、組織体制のリスクとしてトップマネジメントへの依存が明記されています。創業社長が強い推進力を持つ会社である一方、その属人性がリスクとして開示されている——この両面をセットで理解しておくのが公平な読み方です。

IPOは公開価格割れ。株価と時価総額から見える市場の評価

2024年12月のIPOは、公開価格1,200円に対して初値1,001円と公開価格を下回るスタートでした(公式情報/上場時開示)。その後2026年3月期中の株価は高値2,285円・安値896円と値幅が大きく、時価総額は約548億円、PER(予想)22.24倍、PBR(実績)3.95倍、予想ROE17.77%、配当利回りは無配のため0%という水準で推移しています(株価指標は取得時点のもの)。

転職検討者にとってこの数字が意味を持つのは、主に2点です。第一に、ストックオプションや持株会を「上場益」として期待する前提は置きにくいということ(推定情報)。すでに上場済みで、公開価格割れからの値動きも大きいため、入社時点の株価水準次第で評価が大きく変わります。第二に、無配で成長投資を優先する方針が明示されているため、株主還元より事業投資にキャッシュが向かう局面であること。手元の現金及び現金同等物は連結で115億9,961万円、自己資本比率78.3%と財務基盤は厚く、当面の資金繰りを心配するタイプの会社ではありません。

「サービスの口コミ」と「社員の口コミ」を混同しないこと

同社はBtoCアプリを主力とするため、ネット上に出てくる声の大半は利用者としての感想です。レシピの使い勝手、ポイントの貯まり方、アプリの操作性——これらは消費者向けサービスの評価であって、勤務先としての評価とは別軸の情報です。転職判断に使うべきなのは、①有価証券報告書などの一次情報、②OpenWork・就活会議・転職会議など社員・元社員が回答している口コミデータベース、③実際の求人票の3つに限られます。本記事も、その3つだけを材料にしています。検索窓に社名を入れると両者が混ざって表示されるため、読む前に「これは誰の視点で書かれた情報か」を確認する習慣を持つと、判断を誤りにくくなります。

収益構造の実態|メディア・購買・その他の3領域と、購買比率35.5%という転換点

この章が本記事のいちばんの読みどころです。結論を先に言うと、クラシル株式会社の売上の3分の1以上は、すでに広告以外から来ています。有価証券報告書の販売実績(サービス区分別)によると、2026年3月期の売上内訳は次のとおりです(公式情報)。

領域2026年3月期 売上高構成比主な収益源
メディア領域8,030百万円約47.2%「クラシル」「TRILL」の広告課金、アドネットワーク広告、タイアップ広告、月額課金
購買領域6,028百万円35.5%「レシチャレ」(旧クラシルリワード)等のリワード型販促、アフィリエイト、クラシルリテールネットワーク
その他領域2,942百万円約17.3%ライバー/クリエイターマネジメント「LIVEwith」、VTuber事業(子会社ATF株式会社)
合計17,001百万円100%前期比+29.8%

注目すべきは、購買領域の構成比が前期比10.7ポイント上昇して35.5%になった点です(公式情報)。全社売上が+29.8%であることと合わせて編集部が試算すると、前期の購買領域はおよそ32億円規模、今期が60億円強ですから、購買領域単体では前期比8割超の伸びになっている計算です(推定情報/構成比と全社成長率からの逆算)。全社の成長率を大きく上回るスピードで伸びている事業が社内にある、という事実は、配属・キャリア設計を考えるうえで無視できません。

メディア領域|「クラシル」「TRILL」と月額課金

従来からの主力です。レシピ動画「クラシル」と女性向けライフスタイルメディア「TRILL」を運営し、広告課金・アドネットワーク広告・タイアップ広告に加え、月額480円のプレミアム課金という直接課金の収益源を持ちます(公式情報)。アプリの累計ダウンロードは4,500万、SNSフォロワー合計は1,200万(2026年5月時点)と、生活者接点の規模はレシピ領域では国内有数です。

広告に依存するメディアは市況の影響を受けやすいという業界共通の課題があります。市場そのものは拡大していますが、その内訳はSNSの縦型動画が牽引しており、プラットフォームが同時に最大の競合でもあるという構造は変わりません。同社が課金や購買領域へ軸足を広げているのは、この構造への対応と読むのが自然でしょう(推定情報/業界動向にもとづく解釈)。

購買領域|リワード型販促「レシチャレ」とリテールメディア

いま社内で最も勢いのある領域です。節約アプリ「レシチャレ」(旧クラシルリワード)は、移動・チラシ閲覧・レシート送信といった行動でコインが貯まるリワード型の販促サービスで、決算説明資料によると関連MAUは前四半期比26万増の316万に達しています(公式情報)。加えて小売と組む「クラシルリテールネットワーク」があり、メーカー・小売の販促予算を取りにいくモデルです。

この領域の追い風は業界全体にあります。国内のリテールメディア広告市場は2025年に約6,066億円(前年比129%)、2029年には1兆3,174億円規模へ拡大するとの予測が出ており、成長率では実店舗小売の伸びが先行しているとされます。「レシピを見る人=これから買う人」という接点を持つ同社は、この市場で構造的に有利なポジションにいます(推定情報/市場予測にもとづく解釈)。転職者視点では、広告営業の経験だけでなく、メーカー・卸・小売の販促予算やID-POSなど購買データを理解できる人材が社内で主導権を取りやすい局面と考えられます。

一方でリスクもあります。成果報酬型・リワード型の販促は、景品表示法のステマ規制(2023年10月施行)やプラットフォーム側の審査ルール変更の影響を受けやすい領域です。有価証券報告書でも、Apple・Googleのプラットフォーム動向や法的規制が事業リスクとして挙げられています。制度変更が事業設計に直結するタイプのビジネスである、という理解は面接前に持っておきたいところです。

その他領域|LIVEwithとVTuber事業(子会社ATF)

ライバー/クリエイターマネジメント「LIVEwith」と、2025年11月に設立した連結子会社ATF株式会社によるVTuber事業がここに入ります。ATFは2社からVTuber事業を譲受し、2026年1月に完了しています(公式情報)。買収に伴うのれんは620,840千円を計上。売上構成比は約17.3%と小さくありませんが、ATFの従業員数は2名で、事業の大部分は所属クリエイターとの関係で成り立つ構造です。

この領域固有のリスクとして、有価証券報告書は外部ライブ配信プラットフォーム(TikTok LIVE・Pococha・IRIAM等)への依存を明記しています。自社の配信基盤ではなく他社プラットフォーム上で稼ぐモデルであるため、プラットフォーム側の方針変更が業績に響きます。レシピ動画のイメージで入社を検討している人にとっては「そんな事業もあるのか」という領域ですが、売上の6分の1を占めており、配属や兼務の可能性は現実的に存在します(推定情報)。

クラシル株式会社の年収は約642万円|有報の実額と口コミの差をどう読むか

結論として、クラシル株式会社の平均年間給与は約642万円です。有価証券報告書「従業員の状況」によると、第13期(2026年3月期・提出会社)の平均年間給与は6,417千円で、前事業年度比+2.6%。賞与および基準外賃金を含む数値です(公式情報)。同社は純粋持株会社ではなく事業会社そのもので、グループ従業員の大部分(連結221名のうち219名)が提出会社に所属しているため、この642万円は現場実態からの乖離が小さい数値と考えられます。持株会社の本社管理部門だけを対象にした平均年収が独り歩きするケースがありますが、同社はそのパターンには当てはまりません。

平均年齢31.8歳・平均勤続年数2.8年という前提を置いて読む

年収を評価するときは、必ず年齢とセットで見ます。有価証券報告書によると、平均年齢31.8歳・平均勤続年数2.8年(いずれも2026年3月31日現在・提出会社)。30代前半の平均で642万円という組み合わせは、日本の給与水準全体から見れば高い部類に入ります(推定情報/一般的な年齢別水準との比較)。有価証券報告書の人材戦略には、報酬決定の方針として「IT・インターネット業界の報酬水準を定期的にベンチマークする」旨が記載されており、業界基準に合わせて設計されていることが公式に明示されています。

ただし平均勤続年数2.8年という数字は、別の読み方も要求します。単体従業員数の推移は第9期182名→第10期204名→第11期189名→第12期204名→第13期219名で、第11期に一度減少していることが有価証券報告書から確認できます。純増だけを見ると穏やかですが、勤続年数の短さと合わせると、入社と退職の両方が一定量ある組織であると推定されます(推定情報)。急成長フェーズのネット企業では珍しい構造ではありませんが、「長く勤めた人が多い会社」を探している人には前提が合いません。

前事業年度比+2.6%という伸びから逆算すると、前期の平均年間給与は約625万円程度に相当します(推定情報/有報記載の増減率からの計算)。1年で17万円前後の上昇であり、業績が売上+29.8%・営業利益34.6億円と大きく伸びた期であることを踏まえると、給与水準の伸びは業績の伸びほど急ではないと読むのが妥当です。

口コミ上の年収傾向とのギャップ(OpenWork 557万円)

口コミ傾向として、OpenWorkの「クラシル(旧:dely株式会社)」ページに掲載されている回答者ベースの平均年収は557万円、年収レンジは350万〜1,100万円、回答者の平均年齢は32歳です(二次情報・参考値)。有価証券報告書の実額642万円より80万円ほど低く出ています。

このギャップの読み方は次のとおりです(推定情報)。第一に、口コミサイトの平均は回答者の構成に大きく左右されます。OpenWorkの回答者は34人と、従業員219名に対して母数が小さく、若手層の投稿が多ければ平均は下振れします。第二に、有報の平均は賞与・基準外賃金を含む一方、口コミは基本給ベースや入社時提示額で書かれることがあり、定義がそろっていません。第三に、レンジが350万〜1,100万円と3倍以上開いており、職種と等級で待遇差が大きい会社であることがうかがえます。「平均642万円だから自分も642万円」という読み方は成立しません。

なお、OpenWorkの項目別スコアで待遇面の満足度は2.3と低めに出ています(口コミ傾向)。金額そのものより「求められる成果に対する納得感」への評価と読めますが、母数が小さいため個別の投稿を一般化しないよう注意が必要です。

職種別の推定レンジと、内定前に必ず確認したい5項目

職種別の平均年収は有価証券報告書では開示されていません。そのため以下は求人情報と口コミレンジからの推定情報であり、断定できる数値ではありません。あくまで交渉前の当たりを付けるための目安として扱ってください。

  • 広告営業・アカウントプランナー:メンバークラスで概ね500万円台〜、マネジメント・大口担当で700万円前後まで(推定)
  • プロダクトマネージャー・事業開発:600万〜900万円程度のレンジが中心と推定。購買領域の伸びを踏まえると需要は高い
  • エンジニア・データ/機械学習:有報の人材戦略でAI・機械学習人材の即戦力採用に注力すると明記されており、上限側(900万〜1,100万円)に届きうる職種と推定
  • コーポレート(経営企画・管理):上場対応が加わったぶん要求水準は上がるが、レンジは500万〜700万円台と推定

そのうえで、内定前に確認すべき項目を5つに絞ります。①賞与の算定ロジック(全社業績連動か個人評価連動か。2027年3月期は増収でも営業利益+3.2%計画のため、原資の考え方は必ず確認)、②固定残業代の有無と時間数、③等級と昇給テーブル(レンジが広い会社ほど等級定義の確認が効きます)、④株式報酬の有無と条件(上場後の付与方針)、⑤配属領域(メディア/購買/その他のどこか。事業ごとにKPIも景色も違います)。この5つを労働条件通知書と面談で押さえておけば、平均値との差に驚くことはほぼなくなります。

転職検討者
転職検討者

平均642万円なら安心、と考えていいですか?

平均値は「その会社の相場観」を示すだけで、あなたの提示額を保証するものではありません。特にクラシル株式会社は口コミ上の年収レンジが350万〜1,100万円と広く、職種・等級で景色が変わります。平均値は交渉の出発点として使い、実額は必ず労働条件通知書で確認してください。

LINEヤフーが議決権54.5%|親子上場をどう評価するか

クラシル株式会社を語るうえで避けて通れないのが資本関係です。有価証券報告書「関係会社の状況」によると、LINEヤフー株式会社/Aホールディングス株式会社/ソフトバンク株式会社/ソフトバンクグループジャパン株式会社/ソフトバンクグループ株式会社がいずれも「親会社」として被所有割合54.5%と記載されています(公式情報)。上場企業でありながら過半の議決権を親会社グループが握る、いわゆる親子上場銘柄です。

2026年3月31日現在の大株主構成は次のとおりです(公式情報/有価証券報告書「大株主の状況」)。

株主名所有株式数所有割合
LINEヤフー株式会社16,664,800株39.102%
堀江 裕介(代表取締役社長)7,268,600株17.055%
YJ2号投資事業組合6,584,000株15.448%
株式会社日本カストディ銀行(信託口)2,430,600株5.703%
鈴木 祐人962,300株2.257%

直接保有39.102%に、YJ2号投資事業組合などを通じた間接保有が加わって議決権ベース54.5%という構図です。特筆すべきは、有価証券報告書の「事業等のリスク」に「(5)親会社グループとの関係について」が独立項目として立てられている点で、親会社グループとの競合可能性やLINEヤフーからの派遣取締役(1名・米谷昭良氏。同氏はLINEヤフー傘下の株式会社マイベストの取締役を兼務)まで開示されています。また、「TRILL」のコンテンツをYahoo! JAPANへ提供する契約(2018年6月20日付)を親会社と締結しているという取引関係も記載されています。

転職検討者にとっての意味を、あえて両面で整理します(推定情報/有報のリスク記載にもとづく解釈)。

  • プラスに働きうる面:巨大グループの資本・データ・広告在庫にアクセスできる可能性、財務の安定(自己資本比率78.3%)、単独ベンチャーより信用力の面で取引を進めやすいこと、グループ内での人材交流やキャリアの選択肢
  • 慎重に見るべき面:親会社グループが同じメディア/コマース領域のプレイヤーでもあり、事業領域が重なる可能性が有報で言及されていること、重要な意思決定に親会社の意向が影響しうること、将来的な資本政策(完全子会社化・持分変動など)は少数株主・従業員のいずれにとっても自分でコントロールできない変数であること

「親会社があるから良い/悪い」という単純な評価は成り立ちません。自分が入る事業領域が、親会社グループの事業とどう補完し合う関係にあるのかを面接で具体的に確認する——これが親子上場企業を受けるときの最も実利的な準備です。

業績と将来性|売上170億円・+29.8%と、利益横ばい計画が示すもの

結論を先に置きます。直近の業績は明確な成長軌道にあり、同時に来期は「増収でも利益は伸ばさない」計画です。この2つを分けて理解することが、将来性を評価する近道になります。

2026年3月期の実績と2027年3月期計画

有価証券報告書によると、2026年3月期(第13期)の連結業績は売上高170億131万円(前期比+29.8%)、営業利益34億6,314万円、経常利益35億747万円、親会社株主に帰属する当期純利益24億6,111万円。同社が重要指標とするNon-GAAP営業利益は36億2,180万円で前期比+28.5%です(公式情報)。前期比+29.8%という数字から逆算すると、前期売上はおよそ131億円規模に相当します(推定情報/増減率からの計算)。なお会計上の営業利益とNon-GAAP営業利益の差は約1.6億円で、一般にNon-GAAP指標では株式報酬費用などが調整対象になることが多い点を踏まえた読み方が必要です(推定情報)。

指標2026年3月期(実績・連結)2027年3月期(会社計画)増減率
売上高170億131万円約214億円+25.7%
営業利益34億6,314万円約36億円+3.2%
当期純利益24億6,111万円約25億円+0.3%

売上を4割以上(約44億円)積み増しながら、営業利益の増加は1億円強にとどめる計画です。これはユーザー獲得投資などのコストを意図的に厚くする、いわゆる投資フェーズの計画と読めます(推定情報)。転職者にとっては両義的です。事業拡大が続く=採用と役割は増えやすい一方で、利益成長が一時的に平らになる期は賞与原資や昇給テーブルの引き上げに慎重さが出る可能性もあります。前述の「賞与の算定ロジックを確認する」が効いてくるのは、まさにこの局面です。

業界構造から見た将来性——追い風と向かい風を分ける

将来性を「期待できます」の一言で片づけないために、追い風と向かい風を分けて整理します。

  • 追い風①:リテールメディア広告市場が2025年に約6,066億円(前年比129%)、2029年に1兆3,174億円規模との予測。同社の購買領域はこの市場の中心に位置します
  • 追い風②:インターネット広告費が総広告費の過半(構成比50.2%)に達し、動画広告は1兆円を突破。縦型動画資産を持つメディアには取り込み余地があります
  • 追い風③:課金・アフィリエイト・クリエイター事業と収益源が複線化しており、単一モデル依存のメディアより市況変動に耐えやすい構造
  • 向かい風①:生成AI検索によるゼロクリック化。「〜の作り方」型コンテンツの流入減は業界共通の構造リスクです
  • 向かい風②:レシピ・生活領域の競合の多さ(クックパッド、大手SNS、AIアシスタント等)。優位がどこまで続くか読みにくい領域です
  • 向かい風③:リワード型販促は景品表示法のステマ規制やプラットフォーム審査の変更影響を受けやすく、制度変更が事業設計に直結します

同社が経営戦略の柱に「バーティカルAIエージェント」を掲げ、AI・機械学習人材の即戦力採用に注力すると人材戦略に明記しているのは、向かい風①に対する正面からの回答と読めます(推定情報)。AI検索が前提の世界で「レシピと買い物の意思決定に特化したAI」を自社で持てるかどうかが、中期の勝負どころになる——この仮説に共感できるかどうかは、志望動機の軸としてそのまま使えます。

働き方と社風の口コミ傾向|「裁量はあるが、長期育成は弱い」

ここからは口コミ傾向です。断定を避けて読んでください。OpenWorkの「クラシル(旧:dely株式会社)」ページでは総合評価3.39(同サイト上位5%表示)、口コミ166件・回答者34人。グロース上場のベンチャーとしては一定量の投稿がありますが、回答者34人は従業員219名に対して母数が小さく、個々の口コミを全社の実態として一般化するのは適切ではありません。

評価項目スコア読み取れる傾向
社員の相互尊重4.0人間関係・チーム内の空気は高評価
法令順守意識3.9上場企業としての体制整備は一定の評価
風通しの良さ3.6意見が言える環境という声
20代成長環境3.5若手に裁量が回る傾向
社員の士気3.4中位。事業の勢いを反映
人事評価の適正感2.9評価の納得感に課題を感じる声
待遇面の満足度2.3成果に対する報酬の納得感が低め
人材の長期育成2.2育成の仕組みへの不満が最も明確

スコアの並びは非常にはっきりしています。人間関係・裁量は高く、評価・報酬・長期育成は低い——急成長ベンチャーに典型的な分布です。有価証券報告書の平均勤続年数2.8年という実額とも整合的で、「成長機会と裁量は得られるが、長期育成と待遇の納得感で離れる人が出る」という読み方ができます(推定情報)。

労働時間については、OpenWork上の月間平均残業は20.0時間、有給消化率74.3%。採用サイト側は全社平均残業を17時間程度と記載しています(公式情報/採用サイト)。ネット企業としては重い部類ではありません。ただし個別の口コミには月60時間規模の残業報告も見られ、部署・時期による差が大きいことがうかがえます。勤務制度はフレックスタイム制(コアタイム10:00〜16:00)で、労働組合は結成されていません(公式情報)。

もうひとつ、有価証券報告書の任意開示から読める構造があります。全労働者の女性比率は57.5%と高い一方、男女の賃金差異は全労働者54.9%、正社員70.2%、パート・有期96.9%と、区分によって大きく異なります(公式情報)。従業員219名に対し臨時雇用者が年間平均125名おり、その相当数が短時間勤務であることが、全労働者ベースの数値を押し下げている構造と考えられます(推定情報)。正社員として入社を検討する場合は、全労働者ベースの54.9%ではなく正社員ベースの70.2%を見るのが実態に近い読み方です。いずれにせよ改善余地のある水準であり、面接で人事制度の考え方を確認する価値があります。

同業・近接企業との比較|何と比べると違いが見えるか

比較の目的は優劣を付けることではなく、「自分が身につけたいスキルはどこで手に入るか」を見極めることです。なお本記事では各社の有価証券報告書を直接精査していないため、他社の平均年収を横並びで掲載することはしていません。各社の実額は各社IRでご確認ください。以下は事業モデルの違いを整理した推定情報を含む比較です。

企業名市場主力サービス収益モデルの重心クラシルと比べたときの違い
クラシル株式会社東証グロース(299A)クラシル/TRILL/レシチャレ広告+リワード型販促+課金+クリエイター購買領域が売上の35.5%まで拡大。1社で複数の収益モデルを横断できる
クックパッド株式会社東証(2193)クックパッド会員課金+広告レシピ領域の直接競合。課金会員基盤の運営経験を積みたい人向け
株式会社ロコガイド東証(4497)トクバイ電子チラシ/小売店舗の集客支援購買・リテールメディア領域が最も近い競合。小売の店舗側に寄った経験が得られる
株式会社カカクコム東証プライム(2371)価格.com/食べログ送客課金+広告+店舗向けSaaS規模と収益の安定性が段違い。制度・育成の整った環境を求める人向け
LINEヤフー株式会社東証プライム(4689)Yahoo! JAPAN/LINE等広告+コマース+決済クラシルの親会社かつ同領域のプレイヤー。プラットフォーム側の視点が得られる

この5社を並べると、クラシル株式会社の位置づけが立体的になります。規模と安定を取るならプライム上場の大手、1社で複数の収益モデルを横断する経験を取るならクラシル、という整理です(推定情報)。従業員219名という規模で、広告・課金・リワード販促・クリエイターマネジメントの4モデルが同居している会社は多くありません。裏を返せば、役割の境界が明確な環境を求める人にはミスマッチが起きやすい構造でもあります。

クラシル株式会社の採用・転職難易度|219名の会社に入るということ

「クラシル 採用」で検索する人が一定数いるため、採用の門戸について事実ベースで整理します。まず前提として、母集団のサイズが小さい会社です。有価証券報告書によると提出会社の従業員数は219名(2026年3月31日現在)、前期204名からの純増は15名。純増15名は採用数そのものではありませんが(退職者と相殺された後の数字のため実際の採用数はこれより多いと推定されます)、年間で数十名規模の採用と考えるのが妥当なレンジでしょう(推定情報)。

求められる方向性は、有価証券報告書の人材戦略から読み取れます。同社は経営戦略の柱に「バーティカルAIエージェント」を掲げ、AI・機械学習人材の即戦力採用に注力すると明記しています(公式情報)。また求人は転職サイト各社(doda、ワンキャリア転職、リクルートエージェント等)に掲載されており、企画・管理系を含む幅広い職種で募集が確認できます。

難易度についての編集部の整理は次のとおりです(推定情報)。

  • ポジション数が少ないという意味での難易度は高い:219名規模で採用枠は限られ、通年で同じ職種が空いているとは限りません
  • 学歴フィルタ型の難易度とは性質が異なる:即戦力採用が中心の中途では、実績と再現性の説明が評価軸になりやすいと考えられます
  • 刺さりやすい経験:リテールメディア/販促/ID-POSなど購買データの実務、アプリのグロース・CRM・課金設計、AI・機械学習の実装経験
  • 準備すべき論点:「なぜ広告メディアではなく購買領域なのか」に自分の答えを持っておくこと

新卒採用については就活会議に口コミ一覧(全78件)が蓄積されており、新卒側の関心も一定量あります。ただし新卒・中途とも規模は大きくないため、「求人が出た瞬間に動ける準備をしておくこと」が実質的な最大の対策になります。

編集部の見解|クラシル株式会社への転職が向いている人・向いていない人

ここまでの公式情報と口コミ傾向をふまえ、編集部の見解として適性を整理します(推定情報を含みます)。断定ではなく、判断材料としてお読みください。

向いている人向いていない人
広告だけでなく購買データ・販促まで含めて事業を設計したい人役割の境界が明確で、担当領域が変わらない環境を望む人
219名規模で裁量を持ち、意思決定の近さを重視する人制度化された研修と長期育成のレールを重視する人
事業の軸が変わることを前提に、学び直しを楽しめる人担当サービスの継続性・安定性を最優先したい人
親会社グループの資本・データを活かす設計に面白さを感じる人独立系で意思決定が完全に自社完結する環境を求める人
評価より先に成果を出し、後から交渉できるタイプの人入社時点で明確な昇給テーブルの提示を求める人

総合すると、クラシル株式会社は「レシピ動画の会社」というイメージで受けると外し、「生活者データを持つ販促プラットフォーム企業」として捉えると輪郭が合う会社だと考えられます。平均年間給与約642万円・平均年齢31.8歳という水準は、業界基準に沿って設計された妥当なものと言えますが、口コミでは待遇の納得感が低めに出ており、報酬の絶対額より「成果と評価の接続」に敏感な人ほど事前確認が要ると見ています。

キャリアの出口という観点では、この会社で得られる経験の汎用性は高い部類です(推定情報)。リテールメディアや購買データ活用の実務は、ネット広告代理店・アドテク企業、ECモールや小売のリテールメディア部門、メーカーのデジタル販促・トレードマーケティング部門といった転職先に接続します。アプリのグロースや課金設計の経験はPdMやCRM責任者への道につながります。3〜5年で市場価値を上げてから次を考えるタイプのキャリア設計とは相性が良い会社だと考えられます。

クラシル株式会社に関するよくある質問(FAQ)

転職・就職を検討する人から実際に検索されている疑問に、公式情報ベースで回答します。

クラシル株式会社の親会社はどこですか?

LINEヤフー株式会社です。有価証券報告書「関係会社の状況」によると、LINEヤフー株式会社/Aホールディングス株式会社/ソフトバンク株式会社/ソフトバンクグループジャパン株式会社/ソフトバンクグループ株式会社がいずれも「親会社」として被所有割合54.5%と記載されており、最終親会社はソフトバンクグループ株式会社です(公式情報)。LINEヤフーの直接保有分は39.102%で、これに間接保有が加わって議決権54.5%となる構造です。

旧社名の「dely(デリー)」との関係は?いつ社名が変わったのですか?

同一の会社です。2014年4月にdely株式会社として設立され、2025年10月1日にクラシル株式会社へ商号変更しました(英文名もdely inc.からKurashiru, Inc.へ)。会社が変わったのではなく、主力サービス名を社名に統一した形です(公式情報)。そのため口コミサイトでは「クラシル(旧:dely株式会社)」といった表記になっており、2025年より前の情報はdely名義で残っています。過去の記事を読むときは、社名の違いで別会社と誤認しないよう注意してください。

クラシル株式会社の平均年収はいくらですか?

第13期(2026年3月期)有価証券報告書「従業員の状況」によると、提出会社の平均年間給与は6,417千円(約642万円)、前事業年度比+2.6%です。賞与および基準外賃金を含みます(公式情報)。平均年齢31.8歳・平均勤続年数2.8年という前提とセットで読んでください。なおOpenWorkの回答者ベース平均年収は557万円(レンジ350万〜1,100万円)と有報より低く出ていますが、これは回答者構成や金額の定義の違いによるものと考えられます(推定情報)。

「レシチャレ(旧クラシルリワード)」は会社のどの事業に当たりますか?

購買領域に含まれるサービスです。移動・チラシ閲覧・レシート送信などの行動でコインが貯まるリワード型の販促サービスで、売上構成上は購買領域(2026年3月期6,028百万円・構成比35.5%)の中核をなします(公式情報)。転職検討者の視点では、「レシピメディアの会社」ではなく販促・リテールメディアの会社としての顔がここに現れている、と理解するのが実態に近い読み方です。なお本記事は企業分析記事のため、アプリの使い方やポイント交換などサービス利用者向けの情報は扱っていません。

中途採用と新卒採用、どちらが中心ですか?残業時間はどのくらいですか?

従業員219名・平均勤続年数2.8年という構成から、中途の即戦力採用が中心と推定されます(推定情報)。有価証券報告書の人材戦略でもAI・機械学習人材の即戦力採用に注力する旨が明記されています。一方で就活会議には新卒向けの口コミが78件蓄積されており、新卒採用も行われています。残業時間は、採用サイトの記載で全社平均17時間程度、OpenWorkの集計では月間平均20.0時間・有給消化率74.3%です(口コミ傾向を含む)。ただし部署や時期による差が大きい旨の投稿もあるため、配属予定部署の実績を面接で確認することをおすすめします。

クラシル株式会社への転職判断まとめ

ここまでの内容を、判断軸ごとに整理します。最終的な判断は、求人票と労働条件通知書、そして自分の経験・志向と照らして行ってください。

判断軸評価と根拠
年収水準平均年間給与約642万円・平均年齢31.8歳(有報実額)。年齢構成を踏まえると業界基準に沿った水準。ただし口コミレンジは350万〜1,100万円と広く、職種・等級差が大きい
事業の成長性売上170億円・前期比+29.8%、購買領域が構成比35.5%へ拡大。リテールメディア市場の拡大が追い風
収益の安定性広告・課金・リワード販促・クリエイターの複線化で市況耐性はある一方、AI検索によるゼロクリック化とプラットフォーム依存が構造リスク
財務の健全性自己資本比率78.3%、現金及び現金同等物115億9,961万円。無配で成長投資を優先
直近の利益トレンド2027年3月期は売上+25.7%計画に対し営業利益+3.2%計画。投資フェーズであり、賞与原資の考え方は要確認
働きやすさ月間残業17〜20時間程度・有給消化率74.3%とネット企業では重い部類ではない。フレックス(コア10:00〜16:00)。部署差は大きいとの声
育成・評価口コミの長期育成2.2・人事評価の適正感2.9・待遇満足度2.3と低め。裁量と成長機会は高評価(20代成長環境3.5)
資本構造LINEヤフーが議決権54.5%の親子上場。グループ資本の恩恵と、意思決定への影響の両面を評価する必要がある
採用難易度219名規模でポジション数が限られ、タイミング依存。AI・機械学習、購買データ、アプリグロースの実務経験が刺さりやすい
キャリアの出口リテールメディア/販促データの経験は代理店・アドテク・小売・メーカー販促部門へ接続しやすく、汎用性は高い

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本記事の出典・参考情報

本記事で参照した一次情報・口コミ情報の出典は以下の通りです。最新の正確な数値は各リンク先で確認してください。

公式情報源

口コミ・評判の参照元

免責事項:本記事の数値・評価は公式情報・口コミ集計・市場推定の3分類で示しており、口コミ傾向や推定情報は断定ではなく傾向・可能性として表現しています。最終判断は読者自身で公式IRおよび内定時の労働条件通知書で確認してください。

この記事の編集方針・情報の確認について

この記事は、公式公開情報(有価証券報告書・IR資料)、求人情報、口コミ傾向をそれぞれ分けて整理し、転職・就職判断に役立つよう編集しています。年収・平均年齢・平均勤続年数・従業員数などの中核データは第13期有価証券報告書「従業員の状況」を一次情報として確認し、口コミ・推定情報とは明確に区別しています。業界動向に関する市場規模・広告費の数値は公表されている業界調査・統計にもとづく参考値です。記載内容は最終更新時点の公開情報にもとづきます。最新の正確な数値は各公式IRページでご確認ください。

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コロ助
コロ助
企業と転職サービスを、有価証券報告書などの一次情報から読んでいます。
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