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株式会社MTG(7806)の年収681万円は誰の年収か|有報と口コミの178万円差

コロ助

※本記事にはプロモーションを含みます。

この記事の結論

  • 公式平均年収:有報第30期で681万円(提出会社単体877名)
  • 口コミとの差:OpenWork登録者平均503万円と約178万円の開き
  • 直近の勢い:2025年9月期は営業利益+225.4%と急拡大
  • 要確認点:会計不正が2019年と2024年の2回開示されている

「株式会社MTG 年収」で検索すると、681万円という数字と503万円という数字の両方が出てきます。どちらも実在する公表値で、どちらかが嘘というわけではありません。違うのは「誰を数えた平均か」です。この記事は、美容機器ブランド「ReFa(リファ)」やトレーニング・ギア「SIXPAD(シックスパッド)」を手がける株式会社MTG(証券コード7806・東証グロース市場)への転職を検討している方に向けて、有価証券報告書の実額を出発点に、この178万円の差がどこから生まれるのかを分解します。トレーディングカードゲームのMagic: The Gathering(通称MTG)でも、会議を意味する「MTG」でもありません。名古屋市に本社を置く、東証グロース市場の上場企業についての記事です。

株式会社MTG(7806)とは|ReFa・SIXPADを自社で企画開発する名古屋発のブランド企業

まず、読者が探しているものを取り違えないように整理します。この記事が扱うのは企業としての株式会社MTG(7806)であり、製品のレビューでも、カードゲームの情報でもありません。以下に当てはまる方は、この先を読んでも目的の情報には辿り着けないため、それぞれの正しい入口へ進んでください。

  • ReFaやSIXPADなど製品の購入・使い方・修理を調べている方 → 各ブランドの公式サイト・カスタマーサポート窓口へ
  • トレーディングカードゲーム「Magic: The Gathering」の情報を探している方 → 本記事の対象外です
  • 会議・打ち合わせの意味で「MTG」を調べている方 → 本記事の対象外です
  • 株式会社MTGへの転職・就職を検討している方 → この記事の対象です

なお、本記事は転職検討者向けの企業分析であり、製品の効果・効能に関する評価は一切行いません。美容機器・健康機器は薬機法および景品表示法の対象領域であるため、以下では会社の事業内容を説明するために必要な範囲で、ブランド名と商品カテゴリを事実として挙げるにとどめます。

会社の基本プロフィール(公式情報)

公式サイトによると、株式会社MTGは1996年1月設立、本社は愛知県名古屋市中村区本陣通。代表取締役社長は創業者の松下剛氏で、2018年7月10日に東証マザーズへ新規上場し、2022年4月の市場区分再編で東証グロース市場へ移行しました。資本金は167億円。企業ビジョンとして「VITAL LIFE」を掲げています。

転職検討者にとって押さえておきたいのは、知名度の高いブランドを持ちながら、会社自体は東証グロース市場の企業であるという点です。ReFaやSIXPADはテレビCMや店頭で広く目にするため「大手の一部門」と思われがちですが、実際には独立系のオーナー企業が自社ブランドとして育ててきたものです。プライム市場の大企業とは、財務基盤の前提も、意思決定のスピードも、組織の作り方も異なります。この認識のズレが、入社後のギャップの入口になりやすいところです。

ブランド名の知名度が社名を上回るという構造は、当サイトで扱っている壽屋(コトブキヤ・7809)の記事と同じ論点です。「コトブキヤ」は知っていても上場企業名が「壽屋」だと知らない人が多いのと同様に、「ReFa」は知っていても運営会社が「株式会社MTG」だと知らない人は少なくありません。どちらも、検索キーワードの大半を製品・店舗の情報が占め、求職者向けの情報が埋もれてしまう会社です。ブランドで会社を選ぼうとしている方は、両方を読み比べると自分の判断軸が整理しやすくなります。

5つの販路セグメントが示す「実は店舗も持つ会社」という事業構造

株式会社MTGを年収の観点で読むうえで、最も重要な前提が販路(チャネル)別のセグメント構成です。決算短信によると、2025年9月期のセグメント別売上高は以下の通りです(公式情報)。

  • ダイレクトマーケティング:378億円(前期比+29.5%)/通販・自社ECが中心
  • プロフェッショナル:248億円(+29.0%)/美容室・サロン等への卸。契約サロン44,360店
  • リテールストア:304億円(+55.7%)/家電量販・百貨店等の店頭。27店舗を新規出店
  • グローバル:15億円(▲11.7%)/海外向け
  • スマートリング(EVERING):5.39億円(+165.2%)/新規事業

ここで注目すべきは、最も伸びたのがEC(+29.5%)ではなくリテールストア(+55.7%)だったという事実です。「ReFa=ネット通販のブランド」というイメージを持って応募すると、実際には店頭・店舗運営の比重が急速に高まっている会社だという点を見落とします。27店舗の新規出店は、当然ながら店舗人員の採用を伴います。この事業構造が、後述する「有報の681万円」と「口コミの503万円」の差を読み解く鍵になります。

株式会社MTG(7806)の公式データ一覧(有価証券報告書ベース)

本記事で扱う公式数値を一覧で確認できます。公式情報として、最新の正確な数値は公式IRページで再確認してください。以下の従業員関連4項目は、いずれも第30期(2024年10月1日〜2025年9月30日/2025年9月期)有価証券報告書「従業員の状況」の提出会社(単体)の値です。

項目内容
商号株式会社MTG(MTG Co., Ltd.)
証券コード・市場7806/東京証券取引所グロース市場(その他製品)
本社所在地愛知県名古屋市中村区本陣通4丁目13番
設立1996年1月(2018年7月 東証マザーズ上場、2022年4月 グロース市場へ移行)
代表者代表取締役社長 松下 剛(創業者・筆頭株主)
平均年間給与6,813千円(約681万円)/第30期・提出会社単体877名ベース
平均年齢38.0歳/第30期・提出会社単体
平均勤続年数6.0年/第30期・提出会社単体(前期比0.3年短縮)
従業員数提出会社(単体)877名(前期末比+146名)/連結1,514名
売上高988億10百万円(連結・2025年9月期/前期比+37.5%)
営業利益106億65百万円(連結・2025年9月期/前期比+225.4%・営業利益率10.8%)
2026年9月期予想売上高1,420億円(+43.7%)/営業利益160億円(+50.0%)※2026年8月4日の上方修正後
賞与・昇給制度の詳細有価証券報告書では開示されていない(求人票・労働条件通知書で要確認)
離職率有価証券報告書では開示されていない
出典第30期(2025年9月期)有価証券報告書「従業員の状況」/2025年9月期決算短信/2026年9月期第3四半期決算短信/公式IR

なお、上記の従業員4項目はEDINET提出のXBRLデータを収録するIR BANKおよびキタイシホンで確認した値であり、両サイトの数値は一致しています(877名/38.0歳/6.0年/6,813千円)。有価証券報告書原本PDFの直接照合は行っていないため、最終確認はEDINETの原本で行うことをおすすめします。

平均年収681万円は「誰の」年収か|有報とOpenWorkの178万円差を分解する

結論から書きます。有価証券報告書の681万円と、OpenWork登録者平均の503万円は、どちらも本物の数字であり、母集団が違うだけと考えるのが自然です。応募者にとって重要なのは「どちらが正しいか」ではなく、「自分が応募するポジションはどちらの母集団に近いか」です。ここを取り違えると、オファー金額を見た瞬間に「話が違う」と感じることになります。

求職者
求職者

ネットで見た平均年収が681万円と503万円でバラバラです。どっちを信じればいいんですか?

有報681万円の正確な定義|「提出会社単体877名」という条件

有価証券報告書によると、第30期(2025年9月期)の平均年間給与は6,813千円です。ただしこれは提出会社(=株式会社MTG本体)に在籍する877名の平均であり、賞与および基準外賃金を含みます。一方で、同じ有報に記載されている連結従業員数は1,514名です。つまり、

  • 連結1,514名のうち、本体は877名=約57.9%
  • 残る約637名(約42.1%)は子会社等に所属し、681万円という平均の計算には入っていない

公式データとして開示されているのは、この約58%側の平均だけです。株式会社MTGは持株会社ではなく事業会社ですが、EVERING、ブレイズ、MTGプロフェッショナル、M’sエージェンシーといった国内子会社と、シンガポール・台湾・韓国・米国の現地法人を擁するグループを形成しています。有報の平均年間給与は制度上、提出会社単体でしか開示義務がないため、グループ全体の給与実態を示す数字は公表されていないのが実情です。

OpenWork503万円との差の読み方(口コミ傾向+推定情報)

口コミ傾向として、OpenWorkに登録された正社員103人の回答による平均年収は503万円です。有報の681万円との差は178万円、率にして有報値はOpenWork値の約1.35倍にあたります。この差が生じる理由として、開示情報から推定情報として挙げられる仮説は次の通りです。

  • 回答者の職種構成の偏り:口コミサイトへの投稿は若手・中堅層に偏りやすく、管理職・専門職の比率が有報の母集団と一致しない可能性があります。
  • 店舗・販売系の比重:前述の通りリテールストア事業は前期比+55.7%で27店舗を新規出店しており、店頭・販売職の人員が増えています。職種構成が変われば、同じ会社でも平均給与の見え方は変わります。
  • 投稿時点のズレ:口コミは過去数年分が累積して表示されます。有報の平均年間給与は2021年9月期の552万円から2025年9月期の681万円まで5期連続で上昇しており、数年前の投稿が現在の水準より低いのは自然です。
  • 本体か子会社かの違い:口コミ投稿者が本体所属か子会社所属かは、投稿からは判別できません。

ただし、どの要因がどれだけ効いているかは公開情報からは特定できません。ここを断定してしまう解説記事もありますが、開示資料に職種別・階層別の給与データは含まれていないため、本記事では要因の内訳までは踏み込まず、「母集団が違う2つの平均が並存している」という事実の提示にとどめます。

応募先が「本体か子会社か」で前提が変わる

実務的に最も重要なのはここです。求人票に「株式会社MTG」とあるのか、「MTGプロフェッショナル」「M’sエージェンシー」などグループ会社名が入っているのかで、参照すべき数字が変わります。口コミサイトでも本体と子会社は別ページで管理されており、転職会議ではMTG本体の投稿が退職理由・離職率カテゴリだけで36〜39件ある一方、子会社ページは件数が大幅に少なく、傾向を読み取れるだけの母数がありません。推定情報として、子会社の待遇条件が本体と同一である保証はないため、選考の早い段階で雇用主体を確認しておくことをおすすめします。

5期連続で上がった年収の中身|552万円→681万円という変化

単年の平均年収だけを見ても、その会社の給与が「上がっている会社」なのか「頭打ちの会社」なのかは分かりません。株式会社MTGの場合、有価証券報告書ベースの平均年間給与は5期連続で上昇しています。これは転職判断において、単年の絶対額より重要な情報です。

平均年間給与の5期推移(公式情報)

決算期平均年間給与前期比
2021年9月期約552万円—
2022年9月期約589万円+37万円
2023年9月期約609万円+20万円
2024年9月期約624万円+15万円
2025年9月期(第30期)約681万円+57万円

4年間で+129万円、率にして約23.4%の上昇です。特筆すべきは伸び方の形で、2022年から2024年にかけては+37万円→+20万円→+15万円と伸びが鈍化していたのに対し、2025年9月期だけ+57万円と再加速している点です。同じ期に営業利益が前期比+225.4%と急伸していることを踏まえると、推定情報として、業績連動の賞与部分が平均を押し上げた可能性が考えられます。裏を返せば、業績が反転した局面では同じ幅で下がる余地もあるということです。固定給の底上げなのか、賞与による一時的な上振れなのかは有価証券報告書からは区別できないため、面接では「基本給と賞与の比率」を必ず確認しておきたいところです。

平均年齢38.0歳・勤続6.0年から逆算する社員構成

第30期の平均年齢は38.0歳、平均勤続年数は6.0年です。単純に引き算すると、平均的な社員は32歳前後で入社している計算になります。新卒中心の会社であれば平均年齢38歳に対して勤続年数は15年前後になるはずですから、この数字は中途採用が社員構成の中心であることを強く示唆します。

平均年齢の推移も併せて見ると構造がはっきりします。2018年9月期は35.0歳・勤続2.9年、2021年9月期は37.0歳・勤続5.0年、そして2025年9月期が38.0歳・勤続6.0年です。上場前後の急拡大期に大量採用した層がそのまま在籍して年齢と勤続年数を押し上げてきた、という読み方ができます(推定情報)。中途入社者にとっては、「新卒からの生え抜きが上を固めていて入り込む余地がない」というタイプの会社ではない、という点はプラス材料です。

2025年の146名採用が指標に与えた影響

2025年9月期の従業員数は前期末比+146名で877名。在籍者の約16.6%が1年以内の入社という計算になります。この結果、平均勤続年数は2024年9月期の6.3年から6.0年へ0.3年短縮しました。勤続年数の短縮は一般に「離職が増えた」と読まれがちですが、この期については採用増による分母の希薄化という説明が数字と整合します。有価証券報告書では従業員数の増加理由が「新商品開発量の増加及び事業拡大」と記載されており、事業拡大に伴う増員であることが公式情報として示されています。

従業員数855名→589名→877名|入社タイミングで景色が変わる会社

年収の推移と並べて必ず見ておきたいのが、従業員数の推移です。株式会社MTGの単体従業員数は、有価証券報告書ベースで次のように動いています(公式情報)。

決算期従業員数(提出会社単体)前期比
2019年9月期855名—
2020年9月期719名▲136名
2021年9月期589名▲130名
2022年9月期647名+58名
2023年9月期679名+32名
2024年9月期731名+52名
2025年9月期877名+146名

2019年から2021年の2期で約31%減少し、そこから4期かけて2019年の水準を上回るまで回復しています。転職検討者にとって、この折れ線が意味するのは次のことです。

  • この会社に在籍している社員の多くが、増減の両局面を経験している。口コミの内容が投稿年によって大きく違う理由の一つがこれです。
  • 2022年以降の入社者と、2019年以前からの在籍者では、見てきた景色が違う。面接で会う社員の在籍年数を意識すると、話の解像度が上がります。
  • 推定情報として、事業環境や方針転換によって人員規模が大きく動く体質は、現在も完全には解消されていない可能性があります。今が拡大局面であることは事実ですが、それが恒久的な性質だと読むのは早計です。

なお、口コミの読み方として実務的に有効なのは、投稿日を必ず確認することです。OpenWorkの社員クチコミは1,026件と、東証グロース市場の企業としては非常に多い部類ですが、2019〜2021年の縮小期に書かれたものと、2024〜2025年の拡大期に書かれたものでは前提条件がまったく違います。件数の多さは、そのまま「同じ会社について語っている」ことを意味しません。

年収の原資はどこから来ているか|売上988億円・営業利益106.7億円の構造

給与が上がるかどうかは、最終的には会社が稼げているかで決まります。ここでは、公表されている業績数値から「年収681万円を支えている原資」を確認します。

決算短信によると、2025年9月期(第30期)の連結業績は売上高988億10百万円(前期比+37.5%)、営業利益106億65百万円(前期比+225.4%)です。前期2024年9月期の営業利益は32億77百万円でしたから、1期で利益水準が約3.3倍になった計算です。営業利益率も、2024年9月期の約4.6%から2025年9月期は10.8%へ大きく改善しました。

この数字を人数で割ってみると、転職者にとっての意味が見えてきます(以下は開示数値からの単純計算による推定情報です)。

  • 連結1人あたり売上高:988億円 ÷ 1,514名 = 約6,500万円
  • 連結1人あたり営業利益:106.65億円 ÷ 1,514名 = 約700万円

1人あたり営業利益(約700万円)が、単体の平均年間給与(681万円)とほぼ同水準にあります。この比率は、人件費を払ったうえでさらに同程度の利益を残せている状態を示しており、賃上げの原資という観点では余裕がある局面と読めます。実際、平均年間給与が2025年9月期に+57万円と再加速したことと、この利益急拡大は時期的に一致しています。

さらに、公式IRによると2026年9月期は第3四半期累計で売上高1,024億円(前年同期比+46.3%)・営業利益126億円(+35.8%)と進捗し、2026年8月4日には通期予想を3度目の上方修正。売上高1,420億円(+43.7%)、営業利益160億円(+50.0%)、親会社株主帰属当期純利益110億円(+38.6%)としています。期末配当予想も33円から37円へ増額されました。1期のうちに3度も上方修正が必要になったという事実は、需要が想定を上回るスピードで伸びていることを示す一方で、推定情報としては計画の精度そのものが追いついていない状態とも読めます。急成長企業に共通する現象で、現場では計画変更に伴う業務負荷が発生しやすい局面です。

他方、セグメント別に見ると明暗があります。スマートリング(EVERING)が+165.2%と伸びる一方、グローバル事業は15億円で▲11.7%と縮小しています。全社が一律に伸びているわけではないため、応募するポジションがどのセグメントに属するかによって、社内での位置づけや投下されるリソースは変わります。

開示された会計不正2件の事実整理(2019年・2024年)

転職判断において避けて通れない事実として、株式会社MTGでは会計に関する問題が2件、会社自身から開示されています。ここでは評価や憶測を加えず、公表されている事実と日付のみを整理します。読者が自分で一次資料に当たれるよう、時系列を明確にすることを優先します。

1件目:2019年の不適切会計(第三者委員会が認定)

2019年5月、同社は中国子会社等をめぐる不適切会計の可能性を公表し、第三者委員会を設置しました。2019年7月11日付の第三者委員会調査報告書では、(a)中国向け越境EC取引の国内輸出代行会社向け売上、(b)上海の代理販売会社向け売上、(c)中国EC運営代行会社向け売上、の3類型において売上の期ずれ・不適切な収益認識があったと認定されています。

訂正の結果、2019年9月期上期は公表済みの5.3億円の利益から約57億円の経常赤字へ修正され、売上高も約36%下方修正されました。上場(2018年7月)からわずか1年足らずでの出来事です。会社は再発防止策を策定・公表しています。前章で見た2019年から2021年にかけての従業員数の急減は、この時期と重なります。

2件目:2024年12月に開示された子会社での事案

2024年12月12日、同社は連結子会社で広告代理業を営むM’sエージェンシー(名古屋市)において、2024年9月期の広告仕入計上に関する書類改ざん等により、マーケティング費の計上年度のずれ・未計上が生じた疑いがあると適時開示しました。判明範囲で累計約6.6億円の費用過少計上の可能性とされています。同社は特別調査委員会を設置し、2024年9月期有価証券報告書の提出期限を2025年1月6日から3月7日へ延期。2025年3月7日に2024年9月期決算短信の訂正を開示しました。

転職検討者としてこの2件をどう扱うか

事実として指摘できるのは、約5年の間に会計に関する問題が2度開示されたという点です。その一方で、以下も同じく事実として併記しておく必要があります。

  • いずれも会社自身が開示し、外部委員会を設置して調査した案件である
  • 2件目は連結子会社における事案として開示されている
  • 行政処分・課徴金・上場廃止に至ったという情報は、公表情報の範囲では見当たらない
  • 訂正開示の後も上場は維持され、直近では過去最高水準の利益を計上している

ここから先、経営陣の意図や企業体質を断定することは本記事では行いません。開示資料に書かれていないことを推測で埋めるのは、転職判断の材料としてはむしろ有害だからです。代わりに実務的な提案をすると、推定情報として、選考の場で「再発防止策として具体的に何が変わったのか」「内部統制部門の人員体制はどうなっているか」を質問することが、最も確度の高い情報収集になります。とりわけ経理・財務・内部監査・法務・広告宣伝に関わる職種で応募する方にとっては、この論点は待遇条件と同じくらい重要です。なお、OpenWorkの項目別スコアでは「法令順守意識」が3.2と、他項目と比べて相対的に低い水準にあります(口コミ傾向)。

口コミが二極化する構造|「士気4.1」と「待遇2.4」が同居する理由

株式会社MTGの口コミは、良い評価と厳しい評価がきれいに分かれます。感情的な賛否が割れているというより、評価される項目とされない項目が構造的に分かれているのが特徴です。OpenWorkの総合評価は3.41、社員クチコミは1,026件・回答者218人と、母数は十分に確保されています(口コミ傾向)。

評価が高い項目スコア評価が低い項目スコア
社員の士気4.1待遇面の満足度2.4
社員の相互尊重4.1人材の長期育成2.4
20代成長環境3.7人事評価の適正感2.8
風通しの良さ3.5法令順守意識3.2

労働時間関連の指標は、月間残業時間31.4時間、有給消化率67.8%、女性労働者比率57.1%です(OpenWork・口コミ傾向)。残業31.4時間は、極端に長いとも短いとも言いにくい中間的な水準です。

この分布は、「ブランドへの誇りとスピード感は高いが、処遇・評価・長期育成の仕組みが追いついていない」という、オーナー系ブランドベンチャーに典型的なパターンとして読めます(推定情報)。士気4.1と待遇2.4が同居するのは矛盾ではありません。「仕事とブランドは好きだが、その熱量に給与と評価が見合っていないと感じる人がいる」という状態が、そのままスコアに出ていると解釈できます。

定性的な口コミ傾向としては、次のような論点が繰り返し登場します。いずれも投稿者個人の主観であり、会社全体の実態を示すものではない点に留意してください。

  • 創業社長への求心力が強く、トップダウン色があるという趣旨の投稿
  • 上層部の主観的判断や、長期在籍者の意向が意思決定に影響するという指摘
  • 目標管理型の評価制度に対する納得感の不足
  • 「士気は高そうに見えるが実情は疲労感がある」というギャップの指摘
  • メンタル不調による休職への言及

一方で、公式に開示されている人的資本データは改善方向を示しています。2025年9月期の開示によると、主要子会社を含む女性従業員比率55.6%、女性管理職比率13.6%(2027年9月までに15.0%を目標)、男性育休取得率45.2%(2027年に100%を目標)、エンゲージメントスコアは前期3.9から4.19へ改善しています(公式情報)。口コミは過去数年分の累積、人的資本開示は直近期の数値ですから、推定情報として、両者のギャップには時間差が含まれている可能性があります。

また、就活会議や転職会議には子会社(MTGプロフェッショナル等)についての投稿も存在しますが、件数が少なく傾向として扱える母数には達していません。本体の口コミをそのまま子会社に当てはめないよう注意が必要です。

株式会社MTG(7806)のオファー年収で確認すべき5つのこと

ここまでの分析を、実際の選考で使えるチェックリストに落とし込みます。この会社に応募する場合、「平均年収681万円」という情報だけでは判断材料として不十分だというのが本記事の立場です。以下は推定情報を含む編集部からの提案です。

  • ①雇用主体はどこか:株式会社MTG本体か、MTGプロフェッショナル・EVERING・M’sエージェンシー等のグループ会社か。有報の681万円は本体877名の値であり、子会社には適用されません。
  • ②基本給と賞与の比率:2025年9月期は営業利益が+225.4%という特異な期でした。提示額のうち業績連動部分が何割かで、来期以降の実感は変わります。
  • ③どのセグメントの職種か:ダイレクトマーケティング・プロフェッショナル・リテールストア・グローバル・スマートリングでは、成長率も社内での位置づけも異なります(グローバルのみ▲11.7%)。
  • ④評価制度の運用実態:OpenWorkで「人事評価の適正感2.8」「人材の長期育成2.4」が低位です。昇給の頻度、評価者、目標設定のプロセスを具体的に質問する価値があります。
  • ⑤内部統制と再発防止策の現状:2019年・2024年の開示事案を踏まえ、管理系職種であれば体制の現状を確認しておくべきです。

とりわけ①は見落とされがちです。求人票の社名表記と、労働条件通知書に記載される雇用主体が一致しているかを、内定前に必ず確認してください。

競合4社と比べたときの株式会社MTG(7806)の位置づけ

美容機器・健康機器の領域は、事業モデルが会社ごとにかなり違います。「同じ棚に商品が並んでいる=同じ働き方」ではないため、転職先として比較する際は事業構造の違いを見るのが実用的です。以下は各社の上場情報と競合領域を整理したものです。各社の平均年間給与は本記事では独自に検証していないため数値は掲載していません。比較検討する場合はEDINETで各社の有価証券報告書「従業員の状況」を直接ご確認ください。

企業名(証券コード・市場)MTGとの競合領域転職先として見たときの違い(推定情報)
株式会社MTG(7806・東証グロース)—自社ブランドの企画開発から販売まで一気通貫。通販・サロン卸・店頭・海外・新規事業の5販路を持ち、業績変動が大きい
ヤーマン(6630・東証プライム)家庭用美容デバイス全般美容機器専業の直接競合。プライム市場企業であり、開示水準と財務基盤の前提が異なる
ミルボン(4919・東証プライム)サロン専売チャネル(MTGのプロフェッショナル事業)美容室向けヘア化粧品が主力。サロン営業のキャリアを積むなら比較対象になる
パナソニック ホールディングス(6752・東証プライム)美容家電の店頭(リテールストア事業)総合電機の一部門としての美容家電。事業規模と組織の分業度が大きく異なる
アルインコ(5933・東証スタンダード)家庭用フィットネス・健康器具(SIXPAD等の領域)建設機材事業も併営する複合企業。健康器具は事業の一部という位置づけ

この表から読み取れるのは、株式会社MTGは4社の中で唯一、東証グロース市場のオーナー企業であるという点です。意思決定の速さや裁量の大きさを求めるならプラスに働き、安定した制度運用や長期育成の仕組みを重視するならプライム市場の大手のほうが期待に合う可能性があります。どちらが優れているかではなく、自分がどちらの環境で力を発揮できるかという選び方が現実的です。

転職先としての将来性|事業ポートフォリオの明暗と外部環境

将来性を「今後も成長が期待されます」と書くだけでは判断材料になりません。ここでは開示されている数字から、伸びている部分と縮んでいる部分を分けて示します。

伸びている材料(公式情報)

  • 2026年9月期通期予想は売上1,420億円(+43.7%)・営業利益160億円(+50.0%)。1期で3度の上方修正
  • リテールストアが+55.7%で27店舗新規出店。店頭チャネルの拡大が続いている
  • プロフェッショナル事業の契約サロンは44,360店規模
  • スマートリング(EVERING)が+165.2%と新規事業として立ち上がりつつある
  • 予想ROE18.21%(2026年8月時点の市場データ)と資本効率は高い水準

注意して見るべき材料

  • グローバル事業は15億円で▲11.7%と縮小。海外展開が一様に伸びているわけではない
  • 東証グロース市場のため、プライム・スタンダード企業と比べて財務安定性・開示水準の前提が異なる
  • 2019年・2024年に会計に関する事案が開示されている
  • 従業員数が2期で約31%減少した局面を過去に経験している
  • 美容機器・健康機器は薬機法・景品表示法の規制領域であり、広告・販促表現に常時制約がかかる

業界文脈として付け加えると、この領域はブランドへの共感で入社する人が多い一方、実務の中心は原価管理・在庫計画・チャネル調整・表示チェックといった地道な業務になりやすい構造があります(推定情報)。「好きなブランドに関われる」という動機だけで入社すると、入社後にギャップを感じやすいのはこの業界に共通する論点です。また、業績連動の色が濃い会社では賞与や昇給が業績にぶれやすく、新商品発売や大型キャンペーンの前後で業務が集中する繁閑差も生じます。株式会社MTGの場合、直近が明確な拡大局面にあるぶん、この繁閑差は大きく出やすい局面にあると考えられます。

キャリアパスの観点では、この会社で得られる経験は次のように整理できます(推定情報)。自社ブランドの企画から販売まで一気通貫で見られるため、D2C・ブランドマーケティングの経験を短期間で積みたい人には合致度が高い環境です。販路が5つに分かれていることから、EC・卸・店頭・海外という複数チャネルを横断した経験も積みやすくなります。一方で、規制業種であることから、広告表現のチェック体制や薬事関連の知識は他業界へ移る際にも評価されやすい専門性になります。

株式会社MTG(7806)に関するよくある質問(FAQ)

株式会社MTGへの転職・就職を検討する人から特に多い質問と、公表情報にもとづく回答をまとめました。

株式会社MTGの平均年収はいくらですか?

有価証券報告書によると、第30期(2025年9月期)の平均年間給与は6,813千円(約681万円)です(公式情報)。ただしこれは提出会社(本体)に在籍する877名の平均であり、賞与・基準外賃金を含みます。連結従業員1,514名のうち約42%を占める子会社所属者はこの平均に含まれていません。

ネットで見た503万円という数字は何ですか?

OpenWorkに登録された正社員103人の回答にもとづく平均年収です(口コミ傾向)。有報の681万円とは母集団が異なります。回答者の職種構成、投稿時点の違い、本体か子会社かの違いなどが差の要因として推定情報の範囲で考えられますが、どの要因がどれだけ寄与しているかは公開情報からは特定できません。

賞与や昇給の制度はどうなっていますか?

賞与の支給月数や昇給ルールは有価証券報告書では開示されていません。ただし平均年間給与は2021年9月期の552万円から2025年9月期の681万円まで5期連続で上昇しており、同期間に営業利益も大きく伸びています。制度の詳細は求人票および内定時の労働条件通知書で確認してください。

MTGはカードゲームや「会議」の会社ですか?

いいえ。本記事で扱う株式会社MTG(証券コード7806)は、ReFa・SIXPAD等のブランドを展開する美容機器・健康機器のブランド企業で、本社は名古屋市中村区です。トレーディングカードゲーム「Magic: The Gathering」や、会議を意味する略語の「MTG」とは無関係です。検索の際は「株式会社MTG 7806」のように証券コードを添えると、目的の情報に辿り着きやすくなります。

勤務地は名古屋だけですか?

本社は愛知県名古屋市中村区ですが、公式サイトによると国内グループ会社に加え、シンガポール・台湾・韓国・米国に現地法人を有します。またリテールストア事業では2025年9月期に27店舗を新規出店しており、店舗勤務の可能性もあります。募集ポジションごとの勤務地は公式採用サイトおよび求人票で確認してください。

年収から見た株式会社MTG(7806)への転職判断まとめ

ここまでの内容を、判断軸ごとに整理します。最終的な判断は、求人票だけでなく自分の経験・適性も含めて確認しましょう。

判断軸本記事での整理
公式平均年収の水準第30期681万円(提出会社単体877名)。5期連続上昇で4年間+129万円
口コミとの乖離OpenWork登録者平均503万円と約178万円の差。母集団の違いが背景と考えられるが要因は特定できない
昇給の原資2025年9月期の営業利益は+225.4%・利益率10.8%。1人あたり営業利益は約700万円で原資には余裕がある局面
変動リスク2025年の給与増は業績連動の可能性があり、業績反転時の下振れ余地は残る(推定情報)
雇用の安定性2019年855名→2021年589名の縮小局面を経験。現在は拡大局面だが人員規模の振れ幅は大きい
ガバナンス2019年・2024年に会計に関する事案を開示。いずれも会社開示・外部委員会設置。行政処分等の情報は公表情報の範囲では見当たらない
働き方(口コミ傾向)残業31.4時間・有給消化67.8%。士気4.1・相互尊重4.1が高く、待遇2.4・長期育成2.4が低い
合いやすい人(推定情報)ブランドを自分の手で伸ばしたい人/裁量とスピードを優先する人/中途で入っても実力で評価される環境を求める人
慎重に検討したい人(推定情報)制度化された長期育成や安定した処遇体系を重視する人/トップダウンの意思決定に負荷を感じる人

編集部の見解として、株式会社MTG(7806)は「公表されている平均年収の数字だけで判断すると誤りやすい会社」です。681万円という水準は業績拡大に裏打ちされた実額であり、そこに疑いを差し挟む必要はありません。ただしそれは本体877名の平均であって、応募先が本体か子会社か、どのセグメントか、賞与比率がどれだけかによって、個人が受け取る実額は相当に振れます。そのうえで、拡大局面にある事業と、開示されている過去の事案の両方を見たうえで納得できるなら、ブランドづくりの経験を短期間で積める会社としての魅力は明確にあると考えられます。判断を急がず、雇用主体と給与内訳を確認したうえで臨むことをおすすめします。

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本記事の出典・参考情報

本記事で参照した一次情報・口コミ情報の出典は以下の通りです。最新の正確な数値は各リンク先で確認してください。

公式情報源

口コミ・評判の参照元

免責事項:本記事の数値・評価は公式情報・口コミ集計・市場推定の3分類で示しており、口コミ傾向や推定情報は断定ではなく傾向・可能性として表現しています。最終判断は読者自身で公式IRおよび内定時の労働条件通知書で確認してください。

この記事の編集方針・情報の確認について

この記事は、公式公開情報(有価証券報告書・IR資料)、求人情報、口コミ傾向をそれぞれ分けて整理し、転職・就職判断に役立つよう編集しています。年収・平均年齢・従業員数などの中核データは第30期(2025年9月期)有価証券報告書「従業員の状況」を一次情報として確認し、口コミ・推定情報とは明確に区別しています。従業員関連4項目はEDINET収録データを二次的に参照して確認した値であり、原本PDFとの直接照合は行っていないため、最終確認はEDINETの原本で行ってください。また本記事は転職検討者向けの企業分析であり、同社製品の効果・効能に関する評価は行っていません。記載内容は最終更新時点の公開情報にもとづきます。最新の正確な数値は各公式IRページでご確認ください。

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コロ助
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企業と転職サービスを、有価証券報告書などの一次情報から読んでいます。
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