共立印刷(現KYORITSU・7795)の評判と年収|有報585万円は社員3名の数字
※本記事にはプロモーションを含みます。
この記事の結論
- 正体:旧・共立印刷。2022年10月に持株会社KYORITSU(7795)へ移行
- 年収:有報の585.4万円は社員3名の数字。実態は共立印刷488.7万円
- 働き方:口コミ平均は月残業39.0時間・有給消化45.8%(OpenWork)
- 応募先:持株会社本体は採用なし。募集はグループ13社が個別実施
「KYORITSU」で検索しても、転職判断に使える情報がほとんど出てこない——そう感じてこのページにたどり着いた方が多いはずです。理由は明快で、この会社の情報は旧社名の「共立印刷」側に蓄積されているからです。本記事が扱うのは証券コード7795・東証スタンダード市場・東京都板橋区清水町に本社を置く株式会社KYORITSU(共立印刷グループ)であり、共立メンテナンス(9616)や共立電気計器、共立ソリューションズ、建築業の株式会社KYORITSU、協立化成などとはまったくの別会社です。本記事では、第45期(2026年3月期)有価証券報告書の実額と、OpenWorkに集積した口コミ306件の数値を突き合わせ、「有報に載っている平均年収が、なぜ現場の実態を示していないのか」という、この会社を語るうえで避けて通れない論点から解きほぐしていきます。
共立印刷とKYORITSUは同じ会社|証券コード7795・板橋区で特定する
最初に、検索でもっとも混乱が起きやすいポイントを片付けます。結論として、あなたが「共立印刷」の評判を調べているなら、現在の会社名は「株式会社KYORITSU」です。逆に「KYORITSU 7795」で調べてきた方は、口コミ・評判の実体は「共立印刷」名義で探す必要があります。
2022年10月の株式交換で、上場ステータスが子会社から親会社へ移った
公式情報として、第45期有価証券報告書の沿革には次の経緯が記載されています。実質の創業体である共立印刷株式会社は1980年8月に東京都練馬区で設立され、1994年8月に現在の東京都板橋区清水町へ本社を移転。2005年2月にジャスダック上場、2006年3月に東証二部、2007年3月に東証一部へと市場を上げ、2022年4月の市場区分見直しでスタンダード市場へ移行しました。そして2022年10月1日、株式交換により、1981年5月設立の株式会社KYORITSUを完全親会社とする持株会社体制へ移行し、上場ステータスが共立印刷からKYORITSUへ移りました。
この株式交換は会計上「逆取得」に該当し、取得企業は共立印刷、被取得企業がKYORITSUとされています。つまり実体としての歴史は1980年創業の印刷会社であり、読者が「創業45年超の商業印刷会社」と理解するのが正確です。転職の面接で沿革を語る場面があれば、この点を押さえておくと会話がかみ合います。
同名・類似社名の企業が多い業界なので「7795」で特定する
KYORITSU/共立という社名は日本企業に非常に多く、検索時の取り違えが頻繁に起こります。以下は本記事の対象ではない企業です。
- 共立メンテナンス(9616):ドーミーイン等を運営する寮・ホテル事業の東証プライム企業
- 共立電気計器:電気計測器メーカー
- 株式会社共立ソリューションズ:情報システム系
- 株式会社KYORITSU(建築系):同名の別法人
- 協立化成:プラスチック成形加工
- キョーリツコーポレーション:楽器卸。カタカナ表記のため検索結果で頻繁に混ざります
実際、検索エンジンで「KYORITSU 評判」と調べると、上位にキョーリツコーポレーションの口コミページが並ぶ状態が確認できます。口コミサイトを見るときは、必ず「共立印刷株式会社」または「証券コード7795」で企業ページを特定してください。OpenWorkでも「株式会社KYORITSU」名義のページは口コミ0件・評点なしで、実際の口コミ306件は「共立印刷株式会社」ページに集積しています。社名変更によって評判情報が分断されている、という構造そのものがこの会社の特徴です。

じゃあ口コミを見るときは「共立印刷」で探せばいいんですね。年収も同じですか?
年収については、もう一段ややこしい事情があります。次のセクションで公式データを一覧化したあと、その「カラクリ」を分解します。
KYORITSU(共立印刷グループ)の公式データ一覧|第45期有価証券報告書ベース
本記事で扱う公式数値を一覧で確認できます。公式情報として、いずれも第45期(2025年4月1日〜2026年3月31日)有価証券報告書の実額です。最新の正確な数値は公式IRページで再確認してください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 商号 | 株式会社KYORITSU(旧・共立印刷株式会社/2022年10月に持株会社化) |
| 証券コード・市場 | 7795/東京証券取引所スタンダード市場(2022年10月1日上場) |
| 本社 | 東京都板橋区清水町36番1号(主要生産拠点は埼玉県本庄市およびその隣接地域に集中) |
| 代表者 | 代表取締役社長 景山 豊(2021年4月 共立印刷社長、2022年10月 KYORITSU社長) |
| 設立 | 持株会社KYORITSU=1981年5月/中核の共立印刷=1980年8月 |
| 平均年間給与(提出会社) | 585万4,000円(前事業年度比△5.6%)※対象は従業員3名の持株会社本体 |
| 平均年間給与(実態値) | 488万7,000円(前事業年度比+1.1%)※有報「最大人員会社の状況」=共立印刷株式会社(330名) |
| 平均年齢 | 提出会社52.1歳/共立印刷株式会社42.9歳 |
| 平均勤続年数 | 提出会社1.8年/共立印刷株式会社17.6年 |
| 従業員数 | 連結626名(2026年3月31日現在)/提出会社3名/共立印刷株式会社330名 |
| セグメント別人員 | プリントメディア408名/情報デジタル128名/環境76名/BPO11名/全社(共通)3名 |
| 売上高 | 連結429億2,031万円(前期比+6.4%)/共立印刷単体321億7,766万円 |
| 営業利益 | 連結14億532万円(前期比+12.5%・営業利益率3.3%) |
| 経常利益/当期純利益 | 経常12億9,257万円(+12.9%)/親会社株主帰属11億7,417万円(+64.1%) |
| 財務指標 | 自己資本比率43.3%/ROE6.6%/配当性向29.1%/有利子負債133億4,900万円(依存度32.5%) |
| 労働組合 | なし(有報に「当社には労働組合はありませんが、労使関係は円満に推移しています」と記載) |
| グループ構成 | 連結子会社13社・非連結子会社2社(すべて議決権100%所有) |
| 出典 | 第45期 有価証券報告書(2026年6月25日 関東財務局長宛提出)/公式IR資料 |
なお、離職率・職種別年収・年間休日日数については、有価証券報告書では開示されていません。これらは求人票および内定時の労働条件通知書で確認する必要があります。
平均年収585万円は「従業員3名」の数字|実態値は共立印刷の488.7万円
結論から言います。株探やYahoo!ファイナンスなどで表示される「KYORITSUの平均年収 約585万円」は、従業員3名しかいない持株会社本体の数字であり、現場の給与実態をまったく示していません。転職検討者が見るべき数字は別にあります。
有報が「二層」で開示している理由と、両者の中身の違い
公式情報として、第45期有価証券報告書「従業員の状況」は次の2つを並べて開示しています。
| 区分 | 従業員数 | 平均年間給与 | 平均年齢 | 平均勤続年数 |
|---|---|---|---|---|
| 提出会社(持株会社KYORITSU単体) | 3名 | 585万4,000円(前期比△5.6%) | 52.1歳 | 1.8年 |
| 最大人員会社(共立印刷株式会社) | 330名 | 488万7,000円(前期比+1.1%) | 42.9歳 | 17.6年 |
| 連結全体 | 626名 | 有価証券報告書では開示されていない | 同左 | 同左 |
提出会社の数字が示しているのは、グループ経営戦略の策定・管理のみを担う本社管理層3名の給与水準です。平均年齢52.1歳という高さも、実質的に役員に近い層だけで構成されているためと考えられます(推定情報)。また平均勤続1.8年という短さは定着の悪さを意味するものではなく、持株会社体制への移行が2022年10月と新しく、在籍3名の勤続年数がそのまま制度の年数に縛られているためです。この点を誤読して「勤続2年未満の会社」と判断すると、まったく逆の結論になってしまいます。
一方、実態に近いのが最大人員会社として開示された共立印刷株式会社の488万7,000円・330名・平均年齢42.9歳・平均勤続17.6年です。勤続17.6年は、印刷業のような装置産業らしい長期定着型の水準で、40代前半で20年近く在籍している社員が多数派だと読み取れます。転職後に周囲を見渡したときの「同僚像」も、この数字のほうが近いはずです。
数字の精度|二次サイトの表示と有報実額のズレ
参考情報として、Yahoo!ファイナンスのプロフィール欄では平均年収が5,880千円(588.0万円)と表示されていますが、これは前期の値と考えられ、第45期有報の実額は5,854千円(585.4万円)です(推定情報を含みます)。差は約3万円と小さいものの、二次アグリゲータの数値は更新タイミングによって1期分ずれることがある、という典型例です。年収交渉の材料に使うなら、必ずEDINETまたは公式IRの有価証券報告書PDFで期を確認してください。
実際に提示される年収レンジをどう見積もるか
ここからは推定情報です。共立印刷の平均488.7万円・平均年齢42.9歳という組み合わせから逆算すると、以下のような目安が考えられます。あくまで公式平均からの推計であり、実際の提示額は職種・経験・配属先の事業会社によって変わります。
- 20代・オペレーター/制作アシスタント:300万円台後半〜400万円台前半が目安と考えられます
- 30代・営業/生産管理:420万〜520万円程度のレンジに収まる可能性があります
- 40代・課長級/拠点管理:550万〜650万円程度が一つの目安と推定されます
- 専門職(WEBマーケティング・映像制作など情報デジタル系):買収した事業会社ごとに給与テーブルが異なる可能性が高く、グループ平均から離れることも考えられます
面接・オファー面談で確認しておきたいのは、次の4点です。①採用元がどの事業会社か(持株会社ではなくグループ各社が雇用主)、②賞与の支給実績(有報の平均年間給与は賞与・基準外賃金を含む額)、③みなし残業の有無と時間数、④勤務地が板橋の本社か埼玉県本庄市の生産拠点か。とくに④は、有報のリスク項目に「生産拠点は埼玉県本庄市及びその隣接する地域に集中」と明記されており、製造系職種では本社所在地と実際の勤務地が大きく異なります。
なお、共立印刷の男女間賃金差異は公式情報として全労働者78.1%、正規雇用労働者81.8%、パート・有期労働者69.0%と開示されています。男性育児休業取得率は100.0%です。数字だけを見れば育休取得は進んでいる一方、賃金差異は職階構成の影響を受けやすい指標であり、女性管理職比率とあわせて面接で確認する価値があります。
「きつい」と言われる背景|残業39.0時間・有給消化45.8%と口コミ2.51の中身
結論として、共立印刷が「きつい」と語られる根拠は、感情的な書き込みではなく具体的な数値に裏づけられています。ただし不満の中心は労働時間そのものよりも「処遇と成長機会」に偏っている、というのがデータから読める傾向です。
OpenWork「共立印刷株式会社」306件のスコアを分解する
口コミ傾向として、OpenWorkの共立印刷株式会社ページには口コミ306件が集積し、総合評点は2.51(回答者58人ベース)です。中堅印刷会社としては十分な蓄積があり、統計的な傾向を読める水準と言えます。ただし総合2.51は、転職口コミサイトの平均的な水準(おおむね3.0前後)を下回る数字である点は正直に押さえておくべきです。項目別は以下の通りです。
| 評価項目 | スコア | 読み取れる傾向 |
|---|---|---|
| 人材の長期育成 | 1.9 | 全項目で最低。キャリア開発の仕組みへの不満が最も強い |
| 待遇面の満足度 | 2.0 | 給与水準への不満が2番目に強い |
| 社員の士気 | 2.3 | 処遇・育成への不満が士気に波及している可能性 |
| 20代成長環境 | 2.6 | 若手の成長実感は中程度 |
| 人事評価の適正感 | 2.6 | 評価制度の納得感は中程度 |
| 社員の相互尊重 | 2.8 | 人間関係は相対的に高め |
| 風通しの良さ | 2.9 | 全項目で最高水準 |
| 法令順守意識 | 2.9 | 同じく最高水準。コンプライアンス面の不満は少ない |
スコアの分布から見えるのは、「コンプライアンスや人間関係よりも、処遇と成長機会に不満が集中している」という構図です。風通しの良さと法令順守意識が2.9点で相対的に高い一方、人材の長期育成が1.9点と1点近く低い。これは「働く環境そのものが荒れている」タイプの評価分布ではなく、「安定して働けるが、給与とキャリアの伸びしろに納得できない」というタイプの評価分布です(推定情報)。
月間残業39.0時間・有給消化45.8%をどう評価するか
口コミ傾向として、OpenWorkに集計された月間残業時間は39.0時間、有給休暇消化率は45.8%です。残業39.0時間は「月20営業日で1日約2時間」の計算になり、極端に長いとは言えないものの、恒常的な残業が前提の働き方であることを示しています。より注意したいのは有給消化率45.8%で、付与20日なら年間9日程度しか取得できていない計算になります。
この背景には、印刷業という業態の構造があります。業界共通の事情として、大ロット・短納期を前提とした装置産業では、設備稼働率が収益を直接左右するため交替制勤務や繁忙期の集中稼働が発生しやすいという特徴があります。夕方入稿・翌日納品といった案件サイクルが日常的に走る現場では、工程が詰まったときに個人の裁量で休みを取りにくくなります。有給消化率の低さは、個社の姿勢というより業態そのものに起因する部分が大きいと考えられます(推定情報)。逆に言えば、この業態の働き方が許容できるかどうかが、入社後の満足度を大きく左右します。
最大の論点|勤続17.6年の定着企業なのに「長期育成」1.9点というギャップ
この会社を評価するうえで、最も示唆に富むのが次の矛盾です。
- 公式情報:共立印刷の平均勤続年数は17.6年。日本企業全体の平均を大きく上回る長期定着型
- 口コミ傾向:OpenWorkの「人材の長期育成」は1.9点で、全項目中の最低スコア
普通に考えれば、人が長く残る会社は育成に定評があるはずです。しかしこの会社では、「辞めない」ことと「育てられている実感がある」ことが一致していません。編集部の見解として、これは「定着はしているが、それが積極的な選択ではなく、転職先の選択肢や社内でのキャリアの伸びしろが限られていることの結果になっている可能性がある」と読めます(推定情報)。装置産業では特定設備・特定工程に紐づくスキルが蓄積されやすく、社外での汎用性が見えにくい——これは印刷・出力業界に共通する懸念として、業界横断でも指摘されている論点です。
したがって転職検討者が確認すべきなのは、「残業が何時間か」よりも「入社後3〜5年でどのようなスキルが身につき、それが社外でどう評価されるか」です。具体的には、カラーマネジメント・RIP(データ処理)などの技術系専門性、あるいは情報デジタル事業側でのWEBマーケティング・映像制作といった、印刷外でも通用する領域に関与できるかどうか。ここが個人のキャリアを分けます。
なお参考として、口コミ傾向では連結子会社の株式会社暁印刷は口コミ22件・総合評点3.03と、共立印刷本体より高い評点がついています。同じグループでも事業会社によって評価が分かれるという事実は、応募先を選ぶうえで重要です。ただし22件は母集団として小さく、個別の書き込みを一般化できる水準ではない点に注意してください。
印刷会社なのに環境リサイクルとWEB広告|4セグメントの正体
この会社を一言で表すと、「印刷会社だが、印刷市場の縮小を前提に、M&Aで販促ソリューションと環境リサイクルへ多角化しているポートフォリオ経営型グループ」です。転職後の仕事内容は、どのセグメント・どの事業会社に入るかで根本的に変わります。
売上・人員で見た4セグメントの規模感
| セグメント | 売上高(第45期) | 前期比 | 人員 | 主な仕事の中身 |
|---|---|---|---|---|
| プリントメディア事業 | 292億909万円 | △0.6% | 408名 | カタログ・チラシ・パンフレット等の商業印刷、書籍・雑誌の出版印刷 |
| 情報デジタル事業 | 107億9,134万円 | +21.4% | 128名 | DMサービス、電子書籍、総合広告代理業、映像制作、WEB広告・WEBマーケティング |
| 環境事業 | 19億9,212万円 | +27.5% | 76名 | 生分解性プラスチック製造、プラスチック再生、RPF燃料製造、一般・産業廃棄物処理 |
| BPO事業 | 9億2,778万円 | +75.6% | 11名 | 小売店向けロジスティクス、商業流通 |
公式情報として、売上の約68%をプリントメディア事業が占め、人員でも408名と全体の6割超です。したがって「共立印刷グループに転職する」というとき、確率的に最も多い配属は商業印刷の営業・生産管理・オペレーションということになります。一方で成長率が高いのは情報デジタル・環境・BPOの3事業であり、会社の投資と関心はこちら側に向いています。
直近2〜3年で毎年M&Aを実行しているグループ構造
公式情報として、有価証券報告書の沿革・関係会社の状況からは、以下のような連続的な企業買収が確認できます。
- 2023年3月:山陰クリエート(鳥取県米子市・産業廃棄物処理/RPF燃料)
- 2024年7月:バッハベルク(福岡・TV通販番組/CM映像制作)
- 2024年10月:東京アド(総合広告代理)、竹崎(金属リサイクル)
- 2025年5月:M&C(WEBマーケティング)
- 2025年10月:丸正北海総業(札幌・産業廃棄物処理)
連結子会社は13社。中核の共立印刷(資本金5億円・特定子会社)のほか、暁印刷、西川印刷(熊本)、暁NEXT(電子書籍)、今野(生分解性プラスチック・埼玉県本庄市)などが名を連ね、すべて議決権100%所有です。入社後にどの事業会社へ配属されるかで、仕事内容も社風も給与テーブルも変わる——これがこのグループの最大の特徴です(推定情報)。
顧客構成が「どんな仕事をするか」をそのまま説明している
公式情報として、有報には主要な得意先が実名で開示されており、株式会社MonotaRO、株式会社ケーズホールディングス、株式会社ベルーナ他の上位5社で連結売上の25.1%を占めます。BtoB通販・家電量販・通販カタログという顧客構成であり、実務としては大量部数のカタログ・チラシ制作と、その周辺のDM発送・データ処理・販促企画が中心になると考えられます。上位5社への集中度25.1%は、有報でもリスク要因として自己開示されている水準です。
業績と将来性|主力プリントメディアだけが減収という構造
結論として、グループ全体は増収増益で財務も健全ですが、成長を牽引しているのは主力の印刷事業ではありません。転職判断では、この構造を正確に理解しておく必要があります。
4期の売上推移と、増益の中身
公式情報として、連結売上高の推移は次の通りです。
| 期 | 連結売上高 | 備考 |
|---|---|---|
| 第42期 | 402.6億円 | 持株会社移行期(共立印刷6カ月+新体制6カ月の変則決算) |
| 第43期 | 400.2億円 | ほぼ横ばい |
| 第44期 | 403.5億円 | ほぼ横ばい |
| 第45期 | 429.2億円 | 前期比+6.4%(+25億6,700万円) |
3期にわたり400億円前後で足踏みしていた売上が、第45期に25億円以上伸びました。同期の営業利益は14億532万円(+12.5%)、経常利益12億9,257万円(+12.9%)、親会社株主に帰属する当期純利益は11億7,417万円(+64.1%)です。赤字ではなく、増収増益。ここは素直にポジティブな材料です。
ただし成長は情報デジタル・環境・BPOが担っている
セグメント別に見ると、主力のプリントメディア事業だけが前期比△0.6%の減収で、情報デジタル+21.4%、環境+27.5%、BPO+75.6%という構図です。つまり第45期の増収は、印刷以外の3事業が作ったということになります。日本の印刷市場が中長期で縮小傾向にあるという業界共通の前提を踏まえれば、この構造は経営としては合理的です。
ただし、ここに転職判断上の重要な論点があります。セグメント利益の内訳は以下の通りです。
- プリントメディア事業:8億6,900万円(前期比+1億7,800万円)
- 情報デジタル事業:6億1,000万円(前期比△7,300万円)=増収減益
- 環境事業:2億4,000万円(前期比+6,000万円)
- BPO事業:8,500万円(前期比+8,300万円)
成長領域と位置づけられている情報デジタル事業が、売上を21.4%伸ばしながら利益は7,300万円減らしている——これは見過ごせません。編集部の見解として、買収した広告代理・映像制作・WEBマーケティング各社ののれん償却や統合コスト、あるいは案件単価と人件費のバランスが利益を圧迫している可能性が考えられます(推定情報)。情報デジタル事業に応募する場合は、「増収減益の局面で、事業として何を優先しているのか」を面接で確認しておくと、入社後のギャップを避けやすくなります。
財務の健全性と、装置産業ゆえの負債構造
公式情報として、自己資本比率43.3%(中長期目標の40%以上を達成)、ROE6.6%、配当性向29.1%です。一方で以下の2点は目標未達となっています。
- 売上高営業利益率3.3%:中長期目標の「営業利益率4.0%以上」に未達
- 配当性向29.1%:目標30%以上にわずかに届かず
さらに、有利子負債残高は133億4,900万円、総資産に対する依存度は32.5%です。印刷機械という高額設備を継続的に更新する装置産業の宿命として、借入依存度は高めの水準と言えます。自己資本比率43.3%とのバランスで見れば直ちに危険な水準ではありませんが、金利上昇局面では支払利息が利益を圧迫する要因になり得ます(推定情報)。中長期目標として売上高500億円以上が掲げられており、現状429.2億円からの到達には、引き続きM&Aが主要な手段になると考えられます。
ガバナンス面では、公式情報として2026年6月の株主総会で監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行し、監査等委員3名は全員社外取締役です。一方で役員7名はすべて男性(女性比率0.0%)で、労働組合はありません。自己株式は7,237,050株(発行済株式の約14.7%)を保有し、2025年10月には部長職以上を対象とする株式給付信託(J-ESOP)を導入しています。時価総額は約112億円(2026年8月21日時点・irbank)です。
なお、第45期有価証券報告書には係争中の重要な訴訟・行政処分・課徴金納付命令等は記載されていません。これは「有価証券報告書に該当する記載がない」という事実の記述であり、報道ベースを含めた網羅的な調査結果ではない点をお断りしておきます。
どこに応募すればいいのか|持株会社KYORITSU本体は採用していない
実務的に最も重要な情報です。公式情報として、持株会社である株式会社KYORITSUの採用ページには、新卒・中途とも「採用募集をしておりません」と明記されています。本体の従業員はわずか3名で、業務は「グループ経営戦略策定・管理並びにそれらに付帯する業務」のみだからです。
したがって「KYORITSUに転職したい」と考えている読者が実際に応募するのは、グループ13社のいずれかになります。応募先の考え方を整理すると次の通りです。
| やりたいこと | 応募先の候補 | 確認すべき点 |
|---|---|---|
| 商業印刷の営業・生産管理・オペレーション | 共立印刷株式会社(330名・グループ売上の約75%) | 勤務地が埼玉県本庄市の生産拠点か、板橋の本社か |
| 出版印刷・電子書籍 | 暁印刷、暁NEXT | 紙と電子のどちらが主戦場になるか |
| WEB広告・WEBマーケティング | M&C(2025年5月にグループ入り) | グループ入り直後の組織で、制度・評価がどう整備されているか |
| 広告代理・映像制作 | 東京アド、バッハベルク(福岡) | クライアントワークの体制と稼働の波 |
| 環境・リサイクル | 今野(本庄市)、山陰クリエート(米子市)、丸正北海総業(札幌)、竹崎 | 勤務地が地方拠点になる点 |
| 地方勤務での印刷 | 西川印刷(熊本) | 本体との待遇差の有無 |
採用は各社が個別に実施しているため、求人票の「雇用主がどの法人か」を必ず確認してください。同じ「KYORITSUグループ」でも、給与テーブル・評価制度・福利厚生は事業会社ごとに異なる可能性が高く、口コミの評点も共立印刷2.51/暁印刷3.03と実際に分かれています(口コミ傾向)。
KYORITSU(共立印刷)と同業他社の比較|見るべき軸を整理する
比較にあたっては、平均年収の数字だけを並べても判断を誤ります。ここでは「事業ポートフォリオの方向性」と「規模」という、キャリアに直結する軸で整理します(推定情報を含みます。各社の最新数値は必ず各社IRで確認してください)。
| 企業名 | 市場区分 | 事業の軸 | KYORITSUとの違い・比較の観点 |
|---|---|---|---|
| KYORITSU(7795) | 東証スタンダード | 商業印刷+情報デジタル+環境+BPO | 売上429.2億円。M&Aで環境リサイクルまで広げている点が独特 |
| 光村印刷(7916) | 東証スタンダード | 商業印刷中心 | 売上規模・市場区分ともKYORITSUと最も近い。印刷本業での比較対象として適切 |
| 共同印刷(7914) | 東証プライム | 出版印刷・生活資材・情報加工 | 売上規模が数倍。組織の厚みと分業度が高く、専門特化しやすい反面ポストは競争的 |
| 日本創発グループ(7814) | 東証スタンダード | 印刷から販促・クリエイティブへM&Aで多角化 | 多角化モデルがKYORITSUと酷似。買収企業群の集合体という点も共通 |
| 廣済堂ホールディングス(7868) | 東証スタンダード | 印刷を祖業に人材・情報・葬祭へ多角化 | 多角化持株会社という構造が共通。印刷比率はKYORITSUより低い |
比較の実務的な使い方はこうです。印刷の技術・生産で専門性を積みたいなら、光村印刷や共同印刷といった印刷本業型と並べて、設備・扱う案件のロットサイズを比較する。販促ソリューション側でキャリアを作りたいなら、日本創発グループのようにM&Aで領域を広げている会社と並べ、「買収した事業会社にどれだけ裁量が残るか」を面接で聞き比べる。持株会社という構造への向き不向きを確かめたいなら、廣済堂ホールディングスのような多角化持株会社と比べ、グループ間の人事異動の実態を確認する——という具合です。
共立印刷グループへの転職が向いている人・向いていない人
これまでの公式情報・口コミ傾向をふまえ、適性を整理します(推定情報を含みます)。
| 向いている人 | 向いていない人 |
|---|---|
| 長期定着型の組織で腰を据えて働きたい人(平均勤続17.6年) | 3〜5年で年収を大きく上げたい人(平均488.7万円・待遇満足度2.0) |
| 大手クライアントの大ロット案件を安定的に回すことにやりがいを感じる人 | 体系的な研修・キャリア開発の仕組みを重視する人(長期育成1.9) |
| 交替制・短納期の稼働リズムを許容できる人(月残業39.0時間) | 有給を計画的に消化したい人(消化率45.8%) |
| 埼玉県本庄市や地方拠点での勤務に抵抗がない人 | 都心勤務を前提に考えている製造系志望の人 |
| 印刷を土台に、WEB・映像・環境など隣接領域へ広げたい人 | 買収前後の組織変化が続く環境にストレスを感じる人 |
| 財務が安定した中堅企業で長く働きたい人(自己資本比率43.3%) | 成長企業の高い利益率・株式報酬を期待する人(営業利益率3.3%) |
共立印刷グループへの転職|編集部の見解
編集部の見解として、この会社は「安定はしているが、給与とキャリア開発の伸びしろが読者ごとの評価を分ける会社」だと整理できます。
まず評価できる点。売上429.2億円・営業利益14億円・自己資本比率43.3%と、財務は中堅印刷会社として健全です。印刷市場の縮小という業界共通の逆風に対して、情報デジタル・環境・BPOへの多角化という具体的な打ち手を、毎年のM&Aという形で実行し続けている。「印刷が縮んだら終わり」という会社ではありません。加えて平均勤続17.6年という定着の良さ、労使関係が円満と有報に明記されている点、法令順守意識2.9・風通しの良さ2.9という口コミスコアも、日々の働きやすさという観点では悪い材料ではありません。
一方で正直に書くべき点。平均年間給与488.7万円は、40代前半が中心層である会社としては高い水準とは言いにくく、OpenWorkの待遇満足度2.0・人材の長期育成1.9・総合2.51というスコアもそれを裏づけています。有給消化率45.8%も、休みを重視する人には確認が必要な数字です。そして成長領域と位置づけられた情報デジタル事業が増収減益である点は、「多角化すれば安泰」とは言い切れないことを示しています。
総合すると、「腰を据えて長く働ける環境を、印刷という手触りのある産業で得たい人」にはおすすめできる一方、「短期間で年収を上げたい人」「体系的な育成環境を求める人」には慎重な検討をおすすめします。判断の分かれ目は、応募先の事業会社をどこにするかです。同じグループでも共立印刷2.51と暁印刷3.03で評点が分かれている以上、「KYORITSUグループはどうか」ではなく「その事業会社はどうか」で見るのが、この会社に限っては正しいアプローチです。
KYORITSU(共立印刷)に関するよくある質問
KYORITSU(旧・共立印刷)への転職・就職を検討する人からよくある質問と回答をまとめました。
KYORITSUと共立印刷は違う会社ですか?
同じグループの会社です。公式情報として、2022年10月1日の株式交換により、株式会社KYORITSUが完全親会社となり、それまで東証に上場していた共立印刷株式会社はその完全子会社になりました。上場している証券コード7795は現在KYORITSU名義ですが、事業の実体と歴史は1980年設立の共立印刷にあります。口コミ・評判を調べるときは「共立印刷株式会社」で検索してください。
共立メンテナンスやキョーリツコーポレーションとは関係ありますか?
まったく別の会社です。共立メンテナンス(9616)は寮・ホテル運営、キョーリツコーポレーションは楽器卸、共立電気計器は計測器メーカーで、いずれも資本関係はありません。本記事の対象は証券コード7795・東証スタンダード市場・東京都板橋区清水町の株式会社KYORITSUです。口コミサイトでは社名が似た企業ページが混在しやすいため、企業ページの所在地と証券コードで確認することをおすすめします。
KYORITSUの平均年収は585万円で合っていますか?
数字自体は公式情報として正しいものの、対象が従業員3名の持株会社本体です。第45期有価証券報告書の提出会社の平均年間給与は585万4,000円(平均年齢52.1歳・平均勤続1.8年・従業員3名)ですが、同じ有報が最大人員会社として開示する共立印刷株式会社は488万7,000円(330名・平均年齢42.9歳・平均勤続17.6年)です。現場の実態に近いのは後者と考えるのが妥当です。
残業はどのくらいありますか?
口コミ傾向として、OpenWorkに集計された共立印刷の月間残業時間は39.0時間、有給休暇消化率は45.8%です。1日あたり約2時間の残業が常態化している計算になります。ただし部署・工程・繁閑期によって差が大きいと考えられるため(推定情報)、面接では配属予定部署の実績値とみなし残業の有無を必ず確認してください。なお、残業時間や有給取得率の会社公表値は有価証券報告書では開示されていません。
離職率は公表されていますか?
有価証券報告書では開示されていません。ただし共立印刷の平均勤続年数が17.6年と長く、連結従業員数も第42期667名→第43期615名→第44期628名→第45期626名とほぼ横ばいで推移していることから、大量離職が起きている状況ではないと考えられます(推定情報)。数値としての離職率が必要な場合は、面接時に直接質問するのが確実です。
KYORITSUの中途採用に応募するにはどうすればいいですか?
持株会社である株式会社KYORITSU本体は、公式情報として新卒・中途とも採用募集を行っていません。応募先は共立印刷、暁印刷、西川印刷、東京アド、M&Cなどグループ13社のいずれかになります。公式サイトのグループ会社一覧から、希望する事業領域の会社を特定し、その会社の採用窓口へ応募する流れです。求人票では雇用主となる法人名を必ず確認してください。
印刷業界の将来性に不安がありますが大丈夫でしょうか?
紙メディアの需要が中長期で縮小しているのは業界共通の前提であり、この会社もその影響を受けています。実際、第45期は主力のプリントメディア事業だけが前期比△0.6%の減収でした。一方で、同社は情報デジタル事業(+21.4%)・環境事業(+27.5%)・BPO事業(+75.6%)を伸ばして全社で+6.4%の増収を確保しており、印刷単体の縮小を他事業で吸収する構造を作りつつあります(公式情報)。将来性を判断する際は、業界全体ではなく「自分が配属される事業が、グループの中で伸びている側か縮んでいる側か」で見るのが実務的です。
KYORITSU(共立印刷)への転職判断まとめ
ここまでの内容を、判断軸ごとに整理します。最終的な判断は、求人票だけでなく自分の経験・適性も含めて確認しましょう。
| 判断軸 | 評価 |
|---|---|
| 年収水準 | 共立印刷488.7万円(42.9歳)。有報の585.4万円は従業員3名の持株会社の数字なので参照しない |
| 年収の伸びしろ | 待遇満足度2.0(口コミ傾向)。営業利益率3.3%で目標未達のため、原資面の余裕は限定的と考えられる |
| 働き方 | 月残業39.0時間・有給消化45.8%(口コミ傾向)。交替制・短納期の業態を許容できるかが分かれ目 |
| 定着・安定性 | 平均勤続17.6年、連結626名で横ばい、自己資本比率43.3%。安定性は相対的に高い |
| 育成・キャリア | 人材の長期育成1.9(口コミ傾向)。自律的にスキルを設計する姿勢が求められる可能性 |
| 将来性 | 全社は増収増益だが主力印刷は減収。成長領域の情報デジタルは増収減益という課題も |
| 応募の実務 | 持株会社は採用なし。グループ13社のどこに応募するかで条件も社風も変わる |
| 勤務地 | 本社は板橋区だが、生産拠点は埼玉県本庄市およびその隣接地域に集中(有報リスク項目に明記) |
どのサービスを使えばいいか決められないとき
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本記事の出典・参考情報
本記事で参照した一次情報・口コミ情報の出典は以下の通りです。最新の正確な数値は各リンク先で確認してください。
公式情報源
口コミ・評判の参照元
免責事項:本記事の数値・評価は公式情報・口コミ集計・市場推定の3分類で示しており、口コミ傾向や推定情報は断定ではなく傾向・可能性として表現しています。口コミの母集団はOpenWork「共立印刷株式会社」306件(回答者58人)、同「株式会社暁印刷」22件であり、持株会社KYORITSU名義のページは0件です。エン カイシャの評判・転職会議については本記事作成時点で該当企業ページを特定できず、件数・評点は参照していません。最終判断は読者自身で公式IRおよび内定時の労働条件通知書で確認してください。
この記事の編集方針・情報の確認について
この記事は、公式公開情報(有価証券報告書・IR資料)、求人情報、口コミ傾向をそれぞれ分けて整理し、転職・就職判断に役立つよう編集しています。年収・平均年齢・平均勤続年数・従業員数などの中核データは、第45期有価証券報告書「従業員の状況」を一次情報として確認し、口コミ・推定情報とは明確に区別しています。とくに本記事では、提出会社(持株会社KYORITSU・従業員3名)と最大人員会社(共立印刷株式会社・330名)の数値を必ず併記し、読者が実態を誤読しないよう配慮しました。記載内容は最終更新時点の公開情報にもとづきます。最新の正確な数値は各公式IRページでご確認ください。
