竹田印刷の従業員483名→48名は会社分割|竹田iPホールディングスの年収と評判
※本記事にはプロモーションを含みます。
この記事の結論
- 「リストラ」の正体:単体483名→48名は会社分割による移管
- 年収541.9万円:持株会社44名分で連結929名の実態ではない
- 入社先は実質3系統:印刷・機材商社・半導体マスクで別会社
- 利益の4割超:印刷会社ながら半導体マスクが最大の稼ぎ頭
竹田印刷(竹田iPホールディングス)を調べると、「従業員数が483名から48名に激減している」「平均年収が541.9万円と表示される」という、一見すると矛盾した情報に行き当たります。この記事では、第88期(2026年3月期)有価証券報告書の実額をもとに、この2つの数字がなぜそう見えるのかを分解します。結論を先に言えば、どちらも2022年10月の持株会社化という組織再編が生んだ「見え方」であり、そのままの意味で受け取ると転職判断を誤ります。あわせて、同じ竹田iPグループでも入社先によって仕事も待遇も別物になる構造、そして印刷会社でありながら営業利益の4割超を半導体フォトマスクが稼いでいるという事業の実像まで、公式情報・口コミ傾向・推定情報を分けて整理します。
竹田印刷と竹田iPホールディングスは同じグループ|名古屋発・創業100年の正体
まず押さえるべきは、検索している社名が2つに分かれているという事実です。公式情報として、2022年10月に竹田印刷株式会社は持株会社体制へ移行し、商号を竹田iPホールディングス株式会社(証券コード7875)へ変更しました。同時に、印刷事業は新設した(新)竹田印刷株式会社へ、半導体関連マスク事業は竹田東京プロセスサービス株式会社へ、それぞれ会社分割で承継されています。
つまり「竹田印刷」は消滅した社名ではなく、グループの中核事業会社としていまも存在します。上場している親会社が竹田iPホールディングス、実際に印刷の現場を動かしているのが竹田印刷、という関係です。転職の応募先として名前が出るのは多くの場合、事業会社側です。
会社の輪郭は次のとおりです。
- 創業1924年(大正13年)・設立1946年の100年企業。名古屋で創業した地場資本の印刷会社が源流
- 本社は愛知県名古屋市昭和区白金一丁目11番10号。東京本社ではなく名古屋本社という点は、勤務地を考えるうえで重要
- 上場市場は東京証券取引所スタンダード市場と名古屋証券取引所メイン市場の2市場。1996年1月上場。東証の業種分類は「その他製品」
- 2026年4月1日付で普通株式1株を2株とする株式分割を実施
社名の「iP」に込められた意味
細かい話ですが、面接で刺さるポイントなので触れておきます。公式情報として、社名の「iP」はinnovation(革新)とPassion(情熱)の頭文字とされています。さらに、小文字のi+大文字のPという表記そのものに「異なる立場の者が共に価値を創造する=共創」の意味を込めた、と説明されています。上場企業の商号で、大文字・小文字の使い分けにまで意味を持たせている例は多くありません。持株会社化のタイミングで「印刷会社」という自己定義から一歩踏み出そうとした意思表示、と読むこともできます(推定情報)。
グループの事業構成は4セグメント
報告セグメントは4つあり、それぞれ性格がまったく違います。公式情報として、第88期(2026年3月期)のセグメント別売上高は以下のとおりです。
- 情報コミュニケーション 161.81億円:商業印刷、パッケージ、BPO、Web・動画などのデジタルコンテンツ、物流サービス「TS-BASE」
- ソリューションセールス 138.25億円:子会社・光文堂などによる印刷機材・資材・機械の商社販売
- 半導体関連マスク 63.88億円(前期比+5.0%):精密製版技術を起点としたフォトマスク製造。竹田東京プロセスサービス、プロセス・ラボ・ミクロン
- 不動産賃貸 7.82億円:名古屋を中心とした自社保有不動産の賃貸
竹田iPホールディングスの公式データ一覧(有価証券報告書ベース)
本記事で扱う公式数値を一覧で確認できます。公式情報として、最新の正確な数値は公式IRページで再確認してください。とくに平均年間給与・平均年齢・平均勤続年数はすべて「提出会社(持株会社)単体44名」の数値である点を、表の時点で意識しておいてください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 商号 | 竹田iPホールディングス株式会社(旧・竹田印刷株式会社/2022年10月商号変更) |
| 証券コード・市場 | 7875/東証スタンダード市場・名証メイン市場 |
| 本社所在地 | 愛知県名古屋市昭和区白金一丁目11番10号 |
| 創業・設立 | 創業1924年(大正13年)/設立1946年 |
| 平均年間給与 | 541.9万円(5,419千円)※提出会社44名ベース・前事業年度比+1.9% |
| 平均年齢 | 43.1歳 ※提出会社44名ベース |
| 平均勤続年数 | 15.4年 ※提出会社44名ベース(前期は17.4年) |
| 従業員数 | 連結929名(ほか臨時従業員 年間平均330名)/単体44名(ほか臨時22名) |
| 売上高 | 連結344億79百万円(前期比+0.8%) |
| 営業利益 | 連結13億02百万円(前期比▲5.3%)/経常利益14億55百万円(▲1.6%)/親会社株主帰属当期純利益11億14百万円(▲10.7%) |
| 財務状況 | 総資産346.54億円/純資産199.98億円/自己資本比率57.3% |
| 翌期会社予想 | 2027年3月期 売上355億円(+3.0%)/営業利益16.30億円(+25.1%) |
| 出典 | 第88期(2025年4月1日〜2026年3月31日)有価証券報告書「従業員の状況」/2026年3月期決算短信〔日本基準〕(連結)/公式IR |
「竹田印刷 リストラ」で検索される従業員483名→48名の正体は会社分割
結論から書きます。竹田印刷の単体従業員が2022年3月期483名から2024年3月期48名へ減ったのは、人員整理ではなく持株会社移行にともなう会社分割の結果です。読者が得られるのは「この数字を根拠に応募を見送る必要はない」という判断材料と、同時に「ただし拠点統廃合は会社自身が明言している」という別のリスク軸です。
何が起きたのかを時系列で追う
順を追うと単純な話です。公式情報ベースで整理します。
- 2022年3月期まで:竹田印刷株式会社が、印刷も半導体マスクも自社で抱える事業会社として上場していた。有価証券報告書の「従業員の状況」に載る提出会社の従業員数は483名
- 2022年10月:持株会社体制へ移行。商号を竹田iPホールディングスへ変更し、印刷事業を(新)竹田印刷へ、半導体関連マスク事業を竹田東京プロセスサービスへ会社分割で承継
- 2024年3月期:提出会社に残ったのはグループ管理機能のみとなり、従業員数は48名。第88期時点では44名
働いていた人が消えたのではなく、在籍する会社の名前が変わっただけです。実際、第88期のセグメント別従業員数を足すと、情報コミュニケーション468名+ソリューションセールス114名+半導体関連マスク303名+全社共通44名で連結929名になります。移管先にきちんと人がいることが数字で確認できます。
年収比較サイトで誤読が起きる仕組み
問題は、外部の年収比較サイトや企業情報サイトの多くが、有価証券報告書の「提出会社」の欄を機械的に時系列でグラフ化していることです。すると次のような表示になります。
- 従業員数のグラフ:483名 → 480名 → 48名 → 44名と崖のように落ちる
- 平均年間給与のグラフ:516万円 → 520万円 → (持株会社単体の値)→ 541.9万円と不自然に跳ねる
同じ「提出会社」という枠でも、2022年3月期までは印刷の現場を含む483名、2024年3月期以降は本社管理部門だけの40名台で、中身が入れ替わっています。比較対象が違うものを1本の折れ線でつないでいるため、「大量退職があった」「給与が急上昇した」という誤った物語が生まれます(推定情報:誤読の発生経路についての編集部の解釈です)。

グラフが急落しているのを見て、経営が傾いたのかと思いました。
数字そのものは有価証券報告書の実額どおりで、間違っているわけではありません。期をまたいで単純比較した瞬間に意味が壊れるという、持株会社に共通する落とし穴です。同様の構造は、印刷・多角化系の持株会社(廣済堂ホールディングスなど)でも起こります。
ただし「国内拠点・設備の統廃合」は会社自身が明言している
ここで話を終えると片手落ちになるので、逆側の事実も併記します。公式情報として、会社は国内印刷市場の縮小を背景に、国内の拠点・設備の統廃合を進める方針を明示しています。これは人員整理の告知ではありませんが、次のような可能性を含みます。
- 工場・営業拠点の集約にともなう勤務地の変更・配置転換
- 設備更新の優先順位づけによる、部門ごとの投資額・成長機会の差
- グループ再編(2025年11月には子会社・光風企画を吸収合併)にともなう所属会社・制度の変更
つまり「リストラの事実はない」と「拠点は動く可能性がある」は両立します。応募時に確認すべきは、噂の真偽ではなく入社予定の拠点が中期的な集約対象かどうかです。面接での質問としては、「配属予定拠点の直近3年の設備投資方針」「グループ内での役割」といった聞き方が現実的でしょう(推定情報)。
平均年収541.9万円は「44名分」|竹田iPHDの年収データの正しい読み方
年収パートの結論は明快です。有価証券報告書に載る541.9万円は、連結929名のうち4.7%にすぎない持株会社44名の平均であり、実際に応募する事業会社の水準ではありません。この節を読めば、どの数字を自分の交渉材料にすべきかが分かります。
まず公式の実額を押さえる
公式情報として、第88期(2026年3月期)有価証券報告書「従業員の状況」の提出会社データは次のとおりです。
- 平均年間給与:5,419千円(541.9万円)/前事業年度比+1.9%
- 平均年齢:43.1歳
- 平均勤続年数:15.4年(前期17.4年)
- 従業員数:44名(ほか臨時従業員 年間平均22名)
ここで2つ、注意すべき点があります。第一に、連結929名に対して単体44名=約21倍の乖離があること。竹田印刷(468名)、光文堂を含むソリューションセールス(114名)、竹田東京プロセスサービスなど半導体関連マスク(303名)の給与水準は、この数字からは読み取れません。有価証券報告書は連結ベースの平均給与の開示を求めていないため、グループ全体の年収は開示されていないのが実情です。
第二に、母数44名では数値が安定しません。平均勤続年数が1年で17.4年から15.4年へ2年も動いているのがその証拠です。定年退職や中途入社が数名あるだけで平均が振れる規模であり、前年比±数%の変動に意味を読み込みすぎないほうが安全です。
事業会社ベースの参照値は510〜520万円台
では、現場に近い水準はどう推定するか。手がかりは、持株会社化する前の竹田印刷が事業会社として提出していた有価証券報告書です。公式情報として、当時の平均年間給与は次のように推移していました。
| 対象期 | 提出会社の性格 | 従業員数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2022年3月期 | 事業会社(印刷+半導体マスクを内包) | 483名 | 約516万円 |
| 2023年3月期 | 事業会社から持株会社への移行期 | 480名 | 約520万円 |
| 第88期(2026年3月期) | 持株会社(管理機能のみ) | 44名 | 541.9万円 |
現場を含む483名規模で510〜520万円台だった、というのが実額として最も信頼できる参照値です。ここから、印刷・製造・営業を含む事業会社の平均は現在も概ねこのレンジ、管理職層を厚く含む持株会社はそれより高め、という構造が見えます(推定情報)。
口コミ上の年収傾向と、職種別の目安
口コミ傾向として、OpenWorkに寄せられた竹田印刷のユーザー回答平均は442万円(正社員17人・平均年齢35歳・レンジ260万〜750万円)でした。これは二次ソースであり、回答者が17人と少ないため断定はできませんが、有報値との差は説明可能です。回答者の平均年齢が35歳と、有報の43.1歳より8歳ほど若く、管理職比率も低いと考えられるためです。
具体的な書き込みとしては、次のような事例が確認できます(いずれも口コミ傾向であり、会社の公式な賃金テーブルではありません)。
- 「38歳・営業一般職で420〜450万円」
- 「印刷業・新卒入社3〜5年で年収350万円(基本給264万円+残業代24万円+賞与60万円)」
この2例から読み取れるのは、賞与の比重がそれほど大きくない年功寄りの構成と、残業代が年収を左右しやすい構造です(推定情報)。中堅の商業印刷会社としては標準的な形ですが、20代〜30代前半で大きく年収を伸ばしたい人には物足りなく感じられる可能性があります。
転職時に必ず確認すべき3点
応募・内定時に確認すべきポイントを絞ります。
- 雇用契約の相手はどの会社か:竹田印刷/光文堂/竹田東京プロセスサービスのいずれか。持株会社の平均給与は自分の条件と無関係だと理解しておく
- 賞与の算定方式:全社業績連動か、セグメント業績連動か。営業利益率2.2%の情報コミュニケーションと8.9%の半導体関連マスクでは原資の余力が異なる
- 残業代の扱い:みなし残業の有無と時間数。口コミでは月平均残業30.4時間とされており、この部分が年収に含まれるかで手取り感が変わる
入社先は実質3系統に分かれる|竹田印刷・光文堂・竹田東京プロセスサービス
この記事でもっとも実用的なのがこの節です。「竹田iPグループに転職する」という言い方は、実務上ほとんど意味を持ちません。仕事内容も、繁忙の質も、事業の伸びしろも、入社先の会社によって別物だからです。公式情報のセグメント別数値をもとに整理します。
| 系統 | 主な会社 | 従業員数 | 売上高 | セグメント営業利益 | 仕事の性格 |
|---|---|---|---|---|---|
| 情報コミュニケーション | 竹田印刷 | 468名(臨時157名) | 161.81億円 | 3.48億円 | 商業印刷・パッケージ・BPO・Web/動画制作・物流サービス「TS-BASE」。受注産業で納期に働き方が左右される |
| ソリューションセールス | 光文堂 ほか | 114名(臨時53名) | 138.25億円 | 3.92億円 | 印刷機材・資材・機械の商社販売。印刷会社が顧客の法人営業で、在庫・与信・提案が中心 |
| 半導体関連マスク | 竹田東京プロセスサービス/プロセス・ラボ・ミクロン | 303名(臨時98名) | 63.88億円 | 5.66億円 | フォトマスク製造。クリーンルームでの精密プロセス・品質保証・設備技術 |
| 不動産賃貸 | グループ保有不動産 | 0名 | 7.82億円 | 4.24億円 | 専属人員なし。名古屋の自社不動産の賃貸収入 |
1人あたりで見ると性格の違いがはっきりする
公式数値を加工すると、系統ごとの立ち位置がより鮮明になります(編集部による計算)。
- 情報コミュニケーション:1人あたり売上 約3,460万円/1人あたりセグメント営業利益 約74万円。人手をかけて回す労働集約型
- ソリューションセールス:1人あたり売上 約1億2,100万円/1人あたり営業利益 約344万円。商社モデルらしく1人が動かす金額が大きい
- 半導体関連マスク:1人あたり売上 約2,100万円/1人あたり営業利益 約187万円。設備集約型で、売上規模の割に利益貢献が高い
この差は、賞与原資や設備投資の配分に影響する可能性があります(推定情報)。「同じグループなのだから条件は似ているはず」という前提で応募すると、入社後のギャップにつながりかねません。
キャリアの出口も系統ごとに違う
業界全体のキャリアパスに照らすと、次のような整理ができます(推定情報)。
- 竹田印刷:印刷営業からソリューション営業・BPO・デジタル案件のプロデューサーへ広がるルート。業界外へ出る場合は、広告制作・デジタルマーケティング支援会社、事業会社の販促・宣伝部門(発注側)が主な受け皿
- 光文堂:機材商社の経験は、産業機械商社や3PL企業など「モノを介した法人営業」領域に転用しやすい
- 竹田東京プロセスサービス/プロセス・ラボ・ミクロン:製版・プリプレス技術から半導体プロセス・品質保証・設備技術へ。半導体材料・装置メーカーや電子部品メーカー、半導体商社の技術営業への転身も視野に入る
印刷会社なのに営業利益の4割超は半導体マスク|セグメント別の稼ぎ方
竹田iPホールディングスを他の中堅印刷会社と決定的に分けているのが、この一点です。売上の約17%にすぎない半導体関連マスクが、全社営業利益13.02億円の4割超(5.66億円)を稼いでいます。しかも前期比+28.4%と、伸び率でも他セグメントを引き離しています。
セグメント営業利益の順位が「印刷会社」の常識と逆転している
公式情報として、第88期のセグメント営業利益は次の順です。
| 順位 | セグメント | 営業利益 | 前期比 | 売上高営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | 半導体関連マスク | 5.66億円 | +28.4% | 約8.9% |
| 2位 | 不動産賃貸 | 4.24億円 | — | 約54% |
| 3位 | ソリューションセールス | 3.92億円 | — | 約2.8% |
| 4位 | 情報コミュニケーション | 3.48億円 | — | 約2.2% |
最大の売上(161.81億円)を持つ本業の印刷が、利益では最下位という構図です。これは同社の経営が破綻しているという意味ではなく、国内印刷市場の価格競争のなかで、印刷単体では厚い利益が取りづらいという業界構造をそのまま映しています。国内の印刷市場は1997年をピークに縮小が続いており、紙需要の減少と価格競争で「刷って売る」だけでは伸びにくい状況が続いています。
なぜ印刷会社がフォトマスクを作れるのか
意外に思われるかもしれませんが、技術的には自然な延長線上にあります。印刷の製版は、原稿を微細なパターンとして版に転写する工程であり、その精度を極限まで高めたものが半導体のフォトマスク(回路パターンの原版)です。竹田印刷は、この精密製版技術を半導体分野へ展開してきた企業の一つで、現在は竹田東京プロセスサービスとプロセス・ラボ・ミクロンがこの領域を担っています。
世界のフォトマスク市場は2025年時点で50億ドル台、年率3〜6%程度の成長が各種調査で見込まれています。2026年はAI・データセンター向けが市場を牽引する一方、スマートフォンや車載向けは伸び悩むという明暗の分かれた構図です。同社の半導体関連マスクが+5.0%の増収、+28.4%の増益となった背景には、この追い風があると考えられます(推定情報)。
ただしシリコンサイクルの振れは避けられない
好材料だけを書くのは不誠実なので、逆側も明記します。同社の半導体関連マスクはEV需要の減速による影響も受けているとされ、業績は半導体市況(シリコンサイクル)に振られます。印刷は景気変動に対して比較的なだらかですが、半導体関連は上下の振幅が大きい領域です。「成長事業だから安泰」ではなく、好況期と調整期の落差が大きい部門に入るという理解が必要です。
不動産賃貸という静かな下支え
もう一つ見落とせないのが、営業利益率54%の不動産賃貸です。売上7.82億円に対して営業利益4.24億円。専属の従業員数は0名で、名古屋の自社保有不動産が実質的にグループの利益を下支えしています。100年企業が本社周辺に土地を持っていることの経済的な意味がここに出ています。転職者にとっては本業が一時的に不振でも財務がすぐには崩れにくいという安定材料として読めます(推定情報)。
業績と財務|増収減益と、10年で2度の赤字を経た「V字後の踊り場」
結論として、現在の同社はコロナ禍の大幅赤字からV字回復した直後の、伸びが一服した局面にあります。財務は健全ですが、直近期は増収減益です。良い面と悪い面を分けて示します。
直近期は増収減益
公式情報として、2026年3月期(第88期)の連結業績は次のとおりです。
- 売上高 344億79百万円(前期比+0.8%)
- 営業利益 13億02百万円(前期比▲5.3%)
- 経常利益 14億55百万円(前期比▲1.6%)
- 親会社株主に帰属する当期純利益 11億14百万円(前期比▲10.7%)
前期(2025年3月期)は売上341.98億円(+8.0%)、営業利益13.75億円(+67.8%)と大きく伸びた反動が出た形です。売上は微増を維持しているものの、利益は前期の勢いを保てませんでした。用紙・資材・物流費・人件費の同時上昇が続く業界環境を踏まえると、価格転嫁が完全には追いついていない可能性があります(推定情報)。
直近10年で2度の赤字期がある
過去に目を向けると、平坦な道のりではありませんでした。
- 2019年3月期:当期純損失 3億73百万円
- 2021年3月期:当期純損失 13億42百万円。コロナ禍で売上が311億円まで落ち込む
- 2022年3月期:黒字転換
- 2025年3月期:営業利益13.75億円(+67.8%)まで回復
- 2026年3月期:営業利益13.02億円(▲5.3%)で足踏み
商業印刷は企業の販促予算に連動するため、景気後退局面では真っ先に絞られます。2021年3月期の落ち込みはその典型でした。逆に言えば、その局面を自己資本で耐え切ったという実績でもあります。
財務は健全で、筆頭株主は従業員持株会
財務指標は次のとおりです(公式情報)。総資産346.54億円、純資産199.98億円、自己資本比率57.3%。継続企業の前提に関する注記(GC注記)は確認できなかったほか、上場維持基準への未達や改善期間該当の開示も確認できなかったことを申し添えます。時価総額は2026年8月時点で約144億円。2027年3月期の会社予想は売上355億円(+3.0%)、営業利益16.30億円(+25.1%)で、達成が保証されるものではありませんが、経営としては再び増益路線を描いている段階です。
資本構成にも特徴があります。公式情報として、主要株主の上位は次のとおりです。
- 竹田iPホールディングス従業員持株会 6.21%(筆頭株主)
- 各務三恵子 4.47%
- 三菱UFJ銀行 4.18%
- 三井住友銀行 2.87%
- あいち銀行 2.51%
支配株主・親会社が存在しない分散型の資本構成で、しかも筆頭が従業員持株会です。東海の地方銀行とメガバンクが並ぶ株主構成は、名古屋の地場企業らしい形といえます。転職者の視点では、親会社の意向で事業が急に売却・再編されるリスクが相対的に小さい一方、大株主による強い規律づけも働きにくい、という両面があります(推定情報)。
評判・口コミ傾向|総合2.76の内訳と、二極化する働き方
口コミを読むうえで最初に知っておくべき注意点があります。口コミは持株会社「竹田iPホールディングス」名義ではほとんど蓄積されておらず、事業会社「竹田印刷」名義に集約されています。持株会社名で検索して「口コミが少ない=情報がない会社」と判断するのは誤りです。
スコアは凸凹|待遇と育成が低く、法令順守が高い
口コミ傾向として、OpenWork(竹田印刷)の総合評価は2.76/5.0、口コミ149件(回答者32人)です。掲載量は中堅上場企業として十分ですが、スコアは平均を下回ります。項目別の内訳は次のとおりです。
| 評価項目 | スコア | 位置づけ |
|---|---|---|
| 法令順守意識 | 3.9 | 唯一明確に高い項目 |
| 風通しの良さ | 2.9 | 中位 |
| 社員の士気 | 2.6 | 低め |
| 人事評価の適正感 | 2.6 | 低め |
| 社員の相互尊重 | 2.6 | 低め |
| 待遇面の満足度 | 2.2 | 最も低い項目 |
| 人材の長期育成 | 2.2 | 最も低い項目 |
この凸凹には解釈の余地があります。法令順守意識3.9は、労務管理やコンプライアンス面での運用がある程度徹底されていることを示唆します。一方で待遇面2.2・人材の長期育成2.2という組み合わせは、ルールは守られるが、処遇の伸びと育成投資に物足りなさを感じる人が多いという傾向として読めます(推定情報)。年収の実額そのものより、上がり方への納得感が論点になっているタイプです。
労働時間は「部署ガチャ」になりやすい
働き方に関する口コミ傾向は、はっきりと二極化しています。
- 肯定的な声:「月2回のノー残業デーがあり、厳守を指示される部署がある」
- 否定的な声:「受注産業のため、配属部署・担当先で労働時間が大きく変わる」「繁忙期は終電・タクシー帰りが多く、平日のアフター5が取りにくい」
数値としては、有給消化率51.7%、月平均残業30.4時間とされています。月30時間前後は突出して長いわけではありませんが、これは平均値であり、口コミが示すとおり部署間の分散が大きいと考えられます。「会社としてどうか」より「どの部署・どの担当先か」で体感が決まるタイプの職場だと理解しておくのが実務的です(推定情報)。応募時には、配属予定部署の繁忙期の実態を具体的に聞くことをおすすめします。
人間関係については比較的好意的
口コミ傾向として、対人環境に関する記述は穏当です。「クセの強い人はいるが、全体的に良い人が多い」「上司にかしこまった発言しか許されないということはない」といった声が見られます。風通しの良さ2.9というスコアと合わせると、強い圧迫感はないが、突き抜けて自由でもないという中庸な評価に落ち着きます。
口コミサイトごとの母数の違いに注意
参照する媒体によって印象が変わるため、母数を明示しておきます。
- OpenWork(竹田印刷):口コミ149件・回答者32人・総合2.76
- 転職会議(竹田iPホールディングス/旧・竹田印刷):口コミ116件
- エン カイシャの評判:総合3.3(正社員8人回答)・評判口コミ42件
- 就活会議:評判・口コミ115件(新卒向けの比重が高い)
エン カイシャの評判では総合3.3とOpenWorkより高く出ていますが、回答者8人と母数が小さい点は割り引いて読む必要があります。なお、グループ最大の利益源である半導体マスク子会社(竹田東京プロセスサービス、プロセス・ラボ・ミクロン)単体の口コミはほとんど蓄積されていません。この系統への応募を検討する場合、ネット上の評判に頼るのは難しく、面接での確認と現場見学の重要度が上がります。
勤務地と海外展開|名古屋本社・関東の工場・タイの新工場
勤務地は転職判断を左右する現実的な論点です。検索候補に「越谷工場」「高辻工場」「テクノセンター」「大阪」「東京」といった地名が並ぶことからも、関心の高さがうかがえます。
本社は名古屋、生産・営業拠点は全国に分散
公式情報として、本社は愛知県名古屋市昭和区白金です。東京にも拠点はありますが、本社機能・意思決定の中心は名古屋にあります。生産拠点は愛知県内のほか埼玉県越谷市の越谷工場など関東圏にも展開し、営業拠点は大阪・東京を含む主要都市に置かれています。最新の拠点一覧は組織再編で変わるため、応募前に公式サイトで必ず確認してください。実務上の含意は次のとおりです(推定情報)。
- 本社管理部門・企画職を志望するなら、名古屋勤務が前提になりやすい
- 生産・技術系は、愛知県内と関東の工場のいずれかへの配属・異動の可能性がある
- 前述の「国内拠点・設備の統廃合」方針により、中期的に勤務地が動く可能性は織り込んでおくべき
上海・ベトナム・タイ|印刷業でも海外勤務の可能性がある
意外性のある材料として、同社は上海・ベトナム・タイに海外拠点を持っています。とくにタイでは、約13億円を投じた包装箱・紙管の新工場が2025年に稼働しました。国内印刷市場が縮小するなか、成長市場であるアジアにパッケージの生産拠点を置く動きは業界全体で見られますが、中堅規模でここまで踏み込んでいる例は多くありません。
転職者の視点では、「印刷会社=国内完結」というイメージに反して、海外赴任のキャリアが存在する点が差別化材料になります。一方で、転勤範囲の見通しが立てにくいという業界共通の懸念にも直結するため、入社時の勤務地限定制度の有無は確認しておくべきでしょう。
転職先としての将来性|印刷市場の縮小のなかで伸びる領域はどこか
将来性を一言で評価するのは難しいので、領域ごとに分けて整理します。この会社は「印刷会社」というくくりでは実態を捉えられないためです。
伸びる可能性が高い領域
- 半導体関連マスク:フォトマスク市場は年率3〜6%程度の成長見通し。AI・データセンター需要が牽引役。同社でも+28.4%の増益と、投資が利益に結びついている
- BPO・物流サービス:印刷から一歩広げ、データ処理・封入発送・在庫管理・発送代行までをワンストップで請け負うモデル。同社は物流サービス「TS-BASE」を持つ。BPO市場自体は数%成長が続く領域
- パッケージ(とくに海外):タイ新工場への13億円投資は、パッケージを成長領域と位置づけている経営判断の表れ
- デジタルコンテンツ:Web・動画制作は、印刷業界未経験者にも入りやすい職種が生まれやすい領域
逆風が続く可能性が高い領域
- 従来型の商業印刷:国内市場は縮小基調。営業利益率2.2%という数字が示すとおり、価格競争は厳しい
- 印刷機材の商社販売:顧客である印刷会社の設備投資意欲に業績が連動する。市場全体が縮小すれば、機材需要も影響を受けやすい
「何ができるようになるか」で選ぶ
業界の共通課題として、印刷オペレーションの経験だけでは社内外での市場価値を保ちにくくなっています。逆に、顧客の業務課題を解く提案力や、デジタル・データ領域の知識、あるいは精密プロセスの技術を身につけられるポジションであれば、この会社を経由するキャリアには十分な意味があります(推定情報)。求人票を見るときは、社名や業界名ではなく「5年後にどのスキルが残るか」で判断することをおすすめします。
同業他社との比較|どの軸で選ぶかで答えが変わる
比較にあたっては、年収の推定値を並べるより事業構造の違いを並べたほうが判断に役立ちます。各社の平均年間給与は開示期・提出会社の範囲が異なり、単純比較すると本記事で指摘したのと同じ誤読が起きるためです。数値は各社の有価証券報告書で個別にご確認ください。
| 企業名(コード) | 市場・本社 | 事業構造の特徴 | 竹田iPHDとの違い | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|
| 竹田iPホールディングス(7875) | 東証スタンダード・名証メイン/名古屋 | 印刷+機材商社+半導体マスク+不動産の4本柱。営業利益の4割超を半導体マスクが稼ぐ | — | 印刷を軸にしつつ半導体・海外・BPOへ広がる可能性を取りたい人 |
| セキ(7857) | 東証スタンダード | 商業印刷・パッケージ中心 | 半導体関連のような非印刷の利益柱を持たない | 印刷・パッケージの本業を深く極めたい人 |
| 廣済堂ホールディングス(7868) | 東証スタンダード | 印刷に人材サービス・葬祭を組み合わせた多角化持株会社 | 多角化の方向が「サービス業」寄り。持株会社という点は共通 | 印刷以外の事業領域へ移る可能性を重視する人 |
| 共同印刷(7914) | 東証プライム | 情報・パッケージ印刷の大手。規模が大きく事業領域も広い | 企業規模・上場市場の格が上。制度・研修は整いやすい | 大手の体制と分業のなかでキャリアを積みたい人 |
| 光村印刷(7916) | 東証スタンダード | 商業印刷が中心 | 非印刷セグメントの利益貢献度が異なる | 商業印刷の現場・技術に軸足を置きたい人 |
この5社のなかで竹田iPホールディングスが際立つのは、印刷会社でありながら利益の主柱を半導体という異業種に移すことに成功している点です。事業転換の実例としては業界内でも珍しく、「印刷業界の縮小が不安だが、印刷で培った技術は活かしたい」という人にとっては合理的な選択肢になり得ます(推定情報)。
竹田印刷・竹田iPホールディングスに関するよくある質問
検索候補に実際に現れる疑問に絞って回答します。
竹田印刷と竹田iPホールディングスは別の会社ですか?
同じグループです。2022年10月に竹田印刷株式会社が持株会社体制へ移行して竹田iPホールディングス株式会社へ商号変更し、印刷事業は新設の(新)竹田印刷株式会社が引き継ぎました。上場している親会社が竹田iPホールディングス、印刷の現場を担う事業会社が竹田印刷、という関係です(公式情報)。
竹田印刷でリストラは行われたのですか?
提出会社の従業員数が2022年3月期483名から2024年3月期48名へ減ったのは、持株会社移行にともなう会社分割で従業員が事業会社へ移管された結果であり、人員整理を示すものではありません。ただし会社は国内拠点・設備の統廃合を進める方針を明示しています(公式情報)。
竹田iPホールディングスの平均年収はいくらですか?
第88期有価証券報告書によると541.9万円ですが、これは提出会社44名の数値です。事業会社だった時代の実額は516万円・520万円(483名/480名規模)で、現場を含む平均は概ねこのレンジと考えられます(公式情報+推定情報)。
本社や工場はどこにありますか?
本社は愛知県名古屋市昭和区白金一丁目11番10号です。生産拠点は愛知県内のほか埼玉県越谷市の越谷工場など関東圏にも展開し、海外は上海・ベトナム・タイに拠点があります(公式情報)。
竹田印刷は半導体の会社なのですか?
主力は印刷ですが、利益で見れば半導体関連マスクが最大セグメントです。売上構成では約17%にとどまるため、「印刷会社であり、かつ半導体フォトマスクメーカーでもある」という二面性のある会社と理解するのが正確です(公式情報)。
残業時間や有給消化率はどのくらいですか?
OpenWork(竹田印刷)の集計では月平均残業30.4時間、有給消化率51.7%とされています。ただしこれは口コミ傾向であり、部署による差が大きいと考えられます。実際の労働時間は内定時の労働条件通知書で確認してください。
竹田iPホールディングスへの転職判断まとめ|編集部の見解
ここまでの内容を、判断軸ごとに整理します。最終的な判断は、求人票だけでなく自分の経験・適性も含めて確認しましょう。
| 判断軸 | 評価 |
|---|---|
| 年収水準 | 事業会社ベースで概ね510〜520万円台(過去の有報実額)。有報に載る541.9万円は持株会社44名の値なので流用しない |
| 年収の伸び方 | 口コミでは待遇面の満足度2.2と低め。年功寄りで、若手期に大きく伸ばすのは難しい可能性 |
| 働き方 | 月平均残業30.4時間・有給消化率51.7%(口コミ集計)。受注産業ゆえ部署・担当先による差が大きい |
| 雇用の安定性 | 自己資本比率57.3%・純資産199.98億円と財務は健全。ただし拠点・設備の統廃合方針は明示されている |
| 事業の将来性 | 半導体関連マスク・BPO・海外パッケージは伸びしろあり。従来型商業印刷は逆風が継続 |
| 入社先の選択 | 竹田印刷/光文堂/竹田東京プロセスサービスで仕事も伸びしろも別物。系統選びが最重要 |
| キャリアの持ち出し | 半導体プロセス・品質保証、BPO・デジタル案件のプロデュース経験は社外でも通用しやすい |
| 情報の取りやすさ | 口コミは「竹田印刷」名義に集約。半導体マスク子会社の口コミはほぼ蓄積されておらず、面接での確認が必須 |
編集部の見解として、この会社は「印刷業界の企業」という一括りで評価すると判断を誤ります。国内の商業印刷という縮小市場を主戦場にしながら、精密製版技術を半導体フォトマスクへ転用し、営業利益の4割超をそこから得る構造をつくり上げた点は、同規模の印刷会社のなかでは明確な差別化要素です。名古屋の自社不動産が営業利益率54%の安定収益を生んでいることも、下振れ耐性として無視できません。
一方で、待遇面と人材の長期育成がともに2.2という口コミ傾向は軽視すべきではありません。財務が健全であることと、個人の処遇が伸びることは別の話です。総合すると、「印刷の技術・営業経験を、半導体やBPO・海外パッケージといった伸びる領域へ接続したい人」には検討価値が高く、「短期間で年収を大きく引き上げたい人」「体系的な育成プログラムを期待する人」には慎重な確認が必要と考えられます。応募時には、雇用契約の相手となる会社名と配属予定拠点を最優先で確認してください。
なお、行政処分・重大な訴訟・リコール・会計不正等については、公開情報の範囲では確認できなかったことを申し添えます。ただし網羅的な調査ではないため、最終的な確認は各自でお願いします。また同社は2025年11月に子会社・光風企画を吸収合併するなどグループ再編を継続しており、組織改編が比較的頻繁である点も、応募前に最新の組織図を確認すべき理由になります。
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本記事の出典・参考情報
本記事で参照した一次情報・口コミ情報の出典は以下の通りです。最新の正確な数値は各リンク先で確認してください。平均年間給与・平均年齢・平均勤続年数・従業員数は、いずれも第88期有価証券報告書「従業員の状況」の実額を主値として採用しています。OpenWorkのユーザー回答平均年収442万円などは二次ソースであり、参考値として併記したものです。
公式情報源
口コミ・評判の参照元
免責事項:本記事の数値・評価は公式情報・口コミ集計・市場推定の3分類で示しており、口コミ傾向や推定情報は断定ではなく傾向・可能性として表現しています。最終判断は読者自身で公式IRおよび内定時の労働条件通知書で確認してください。
この記事の編集方針・情報の確認について
この記事は、公式公開情報(有価証券報告書・IR資料)、求人情報、口コミ傾向をそれぞれ分けて整理し、転職・就職判断に役立つよう編集しています。年収・平均年齢・従業員数などの中核データは第88期有価証券報告書「従業員の状況」を一次情報として確認し、口コミ・推定情報とは明確に区別しています。とくに本記事では、持株会社の単体数値と連結数値の違いが誤読を生みやすいため、どの数値がどの範囲を指すのかを都度明示する方針を採りました。記載内容は最終更新時点の公開情報にもとづきます。最新の正確な数値は各公式IRページでご確認ください。
