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幸和製作所の年収505万円は誰の数字?テイコブを作る福祉用具メーカーの実態

コロ助

※本記事にはプロモーションを含みます。

この記事の結論

  • 正体:「テイコブ(TacaoF)」を展開する大阪・堺の福祉用具メーカー(7807)
  • 平均年収505.8万円:有報の数値は提出会社50名だけの平均
  • 1年で約49万円減:第38期554.3万円→第39期505.8万円(原因は非開示)
  • 業績:売上63.9億円で3期横ばい、営業利益は2期連続減益

まず最初にお伝えします。シルバーカー・歩行車・杖の購入、部品の取り寄せ、修理やお問い合わせをお探しの方は、この記事ではなく幸和製作所の公式サイトのお客様相談窓口をご利用ください。「幸和製作所」で検索される方の多くは、テイコブ製品を買いたい方や、すでにお使いの製品の交換部品・タイヤ・杖ゴムを探している方です。この記事は幸和製作所への転職・就職を検討している方に向けて、有価証券報告書と決算短信という一次情報を軸に、年収・業績・働き方・リスクを整理したものです。特に本記事が力を入れたのは、「平均年間給与505.8万円は、誰の給与なのか」という母集団の話です。この会社の場合、公表された平均年収をそのまま自分の給与イメージに置き換えると、判断を誤る可能性があります。

この記事の対象読者|製品の購入・部品・修理をお探しの方は公式窓口へ

結論を先に整理します。幸和製作所に関する検索の大半は、転職目的ではなく製品目的です。実際にキーワード調査を行うと、「幸和製作所 ショッピングカート」「幸和製作所 歩行器」「幸和製作所 パーツリスト」「幸和製作所 電話番号」「幸和製作所 お客様センター」といった語が上位を占め、上位5件のすべてが製品の購入検討者、あるいはすでに製品を使っている方の補修部品・修理・問い合わせに関する検索でした。求職に関する語は、サジェストの上位には出てきません。

そのため、次に当てはまる方は、この記事より公式サイトのほうが確実に目的を果たせます。

  • シルバーカー・歩行車・杖・シャワーチェアなどを購入したい、カタログを見たい
  • 使用中の製品のタイヤ、杖ゴム、部品を取り寄せたい(パーツリストを探している)
  • 修理を依頼したい、電話番号やお客様相談窓口を知りたい
  • 取扱販売店やショールームの場所を知りたい

いずれも公式サイト(記事末尾の出典一覧にリンクを掲載しています)のお客様サポートページから確認できます。ここから先は、幸和製作所を「働く場所」として評価したい方に向けた内容です。上場企業として開示されている有価証券報告書・決算短信の数値を一次情報として使い、口コミ由来の情報や当編集部の推定と明確に分けて記載します。

幸和製作所の公式データ一覧(有価証券報告書ベース)

本記事で扱う公式数値を一覧で確認できます。公式情報として、最新の正確な数値は公式IRページで再確認してください。数値の母集団(連結か提出会社単体か)を欄内に明記していますので、読み違えを防ぐためにここを必ず確認してください。

項目内容
商号株式会社幸和製作所(こうわせいさくしょ)
証券コード/上場市場7807/東京証券取引所スタンダード市場(2017年11月28日にJASDAQスタンダードへ上場、2022年4月の市場区分再編でスタンダードへ移行)
本社大阪府堺市堺区海山町3丁159番地1
創業/設立1965年創業(乳母車の製造・販売)/法人設立1987年10月1日
代表者代表取締役社長 玉田 秀明(代表取締役会長 玉田 栄一)
平均年間給与約505.8万円(5,058千円)※第39期・2026年2月期/提出会社(単体)50名の平均。賞与・基準外賃金を含む
平均年齢41.0歳(第39期・提出会社/前期は40.0歳)
平均勤続年数9年1ヶ月(第39期・提出会社/前期は8年10ヶ月)
従業員数連結211名(ほか臨時雇用者13名)/提出会社単体50名(ほか臨時雇用者5名)※2026年2月28日現在
売上高連結63億9,441万円(2026年2月期・前期比+0.4%)
営業利益連結7億4,767万円(同・前期比▲6.2%)/経常利益6億6,696万円、親会社株主に帰属する当期純利益4億2,735万円
報告セグメント介護用品・福祉用具製造販売事業/介護サービス事業/EC事業の3区分
労働組合結成されていない(有価証券報告書に「労使関係は円満」と記載)
出典第39期(2026年2月期)有価証券報告書「従業員の状況」ほか/2026年2月期決算短信(2026年4月14日開示)

幸和製作所とはどんな会社か|「テイコブ」を作る福祉用具メーカーの正体

転職検討者がまず押さえるべき結論は、幸和製作所は介護用品・福祉用具の「メーカー」であり、商品の企画・開発から製造・販売までを担う会社だという点です。社名の知名度よりも、自社ブランド「Tacaof(テイコブ)」の知名度のほうが高い会社で、ドラッグストアや通販でテイコブの歩行車・杖・手すりを見たことがある方も多いはずです。ブランドと社名が一致しないため、応募前に事業の全体像を掴んでおくと面接での解像度が上がります。

1970年に国内初のシルバーカーを出した業界のパイオニア

沿革は独特です。1965年に乳母車の製造・販売で創業し、そこで培った車輪・フレームの技術を高齢者向けに転用する形で、1970年に国内で初めてシルバーカーを製造・販売しました。現在もシルバーカー・歩行車では国内最大手クラスの位置にあります。2007年に自社ブランド「Tacaof(テイコブ)」を創設し、2015年にはロボット技術を搭載した歩行車「リトルキーパス」を発売しています。「GENTIL MARRONE」「AURULA」といったサブブランドも持ち、歩行支援だけでなく杖・手すり・入浴用品・排泄用品まで品目は広範です。

転職の観点で言えば、これは「創業60年の技術蓄積があるニッチトップ型メーカー」という評価になります。一方で、乳母車からシルバーカーへ、さらに介護サービスやECへと事業を組み替え続けてきた歴史でもあり、後述するように直近も事業ポートフォリオの入れ替えが進行中です。

3つの報告セグメント|稼ぎ頭は明確に1本

有価証券報告書によると、報告セグメントは次の3つです。2026年2月期(第39期)の実績を並べると、収益構造が一目で分かります(公式情報)。

セグメント売上高(2026年2月期)前期比セグメント利益
介護用品・福祉用具製造販売事業約54.2億円▲1.4%約10.3億円(▲4.3%)
EC事業(ネクストケア・イノベーション)約6.96億円▲10.6%47百万円(▲13.4%)
介護サービス事業(福祉用具貸与)約2.79億円+196.3%▲63百万円(前期▲59百万円)

この表から読み取れることは3つあります。第一に、売上の約85%・利益のほぼ全部を介護用品・福祉用具事業が稼いでいること。第二に、EC事業は売上・利益とも二桁近い減少で、規模も利益額も小さいこと。第三に、介護サービス事業は売上が約3倍に伸びていますが、これは2024年9月に福祉用具レンタル・販売のパーソンケア株式会社を買収した効果であり、営業損益は2期連続の赤字(第39期▲63百万円、前期▲59百万円)だという点です。

転職先として見るとき、この構造は「配属先によって、自分が会社の中でどのポジションにいるかが大きく変わる」ことを意味します(推定情報)。主力の福祉用具側は利益率19%前後(全社費用配賦前のセグメント利益ベース)の稼ぎ頭であり、一方で介護サービス側は立て直しのフェーズにあると読めます。

グループ6社と「製造は中国子会社」という体制

もう一つ、ものづくり志向で応募する方が必ず知っておくべき点があります。製造の中核を担うのは中国の連結子会社・東莞幸和家庭日用品有限公司であり、国内の提出会社が担うのは企画・設計・営業・品質管理といった機能が中心だという構造です。グループは、東莞の生産子会社、株式会社シクロケア(杖等の仕入・国内販売)、株式会社幸和ライフゼーション(福祉用具貸与)、パーソンケア株式会社(同)、株式会社ネクストケア・イノベーション(EC)を含む6社構成です。

求職者
求職者

メーカーだから、国内の工場で製品を作っているイメージでした。

有価証券報告書の「事業等のリスク」でも、中国生産子会社への依存は自ら筆頭級のリスクとして挙げられています。「国内で図面を引いて品質を作り込み、量産は中国で回す」ファブレス色の強いメーカーだと理解しておくと、入社後の期待値ズレを避けられます(推定情報を含みます)。逆に言えば、海外生産管理・調達・品質保証・貿易実務の経験がある方は、この業界で希少価値が高く評価されやすい領域です。

平均年収505.8万円は「誰の数字」か|提出会社50名という母集団の話

ここが本記事で最も重要なパートです。結論から言うと、有価証券報告書に載っている平均年間給与505.8万円は、連結211名の平均ではなく、提出会社(単体)50名の平均です。この一点を知らずに求人票と見比べると、判断を誤る可能性があります。

有報の実額と、その正確な意味

有価証券報告書によると、第39期(2025年3月1日〜2026年2月28日/2026年2月期)の「従業員の状況」における提出会社の数値は以下の通りです(公式情報)。

  • 平均年間給与:5,058千円(約505.8万円)※賞与および基準外賃金を含む
  • 平均年齢:41.0歳
  • 平均勤続年数:9年1ヶ月
  • 従業員数:50名(ほかに臨時雇用者5名)

この4項目は、いずれも「提出会社の状況」欄の数値です。有価証券報告書の様式では、平均年間給与は提出会社(単体)についてのみ記載され、連結ベースの平均給与は開示されません。つまり幸和製作所の場合、公表された505.8万円は連結従業員211名のうち、わずか50名分の平均ということになります。

連結211名のうち約8割は子会社に所属している

では残りの約160名はどこにいるのか。有価証券報告書のセグメント別従業員数を見ると、連結211名の内訳は介護用品・福祉用具製造販売事業189名(臨時8名)、介護サービス事業18名(同2名)、EC事業4名(同3名)です。そして製造の中核は中国の東莞幸和家庭日用品有限公司、国内販売の一部はシクロケア、貸与事業は幸和ライフゼーションとパーソンケア、ECはネクストケア・イノベーションが担っています。連結従業員の約8割は、提出会社ではなく子会社に所属している計算です。

幸和製作所は持株会社ではなく事業会社ですが、この構造は持株会社の平均年収に生じるバイアスと同種の注意を必要とします。つまり、505.8万円は「グループで働く人の平均」ではなく、「本体50名の平均」です。応募先が本体なのか子会社なのかで、給与テーブルも評価制度も異なる可能性があります(推定情報)。求人票を見るときは、必ず雇用主体がどの法人かを確認してください。

母集団50名という数字の脆さ

もう一つ、統計としての読み方の問題があります。母集団が50名しかない平均値は、数名の入退社で数十万円単位で動きます。仮に年収900万円クラスの管理職が2名退職し、年収400万円クラスの若手が2名入社しただけでも、単純計算で全体平均は20万円前後動きます。母集団1,000名の会社では起こらない揺れが、50名の会社では日常的に起こるということです。

ここで比較の視点を1つ持ち込みます。同じ東証スタンダード上場・同じ「その他製品」区分の株式会社シー・エス・ランバー(7808)は、有価証券報告書の平均年間給与が505.9万円(第43期・2025年5月期/提出会社単体210名・平均年齢40.1歳・勤続7.8年)と、幸和製作所とほぼ同額です。ところが中身はまるで違います。シー・エス・ランバーは事業会社本体に210名が在籍し、製造現場を含む数値として読めるのに対し、幸和製作所は本体50名・連結211名で、現場の多くが単体の外にいます。同じ「約505万円」でも、意味する範囲がまったく違うわけです。母集団の読み方の対照例として、シー・エス・ランバー(7808)の記事もあわせて読むと、有報の平均年収を見る目が養えます。

年収の数字がサイトごとに違う理由|476万〜565万円のばらつきをどう扱うか

年収検索をすると、幸和製作所の平均年収として476万円、505万円、506万円、554万円、565万円といった複数の数字が出てきます。どれかが間違っているというより、参照している期と母集団が異なるために起きる現象です。

本記事の立場を先に示すと、採用するのは有価証券報告書の実額のみです。数字がばらつく理由は単純で、各サイトが参照している「期」が違うことと、集計元が有価証券報告書か口コミ回答かで母集団が違うことによります。

  • 有価証券報告書の実額(第39期・2026年2月期):505.8万円 ← 本記事はこれを採用
  • 有価証券報告書の実額(第38期・2025年2月期):554.3万円 ← 1期前の数値
  • 年収まとめサイト各社:476万〜565万円と幅がある(掲載時点・参照期・端数処理が各社で異なる)

本記事では、出典と対象期を特定できる有価証券報告書の実額のみを採用し、「505.8万円(第39期・2026年2月期・提出会社50名)」と期と母集団をセットで表記しています。年収情報を見るときは、金額だけでなく「いつの、誰の」数字かをセットで確認する習慣を持つと、企業選びの精度が上がります。

1年で約49万円のダウン|第38期554.3万円→第39期505.8万円をどう読むか

次に、この会社を語るうえで避けて通れない事実です。幸和製作所の平均年間給与は、第38期(2025年2月期)の5,543千円(約554.3万円)から、第39期(2026年2月期)の5,058千円(約505.8万円)へ、1年で約49万円下がりました。これは推定ではなく、有価証券報告書に記載された実額の比較です(公式情報)。

同時に動いた3つの数値

単年の給与だけを見ると解釈を誤るため、同じ期に動いた他の指標も並べます。

項目第38期(2025年2月期)第39期(2026年2月期)変化
平均年間給与(提出会社)約554.3万円約505.8万円▲約49万円
平均年齢(提出会社)40.0歳41.0歳+1.0歳
平均勤続年数(提出会社)8年10ヶ月9年1ヶ月+3ヶ月
従業員数(提出会社)55名50名▲5名
従業員数(連結)218名211名▲7名

ここに解釈上のねじれがあります。一般に、平均年齢と平均勤続年数が上がれば平均給与も上がりやすいはずですが、この期は年齢・勤続が上がったにもかかわらず給与が下がりました。同時に単体人員は55名から50名へ5名減っています。

原因は開示から特定できない、と正直に書く

ここで断定を避けます。給与が下がった原因は、有価証券報告書をはじめとする開示資料からは特定できません。理論的には、役員報酬・賞与原資の変動、高給与層の退職、職種構成の変化、業績連動部分の縮小など複数の可能性が考えられますが、いずれも開示情報からは裏付けられません。「業績が落ちたから給与が下がった」と因果関係を断定するのも避けるべきです。第39期は営業利益が前期比▲6.2%と減益ではありますが、7.48億円の営業黒字であり、赤字転落したわけではないためです。

ただし、読者が持ち帰るべき実務的な示唆は明確です。この規模の会社では、平均年収は年度によって数十万円単位で動きます。したがって、内定時の労働条件通知書に書かれた自分自身の金額(基本給・賞与の算定方法・固定残業の有無)でしか判断できない、ということです。面接では、賞与の支給実績(月数)と評価制度の運用について具体的に確認することをおすすめします。

単体従業員数の長期トレンドという文脈

もう一段、時間軸を広げます。提出会社の従業員数は、2018年時点の112名から、2022年に70名、第38期55名、第39期50名へと長期的に減少してきました。これは有価証券報告書上の事実です(公式情報)。一方で連結は211名を維持しており、国内本体の人員を絞りながら、生産は中国子会社、貸与・ECは国内子会社という形に機能を移してきた流れが読み取れます(推定情報)。

なお、口コミサイトには人員削減や退職勧奨に類する趣旨の投稿も見られますが、これらを裏づける適時開示や報道は本記事の調査範囲では見当たりませんでした。匿名の投稿を事実として扱うことはできません。一方で、単体従業員数が長期的に減っているという有報上の客観データは事実として存在します。読者としては、この2つを混同せず「客観データはこうで、口コミ傾向としてはこういう声がある」という形で並べて理解するのが安全です。

業績で見る幸和製作所|64億円の頭打ちと2期連続減益

年収の背景にある会社の体力を、決算短信の数字で確認します。結論としては、売上はここ3期64億円前後で頭打ち、利益は2024年2月期をピークに2期連続で減少という局面です。ただし直近四半期には明確な反転の兆しもあり、両面を見る必要があります。

売上5期推移|成長から横ばいへ

決算短信によると、連結売上高の推移は次の通りです(公式情報)。

決算期連結売上高コメント
2022年2月期約57.2億円—
2023年2月期約62.7億円前期から約5.5億円の増収
2024年2月期約64.0億円営業利益は9億4,837万円でピーク
2025年2月期約63.7億円営業利益7億9,736万円
2026年2月期63億9,441万円(+0.4%)営業利益7億4,767万円(▲6.2%)

2022年2月期から2024年2月期にかけては2年で約6.8億円の増収でしたが、直近3期は64億円前後で横ばいです。2027年2月期の会社予想も売上64.0億円と、拡大ではなく維持の計画になっています。営業利益率で見ると、2024年2月期の約14.8%から、2025年2月期約12.5%、2026年2月期約11.7%へと緩やかに低下しています。

過去には2期連続の最終赤字もあった

「介護業界だから安定している」というイメージだけで判断しないために、過去の実績も記載します。幸和製作所は、2019年2月期に営業損失2億7,288万円・最終赤字3億5,815万円、2020年2月期にも営業損失1億3,131万円・最終赤字3億6,732万円を計上しています(公式情報)。上場(2017年11月)直後の時期に、2期連続の最終赤字を経験した会社です。

その後は黒字基調に戻し、2024年2月期には営業利益9.5億円まで回復しました。つまり、この会社の業績には明確な振れ幅があるということです。高齢化を背景にした需要の底堅さは業界共通の追い風ですが、それが個社の利益の安定を保証するわけではありません。

直近の明るい材料|2027年2月期1Qは営業利益+97.4%

一方で、公平を期すために直近の数字も示します。2026年7月15日に発表された2027年2月期第1四半期は、売上高17億99百万円(前年同期比+2.1%)、営業利益3億16百万円(同+97.4%)と大幅な増益スタートでした(公式情報)。通期の会社予想は営業利益7億5,300万円で、四半期単独ではその4割強を1Qで積み上げたことになります。

第1四半期だけで通期を語ることはできませんし、季節性の影響も考慮する必要があります。ただし、「2期連続減益」という事実と「直近四半期は大幅増益」という事実は、どちらか一方だけを見ると企業の姿を見誤ります。面接や情報収集の際は、最新の四半期開示まで確認してから臨むことをおすすめします。

有価証券報告書が自ら挙げるリスク|制度・取引先・生産地の3つの集中

転職判断で最も価値があるのは、会社自身が「事業等のリスク」として開示している内容です。幸和製作所の場合、収益構造に3つの集中があることが明記されています。これは働く側の待遇や事業計画にも影響しうる構造要因です。

介護保険制度への依存39.6%

有価証券報告書によると、売上高の39.6%が介護保険制度に依存しています。福祉用具貸与は介護保険の給付対象であり、厚生労働省が全国平均貸与価格と上限価格を継続的に公表しています。2024年度の制度改定では、固定用スロープ・歩行器(歩行車を除く)・単点杖・多点杖について貸与と販売の選択制が導入されました。

ここは同社にとって微妙な位置にあります。主力である歩行車は選択制の対象から外れている一方、杖類は対象に含まれます。さらに次期改定での対象種目拡大も検討課題に挙がっており、制度設計の変更が品目別の売上構成と価格設定に直接効いてくる構造です(推定情報を含みます)。営業・商品企画・経営企画のいずれの職種でも、介護報酬改定や貸与価格上限の動きを読んで先回りする力が評価されやすい領域だと考えられます。

特定取引先への依存21.2%と、中国生産への依存

もう一つの集中は販売先です。有価証券報告書には、パナソニックエイジフリー株式会社1社への販売が21.2%を占めることが記載されています。売上の5分の1が1社に集中している状態であり、この取引条件の変化は業績に直結します。

3つ目は生産地です。主力製品の製造を中国・東莞の連結子会社が担うため、有価証券報告書は為替変動、原材料(アルミパイプ・樹脂)価格の高騰、物流コスト高騰、地政学リスクを列挙しています。福祉用具業界全体でも、中国の人件費上昇や米中摩擦を背景に、タイやベトナムなど第三国への生産分散を検討する動きが続いています。介護保険関連品目は原価上昇を国内販売価格へ転嫁しにくく、利益率が圧迫されやすいという業界共通の構造もあります。

知的財産をめぐる訴訟の開示について

開示された事実として記載します。幸和製作所は、2021年12月16日に「仮処分申立ておよび訴訟提起に関するお知らせ」を開示し、シルバーカーの同業である株式会社島製作所を相手方とする仮処分申立て・訴訟提起を公表しました。その後、2023年4月12日と同年11月13日に「経過について」の適時開示が行われています。相手方の島製作所側は、幸和製作所が保有する特許2件に対して無効審判を請求している旨を自社サイトで公表しています。

本記事では、これら開示された事実の範囲のみを記載し、係属状況・最終的な帰趨・当否の評価には立ち入りません。転職検討者にとっての意味は、勝敗の話ではなく、シルバーカーという成熟した市場で知的財産が競争手段になっているという事業環境の理解にあります。設計・開発職として応募するなら、特許・意匠を意識した製品開発が求められる可能性を念頭に置くとよいでしょう(推定情報)。なお、消費者庁・経済産業省のリコールや行政処分で同社に該当する事案は、本記事の調査範囲では見当たりませんでした。

口コミ傾向から見る働き方|労働時間は良好、育成・待遇の評価は低い

ここからは口コミ傾向のパートです。断定はできませんが、傾向としては「労働時間まわりは働きやすい」と「育成・待遇の評価は低い」がはっきり同居しているのが特徴です。

まず母数の話|OpenWorkは回答11人

スコアを見る前に、必ず母数を確認してください。OpenWorkの幸和製作所の総合評価は2.63ですが、これは回答者11人に基づく数値です。11人という規模では、1件の強い投稿がスコア全体を大きく動かします。転職会議は約53件、就活会議は約39件(うち退職理由・離職率カテゴリが7件)、エン カイシャの評判では総合3.1(正社員16人回答)という集計も見られ、媒体によって評価が割れています。

したがって、これらのスコアは「この会社の実力の測定値」ではなく、「少数の在籍者・退職者がどう感じたかのサンプル」として読むべきです。特に口コミサイトは退職者の投稿比率が高くなりやすいという構造的なバイアスもあります(推定情報)。

項目別スコアに現れる二極構造

OpenWorkの項目別スコアと労働時間指標は次の通りです(口コミ傾向/回答11人ベース)。

項目スコア・数値読み取り
月間残業時間18.3時間メーカーとしては短めの水準
有給休暇消化率86.2%取得しやすいという傾向
風通しの良さ3.3項目中では相対的に高い
人事評価の適正感3.1中位
社員の相互尊重2.8やや低い
待遇面の満足度2.5低い
法令順守意識2.5低い
社員の士気2.4低い
20代成長環境2.2低い
人材の長期育成1.9項目中で最も低い

定性的な傾向としては、肯定側に「残業は多くない」「有給は取りやすい」「賞与は約3ヶ月程度出る」といったワークライフバランス面の声があり、否定側には「オーナー企業でトップの意向が強い」「役職者の離職が目立つ」「長期育成の仕組みが弱い」といった声が見られます。いずれも匿名投稿であり、事実として断定できるものではありません。

この2つが同居する構図を、当編集部は次のように整理します(推定情報)。「時間は守られるが、キャリアの設計は自分でやる必要がある会社」という読み方です。残業18.3時間・有給消化86.2%は、育児や介護と両立したい方、資格勉強や副業的な学習に時間を使いたい方にとっては強い魅力です。一方で「長期育成1.9」「20代成長環境2.2」というスコアは、体系的な研修や計画的なローテーションを期待して入るとギャップが生じる可能性を示唆します。実際、提出会社が50名という規模では、大企業型の教育制度を整えること自体が構造的に難しいという面もあります。

求職者
求職者

残業が少ないのは魅力ですが、育成が弱いのは正直不安です。

面接で確認すべきは、制度の有無より運用の実態です。具体的には、直近1年で自部署に中途入社した人が何名いてどう立ち上がったか、評価面談の頻度と評価者、賞与の算定根拠、資格取得支援の実績あたりを聞くと、口コミより解像度の高い情報が得られます。

福祉用具業界の中で見る幸和製作所の将来性

個社の話を業界文脈に置き直します。結論としては、需要基盤は底堅いが、市場の伸びは緩やかで、個社の成長はシェア獲得力と新領域対応力に懸かるという構図です。

市場は拡大基調、ただし成熟化も同時進行

国内の福祉用具・介護用品市場は、矢野経済研究所の推計で2023年度に約3,624億円(9分野計・事業者売上高ベース、前年度比107.9%)とされ、団塊世代が全員75歳以上となる局面と在宅介護へのシフトを背景に需要は底堅く推移しています。一方で福祉用具レンタル分野は成熟期に入ったとの見方も強く、数年後にピークを迎えた後に緩やかな縮小へ向かうという予測も出ています。歩行車・シルバーカー・杖といった歩行支援分野はメーカー数が多く、価格と機能の両面で競争が続いています。

幸和製作所の売上が3期連続で64億円前後に張り付いていることは、この「市場は伸びるが個社は取り合い」という業界構造と整合的だと考えられます(推定情報)。裏を返せば、シェアを動かす商品企画やチャネル開拓ができる人材の貢献余地は大きいということでもあります。

保険外・EC領域と、介護DXという2つの変化

業界には現在2つの構造変化が起きています。1つは保険外・セルフケア領域とEC/D2Cチャネルの拡大です。シルバーカーや入浴・排泄・服薬支援用品は介護保険の貸与対象外で自費購入が中心となり、ドラッグストア・ホームセンター・通販・自社ECといった一般消費財に近い販路で売られています。高齢者本人だけでなく子世代が選んで買うケースが増え、デザイン性やブランド訴求、レビュー対策の重要性が高まっています。

幸和製作所はこの領域にEC子会社(ネクストケア・イノベーション)を持っていますが、そのEC事業は第39期に売上▲10.6%・利益▲13.4%と縮小しました。業界の追い風が吹いている領域で減収になっている点は、転職検討者としては注視すべき論点です。逆に、ECサイト運営・デジタルマーケティング・ブランディングの経験を持つ方にとっては、課題が明確な分だけ貢献の余地が見えやすい領域とも言えます(推定情報)。

もう1つは介護DX・テクノロジー化です。矢野経済研究所の推計で介護DX市場(5分野計)は2024年度に約546億円とされ、見守りセンサーや記録自動化の導入が進んでいます。従来は機構設計・金型・縫製が中心だった福祉用具メーカーにも、センサー搭載やアプリ連携といった要素技術が求められ始めています。同社は2015年にロボット技術を搭載した歩行車「リトルキーパス」を発売した実績があり、電気・組込み・IoTのスキルを持つ人がメカ中心の組織で新規領域を任される余地は相対的に大きいと考えられます(推定情報)。

幸和製作所で働くとはどういうことか|職種とキャリアパス

提出会社50名という規模から逆算すると、国内本体で担う機能はおおむね商品企画・設計開発・品質保証・法人営業・EC/マーケティング・管理部門に集約されると考えられます(推定情報)。大企業のように細分化された職務ではなく、一人が複数の役割を横断する働き方になりやすい規模です。

この業界で一般的なキャリアの伸ばし方は、次の4方向です。

  • 商品企画・開発ルート:介護現場・福祉用具専門相談員・ケアマネジャーからのニーズを起点に商品を企画し、ブランドマネージャーや開発責任者へ進む道。テイコブという確立したブランドを持つ点は、この職種にとって明確な資産です。
  • 営業・事業運営ルート:代理店・卸・レンタル事業者向けの法人営業から営業マネージャーへ、あるいはEC・通販事業やレンタル子会社の運営責任者へ広がる道。同社は貸与子会社とEC子会社を持つため、事業側へ移る選択肢が社内に存在します。
  • 業界内転職:パラマウントベッドやフランスベッド、アロン化成といった福祉用具・介護用品メーカー、レンタル卸、福祉用具貸与事業者への移籍。
  • 業界外転職:医療機器・ヘルスケア機器メーカー、生活用品・家庭日用品メーカーの商品企画職、ホームセンターやドラッグストアのバイヤー・PB開発職、ヘルスケアEC企業のマーケティング職。海外生産管理や調達の経験があれば消費財メーカーのSCM職も現実的です。

ニッチ業界であるがゆえに「専門性が社外で通用しないのでは」という不安は業界共通の懸念ですが、中国生産の管理・調達・品質保証・貿易実務は消費財メーカー全般で通用する汎用スキルです。この会社を選ぶなら、社内でどの機能に軸足を置くかを最初から意識しておくと、次のキャリアが描きやすくなります。

幸和製作所への転職が向いている人・向いていない人

これまでの公式情報・口コミ傾向をふまえ、適性を整理します(推定情報を含みます)。あくまで判断の補助線として使ってください。

向いている人向いていない人
残業18.3時間・有給消化86.2%という労働時間環境を最優先したい人体系的な研修・計画的なローテーションによる育成を期待する人
少人数の本体で企画から量産立ち上げまで横断的に関わりたい人職務が細分化された大企業型の分業環境で専門を深めたい人
海外生産管理・調達・品質保証の経験を活かしたい人国内自社工場でのものづくりを想定している人
介護保険制度や公的市場のルールを読んで戦略を立てるのが得意な人制度改定に業績が左右される環境を避けたい人
オーナー企業の意思決定スピードを前向きに捉えられる人合議・稟議で意思決定される組織文化を望む人
ニッチトップ商材のブランドを育てることに関心がある人売上規模の拡大と連動した昇給を重視する人

幸和製作所に関するよくある質問

幸和製作所への転職・就職を検討する人からよくある質問と回答をまとめました。実際に検索されている疑問に絞って回答します。

Q. 「テイコブ(TacaoF)」と幸和製作所は同じ会社ですか?

A. はい。Tacaof(テイコブ)は株式会社幸和製作所の自社ブランドで、2007年に創設されました。歩行車・シルバーカー・杖・手すり・入浴用品・排泄用品などを展開しています。ほかに「GENTIL MARRONE」「AURULA」といったサブブランドもあります。製品名の知名度が社名を上回っているため、求人を探す際は「幸和製作所」の社名で検索するほうが確実です。

Q. 平均年収505.8万円は、入社したら得られる年収ですか?

A. そのまま当てはめることはおすすめしません。この金額は第39期(2026年2月期)有価証券報告書の提出会社(単体)50名の平均であり、平均年齢41.0歳・平均勤続9年1ヶ月の層の数値です。連結211名の約8割は子会社に所属しており、応募先が本体か子会社かで条件が異なる可能性があります。また前期は554.3万円で、1年で約49万円動いています。最終的には内定時の労働条件通知書の金額で判断してください。

Q. 上場企業ですか?経営は安定していますか?

A. 東京証券取引所スタンダード市場に上場しています(証券コード7807)。2026年2月期は売上63億9,441万円・営業利益7億4,767万円の黒字ですが、営業利益は2期連続の減益です。また2019年2月期・2020年2月期には2期連続の最終赤字を計上した過去もあります。一方で2027年2月期第1四半期は営業利益+97.4%と大幅増益で始まっています。「安定している/していない」の二択ではなく、振れ幅のある会社として、最新の四半期開示まで見て判断することをおすすめします。

Q. 残業や休みの実態はどうですか?

A. 口コミ傾向としては、OpenWorkで月間残業18.3時間・有給休暇消化率86.2%と、労働時間まわりの指標は良好です。ただしこれは回答11人という極めて小さいサンプルに基づく数値であり、部署や職種による差は反映されていません。なお同社の有価証券報告書には労働組合が結成されていない旨と、労使関係は円満である旨が記載されています。女性管理職比率等は、公表義務の対象外であることを理由に有価証券報告書での記載が省略されています。

幸和製作所への転職判断まとめ

ここまでの内容を、判断軸ごとに整理します。最終的な判断は、求人票だけでなく自分の経験・適性も含めて確認しましょう。

判断軸評価
年収水準有報実額で約505.8万円(第39期・提出会社50名)。ただし前期比▲約49万円で、母集団50名ゆえの振れが大きい
数値の読み方連結211名の約8割は子会社所属。応募先の法人を必ず確認する必要がある
業績の安定性売上は3期連続64億円前後で横ばい、営業利益は2期連続減益。過去に2期連続最終赤字の実績あり。直近1Qは営業利益+97.4%
事業の強み1970年に国内初のシルバーカーを出したパイオニアで、テイコブブランドの一般認知が高い。主力セグメントの利益率は高水準
構造リスク介護保険依存39.6%、特定取引先21.2%、中国生産依存の3つの集中を会社自身が開示
働き方残業18.3時間・有給消化86.2%は好材料(口コミ傾向・回答11人)。一方で長期育成1.9・20代成長環境2.2は低い
ガバナンス創業家の資産管理会社が54.99%を保有する支配株主。社長個人も5.95%を保有するオーナー企業
おすすめできる人労働時間環境を重視し、少人数の本体で横断的に動ける人。海外生産管理・調達・品質保証の経験者

当編集部の見解として総合すると、幸和製作所は「規模は小さいが、ニッチ領域で確立したブランドを持つメーカー」であり、労働時間環境を重視する人には検討価値がある一方、育成体制や年収の上昇余地を最重視する人には慎重な確認が必要な会社だと考えられます。最も重要な確認事項は、繰り返しになりますが「応募先の法人はどこか」「提示される条件はいくらか」の2点です。

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本記事の出典・参考情報

本記事で参照した一次情報・口コミ情報の出典は以下の通りです。最新の正確な数値は各リンク先で確認してください。年収・従業員数などの中核データは、第39期(2026年2月期)有価証券報告書の実額を採用しています。

公式情報源

口コミ・評判の参照元

免責事項:本記事の数値・評価は公式情報・口コミ集計・市場推定の3分類で示しており、口コミ傾向や推定情報は断定ではなく傾向・可能性として表現しています。最終判断は読者自身で公式IRおよび内定時の労働条件通知書で確認してください。

この記事の編集方針・情報の確認について

この記事は、公式公開情報(有価証券報告書・IR資料)、求人情報、口コミ傾向をそれぞれ分けて整理し、転職・就職判断に役立つよう編集しています。年収・平均年齢・平均勤続年数・従業員数の中核データは第39期(2026年2月期)有価証券報告書「従業員の状況」を一次情報として採用し、対象期と母集団(提出会社単体か連結か)を必ず併記しました。口コミ・推定情報とは明確に区別しています。記載内容は最終更新時点の公開情報にもとづきます。最新の正確な数値は各公式IRページでご確認ください。

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コロ助
コロ助
企業と転職サービスを、有価証券報告書などの一次情報から読んでいます。
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