ネット広告のメディックス(331A)はやばい?残業月31時間と年収583万円で検証
※本記事にはプロモーションを含みます。
この記事の結論
- 会社の正体:証券コード331A、神保町の独立系ネット広告代理店です
- 平均年収:583.1万円(第43期有報)。前年比△2.2%と減少しました
- 残業:会社公表は月約21時間、口コミ集計は月31.0時間と開きがあります
- 評価は二極:風通し4.6・20代成長4.6に対し待遇2.7という分布です
「メディックス」で検索すると、バレーボールチームの上尾メディックス、整形外科・調剤系のクリニック、医療機器の日本メディックスなど、まったく別の法人がずらりと並びます。この記事が扱うのは、東京・神保町に本社を置く証券コード331Aの株式会社メディックス——1984年に広告制作プロダクションとして創業し、1997年にインターネット広告代理店へ業態転換した独立系のデジタルマーケティング支援会社です。2025年3月に東証スタンダード市場へ上場しました。転職検討者が気にするのは、結局「ネット広告代理店は残業がきついのか」「年収はいくらか」「上場したばかりだが業績は大丈夫か」の3点に集約されます。本記事では、第43期(2026年3月期)有価証券報告書の実額と、OpenWork677件・転職会議250件という厚い口コミ、そして上場初年度に起きた業績下方修正という事実を、それぞれ分けて整理します。
デジタル広告のメディックス(331A)とは|同名企業との違いと事業の中身
最初に押さえるべきは「どのメディックスか」の特定です。転職先として検討している会社が本当にこの会社かを、以下の3点で確認してください。
- 証券コード331A/東証スタンダード市場(2025年3月19日新規上場)
- 本社は東京都千代田区神田神保町1-105 神保町三井ビルディング19F(国内拠点は東京本社のみ)
- 事業はデジタルマーケティング支援の単一セグメント(東証33業種の分類はサービス業)
バレーボールVリーグの上尾メディックス(運営は別法人)、治療院向けサービスの株式会社メディックス、医療機器の日本メディックス、人材系のメディックスなどはいずれも別会社です。口コミサイト上でも「メディックス」という名前で複数社のページが並存しているため、OpenWorkや転職会議を見るときは「メディックス(インターネット)」表記のページかを必ず確認してください。ここを取り違えると、まったく別業界の評判を読んで転職判断してしまうことになります。
1984年創業、1997年にネット広告へ転換した「遅咲きの老舗」
公式情報として、同社は1984年3月に東京都文京区湯島で広告制作プロダクションとして創業しました。インターネット広告代理店へ業態転換したのが1997年8月で、そこから数えても四半世紀を超える社歴があります。それでいて上場は創業41年目の2025年3月。ネット広告業界のIPO企業が20〜30代の創業者によるスタートアップ中心であることを考えると、この経歴はかなり異質です。
この「遅咲きの老舗」という性格は、転職検討者にとって二つの意味を持ちます。ひとつは、景気後退やプラットフォームの仕様変更を何度もくぐり抜けてきた運用ノウハウの蓄積があること。もうひとつは、上場企業としての実績がまだ1年強しかなく、開示・IR・株主対応の面では新興企業と同じフェーズにあることです。実際、平均勤続年数は8.1年(第43期有報)と、平均年齢34.6歳の会社としては長めで、人が定着してノウハウが積み上がる構造がうかがえます。
売上の内訳は「BtoC 45%・BtoB 29%・データ 26%」
第43期(2026年3月期)の販売区分別売上は、BtoC領域19.27億円(45.3%)、BtoB領域12.14億円(28.5%)、データマネジメント・その他領域11.15億円(26.2%)です(公式情報・有価証券報告書)。運用型広告(検索連動型・ディスプレイ・フィード広告)の販売と運用が土台ですが、それだけの会社ではありません。
- 運用型広告:検索連動型・ディスプレイ・フィード広告の設計と運用
- マーケティングDX/アクセス解析:自社ソリューション「M-Data」によるデータ可視化・活用支援
- Webサイト制作:ランディングページ・サイト全体の制作
- インサイドセールス支援:2025年10月に子会社化した株式会社Sales Labが担う営業支援
- 台湾・アジア進出支援:2026年1月に子会社化した台湾・亞星通股份有限公司グループ
同社は成長戦略として「Beyond広告」を掲げ、BtoB領域とデータマネジメント領域を注力分野に据えています。広告運用の手数料だけに依存しない収益構造をつくる、という業界共通の課題に対する同社なりの答えです。転職者から見ると、広告運用だけでキャリアを終えたくない人にとっては隣接領域へ移れる可能性がある一方、「広告運用のスペシャリストとして極めたい」人には守備範囲の広さが負担にもなり得ます。
中核職種は「営業」ではなく「アカウントプランナー」
同社の求人を見るときに面食らうのが職種名です。中核職種は営業ではなくアカウントプランナー——集客・制作・解析・CRMまでを設計し統括する職種として定義されています。広告クリエイティブ専門組織「B-SOKU」、フィード広告ツール「M-Feed」、マーケDXソリューション「M-Data」など自社ブランド名が多いのも同社の特徴です。
この職種設計は、口コミで語られる評価の高さと負荷の重さの両方の源になっていると推定されます。提案から運用、レポーティング、次の打ち手の設計までを一人の担当が横串で持つ体制は、若手が早期に全体像を掴める反面、担当クライアント数や案件フェーズによって業務量のばらつきが大きくなりやすい構造だからです。
メディックスの公式データ一覧(有価証券報告書ベース)
本記事で扱う公式数値を一覧で確認できます。公式情報として、最新の正確な数値は公式IRページで再確認してください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社メディックス(Medix Inc.) |
| 証券コード・市場 | 331A/東証スタンダード市場(2025年3月19日上場) |
| 本社 | 東京都千代田区神田神保町1-105 神保町三井ビルディング19F |
| 創業 | 1984年3月(1997年8月にインターネット広告代理店へ転換) |
| 代表者 | 代表取締役社長 馬場昭彦/代表取締役会長 田中正則(2026年6月26日就任) |
| 平均年間給与 | 約583万円(5,831千円・対前年度△2.2%) |
| 平均年齢 | 34.6歳 |
| 平均勤続年数 | 8.1年 |
| 従業員数 | 連結343名(臨時雇用者46名)/提出会社単体268名(臨時雇用者17名) |
| 売上高 | 連結42.57億円(提出会社単体39.97億円) |
| 営業利益 | 連結6.59億円(経常利益6.62億円・親会社株主に帰属する当期純利益4.37億円) |
| 自己資本比率 | 47.4%(単体) |
| 年間休日 | 125日(公式採用サイトによる) |
| 平均残業時間 | 有価証券報告書では開示されていない(公式採用サイトは全社平均で月約21時間と記載) |
| 離職率 | 有価証券報告書では開示されていない |
| 出典 | 第43期(2025年4月1日〜2026年3月31日)有価証券報告書/公式IR資料/公式採用サイト |
数値はいずれも2026年3月31日現在です。なお同社の公式サイト「会社概要」は従業員数を連結379名(2026年3月現在)と記載しており、有価証券報告書の343名と一致しません。集計区分が異なるためで、本記事では一次情報である有価証券報告書の数値を採用しています。
メディックスは残業がやばい?月21時間・31時間・50時間という3つの数字
結論から言うと、メディックスが「やばい会社」と断定できる根拠はありません。一方で、労働時間について語られる数字が発信元ごとに大きく食い違っていることは事実で、これが不安の正体です。転職検討者が見るべきなのは平均値そのものではなく、なぜ差が生まれるのかという構造です。
| 数字の出どころ | 月あたり残業時間 | 情報の分類 |
|---|---|---|
| 公式採用サイト(中途採用ページ) | 全社平均で約21時間(個人差は大きいと明記) | 公式情報 |
| OpenWorkの回答集計 | 31.0時間 | 口コミ傾向 |
| 個別の口コミコメント | 「部署によっては月平均50時間」という投稿もある | 口コミ傾向 |
会社が公表する約21時間と、OpenWork集計の31.0時間の間には月10時間の開きがあります。口コミ傾向として投稿には「残業は当たり前」「リモートだと19時定時のところ22時まで」「配属チームによっては平日のプライベートはほぼない」といった具体的な声が見られます。有給消化率は74.0%(OpenWork集計)です。
なぜ会社公表値と口コミにズレが出るのか
差の原因は、推定情報として次の3つが考えられます。
- 母集団の違い:会社公表は全社平均(管理部門・制作・運用など全職種を含む)ですが、口コミの投稿者は業務負荷を強く感じた人ほど書き込む動機が高くなります
- 部署間・担当クライアント間の格差:口コミが繰り返し指摘するのはこの点です。運用型広告はキャンペーンの立ち上げ時期と月初のレポーティングに業務が集中しやすく、担当アカウントの規模と本数で体感がまるで変わります
- 時期による変動:業界共通の特性として、広告予算の期末消化や大型キャンペーンの立ち上がりで繁閑差が生じます
つまり「メディックスの残業は何時間か」という問いには、単一の答えが存在しません。面接で確認すべきは平均値ではなく、配属予定のユニットが担当するクライアントの業種・規模・本数、そして直近3か月の実残業時間です。同社は部門を小組織に分けて自律運営する「ユニット経営」を採っているため、この問いはむしろ答えやすい構造になっています。
一方で、制度面は同業水準より整えられている
負荷の話だけで判断するのは公平ではありません。公式情報として、同社の働き方に関する制度は以下の通りです。
- 年間休日125日、フレックスタイム制(コアタイムなし)
- 月10日まで在宅勤務可
- 勤続5年ごとに2週間連続の「リフレッシュ休暇」
- 社外研修の受講費用を最大30万円まで補助
- 子が満20歳になるまで月15,000円の育児手当
勤続5年ごとに2週間連続で休める制度は、代理店業界では珍しい部類です。平均勤続年数8.1年という有報の実額とあわせて読むと、「入社直後の数年は負荷が高いが、続けられる人には長く働ける仕組みがある会社」という像が浮かびます(推定情報)。
OpenWorkのスコアは「上位2%」だが中身は真っ二つ
興味深いのは、同社が有価証券報告書の人材戦略の項で、自らOpenWorkのスコアを実績として開示している点です。有報でクチコミサイトの評価に言及する上場企業はほとんどありません。それだけ社内で誇っている指標ということでしょう。
| 評価項目(OpenWork) | スコア | 読み取れること |
|---|---|---|
| 総合評価 | 3.79(全79,953社中 上位2%) | 全体としては高評価の部類 |
| 風通しの良さ | 4.6 | 意見が言いやすい組織文化 |
| 20代成長環境 | 4.6 | 若手が早期に裁量を得られる |
| 社員の相互尊重 | 3.8 | 人間関係のトラブルは少なめ |
| 法令順守意識 | 3.7 | 標準的な水準 |
| 待遇面の満足度 | 2.7 | 報酬への納得感は課題 |
| 人材の長期育成 | 2.5 | 体系的な育成・キャリアパスは弱いという声 |
回答者数は82名(平均年齢29歳)、口コミ総数は677件で、従業員268名規模の企業としてはかなり厚い蓄積です。口コミ傾向としては「運用型広告のスキルは他代理店では得られないレベルで身につく」「人が良く人間関係で悩まない」「中途入社が多く自己成長を実感している人が大多数」という高評価と、「長期的なキャリアパスが見えにくい」「給与の伸びに納得しづらい」という不満が同居しています。
この二極化は矛盾ではありません。短期の成長機会と長期の処遇・育成がトレードオフになっているという一貫した構図として読むのが自然です(推定情報)。20代で運用型広告の実務を最短距離で身につけたい人には強く噛み合い、30代後半以降の年収カーブや管理職ポストの見通しを重視する人には物足りなく映る、ということです。
メディックスの年収は583.1万円|なぜ前年より2.2%下がったのか
結論として、メディックスの平均年間給与は583.1万円です。ただしこの数字は前年から下がっており、その理由が同社の報酬制度そのものにあります。ここを理解しないまま入社すると、想定と実額がずれる可能性があります。
公式の平均年収・平均年齢・平均勤続年数
公式情報として、第43期(2026年3月期)有価証券報告書「従業員の状況」に記載された提出会社の数値は以下の通りです。賞与および基準外賃金を含みます。
| 項目 | 第43期(2026年3月期) | 補足 |
|---|---|---|
| 平均年間給与 | 5,831千円(約583.1万円) | 対前事業年度増減率 △2.2% |
| 平均年齢 | 34.6歳 | — |
| 平均勤続年数 | 8.1年 | — |
| 従業員数(単体) | 268名 | 臨時雇用者17名は外数 |
同社は純粋持株会社ではなく事業会社そのものであり、連結343名のうち268名が提出会社に所属しています。したがってこの583.1万円は現場社員の実態からの乖離が小さい数字と判断できます。持株会社単体の少人数だけを対象にした平均年収が独り歩きするケースがありますが、メディックスはそれには当たりません。
△2.2%という増減率から逆算すると、前期(第42期)の平均年間給与はおおむね596万円前後だったと推定されます。つまり1年で13万円ほど下がった計算です。
賞与原資が営業利益に連動する——「ユニット経営」の報酬構造
年収が下がった理由は、同社の報酬設計を見ると腑に落ちます。公式情報として有報に記載されている仕組みは次の通りです。
- ユニット経営:部門を小組織(ユニット)に分割し、自律的な意思決定と採算管理を徹底する
- 賞与原資は当該年度の営業利益に連動し、取締役会が決定する
- 経常利益の状況次第で決算賞与も支給される
- 役割期待グレード制度:入社年次や経験年数によらず、半期ごとに「役割期待」でグレードを再設定する
- イマコレシート:社員の現在スキル・将来志向・役割を可視化する独自ツール
第43期の連結営業利益は6.59億円で、前期(単体)の8.03億円から約17.8%の減益でした。賞与原資が営業利益連動である以上、減益はそのまま平均年収の減少として現れます。実際に平均年間給与は△2.2%。因果関係が数字で追える、珍しくクリアな構造です。
これは裏を返せば、業績が伸びた年には賞与で上振れする仕組みでもあります。安定した固定給を最優先する人にとってはリスク、成果と報酬の連動を望む人にとっては魅力——どちらに映るかで評価が正反対になります。OpenWorkの「待遇面の満足度2.7」というスコアは、直近が減益局面だったことと無関係ではないでしょう(推定情報)。
口コミベースの年収傾向と、職種別の目安
口コミ傾向として、OpenWork回答者ベースの平均年収は532万円(回答82名・平均年齢29歳)です。有報の583.1万円より約51万円低く出ていますが、これは回答者の平均年齢が29歳と、有報の平均年齢34.6歳より5歳以上若いためと考えられます。年齢構成の違いを補正すれば、両者は概ね整合的です。
職種別・役職別の年収は有価証券報告書では開示されていません。以下は公開情報から組み立てた推定情報であり、実額は必ず内定時の労働条件通知書で確認してください。
- 新卒初任給:月28万1,500円(諸手当含む/試用期間中は25万6,500円)——公式情報・公式採用サイト
- 20代のアカウントプランナー:400万円台後半〜500万円台が中心と推定(口コミの平均年収532万円・平均年齢29歳から)
- 30代の中堅・ユニットリーダー層:600万円台前後が目安と推定(有報平均583.1万円・平均年齢34.6歳から)
- 賞与:業績連動のため年による変動幅が大きい(公式情報:賞与原資は営業利益連動)
転職時に確認すべき年収のポイント
面接・オファー面談では、次の3点を必ず確認してください。
- 提示年収のうち賞与見込みが占める割合——業績連動部分が大きいほど、着地額の振れ幅が大きくなります
- 役割期待グレードのどこに位置づけられるかと、次のグレードに上がる条件
- 直近3期の賞与支給実績(減益局面だった第43期がどう反映されたか)

平均583万円って業界的にはどう見ればいいんですか?
ネット広告代理店は、大手ネット専業と中堅・独立系で水準に差が出やすい業界です。従業員268名・時価総額約40億円という規模を踏まえると、583.1万円は中堅独立系として不自然に低い水準ではありません。ただし業界最大手クラスと比べれば差があるのも事実で、「扱える予算規模と待遇では大手に及ばないが、担当領域の広さと裁量では上回る」というのが中堅独立系の一般的なポジションです(推定情報)。
上場初年度の下方修正と3期連続減収|数字で見る現在地
メディックスを検討するうえで避けて通れないのが、上場初年度につまずいたという事実です。ネガティブに見える材料ですが、内訳を分解すると評価は一枚岩ではありません。事実を時系列で並べます。
2026年2月の経常利益26.7%下方修正
公式情報として、同社は2026年2月10日に、2026年3月期通期の連結経常利益予想を8.3億円から6.1億円へ26.7%下方修正しました。第3四半期累計の経常利益が前年同期比29.4%減、第3四半期単独の売上営業利益率が23.4%から20.2%へ低下したことが背景です。上場から1年経たないタイミングでの下方修正でした。
最終的な着地は連結売上高42.57億円、連結営業利益6.59億円、経常利益6.62億円、親会社株主に帰属する当期純利益4.37億円。修正後予想は上回ったものの、当初計画からは大きく下振れした形です。
単体売上は3期連続減収、従業員数も純減
より構造的な論点はこちらです。公式情報として有報から拾える推移を並べます。
| 期(決算期) | 提出会社単体 売上高 | 単体 従業員数 |
|---|---|---|
| 第39期(2022年3月期) | 143.92億円 ※会計基準変更前 | 272名 |
| 第40期(2023年3月期) | 42.73億円 | 263名 |
| 第41期(2024年3月期) | 41.80億円 | 274名 |
| 第42期(2025年3月期) | 41.62億円 | 279名 |
| 第43期(2026年3月期) | 39.97億円(連結42.57億円) | 268名 |
ここで重要な注記があります。第39期の143.92億円から第40期の42.73億円への大幅減は、「収益認識に関する会計基準」の適用により総額表示から純額表示へ変更されたことが主因であり、事業が3分の1に縮小したわけではありません。この点を誤読した比較記事も見かけるため、注意が必要です。
一方で、会計基準が揃った第41期以降を見ると、41.80億円→41.62億円→39.97億円と単体売上は3期連続で減収しています。単体従業員数も279名から268名へ11名の純減。第43期の連結売上42.57億円は、2025年10月に子会社化したSales Labと2026年1月に子会社化した台湾グループの取り込みによるものです。
2027年3月期は増収計画だが、成長の中身はM&A
公式情報として、2027年3月期の会社予想は売上高49.75億円(前期比+16.9%)、営業利益7.07億円です。増収率は二桁ですが、その主因は連結子会社の通年寄与——つまりM&Aによる非連続成長です。既存事業の自律成長がどこまで戻るかは、次期の単体・セグメント動向を見る必要があります。
株式市場の評価も参考になります。第43期の株主総利回りは72.2%で、比較指標である東証スタンダード市場指数の134.1%を大きく下回りました。株価は第43期中に最高683円・最低462円で推移しています。2026年8月21日時点では時価総額約39.8億円、PER(連結)8.24倍、PBR1.14倍、ROE12.96%、配当利回り3.86%です(公式情報・IRバンク集計値)。配当方針は「原則減配せず維持または増配」の累進配当で、DOE4.0%程度を目安としています。
転職判断としてどう読むか。ROE12.96%・自己資本比率47.4%・無借金ではないが財務制限条項に抵触なしという状態は、財務的に危機的な会社の姿ではありません。ただし、賞与原資が営業利益に連動する報酬制度を採る以上、減益局面が続けば年収の上振れは期待しにくいという実務的な影響は避けられません(推定情報)。
ネット広告代理店としての将来性|AI自動化・メディア依存・領域拡張
市場そのものは伸びています。電通「2025年 日本の広告費」によると、2025年の総広告費8兆623億円のうちインターネット広告費は4兆459億円(前年比110.8%)で、構成比50.2%と初めて総広告費の過半を占めました。インターネット広告媒体費は3兆3,093億円、2026年は前年比108.3%の3兆5,840億円と予測されています。
ただし、市場が伸びていることと、個社の代理店が伸びることはイコールではありません。業界には3つの構造変化が同時に走っています。
構造変化1:AI自動化が「運用代行」の付加価値を削る
プラットフォーム側のAIが入札管理・配信最適化を高精度で代替し、生成AIによる広告コピー・画像・動画の制作も実用水準に達しています。単純な運用代行の付加価値は相対的に縮小し、データ分析に基づくインサイト発見や業種特化の知見での差別化が業界共通の課題になっています。
メディックス自身も、有報の事業等のリスクで「生成AIを含む技術革新への対応」を影響度「中」のリスクとして明記しています(公式情報)。同社が「Beyond広告」を掲げてBtoB領域・データマネジメント領域へ軸足を広げているのは、この構造変化への対応と読めます。
構造変化2:メディア3社への仕入集中というリスク
同社は有報で、Google・LINEヤフー・Metaの上位3社で年間仕入高の大部分を占めることをリスク(影響度「中」)として開示しています。これは同社固有というより運用型広告代理店に共通の構造ですが、プラットフォーム側の手数料体系・仕様変更が直接業績に響くことを意味します。転職検討者にとっては、「自分が身につけるスキルが特定プラットフォームに依存していないか」を確認する材料になります。
構造変化3:業界再編と、独立系というポジション
博報堂DYによるオプトの完全子会社化、NTTドコモによるCARTA HOLDINGSの買収など、業界では大型再編が続いています。この中でメディックスは親会社・支配株主を持たない独立系です。大株主は小谷中茂樹19.97%、水野昌広15.85%、メディックス従業員持株会9.37%、小谷中一樹6.65%、田中正則5.61%と個人中心で、個人株主比率は86.58%、機関投資家はほぼ不在です(2026年3月31日現在・公式情報)。
従業員持株会が第3位株主というのは、ネット広告業界では珍しい構図です。会社側も「上位3名で約45.2%」という株式の集中を、事業等のリスクとして自ら挙げています。独立系であることは特定資本の意向に縛られない自由度をもたらす一方、規模の経済では大手グループに劣るという両面があります(推定情報)。
同業他社と比べたときのメディックスの立ち位置
読者が実際に併願しやすい上場ネット広告関連企業と、ポジションの違いを整理します。各社の年収・業績数値は各社の最新有価証券報告書で確認してください(本表は資本の性格と事業ポジションの比較であり、年収比較表ではありません)。以下には推定情報を含みます。
| 企業名(コード・市場) | 資本の性格 | 主戦場 | メディックスとの違い | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|
| メディックス(331A・スタンダード) | 独立系・個人株主中心(従業員持株会が第3位) | 運用型広告+BtoB・データマネジメント | — | アカウントプランナーとして提案から運用まで一気通貫で担いたい人 |
| サイバーエージェント(4751・プライム) | 独立系の大手・メディア/ゲーム事業も併営 | ネット広告代理事業の最大手 | 扱う予算規模・体制・研修の厚みが桁違い。分業も進む | 大規模予算と最先端の運用環境を求める人 |
| セプテーニ・ホールディングス(4293・スタンダード) | 電通グループ傘下 | 運用型広告のプロ集団+メディア事業 | 資本が大手広告グループ。メディックスは独立系 | 大手グループの資本基盤の中で運用を極めたい人 |
| アドウェイズ(2489・グロース) | 独立系 | 運用型広告・アフィリエイト、海外展開 | 規模帯が近い。海外比率と事業構成が異なる | 海外市場やアフィリエイト領域に関心がある人 |
| デジタルホールディングス(2389・プライム) | 持株会社(オプトを傘下に持つ) | デジタルシフト支援・BtoB/データ活用 | 「広告の先」の打ち出しが近く、直接競合しやすい | DXコンサル寄りのキャリアを志向する人 |
この5社を並べると、メディックスの位置づけがはっきりします。規模では大手に及ばないが、独立系で資本の中立性があり、かつBtoB・データ領域まで一人の担当が横串で見られる——これが同社の差別化ポイントです。逆に、体系的な研修制度や明確な等級別キャリアラダー、大規模予算の運用経験を求めるなら、大手ネット専業のほうが噛み合う可能性があります(推定情報)。
メディックスの転職難易度・就職難易度と選考で見られる点
転職難易度は、募集職種と経験によって大きく変わります(推定情報)。同社は中途を通年採用(採用管理システムHRMOSを利用)で募集しており、従業員268名に対して口コミに「中途入社が多い」という声が並ぶことから、中途の門戸は比較的広めと推定されます。一方で新卒採用は毎年15〜20名規模で継続しており、就活会議・マイナビ・ワンキャリアなどに情報が蓄積されています。
中途採用:未経験可のポジションもあるが「設計できるか」が鍵
中核職種のアカウントプランナーは、集客・制作・解析・CRMまでを設計統括する役割です。推定情報として、選考で見られるのは次の3点と考えられます。
- 広告運用の実務経験(検索連動型・ディスプレイ・SNS・フィード広告のいずれか)。ただし業界未経験からの中途入社も口コミで確認できるため、必須要件とは限らない
- クライアントの事業課題を数値で捉え、施策に落とす力——同社の「Beyond広告」戦略上、広告の枠内で完結しない提案が求められる
- ユニット(小組織)で自律的に動けるか——ユニット経営という組織設計上、指示待ちでは機能しにくい
ネット広告業界からの転職なら、運用型広告の実務経験が最も直接的に評価されます。事業会社のインハウスマーケター、Web制作、インサイドセールス経験者にも接点がある構成です。
新卒(就職難易度):学部学科不問、初任給28万1,500円
公式情報として、新卒の募集要項は学部・学科不問(既卒3年未満可)で、初任給は月28万1,500円(諸手当含む・試用期間中25万6,500円)です。東証スタンダード上場の中堅代理店という位置づけから、就職難易度は大手広告代理店・大手ネット専業と比べれば相対的に高くはないと推定されます。ただし採用規模が15〜20名程度と絞られているため、志望度の高さと業界理解の深さは問われるでしょう。
なお高卒採用については、募集要項が大卒前提のアカウントプランナー採用となっており、高卒向けの独立した採用枠は確認できる公開情報の範囲では見当たりません。
選考前に必ず見ておくべき「聞くべき質問」
- 配属予定ユニットの担当クライアント業種・案件本数・直近3か月の平均残業時間
- 役割期待グレード制度における自分の初期グレードと、次段階への具体的条件
- 直近3期の賞与支給実績(第43期の減益がどう反映されたか)
- 入社後3年でどの領域(BtoB・データマネジメント・海外)に関わる可能性があるか
メディックスへの転職が向いている人・向いていない人
これまでの公式情報・口コミ傾向をふまえ、適性を整理します(推定情報を含みます)。
| 向いている人 | 向いていない人 |
|---|---|
| 20代のうちに運用型広告の実務を最短距離で身につけたい人(20代成長環境4.6) | 体系的な研修と長期のキャリアラダーが用意された環境を求める人(人材の長期育成2.5) |
| 提案・運用・解析・CRMまで一人で横串を通す働き方に手応えを感じる人 | 職務範囲が明確に区切られた分業体制で専門特化したい人 |
| 成果と報酬の連動(賞与=営業利益連動)を前向きに受け止められる人 | 賞与変動の少ない安定した固定給を最優先する人(待遇面の満足度2.7) |
| 年功ではなく半期ごとの役割期待で評価される仕組みを歓迎する人 | 年次に応じた昇給・昇格の見通しを重視する人 |
| フラットな組織で意見を通したい人(風通しの良さ4.6) | 繁忙期の業務集中や部署間の負荷差を許容しづらい人 |
メディックスへの転職|編集部の見解
編集部の見解として、メディックスは「評価の分かれ目がはっきりしている会社」です。曖昧に良い・悪いと言えるタイプではなく、読者の優先順位によって結論が正反対になります。
推せる理由は3つあります。第一に、OpenWork総合3.79(上位2%)・風通し4.6・20代成長環境4.6という数字は、中堅代理店として明確な強みです。しかも会社自身が有報でこのスコアを掲げており、経営が組織文化を重要指標として意識していることが読み取れます。第二に、平均勤続年数8.1年・年間休日125日・勤続5年ごとの2週間連続リフレッシュ休暇・月10日在宅可という制度は、代理店業界の平均像より整えられています。第三に、独立系で資本の中立性があり、BtoB・データ領域まで担当領域が広いため、広告運用一本足にならないキャリアが積める可能性があります。
一方で、慎重に見るべき点も3つあります。第一に、賞与原資が営業利益連動であるため、減益局面では年収が下振れします(実際に第43期は△2.2%)。第二に、単体売上が3期連続減収で、直近の成長はM&Aによる非連続な部分が大きく、上場初年度に26.7%の下方修正を出しています。第三に、「人材の長期育成2.5」というスコアが示す通り、体系的な育成の仕組みに関する不満が繰り返し投稿されています。
総合すると、20代〜30代前半で運用型広告とデジタルマーケティングの実務力を厚くしたい人にはおすすめできる一方、安定した年収カーブと長期の育成投資を最優先する人には慎重な検討をおすすめします。判断を分けるのは会社の善し悪しではなく、あなたがキャリアのどのフェーズで何を取りに行くかです。
メディックスに関するよくある質問(FAQ)
メディックスへの転職・就職を検討する人からよくある質問と回答をまとめました。
上尾メディックスやクリニックのメディックスと同じ会社ですか?
いいえ、すべて別法人です。本記事が扱うのは証券コード331A・東証スタンダード市場に上場する株式会社メディックス(本社:東京都千代田区神田神保町、デジタルマーケティング支援事業)です。バレーボールVリーグの上尾メディックス、治療院向けサービスの株式会社メディックス、医療機器の日本メディックスなどは、いずれもまったく別の会社です。口コミサイトで情報を見る際は「メディックス(インターネット)」表記のページかを確認してください。
メディックスの平均年収はいくらですか?
公式情報として、第43期(2026年3月期)有価証券報告書「従業員の状況」に記載された平均年間給与は5,831千円(約583.1万円)で、対前事業年度増減率は△2.2%です。平均年齢34.6歳、平均勤続年数8.1年。純粋持株会社ではなく事業会社本体の数値のため、現場実態からの乖離は小さいと判断できます。参考として、OpenWorkの回答者ベース平均年収は532万円(回答82名・平均年齢29歳)です。
残業は実際どのくらいありますか?
発信元によって数字に幅があります。公式採用サイトは全社平均で月約21時間(個人差は大きいと明記)、OpenWorkの集計は月31.0時間、個別の口コミには「部署によっては月平均50時間」という投稿も見られます。有給消化率は74.0%(OpenWork集計)。口コミ傾向として部署・担当クライアントによる差が繰り返し指摘されているため、面接では配属予定ユニットの直近実績を確認することをおすすめします。
メディックスの転職難易度は高いですか?
推定情報として、中途は通年採用で門戸は比較的広めと考えられます。口コミにも「中途入社が多い」という声が複数見られます。ただし中核職種のアカウントプランナーは提案から運用・解析まで担うため、広告運用の実務経験、もしくは事業課題を数値で捉えて施策に落とす力が評価されやすいでしょう。新卒は学部・学科不問(既卒3年未満可)で、採用規模は毎年15〜20名程度です。
上場後に株価が下がっていますが、会社は大丈夫でしょうか?
事実として、第43期の株主総利回りは72.2%で東証スタンダード市場指数の134.1%を下回り、2026年2月10日には通期連結経常利益予想を8.3億円から6.1億円へ26.7%下方修正しています。一方で第43期も黒字(連結営業利益6.59億円・当期純利益4.37億円)を維持し、自己資本比率47.4%、ROE12.96%、配当利回り3.86%で累進配当方針を掲げています。財務が危機的な状況を示す数値ではありませんが、賞与が営業利益連動である以上、業績が処遇に直結する点は理解しておく必要があります。
未経験からでも入社できますか?
口コミ傾向として、業界未経験からの中途入社の投稿は確認できます。ただし職種・時期によって募集要件は変わるため、実際の要件は公式採用サイトの募集要項で確認してください。新卒は学部・学科不問で、社外研修の受講費用を最大30万円まで補助する制度があります(公式情報)。
リモートワークや休暇の制度はどうなっていますか?
公式情報として、フレックスタイム制(コアタイムなし)、月10日まで在宅勤務可、年間休日125日、勤続5年ごとに2週間連続の「リフレッシュ休暇」、子が満20歳になるまで月15,000円の育児手当が用意されています。なお男女の賃金差異は全労働者88.9%/正規雇用労働者78.2%/パート有期113.6%と有報で開示されている一方、管理職に占める女性比率と男性育休取得率は「公表義務の対象外」として非開示です。
メディックスへの転職判断まとめ
ここまでの内容を、判断軸ごとに整理します。最終的な判断は、求人票だけでなく自分の経験・適性も含めて確認しましょう。
| 判断軸 | 評価 |
|---|---|
| 年収水準 | 平均583.1万円(有報第43期)。中堅独立系として妥当な水準だが、前年比△2.2%と直近は減少 |
| 報酬の安定性 | 賞与原資が営業利益連動。業績で振れる設計のため、固定給重視の人には要注意 |
| 働き方 | 年間休日125日・フレックス(コアなし)・月10日在宅・5年ごと2週間休暇と制度は充実。ただし残業は部署差が大きいという口コミ傾向 |
| 成長環境 | OpenWork「20代成長環境4.6」「風通し4.6」は明確な強み |
| 長期育成・キャリアパス | 「人材の長期育成2.5」と課題。半期ごとの役割期待グレード制度が年功型と異なる点は好みが分かれる |
| 事業の安定性 | 黒字継続・自己資本比率47.4%。ただし単体3期連続減収、上場初年度に26.7%の下方修正 |
| 将来性 | ネット広告市場は構成比50.2%と拡大。ただしAI自動化とメディア3社依存という構造リスクを会社自身が開示 |
| 転職難易度 | 中途は通年採用で門戸は比較的広めと推定。新卒は学部学科不問・年15〜20名規模 |
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この記事の編集方針・情報の確認について
この記事は、公式公開情報(有価証券報告書・IR資料)、求人情報、口コミ傾向をそれぞれ分けて整理し、転職・就職判断に役立つよう編集しています。年収・平均年齢・従業員数などの中核データは第43期(2026年3月期)有価証券報告書「従業員の状況」を一次情報として確認し、口コミ・推定情報とは明確に区別しています。同名の別法人(上尾メディックス、日本メディックス、治療院向けサービスのメディックス等)との混同を避けるため、本記事は証券コード331A・東京都千代田区神田神保町に本社を置く企業のみを対象としています。記載内容は最終更新時点の公開情報にもとづきます。最新の正確な数値は各公式IRページでご確認ください。
