株式会社ヤギ(7460・繊維商社)の年収・評判|単体平均900万円は誰の数字か
※本記事にはプロモーションを含みます。
この記事の結論
- 正体:証券コード7460・大阪船場の繊維専門商社。社名は創業家由来で動物とは無関係
- 年収:有報の単体平均900.2万円は本社商社機能271名の数字。子会社は別水準
- 業績:純利益は5期で3.7億→36.7億円。牽引役はTATRASとアパレルOEM
- 注意点:年功的な社風・長い下積み・女性総合職の少なさが口コミの主な懸念
「ヤギ」という社名で検索すると、企業とは無関係の情報が大量に並びます。この記事で扱うのは株式会社ヤギ(証券コード7460・東証スタンダード)、1893年に大阪・船場で綿糸商として創業した繊維専門商社です。社名は創業家である八木家に由来し、動物のヤギとも、同じ読みの人名とも一切関係がありません。この会社について転職検討者が知りたいのは、おそらく次の3点でしょう。有価証券報告書に載る平均年間給与900万円超は本当に社員全員の水準なのか、純利益が5期で約10倍になった業績はどこから来ているのか、そして2021年に開示された福井支店の不適切取引をどう受け止めるべきか。本記事では第114期(2026年3月期)有価証券報告書の実額を軸に、公式情報・口コミ傾向・推定情報を分けて整理します。
株式会社ヤギ(7460)はどんな会社か|船場で130年続く繊維商社
結論から言うと、株式会社ヤギは「糸と生地を売る商社」から「OEMとブランドで稼ぐ会社」へ重心を移しつつある、大阪発の独立系繊維商社です。この章では、社名の由来と事業の中身を先に押さえます。ここを理解しておくと、後述する年収900万円の「誰の数字か」という問題が読み解きやすくなります。
社名の由来と沿革(公式情報)
公式情報として、公式サイトの沿革によると、同社は1893年(明治26年)10月に綿糸商「八木商店」として大阪で創業し、1918年4月28日に会社を設立しました。かつて大阪・船場には「船場八社」と呼ばれる有力繊維商社群がありましたが、その中で現在も独立した上場企業として存続しているのは同社のみとされています。1995年に大阪証券取引所二部に上場、2013年に東証二部へ、2022年4月の市場再編でスタンダード市場に移行しました。決算期は2002年に10月期から3月期へ変更されています。本社は大阪市中央区久太郎町二丁目2番8号で、東京本社は2026年3月に港区赤坂二丁目17番22号へ移転した二本社制です。親会社はなく、持株会社でもありません。代表者は代表取締役社長執行役員の八木隆夫氏(創業家)です。
5つのセグメントと売上の内訳(公式情報)
第114期有価証券報告書によると、事業は次の5セグメントに分かれます(2026年3月期の外部売上高)。
- マテリアル事業:綿・合繊などの糸、テキスタイル、産業資材。売上247.25億円(減収)
- ライフスタイル事業:寝装品・タオル・化粧用パフなどの雑貨。売上49.13億円(減収)
- アパレル事業:アパレルメーカー・小売向けOEM/ODM。売上443.41億円(+1.8%)で最大セグメント
- ブランド・リテール事業:子会社WEAVAが展開するダウンブランド「TATRAS」など。売上133.48億円(+25.3%)
- 不動産事業:保有不動産の賃貸。売上8.95億円
連結売上高859億34百万円のうち、アパレル事業が約半分、マテリアル事業が約3割を占めます。つまり「繊維商社」といっても、糸や生地の卸売だけで成り立っているわけではなく、完成品のOEM供給が主力です。連結子会社は22社、関連会社は3社で、製造機能を持つ日本パフ、ヴィオレッタ、ツバメタオル、山弥織物などと、ブランド運営のWEAVA、ミラノのTATRAS S.R.L.、YAGI VIETNAM、YAGI INTERNATIONAL INDIAなどの海外現地法人を含みます。上海・ホーチミン・ハノイ・ダッカに駐在員事務所を置き、生産地はアジア中心です。
株式会社ヤギの公式データ一覧(有価証券報告書ベース)
本記事で扱う公式数値を一覧で確認できます。公式情報として、第114期(2025年4月1日〜2026年3月31日)有価証券報告書(2026年6月23日提出)および2026年3月期決算短信の実額です。最新の正確な数値は公式IRページで再確認してください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 商号 | 株式会社ヤギ(YAGI & CO.,LTD.)/証券コード7460/東証スタンダード |
| 本社 | 大阪市中央区久太郎町二丁目2番8号(東京本社:東京都港区赤坂二丁目17番22号) |
| 創業・設立 | 1893年10月創業/1918年4月28日設立 |
| 代表者 | 代表取締役社長執行役員 八木隆夫 |
| 資本金 | 10億88百万円 |
| 平均年間給与 | 9,002,299円(提出会社単体・2026年3月31日現在・前期比+6.1%と有報に明記。賞与・基準外賃金を含む) |
| 平均年齢 | 39.7歳(提出会社単体) |
| 平均勤続年数 | 14.3年(提出会社単体) |
| 従業員数 | 単体271名[臨時従業員年間平均124名]/連結799名[258名](2026年3月31日現在) |
| 労働組合 | ヤギ従業員組合 225名 |
| 売上高 | 連結859億34百万円(2026年3月期・前期比+3.1%)/単体619億35百万円 |
| 営業利益 | 連結42億28百万円(+18.3%)/単体16億78百万円(▲1.5%) |
| 経常利益・純利益 | 経常利益48億24百万円(+28.1%)/親会社株主帰属当期純利益36億70百万円(+39.8%) |
| 財務指標 | 自己資本比率56.6%/ROE8.2% |
| 配当 | 2026年3月期156円(記念配当50円含む)/2027年3月期予想180円 |
| 2027年3月期会社予想 | 売上高880億円(+2.4%)/営業利益44億円(+4.1%)/純利益37億円 |
| 出典 | 第114期 有価証券報告書(EDINET E02825)/2026年3月期決算短信/公式サイト会社概要・沿革 |
年収900万円の正体|「単体271名」の数字である理由
先に結論を述べます。有価証券報告書の平均年間給与9,002,299円は事実ですが、これは提出会社単体271名、すなわち大阪・東京の本社で商社機能を担う社員を中心とした数字です。連結799名のうち残る528名は製造子会社やブランド子会社の所属で、その給与水準はこの数字に含まれていません。「ヤギに入れば900万円」ではなく、「本体の総合職として勤続を重ねれば有報平均が900万円に届く組織」と理解するのが正確です。
有報に記載された給与・年齢・勤続の実額(公式情報)
公式情報として、第114期有価証券報告書「従業員の状況」によると、提出会社の平均年間給与は9,002,299円、平均年齢39.7歳、平均勤続年数14.3年です。有報には前期比+6.1%と明記されており、逆算すると前期(2025年3月期)は約848万円だったと推定されます(推定情報:有報記載の増減率からの逆算)。1年で約50万円の上積みは、5期連続増益と連動した賞与の増加が寄与している可能性が高いと考えられます。
平均年齢39.7歳で900万円という組み合わせは、東証スタンダード上場の専門商社としてはかなり高い部類です。本記事の後半で示す卸売業10社の比較でも、事業会社の単体平均としては10社中最高でした。同時に平均勤続14.3年という長さは、中途で入退社が頻繁に起きる組織ではなく、新卒中心で長く勤める人が多い組織であることを示しています。労働組合「ヤギ従業員組合」の組合員225名は単体271名の8割超にあたり、給与水準が組合との交渉を経て決まる伝統的な体系であることも読み取れます。
単体271名と連結799名の中身(公式情報+推定情報)
公式情報として、有報のセグメント別従業員数は次のとおりです。
- 単体271名の内訳:マテリアル47名/アパレル107名/全社(共通)117名
- 連結799名の内訳:マテリアル125名/ライフスタイル252名/アパレル125名/ブランド・リテール180名/全社117名
この対比から、ライフスタイル事業252名(日本パフ、ツバメタオルなどの製造子会社)とブランド・リテール事業180名(WEAVAなど)は全員が子会社所属であり、単体の平均年間給与には一切反映されていないことが分かります。製造子会社の工場勤務やブランドの販売職の給与体系は、商社本体の総合職とは別物と考えるのが自然です(推定情報:有報は子会社別の給与を開示していないため、水準は特定できません)。求人を見る際は、雇用主が株式会社ヤギ本体なのか、WEAVAや製造子会社なのかを必ず確認してください。同じ「ヤギグループ」の求人でも、900万円という数字が当てはまるのは本体採用に限られます。
もう一つ注目したいのは、単体271名で単体売上619億円を扱っている点です。1人あたり売上高は約2.3億円で、連結ベースの約1.1億円の2倍以上です。少人数で大きな商流を回す商社本体の構造が、高い給与水準を支えていると考えられます(推定情報)。
口コミ上の年収傾向と職種・年代別の目安(口コミ傾向+推定情報)
口コミ傾向としては、OpenWork(約360件)や就活会議(267件)の投稿で「平均年収800万円以上で業界内では好待遇」「東京勤務の家賃補助が約9万円」という声が見られ、有報の数字と方向性は整合しています。就活会議の項目別評価でも「年収・評価」3.6、「福利厚生」3.7と、待遇面のスコアは総合評価3.2を上回っています。新卒初任給は27万円という二次ソース(日経企業情報)の記載がありますが、これは有報の数値ではないため参考値として扱ってください。
職種・年代別の水準は有価証券報告書では開示されていません。以下は平均年齢39.7歳・平均900万円・年功的な体系という口コミを前提に編集部が置いた推定情報の目安です。
- 20代総合職(受け渡し・納期管理などの下積み期):500万〜650万円程度の可能性
- 30代前半〜中盤(担当営業として商権を持つ段階):700万〜900万円程度の可能性
- 40代課長級以上:1,000万円超に届くケースも考えられる
この目安は「平均39.7歳で900万円」という分布の中心と矛盾しない範囲で置いたもので、実額は内定時の労働条件通知書で必ず確認してください。転職時に確認すべきポイントは3つです。第一に、雇用主が本体か子会社か。第二に、家賃補助など手当の内訳(東京勤務の補助額は口コミで具体的に語られています)。第三に、賞与が業績連動でどの程度変動するか。5期連続増益の局面で+6.1%となった給与が、減益期にどう動くかは有報からは読めません。
卸売業10社との比較|年収900万円はどの位置にあるのか
年収の高さを相対化するため、同じ東証33業種「卸売業」で証券コードが近い上場10社の有報数値を並べます。公式情報(各社有価証券報告書・決算短信の実額)ですが、決算期が3種類混在する点、および持株会社・事業会社で単体の意味が異なる点に注意してください。
| 企業(コード) | 連結売上高(前期比) | 営業利益(前期比・利益率) | 従業員(連結/単体) | 有報平均年収・決算期 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| ハリマ共和物産(7444) | 598.43億円(▲3.2%) | 16.93億円(▲11.4%・2.8%) | 190名/173名 | 548.5万円・2026年3月期 | 2024〜25年に従業員横領で特別調査委員会 |
| 東北化学薬品(7446) | 344.42億円(+7.1%) | 5.18億円(+46.7%・1.5%) | 315名/245名 | 450.4万円・2025年9月期 | 10社中最低の年収水準 |
| ナガイレーベン(7447) | 169.83億円(+3.5%) | 35.83億円(▲10.5%・21.1%) | 約500名/130名 | 685万円・2025年8月期 | 利益率10社中最高だが4期連続減益 |
| 松田産業(7456) | 6,878.43億円(+46.7%) | 224.37億円(+77.0%・3.3%) | 1,761名/1,238名 | 680.8万円・2026年3月期 | 貴金属相場に連動する業績構造 |
| 第一興商(7458) | 1,629.50億円(+6.5%) | 179.17億円(▲0.2%・11.0%) | 3,694名/2,199名 | 616.3万円・2026年3月期 | 店舗職と本社職で年収差が大きい |
| メディパルHD(7459) | 3兆8,173.54億円(+4.0%) | 531.82億円(▲4.4%・1.39%) | 13,024名/186名 | 821.6万円・2026年3月期 | 純粋持株会社。事業会社メディセオは744.1万円 |
| ヤギ(7460) | 859.34億円(+3.1%) | 42.28億円(+18.3%・4.9%) | 799名/271名 | 900.2万円・2026年3月期 | 5期連続増益。事業会社単体では10社中最高 |
| キムラ(7461) | 371.65億円(+2.5%) | 10.67億円(▲45.2%・2.9%) | 791名/154名 | 484.9万円・2026年3月期 | 本体はホームセンター子会社580名を含まない |
| セフテック(7464) | 101.11億円(▲1.9%) | 2.45億円(▲30.8%・2.4%) | 372名/356名 | 501.1万円・2026年3月期 | 4期連続減益、2027年3月期1Qは営業損失 |
| SPK(7466) | 752.46億円(+9.5%) | 35.87億円(+8.3%・4.8%) | 646名/331名 | 719万円・2026年3月期 | 28期連続増配 |
この表から読めることを整理します。
- 年収:ヤギの900.2万円は、事業会社の単体としては10社中最高です。メディパルHD本体の821.6万円は186名の純粋持株会社の数字で、現場を担うメディセオは744.1万円と開示されており、実態比較ではヤギが上回ります。最低の東北化学薬品450.4万円とは約2倍の開きがあります。
- 単体と連結の乖離:ヤギ(本体271名 vs 連結799名)と同様に、キムラ(154名 vs 791名)、ナガイレーベン(130名 vs 約500名)も本体の年収が連結全体を代表しない構造です。「有報の平均年収=その会社の全社員の水準」と読むのは、この業種では特に危険です。
- 収益性:ヤギの営業利益率4.9%は、ナガイレーベン21.1%や第一興商11.0%には届かないものの、卸売業として標準的な水準で、10社中では中位より上です。利益率が1〜3%の会社が5社あることを考えると、商社モデルとしては採算がとれている側にいます。
- 業績のトレンド:10社中、減益・赤字の会社が半数近くある中で、ヤギは5期連続増益・営業利益+18.3%と、成長の勢いでは上位グループに入ります。
繊維商社という同業の枠で見た場合、上場企業では東レ子会社の蝶理(8014)、GSIクレオス(8101)、非上場では名古屋の豊島やスタイレム瀧定大阪などが比較対象になります。蝶理やGSIクレオスは売上規模でヤギを上回る一方、蝶理は東レグループの一員である点、ヤギは親会社を持たない独立系である点が大きな違いです。これら同業の給与水準については本記事では有報原本の確認を行っていないため数値の比較は控えますが、繊維商社の中でも「独立系で、本体の平均年間給与が900万円台に達している会社」は多くないと考えられます(推定情報)。
業績分析|5期連続増益をつくったのは商社機能ではなくTATRASとOEM
この章の結論は、「ヤギの成長は本体の糸・生地商売ではなく、子会社が担うブランド事業とアパレルOEMが牽引している」という点です。転職先として見るとき、これは配属先によって成長実感がまったく違う可能性を意味します。
5期の売上・利益推移(公式情報)
公式情報として、有価証券報告書「主要な経営指標等の推移」によると、2022年3月期から2026年3月期の連結業績は次のように動いています。
- 売上高:775億円 → 864億円 → 828億円 → 834億円 → 859億円
- 親会社株主帰属当期純利益:3.7億円 → 10.1億円 → 20.8億円 → 26.3億円 → 36.7億円
売上は4年で約11%しか伸びていないのに、純利益は約10倍になりました。売上高純利益率は2022年3月期の約0.5%から2026年3月期の約4.3%へ改善しています。売上を積み上げて利益を増やしたのではなく、利益率の高い事業へ構成を入れ替えた結果と読むのが正確です。2026年3月期は営業利益42.28億円(+18.3%)、経常利益48.24億円(+28.1%)で、有報上「5期連続の経常増益」と記載されています。
セグメント別の稼ぎ頭(公式情報)
2026年3月期のセグメント利益は、アパレル35.08億円(+18.6%)、ブランド・リテール20.06億円(+93.6%)、マテリアル5.89億円(減益)、ライフスタイル4.43億円(減益)、不動産3.13億円でした。5セグメントの利益単純合計(全社費用調整前)は約68.6億円で、そのうちアパレルとブランド・リテールの2事業で約8割を占めます。
特にブランド・リテール事業は、売上133.48億円に対して利益20.06億円と、セグメント利益率が約15%に達します。マテリアル事業の約2.4%、アパレル事業の約7.9%と比べると、利益率の差は歴然です。この事業を担うのが、ダウンブランド「TATRAS」を展開する子会社WEAVAと、ミラノのTATRAS S.R.L.です。売上が+25.3%、利益が+93.6%という伸びは、ブランドの認知拡大と値引きに頼らない販売が同時に進んだことを示唆します(推定情報)。一方、創業事業であるマテリアル(糸・テキスタイル)と、寝装品・パフのライフスタイルは減収減益で、会社の中で「稼ぐ場所」が明確に移っています。
単体営業利益は微減──本体の商社機能の現状(公式情報+推定情報)
ここで見落としてはいけないのが、公式情報として単体(株式会社ヤギ本体)の営業利益が16.78億円で前期比▲1.5%だった点です。連結営業利益42.28億円が+18.3%と伸びる中で、本体は横ばいから微減。つまり連結の増益分は、ほぼ子会社側で生まれています。単体営業利益が連結の4割程度にとどまることから、本体の商社機能は「安定しているが伸びていない」、子会社のブランド事業は「小さいが急成長している」という二層構造が浮かびます(推定情報:連結調整があるため単純な差分ではありません)。
転職検討者にとっての意味は明確です。本体の総合職として入社した場合、有報の900万円という給与水準の対象にはなりますが、日々の仕事は成長率が鈍化した糸・生地・OEMの商流を守る側になります。逆にWEAVAなどブランド側は成長の最前線ですが、給与体系は本体と異なる可能性があります。「成長事業で働きたいのか、高い給与水準の組織に入りたいのか」を分けて考えることが、この会社を志望する際の最初の整理になります。
財務の安定度と株主構成|親会社なし・取引先持株会が筆頭株主
財務面の結論は「守りは堅い」です。公式情報として、2026年3月期末の自己資本比率は56.6%、ROEは8.2%。卸売業では売掛金・在庫が膨らみやすく自己資本比率が3〜4割台の会社も多い中、5割超は余裕のある水準です。有報が挙げるリスクは為替変動、原材料価格の変動、中国・東南アジアの生産拠点に依存することによる地政学リスク、人材確保などで、繊維商社として一般的な項目です。
株主構成も特徴的です。2026年3月31日現在の大株主は、筆頭がヤギ共栄会(取引先による持株会)11.23%、次いで代表取締役社長5.05%、みずほ銀行4.96%、三井住友銀行4.60%、個人投資家2.98%、アパレルのクロスプラス2.77%、ヤギ従業員持株会2.60%などで、上位10名の合計は45.72%、自己株式が9.52%あります。親会社は存在せず、TOBや非公開化の動きも公開情報の範囲では見当たりません。取引先持株会が筆頭株主であることは、船場の商習慣に根差した取引先との長期関係を象徴しており、経営の独立性が高い一方で、外部からの変化圧力は弱い構造とも言えます(推定情報)。
株主還元は積極化しています。2026年3月期の年間配当は156円(記念配当50円を含む)、2027年3月期の予想は180円で、記念配当を除いた普通配当ベースでは106円から180円への大幅な引き上げになります。従業員向けには2024年度にRS信託(株式報酬)を導入しており、社員が株価上昇の恩恵を受ける仕組みも整い始めました。時価総額は約419億円、PBRは0.86倍、配当利回りは約3.6%(2026年9月時点・irbankによる二次ソース値)で、株式市場からは成長株というより堅実な配当株として見られている段階です。
働き方と社風の口コミ傾向|好待遇の裏にある下積み・年功・接待
口コミの結論は、「待遇は良いが、組織は古い」という一言に集約されます。口コミ傾向として、OpenWorkの総合評価は3.21(回答約360件、月間残業約29時間、有給消化率約52%)、就活会議は3.2(267件)です。項目別のばらつきが大きく、待遇面の満足度3.5・風通し3.4に対して、人材の長期育成2.5・人を尊重する風土2.9が低めというのが同社の口コミの骨格です。

年収は魅力的だけど、実際の働き方はどうなんだろう?
ポジティブな傾向(口コミ傾向)
- 「業界内では好待遇」「平均年収800万円以上」と、給与への満足を挙げる投稿が多い
- 東京勤務の家賃補助が約9万円と、具体的な手当が語られている
- 「若手から裁量がある」「商売上のジャッジが早い」など、商社らしい意思決定の速さ
- 有給は比較的取りやすい(有給消化率約52%は卸売業として平均的な水準)
- 営業個人の力量が反映される社風で、社長交代後に福利厚生を充実させる動きがあるという声
ネガティブな傾向(口コミ傾向)
- 「典型的な古い日本企業」「年功的」という評価が繰り返し登場する
- 総合職で活躍している女性がほぼいないという指摘。就活会議の「女性の働きやすさ」は3.0
- 入社後2〜3年は受け渡し(納期・数量管理などの事務的業務)が続く下積み期間があるという声
- 休日の連絡や接待が多く、ワーク寄りの生活になりやすい。就活会議の「ワークライフバランス」は2.9
- 部署によって成長機会に差があり、「業務過多でバランスが取れない」「雰囲気が暗い」を退職検討理由に挙げる投稿もある
これらは投稿者の主観であり、部署や上司によって実態は異なります。ただし「待遇は高評価、育成・尊重は低評価」というスコアの形は、5期連続増益で賞与が増える一方、人材マネジメントの近代化が業績の変化に追いついていない組織の典型的なパターンと考えられます(推定情報)。とりわけ女性総合職の少なさは、平均勤続14.3年という長期雇用の組織で過去の採用構成がそのまま残っている可能性があり、短期的に変わりにくいテーマです。
会社側の制度面の動き(公式情報)
公式情報として、同社は2024年度に人事制度を刷新し、従業員向けRS信託を導入しました。健康経営優良法人(大規模法人部門)には2026年で4年連続の認定を受けています。2026年3月の東京本社の赤坂移転も、東京側の採用・営業機能を強化する布石と見られます(推定情報)。年功的という口コミが人事制度刷新後にどう変わるかは、まだ口コミに十分反映されていない段階です。面接では「新人事制度で評価・昇給の仕組みがどう変わったか」「総合職の女性比率と管理職登用の実績」を具体的に質問する価値があります。
2021年の福井支店・不適切取引をどう見るか|事実の範囲で整理
この会社を調べると、2021年の「不適切な取引」に関する開示に行き当たります。結論として、公式情報で確認できる事実は「2021年4月に社内調査委員会を設置し、同年5月に調査報告書を受領した」という経緯であり、行政処分や訴訟に至った事実は公開情報の範囲では見当たりません。ただし詳細の多くは一次資料で裏付けられていないため、以下は事実と推定を厳密に分けて記述します。
公式情報として、同社は2021年4月9日に適時開示「不適切な取引に関する調査について」を公表しました。福井支店(福井市)における衣料品原料販売の一部について、2014年頃から不適切な取引が行われていた疑いがあるとして、外部の会計士を含む社内調査委員会を設置したという内容で、日本経済新聞も2021年4月12日に報じています。同年5月31日には、調査報告書を受領した旨を開示しました。
一方、推定情報として、二次情報(調査報告書を要約した個人ブログなど)では、原糸を加工糸に偽装した複数企業間の循環取引にサプライヤー主導で巻き込まれた形であり、福井支店長に社内ルール違反が認められたものの架空取引ではなかった、とされています。しかし本記事の執筆時点で、影響額、関係者の処分、過年度決算の訂正があったかどうかは、一次資料からは特定できていません。二次情報の記述を断定的に扱うことは避けてください。また「行政処分や訴訟が見当たらない」ことは「存在しない」ことの証明ではなく、公開情報の範囲での確認結果です。
転職判断への影響を考えると、ポイントは2つです。第一に、この件は監督官庁の処分ではなく、会社が自ら開示して調査した社内不正の疑いという性格のものであること。第二に、2014年頃から続いていた疑いが2021年まで表面化しなかったという点は、支店単位の商流に対する本社の統制がその時点では十分でなかった可能性を示すことです(推定情報)。その後、2024年度の人事制度刷新や内部統制の見直しがどこまで進んだかは有報のコーポレート・ガバナンス記載で確認できます。面接で聞きにくいテーマですが、「支店や子会社の与信・取引審査はどのような体制か」という業務上の質問として確認することは可能です。
繊維商社業界の文脈と将来性|商社からブランド企業への転換は続くか
将来性の結論は、「本体の商社機能は成熟、成長の余地はブランドとOEMの海外展開にある。ただしどちらも外部環境の影響を強く受ける」です。同社は中期経営計画2026「Heritage to the future」を2026年3月期で終え、2027年3月期から新中期経営計画2029「Business to Belief」を開始しました(公式情報)。会社予想は売上880億円(+2.4%)、営業利益44億円(+4.1%)、純利益37億円で、5期続いた大幅増益からは一段落した伸び率を見込んでいます。
繊維商社業界の構造変化を、転職者の目線で3点に整理します。
- 国内アパレル市場の頭打ちと単価上昇:国内アパレル小売市場は回復基調にあるものの、数量よりも単価で伸びる構造です。OEM供給側の商社は、数量が増えない中でどれだけ付加価値の高い企画提案ができるかが問われます。ヤギのアパレル事業が+1.8%の売上で+18.6%の利益を出したのは、この方向で成功している例と読めます(推定情報)。
- 生産地のアジア分散と地政学リスク:有報もリスクとして挙げるとおり、生産はベトナム・バングラデシュ・中国・インドなどに依存します。人件費上昇、為替、貿易政策の変化は、OEM事業の利益率に直結します。海外駐在員事務所・現地法人の運営経験は、この業界の中で市場価値が上がりやすいスキルです。
- 「商社が自らブランドを持つ」流れ:ヤギのTATRASのように、繊維商社が卸売の利幅ではなくブランドの利幅を取りに行く動きは業界全体の潮流です。成功すれば利益率15%の事業が育ちますが、ブランド事業は流行・気候(ダウンは暖冬の影響を受けやすい)・在庫リスクを抱えます。ブランド・リテール事業の+93.6%増益が構造的なものか、好調な冬商戦の寄与が大きいかは、複数年で確認する必要があります(推定情報)。
キャリアパスの観点では、本体総合職は「マテリアルまたはアパレルの営業→商権を持つ担当→海外拠点や子会社の管理職」が主なルートと考えられます。業界外への転職では、繊維・アパレル分野のOEM調達経験は、アパレルSPA・小売の商品調達部門、総合商社・他の専門商社の繊維部門、さらに製造業の海外調達職で評価されやすいスキルです。反面、口コミにある2〜3年の受け渡し業務の期間は、転職市場で語れる実績がまだ薄い時期であり、早期離職を考える場合はこの期間との向き合い方が課題になります。
向いている人・向いていない人と編集部の見解
ここまでの公式情報・口コミ傾向をふまえ、転職判断の整理に役立つ範囲で適性をまとめます(推定情報を含みます)。
| 向いている人 | 向いていない人 |
|---|---|
| 専門商社の中でも高い給与水準(有報単体900万円)と長期雇用を重視する人 | 入社直後から企画・裁量の大きい仕事を求め、下積み期間を許容できない人 |
| 繊維・アパレル分野で海外生産地とのやり取りを軸にキャリアを積みたい人 | 休日の連絡や接待を含む「ワーク寄り」の生活を避けたい人 |
| 取引先との長期関係を重んじる船場的な商習慣に馴染める人 | 年功的な評価体系より、成果に応じた早期昇給・昇進を求める人 |
| 成長中のブランド事業(WEAVA・TATRAS)に子会社採用でも関わりたい人 | 女性総合職のロールモデルが社内に多いことを重視する人 |
編集部の見解として、株式会社ヤギは「待遇の実額」と「組織の古さ」がどちらも数字と口コミで裏付けられている、判断材料がはっきりした会社だと考えます。有報の平均年間給与900.2万円、平均勤続14.3年、自己資本比率56.6%、5期連続増益という公式数値は、転職先としての安定性を十分に示しています。一方で、その900万円が単体271名の数字であること、成長は子会社側で起きていること、口コミの「年功的」「女性総合職が少ない」「下積みが長い」という指摘は、入社後のギャップになりやすいポイントです。総合すると、本体総合職として長く勤めて待遇を取りにいく覚悟がある人にはおすすめできる一方、短期で成長事業の中心に立ちたい人や、働き方の柔軟性を最優先する人には慎重な検討を勧めます。2021年の福井支店の件は、開示と調査を経た過去の事案として把握しておくべきですが、行政処分等に至った事実は見当たらず、これ単独で志望を左右する材料にはならないと考えます。
株式会社ヤギ(7460)に関するよくある質問
実際に検索されている疑問に絞って回答します。
株式会社ヤギの本社はどこにありますか?
公式情報として、本社は大阪市中央区久太郎町二丁目2番8号(船場エリア)です。東京本社は2026年3月に東京都港区赤坂二丁目17番22号へ移転し、大阪・東京の二本社制をとっています。総合職の勤務地は大阪・東京が中心で、海外は上海・ホーチミン・ハノイ・ダッカの駐在員事務所やミラノ・インド・ベトナムの現地法人があります。
株式会社ヤギの年収は本当に900万円ですか?
公式情報として、第114期(2026年3月期)有価証券報告書の平均年間給与は9,002,299円で、これは事実です。ただし対象は提出会社単体271名(平均年齢39.7歳・平均勤続14.3年)で、連結799名のうち製造子会社やブランド子会社WEAVAの社員は含まれません。20代の若手や子会社採用の給与水準はこの数字とは異なる可能性が高く、求人ごとに雇用主と条件を確認する必要があります(推定情報)。
「ヤギ」という社名は動物と関係がありますか?
関係ありません。公式情報として、社名は1893年に綿糸商「八木商店」として創業した創業家・八木家に由来します。検索結果に並ぶ動物や同じ読みの人名・施設・サービスはいずれも同社と無関係です。転職情報を調べる際は「株式会社ヤギ」「ヤギ 7460」「ヤギ 繊維商社」のように同定要素を付けて検索すると、企業の情報にたどり着きやすくなります。
どのサービスを使えばいいか決められないとき
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本記事の出典・参考情報
本記事で参照した一次情報・口コミ情報の出典は以下の通りです。最新の正確な数値は各リンク先で確認してください。
公式情報源
主要な数値は第114期(2025年4月1日〜2026年3月31日)有価証券報告書(2026年6月23日提出・EDINETコードE02825)、2026年3月期決算短信(2026年5月11日)、2021年4月9日および5月31日の適時開示に基づきます。比較表の他9社の数値は各社の有価証券報告書・決算短信の記載値で、決算期は社ごとに異なります。時価総額・PBR・配当利回りはirbank.netの二次ソース値、新卒初任給は日経企業情報の二次ソース値です。
口コミ・評判の参照元
免責事項:本記事の数値・評価は公式情報・口コミ集計・市場推定の3分類で示しており、口コミ傾向や推定情報は断定ではなく傾向・可能性として表現しています。最終判断は読者自身で公式IRおよび内定時の労働条件通知書で確認してください。
この記事の編集方針・情報の確認について
この記事は、公式公開情報(有価証券報告書・IR資料)、求人情報、口コミ傾向をそれぞれ分けて整理し、転職・就職判断に役立つよう編集しています。年収・平均年齢・従業員数などの中核データは有価証券報告書「従業員の状況」を一次情報として確認し、口コミ・推定情報とは明確に区別しています。2021年の不適切取引に関する記述のうち一次資料で裏付けられていない部分は、推定情報として明示しました。記載内容は最終更新時点の公開情報にもとづきます。最新の正確な数値は各公式IRページでご確認ください。
