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ピーバンドットコムの年収570万円と将来性|従業員40名の基板EC企業を有報で読む

コロ助

※本記事にはプロモーションを含みます。

この記事の結論

  • 正体:自社工場ゼロでプリント基板ECを運営する従業員40名の上場企業
  • 年収:有報の平均年間給与は570万円(2026年3月期・単体)
  • 数字の信頼度:持株会社ではないため平均年収=現場社員の実額
  • 将来性:無借金・赤字なしだが2027年3月期は全額再投資で横ばい予想

株式会社ピーバンドットコム(証券コード3559・東証スタンダード市場)は、プリント基板のネット通販サイト「P板.com」を運営する企業です。上場企業でありながら従業員は40名。売上23億円、時価総額は約22.9億円という、東証でも屈指の小所帯です。転職先として検討するとき、まず引っかかるのは「そもそも何をしている会社なのか」「この規模で大丈夫なのか」という2点でしょう。この記事では、有価証券報告書(第24期・2026年3月期)の実額と公式IR資料をもとに、事業モデル・年収・従業員構成・業績推移・構造リスクを順に分解します。口コミが極端に少ない会社をどう評価するかという、この企業ならではの論点にも踏み込みます。

株式会社ピーバンドットコムの公式データ一覧(有価証券報告書ベース)

本記事で扱う公式数値を先に一覧で示します。すべて公式情報(有価証券報告書および決算短信)に基づく実額で、推定値は含みません。最新の正確な数値は公式IRページで再確認してください。

項目内容
商号株式会社ピーバンドットコム(p-ban.com Corp.)
証券コード・市場3559/東京証券取引所スタンダード市場・名古屋証券取引所メイン市場(重複上場)
本社東京都千代田区五番町14 五番町光ビル4F
設立2002年4月(株式会社インフローとして設立、2012年7月に現商号へ変更)
代表者代表取締役社長 後藤康進(2023年6月27日就任)
対象決算期第24期(2025年4月1日〜2026年3月31日/2026年3月期)
平均年間給与約570万円(提出会社単体・連結子会社なし)
平均年齢39.96歳
平均勤続年数6.5年
従業員数40名(ほかに臨時従業員7名)
売上高23億1,192万円(前期比+6.0%)
営業利益1億9,048万円(前期比+21.2%/営業利益率8.2%)
経常利益/当期純利益1億8,702万円(+17.4%)/1億601万円(前期比-5.8%)
資本金1億8,136万7千円
時価総額約22億8,652万円
認証ISO9001:2015/ISO/IEC27001:2013
離職率・職種別年収有価証券報告書では開示されていない
出典第24期 有価証券報告書(2026年6月22日提出)「従業員の状況」/2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(非連結・2026年5月14日開示)/公式IRページ

なお本記事の年収・従業員数の時系列データは、EDINET提出XBRLを転載するirbank.netを経由して取得しています。原典は有価証券報告書ですが、有報PDF原文そのものは本記事作成時点で直接参照していません。出典グレードとして先にお断りしておきます。

ピーバンドットコムとはどんな会社か|「P板.com」の正体

結論から言うと、この会社は「プリント基板を作りたい技術者と、基板を作れる工場を、Web上で最短距離でつなぐ会社」です。基板メーカーでも商社でもなく、その中間に立つプラットフォーム運営が本業になります。転職検討者がまず理解すべきなのは、この「間に立つ」という立ち位置が、仕事内容にも収益構造にもリスクにもそのまま直結している点です。

Web上で基板データを受け取り、設計から実装までをワンストップで受注する

公式サイトによると、主力サービス「P板.com」は、顧客がWeb上に基板の設計データをアップロードすると、プリント基板の設計・製造・部品調達・部品実装までをワンストップで受注し、完成品として納品する仕組みです。顧客層は電機メーカーや機械メーカーの試作開発部門が中心ですが、それだけではありません。

  • メーカーの研究開発・試作部門(少量・短納期のニーズが中心)
  • 大学・高専・公的研究機関の研究室
  • スタートアップのハードウェア開発チーム
  • 個人の電子工作ユーザー(1枚単位の発注も可能)

公式IR資料では、累計顧客3万社超・ユーザー7万人超という規模が示されています。1件あたりの金額は大きくないものの、発注元の裾野が広く、特定の大口顧客に売上が偏りにくい構造になっている点が特徴です。

自社工場はゼロ。国内外約30社の協力工場に製造を委託する完全ファブレス

ここがこの会社の最大の特徴です。公式IRによると、ピーバンドットコムは自社工場を一切持たず、国内外約30社の協力工場ネットワークに製造を委託しています。受注した案件の数量・納期・スペック・コスト条件をもとに、自社開発のWebシステムが最適な工場を自動的に割り当てる。この「マッチングの自動化」こそが同社の中核ノウハウです。

つまり社内にあるのは、工場ではなくシステムと知見です。仕事の性質は次のように整理できます。

  • 設備投資が軽い:基板メーカーのような数十億円規模の設備投資が不要で、無借金基調の財務を維持しやすい
  • 変動費型のコスト構造:受注が減れば製造委託費も減るため、赤字になりにくい
  • 価値の源泉がソフトウェア:自社ECとマッチングシステムの内製力が競争力そのもの
  • 品質と納期は他社の手の中:実際に基板を作るのは協力工場であり、自社で直接コントロールできない領域が残る

この4点目が後述する構造リスクにつながります。良い面と悪い面が同じ構造から生まれている点が、この会社を評価するうえでの要になります。

東証33業種は「卸売業」だが、実態はBtoB ECプラットフォーム

ピーバンドットコムは東証33業種分類上「卸売業」に区分されています。しかし実務のイメージは、商材を仕入れて売る従来型の卸売とはかなり異なります。推定情報として整理すると、実態は「製造業向けBtoB ECプラットフォームの運営会社」に近く、社内の職種構成も、自社ECを内製するWebエンジニア、受注案件を工場に振り分ける生産管理・技術担当、Web集客を担うマーケティング担当といった構成になります。

求人媒体(Green、レバテックダイレクト、マイナビ転職)の掲載内容によると、Webエンジニア職はJava/Kotlinで自社EC「P板.com」を内製しており、入社後数週間の本社勤務を経て月1回程度の出社というリモート中心の勤務形態が明示されています。「卸売業の会社」という業種分類だけで自分に関係ないと判断すると、実像を取り違える可能性があります。

求職者
求職者

基板の会社と聞くと工場勤務のイメージですが、実際は違うんですか?

公式IRによると自社工場は保有していません。本社は東京都千代田区の1拠点で、40名がここに所属しています。製造そのものは協力工場が担うため、社内の仕事は「受注・設計支援・工場手配・システム開発・集客」に集中する構造です。

なお公式IRでは、設計・部品・製造を統合する電子製造OS「GUGEN Hub」を「第二の創業」と位置づけ、評価用の超小型モジュール「gene」やタイを起点としたASEAN展開も進めています。ただし第24期の開示は単一セグメント(プリント基板EC事業)であり、これら新規事業単体の売上・利益は分離開示されていません。「将来の柱として投資されている領域」であり「現時点の稼ぎ頭ではない」と区別して読む必要があります。

平均年収570万円をどう読むか|持株会社バイアスが効かない稀なケース

この記事で最も伝えたい論点がここです。結論として、ピーバンドットコムの有報平均年収570万円は、そのまま現場社員の実額として読んでよい数少ないケースです。理由は、同社が持株会社ではなく、連結子会社を一切持たない単体(非連結)決算の事業会社だからです。

上場企業の平均年収を調べたことがある人なら、持株会社の有価証券報告書に載る平均年収が1,000万円を超えているのに、実際に働く事業会社の給与はまったく別物、という現象に出会ったことがあるはずです。持株会社の提出会社従業員は管理部門の数名だけで、母集団が小さすぎて実態を示さないためです。同じ卸売業のコメダホールディングスでは、提出会社の従業員は6名、連結828名との乖離は138倍に達し、有報の平均年収1,100.5万円は事業会社の給与水準を表していません。

ピーバンドットコムにはこの問題が起きません。有価証券報告書の「従業員の状況」に載る40名が、そのまま事業を回している全社員だからです。公式情報としての信頼度という意味で、この点は同社の年収データの大きな強みです。

年収推移7期|2019年をピークに6年下落し、直近で反発

有価証券報告書によると、同社の平均年間給与は次のように推移しています。単年の数字だけを見ると見落とす動きが、時系列にすると明確に浮かび上がります。

決算期平均年間給与前期からの動き
2019年3月期約600万円期間中のピーク
2022年3月期約573万円ピークから約27万円減
2024年3月期約549万円さらに下落
2025年3月期約541万円期間中のボトム
2026年3月期(第24期)約570万円前回報告比+29万円で反発

読み取れることを整理します。

  • 約6年かけて下落した:2019年3月期600万円から2025年3月期541万円まで、約59万円(約9.8%)下がった
  • 直近で明確に反発した:2026年3月期は+29万円で570万円まで戻し、ピーク比では約30万円差まで縮まった
  • 業績の波と連動している:後述の通り営業利益も2019年3月期がピークで2024年3月期に底を打っており、給与カーブとほぼ重なる

この連動は、40名という小さな組織では会社の業績が個人の年収に直結しやすいことを意味します。大企業のように賞与原資が平準化されにくく、良い年も悪い年も反映されやすい。推定情報ですが、入社を検討する際は「今が反発局面である」ことを前提に、賞与の変動幅や過去の支給実績を面接段階で確認しておく価値があります。

平均年齢39.96歳・勤続6.5年から見える人員構成

有価証券報告書によると、第24期の平均年齢は39.96歳、平均勤続年数は6.5年です。この2つの数字も推移で見ると意味が出てきます。

  • 平均年齢:2016年12月期の38.29歳から緩やかに上昇し、2024年3月期に約2.3歳の若返りがあった後、再び上昇して39.96歳
  • 平均勤続年数:2016年12月期3.7年 → 2023年3月期7.2年でピーク → 直近6.5年

勤続年数がいったん7.2年まで伸びた後に6.5年へ下がっているのは、推定情報として「近年の中途採用で新しいメンバーが増えたことによる平均の押し下げ」で説明がつきます。実際、従業員数は2023年3月期29名から2025年3月期40名へと2年で11名増えており、この増加分が平均を引き下げたと考えるのが自然です。勤続年数の低下を、そのまま定着率の悪化と読むのは早計でしょう。

一方で平均年齢が約40歳ということは、20代の若手が大量にいる組織ではないことも示しています。40名の規模で平均勤続が6年台であれば、中核メンバーは一定期間定着していると推定されます。

口コミ・二次データとの照合と、面接で確認すべきこと

口コミ傾向として押さえておくべきは、この会社は口コミの母数が極端に少ないという事実です。OpenWorkには企業ページが存在するものの社員クチコミは0件で、評価スコアも全項目が未表示。エン カイシャの評判では口コミ6件・うち正社員回答2名で総合3.3点にとどまります。キャリコネにも会社ページはありますが、掲載されている年収データは2016〜2018年度の古い有報値の転載レベルです。

つまり口コミサイトの数値から年収の実態を推し量ることは、この会社ではほぼできません。だからこそ有報の実額が相対的に重要になります。転職時に確認すべきポイントを整理します。

  • 賞与の変動幅:業績連動の度合いと、直近3年の支給月数の実績
  • 職種別の給与レンジ:有価証券報告書では職種別年収は開示されていないため、求人票と面接で個別に確認する
  • 評価制度:40名規模で等級・昇給ルールがどこまで制度化されているか
  • ストック型の報酬:オーナー企業のため、持株会やインセンティブ制度の有無
  • リモート勤務の条件:求人では月1回程度の出社と示されているが、職種・入社直後の扱いは要確認

なお口コミ傾向として指摘されている内容は「住宅補助などの福利厚生はない」「少人数体制」「資格支援はあるが制度は限定的」といった、小規模企業らしいものが中心です。長時間労働やハラスメントに関する強い否定的投稿は、今回の確認範囲では見当たりませんでした。ただし母数が2名程度である以上、これを会社全体の傾向と断定することはできません。

従業員40名という規模の実像|10年で17名から40名へ

「株式会社ピーバンドットコム 従業員数」という検索が一定数あるのは、上場企業としての規模感が外から掴みにくいためだと考えられます。結論を先に言うと、上場企業としては最小クラスの40名体制であり、これを前提にしないと年収も働き方も将来性も読み違えます。

従業員数推移|9年で2.4倍に増えたが、直近1年は横ばい

有価証券報告書によると、従業員数(提出会社単体)の推移は次の通りです。

決算期従業員数備考
2017年3月期17名東証マザーズ上場の年
2020年3月期24名3年で7名増
2023年3月期29名—
2024年3月期35名1年で6名増(採用強化局面)
2025年3月期40名1年で5名増
2026年3月期(第24期)40名臨時従業員7名。直近1年は横ばい

ここから読める論点は2つです。第一に、2023年3月期から2025年3月期にかけての2年で29名→40名と約38%増員しており、この時期に採用を強めたことが明確です。第二に、直近の第24期は40名で横ばいでした。会社は2027年3月期に向けて人材採用へ再投資すると明言しているため、推定情報として、横ばいは採用停止ではなく採用と退職が均衡した結果、あるいは採用の仕込み期であった可能性が考えられます。

1人あたり売上約5,800万円が意味すること

第24期の売上23億1,192万円を従業員40名で割ると、1人あたり売上は約5,800万円になります。営業利益1億9,048万円で割れば、1人あたり営業利益は約476万円です。この数字は、卸売業という業種特性(商材の仕入れ原価が売上に乗るため1人あたり売上が大きくなりやすい)を差し引いても、少人数で回している組織であることを端的に示します。

転職検討者にとっての含意を整理します。

  • 担当範囲が広くなる:40名で受注・システム開発・工場管理・マーケティング・管理部門をすべて賄うため、1人が複数機能を持つ可能性が高い(推定情報)
  • 裁量が大きくなりやすい:求人媒体でも「少数精鋭で裁量が大きい」「設計から開発・テストまで一通り経験できる」といった訴求が並ぶ
  • 分業による専門特化はしにくい:大企業のように一つの領域を深掘りする働き方とは異なる
  • 人の入れ替わりの影響が大きい:1名の退職が全社の5%に相当するため、体制変化の影響を受けやすい

大企業から転職する場合、この「1人あたりの担当範囲の広さ」は最大のギャップになりやすいポイントです。

業績23.11億円の中身|営業利益はなぜ落ち、なぜ戻ったのか

結論として、売上は緩やかに伸び続けている一方、営業利益は2019年3月期をピークにいったん半減し、直近2期で回復したというのが同社の業績の全体像です。この形を理解しておくと、後述する将来性の議論が具体的になります。

売上は10年で約1.3倍。成長ペースは緩やか

2026年3月期 決算短信によると、第24期の売上高は23億1,192万円(前期比+6.0%)でした。前期の2025年3月期は21.8億円です。ここで注目すべきは10年スパンの比較です。2016年3月期の売上は17.2億円で、10年間で約1.3倍。年平均に直すと数%の成長ペースであり、急拡大している会社ではありません。

2027年3月期の会社予想は24億1,000万円(+4.3%)と、こちらも一桁台前半の伸びです。単一セグメント(プリント基板EC事業)のため開示上のセグメント別売上は実質1本で、内訳は「基板」と「実装・設計・部品調達などの周辺サービス」という説明にとどまります。推定情報として、周辺サービスの比率が上がるほど粗利率が改善する構造だと考えられます。

利益推移|2019年3月期2.98億円がピーク、2024年3月期に1.33億円まで低下

決算短信および公式IR資料によると、営業利益の推移は次の通りです。

決算期営業利益局面
2019年3月期約2億9,757万円期間中のピーク
2024年3月期約1億3,289万円ピーク比で約55%減のボトム
2025年3月期約1億5,700万円(第24期の+21.2%から逆算)回復1期目
2026年3月期(第24期)1億9,048万円(+21.2%)回復2期目・営業利益率8.2%
2027年3月期(会社予想)1億9,100万円(+0.4%)再投資により横ばい予想

2019年から2024年にかけての落ち込みは、ピーク比で半分以下という大きなものでした。平均年収が同じ時期に600万円から549万円へ下がっているのは偶然ではなく、業績連動の結果と見るのが自然です。逆に言えば、直近2期の営業増益(+21.2%)と平均年収の反発(+29万円)も同じ因果でつながっています。

粗利率は改善、純利益だけ減益の理由

第24期は売上総利益率が36.2%から37.8%へ改善しました。1.6ポイントの改善は、売上23億円規模の会社にとって数千万円単位のインパクトがあります。営業利益が+21.2%と売上の伸び(+6.0%)を大きく上回ったのは、この粗利率改善が効いたためです。

一方で当期純利益は1億601万円と前期比-5.8%の減益でした。営業・経常が増益なのに純利益だけ減っているのは違和感がありますが、会社は投資有価証券評価損と税効果会計による一時要因と説明しています。推定情報として、本業の稼ぐ力が落ちたことによる減益ではないと読むのが妥当です。ただし、一時要因が翌期以降に再発しない保証はないため、決算短信の注記は自分でも確認しておくとよいでしょう。

財務面では、公式IRによると同社は無借金基調の「持たない経営」を続けており、少なくとも2015年3月期以降で通期赤字の期はありません。自社工場を持たないため固定費が軽く、受注減がそのまま製造委託費の減少につながる変動費型のコスト構造が、この安定性を支えています。転職先の安定性という観点では、規模の小ささを補う重要な事実です。なお第2次中期経営計画(2026年3月期〜2028年3月期)では純利益4億円を目標に掲げており、第24期実績の1億601万円からは約3.8倍の水準です。推定情報ですが、この目標との距離は小さくなく、達成には新規事業の立ち上がりが前提になると考えられます。

ピーバンドットコムの将来性|転職先として見た5つの判断材料

「ピーバンドットコム 将来性」は、同社に関する検索の中で転職判断に直結する数少ないキーワードです。ここでは断定を避け、公式情報として確認できる事実5点を示したうえで、それぞれが転職判断にどう効くかを整理します。

プラス材料|赤字なし・無借金・広い顧客基盤

  • ①収益の安定性:少なくとも2015年3月期以降、通期赤字の期はなく、財務は無借金基調。設備投資が軽いファブレスモデルが下支えしている
  • ②利益は回復局面:2024年3月期の1.33億円を底に2期連続で営業増益。第24期は+21.2%、粗利率も36.2%→37.8%へ改善している
  • ③顧客の分散:累計顧客3万社超・ユーザー7万人超で、特定の大口顧客への依存が起きにくい構造(同バッチのNo.1がクレディセゾン1社で連結売上の約21.6%を占めるのとは対照的)
  • ④次の柱への投資姿勢:電子製造OS「GUGEN Hub」、超小型モジュール「gene」、タイを起点としたASEAN展開を推進中

マイナス材料|成長の踊り場と規模リスク

  • ⑤成長ペースは緩やか:売上は10年で約1.3倍、2027年3月期予想も+4.3%。急成長企業ではない
  • ⑥2027年3月期は営業利益ほぼ横ばい予想:+0.4%という予想は、増益分をシステム基盤刷新・人材採用・プロダクト開発へ全額再投資すると会社が明言しているため。入社後2〜3年は「投資フェーズ」に当たる可能性が高い(推定情報)
  • ⑦規模リスク:時価総額約22.9億円、従業員40名。上場企業とはいえ規模面の脆弱性は残る
  • ⑧市場区分の変更履歴:2017年3月東証マザーズ上場 → 2019年12月東証一部 → 2022年4月プライム市場 → 2023年10月にプライムの上場維持基準を満たせずスタンダード市場へ移行。その後2025年3月7日に名証メイン市場へ追加上場している

この⑥の「全額再投資」は、読み方が二通りある点が重要です。短期的には賞与原資や昇給余地が抑えられる可能性がある一方、20年もののレガシーシステム刷新やエンジニア採用に資金を振り向けるということは、エンジニアにとっては仕事の面白さが増す局面でもあります。どちらに重きを置くかで評価が変わる、というのが誠実な整理でしょう。

最大の構造リスク|品質と納期は協力工場側にある

将来性を語るうえで避けて通れないのが、ファブレスモデルの裏返しです。公式IRによると、同社は自社工場を持たず国内外約30社の協力工場に製造を委託しています。この構造では、次のリスクが直接業績と顧客満足に跳ね返ります。

  • 協力工場側の稼働状況・品質水準・納期遵守
  • 為替変動(海外工場への委託分の原価に影響)
  • 地政学リスク(海外拠点の操業や物流の停止)
  • 協力工場の廃業・値上げ交渉によるコスト構造の変化

品質管理はISO9001:2015認証と自社Webシステムでの工場管理に依存しています。ただし「特定の委託先1社への依存度が何%か」という定量開示は、今回アクセスできた公開資料(公式IRページ・決算説明資料・二次媒体)では確認できなかったため、本記事では依存度の数値を示しません。有価証券報告書の【事業等のリスク】原文には記載がある可能性がありますので、選考が進んだ段階で自身で確認することをおすすめします。

なお、不祥事・行政処分・訴訟・情報漏洩については、今回の検索範囲では該当する事実は確認できませんでした(存在しないと断定するものではありません)。TOB・非公開化の動きも同様に確認できませんでした。

口コミが極端に少ない会社を、どう評価すればよいか

この会社を調べ始めた人が最初にぶつかる壁は、「情報が出てこない」ことそのものです。結論として、これは会社の問題ではなく母数の問題です。従業員40名の企業に、口コミサイトで統計的に意味のある投稿数が集まることはまずありません。

口コミ傾向の現状を正確に示すと次の通りです。

  • OpenWork:企業ページは存在するが社員クチコミ0件。評価スコアも全項目が未表示
  • エン カイシャの評判:口コミ6件・うち正社員回答2名で総合3.3点。項目別は会社の成長性3.4、事業の優位性3.3、20代成長環境3.3、実力主義3.3と横並び
  • キャリコネ:会社ページはあるが、掲載年収データは2016〜2018年度の古い有報値の転載レベル
  • 求人ボックス等の給与アグリゲータ:上場企業の平均給与としては有報が一次情報であり、これらは補助的に見るにとどめるのが妥当

ここで大切なのは、「口コミが少ない=隠している」でも「問題がない」でもないということです。単に判断材料が足りていない状態であり、材料の置き換えが必要になります。

求職者
求職者

口コミがほとんどないと、何を根拠に判断すればいいんでしょうか。

この会社の場合、有価証券報告書の時系列データが口コミの代わりになります。年収推移7期・従業員数推移6期・営業利益推移という3つの時系列を並べると、「2019年をピークに苦しい時期があり、2024年に底を打ち、いま回復して人も増やしている会社」という輪郭が見えてきます。口コミ2件の主観よりも、こちらのほうが判断材料としては確度が高いといえます。

そのうえで、口コミで補えない部分は面接で直接聞くしかありません。求人媒体側の情報は比較的具体的で、「少数精鋭で裁量が大きい」「設計から開発・テストまで一通り経験できる」「Kotlinなど新技術の導入で各メンバーの意見が尊重される」「月1回程度の出社でリモートワーク可」といった訴求が確認できます。これらが実態と合っているかを、面談で一つずつ照合するのが現実的な進め方です。

同じ「卸売業」の上場5社と並べて見る立ち位置

東証33業種で同じ「卸売業」に分類される上場企業と並べると、ピーバンドットコムの特徴がより鮮明になります。公式情報(各社の直近有価証券報告書・決算短信)ベースで比較します。決算期が3種類あるため、必ず年度とあわせて読んでください。

企業名(コード)直近期売上営業利益(利益率)従業員数有報 平均年間給与対象決算期
ピーバンドットコム(3559)23.11億円(+6.0%)1.90億円(8.2%)40名(非連結・子会社なし)570万円2026年3月期
昭栄薬品(3537)269.22億円(+7.6%・過去最高)5.05億円(1.9%)連結80名/提出会社60名899.8万円2026年3月期
コメダホールディングス(3543)572.25億円(+21.6%)94.24億円(16.5%)連結828名〔臨時2,022名〕/提出会社6名1,100.5万円(持株会社6名のみ)2026年2月期
No.1(3562)連結175.29億円(+23.4%)13.30億円(7.6%)連結957名/提出会社547名552万円2026年2月期
農業総合研究所(3541)83.59億円(+15.7%)1.82億円(2.2%)123名〔パート157名〕490万円2025年8月期/2026年4月27日に上場廃止・非上場(SOMPOグループ)

この比較から見えることを整理します。

  • 規模は5社中最小:売上はコメダHD 572.25億円との比較で約24.8分の1。従業員数もNo.1の957名との比較で約24分の1
  • 収益性は中位:営業利益率8.2%は、コメダHD 16.5%には及ばないが、昭栄薬品1.9%・農業総合研究所2.2%を大きく上回る。仲介型モデルは薄利多売の商社モデルより利益率が出やすい
  • 年収データの信頼度は5社中最上位クラス:コメダHDの1,100.5万円は持株会社6名のみの数字で事業会社の給与は開示なし。ピーバンドットコムは非連結の事業会社そのものなので、570万円がそのまま実額
  • ただし小規模ゆえの注意点:40名規模では、役職者の比率が数名変わるだけで平均年収が動きます。570万円という数字は「40名の平均」であり、職種別・年齢別のレンジを示すものではない点は推定情報を扱う際の前提として押さえておくべきです

より事業内容が近い比較対象としては、基板の試作・量産を手がけるキョウデン(6881)、プリント基板製造大手のメイコー(6787)、製造業向け部品調達ECのミスミグループ本社(9962)、間接資材BtoB ECのMonotaRO(3064)が挙げられます。特に後者2社は「Webで受注して製造・調達を回す」という点でモデルが近く、Webエンジニア職を志望する場合の実質的な比較先になり得ます。

ピーバンドットコムへの転職が向いている人・向いていない人

ここまでの公式情報と口コミ傾向をふまえ、適性を整理します(推定情報を含みます)。40名という規模と投資フェーズという局面が、そのまま適性の分かれ目になります。

向いている人向いていない人
担当領域を区切らず、開発・企画・運用を一通り手がけたい人一つの専門領域を深く分業して極めたい人
自社プロダクト(P板.com/GUGEN Hub)を内製で育てることに関心がある人整備済みの開発体制・大規模チームで働きたい人
製造業のものづくりとWebサービスの両方に興味がある人BtoCサービスや消費者向けマーケティングを志向する人
リモート中心(月1回程度の出社)の働き方を望む人毎日の出社と対面での育成環境を重視する人
数年単位の投資フェーズに腰を据えて付き合える人短期で年収を大きく引き上げたい人
制度が整い切っていない環境を自分で作る側に回れる人住宅補助など手厚い福利厚生を条件に含めたい人
オーナー企業の意思決定スピードを利点と捉えられる人ガバナンスの分散した大企業型の意思決定を好む人

特に重要なのは最後から3行目です。第24期の従業員は40名、平均勤続6.5年。この規模では、人事制度・評価制度・教育体系が大企業ほど整っていない可能性が高く、それを「不備」と見るか「自分が作れる余地」と見るかで満足度が大きく変わります。口コミ傾向としても「資格支援はあるが制度は限定的」という指摘があり、この見立てと整合しています。

ピーバンドットコムへの転職|編集部の見解

編集部の見解として、ピーバンドットコムは「数字が誠実に読める会社」だと評価しています。持株会社ではないため有報の平均年収570万円がそのまま実額であり、単一セグメントで事業も1本、無借金で赤字の期もない。転職検討者が判断に使える材料の質が、この規模の会社としては明快です。口コミがほとんどないという不便さはありますが、それを一次情報で補える構造になっている点は、むしろ珍しい強みだと考えられます。

一方で、総合すると「安定はしているが、大きく伸びる会社かどうかはこれから決まる」段階にあると見ています。売上は10年で約1.3倍、2027年3月期予想は営業利益+0.4%。稼いだ増分をシステム刷新と採用に全額投じるという方針は、経営としては筋が通っていますが、社員から見れば数年は原資が新規事業に回るということでもあります。年収を短期で大きく上げたい人には、条件が合いにくいでしょう。

逆に、Java/Kotlinで自社ECを内製する環境に身を置きたいエンジニアや、製造業のサプライチェーンをソフトウェアで作り替えることに関心がある人にとっては、40名という規模で意思決定に関与できる稀な機会になり得ます。GUGEN Hubを「第二の創業」と位置づけている以上、これから作る部分が多く残っているからです。おすすめできるかどうかは、安定性を取りに行くのか、作る面白さを取りに行くのかで完全に分かれる、というのが率直な結論です。

株式会社ピーバンドットコムに関するよくある質問

転職・就職を検討する人から想定される質問と、公式情報にもとづく回答をまとめました。

Q. ピーバンドットコムの従業員数は何人ですか?

A. 有価証券報告書によると、第24期(2026年3月期)末時点の従業員数は40名(提出会社単体)、ほかに臨時従業員が7名です。連結子会社を持たないため、この40名が事業を担う全社員に当たります。2017年3月期は17名でしたので、9年で約2.4倍に増えた計算です。ただし直近1年(2025年3月期40名→2026年3月期40名)は横ばいでした。

Q. 平均年収570万円は本当に社員の実額ですか?

A. 有価証券報告書の「従業員の状況」に記載された第24期の平均年間給与が約570万円です。同社は持株会社ではなく連結子会社も持たない単体決算のため、持株会社でしばしば起きる「管理部門の数名だけの平均が載っている」という乖離は生じません。公式情報としてそのまま現場社員の平均と読んで差し支えありません。ただし40名の平均であり、職種別・年齢別のレンジは有価証券報告書では開示されていません。

Q. なぜプライム市場からスタンダード市場へ移ったのですか?

A. 公式IRによると、2022年4月にプライム市場へ移行したものの、プライム市場の上場維持基準を満たせず、2023年10月にスタンダード市場へ移行しました。同時期には経過措置対象からスタンダードを選択申請した企業が多数あり、同社もその一つです。上場廃止ではなく市場区分の変更であり、2025年3月7日には名古屋証券取引所メイン市場へ追加上場しています。時価総額約22.9億円という規模を踏まえたうえで判断する材料として押さえておくとよいでしょう。

Q. リモートワークはできますか?

A. 求人媒体(Green、レバテックダイレクト、マイナビ転職)の掲載内容によると、Webエンジニア職では入社後数週間の本社勤務を経て、月1回程度の出社というリモート中心の勤務形態が明示されています。ただしこれは求人票ベースの情報であり、職種・入社時期・担当業務によって条件が異なる可能性があります(推定情報)。実際の勤務条件は、面接および内定時の労働条件通知書で確認してください。

Q. 不祥事や行政処分の履歴はありますか?

A. 今回の検索範囲では、不祥事・行政処分・訴訟・情報漏洩に該当する事実は確認できませんでした。ただしこれは「存在しない」と断定するものではなく、公開情報の範囲で該当が見当たらなかったという事実にとどまります。TOB・非公開化の動きについても同様に確認できませんでした。継続企業の前提に関する注記も、第24期の開示では記載がありません。

Q. どんな職種の募集がありますか?

A. 求人媒体で確認できる中心はWebエンジニア職で、Java/Kotlinを用いた自社EC「P板.com」の内製開発が主な業務内容です。そのほか、受注案件を協力工場に振り分ける生産管理・技術系の職種、Web集客を担うマーケティング職などが推定されます。ただし40名規模の企業のため募集は常時開いているとは限らず、最新の募集状況は公式採用ページで確認するのが確実です。

株式会社ピーバンドットコムへの転職判断まとめ

ここまでの内容を判断軸ごとに整理します。最終的な判断は、求人票だけでなく自分の経験・志向も含めて確認しましょう。

判断軸評価
年収水準(公式情報)有報570万円(2026年3月期・単体)。2019年600万円から下落後、直近で+29万円の反発局面
年収データの信頼度非連結の事業会社のため、持株会社バイアスなし。5社比較でも信頼度は上位
企業規模従業員40名・時価総額約22.9億円。上場企業として最小クラス
収益の安定性2015年3月期以降 通期赤字なし・無借金基調。変動費型で下振れに強い
成長性売上は10年で約1.3倍と緩やか。2027年3月期は営業利益+0.4%の横ばい予想
構造リスク協力工場約30社への製造委託依存。特定先への依存度の定量開示は確認できなかった
働き方求人ではリモート中心(月1回程度の出社)を明示。担当範囲は広くなりやすい
情報の入手しやすさ口コミは極端に少ない。有報の時系列データで補う前提が必要
向く人少数精鋭で裁量を持ち、自社プロダクトを作り込みたい人

どのサービスを使えばいいか決められないとき

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本記事の出典・参考情報

本記事で参照した一次情報・口コミ情報の出典は以下の通りです。最新の正確な数値は各リンク先で確認してください。

公式情報源

口コミ・評判の参照元

免責事項:本記事の数値・評価は公式情報・口コミ集計・市場推定の3分類で示しており、口コミ傾向や推定情報は断定ではなく傾向・可能性として表現しています。最終判断は読者自身で公式IRおよび内定時の労働条件通知書で確認してください。

この記事の編集方針・情報の確認について

この記事は、公式公開情報(有価証券報告書・IR資料)、求人情報、口コミ傾向をそれぞれ分けて整理し、転職・就職判断に役立つよう編集しています。年収・平均年齢・平均勤続年数・従業員数の中核データは有価証券報告書「従業員の状況」(第24期・2026年3月期)を一次情報として扱い、口コミ・推定情報とは明確に区別しています。なお、これら時系列データの取得経路はEDINET提出XBRLを転載するirbank.netであり、有価証券報告書PDF原文は本記事作成時点で直接参照していません。記載内容は最終更新時点の公開情報にもとづきます。最新の正確な数値は各公式IRページでご確認ください。

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コロ助
コロ助
企業と転職サービスを、有価証券報告書などの一次情報から読んでいます。
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