日新商事はやばい?MBOで2026年10月上場廃止予定・営業赤字転落を有報で検証
※本記事にはプロモーションを含みます。
この記事の結論
- 上場状態:MBOにより2026年10月9日に上場廃止予定。上場企業ではなくなります
- 業績:2026年3月期は連結営業損失1億8,533万円で赤字転落。石油関連は増益
- 年収:有価証券報告書の平均年間給与は590万8千円(第82期・単体334名)
- 判断軸:非公開化後は開示が細る前提で、条件を書面で確認できるかが分かれ目
「日新商事 やばい」という検索候補を見て、この記事にたどり着いた方が多いはずです。結論から言うと、日新商事株式会社(証券コード7490・東京都港区芝浦)を一律に危険な会社と断定できる材料はありません。ただし、この会社には2026年10月9日に上場廃止となる予定(MBOによる非公開化)と、2026年3月期の連結営業赤字転落という、転職判断に直結する2つの大きな変化が同時に起きています。この記事では、第82期(2026年3月期)有価証券報告書と適時開示、そして口コミサイトの集計値を明確に分けたうえで、「何が事実で、何が推測にすぎないのか」を整理します。なお、日新商事は社名の響きが似た同音の別法人が複数存在しますが、本記事で扱うのはENEOS株式会社と特約販売契約を結ぶ石油製品販売会社(1947年横浜創業・1950年設立)の1社のみです。
日新商事は「やばい」のか?検索される4つの不安を事実で分解する
まず読者が最も知りたい点に答えます。「やばい」という検索語の裏側にある不安は、大きく4つに分けられます。そのうち公式情報で裏づけが取れるのは上場廃止と営業赤字の2点で、残る2点は口コミ傾向と推定情報の領域です。事実と印象を分けて読むだけで、判断の精度は大きく変わります。
不安1・2:事実として確認できる「上場廃止予定」と「営業赤字転落」
1つ目は上場に関する不安です。日新商事は2026年5月11日に「MBOの実施及び応募の推奨に関するお知らせ」を公表し、代表取締役社長が全額出資する株式会社EDIANDによる公開買付け(TOB)が2026年6月に成立しました。2026年9月10日から10月8日まで整理銘柄に指定され、2026年10月9日に上場廃止となる予定です。したがって、この記事をお読みの時点では、すでに非上場企業になっている可能性があります。求人票や口コミサイトに「東証スタンダード上場」と書かれていても、それは更新前の情報である可能性が高い点に注意してください。
2つ目は業績です。有価証券報告書によると、第82期(2026年3月期)の連結営業損益は1億8,533万円の損失で、前期の営業利益3億8,486万円から赤字に転じています。ただし後述するとおり、赤字の発生源は再生可能エネルギー関連事業に集中しており、売上の約9割を占める石油関連事業のセグメント利益は9億4千万円台(前期比+50.3%)と増益でした。「会社全体が沈んでいる」という理解は事実に合いません。
不安3:口コミサイトの総合評価が中位から低めにとどまる
3つ目は評判です。口コミ傾向としては、OpenWorkでは口コミ115件・総合評価2.84、転職会議では口コミ55件・総合評価3.33という集計が確認できます。転職会議の評価分布は4つ星以上が9%、3つ星が37%、2つ星以下が38%で、高評価が少なく中位から低めに寄っている構造です。ただし従業員数366名(連結)に対して両サイト合計170件超という投稿件数は、同規模の企業としてはむしろ多い部類に入ります。投稿が多い会社ほど不満の声も可視化されやすいという性質があるため、点数だけを他社と単純比較するのは避けたほうがよいでしょう。個別の口コミ本文までは取得していないため、本記事では投稿理由の内訳について断定はしません。
不安4:ガソリンスタンド運営という業態そのものへの先入観
4つ目は業態イメージです。日新商事は直営サービスステーション(SS)53店舗を関東・中部・関西で運営しており、単体従業員334名のうち276名(約83%)が石油関連事業に所属しています。つまり本社の商社機能だけでなく、店舗運営の現場を大きく抱える会社です。シフト勤務・立ち仕事・接客を含む職種と、法人営業や管理部門とでは、働き方も評価も同じにはなりません。「やばいかどうか」ではなく「自分が配属される可能性のあるコースはどれか」を選考段階で確認することが、実質的な判断につながります(推定情報を含みます)。
日新商事(7490)の公式データ一覧|第82期有価証券報告書ベース
本記事で扱う公式数値を一覧で確認できます。数値はすべて第82期(2025年4月1日〜2026年3月31日)の有価証券報告書および決算短信にもとづく公式情報です。最新の正確な数値は公式IRページで再確認してください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名・証券コード | 日新商事株式会社(7490) |
| 上場区分 | 1996年3月に東証二部上場、2022年4月に東証スタンダードへ移行。MBOにより2026年10月9日上場廃止予定 |
| 本社 | 東京都港区芝浦一丁目12番3号(Daiwa芝浦ビル4階) |
| 設立 | 1950年(1947年に横浜で創業) |
| 平均年間給与 | 590万8千円(第82期・提出会社単体334名ベース、前事業年度比+0.4%) |
| 平均年齢 | 42.9歳(提出会社・2026年3月31日現在) |
| 平均勤続年数 | 16.8年(提出会社・2026年3月31日現在) |
| 従業員数 | 連結366名(臨時従業員年間平均130名は外数)/単体334名(臨時128名は外数) |
| 単体の事業別内訳 | 石油関連276名/再生可能エネルギー関連15名/不動産2名/全社共通41名 |
| 売上高 | 連結394億2,583万円(前期比+1.0%)/単体339億4千万円台 |
| 営業利益 | 連結営業損失1億8,533万円(前期は営業利益3億8,486万円)/単体は営業利益3億4千万円台(+16.8%) |
| 経常利益 | 3億1,774万円(前期比マイナス42.9%) |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 36億6,112万円(前期比+494.9%/投資有価証券売却益による一過性要因を含む) |
| 財務指標 | 自己資本比率61.2%、現金及び預金74億5千万円台 |
| セグメント構成 | 石油関連356.2億円/再生可能エネルギー関連31.6億円/不動産6.4億円 |
| 労働組合 | 労働組合は結成されていない |
| 男女賃金差異 | 全労働者52.5%/正規雇用74.0%/パート・有期96.3%(男性を100とした場合の女性の賃金) |
| 男性育児休業取得率 | 57.1% |
| 管理職に占める女性比率 | 有価証券報告書では数値が記載されていない(「-」表記) |
| 次期業績予想 | 上場廃止予定のため2027年3月期の業績予想・配当予想は非開示 |
| 出典 | 第82期(2026年3月期)有価証券報告書、2026年3月期決算短信、2027年3月期第1四半期決算短信 |
2026年10月9日に上場廃止予定|MBOの経緯を時系列で整理する
この記事の中心テーマです。転職検討者にとって重要なのは株価そのものではなく、「会社の持ち主が誰になるのか」「入社後に見える情報がどう変わるのか」という点です。まずは適時開示で確認できる事実だけを時系列に並べます。
TOB成立から上場廃止までのスケジュール
公開されている一連の適時開示を整理すると、次の流れになります。いずれも公式情報です。
| 時期 | できごと |
|---|---|
| 2026年4月20日 | 買付者となる株式会社EDIANDを設立(資本金1万円)。日新商事の代表取締役社長が全額出資 |
| 2026年5月11日 | 「MBOの実施及び応募の推奨に関するお知らせ」を公表。同日に2026年3月期決算短信も開示 |
| 2026年5月12日〜6月22日 | 公開買付期間。買付価格1株2,210円、買付予定数の下限2,291,500株 |
| 2026年6月23日 | 公開買付けの結果を公表。応募3,921,070株(議決権割合58.73%)で成立 |
| 2026年6月29日 | EDIANDが親会社に。同日、第82期有価証券報告書を関東財務局へ提出 |
| 2026年8月7日 | 株式併合を付議する臨時株主総会の開催を公表。同日に第1四半期決算短信を開示 |
| 2026年9月10日 | 臨時株主総会で株式併合(990,000株を1株に併合)を付議。同日から整理銘柄に指定 |
| 2026年10月8日 | 整理銘柄としての売買最終日 |
| 2026年10月9日 | 上場廃止(予定) |
| 2026年10月14日 | 株式併合の効力発生(予定) |
この日程は開示済みの予定であり、確定した過去の事実と予定を混同しないよう、記事中でも「予定」と明記しています。
買付価格2,210円に至った交渉の経緯
MBOと聞くと「経営陣が安く買い叩いた」という印象を持つ方もいますが、開示文書を読むかぎり、少なくとも価格面では特別委員会が機能した形跡が残っています。買付者側の初回提案は1株1,850円で、これは提案直前の終値1,254円に対して約47.5%のプレミアムがつく水準でした。それでも特別委員会は「一般株主の期待と相当に乖離している」として再考を求め、最終的な買付価格は1株2,210円まで引き上げられています。プロセスの妥当性そのものは投資判断の論点であり本記事の主題ではありませんが、「経営陣が一方的に決めた案件ではない」という点は、企業ガバナンスを気にする求職者にとって一定の判断材料になるでしょう。
ENEOSホールディングスと大株主の退出で資本構成が入れ替わる
資本関係の変化はさらに重要です。2026年3月末時点の主要株主は、ENEOSホールディングス17.07%(筆頭株主)、株式会社日新14.83%、日本マスタートラスト信託銀行5.2%、三井住友銀行3.7%、創業家関係の個人株主3名で合計8.0%、ユシロ1.7%という構成でした。このうちENEOSホールディングスと株式会社日新はTOBに応募せず、上場廃止後のスクイーズアウトを経て、自己株式取得(ENEOSホールディングス分は1株1,980円、株式会社日新分は1株1,987円)によって退出する予定と開示されています。結果として、株主は社長側・創業家側に集約される見込みです。上場会社から創業家オーナー企業へ、資本の性格が明確に変わる転換点だと理解しておくとよいでしょう。
「上場廃止」は転職検討者にとって何を意味するのか
ここが本記事の独自価値です。上場廃止のニュースは投資家向けに語られがちですが、求職者にとっての意味はまったく別のところにあります。結論としては、会社が消えるわけではない一方、判断材料が減るという一点に集約されます。
意味1:第82期が「最後に公開された詳細データ」になる可能性
非公開化すると、有価証券報告書の継続的な提出は途絶える見込みです。つまり、平均年間給与590万8千円・平均年齢42.9歳・平均勤続年数16.8年・男女賃金差異52.5%といった、この記事で扱っている数値の多くは、第82期(2026年3月期)が最後の公開データになる可能性があります(推定情報)。転職の際に「入社前に決算を見て確かめる」という一般的な手法が使えなくなるため、内定段階で労働条件通知書と就業規則の内容を書面で確認する重要性が相対的に高まります。
意味2:オーナー企業化による意思決定スピードと属人性の両面
株主が経営陣・創業家側に集約されると、四半期開示や機関投資家対応に割いていたコストと時間が減り、中長期の投資判断がしやすくなるという説明が一般にMBOの目的として挙げられます。日新商事も長期ビジョン「nissin Vision 2030」で石油依存からの脱却を掲げており、非公開化はその実行手段という位置づけと読むことができます。一方で、オーナー企業は経営の意思が制度より優先されやすく、人事評価や処遇の運用が属人的になりやすいという側面も指摘されます。どちらに転ぶかは外部からは判断できないため、面接で「非公開化後の人事制度の変更予定」を確認するのが現実的です(推定情報)。
意味3:ENEOSが株主から外れても、事業上の関係は残る
誤解されやすい点なので明確にしておきます。ENEOSホールディングスが株主から退出しても、日新商事はENEOS株式会社との特約販売契約にもとづく特約店であり、石油製品の大半をENEOSから仕入れる事業構造そのものは変わりません。有価証券報告書でも、この仕入先集中は事業リスクとして記載されています。「ENEOS系の会社に入るつもりだったのに資本関係がなくなる」という不安と、「日々の商流は変わらない」という実務面は、分けて理解する必要があります(資本関係の変化が取引条件に及ぼす影響は開示されていないため、ここは推定情報として扱います)。
2026年3月期決算を分解する|営業赤字と純利益急増の「ねじれ」
数字を見慣れていない方が最も誤読しやすいのが、この期の決算です。営業損失1億8,533万円なのに、当期純利益は36億6,112万円(前期比+494.9%)という一見矛盾した数字が並びます。ここを正しく読めるかどうかで、会社の実力に対する評価は真逆になります。
赤字の発生源は再エネ事業に集中している
セグメント別に分解すると構図は明快です。有価証券報告書によると、第82期のセグメント損益は次のとおりでした。
| セグメント | 売上高 | セグメント損益 | 主な内容 |
|---|---|---|---|
| 石油関連事業 | 356.2億円 | 約9.4億円の利益(前期比+50.3%) | 直営SS53店舗(直営部門302億円)、法人向け燃料油・潤滑油の直需販売39.8億円、産業資材8.7億円、卸・LPガス |
| 再生可能エネルギー関連事業 | 31.6億円 | 約9.2億円の損失 | マレーシア子会社によるPKS(パーム椰子殻)バイオマス燃料販売、諏訪の太陽光発電所の売電 |
| 不動産事業 | 6.4億円 | 約3.3億円の利益 | SS跡地・社宅跡地を活用した賃貸マンション「EDIAN」シリーズ |
主力の石油関連事業は増益、不動産事業は売上6.4億円に対して利益3.3億円という高い利益率を確保しています。全社の営業損益をマイナスに引き下げたのは再生可能エネルギー関連事業で、要因としてPKS販売の収益性低下と、太陽光発電所が落雷によって発電停止したことによる売却損が開示されています。さらにマレーシア子会社JJ FUEL SUPPLYの事業停止に伴い、事業整理損失引当金2億9,900万円を計上し、持分法適用会社Jリーフの全株式も譲渡しました。脱石油の柱として育てようとした事業が、いったん整理局面に入ったという読み方ができます。
純利益36.6億円の中身は本業の稼ぐ力ではない
純利益の急増要因は、投資有価証券の売却益です。売却額は59億7千万円台にのぼり、これが特別利益として計上されたことで、経常利益3億1,774万円(前期比マイナス42.9%)から純利益36億6,112万円へと跳ね上がりました。この36.6億円を「儲かっている会社の証拠」と読むのは明確な誤読です。転職検討者が見るべきは、営業損益(本業)とセグメント別の推移であり、一過性の特別損益ではありません。求人サイトや企業情報サイトが「増収増益」「純利益5倍」といった表現を使っている場合、その根拠がどの利益段階かを必ず確認してください。
財務は堅い一方、直近四半期は減収
もっとも、営業赤字が即座に会社の存続不安に直結するかというと、そこは別問題です。第82期末の自己資本比率は61.2%、現金及び預金は74億5千万円台で、中堅商社としては手厚い水準です。一方、2027年3月期第1四半期(2026年4〜6月)は売上高85億3千万円台で前年同期比マイナス12.4%、営業利益は0.69億円と黒字を確保しています。上場廃止予定のため通期の業績予想・配当予想は非開示となっており、今後の業績を外部から追う手段は限られる点に留意してください。
日新商事の年収590万8千円をどう評価するか|有報と口コミの乖離を読む
年収は「日新商事 年収」として実際に検索されているテーマです。結論を先に言うと、公式情報である有価証券報告書の平均年間給与は590万8千円で、口コミサイトに出ている平均年収とは200万円以上の開きがあります。この乖離の理由を理解しないまま、どちらか一方だけを信じるのが最も危険です。
公式の平均年間給与と、その前提条件
有価証券報告書によると、第82期の提出会社(単体)における平均年間給与は590万8千円で、前事業年度比+0.4%と横ばいでした。この数値の前提は次のとおりです。
- 対象は提出会社の従業員334名(連結366名ではなく単体ベース。臨時従業員128名は含まれない)
- 賞与および基準外賃金(残業代等)を含む
- 平均年齢42.9歳、平均勤続年数16.8年という、勤続の長い母集団の平均値
- 単体従業員の約83%にあたる276名が石油関連事業に所属し、SS現場の従業員を含む
平均勤続16.8年という数字は、中堅企業としては長い部類です。定着している層が平均を押し上げている構造であり、20代・30代の実際の支給額が590万円前後になるとは限らない点は押さえておく必要があります。
転職会議の口コミ平均376万円との乖離をどう解釈するか
口コミ傾向として、転職会議に掲載されている口コミベースの平均年収は376万円(回答者の平均年齢30.3歳)です。有報の590万8千円との差は約215万円ですが、これは矛盾ではなく、母集団が違うことによる差と考えるのが自然です。
| 比較軸 | 有価証券報告書(公式情報) | 転職会議の口コミ(口コミ傾向) |
|---|---|---|
| 金額 | 590万8千円 | 376万円 |
| 平均年齢 | 42.9歳 | 30.3歳 |
| 母集団 | 提出会社の全従業員334名 | 投稿した個人(自己申告・職種の偏りあり) |
| 含まれるもの | 賞与・基準外賃金を含む | 投稿者の申告基準により幅がある |
年齢差が12歳以上あることを踏まえると、30代前半の実態は376万円寄り、40代以降で590万円前後に近づくという理解が現実的でしょう(推定情報)。さらに、新卒採用が「総合職コース」と「SSコース」の2本立てである以上、コースによって処遇テーブルが異なる可能性も考えられます。この点は開示されていないため、選考過程で職種別の賃金テーブルと昇給ルールを直接確認してください。
賃金に関して開示されている周辺データ
年収そのもの以外に、有価証券報告書では次の指標が開示されています。いずれも公式情報です。
- 男女の賃金の差異:全労働者52.5%、正規雇用労働者74.0%、パート・有期労働者96.3%(男性を100とした場合の女性の賃金)
- 男性の育児休業取得率:57.1%
- 管理職に占める女性比率:有価証券報告書では数値が記載されていない(「-」表記)
- 労働組合:結成されていない
全労働者ベースの差異52.5%に対して正規雇用では74.0%まで縮まることから、差の一因は雇用形態や職種構成の違いにあると読めます。ただし正規雇用の74.0%という水準も相応の開きであり、女性のキャリアパスを重視する方は、管理職登用の実績を面接で具体的に確認することをおすすめします。また労働組合がないため、給与改定や労働条件の変更は会社側の制度運用に委ねられます。この点は非公開化後の環境変化とあわせて見ておきたい要素です(推定情報)。
働き方と社風の口コミ傾向|残業29.2時間・有給消化率47.9%をどう読むか
働き方については、口コミサイトの集計値が参考になります。ここで示す数値はすべて口コミ傾向であり、会社が公表した数値ではない点を先にお断りします。
集計値から見える働き方の輪郭
転職会議の集計では、月間残業時間29.2時間、有給休暇消化率47.9%という数字が示されています。残業29.2時間は月20日勤務なら1日あたり約1.5時間で、日本の平均的な水準からかけ離れた数値ではありません。一方、有給消化率47.9%は、年20日付与なら年間約10日の取得にとどまる計算です。SS53店舗という店舗運営を抱える会社の場合、シフトの穴を埋めにくい構造が消化率に影響している可能性があります(推定情報)。転職会議の注目トピックとして「ボーナス、残業、休み、上司、役職、新卒」が挙げられていることも、待遇と休暇が関心の中心にあることを示しています。
現場職と本社総合職で評価が分かれやすい構造
OpenWorkの総合評価2.84と転職会議の3.33という差も含め、評価が割れる背景には職種構成があると考えられます。単体従業員334名のうち276名が石油関連事業所属という比率を踏まえると、口コミ投稿者にもSS現場の勤務経験者が相応に含まれているはずです。シフト勤務・立ち仕事・接客が中心の店舗職と、法人ルート営業や管理部門とでは、労働時間の感じ方も評価基準も異なります。個別の口コミ本文までは取得していないため断定は避けますが、「日新商事の評判」を一つの平均点で語ることには無理があるという理解が実務的です。

口コミの点数が低めなのは、やっぱり避けたほうがいいということ?
点数そのものより、「どの職種の人が、何に不満を持って投稿しているのか」を見るほうが有益です。店舗シフトへの不満は本社勤務のポジションを狙う人には当てはまりませんし、逆に転勤範囲への不満は総合職志望なら自分ごとになります。応募するポジションに紐づく声だけを拾い出す読み方に切り替えてください。
事業構造と将来性|石油・再エネ・不動産の三本柱をどう評価するか
将来性を評価するうえでの前提は、売上の約9割を占める石油関連事業が構造的な需要減退に直面しているという点です。有価証券報告書でも、石油製品需要の構造的減退、原油価格変動、ENEOSへの仕入依存が事業リスクとして記載されています。この認識があるからこそ、同社は再エネと不動産という2つの柱を育てようとしてきました。
石油関連事業:稼ぎ頭であり、同時に長期の逆風もある
石油関連事業の内訳は、直営SS部門302億円、法人向け直需販売39.8億円、産業資材8.7億円などです。主要販売先にはクボタ、カヤバ、常磐共同火力、ダイハツ工業、東京電力ホールディングス、ユシロといった大手法人が並び、潤滑油・産業用燃料の直需販売が法人取引の中核を担っています。給油所の小売だけでなく、法人向けの燃料・潤滑油ルート営業という商社機能を併せ持つ点が同社の特徴です。第82期はセグメント利益が前期比+50.3%と伸びており、短期的には収益の支柱として機能しています。一方、国内のガソリン需要は長期的な減少傾向にあり、SS事業単体で成長を描くのが難しいのは業界共通の課題です。
再生可能エネルギー関連事業:脱石油の柱が整理局面に
再エネ事業は売上31.6億円に対してセグメント損失9.2億円と、第82期の赤字の主因になりました。PKS(パーム椰子殻)バイオマス燃料の販売は収益性が低下し、諏訪の太陽光発電所は落雷による発電停止と売却損が発生、さらにマレーシア子会社JJ FUEL SUPPLYは事業停止に至っています。同社はマレーシア・ベトナム・タイに現地法人を持ちますが、海外バイオマス燃料の商流は価格変動と現地オペレーションのリスクが大きいことが、この結果から読み取れます。転職検討者の視点では、「再エネ部門で新しいキャリアを積める会社」と期待して入るのはリスクが高く、今後の再エネ事業の方針を面接で直接確認すべき領域といえます。
不動産事業:規模は小さいが利益率は高い
不動産事業は売上6.4億円に対して利益3.3億円と、売上規模のわりに利益貢献が大きいセグメントです。SS跡地や社宅跡地を活用した賃貸マンション「EDIAN」シリーズを運営しており、買付会社の名称EDIANDもこのブランドに由来します。既存資産の有効活用という性格上、急拡大は見込みにくいものの、石油需要の減退局面で安定収益をもたらす存在です。なお同社は過去に飲食事業へ多角化した歴史があり、赤坂新鮨(2004年撤退)、タリーズコーヒー(2021年終了)、KFC(2021年終了)と、いずれも撤退しています。多角化を試み、合わないものは畳んできた会社という事業運営の傾向は、長期ビジョン「nissin Vision 2030」の実行力を評価するうえでの一つの材料になるでしょう(推定情報)。
同じ東証33業種「卸売業」10社との比較で見る日新商事の立ち位置
同業比較として、まず石油販売・燃料商社の領域では三愛オブリ(8097)、シナネンホールディングス(8132)、伊藤忠エネクス(8133)、カメイ(8037)といった上場企業が比較対象になります。いずれも日新商事より事業規模が大きく、SS運営に加えてLPガス・電力・航空燃料などへ多角化している点が共通します。ただし本記事では各社の細部数値の一次確認を行っていないため、数値比較は同時期に調査した東証33業種「卸売業」10社で行います。決算期が企業ごとに異なるため、対象期を必ず併記しています(すべて各社の有価証券報告書・決算短信ベースの公式情報)。
| 企業(コード) | 売上高(前期比) | 営業利益(利益率) | 従業員数 | 有報の平均年間給与/対象期 | 特記事項 |
|---|---|---|---|---|---|
| 日新商事(7490) | 連結394.26億円(+1.0%) | 営業損失1.85億円(赤字転落) | 連結366名/単体334名 | 590.8万円/2026年3月期 | MBOで2026年10月9日上場廃止予定。純利益36.61億円は売却益による一過性 |
| 西川計測(7500) | 452.20億円(+16.8%・非連結) | 44.33億円(9.8%) | 403名 | 1,088万円/2025年6月期 | 10社中で最も高い平均給与。2026年6月期の有報は未提出 |
| ティムコ(7501) | 32.19億円(+0.2%) | 営業損失0.98億円(2期連続赤字) | 71名(臨時104名) | 516.1万円/2025年11月期 | 2026年5月にTOB成立、上場維持基準への抵触が見込まれる状況 |
| 高速(7504) | 連結1,241.91億円(+7.1%) | 48.65億円(3.9%) | 連結1,147名 | 603.3万円/2026年3月期 | 11期連続で最高売上、22期連続増配、有利子負債ゼロ |
| 扶桑電通(7505) | 546.84億円(+16.9%・単体) | 34.28億円(6.3%) | 1,005名 | 744万円/2025年9月期 | 平均勤続20.7年 |
| たけびし(7510) | 連結1,098.62億円(+8.8%) | 40.8億円(3.7%) | 連結858名 | 790.9万円/2026年3月期 | 月間残業12.09時間 |
| ムサシ(7521) | 連結405.86億円(+8.5%) | 46.77億円(11.5%) | 連結544名 | 680.9万円/2026年3月期 | 10社中で最高の営業利益率。選挙サイクルで業績が大きく変動 |
| リックス(7525) | 連結558.27億円 | 35.38億円(6.3%・減益) | 連結805名 | 772.6万円/2026年3月期 | 平均年齢37.4歳と10社中で若い |
| 清和中央ホールディングス(7531) | 連結500.26億円(マイナス2.8%) | 4.00億円(0.8%) | 連結218名/提出会社14名 | 572.2万円/2025年12月期 | 純粋持株会社のため有報の給与は本社14名分。事業会社の給与は非開示 |
| 丸文(7537) | 連結2,134.25億円(+1.2%) | 77.63億円(3.6%・2期連続減益) | 連結1,193名 | 787.4万円/2026年3月期 | 経常利益は為替差損で前期比マイナス35.5% |
この表から日新商事について読み取れることは3点あります。第1に、平均年間給与590.8万円は10社中で下位グループにあたり、西川計測(1,088万円)とは約1.8倍の開きがあります。ただし清和中央ホールディングスの572.2万円は持株会社本社14名のみの数値であり、会社全体の水準として比較できない点には注意が必要です。第2に、営業赤字は10社中で日新商事とティムコの2社のみで、卸売業の中でも収益面で厳しい期だったことがわかります。第3に、利益のねじれが起きているのは日新商事(営業赤字なのに純利益+494.9%)と丸文(営業黒字なのに経常マイナス35.5%)の2社で、いずれも本業の損益と最終損益を分けて読む必要があります。給与水準を重視するなら西川計測・たけびし・丸文、安定性を重視するなら高速のような比較の軸を持つと、選択肢を整理しやすくなります。
日新商事への転職に向いている人・向いていない人
ここまでの公式情報と口コミ傾向をふまえ、適性を整理します(推定情報を含みます)。特にこの会社では、上場廃止後の環境変化を許容できるかどうかが最大の分岐点になります。
| 向いている人 | 向いていない人 |
|---|---|
| オーナー企業のスピード感を歓迎し、上場企業としての形式的な体制にこだわらない人 | 上場企業であること自体(安心感・株式報酬・開示の透明性)を重視する人 |
| 石油製品の法人ルート営業・潤滑油の直需営業で、既存顧客との長期関係を築くことに価値を感じる人 | 成長市場で事業を拡大する経験を積みたい人(国内石油製品は需要減退局面) |
| SS運営・店舗マネジメントを含む現場経験をキャリアに位置づけたい人 | シフト勤務・立ち仕事・接客業務を含む可能性を許容できない人 |
| 平均勤続16.8年という定着型の組織で、腰を据えて働きたい人 | 短期の年収アップ幅を最優先する人(平均給与は同時比較10社中で下位グループ) |
| 自己資本比率61.2%・現預金74.5億円という財務基盤の堅さを評価する人 | 再エネ・新規事業で専門性を積みたい人(当該事業は整理局面にある) |
| 不動産・産業資材など複数事業をまたぐジョブローテーションに前向きな人 | 非公開化により入社後の業績情報が見えにくくなることに強い不安がある人 |
日新商事への転職判断まとめ|編集部の見解
最後に、判断軸ごとに評価を整理します。編集部の見解として、日新商事は「危険な会社」でも「安泰な会社」でもなく、会社の形が変わる途中の局面にある会社と位置づけるのが最も実態に近いと考えられます。
| 判断軸 | 評価と根拠 |
|---|---|
| 年収水準 | 有報平均590万8千円(第82期・単体334名)。平均年齢42.9歳を踏まえると、若手のうちは平均を下回る可能性。同時比較10社では下位グループ |
| 財務の安定性 | 自己資本比率61.2%、現預金74億5千万円台。営業赤字は再エネ要因で、主力の石油関連は増益 |
| 本業の収益力 | 連結営業損失1.85億円。純利益36.6億円は投資有価証券売却益による一過性で、本業の評価には使えない |
| 将来性 | 石油製品需要の構造的減退が前提。再エネは整理局面、不動産は小規模ながら高採算。長期ビジョン「nissin Vision 2030」の実行力が焦点 |
| 働き方 | 口コミ傾向では月間残業29.2時間・有給消化率47.9%。SS現場と本社総合職で条件が異なる前提で確認が必要 |
| 組織・ガバナンス | 2026年10月9日上場廃止予定。株主は創業家側に集約見込み。労働組合はなし |
| 情報の透明性 | 非公開化後は有報開示が途絶える見込み。第82期が最後の詳細データになる可能性がある |
| コンプライアンス | 第82期有価証券報告書の本文に訴訟・行政処分・課徴金・法令違反に関する記載はない(記載がないことは、あらゆる事案が存在しないことを意味するものではありません) |
総合すると、法人向け燃料・潤滑油のルート営業や店舗マネジメントの経験を積みたい人、あるいは腰を据えて長く働ける中堅企業を探している人にとっては、検討に値する選択肢です。一方で、上場企業であることや開示の透明性、成長市場でのキャリア形成を重視する人には、条件が合いにくいと考えられます。応募する場合は、①配属コース(総合職/SS)と転勤範囲、②非公開化後の人事制度・評価制度の変更予定、③再エネ事業の今後の方針の3点を、面接で必ず確認することをおすすめします。
日新商事に関するよくある質問
日新商事への転職・就職を検討する人から実際に検索されている疑問に、公式情報をもとに回答します。
日新商事の上場廃止はいつですか?
適時開示によると、2026年9月10日から10月8日まで整理銘柄に指定され、2026年10月9日に上場廃止となる予定です。株式併合(990,000株を1株)の効力発生日は2026年10月14日の予定です。この記事をお読みの時点では、すでに手続きが完了している可能性があります。
MBOで会社はなくなってしまうのですか?
なくなりません。MBOは経営陣による自社株式の買収であり、上場をやめて非公開企業になる手続きです。日新商事株式会社としての事業(直営SS53店舗の運営、法人向け燃料・潤滑油販売、不動産賃貸)は継続する前提で開示が行われています。変わるのは株主構成と、投資家向け開示の有無です。
ENEOSの子会社になるのですか?
逆です。ENEOSホールディングスは日新商事の筆頭株主(2026年3月末時点で17.07%)でしたが、TOBに応募せず、上場廃止後の自己株式取得によって株主から退出する予定と開示されています。ただし、ENEOS株式会社との特約販売契約にもとづく特約店としての事業関係は継続する構造であり、石油製品の大半をENEOSから仕入れるという商流自体は変わりません。
日新商事の平均年収はいくらですか?
有価証券報告書によると、第82期(2026年3月期)の平均年間給与は590万8千円(提出会社単体334名、賞与・基準外賃金を含む)です。平均年齢42.9歳・平均勤続年数16.8年の母集団の平均値であり、若手の実支給額はこれより低い水準になる可能性があります。転職会議の口コミベースの平均年収は376万円(平均年齢30.3歳)で、年齢構成の違いが差の主因と考えられます。
入社するとガソリンスタンド勤務になりますか?
可能性はあります。有価証券報告書によれば、提出会社の従業員334名のうち276名(約83%)が石油関連事業に所属しており、直営SSは53店舗(関東・中部・関西)あります。新卒採用は「総合職コース」と「SSコース」の2本立てで、2026年度からは若年層のジョブ・ローテーションを実施する方針が示されています。中途採用では石油製品のルート営業、人事、SSスタッフなどの募集が出ています。応募時に職種・配属方針を明確に確認してください。
行政処分や不祥事はありますか?
第82期(2026年3月期)有価証券報告書の本文には、訴訟・行政処分・課徴金・法令違反に関する記載はありません。ただし、有価証券報告書に記載がないことは、あらゆる事案が存在しないことを意味するものではありません。個別の事象については、公式サイトのニュースリリースをあわせてご覧ください。
転職先として財務面の不安はありますか?
第82期は連結営業損失1億8,533万円と赤字に転じましたが、要因は再生可能エネルギー関連事業のセグメント損失9.2億円に集中しています。主力の石油関連事業はセグメント利益が前期比+50.3%と増益で、自己資本比率61.2%、現金及び預金74億5千万円台という財務基盤も維持されています。ただし上場廃止予定のため2027年3月期の業績予想は非開示であり、今後の業績を外部から追跡する手段は限られる点に留意が必要です。
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本記事の出典・参考情報
本記事で参照した一次情報・口コミ情報の出典は以下の通りです。最新の正確な数値は各リンク先で確認してください。
公式情報源
参照した個別開示資料:第82期(2026年3月期)有価証券報告書(2026年6月29日関東財務局提出)、2026年3月期決算短信(2026年5月11日)、2027年3月期第1四半期決算短信(2026年8月7日)、「MBOの実施及び応募の推奨に関するお知らせ」(2026年5月11日)、「株式会社EDIANDによる当社株式に対する公開買付けの結果並びに親会社及び主要株主である筆頭株主の異動に関するお知らせ」(2026年6月23日)、株式併合に係る臨時株主総会開催のお知らせ(2026年8月7日)、株式併合に関する法定事前開示書類(2026年8月26日)。なお本記事の給与・従業員データは有価証券報告書「従業員の状況」の記載値にもとづきますが、EDINET原本の直接確認を行っていない項目を含みます。
口コミ・評判の参照元
免責事項:本記事の数値・評価は公式情報・口コミ集計・市場推定の3分類で示しており、口コミ傾向や推定情報は断定ではなく傾向・可能性として表現しています。最終判断は読者自身で公式IRおよび内定時の労働条件通知書で確認してください。
この記事の編集方針・情報の確認について
この記事は、公式公開情報(有価証券報告書・IR資料・適時開示)、求人情報、口コミ傾向をそれぞれ分けて整理し、転職・就職判断に役立つよう編集しています。年収・平均年齢・平均勤続年数・従業員数などの中核データは有価証券報告書「従業員の状況」を一次情報として扱い、口コミ・推定情報とは明確に区別しています。MBO・上場廃止に関する日程は適時開示で公表された予定であり、実際の進行状況は変わる可能性があります。記載内容は最終更新時点の公開情報にもとづきます。最新の正確な数値は各公式IRページでご確認ください。
