企業

株式会社あらたの評判は?物流センターの実態を有報1,954名・臨時4,413名で読む

コロ助

※本記事にはプロモーションを含みます。

この記事の結論

  • 有報の年収618.9万円は正社員1,954名の数字:臨時雇用者4,413名は対象外です
  • 現場はパート比率が高い:地方拠点は臨時が正社員の2〜3倍という構成です
  • 売上1兆円・営業利益率1.31%:初の1兆円超えと同時に利益率が低下しました
  • 勤続18.5年と評価スコア2.4の落差:辞めにくいが評価に不満という型です

この記事は、証券コード2733の株式会社あらた(東京都江東区東陽六丁目3番2号・イースト21タワー/東証プライム市場)で働くことを検討している方のための記事です。「あらた」という社名は一般語と重なり、検索結果には弁護士法人・監査法人・人名などまったく別の対象が数多く混在します。本記事が扱うのは、日用品・化粧品を全国のドラッグストアやホームセンターへ届ける卸売業(中間流通)の株式会社あらたであり、それ以外の同名・類似名の法人や人物については一切扱いません。とくに検索需要が大きいのは「あらた 物流センター」「パート 評判」「ピッキング 評判」といった物流現場の働き方に関する語です。そのため本記事は、本社総合職だけでなく物流センターで働くパート・ピッキング職を主な読者として想定し、有価証券報告書の実額と口コミ傾向を分けて整理します。

株式会社あらた(2733)の公式データ一覧|有価証券報告書ベース

まず判断の土台になる数字を先に置きます。以下はすべて公式情報で、第24期(2025年4月1日〜2026年3月31日/2026年3月期)の有価証券報告書および決算短信の実額です。平均年間給与・平均年齢・平均勤続年数・従業員数は、いずれも「提出会社(株式会社あらた単体)」の数字である点を、この時点で覚えておいてください。後述するとおり、この区別が本記事で最も重要な論点になります。

項目内容
会社名株式会社あらた(ARATA CORPORATION)
証券コード・市場2733/東京証券取引所プライム市場(2002年4月上場、2022年4月プライム市場へ移行)
本社東京都江東区東陽六丁目3番2号(イースト21タワー)
設立2002年4月1日(ダイカ・伊藤伊・サンビックの共同持株会社として設立、2004年4月に事業会社化)
代表者代表取締役 社長執行役員 東風谷 誠一
事業内容日用品・化粧品等の卸売業(単一セグメント)
平均年間給与6,188,970円(前事業年度比+2.5%)/提出会社・就業人員1,954名が対象。臨時雇用者4,413名は対象外
平均年齢42.7歳(提出会社)
平均勤続年数18.5年(提出会社/男性20.2年・女性14.7年)
従業員数連結3,008名(臨時雇用者5,163名は外数)/提出会社1,954名(臨時雇用者4,413名は外数)
売上高1兆47億49百万円(連結・前期比+1.9%)/単体8,103億93百万円
営業利益132億07百万円(連結・前期比△11.9%/売上高営業利益率1.31%)
経常利益・純利益経常135億34百万円(△13.3%)/親会社株主に帰属する当期純利益101億30百万円(△2.2%)
財務指標自己資本比率35.7%、ROE8.4%、EPS302.76円、年間配当112円、配当性向37.0%
継続企業の前提決算短信の連結財務諸表注記に「該当事項はありません」と明記(注記なし)
労働組合有価証券報告書に「当社グループには労働組合は組織されておりません」と記載
出典第24期(2026年3月期)有価証券報告書/2026年3月期決算短信〔日本基準〕(連結)

離職率と新卒3年定着率については、有価証券報告書では開示されていません。「株式会社あらた 離職率」で検索する方が一定数いますが、会社が公表しているのは離職率そのものではなく、社員意識調査の肯定的回答率(継続勤務意識61.5%、社員満足度63.8%、働き方74.1%/2030年3月期目標はいずれも70%)です。会社自身が社員満足度63.8%は目標未達であると数字で示している点は、後述の口コミスコアと合わせて読む価値があります。

「あらた 物流センター 最悪」と検索される背景を、数字だけで確認する

結論から言うと、この検索語が示す評価を、本記事として肯定も否定もしません。代わりに、判断材料になる数字だけを並べます。読者が自分の許容範囲と照らして判断できるようにするのが、このセクションの目的です。なお、以下の労働時間・有給・評価スコアはすべて口コミ傾向であり、会社が公表した公式値ではありません。

残業時間は「サイト平均で月24〜32時間」だが、個別の声には幅がある

口コミサイトの集計値を並べると、OpenWorkでは月間残業時間24.3時間、エン カイシャの評判では月間残業32時間です。これは、いわゆる長時間労働の水準として突出して大きいとは言えない数字です。一方で、月80時間の残業があったと記載する個別の投稿も存在します。ここで重要なのは、平均値と個別の声のどちらか一方だけを採用しないことです。全国7支社・約38か所の物流拠点を持つ会社では、拠点・職種・時期によって負荷が大きく異なる可能性があり、推定情報としては「配属先による個人差が大きい構造」と読むのが妥当です。

したがって、応募前に確認すべきは全社平均ではなくその拠点・その職種の実績残業時間です。物流センターの現場職であれば、繁忙期(月初・月末、年末年始、季節商品の入替期)の稼働時間と早朝・遅番シフトの有無を、労働条件通知書の段階で必ず突き合わせてください。

低いスコアは「評価制度」と「20代の成長環境」に集中している

OpenWorkの項目別スコア(総合2.97/回答者数130人)を低い順に並べると、傾向がはっきり見えます。

  • 人事評価の適正感:2.4
  • 20代成長環境:2.5
  • 人材の長期育成:2.6
  • 待遇面の満足度:2.7
  • 社員の士気:2.7
  • 風通しの良さ:3.0
  • 社員の相互尊重:3.5
  • 法令順守意識:3.9

低い側と高い側が明確に分かれています。低いのは「評価・育成・待遇」、高いのは「順法性・人間関係」という構図です。有給消化率は50.6%で、取得しやすいとは言いにくい水準です。エン カイシャの評判(総合3.1点・口コミ837件・回答者116名)でも、実力主義2.7、イノベーションへの挑戦2.8、経営陣のリーダーシップ2.8が低い側にあり、一方で会社の成長性・将来性3.7、事業の優位性・独自性3.4が高い側にあります。口コミ傾向としては、「会社としての安定感は評価されているが、個人の評価と成長実感が伴いにくい」という読み方ができます。

それでも平均勤続18.5年|「辞めにくさ」と「満足度」は別物

ここが本記事の核心です。有価証券報告書によると、提出会社の平均勤続年数は18.5年(男性20.2年・女性14.7年)、平均年齢は42.7歳です。上場している卸売業の中でも極めて長い部類で、平均年齢42.7歳から逆算すると、多くの社員が20代半ばで入社してそのまま在籍している計算になります。

つまり、口コミスコアは低めなのに、実際には人が辞めていないという状態です。これは矛盾ではありません。推定情報として考えられる説明は次のとおりです。

  • 安定性による定着:継続企業の前提に注記がなく、純資産1,241億円・現金及び現金同等物386億円と財務が安定しているため、生活基盤としての安心感がある
  • 人間関係の良さ:エン カイシャの評判では職場の人間関係満足度72%、休日・休暇納得度77%と高い側の数値が出ている
  • 評価不満は転職理由になりにくい:評価制度への不満は、待遇の絶対額が生活を成立させている限り、離職の決定打になりにくい傾向がある
  • 労働組合がない:有価証券報告書に労働組合が組織されていない旨の記載があり、待遇改善を組織的に交渉する仕組みは社内にない

求職者
求職者

スコアが低いのに勤続18.5年って、結局どっちなんですか?

「長く働ける会社を探している」人には強い材料になり、「早く成長して評価されたい」人には慎重に検討すべき材料になる、というのが素直な整理です。同じ数字が読者の目的によって正反対の意味を持つため、自分がどちらのタイプかを先に決めてから読むことをおすすめします。

有報の平均年収618.9万円は誰の数字か|正社員1,954名と臨時雇用者4,413名

このセクションが、本記事で最も誤解されやすい論点です。結論を先に書きます。有価証券報告書の平均年間給与6,188,970円は、提出会社の就業人員1,954名のみを対象とした数字であり、臨時雇用者4,413名は対象外です。「株式会社あらた パート 評判」「株式会社あらた ピッキング 評判」で検索して本記事にたどり着いた方の給与は、この618.9万円には含まれていません。

公式の平均年収・平均年齢・平均勤続年数

有価証券報告書によると、第24期(2026年3月期)の提出会社の状況は以下のとおりです(公式情報)。

  • 平均年間給与:6,188,970円(前事業年度比+2.5%/賞与および基準外賃金を含む)
  • 平均年齢:42.7歳
  • 平均勤続年数:18.5年
  • 就業人員:1,954名(臨時雇用者4,413名は外数)

前事業年度比+2.5%という伸びは、増収減益局面としては維持されている部類です。ただしこれは単体正社員の平均であり、連結3,008名(ジャペル等の子会社社員を含む)の平均でも、物流センター現場の平均でもありません。

正社員1,954名に対し、臨時雇用者は4,413名|2.26倍という構成

数字の構造をそのまま書きます。提出会社の就業人員1,954名に対し、臨時雇用者(パート・嘱託/年間平均・8時間換算)は4,413名です。臨時雇用者が正社員の約2.26倍という比率です。連結でも正社員3,008名に対し臨時雇用者5,163名で、いずれも臨時雇用者のほうが多い構成になっています。

この構造は、日用品卸というビジネスモデルの必然です。全国約38か所の物流拠点で、1,100社超のメーカーから仕入れた商品を3,370社規模の小売へ仕分けて出荷するには、ピッキング・検品・仕分け・入出荷といった現場作業に多くの人手が必要になります。その中核をパート・嘱託が担っているため、従業員数の重心が正社員側ではなく臨時雇用者側にあるのです。

似た構造の例として、第71バッチで扱ったタビオ(靴下製造小売)があります。同社も有価証券報告書の平均年間給与は提出会社234名を対象とし、販売職413名を外書きにしていました。論点は同じですが、規模が違います。タビオが数百名単位であるのに対し、あらたは1,954名対4,413名という桁で同じ現象が起きています。「有報の平均年収」を現場職の待遇の目安として読むと、あらたの場合はより大きく実態から外れる、というのが率直な評価です(推定情報)。

口コミ集計の431〜452万円との乖離をどう読むか

口コミサイトの年収集計は、有価証券報告書とは別の数字を示します。OpenWorkの回答者集計では平均年収431万円(営業450万円、事務322万円)、エン カイシャの評判では平均年収452万円(回答者の平均年齢34歳)です。有報の618.9万円との差は約170万円前後あります。

この乖離の主因として推定情報で考えられるのは、次の2点です。

  • 回答者の年齢構成:口コミ回答者の平均年齢は34歳前後で、有報の対象母集団(平均年齢42.7歳・平均勤続18.5年)より明確に若い。同じ賃金カーブでも、年齢が8歳違えば平均は大きく変わります
  • 母集団の違い:口コミには退職者・若手・特定職種が集まりやすく、全社員の均等なサンプルではありません

したがって、年収の読み方は「目的別」に切り替えるのが正解です。長期在籍後の到達点を知りたいなら有報の618.9万円、20代〜30代前半の入社直後の実感値を知りたいなら口コミの431〜452万円、パート・ピッキング職の時給水準を知りたいならどちらでもなく募集要項の時給表示を見るべきです。この三層を混ぜないことが、あらたの年収を誤解しないための唯一の方法です。

つくば・江南・広島|物流センター勤務の実像を地区別の人数で読む

「あらたつくば物流センター」「あらた 江南 物流センター」「株式会社あらた 広島物流センター」は、社名関連の検索の中でも需要が大きい語です。求人票では見えにくい部分を、有価証券報告書の「主要な設備の状況」に開示された地区別人数から読み解きます。

地区別の正社員/臨時雇用者の内訳

有価証券報告書によると、提出会社の地区別の従業員数は次のとおりです(カッコ内は臨時雇用者/公式情報)。

地区従業員数(正社員)臨時雇用者臨時/正社員の比率
本社456名307名約0.7倍
北海道・東北339名1,064名約3.1倍
首都圏417名1,154名約2.8倍
中部196名526名約2.7倍
関西223名487名約2.2倍
九州・中四国323名875名約2.7倍
合計(提出会社)1,954名4,413名約2.3倍

読み取れることは明確です。本社だけが正社員のほうが多く、地方の各地区はすべて臨時雇用者が正社員の2〜3倍という構成になっています。とくに北海道・東北は正社員339名に対して臨時雇用者1,064名と3倍を超えます。つくば(首都圏)・江南(中部)・広島(九州・中四国)といった物流センターが属する地区は、いずれも臨時雇用者が主戦力である、というのが数字が示す実像です。

この構成から、推定情報として次のことが読み取れます。物流センターの現場では、パート・嘱託の方が人数として多数派であり、正社員はセンター運営・管理・営業側に配置されている可能性が高い。したがって、パート・ピッキング職として応募する場合、「周りが正社員ばかりで浮く」といった心配はほぼ不要である一方、正社員登用や職域の広がりを期待する場合は、募集段階で登用制度の有無と実績を必ず確認する必要があります。

なお、子会社のペット専門卸ジャペル(愛知県春日井市)は本社209名(臨時52名)、北陸営業所その他638名(臨時594名)という構成です。グループ内でも、拠点の性質によって人員構成が大きく異なることが分かります。

拠点は約38か所|今後は首都圏と関西に大型投資

公式サイトによると、全国7支社(北海道・東北・首都圏・中部・関西・中四国・九州)を基盤に、物流拠点は約38か所(物流センター34、コスメセンター3、デポ4)を運営し、うち大型センターは12拠点とされています。さらに有価証券報告書の設備の新設計画には、首都圏物流センター(仮称)に投資予定額80億円、関西物流センター(仮称)に投資予定額100億円(2028年度完了予定)が記載されています。

合計180億円規模の物流投資は、第24期の営業利益132億円を上回る金額です。推定情報としては、雇用の観点では新拠点稼働に伴う現場採用の増加が見込まれる一方、既存拠点の統廃合や配置転換が発生する可能性もあります。応募する拠点が新設計画の対象地域にある場合は、面接時に将来の拠点再編の見通しを聞いておくと判断材料が増えます。

また、有価証券報告書の主要な賃借設備にはツルハ関東物流センター(年間賃借料6億76百万円)が単独で記載されています。特定顧客専用の物流拠点を運営している構図であり、後述の顧客集中リスクと直結する情報です。

売上1兆円・営業利益率1.31%|業績から見る待遇の原資

待遇や賞与の原資は、最終的に会社の利益から出ます。あらたの業績には、「初の売上1兆円超え」と「利益率の低下」が同時に起きているという特徴があります。両方を書かないと判断を誤るため、順に整理します。

売上高は初の1兆円超え。ただし会社目標には未達

決算短信によると、第24期(2026年3月期)の連結売上高は1兆47億49百万円(前期比+1.9%)で、創業以来初めて1兆円を超えました。推移は次のとおりです(公式情報)。

  • 第20期(2022年3月期):8,570億87百万円
  • 第21期(2023年3月期):8,916億00百万円
  • 第22期(2024年3月期):9,441億49百万円
  • 第23期(2025年3月期):9,862億12百万円
  • 第24期(2026年3月期):1兆47億49百万円

4年で約1,477億円、率にして約17%の増収です。ただし、会社が掲げていた売上目標1兆60億円に対しては未達でした。第25期(2027年3月期)の会社予想は1兆300億円(+2.5%)で、増収基調そのものは続く見通しです。カテゴリー別ではヘルス&ビューティー3,145億円、紙製品1,955億円、ペット1,916億円、ハウスホールド1,402億円が主力です。

営業利益は△11.9%|利益率1.52%→1.31%へ低下

一方、営業利益は132億07百万円で前期比△11.9%の減益でした。売上高営業利益率は1.31%(前期1.5%)と決算短信に明記されています。推移を見ると低下がはっきりします(公式情報)。

  • 2022年3月期:営業利益127億43百万円/利益率1.49%
  • 2023年3月期:営業利益128億12百万円/利益率1.44%
  • 2024年3月期:営業利益145億08百万円/利益率1.54%
  • 2025年3月期:営業利益149億89百万円/利益率1.52%
  • 2026年3月期:営業利益132億07百万円/利益率1.31%

利益率1.31%を体感的に言い換えると、1万円分の商品を売って手元に残る営業利益は約131円です。さらに第25期(2027年3月期)の会社予想は、営業利益110億円(△16.7%/利益率1.07%)、経常利益105億円(△22.4%)、純利益70億円(△30.9%)で、2期連続の減益予想となっています。

会社は減益の要因として、「センターフィー等の増加による売上総利益率の低下(△0.07pt)」「コストコントロール(販管費抑制施策)の遅れ」「人件費・物流費の増加」「IT中期計画の効果発現の遅れ」を挙げています。注目すべきは、要因の中に人件費と物流費が明記されている点です。推定情報として、賃上げや現場処遇の改善が利益を圧迫する構造にあるため、今後の待遇改善は生産性向上(自動化・省人化投資)とセットで進む可能性が高いと考えられます。

財務は安定|継続企業の前提に関する注記はなし

減益ではあるものの、財務が危険な状態にあるわけではありません。決算短信の連結財務諸表注記には「(継続企業の前提に関する注記)該当事項はありません」と明記されています(公式情報)。自己資本比率35.7%(前期37.4%)、ROE8.4%、EPS302.76円、年間配当112円(前期102円で増配)、配当性向37.0%、営業キャッシュ・フロー+186億円、純資産1,241億円、現金及び現金同等物386億円です。「利益率は薄いが、経営の継続性そのものへの懸念材料は見当たらない」というのが公表数値からの読み方になります。

ツルハグループ1社で売上の13.6%|顧客集中という構造リスク

有価証券報告書の主な相手先別販売実績によると、株式会社ツルハおよびそのグループ会社向けの売上は1,369億06百万円で、全社売上の13.6%(前期1,321億円・13.4%)を占めます。有価証券報告書の事業等のリスクでも、「業界再編」および「外資系小売の物流機能内製化による卸の物流機能評価の低下」が筆頭リスクとして挙げられています。

日用品・化粧品卸の主要販路であるドラッグストア業界は再編が続いており、取引先1社あたりの比重が高まる構造にあります。推定情報としては、大手小売を担当する営業職は取引規模が大きく経験価値も高い一方、帳合の見直しや統合対応など環境変化の影響を直接受けやすい立場になります。物流現場についても、特定顧客専用センターの運営は取引継続と一体であるため、業界再編の動向は無関係ではありません。

同業・近い規模の卸売5社比較|利益率と有報年収を並べて読む

あらたの数字が卸売業の中でどの位置にあるかを確認します。比較対象は売上規模が1.90億円から1兆47億円まで約5,300倍、従業員数も11名から3,008名まで約273倍の開きがあります。単純な優劣比較ではなく、「規模が違えば利益率も年収の意味も変わる」という前提で読んでください。また決算期が異なるため、年度を必ず確認してください(すべて公式情報)。

企業名(コード)対象決算期連結売上高営業利益(利益率)従業員数有報の平均年間給与
あらた(2733)2026年3月期1兆47億円(初の1兆円超)132.07億円(△11.9%/1.31%)連結3,008名(臨時5,163名)・提出会社1,954名(臨時4,413名)618.9万円
木徳神糧(2700)2025年12月期1,761.91億円(+48.1%)80.25億円(+237.6%/約4.6%)連結385人・提出会社283人779.6万円
久世(2708)2026年3月期735.03億円(過去最高)21.99億円(+19.1%/約3.0%)連結649名(臨時345名)・提出会社395名(臨時256名)577.5万円
YKT(2693)2025年12月期133.86億円営業損失1.99億円(2期連続赤字)連結135名・提出会社90名693.3万円
ジェイ・ホールディングス(2721)2025年12月期1.90億円営業損失3.11億円(△163.8%)連結11名・提出会社5名628.8万円

この表から読み取れる論点は3つです。

  • あらたの利益率1.31%は、比較対象の中で黒字企業として最も薄い:木徳神糧の約4.6%は2024〜2025年の米価高騰による一過性の色が濃く(同社の2026年12月中間期は営業利益△83.3%と急反落)、久世の約3.0%は外食向け食材卸として付加価値工程を持つ構造の違いが効いています。参考までに、第71バッチで扱った伊藤忠食品の営業利益率1.47%と比べても、あらたの1.31%は低い水準です
  • 有報の平均年間給与は「利益率の高さ」と連動していない:赤字のYKTが693.3万円、5名しかいないジェイ・ホールディングスが628.8万円という数字を示しており、平均年間給与は母集団の年齢構成・職種構成に強く左右されます。単純比較で会社の待遇の良し悪しを判定することはできません
  • 臨時雇用者を外書きしているのはあらたと久世:あらた(1,954名/臨時4,413名)と久世(395名/臨時256名)は現場人員をパート等に依存する構造ですが、比率はあらたが約2.3倍、久世が約0.6倍とまったく異なります。同じ「卸売業」でも人員構成は別物です

売上1兆円という規模は、取引先の広さ・雇用の安定性という点では大きな強みです。同時に、利益率1.31%は1ポイントのコスト変動が利益を大きく揺らす構造を意味します。人件費・物流費の上昇局面では、この薄さが待遇改善のスピードに影響しうる点は、応募前に理解しておくべき前提です(推定情報)。

2017年の下請法勧告と、労働組合がないという事実

ネガティブ側の事実も、種類と時期を厳密に書きます。推測や噂ではなく、公表されている事実のみを扱います。

2017年3月7日、公正取引委員会は株式会社あらたに対し、下請法(下請代金支払遅延等防止法)第7条第2項に基づく勧告を行いました。違反内容は同法第4条第1項第3号(下請代金の減額の禁止)で、「現金引」「基本取引条件」「無返品分担金」の名目により、下請事業者10名から総額1,501万6,075円を減額していたものです。会社は、取締役会決議による違反行為の確認、社内体制の整備、研修の実施等を求められました。

ここで区別すべき点が2つあります。第一に、これは「勧告」であり、独占禁止法上の排除措置命令や課徴金納付命令ではありません。処分の種類が異なるため、同列に扱うのは不正確です。第二に、2017年の事案であり、本記事の執筆時点から9年前の出来事です。当時のコンプライアンス体制に関する事実であって、現在の労働環境を示す証拠ではありません。その後の行政処分や重大な係属訴訟は確認されていません。有価証券報告書の偶発債務も、子会社D-Neeコスメティックの仕入債務保証16百万円のみです。

参考として、OpenWorkの項目別スコアでは法令順守意識が3.9と、同社の項目の中で最も高い数値になっています(口コミ傾向)。勧告後の体制整備が現場の実感に反映されている可能性はありますが、因果関係を断定できる材料はありません。

もう一点、待遇を考えるうえで無視できない事実があります。第24期の有価証券報告書には、「当社グループには労働組合は組織されておりませんが、労使関係は良好であります」と記載されています。労働組合がない企業では、賃上げや労働条件の改定が経営判断に委ねられる比重が大きくなります。推定情報として、待遇交渉を個別に行う必要がある可能性を念頭に置いておくとよいでしょう。また、女性管理職(課長級以上)比率は5.4%(子会社ジャペルは2.6%)、男女の賃金差異は正規雇用で74.6%と有価証券報告書に開示されており、会社自身が「男性の平均勤続20.2年に対し女性は14.7年」「女性管理職比率が低いこと」を差異の要因として説明しています。一方で男性育休取得率は118.1%(提出会社)と高水準です。

株式会社あらたの就職難易度はどのくらいか

「株式会社あらた 就職難易度」「あらた 就職難易度」で検索する方に向けて、公表情報から言えることだけを整理します。会社は採用倍率・採用大学を公表していないため、以下は推定情報です。

判断材料になるのは3点です。第一に、提出会社の従業員数は2014年3月期の2,102名から2026年3月期の1,954名へ緩やかに減少しています。ただし希望退職・早期退職・整理解雇の公表は確認されておらず、自然減および子会社・分社への配置転換によるものと見られます(人員削減3類型のいずれにも該当する公表事案はありません)。母集団が拡大していないため、正社員の新規採用枠は限定的である可能性があります。第二に、平均勤続18.5年という定着の良さは、そのまま「席が空きにくい」ことを意味します。中途採用の枠は、欠員補充または新拠点稼働に伴う増員が中心になると考えられます。第三に、職種によって難易度は大きく異なります。パート・ピッキング等の現場職は各拠点で継続的に募集があり、正社員の営業・管理部門とは応募のハードルがまったく違います。

したがって、「あらたの就職難易度」を一つの数字で語ることはできません。現場職は募集頻度が高く、正社員総合職は枠が限られるという二層構造として理解するのが実態に近いはずです。正社員を目指す場合は、ルート営業経験・物流センター運営経験・カテゴリーマネジメントやデータ分析の経験が評価されやすいと考えられます(推定情報)。

あらたへの応募が向いている人・向いていない人

ここまでの公式情報と口コミ傾向をふまえ、適性を整理します(推定情報を含みます)。とくに物流センターの現場職と正社員総合職で判断軸が異なる点に注意してください。

向いている人向いていない人
長期的に同じ会社で働きたい人(平均勤続18.5年・平均年齢42.7歳)短期間で昇進・昇給したい人(人事評価の適正感2.4・実力主義2.7)
生活基盤の安定を最優先する人(継続企業の前提に注記なし・純資産1,241億円)高い利益率の会社で高水準の賞与を狙いたい人(営業利益率1.31%・2期連続減益予想)
自宅近くの拠点で無理のない時間帯に働きたい人(全国約38拠点・臨時雇用者4,413名)20代のうちに幅広い裁量を得たい人(20代成長環境2.5・人材の長期育成2.6)
人間関係の良さ・休日の取りやすさを重視する人(人間関係満足度72%・休日休暇納得度77%)組合を通じた集団的な待遇交渉を前提にしたい人(労働組合は組織されていない)
大手小売との大型取引や物流インフラ設計に関わりたい人(首都圏80億円・関西100億円の新設計画)特定顧客への依存を避けたい人(ツルハグループ向けが売上の13.6%)

編集部の見解|「1兆円企業」の看板と現場の距離をどう見るか

編集部の見解として、あらたは「安定を買う会社」であって「上昇を買う会社」ではないと整理できます。売上1兆円・平均勤続18.5年・継続企業の前提に注記なしという要素は、生活基盤としての強さを示します。一方で、営業利益率1.31%・2期連続減益予想・人事評価の適正感2.4という要素は、短期の待遇上昇や評価の納得感を求める人には向きにくい材料です。

物流センターのパート・ピッキング職として検討している方に対しては、総合すると「拠点単位で判断すべき」と考えられます。全社の平均残業時間や有報の平均年収は、あなたが働く拠点の実態をほとんど説明しません。判断に効くのは、①その拠点の募集時給と昇給の仕組み、②シフトの時間帯と繁忙期の稼働、③正社員登用制度の有無と実績、の3点です。これらは会社の公表資料には出てこないため、面接・見学の場で直接確認するしかありません。

正社員の総合職として検討している方には、「担当する取引先と拠点が、キャリアの中身をほぼ決める」という点を強調しておきます。大手ドラッグストアを担当すれば取引規模も交渉経験も大きくなりますが、業界再編の影響を最前線で受けます。物流企画やデータ活用の領域は、共同配送や商品マスタ標準化といった業界横断の取り組みが進んでおり、社外でも通用する経験になりやすい領域です。逆に、既存取引先へのルート型の活動が中心になると、身につくスキルの汎用性が見えにくくなる可能性があります。応募段階で配属候補の職域を確認しておく価値は大きいと考えられます。

株式会社あらたに関するよくある質問

検索でよく寄せられる質問に、公式情報と口コミ傾向を分けて回答します。

株式会社あらたのパートの評判はどうですか?

会社としてパート・アルバイトの待遇に関する公式な統計は開示されていません。口コミ傾向としては、人間関係や休日の取りやすさを評価する声がある一方、評価制度や待遇面のスコアは低めに出ています(OpenWork:待遇面の満足度2.7、人事評価の適正感2.4)。ただしこれらは正社員回答者を中心としたスコアである可能性が高く、パート層の実感をそのまま示すものではありません。提出会社の臨時雇用者は4,413名と正社員1,954名の約2.3倍で、現場では多数派にあたります。時給・シフト・昇給の条件は拠点ごとに異なるため、募集要項での確認が必須です。

ピッキングの仕事はきついですか?

作業負荷を会社が公表したデータはありません。構造的な事実として、あらたは日用品・化粧品を扱う卸であり、紙製品(第24期売上1,955億円)のようにかさばる低単価カテゴリーも大きな比重を占めます。推定情報として、扱う商材によって運搬負荷が変わる可能性があります。口コミ傾向では、サイト平均の残業時間は月24〜32時間ですが、月80時間と記載する個別の投稿もあり、拠点・時期による差が大きいと見られます。応募時には、担当予定のカテゴリーと繁忙期の稼働時間を具体的に確認することをおすすめします。

あらたの年収はいくらですか?

有価証券報告書によると、第24期(2026年3月期)の平均年間給与は6,188,970円(前事業年度比+2.5%)です(公式情報)。ただしこれは提出会社の就業人員1,954名を対象とした数字で、臨時雇用者4,413名は含まれません。口コミ傾向としてはOpenWorkの回答者集計で431万円(営業450万円・事務322万円)、エン カイシャの評判で452万円(回答者平均年齢34歳)です。有報の対象母集団は平均年齢42.7歳・平均勤続18.5年と回答者より年齢層が高く、この差が乖離の主因と考えられます。

株式会社あらたの離職率は公表されていますか?

離職率は有価証券報告書では開示されていません。代わりに会社は、社員意識調査の肯定的回答率として継続勤務意識61.5%、社員満足度63.8%、働き方74.1%を開示しており、いずれも2030年3月期の目標70%に対して社員満足度は未達であると自ら示しています(公式情報)。定着の実績としては、提出会社の平均勤続年数18.5年(男性20.2年・女性14.7年)が最も参考になる数字です。

つくば・江南・広島の物流センターはどの地区に属しますか?

公式サイトによると、あらたは全国7支社(北海道・東北・首都圏・中部・関西・中四国・九州)を基盤に、物流拠点を約38か所(物流センター34、コスメセンター3、デポ4)運営しています。有価証券報告書の地区別内訳では、つくばが属する首都圏は正社員417名・臨時雇用者1,154名、江南が属する中部は正社員196名・臨時雇用者526名、広島が属する九州・中四国は正社員323名・臨時雇用者875名です(公式情報)。いずれの地区も臨時雇用者が正社員を大きく上回ります。

あらたの本社はどこにありますか?

第24期有価証券報告書の【本店の所在の場所】によると、本社は東京都江東区東陽六丁目3番2号(イースト21タワー)です(公式情報)。本社の従業員数は正社員456名・臨時雇用者307名で、6地区の中で唯一、正社員のほうが多い拠点です。なお、社名が同じまたは類似する別法人が複数存在するため、所在地や証券コード2733で確認することをおすすめします。

あらたの就職難易度は高いですか?

採用倍率・採用大学は公表されていないため、推定情報としての回答になります。提出会社の従業員数が2014年3月期2,102名から2026年3月期1,954名へ緩やかに減少しており、平均勤続18.5年で席が空きにくい構造であることから、正社員の採用枠は限定的である可能性があります。一方、パート・ピッキング等の現場職は各拠点で継続的な募集があり、難易度の性質がまったく異なります。職種ごとに分けて考えるのが実態に近い読み方です。

株式会社あらたへの応募・転職判断まとめ

ここまでの内容を判断軸ごとに整理します。最終的な判断は、求人票と労働条件通知書、そして応募先拠点での確認を含めて行ってください。

判断軸評価と根拠
雇用の安定性高い。継続企業の前提に注記なし、純資産1,241億円、現金及び現金同等物386億円、平均勤続18.5年(公式情報)
正社員の年収水準有報618.9万円(前期比+2.5%)。ただし平均年齢42.7歳・平均勤続18.5年の母集団であり、若手の実感値は口コミ集計431〜452万円に近い可能性(公式情報+口コミ傾向)
パート・ピッキング職の待遇有報の平均年間給与の対象外。臨時雇用者4,413名分の給与データは開示されておらず、拠点ごとの募集要項での確認が必須
働き方サイト平均で残業月24〜32時間、有給消化率50.6%。ただし月80時間と記載する個別投稿もあり、拠点・職種による差が大きい(口コミ傾向)
評価・成長環境人事評価の適正感2.4、20代成長環境2.5、人材の長期育成2.6と低い側。実力主義2.7(口コミ傾向)
収益性・待遇の原資営業利益率1.31%(前期1.52%)。2027年3月期は営業利益△16.7%・純利益△30.9%の会社予想で2期連続減益見通し(公式情報)
構造リスクツルハグループ向けが売上の13.6%。有報の事業等のリスクで業界再編と小売の物流内製化を筆頭に挙げている(公式情報)
コンプライアンス履歴2017年3月7日に公正取引委員会の下請法勧告1件(排除措置命令・課徴金ではない)。以降の行政処分・重大訴訟は確認されていない
労使関係労働組合は組織されていない旨を有報に記載。女性管理職比率5.4%、男女賃金差異は正規雇用74.6%(公式情報)
総合安定志向・長期勤務志向の人には合いやすく、短期の昇給・評価の納得感を最優先する人には慎重な検討が必要(推定情報)

どのサービスを使えばいいか決められないとき

このサイトはアフィリエイトで収益を得ています。読者がサービスに登録すると当サイトに報酬が発生します。

自分の状況だとどのサービスが合うのか判断がつかない場合は、無料の相談を受け付けています。相談内容をうかがったうえで、条件に合いそうな転職サービスをご案内します。

登録や応募を急かすことはしません。 「いま動かないほうがいい」と考えた場合はそう伝えます。

→ 無料転職相談はこちら

※当サイトは職業紹介事業者ではありません。求人の紹介・あっせんは行わず、転職サービスのご案内までを行います。

本記事の出典・参考情報

本記事で参照した一次情報・口コミ情報の出典は以下の通りです。最新の正確な数値は各リンク先で確認してください。なお、匿名掲示板の書き込みは出典として使用していません。

公式情報源

口コミ・評判の参照元

免責事項:本記事の数値・評価は公式情報・口コミ集計・市場推定の3分類で示しており、口コミ傾向や推定情報は断定ではなく傾向・可能性として表現しています。最終判断は読者自身で公式IRおよび内定時の労働条件通知書で確認してください。

この記事の編集方針・情報の確認について

この記事は、公式公開情報(有価証券報告書・IR資料)、求人情報、口コミ傾向をそれぞれ分けて整理し、転職・就職判断に役立つよう編集しています。年収・平均年齢・平均勤続年数・従業員数などの中核データは第24期(2026年3月期)有価証券報告書「従業員の状況」を一次情報として確認し、口コミ・推定情報とは明確に区別しています。また、社名が同一・類似する別法人や別対象に関する情報は、混同を避けるため本記事では一切扱っていません。記載内容は最終更新時点の公開情報にもとづきます。最新の正確な数値は各公式IRページでご確認ください。

著者紹介
コロ助
コロ助
企業と転職サービスを、有価証券報告書などの一次情報から読んでいます。
著者紹介
記事URLをコピーしました