企業

ナイス(8089)の年収666万円と評判|粉飾決算報道のその後と利益率0.9%の主力事業

コロ助

※本記事にはプロモーションを含みます。

この記事の結論

  • 粉飾決算報道:2019年に告発・逮捕、2025年12月の差戻し審で無罪判決
  • 年収:有報の単体平均666万円(前期比△3.0%)、口コミ平均は522万円
  • 収益構造:売上75%の建築資材は営業利益率約0.9%、利益は住宅事業が柱
  • 働き方:会社発信は残業月15時間、口コミ集計は22.1時間・有休消化44.6%

「ナイス」と検索すると、一般語としての「ナイス」や同名の別法人が大量に混ざります。この記事が扱うのは、東証スタンダード上場・証券コード8089・神奈川県横浜市鶴見区に本社を置く木材建材商社のナイス株式会社です。売上2,591億円、連結従業員2,827人。転職検討者がこの会社を調べると必ず突き当たるのが「粉飾決算」というキーワードですが、この件は2025年12月15日の横浜地方裁判所の差戻し審で無罪判決が言い渡されています。ネット上には告発・逮捕の段階で情報が止まっている記事が多いため、本記事では第77期(2026年3月期)有価証券報告書の一次データと、事件の時系列を分けて整理し、そのうえで年収・働き方・収益構造・将来性を検証します。

まず同定から|証券コード8089・横浜のナイス株式会社とは何をしている会社か

この記事を読むうえで最初に押さえるべきは、「ナイス」という社名が一般語と衝突し、同名の別法人が複数存在するという点です。転職口コミサイトや検索結果を見ていて「思っていた会社と違う」ということが起こりやすいため、最初に会社を特定しておきます。

本記事が対象とするのは、以下の企業です(すべて公式情報/第77期有価証券報告書および公式サイト)。

  • 商号:ナイス株式会社(Nice Corporation)
  • 証券コード:8089/東京証券取引所スタンダード市場(東証33業種では「卸売業」)
  • 本社:神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央四丁目33番1号 ナイスビル
  • 設立:1950年6月23日(設立時の商号は「市売木材株式会社」)
  • 資本金:244億89百万円(第77期末・発行済株式総数12,247,639株)

一方、検索でよく混ざるのが「株式会社ナイス」(nices.co.jp)や、名古屋に本社を置く医事会計システムの「ナイス株式会社」(naiscorp.co.jp)、化学系の同名企業、ナイスジャパンなどです。いずれも8089とは資本関係のない別法人で、OpenWorkでも「ナイス(建材)」「ナイス(化学)」「ナイスジャパン」がそれぞれ別ページとして存在します。口コミを読むときは、必ず「ナイス(建材)」のページかどうかを確認してください。採用サイトも同様で、検索上位に出てくる nices.co.jp の採用ページは別会社のものです。

祖業は木材市場、いまは「建材商社+住宅デベロッパー」の二刀流

ナイスは、木材の受託販売(原木・製品の卸売市場の経営)を祖業とする会社です。有価証券報告書によると、第77期の事業区分は次の3つで、連結の範囲は当社に加えて子会社33社・関連会社6社です。

  • 建築資材:木材の調達・販売・製造加工、建材および住宅設備機器の販売・製造・施工、木材市場の経営
  • 住宅:新築マンション分譲、中古マンション買取再販、新築一戸建・注文住宅、マンション管理・賃貸仲介
  • その他:ソフトウェア開発、ケーブルテレビ事業など

つまり「モノを右から左へ流す商社」と「自ら土地を仕入れて住宅を売るデベロッパー」が1社に同居しているのがナイスの特徴です。この二層構造が、後述する年収・働き方・部門ごとのカルチャーの差にそのまま直結しています。1980年に和歌山県新宮市の「熊野の森」を取得して以来、社有林を保有・育成している点や、圧密木材「Gywood」、木質化リノベーション「RIZWOOD」、業務支援システム「木太郎」といった自社ブランドを持つ点も、単なる流通業者と異なる性格を示しています。

ナイス(8089)の公式データ一覧(第77期有価証券報告書ベース)

本記事で扱う公式数値を先に一覧化します。すべて公式情報(第77期=2025年4月1日〜2026年3月31日/2026年3月期。有価証券報告書は2026年6月24日に関東財務局長へ提出、EDINET書類番号S100YI3N)です。最新の正確な数値は公式IRページで再確認してください。

項目内容
商号/証券コードナイス株式会社/8089(東証スタンダード)
本社神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央四丁目33番1号
代表者取締役社長 津戸 裕徳(第77期有価証券報告書 表紙記載)
設立1950年6月23日
平均年間給与6,661,745円(約666万円/提出会社・前事業年度比△3.0%)
平均年齢44.3歳(提出会社・2026年3月31日現在)
平均勤続年数18.2年(提出会社・2026年3月31日現在)
従業員数提出会社1,063人/連結2,827人(外、平均臨時雇用人員741人)
売上高連結2,591億54百万円(前期比+6.6%)/単体1,921億46百万円
営業利益連結53億22百万円(前期比+15.0%)
経常利益/純利益51億62百万円(+19.9%)/親会社株主帰属25億86百万円(△9.9%)
財務指標自己資本比率34.3%・ROE4.5%・純資産651億59百万円・総資産1,734億71百万円
配当1株当たり72円(配当性向30.7%)
労働組合ナイスグループ労働組合(情報産業労働組合連合会加盟)加入772人
出典第77期 有価証券報告書(2026年6月24日提出)/公式IR

なお平均年間給与・平均年齢・平均勤続年数・従業員数の4項目は、有価証券報告書「従業員の状況②提出会社の状況」に記載された実額であり、連結子会社33社を含む数値ではなく、ナイス単体1,063人の数値です。この点は年収パートで詳しく分解します。

「ナイス 粉飾決算」で検索される理由|告発から差戻し審無罪までの時系列

この記事の最重要パートです。結論から言うと、「粉飾が確定した会社」という理解は事実と異なります。正確には「証券取引等監視委員会が告発し、当時の経営陣が逮捕・起訴されたが、差戻し審で無罪判決が言い渡された」という経緯です。転職検討者が判断を誤らないよう、公表資料ベースの時系列だけを並べます。

2019年8月13日:証券取引等監視委員会が横浜地検に告発

当社は2015年から2018年まで「すてきナイスグループ株式会社」を商号としていた時期があります。2019年8月13日、証券取引等監視委員会は金融商品取引法違反(虚偽有価証券報告書提出)の嫌疑で、同社および嫌疑者2名を横浜地方検察庁に告発しました(公式情報/同委員会の公表資料)。

告発の内容は、2015年6月26日に関東財務局長へ提出した平成26年度(2014年4月〜2015年3月)連結の有価証券報告書において、実際の営業利益が約4億9,800万円であったにもかかわらず、架空売上の計上により営業利益10億1,200万円と記載したというものです。これに先立ち2019年7月には、当時の経営陣3名が横浜地検に逮捕され(報道ベース)、強制捜査も行われています。本記事では当事者個人の氏名は扱いません。

東証は特設注意市場銘柄に指定、2020年に解除

この件を受けて東京証券取引所は同社株を特設注意市場銘柄に指定しましたが、2020年に解除されています。特設注意市場銘柄は内部管理体制に問題があると認められた場合に指定され、改善が確認されれば解除される制度です。指定から約1年での解除は、取引所として内部管理体制の改善が認められたことを意味します(制度上の位置づけについては推定情報を含まない一般的な説明です)。商号も2018年に「ナイス株式会社」へ戻っています。

2025年12月15日:横浜地裁の差戻し審で無罪判決

裁判は一度差し戻され、2025年12月15日、横浜地方裁判所の差戻し審で被告人2名に無罪判決が言い渡されました。当時の会計基準の解釈として被告側の会計処理も合理的と判断された、という内容です。

ただし注意点があります。検察の上訴の有無を含めた判決確定の状況までは、本記事の調査範囲で一次資料に行き当たっていません。したがって「完全に決着した」と断定はできません。転職検討者としては、次の3点を事実として押さえるのが妥当です。

  • 会社そのものが行政処分を受けて事業停止に至った事案ではない(東証の指定は解除済み)
  • 刑事事件としては、告発・逮捕・起訴を経て差戻し審で無罪という判断が出ている
  • 事件の対象は2014年度の決算であり、10年以上前の会計処理をめぐる争いである

求職者
求職者

面接で「不祥事の件をどう思うか」と聞かれたら困りませんか?

むしろ逆で、事実関係を正確に把握している応募者は少数です。「告発から差戻し審の無罪判決まで一通り確認したうえで、いまの内部管理体制と収益構造に関心がある」と言えるだけで、情報の精度に対する姿勢は十分に伝わります。推定情報ですが、あいまいなネット記事の印象だけで質問に答えると、かえって印象を損なう可能性があります。なお第77期有価証券報告書の記載および公開情報の範囲では、行政処分や係争中の重大訴訟についての記載には行き当たっていません。

ナイスの年収は666万円|前期比△3.0%と口コミ522万円のギャップを読む

結論として、ナイスの平均年間給与は666万円で、直近では前期比△3.0%と減少しています。増収増益なのに単体平均給与が下がっているという点は、この会社の年収を考えるうえで見逃せません。

公式の平均年間給与と、平均年齢・勤続年数

有価証券報告書によると、第77期(2026年3月期)の提出会社データは以下の通りです(すべて公式情報)。

項目第77期(2026年3月期)第76期(2025年3月期)
平均年間給与6,661,745円(約666万円)約687万円(=△3.0%)
平均年齢44.3歳44.6歳
平均勤続年数18.2年18.6年
提出会社従業員数1,063人1,052人

平均年間給与には賞与および所定外労働に対する手当が含まれます。ポイントは平均年齢44.3歳・平均勤続18.2年という「高年齢・長期勤続型」の組織であることです。中途で30代前半に入社した場合、この666万円という数字は「いまの自分の提示年収」ではなく「勤続20年近い層まで含めた平均」であることを前提に読む必要があります。

また単体従業員数は952人(第73期)→941人→964人→1,052人→1,063人と、直近3年で110人以上増える増加基調にあります。人員が増える局面では平均給与が押し下げられやすく、給与△3.0%の一因になっている可能性があります(推定情報。有価証券報告書は減少理由まで明示していません)。

口コミベースの年収傾向は522万円|職種で差が大きい

口コミ傾向として、OpenWorkの「ナイス(建材)」ページに集計されている回答ベースの平均年収は522万円(レンジ220万〜1,250万円)で、有報の666万円とは約150万円の差があります。職種別の集計では総合職594万円・営業職544万円・事務職364万円と報告されています(いずれも二次情報であり、有価証券報告書の一次データではありません)。

この差をどう解釈すべきか。推定情報として考えられるのは次の点です。

  • 口コミ投稿者は在職中の若手・中堅、あるいは退職者に偏りやすく、管理職層が相対的に含まれにくい
  • 有報の平均は勤続18.2年層まで含む全社平均のため、非管理職の体感は522万円側に近い可能性がある
  • 職種間で100万円以上の差があり、営業職か事務職かで見える景色が変わる

なお二次情報として、建材事業の営業職の初任給は22.5万円とされています。口コミ傾向と公式情報のどちらか一方だけを見るのではなく、「レンジの下限を口コミで、上限と全体平均を有報で押さえる」読み方が実務的です。

転職時に確認すべき年収のチェックポイント

面接や条件提示のタイミングで確認しておきたいのは、次の4点です。

  • 配属セグメント:建築資材か住宅か。後述の通り両者は収益性がまったく異なります
  • 賞与の変動幅:平均給与に賞与が含まれるため、業績連動の振れ幅を必ず確認する
  • 等級と昇格年次:会社は男女間賃金差異について「同一の身分・等級において差異はなく、差異は等級別人員構成の差による」と説明しており、等級制度の運用が処遇を決める構造です
  • グループ内出向の有無:連結子会社33社を抱えるため、出向時の給与取扱いは事前に確認したい論点です

有報の666万円はどこまで実態か|上場商社を「単体比率」で比べて読む

有価証券報告書の平均年間給与は、あくまで「提出会社(単体)」の数値です。連結従業員に占める単体の比率が低い会社ほど、有報の年収は「一部の社員だけの数字」になります。ナイスの立ち位置を、同じ卸売業に分類される上場企業の実額と並べて確認します(すべて各社の有価証券報告書に基づく公式情報。決算期は注記の通り)。

企業名(証券コード)有報の平均年間給与単体/連結従業員単体比率対象期
稲畑産業(8098)約1,005.8万円678名/4,719名約14.4%2026年3月期
ニチモウ(8091)約841.8万円201名/1,036名約19.4%2026年3月期
三愛オブリ(8097)約823.3万円388名/1,914名約20.3%2026年3月期
GSIクレオス(8101)約767.8万円322名/845名約38.1%2026年3月期
ナイス(8089)約666.2万円1,063名/2,827名約37.6%2026年3月期
ムーンバット(8115)約609.9万円127名/213名約59.6%2026年3月期
アステナHD(8095)約600.0万円96名/1,543名約6.2%2025年11月期

この表から読み取れることを整理します(数値は公式、解釈は推定情報です)。

  • ナイスの666万円は金額としては表の下位ですが、単体比率37.6%と代表性は比較的高い。1,063人分の実額であり、96人分しか開示のないアステナHDのようなケースとは意味が違います
  • 単体比率が10%台の会社では、有報の年収は「本社の企画・管理・トレーディング機能に絞られた集団の数字」になりやすく、現場配属の実態と離れる可能性があります
  • 純粋持株会社(アステナHD等)の有報年収は、事業会社の給与水準とは別物として読む必要があります

「金額の高低」より「誰の金額か」を先に見る——これは商社系企業の求人を比較するときに一貫して使える視点です。ナイスの場合、単体1,063人のうち建築資材647人・住宅283人・全社共通133人という内訳(公式情報)まで開示されているため、比較的読み解きやすい部類に入ります。

売上の75%が営業利益率0.9%|同じ社名の中に「2つの会社」がある

ナイスを理解するうえで最も重要な数字がここです。売上の約75%を占める建築資材セグメントの営業利益率は約0.9%、一方で住宅セグメントは約7.1%。同じ会社の中で、収益性が8倍近く違う事業が並走しています。

セグメント別に見た第77期の売上と利益

有価証券報告書によると、第77期のセグメント別業績は次の通りです(公式情報/外部顧客への売上高およびセグメント利益)。

セグメント外部売上高前期比セグメント利益前期比利益率(算出)
建築資材1,935億32百万円+5.7%17億47百万円△22.6%約0.9%
住宅549億31百万円+8.1%38億92百万円+8.7%約7.1%
その他106億90百万円+16.5%13億52百万円+119.0%約12.6%
連結合計2,591億54百万円+6.6%営業利益53億22百万円+15.0%約2.1%

建築資材は1,935億円を売って17億円の利益。1万円の商材を動かして90円が残る計算です。減益の要因として有価証券報告書は工場設備の減価償却費と支払運賃の増加を挙げています。物流コストの上昇がそのまま利益を削る、典型的な流通業の構造です。

一方の住宅事業は549億円で38億円。売上規模は建築資材の3割以下ですが、セグメント利益では建築資材の2倍以上を稼いでいます。連結の人員配置は建築資材1,437人・住宅929人・その他328人・全社共通133人ですから、1人あたりの利益貢献も住宅が大きく上回ります。

転職判断への含意は明快です。推定情報として、次のような違いが生じやすいと考えられます。

  • 建築資材:取引量が大きく、価格交渉・在庫・物流のコントロールが仕事の中心。薄利のため、社内の予算管理・経費意識は厳しくなりやすい
  • 住宅:分譲・買取再販は1件あたりの利益が大きい代わりに、販売現場は土日中心の勤務になりやすく、成果の可視性が高い

5期の売上推移と、2期連続の営業キャッシュ・フローのマイナス

連結売上高の5期推移は、2,295億円(第73期)→2,363億円→2,258億円→2,430億円→2,591億円(第77期)。第75期にいったん落ち込んだのち、直近2期は増収基調です。第77期は営業利益+15.0%、経常利益+19.9%と増益でしたが、親会社株主に帰属する当期純利益は25億86百万円で△9.9%。有価証券報告書では、補助金収入等の特別利益が前期より減少したことが要因とされています。

財務面で押さえるべきは営業キャッシュ・フローです(公式情報)。

  • 第76期:営業CF △49億31百万円
  • 第77期:営業CF △32億2百万円(棚卸資産の増加78億68百万円が主因)

2期連続で営業CFがマイナスという事実は、隠さずに認識しておくべきです。ただしこれは在庫(木材・建材・販売用不動産)を積み増した結果であり、赤字によるキャッシュ流出とは性質が異なります。自己資本比率34.3%・純資産651億59百万円・総資産1,734億71百万円という水準もあわせて見る必要があります。

「ナイス 潰れる」と検索されるが、財務データはどう示しているか

検索候補に「潰れる」が出るため不安になる方がいますが、第77期の公表数値を見る限り、直ちに事業継続が危ぶまれる状況を示す記載には行き当たっていません。有価証券報告書には継続企業の前提に関する注記に相当する記述は見当たらず、増収増益・配当72円(配当性向30.7%)を維持しています。

整理すると、ポジティブ材料とネガティブ材料は次のように並びます。

観点プラス材料マイナス材料
損益売上+6.6%・営業利益+15.0%・経常+19.9%純利益△9.9%、建築資材の利益△22.6%
財務自己資本比率34.3%・純資産651億円ROE4.5%と資本効率は高くない
資金繰り配当72円を継続、時価総額約244億円営業CFが2期連続マイナス(棚卸資産増が主因)
市場環境住宅・その他セグメントが増益新設住宅着工が2025年度△12.9%の71.1万戸

「潰れる」という言葉で検索する人が本当に知りたいのは、おそらく「10年後もこの会社で働けるか」でしょう。その問いに対する誠実な答えは、「短期の資金繰り不安を示す数値は見当たらないが、主力市場そのものが縮小しているため、事業構造の転換スピードが論点になる」というものです。次章以降でその中身を見ます。

会社の公式発信と口コミの体感ギャップ|残業・有給・部門差

この会社を検討するうえで、最も注意深く見るべきなのがここです。採用サイトの発信と、口コミサイトに集計された数値の間に無視できない差があります。どちらかが誤りというより、「どの部門・どの時期の話か」で見え方が変わるためだと考えられます(推定情報)。

数字で見る労働環境

まず両者を並べます。左は会社側の採用情報、右はOpenWorkの「ナイス(建材)」ページの集計です。

項目会社側の発信(採用情報)口コミ集計(OpenWork・二次情報)
残業時間月平均15時間程度月22.1時間
年間休日122日有給消化率44.6%
ノルマノルマなし(事業部目標をもとに個別目標を設定)営業部のノルマが2億円との投稿あり

口コミ傾向として特に目を引くのは有給消化率44.6%という水準です。年間休日122日という制度は整っていても、取得しきれていない実態がうかがえる数字と言えます。また、有価証券報告書に記載された多様性指標(公式情報)もあわせて確認しておきます。

  • 女性管理職比率4.2%(2027年3月期から2031年3月期の5年間で10%以上を目標として明示)
  • 男性育児休業取得率38.9%
  • 男女間賃金差異:全従業員65.3%/正規従業員66.4%/非正規52.3%
  • 健康経営優良法人2026の認定を取得

女性管理職比率4.2%は決して高い水準ではありませんが、目標値を有価証券報告書に明記している点は、改善に取り組む姿勢の表れと読めます。会社側は男女間賃金差異について「同一の身分・等級において男女間に賃金差異はなく、差異は等級別人員構成の差による」と説明しています。なお口コミ(二次情報)では平均勤続年数が男性20.7年・女性13.2年と差が開いており、この構成差の背景を示唆しています。

部門で働き方が変わる|不動産販売部門の火水休み

口コミ傾向として、次のような具体的な声が確認できます(OpenWork「ナイス(建材)」ページ・二次情報)。

  • 「不動産販売部門は土日出勤で火水休み」
  • 「月60時間残業の月もあり、残業を是とする空気があった」
  • 「営業部のノルマが2億円で100%達成は現実的でなく、金額より案件獲得数で評価された」
  • 「研修マニュアルが整備されておらず、とりあえずやってみる形で業務が進む」

ここで思い出したいのが、前章のセグメント構造です。住宅(分譲・買取再販)の販売現場は、顧客が動く土日に稼働するのが業界の常識です。つまり「残業月15時間・年休122日」と「土日出勤・火水休み」は矛盾ではなく、建築資材の法人営業と住宅の個人向け販売という職種差である可能性が高いと考えられます(推定情報)。応募時には、必ず配属部門と勤務日の型を確認してください。

評価が高い項目と低い項目|弱点は「若手の育成」

OpenWorkの「ナイス(建材)」ページは口コミ682件・回答者144人と、時価総額244億円規模の企業としては十分な母数があります。総合評価3.03(上位36%相当)で、項目別の傾向は次の通りです(口コミ傾向・二次情報)。

評価が相対的に高い項目評価が相対的に低い項目
法令順守意識 3.820代の成長環境 2.5
社員の相互尊重 3.5人材の長期育成 2.5
待遇面の満足度 3.1社員の士気 2.8
風通しの良さ 3.0有給消化率 44.6%

興味深いのは、粉飾決算報道のあった会社でありながら「法令順守意識3.8」が最も高い項目になっている点です。事件後にコンプライアンス体制を強化した結果が現場の実感として現れている可能性があります(推定情報)。一方で「20代の成長環境2.5」「人材の長期育成2.5」は明確な弱点で、平均勤続18.2年という長期勤続型組織の裏返しとも読めます。エン カイシャの評判では商社(住宅・インテリア)分類で総合3.0(正社員46人回答)、就活会議にも「将来性・業績・売上」カテゴリで22件の投稿があります。ただしエン側は同名別会社のページが複数存在するため、閲覧時はページの特定が必要です。

筆頭株主はヤマダHD17.15%|資本構成と、2026年の山大へのTOB

資本の安定性は「10年後もこの会社があるか」を判断する重要材料です。ナイスの株主構成は、事業会社2社が拮抗して上位に並ぶ、やや珍しい形をしています。

大株主の構成(2026年3月31日現在)

有価証券報告書によると、第77期末の大株主は次の通りです(公式情報)。

順位株主名持株比率
1株式会社ヤマダホールディングス17.15%
2技研ホールディングス株式会社16.67%
3株式会社日本カストディ銀行(信託E口)5.14%
4株式会社横浜銀行3.80%
5株式会社みずほ銀行3.79%
6ナイス従業員持株会2.80%
7〜10りそな銀行2.73%/明治安田生命2.63%/吉野石膏2.17%/パナソニックハウジングソリューションズ1.72%上位10名計58.59%

筆頭株主は家電量販大手のヤマダホールディングスで、2021年に資本業務提携を結んでいます(当時約17.7%)。ここで重要な注意点があります。ヤマダホールディングスは筆頭株主であって、ナイスはその子会社でも関連会社でもありません。ナイスは独立して有価証券報告書を提出する上場会社であり、ヤマダグループの給与水準や人事制度が適用されるわけではない点を混同しないでください。

第2位の技研ホールディングスと合わせると上位2社で約34%、上位10名で58.59%。推定情報ですが、事業会社・金融機関・従業員持株会で持ち合いに近い構造となっており、短期的な買収圧力にはさらされにくい株主構成と考えられます。

2026年6月、山大(7426)へのTOBを発表|買われる側ではなく買う側

もうひとつ押さえておきたいのが、ナイスが2026年に同業の上場企業を買収する側に立っているという事実です。公表資料に基づく事実関係は以下の通りです。

  • 2026年1月:株式会社山大(7426・東証スタンダード)と業務提携契約を締結(有価証券報告書に記載)
  • 2026年6月1日:山大に対し1株601円(前日終値500円に対し20.2%のプレミアム)でTOBを実施し完全子会社化すると発表。買付代金約4億6,400万円、買付予定数772,839株・下限402,600株(36.24%)
  • 当初の買付期間は2026年6月2日〜7月13日(30営業日)だったが、7月13日に7月28日まで(計40営業日)へ延長
  • 7月14日に買付条件変更の提案、7月17日に山大の特別委員会から追加答申書が提出
  • 山大はもともと流通株式時価総額基準未達により2026年10月1日の上場廃止が決まっており、2026年8月27日にJPXから「上場廃止理由及び上場廃止日の変更可能性について」が公表

ただし本記事の調査時点(2026年9月)で、TOBの最終的な成立可否・最終買付価格・確定した上場廃止理由については一次資料に行き当たっていません。したがって「完全子会社化された」と断定はできません。事実として言えるのは「2026年6月にTOBを発表し、期間延長と条件変更が行われた」というところまでです。最新の状況は必ず公式IRおよびJPXの開示でご確認ください。

それでも転職検討者にとって意味があるのは、この会社が業界再編の「買う側」に立てる財務体力とポジションを持っているという点です。市場が縮小する業界では、統合を主導できる側にいるかどうかがキャリアの安定性を左右します。

住宅着工71.1万戸・△12.9%の逆風下で、将来性をどう評価するか

将来性を語るうえで避けて通れないのが、主力市場の縮小です。有価証券報告書によると、2025年度の新設住宅着工戸数は前年度比12.9%減の71万1千戸で、リーマンショック後の2009年度以来の低水準となりました。

業界構造:制度改正ショックと高付加価値建材へのシフト

この急減の背景には、2025年4月の建築基準法改正(4号特例の縮小)と建築物省エネ法改正(省エネ基準適合義務化)を前にした駆け込み需要と、その反動があります。加えて資材高・金利上昇・人口減少という長期要因が重なっており、業界では一時的な反動ではなく構造的な縮小基調と受け止められています。建材卸の営業は「市場が伸びない中で工務店のシェアと商材単価をどう取るか」を問われる局面に入りました。

一方で伸びている領域もあります。省エネ基準適合義務化と2030年のZEH水準義務化を見据え、断熱材・高性能サッシ・換気システムといった高付加価値建材の需要は構造的に増加しています。また建設業の時間外労働上限規制以降、大工・職人の不足が深刻化し、建材卸には配送だけでなくプレカット加工・施工付き販売・工期調整といった機能が求められるようになりました。単なる御用聞き営業ではなく、施工・物流・原価まで踏み込んで工務店の課題を解決する提案型人材の価値が上がっている——これが業界全体の潮流です。

ナイスの打ち手:Road to 2030と非新築領域

ナイスは中期経営計画「Road to 2030」のもと、次の方向に投資しています(公式情報および公式IR)。

  • 国産材のサプライチェーン統合:原木調達→プレカット加工→物流→販売までを自社で束ねる。国産木材取扱材積75万立方メートルという数値目標を掲げる
  • 中古マンション買取再販の拡大:新築着工に依存しない住宅事業への転換。第77期の住宅セグメントは売上+8.1%・利益+8.7%と実際に伸びている
  • 非住宅木造・木質化:圧密木材「Gywood」や木質化リノベーション「RIZWOOD」など、新築戸建以外の木材需要の開拓
  • キャリア採用:累計100人という数値目標を掲げており、中途入社者の受け入れ拡大が計画に織り込まれている

編集部の見解として、この戦略は「縮小する新築市場から、加工・再販・非住宅へ利益の源泉をずらす」という点で筋が通っています。実際、第77期に増益したのは住宅(+8.7%)とその他(+119.0%)であり、減益したのは主力の建築資材(△22.6%)でした。数字の上では、すでに「非・建築資材」が利益成長を担う構図に移りつつあると言えます。ただし建築資材が売上の75%を占める以上、この転換には時間がかかると考えられます(推定情報)。

なお転職先の比較検討という観点では、木材建材流通ではJKホールディングス、住宅資材流通ではジューテックホールディングス、木材建材流通と住宅事業の二本柱という構造では住友林業、木材建材の製造販売ではウッドワンなどが、事業内容の近い上場企業として挙げられます(推定情報/各社の待遇・難易度は各社IRおよび求人票でご確認ください)。

ナイスへの転職に向いている人・向いていない人

ここまでの公式情報と口コミ傾向をふまえ、適性を整理します(推定情報を含みます)。特に「建築資材か住宅か」で必要な資質が異なる点を意識してください。

向いている人向いていない人
木材・建材・住宅設備の商流に興味があり、モノと物流を動かす仕事に手応えを感じる人短期間で年収を大きく引き上げたい人(平均勤続18.2年の長期積み上げ型組織)
薄利のビジネスで、在庫・運賃・与信までコントロールして利益を作ることに面白みを感じる人体系的な研修とマニュアルの整備を前提にキャッチアップしたい人(口コミでは整備途上との声)
横浜を拠点に、腰を据えて長く働きたい人20代のうちに濃い育成環境で急成長したい人(20代の成長環境2.5という口コミ評価)
住宅分譲・買取再販で、土日中心の勤務でも成果が数字で見える働き方を望む人土日祝の完全固定休を絶対条件にする人(不動産販売部門は火水休みとの口コミ)
業界再編の「買う側」で、統合やグループ運営に関わりたい人拡大市場で事業を伸ばす経験を積みたい人(新設住宅着工は2025年度△12.9%)
過去の事件経緯を含め、情報を自分で一次資料まで確認して判断できる人ネットの評判や社名の知名度で会社を選びたい人(同名企業が多く同定が難しい)

ナイス(8089)に関するよくある質問

ナイスへの転職・就職を検討する人からよく調べられている疑問と、公表資料にもとづく回答をまとめました。

ナイスの粉飾決算は、結局どうなったのですか?

2019年8月13日に証券取引等監視委員会が金融商品取引法違反(虚偽有価証券報告書提出)の嫌疑で会社および嫌疑者2名を横浜地検に告発し、これに先立つ同年7月に当時の経営陣3名が逮捕されました。その後裁判は差し戻され、2025年12月15日の横浜地裁差戻し審で被告人2名に無罪判決が言い渡されています。東証の特設注意市場銘柄指定も2020年に解除済みです。ただし判決確定の状況までは本記事の調査範囲では把握していないため、「完全に決着した」と断定はしていません。「粉飾が確定した会社」という理解は事実と異なります。

同じ「ナイス」という名前の会社と、どう見分ければいいですか?

この記事の対象は証券コード8089・東証スタンダード上場・横浜市鶴見区の木材建材商社です。公式サイトのドメインは nice.co.jp。これに対し、nices.co.jp の「株式会社ナイス」、名古屋の医事会計システム会社「ナイス株式会社」(naiscorp.co.jp)などは、いずれも資本関係のない別法人です。OpenWorkでも「ナイス(建材)」「ナイス(化学)」「ナイスジャパン」が別ページになっているため、口コミを読む際は必ずページ名を確認してください。

平均年収666万円と口コミの522万円、どちらが実態に近いですか?

どちらも「別の集団の数字」です。666万円は有価証券報告書に記載された提出会社1,063人の平均(第77期・平均年齢44.3歳/平均勤続18.2年)で、公式情報です。522万円はOpenWorkの回答者ベースの集計で、口コミ傾向にあたります。若手・非管理職の体感は後者に近い可能性があり、管理職を含む全社平均は前者です。職種別の口コミ集計では総合職594万円・営業職544万円・事務職364万円と報告されています。

「ナイス 潰れる」という検索候補が出るのはなぜですか?

過去の粉飾決算報道と、主力市場である新設住宅着工の減少(2025年度△12.9%の71.1万戸)が背景にあると考えられます(推定情報)。第77期の実績は売上2,591億54百万円(+6.6%)・営業利益53億22百万円(+15.0%)で増収増益、自己資本比率34.3%、1株72円の配当を実施しています。一方で営業キャッシュ・フローは棚卸資産の増加を主因に2期連続でマイナス(第77期△32億2百万円)です。プラスとマイナスの両面を数字で確認したうえで判断してください。

残業や休日はどのくらいですか?

会社側の採用情報では年間休日122日・月平均残業15時間程度と発信されています。一方、OpenWorkの集計(口コミ傾向・二次情報)では月間残業22.1時間・有給消化率44.6%。さらに「不動産販売部門は土日出勤で火水休み」「月60時間残業の月もあった」という投稿もあります。部門差が大きい可能性が高いため、応募時には配属予定部門と勤務日の型を必ず確認することをおすすめします。

ヤマダホールディングスの子会社なのですか?

いいえ。有価証券報告書によるとヤマダホールディングスは持株比率17.15%の筆頭株主であり、ナイスはその子会社でも持分法適用関連会社でもありません。2021年に資本業務提携を結んだ独立した上場会社であり、給与制度や人事制度もナイス独自のものです。第2位株主は技研ホールディングス(16.67%)で、上位10名の合計は58.59%です。

ナイス(8089)への転職判断まとめ

ここまでの内容を判断軸ごとに整理します。最終的な判断は、記事の情報だけでなく求人票と労働条件通知書で確認してください。

判断軸評価と根拠
過去の不祥事リスク2019年に告発・逮捕。2025年12月15日の差戻し審で無罪判決。東証の特設注意市場銘柄指定は2020年に解除済み(公式情報)
年収水準有報の単体平均666万円・前期比△3.0%。単体比率37.6%で代表性は比較的高い。口コミ集計は522万円(口コミ傾向)
収益構造売上75%の建築資材は営業利益率約0.9%、住宅は約7.1%。配属セグメントで見える景色が大きく異なる
財務の安定性自己資本比率34.3%・純資産651億円・配当72円を維持。ただし営業CFは2期連続マイナス(棚卸資産増が主因)
働き方会社発信は年休122日・残業月15時間。口コミ集計は残業22.1時間・有休消化44.6%。不動産販売部門は火水休みとの声
育成環境法令順守意識3.8は高評価だが、20代の成長環境2.5・人材の長期育成2.5は明確な弱点(口コミ傾向)
将来性新設住宅着工は2025年度△12.9%と逆風。一方でRoad to 2030で国産材統合・買取再販・非住宅木造へ転換中
資本の安定性ヤマダHD17.15%・技研HD16.67%の事業会社2社が上位。買収される側ではなく、山大へのTOBを実施した買う側

編集部の見解として、この会社は「派手さはないが、事実を丁寧に確認できる人にとっては評価しやすい会社」です。粉飾決算というキーワードだけで敬遠するのは、2025年12月の判決を踏まえれば正確な判断とは言えません。他方で、売上の4分の3が利益率1%未満の事業であること、主力市場が縮小していること、若手育成の評価が低いことは、いずれも数字で確認できる事実です。「安定した老舗で長く働きたい人」には合い、「短期間で成長と年収を取りに行きたい人」には別の選択肢がある——というのが、公表データから導ける整理です。

どのサービスを使えばいいか決められないとき

このサイトはアフィリエイトで収益を得ています。読者がサービスに登録すると当サイトに報酬が発生します。

自分の状況だとどのサービスが合うのか判断がつかない場合は、無料の相談を受け付けています。相談内容をうかがったうえで、条件に合いそうな転職サービスをご案内します。

登録や応募を急かすことはしません。 「いま動かないほうがいい」と考えた場合はそう伝えます。

→ 無料転職相談はこちら

※当サイトは職業紹介事業者ではありません。求人の紹介・あっせんは行わず、転職サービスのご案内までを行います。

本記事の出典・参考情報

本記事で参照した一次情報・口コミ情報の出典は以下の通りです。最新の正確な数値は各リンク先で確認してください。

公式情報源

中核データの出典は、ナイス株式会社 第77期有価証券報告書(2026年6月24日提出/EDINET書類番号S100YI3N)です。粉飾決算に関する記述は証券取引等監視委員会の告発に関する公表資料および報道、TOBおよび上場廃止に関する記述は各社の適時開示・日本取引所グループの公表資料にもとづきます。

口コミ・評判の参照元

免責事項:本記事の数値・評価は公式情報・口コミ集計・市場推定の3分類で示しており、口コミ傾向や推定情報は断定ではなく傾向・可能性として表現しています。同名の別法人に関する情報は本記事の対象外です。最終判断は読者自身で公式IRおよび内定時の労働条件通知書で確認してください。

この記事の編集方針・情報の確認について

この記事は、公式公開情報(有価証券報告書・IR資料)、求人情報、口コミ傾向をそれぞれ分けて整理し、転職・就職判断に役立つよう編集しています。年収・平均年齢・平均勤続年数・従業員数などの中核データは有価証券報告書「従業員の状況」を一次情報として取得し、口コミ・推定情報とは明確に区別しています。過去の事件に関する記述は、公表資料に記載された事実と時系列のみを扱い、当事者個人に関する記述は行っていません。記載内容は最終更新時点の公開情報にもとづきます。最新の正確な数値は各公式IRページでご確認ください。

著者紹介
コロ助
コロ助
企業と転職サービスを、有価証券報告書などの一次情報から読んでいます。
著者紹介
記事URLをコピーしました