築地魚市場の年収609万円と評判|職場は豊洲、本業を冷蔵倉庫が支える荷受会社
※本記事にはプロモーションを含みます。
この記事の結論
- 職場は築地ではなく豊洲:社名は「築地」だが本社は2018年10月から豊洲市場内
- 平均年収609万円:第78期有報の単体164名の実額。対前期△8.70%
- 本業は営業損失:水産物卸売△3.72億円を冷蔵倉庫+4.66億円が補う構造
- 始業4時30分:年間休日114日。生活リズムが最大の適性判断軸
築地魚市場株式会社(証券コード8039・東証スタンダード市場)は、東京都中央卸売市場である豊洲市場で水産物の卸売を営む「荷受会社」です。社名に「築地」とありますが、観光で知られる築地場外市場や、閉場した築地市場の跡地とは別の、独立した上場企業です。この記事では、第78期(2026年3月期)の有価証券報告書と公式採用サイトという一次情報を軸に、年収609万円という数字の中身、本業が営業損失でも全社が黒字である収益構造、そして始業4時30分という勤務条件を分解します。転職検討者が「自分の生活と適合するか」を判断できるところまで踏み込みます。
築地魚市場とは|社名は「築地」でも、働く場所は豊洲市場
まず最初に、検索でもっとも混線しやすい点を整理します。築地魚市場株式会社は市場そのものでも観光市場でもなく、豊洲市場のなかで卸売業を営む東証スタンダード上場の事業会社です。ここを取り違えたまま応募すると、勤務地も仕事内容もイメージと大きくずれます。
観光地の「築地場外市場」とは無関係の上場企業
公式情報として、有価証券報告書 第78期によると、同社の本店所在地は東京都江東区豊洲六丁目6番2号 東京都中央卸売市場 豊洲市場内 水産卸売場棟5階です。2018年10月の築地市場から豊洲市場への移転にともない、本店所在地を中央区築地から江東区豊洲へ変更しています。つまり、社名の「築地」は1948年4月に築地の市場内で営業を開始した歴史に由来する屋号的な要素であり、現在の勤務地を示すものではありません。
一方で「築地魚市場」と検索すると、観光名所である築地場外市場の営業時間・アクセス情報が大量にヒットします。推定情報ですが、この社名で検索する人の多くは観光目的であり、求人情報や口コミが他の上場企業に比べて集まりにくいのも、この検索意図の混線が一因である可能性があります。だからこそ応募検討者は、一般論的な「市場のイメージ」ではなく有価証券報告書などの一次情報から会社像をつかむ必要があります。
仕事の中身は「荷受」=委託販売と買付販売
同社の主業は、卸売市場法および東京都中央卸売市場条例のもとで、東京都から豊洲市場の使用許可を受けて営む水産物の卸売です。全国の産地や海外から生鮮・加工水産物を集荷し、市場内の仲卸業者や量販店へ販売します。取引形態は、産地・出荷者から預かって売る委託販売と、自社で仕入れて売る買付販売の二本立てです。
この業態には、一般的な商社・卸売とは異なる特徴が3つあります。
- 規制業種である:開設者である東京都に取引内容を報告・公表し、指導・助言・検査を受ける立場にあります。これは業態上の通常の規制遵守であって、処分歴を意味するものではありません。
- 相場が損益に直結する:魚種ごとの需給と相場観がそのまま取扱金額に反映されます。
- 市場のカレンダーで動く:休業日・稼働日は豊洲市場の開市日カレンダーに従い、土曜も稼働日になります。
また、有価証券報告書 第78期によると、同社は持株会社ではなく提出会社自身が卸売業を営む事業会社であり、子会社7社(うち連結子会社は東市ロジスティクス、共同水産、キタショク、築地市川水産の4社)を通じて水産物の加工・販売や仲卸業も手掛けています。2007年には東市築地水産貿易(上海)有限公司を設立し、中国向け販売にも取り組んでいます。報告セグメントは「水産物卸売業」「冷蔵倉庫業」「不動産賃貸業」の3つで、この3本柱の構造が、後述するとおり同社を理解する最大の鍵になります。
築地魚市場の公式データ一覧(有価証券報告書 第78期ベース)
本記事で扱う公式数値を一覧で確認できます。公式情報として、最新の正確な数値は公式IRページで再確認してください。なお平均年間給与・平均年齢・平均勤続年数・従業員数は、有価証券報告書「従業員の状況」における提出会社(単体)の数値です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 商号 | 築地魚市場株式会社(TSUKIJI UOICHIBA COMPANY, LIMITED) |
| 証券コード・市場 | 8039/東京証券取引所スタンダード市場(1963年9月東証二部上場、2022年4月にスタンダード市場へ移行) |
| 本社所在地 | 〒135-8114 東京都江東区豊洲六丁目6番2号 東京都中央卸売市場 豊洲市場内 水産卸売場棟5階 |
| 設立 | 1948年3月9日(資本金500万円で設立、同年4月に築地の市場内で営業開始) |
| 代表者 | 代表取締役社長 山﨑 康司(第78期 有価証券報告書 表紙) |
| 資本金 | 20億45百万円 |
| 平均年間給与 | 6,093,935円(提出会社・第78期/賞与および基準外賃金を含む/対前事業年度増減率△8.70%) |
| 平均年齢 | 46.2歳(提出会社・2026年3月31日現在) |
| 平均勤続年数 | 17.2年(提出会社・2026年3月31日現在/男性19.4年・女性16.3年) |
| 従業員数 | 提出会社164名/連結292名(就業人員数。出向者5名は単体に含まず、パートを除く) |
| 売上高 | 連結674億50百万円(提出会社単体561億4百万円) |
| 営業利益 | 連結1億66百万円(前期3億2百万円) |
| 経常利益 | 連結1億90百万円(前期3億30百万円)/提出会社単体は経常損失78百万円 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 3億86百万円(前期2億87百万円) |
| 自己資本比率 | 39.2%(連結) |
| 1株当たり配当額 | 35円(5期連続同額) |
| 労働組合 | 東市労働組合が組織されている |
| 対象決算期 | 第78期(2025年4月1日〜2026年3月31日/2026年3月期) |
| 出典 | 第78期 有価証券報告書(2026年6月25日提出/EDINETコード E02571)、公式IR資料 |
離職率・職種別年収・採用倍率については、有価証券報告書では開示されていません。これらを重視する場合は、面接や内定時の労働条件通知書で個別に確認する必要があります。
収益構造の実像|本業の水産物卸売は営業損失、利益を作っているのは冷蔵倉庫
この記事でもっとも重要なパートです。結論を先に述べると、築地魚市場は「魚を売って稼いでいる会社」ではありません。有価証券報告書 第78期のセグメント情報によると、本業である水産物卸売業は営業損失で、冷蔵倉庫業と不動産賃貸業の利益が全社の営業利益を成立させています。この事実を知っているかどうかで、志望動機の説得力も、入社後のキャリア設計もまったく変わります。
セグメント別に並べると構造が一目でわかる
第78期のセグメント別の外部顧客への売上高と営業損益を並べると、売上と利益の担い手がまったく違うことがわかります(公式情報)。
| セグメント | 外部顧客への売上高 | 営業損益 | 位置づけ |
|---|---|---|---|
| 水産物卸売業 | 658億33百万円 | △3億72百万円 | 売上の約98%を占めるが営業損失(前期も△1億89百万円) |
| 冷蔵倉庫業 | 14億66百万円 | +4億66百万円 | 売上構成比は約2%だが、全社利益の実質的な源泉 |
| 不動産賃貸業 | 1億51百万円 | +0億72百万円 | 規模は小さいが安定的な上乗せ |
| 連結合計 | 674億50百万円 | 1億66百万円 | 営業利益率は約0.25% |
売上の98%を占める水産物卸売業が3億72百万円の営業損失を出し、売上構成比わずか2%の冷蔵倉庫業が4億66百万円の営業利益を稼いでいます。しかも水産物卸売業の営業損失は前期の1億89百万円から拡大しており、2期連続の営業損失です。同社が保有する豊洲東市冷蔵庫・豊海東市冷蔵庫といった冷蔵倉庫資産が、本業の採算を補っている形になります。

売上が674億円もあるのに、営業利益が1.66億円しかないのはなぜ?
荷受の売上高は産地から預かった水産物の販売代金がそのまま計上される構造で、会社の手元に残るのは受託手数料や仕切差益です。そのため売上規模に対して利益がきわめて薄くなります。推定情報を含みますが、水産物卸売業の営業損失は、仕入価格の高騰分を販売価格へ転嫁しきれていないこと、豊洲市場の設備にかかる負担、人件費・物流費の上昇が重なった結果と考えられます。有価証券報告書の「事業等のリスク」でも、これらは同社自身の言葉でリスクとして挙げられています。
連結は黒字でも、提出会社単体は経常損失
もう一段深く見ると、単体の採算はさらに厳しい姿になります。有価証券報告書 第78期によると、提出会社単体の経常損益は78百万円の損失です(単体の当期純利益は230百万円)。さらに単体経常損益は第76期にも166百万円の損失を計上しており、直近5期のうち2期が単体経常赤字ということになります。
連結では経常利益1億90百万円・当期純利益3億86百万円と黒字を確保していますが、これは連結子会社の収益と冷蔵倉庫・不動産の寄与によるところが大きいと考えられます(推定情報)。応募先が提出会社(築地魚市場本体)なのか、共同水産・キタショク・築地市川水産・東市ロジスティクスといった子会社なのかによって、事業の採算環境も、後述する年収の前提もまったく異なります。求人票の雇用主名がどの法人になっているかは、必ず確認してください。
4期連続増収でも利益が伸びない理由
売上そのものは伸びています。有価証券報告書「主要な経営指標等の推移」によると、連結売上高は次のように推移しました(公式情報)。
| 期 | 連結売上高 | 前期比 |
|---|---|---|
| 第74期 | 550億18百万円 | — |
| 第75期 | 579億81百万円 | +約5.4% |
| 第76期 | 587億1百万円 | +約1.2% |
| 第77期 | 624億14百万円 | +約6.3% |
| 第78期 | 674億50百万円 | +約8.1% |
5期で124億円、率にして約23%の増収です。それにもかかわらず第78期の連結営業利益は1億66百万円と、前期の3億2百万円から約45%減りました。増収なのに減益という組み合わせは、水産物流通で近年みられる「数量は伸びないが単価が上がる」局面と整合的です。単価上昇で売上は膨らむ一方、仕入コストの上昇分を手数料・仕切差益に反映しきれなければ利益は逆に細ります(推定情報)。
なお二次ソースの集計値(IRBANK等の業績データベース)によれば、同社は2017年3月期から2020年3月期にかけて営業赤字が続いた時期があるとされています。有価証券報告書の原文で直接確認したものではないため参考値として扱いますが、直近5期の増収基調はその低迷期からの回復局面にあたるという読み方はできます。財務面では自己資本比率39.2%、1株当たり配当額は5期連続で35円を維持しており、収益は薄いものの財務基盤と株主還元は安定しています。
平均年収609万円の中身|「単体164名の数字」と前期比△8.70%をどう読むか
結論から言えば、築地魚市場の平均年間給与は6,093,935円(第78期・提出会社)で、水産卸売業界のなかでは平均的なレンジです。ただしこの数字には、読み違えやすい注意点が3つあります。順番に確認します。
1. 有報の年収は「単体164名」の数字であり、連結292名の実態ではない
有価証券報告書 第78期「従業員の状況」によると、平均年間給与6,093,935円は提出会社(築地魚市場単体)の従業員164名を対象とした数値で、賞与および基準外賃金を含みます。一方、同社の連結従業員数は292名です。差分の約128名は、共同水産・キタショク・築地市川水産・東市ロジスティクスといった連結子会社に在籍する従業員であり、これらの子会社の給与水準は有価証券報告書では開示されていません。
単体と連結の乖離は約1.8倍で、同業他社と比べると小さい部類です(後述の比較表を参照)。とはいえグループ会社に採用される場合、「築地魚市場の平均年収609万円」がそのまま自分の目安になるとは限りません。
2. 対前期△8.70%という下落幅の背景
もう一つの重要な事実が、平均年間給与の対前事業年度増減率が△8.70%である点です。この増減率から単純に逆算すると、第77期の平均年間給与はおよそ667万円だったことになり、1年で約58万円下がった計算になります。第95バッチで比較した水産・食品流通系の上場10社のなかでも、これだけの下落率を記録したのは同社だけでした。
ただし、この数字を「給与を引き下げた」と短絡的に読むのは適切ではありません。同じ有価証券報告書には、単体従業員数の推移として第74期166名→第75期153名→第76期149名→第77期149名→第78期164名という数字が記載されています。つまり第78期は前期から15名の増員があった年です。平均年間給与は在籍者全体の平均値であるため、若手・中途の新規入社者が一定数加わると、勤続の長い高給与層の比重が下がり、平均値そのものが押し下げられます。
したがって考えられる要因は、推定情報として少なくとも次の3つに整理できます。
- 人員構成の変化:15名の増員により、平均年齢・平均給与の分布が変わった可能性
- 業績連動部分の縮小:単体経常損失78百万円という第78期の採算が、賞与原資に影響した可能性
- 基準外賃金の変動:深夜・早朝手当や残業手当を含む数値のため、稼働状況で変動する可能性
いずれも同社が公式に説明しているものではないため断定はできません。面接の場では「平均年間給与の減少要因」を直接聞くよりも、賞与の算定方式、基本給テーブル、深夜・早朝手当の支給ルールを具体的に確認するほうが、自分の受け取り額を見積もるうえで実用的です。
3. 平均年齢46.2歳・平均勤続17.2年という前提
年収の絶対額は、年齢と勤続年数とセットで見なければ意味を持ちません。有価証券報告書 第78期によると、提出会社の平均年齢は46.2歳、平均勤続年数は17.2年です。男女別では男性19.4年・女性16.3年で、いずれも長期勤続型の構成といえます。あわせて同社は、女活法等の公表義務対象外でありながら、女性社員比率21.6%・女性管理職比率5.3%を自主的に開示しています。
ここから読み取れることは2つです。第一に、平均年齢46.2歳で609万円という水準は、20代・30代の実額がこれより低い可能性が高いことを意味します。第二に、平均勤続17.2年という長さは、離職が頻発する職場ではないことを示唆します(推定情報)。市場での取引は産地・仲卸との関係と魚種ごとの相場観に依存するため、人が入れ替わりにくい構造になりやすいという業界特性とも整合します。
あわせて、中途・新卒いずれの検討者にとっても参考になるのが、公式採用サイトによると明示されている初任給の水準です。
| 区分 | 初任給(基本給) |
|---|---|
| 大学院卒・大学卒 | 235,000円 |
| 短大・専門卒 | 221,000円 |
| 高校卒 | 207,000円 |
| 営業職の別途手当 | 営業手当 15,000円 |
さらに、市場の稼働時間に対応した深夜営業手当・深夜割増手当が制度として設けられています。勤務地は豊洲本社で、公式採用サイトでは転勤なしと明記されています。全国転勤を前提とする総合商社型のキャリアとは異なり、生活拠点を固定したまま長く働ける設計になっている点は、実利面での判断材料になります。
働き方の実態|始業4時30分・年間休日114日という一次情報
築地魚市場への転職を考えるとき、年収よりも先に判断すべきなのは勤務時間です。市場のセリに合わせた超早朝シフトは、他の業界からの転職では最大の適性フィルターになります。ここは推測ではなく、公式採用サイトと有価証券報告書に記載された条件だけで説明します。
営業部門は4:30〜12:30、管理部門は8:30〜16:30
公式採用サイトによると、募集要項に記載された勤務時間は次のとおりです(公式情報)。
| 区分 | 勤務時間 | 実働 |
|---|---|---|
| 営業部門(平日) | 4:30〜12:30 | 7時間 |
| 営業部門(土曜扱いの稼働日) | 4:30〜11:30 | 6時間 |
| 管理部門 | 8:30〜16:30 | — |
営業部門は始業が4時30分です。通勤時間を逆算すると、就寝・起床のリズムを一般的なオフィスワークから大きく組み替える必要があります。一方、終業が12時30分(土曜扱い日は11時30分)である点は見落とされがちなメリットで、午後の時間がまるごと空くため、家族の予定・通院・学習に充てやすい生活設計も成り立ちます。早朝勤務は「負担」と「午後の自由時間」がセットになった条件であり、どちらに価値を置くかで評価が正反対になります。
この変則的な勤務形態は、同社自身が有価証券報告書の「事業等のリスク」で人材確保上のリスクとして言及しており、食の安定供給や市場機能の維持のために休業日や勤務時間が変則的になっている旨が記載されています。会社側も課題として認識している、という点は率直な開示だといえます。
年間休日114日・有給消化率38.22%・平均残業31時間
公式採用サイトによると、2026年度の労働条件として、年間休日114日・有給休暇消化率38.22%・平均残業時間31時間(月間)が公表されています。
- 年間休日114日:完全週休二日制+祝日の企業(120〜125日程度)と比べるとやや少なめです。これは豊洲市場の開市日カレンダーに沿って土曜が稼働日になることが影響していると考えられます(推定情報)。
- 有給消化率38.22%:付与日数の4割弱という水準です。年5日の取得義務はクリアできる計算ですが、まとまった連続休暇を取りやすい環境かどうかは、配属部署の体制により差が出る可能性があります。
- 平均残業31時間:始業4時30分・実働7時間という所定時間を前提とした月間平均です。所定労働時間が一般的な8時間より短いため、単純に他業界の残業時間と並べて比較することはできません。
労務環境の観点でもう一点、有価証券報告書 第78期には東市労働組合が組織されていることが記載されています。労働組合が存在することは、労働条件の交渉窓口が制度として確保されていることを意味します。組合の有無は、待遇の交渉可能性を見るうえで実務的な指標になります。
口コミ23件をどう読むか|会社公表値との照合で見えること
結論を先に述べます。築地魚市場の口コミは母数が23件と非常に少なく、単独では評価の根拠になりません。ただし、口コミの集計値と会社公表値を突き合わせると、少なくとも「公表値が実態とかけ離れている」という主張には根拠がない、ということが確認できます。これは母数が少ないなかでも価値のある確認作業です。
OpenWorkの評価は「中庸〜やや低め」のレンジ
OpenWorkの同社企業ページでは、社員クチコミ23件・年収給与情報4件が掲載され、総合評価は2.93/5.0となっています(口コミ傾向)。項目別スコアは以下のとおりです。
| 評価項目 | スコア(5点満点) |
|---|---|
| 20代成長環境 | 3.1 |
| 社員の士気 | 3.0 |
| 待遇面の満足度 | 2.9 |
| 人材の長期育成 | 2.9 |
| 風通しの良さ | 2.8 |
| 法令順守意識 | 2.8 |
最高が3.1、最低が2.8と、突出して低い項目も高い項目もなく、全体が中庸からやや低めのレンジに収まっています。ここで重要なのは、23件という母数では項目間の0.2〜0.3の差に統計的な意味を見出せないということです。「総合2.93だから働きにくい会社」といった読み方は、母数の観点から成立しません。投稿者は営業職や冷凍食品関連の職種が中心で、在籍3年未満から20年以上まで幅があり、入社理由として給与・福利厚生を挙げる声が見られます(口コミ傾向)。
なお、エン ライトハウス(カイシャの評判)および転職会議については、同社に該当するページを特定できていません。掲載の有無自体を断定できないため、本記事では評価に使用していません。
残業・有給は会社公表値とおおむね一致している
ここが本セクションでもっとも実用的な指摘です。OpenWork集計の値と、公式採用サイトが公表する値を並べます。
| 項目 | 口コミ集計(OpenWork) | 会社公表(公式採用サイト) | 差 |
|---|---|---|---|
| 月間残業時間 | 34.1時間 | 31時間 | 約3時間 |
| 有給消化率 | 32.3% | 38.22% | 約6ポイント |
残業時間の差は約3時間、有給消化率の差は約6ポイントで、いずれも極端な乖離ではありません。企業口コミでは「会社の公表値と現場の体感が大きく違う」という指摘がしばしば論点になりますが、築地魚市場に関しては、公表値と口コミ集計値がおおむね同水準に収まっているという事実が確認できます。少なくとも、公表された労働時間データが実態と大きく異なるという見方には、現時点で裏づけがありません。
したがって口コミの扱い方は、スコアの絶対値は母数23件のため参考程度にとどめ、公表値との整合が取れている事実のほうを重視するのが妥当です。定量条件は一次情報で確認し、職場の雰囲気や相性は面接で自分の目で確かめる、という順序が現実的です。
上場する水産荷受と比べた築地魚市場の位置
同じ「水産物の荷受」でも、市場・規模・収益構造は会社ごとに大きく違います。ここでは同じ2026年3月期決算で、有価証券報告書の数値が確認できる上場3社と比較します。公式情報にもとづく数値ですが、平均年間給与はいずれも提出会社(単体)の対象人数が異なるため、単純比較はできない点に注意してください。
| 企業名 | 主な拠点 | 連結売上高 | 連結営業利益(利益率) | 有報の平均年間給与 | 従業員(単体/連結) |
|---|---|---|---|---|---|
| 築地魚市場(8039) | 豊洲市場 | 674億50百万円 | 1億66百万円(約0.25%) | 609.4万円(△8.7%) | 164名/292名 |
| 中央魚類(8030) | 豊洲市場 | 1,586億円 | 32億73百万円(約2.1%) | 668.5万円(+0.4%) | 217名/794名 |
| 横浜丸魚(8045) | 横浜市中央卸売市場本場 | 406億40百万円 | 4億62百万円(約1.1%) | 662.7万円(+7.4%) | 91名/178名 |
| OUGホールディングス(8041) | 大阪(持株会社) | 3,636億66百万円 | 63億35百万円(約1.7%) | 持株会社本体29名で702.3万円。主要事業会社は629.1万円/783.1万円 | 29名/1,301名 |
この表から読み取れる築地魚市場の位置づけは、次の3点に集約されます。
- 営業利益率が4社中もっとも低い:約0.25%で、同じ豊洲市場の中央魚類(約2.1%)とは8倍以上の開きがあります。売上規模も中央魚類の半分以下で、豊洲市場内では規模・採算の両面で中央魚類が先行しています。
- 平均年間給与は4社のなかで最も低く、かつ唯一の大幅減:609.4万円は中央魚類・横浜丸魚より50〜60万円ほど低い水準で、増減率も同社だけがマイナスでした。ただし対象は単体164名であり、年齢構成も各社で異なります。
- 単体と連結の乖離は小さい:約1.8倍で、持株会社であるOUGホールディングス(約45倍)のような極端な差はありません。つまり有報の年収が、少なくとも本体社員の実態に近い数字であるという意味では、読み取りやすい構造です。
4社に共通するのは、営業利益率が1〜2%台の薄利構造、平均勤続14〜19年という超長期の定着、早朝勤務、そして市場外流通の拡大という逆風です。そのうえで、本業を他事業が支える構造という点では、政策保有株式の配当により営業利益4億62百万円に対して経常利益9億8百万円を確保している横浜丸魚が、築地魚市場と近い性質を持ちます。推定情報ですが、規模の小さい荷受ほど、卸売以外の収益源を持てているかどうかが企業の安定性を左右する構図になっていると考えられます。
将来性|市場経由率の低下と、3本柱の再設計
将来性を一言でまとめれば、本業の水産物卸売は業界構造として厳しい逆風下にあり、同社の将来性は「卸売以外をどう伸ばすか」にかかっているという評価になります。一般論としての「今後の成長が期待されます」ではなく、実際の数字と業界動向にもとづいて分解します。
業界そのものが縮小圧力を受けている
水産物流通では、中央卸売市場を経由する取扱いの割合が長期的に低下してきました。量販店や外食チェーンが産地と直接取引し、商社や加工メーカー経由の調達が広がったためです。2018年の卸売市場法改正以降は第三者販売・直荷引きの規制緩和も進み、荷受会社は「セリで待つ」役割から「集荷と販売を自ら作る」役割への転換を迫られています。
さらに業界全体で数量は伸びないが単価が上がる局面が続いています。世界的な原料のタイト化と円安下での買い付け競争が背景にあり、取扱金額が増えても利益が伴わない構図を生みやすい環境です。第78期の同社が増収減益となったことは、この業界環境と整合しています。加えて、包装資材・電力・燃料の高騰分を価格転嫁しきれない事業者が多いこと、2024年問題以降のトラック輸送規制で長距離集荷のコストと納品時間の制約が厳しくなっていることも、業界共通の重荷です。
有価証券報告書が挙げるリスクは、そのまま転職判断の論点になる
有価証券報告書 第78期の「事業等のリスク」には、次のような項目が記載されています(公式情報)。これらは投資家向けの記載ですが、転職検討者にとっても「入社後に直面する課題」のリストとして読む価値があります。
- 取引先である仲卸業者の経営悪化にともなう債権回収リスク:売掛債権の管理と与信判断が現場の重要業務になることを意味します。
- 豊洲市場の最新設備に係るコスト増:施設が新しいぶん維持コストが重く、本業の採算を圧迫する要因になり得ます。
- 物流環境の変化(2024年問題):集荷ルートと納品時間の再設計が継続的な課題です。
- 人材確保の難しさ:休業日や勤務時間が変則的であることを、会社自身が人材面のリスクとして明記しています。
- 感染症拡大等による需要変動:外食向けの高級魚需要が短期間で消失し得るという、過去に経験したリスクです。
3本柱のうち、伸ばす余地があるのは冷蔵倉庫と物流
ではポジティブ面はどこにあるのか。推定情報を含む編集部の読みとして、次の3点を挙げます。
- 冷蔵倉庫という利益源をすでに持っている:第78期で営業利益4億66百万円を稼ぐ冷蔵倉庫業は、卸売の赤字を吸収するだけの規模があります。コールドチェーンの需要は食品全体で底堅く、設備更新の負担はあるものの事業ポートフォリオとしての価値は高いといえます。
- 連結子会社に加工・仲卸・物流の機能を持つ:東市ロジスティクス(物流)、共同水産・キタショク・築地市川水産(加工・販売・仲卸)というグループ構成は、単なる荷受にとどまらない商流を組める体制です。中期経営計画「MF-2026」のもとで、この機能をどう束ねるかが焦点になります。
- 財務・還元は安定している:自己資本比率39.2%、1株当たり配当額35円を5期連続で維持しており、収益が薄い年でも配当を継続できる体力があります。品質面では2023年2月にISO22000を取得しています。
まとめると、「業界は縮小圧力を受けており本業の採算は厳しい。ただし冷蔵倉庫・物流・加工という周辺機能を自社グループで持つため、そこに関われるかどうかで個人のキャリア価値が変わる」というのが現実的な評価です。単純に「安定した老舗」とも「先細り」とも言い切れない、条件つきの評価になります。
入社前に確認しておきたい5つのポイント
ここまでの一次情報をふまえ、応募・面接の段階で必ず確認しておくべき論点を5つに絞りました。いずれも公開情報だけでは埋まらず、かつ入社後の満足度を大きく左右する項目です。
- 雇用主となる法人はどこか:築地魚市場本体(単体164名)か、連結子会社か。本記事の年収・勤務条件は原則として本体の数値であり、子会社の待遇は有価証券報告書では開示されていません。
- 配属部門と始業時刻:営業部門は4:30始業、管理部門は8:30始業と、同じ会社でも生活リズムが全く異なります。募集職種がどちらに該当するかを明確にしてください。
- 賞与の算定方式と手当の内訳:平均年間給与は賞与および基準外賃金を含む数値です。基本給テーブル、賞与の業績連動割合、深夜営業手当・深夜割増手当の支給条件を分けて確認すると、実際の受け取り額を見積もれます。
- 担当する魚種・商流と、与信管理の関与度:荷受の営業は、集荷(産地・荷主開拓)と販売の両面に加え、仲卸への売掛債権の管理が業務に含まれます。どこまでを任されるのかは、身につくスキルの幅に直結します。
- 卸売以外の事業に関わる可能性:冷蔵倉庫・不動産・物流子会社への配置転換やプロジェクト参加の機会があるかどうか。この経験は、社内でも転職市場でも希少性が出やすい領域です。
公式採用サイトによると、選考は面接・筆記を含む複数段階で構成されていますが、応募倍率や採用実績校といった選考の定量データは公表されていません。したがって、公開情報から選考の通過しやすさを推し量ることはできず、募集要項に書かれた必要経験と自分の職歴を照合するのが唯一現実的な準備方法です。
築地魚市場への転職が向いている人・向いていない人|編集部の見解
ここからは事実の整理ではなく、編集部の見解として適性を整理します(推定情報を含みます)。断定ではなく、判断の補助線として読んでください。
| 向いている可能性が高い人 | 慎重に検討したほうがよい人 |
|---|---|
| 早朝始業を受け入れ、午後の時間を活用する生活設計に価値を感じる人 | 朝型の生活へ切り替えることに強い抵抗がある人 |
| 転勤なしで、生活拠点を固定したまま長く働きたい人 | 全国・海外転勤を通じてキャリアを広げたい人 |
| 相場観・産地人脈といった、時間をかけて蓄積する専門性を志向する人 | 短期間で成果を出し、数年単位で市場価値を上げたい人 |
| 薄利構造を前提に、冷蔵倉庫・物流など収益源の再設計に関心がある人 | 高い営業利益率と大幅な昇給余地を重視する人 |
| 労働組合があり、平均勤続17.2年という長期定着型の環境を安心材料と捉える人 | 年功的になりやすい環境より、実力主義の評価制度を求める人 |
総合すると、築地魚市場は「規模の拡大や高い報酬でキャリアを加速させる会社」ではなく、「豊洲市場という特定の商流のなかで専門性を長期的に積み上げる会社」と考えられます。平均勤続17.2年・転勤なし・労働組合ありという条件は、腰を据えて働きたい人にとって明確な利点です。一方で、本業の水産物卸売が2期連続の営業損失であり、平均年間給与も前期比△8.70%である以上、短期の年収アップを主目的とする転職先としては慎重に検討すべきというのが率直な見方です。
また、同社は東京都から豊洲市場の使用許可を受けて営業する規制業種であり、開設者への報告や検査を受ける立場にあります。これは通常の規制遵守であって処分歴ではありませんが、ルールに沿った手続きを丁寧に積み上げる仕事のスタイルが求められることを意味します。スピード優先の環境を好む人には、進め方が合わないと感じられる可能性があります。なお、第78期の有価証券報告書および公式サイトの記載範囲では、行政処分・重大な訴訟に関する記載はありません(報道ベースの網羅的な調査は本記事の範囲外です)。重要な後発事象も「該当事項なし」と記載されています。
築地魚市場に関するよくある質問
築地魚市場への転職・就職を検討する人から挙がりやすい質問と、公開情報にもとづく回答をまとめました。
社名の読み方と、実際の勤務地はどこですか?
社名は「つきじうおいちば」と読みます。勤務地は築地ではなく、東京都江東区豊洲六丁目6番2号の豊洲市場内 水産卸売場棟5階です(公式情報/有価証券報告書 第78期)。2018年10月の築地市場から豊洲市場への移転にともない、本店を中央区築地から江東区豊洲へ変更しています。観光地として知られる築地場外市場や、閉場した築地市場の跡地とは別の会社です。公式採用サイトによると、勤務地は豊洲本社で転勤なしと明記されています。
平均年収609万円は、グループ会社の社員も含んだ数字ですか?
含みません。6,093,935円は有価証券報告書 第78期「従業員の状況」における提出会社(単体・164名)の平均年間給与で、賞与および基準外賃金を含みます。連結従業員292名のうち、共同水産・キタショク・築地市川水産・東市ロジスティクスに在籍する社員の給与水準は、有価証券報告書では開示されていません。応募先の法人がどれかによって前提が変わるため、求人票の雇用主名を必ず確認してください。
親会社はありますか。大株主はどこですか?
親会社はありません。有価証券報告書 第78期の関連当事者情報では「親会社及び法人主要株主等 該当事項なし」と記載されています。一方、大株主には事業会社が並び、2026年3月31日現在で丸紅シーフーズ11.80%、ヨンキュウ9.80%、東洋水産5.47%、海昇5.25%、みずほ銀行3.20%、横浜丸魚3.01%、横浜冷凍2.59%となっています(公式情報)。商社系・養殖系・食品メーカー系が資本参加する、水産流通業界に特有の株主構成です。株主構成比率は、その他の法人47.06%・個人その他45.03%・金融機関5.04%です。
休みはどのくらい取れますか?
公式採用サイトによると、2026年度の年間休日は114日、有給休暇消化率は38.22%です(公式情報)。豊洲市場の開市日カレンダーに沿って稼働するため、土曜が稼働日になる週があり、完全週休二日制の企業と比べると休日数はやや少なめです。OpenWorkの口コミ集計値(有給消化率32.3%)とも大きな乖離はありません(口コミ傾向)。
未経験から入社しても仕事を覚えられますか?
公開情報からは、未経験者の受け入れ実績や研修体系の詳細は把握できていません。ただし、平均勤続年数17.2年という長期定着型の構成(公式情報)と、OpenWorkの「20代成長環境」が項目別で最高スコアの3.1である点(口コミ傾向/母数23件)からは、時間をかけて育てる文化がある可能性が考えられます(推定情報)。魚種ごとの相場観と産地人脈は短期間で身につくものではないため、習得に年単位を要する前提で臨むのが現実的です。
業界外への転職では、どんな経験が評価されますか?
推定情報ですが、荷受で培う経験のうち汎用性が高いのは、(1)冷蔵倉庫・物流の運営やコールドチェーンの知見、(2)仲卸・量販店への与信管理と価格交渉、(3)産地開拓と原料調達の実務、の3領域です。想定される進路としては、食品スーパーや外食チェーンの水産バイヤー、水産専門商社や食品メーカーの原料調達部門、冷蔵倉庫・3PL事業者の営業や拠点運営などが挙げられます。逆に、特定市場に閉じた慣行だけを経験した場合は、汎用性の説明が難しくなる可能性があります。
築地魚市場への転職判断まとめ
ここまでの内容を、判断軸ごとに整理します。最終的な判断は、求人票だけでなく自分の経験・適性、そして生活リズムへの適合まで含めて確認しましょう。
| 判断軸 | 評価 |
|---|---|
| 年収水準 | 提出会社の平均年間給与609.4万円(第78期)。同業4社比較では最も低く、対前期△8.70%と唯一の大幅減。平均年齢46.2歳が前提の数字である点に注意 |
| 収益構造 | 連結営業利益1億66百万円のうち、本業の水産物卸売は△3億72百万円の営業損失。冷蔵倉庫+4億66百万円と不動産+0億72百万円が支える構造 |
| 財務の安定性 | 自己資本比率39.2%、1株当たり配当35円を5期連続維持。連結売上高は4期連続増収で674億50百万円 |
| 働き方 | 営業部門は4:30〜12:30(実働7時間)、管理部門は8:30〜16:30。年間休日114日、有給消化率38.22%、平均残業31時間。転勤なし |
| 定着性 | 平均勤続17.2年(男性19.4年・女性16.3年)。東市労働組合あり。女性社員比率21.6%・女性管理職比率5.3% |
| 口コミ評価 | OpenWork総合2.93/5.0(23件)。母数が少なく断定不可。ただし残業・有給の集計値は会社公表値とおおむね一致 |
| 将来性 | 市場経由率の低下と価格転嫁の難しさという逆風。冷蔵倉庫・物流・加工など卸売以外の機能をどう伸ばすかが焦点 |
| 向く人 | 早朝勤務を受け入れられ、転勤なしで専門性を長期的に積み上げたい人 |
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本記事の出典・参考情報
本記事で参照した一次情報・口コミ情報の出典は以下の通りです。最新の正確な数値は各リンク先で確認してください。数値の主値は第78期(2026年3月期)有価証券報告書(EDINETコード E02571、2026年6月25日提出)です。
公式情報源
口コミ・評判の参照元
免責事項:本記事の数値・評価は公式情報・口コミ集計・市場推定の3分類で示しており、口コミ傾向や推定情報は断定ではなく傾向・可能性として表現しています。最終判断は読者自身で公式IRおよび内定時の労働条件通知書で確認してください。
この記事の編集方針・情報の確認について
この記事は、公式公開情報(有価証券報告書・IR資料)、公式採用サイトの募集要項、口コミ傾向をそれぞれ分けて整理し、転職・就職判断に役立つよう編集しています。年収・平均年齢・平均勤続年数・従業員数などの中核データは、第78期 有価証券報告書「従業員の状況」を一次情報として採録し、口コミ・推定情報とは明確に区別しています。なお、公式採用サイトには従業員145名・平均年齢44歳・売上高532億67百万円(2025年3月31日現在)という第77期以前の数値も掲載されているため、本記事では有価証券報告書の第78期を優先し、採用サイトは年間休日・有給消化率・平均残業時間・初任給といった労働条件の出典として使い分けています。記載内容は最終更新時点の公開情報にもとづきます。最新の正確な数値は各公式IRページでご確認ください。
