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農業総合研究所の年収490万円と評判|SOMPO傘下で非上場化した今の実像

コロ助

※本記事にはプロモーションを含みます。

この記事の結論

  • 現在は非上場:2026年4月27日に上場廃止し、SOMPOグループ入りした会社です
  • 研究機関ではない:全国2,246店舗へ青果を届ける産直流通の事業会社です
  • 平均年間給与490万円:第19期有報。平均年齢35.8歳・平均勤続4.9年です
  • 利益は直売所事業に偏重:売上構成67.8%で利益率14.6%と産直事業を大きく上回ります

株式会社農業総合研究所を転職先として調べている人が、いま最初に押さえるべき事実が1つあります。それは2026年4月27日をもって東証グロース市場での上場が廃止され、SOMPOグループの一員になったという点です。2016年に「農業ベンチャー初の株式上場」として話題になった会社であるため、ネット上には上場企業を前提とした古い記事が多く残っています。この記事では、第19期(2025年8月期)の有価証券報告書という一次情報を軸に、現在の資本構造・事業構造・年収・働き方を整理し、転職検討者が「この会社は今どうなっているのか」を最短で理解できるようにまとめました。あわせて、社名に「研究所」と付くために生じやすい誤解と、同名・類似名の別組織との違いも冒頭で切り分けます。

株式会社農業総合研究所とは|「研究所」ではなく青果の流通プラットフォーム

結論から言うと、株式会社農業総合研究所は研究機関ではありません。公式情報として、同社は全国の生産者から集めた農産物を、独自のITシステムと物流網を通じてスーパーマーケット内の産直コーナー(インショップ)で販売する、青果の流通プラットフォーム/卸売事業者です。東証の33業種分類でも「卸売業」に区分されていました。研究職・農学系の専門ポジションを想定して応募すると、業務内容が想定と大きく食い違う可能性が高いため、まずここを押さえてください。

会社の輪郭を、公式サイトの会社概要と有価証券報告書から分かる範囲で整理します。

  • 設立:2007年10月。2016年6月16日に東証マザーズへ上場(当時「農業ベンチャー初の株式上場」と報じられました)
  • 本社:和歌山県和歌山市黒田一丁目6番12号 寺本ビルⅡ 4階。東京にも拠点があります
  • 代表者:代表取締役会長CEO 及川智正氏(2007年の創業者)、代表取締役社長 堀内寛氏
  • 決算期:8月31日。第19期は2024年9月1日〜2025年8月31日です
  • 組織形態:持株会社ではなく事業会社そのもので、決算は単体(非連結)です

ここで1つ、転職検討者にとって実務的に効く情報があります。決算期が8月末である点です。3月期決算の企業に慣れている人は、評価・賞与のサイクルや決算期末の繁忙期が一般的な会社とずれることを前提に考える必要があります。青果は季節性の強い商材であるため、暦上の年度感覚と社内の期の区切りが一致しない点は、入社後の働き方をイメージするうえで見落としやすいポイントです。

同名・類似名の別組織と混同しやすい

「農業総合研究所」で検索すると、同社とは別の組織が上位に混在します。具体的には、ホクレン農業総合研究所(およびその長沼研究農場)、新潟県農業総合研究所、国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)、農林中金総合研究所などです。これらはいずれも農業系の公設・団体の試験研究機関や調査機関であり、証券コード3541だった株式会社農業総合研究所とは資本関係も事業内容も別です。求人検索や口コミ検索の結果を見るときは、どの組織の情報なのかを必ず確認してください。本記事はあくまで和歌山市に本社を置く株式会社農業総合研究所についてのみ扱い、他組織の内容には踏み込みません。

2026年の最大の変化|上場廃止とSOMPOグループ入りが転職判断に与える影響

この記事で最も重要なセクションです。公式情報として確認できている事実を時系列で並べます。

  • SOMPOホールディングスの子会社であるSOMPO Light Vortex株式会社が、同社株式に対する公開買付け(TOB)を実施
  • 買付価格は1株767円。応募株式数16,722,200株が買付予定数の下限10,688,800株を上回り、2026年2月16日をもってTOBが成立
  • 2026年2月24日(決済開始日)にSOMPO Light Vortexの連結子会社となる
  • その後の手続を経て、2026年4月27日に東証グロース市場の上場が廃止
  • 2025年7月に新設された株主優待は、1回実施されたのみで廃止済み

つまり、記事執筆時点(2026年9月)において、株式会社農業総合研究所は上場企業ではありません。ネット上の求人紹介記事や年収比較サイトの多くは「東証グロース上場の農業ベンチャー」という前提で書かれていますが、その前提は2026年の春に変わっています。公表されているTOB後の出資構成は、SOMPO Light Vortexが約82.5%、及川智正氏が約12.5%、堀内寛氏が約5%を保有する予定とされており、議決権の大半を親会社が握る構造です。

求職者にとって何が変わったのか(3点)

「非上場になった」という事実は、株主にとってだけでなく、転職を検討する人にとっても具体的な意味を持ちます。押さえるべきは次の3点です。

  • ①「上場企業への転職」という条件には当てはまらなくなった:勤務先が上場企業であることを住宅ローンや家族への説明、あるいは自身のキャリアの安心材料として重視している人にとって、この会社はもうその条件を満たしません。求人票やエージェントの説明が古い情報のままである可能性もあるため、面接の場で現在の資本構成を自分で確認する価値があります。
  • ②親会社の経営方針が直接反映される構造になった:独立系のベンチャーとして自社判断で意思決定していた段階から、SOMPOグループの一員として親会社の戦略の中に位置づけられる段階へ移りました。事業投資の判断軸、管理体制、コンプライアンスや稟議のフローなどが、グループ標準に寄っていくことは一般的な傾向として推定情報の範囲で想定されます。ただし、今後の具体的な事業方針や組織再編について公表された確定情報は確認できなかったため、本記事では予想を書きません。面接で確認すべき最重要事項として扱ってください。
  • ③公開情報が今後は減っていく可能性が高い:上場廃止に伴い、有価証券報告書や決算短信といった開示は縮小・停止される見込みです。これは転職検討者にとって実利的な問題で、第19期(2025年8月期)の数値が、外部から検証できる最後のまとまった財務・人事データになる可能性があります。本記事がこの期の数値を丁寧に扱っているのはそのためです。

なお、非上場化そのものは必ずしもネガティブな事象ではありません。四半期開示に追われず中長期の投資判断がしやすくなる、大手グループの信用力と顧客基盤を使えるようになる、といった側面もあります。判断材料が減るという点を織り込んだうえで、自分にとってのメリットとデメリットを整理することが現実的です。

株式会社農業総合研究所の公式データ一覧(有価証券報告書ベース)

本記事で扱う公式数値を一覧で確認できます。公式情報として、いずれも第19期(2024年9月1日〜2025年8月31日/2025年8月期)の有価証券報告書および決算開示にもとづく提出会社単体の数値です。

項目内容
平均年間給与約490万円(4,900千円/賞与および基準外賃金を含む)
平均年齢35.8歳
平均勤続年数4.9年
従業員数123名(就業人員)。ほかにパートタイマー年間平均157名
売上高83億58百万円(前期比+15.7%)
営業利益1億81百万円(前期比+94.2%/営業利益率2.2%)
セグメント別売上農家の直売所事業 56億63百万円(67.8%)/産直事業 26億96百万円(32.2%)
主要KPI導入店舗2,246店(前期比+140店)/登録生産者10,419名(同+107名)
財務総資産25億57百万円/純資産8億89百万円(2025年8月31日現在)
資本金有価証券報告書ベースで5,000万円(公式サイト会社概要は資本準備金を含めた581百万円と表記)
上場区分非上場(2026年4月27日に東証グロース上場廃止/SOMPOグループ)
離職率有価証券報告書では開示されていない
出典第19期(2025年8月期)有価証券報告書「従業員の状況」「経営成績」/公式サイト会社概要

この表で特に注意したいのが、従業員数と資本金の2項目です。公式サイトの会社概要には「292名(役員・パート含む、2025年8月現在)」と記載されていますが、有価証券報告書の「従業員の状況」における就業人員は123名です。差はパートタイマーと役員の扱いによるもので、正社員規模はおよそ120名台の小規模組織だと理解するのが実態に近いといえます。求人サイトで「約290名」という数字だけを見て中堅企業を想像すると、入社後の組織規模の印象がずれる可能性があります。資本金も同様に、有報の5,000万円と公式サイトの581百万円では定義(資本準備金を含むか否か)が異なるため、どちらの数字を見ているかを意識してください。

事業の中身|2つの柱で収益性がここまで違う

この会社の事業を理解する鍵は、「農家の直売所事業」と「産直事業」という2つのセグメントで、利益率が14.6%と1.1%という桁違いの差がある点です。どちらの部門に配属されるかで、仕事の手触りも数字へのプレッシャーもまったく変わります。

農家の直売所事業(売上構成67.8%・セグメント利益率14.6%)

会社の利益の大半を生んでいるのがこちらです。公式情報として、仕組みはこうなっています。全国に配置された集荷場に生産者が自分で農産物を持ち込み、同社の独自ITシステムと物流網を通じて、都市部のスーパーマーケット内に設けられた産直インショップへ運ばれて販売されます。特徴は、生産者自身が販売先の店舗と価格を決められる委託販売システムである点です。同社は出荷手数料・バーコード手数料・販売額連動手数料といった手数料を受け取るモデルで、加えて同社が買い取ってから委託販売する「買取委託販売」も併用しています。

生産者の取り分は売価のおよそ60〜65%とされ、既存の市場流通(およそ30%)と比べて高い水準です。この「生産者の手取りを増やす」という価値提案が、10,419名という登録生産者数と2,246店舗という導入店舗数につながっています。手数料型であるため売上が伸びれば利益が積み上がりやすく、セグメント利益8億24百万円・利益率14.6%という数字はプラットフォーム事業らしい構造を示しています。

産直事業(売上構成32.2%・セグメント利益率1.1%)

もう1つの柱は、生産者から直接買い取り、ブランディングしたうえでスーパー等へ卸す売買差益型のビジネスです。近年はレベニューシェア型の「産直委託モデル」も展開されています。売上26億96百万円に対してセグメント利益は30百万円、利益率1.1%と、卸売業に典型的な薄利構造です。青果の相場変動や在庫リスクを自社で負う分、直売所事業よりも数字が振れやすい領域だといえます。

この差は、転職者が読み解くべき重要な情報です。会社全体の営業利益率2.2%という数字だけを見ると「薄利の卸売会社」に見えますが、実際には利益率14.6%のプラットフォーム事業が、利益率1.1%の卸売事業を抱えながら全体を押し上げている構造です。推定情報として、直売所事業側は生産者・店舗ネットワークの拡大とシステム運用が成果指標になりやすく、産直事業側は仕入と販売の差益管理・相場観が問われやすいと考えられます。面接では「どちらのセグメントの、どの役割か」を必ず確認してください。

求職者
求職者

IT企業のようなイメージで応募して大丈夫でしょうか?

独自ITシステムを持つ会社ではありますが、事業の実態は全国の集荷場・2,246の店舗・物流をつなぐオペレーション主体の会社です。生産者や店舗との折衝、現場の運用改善といった泥臭い業務が中核にある点は、デスクワーク中心のWeb系企業を想像していると大きなギャップになり得ます。

業績の実像|「9期ぶり最高益」の内側を複数期で読む

結論として、直近の業績は明確な回復基調です。ただし、その手前に赤字を計上した時期があったことも同時に押さえる必要があります。まず公式情報として、直近3期の推移を整理します。

決算期売上高前期比営業利益営業利益率
2023年8月期(第17期)約57億円台—黒字転換の局面—
2024年8月期(第18期)72億22百万円+25.9%93百万円約1.3%
2025年8月期(第19期)83億58百万円+15.7%1億81百万円2.2%

2期連続の2桁増収に加え、営業利益は前期比+94.2%とほぼ倍増しました。会社は2025年4月14日に通期の経常利益見通しを1億1,000万円から2億円へ81.8%上方修正し、「9期ぶりの最高益更新」見通しとして発表しています。上場企業として開示された最後の通期業績が、この上方修正を伴う増収増益だったという事実は、転職判断において前向きな材料です。

一方で、両面を見る必要があります。二次情報である企業財務データベース(irbank)の集計ベースでは、過去に複数期で営業赤字を計上した時期があるとされています。具体的には2014年・2018年・2021年・2022年の各8月期が該当するとされ、特に2021年8月期の損失規模が大きかったと集計されています。ただし、これらの赤字額は一次資料で確定できなかったため、本記事では金額を断定しません。押さえるべきは「金額」ではなく「この会社は上場後の10年弱で、黒字と赤字を行き来した時期を経て、2023年8月期以降に黒字基調へ戻った」という業績の振れ幅そのものです。

なぜ振れやすいのか。推定情報として、次の3つの構造要因が考えられます。第一に、営業利益率2.2%という薄い利益率では、売上がわずかに未達でも利益が消えやすいこと。第二に、産直事業が青果相場の影響を直接受けること。第三に、集荷場・物流・システムという固定的なインフラを先に整えてから利用者を増やすモデルであるため、拡大局面では費用が先行しやすいことです。なお、第19期の有価証券報告書に継続企業の前提に関する注記の記載はありません。財務面では総資産25億57百万円に対して純資産8億89百万円で、自己資本比率は35%前後の水準です。

年収は約490万円|有報の実額と口コミのギャップを分解する

最初に公式の数字を確定させます。公式情報として、第19期(2025年8月期)の有価証券報告書「従業員の状況」によると、提出会社の平均年間給与は4,900千円=約490万円(賞与および基準外賃金を含む)です。あわせて平均年齢35.8歳、平均勤続年数4.9年、従業員数123名が記載されています。

この490万円をどう読むか

数字を評価するには、前提条件を3つ確認する必要があります。

  • 持株会社バイアスがない:同社は持株会社ではなく事業会社そのものです。持株会社の有報では管理職数名分の高い平均給与が載り、現場実態と大きく乖離することがありますが、同社の490万円は事業に従事する123名の平均であり、現場感覚との差は比較的小さいと考えられます。この点は、有報の数字をそのまま参考にできる数少ないケースです。
  • パートタイマーは算定対象外:年間平均157名のパートタイマーは、この平均給与および従業員数123名の算定に含まれていません。パートを含めた組織全体の人件費感覚とは別物である点に注意してください。
  • 母集団が小さい:123名という規模では、管理職比率や特定職種の構成が平均値を数十万円単位で動かします。「平均490万円だから自分もその水準」と直結させず、募集ポジションの提示レンジで判断すべきです。

また、年収比較サイトなどの二次ソースには「388万円/117人/33.6歳/3.2年」といった数値が掲載されている場合がありますが、これは過去の期の数値であり最新ではありません。最新の一次情報は上記の490万円です。転職エージェントや比較サイトから提示された数字が古い期のものでないか、必ず期の表記を確認してください。

口コミに現れる給与の実感

口コミ傾向としては、OpenWorkやエン カイシャの評判、転職会議などの投稿で「初任給は20万円程度で基本給は低め」「みなし残業20時間が含まれる」といった声が見られます。平均490万円という数字と、この初任給水準は矛盾しません。平均年齢35.8歳・平均勤続4.9年という構成から、推定情報として、若手のスタート水準は控えめで、中堅以降やマネジメント層で持ち上がる分布になっている可能性が考えられます。みなし残業が含まれる給与体系である場合、額面のうち固定残業代が何時間分・いくらかを内定時の労働条件通知書で確認することが実務上のポイントです。

なお、賞与の支給実績・昇給率・職種別の給与テーブルは有価証券報告書では開示されていません。この部分は口コミと選考プロセスでの確認に頼るほかない領域です。

働き方と社風|口コミは少ないが傾向ははっきりしている

先に前提を共有します。この会社の口コミは母数が非常に少ないという特徴があります。口コミ傾向として、OpenWorkは総合2.88で回答者8名、エン カイシャの評判は総合3.5で正社員18名の回答、転職会議は全42件、就活会議は全50件という規模です。回答者が1桁台のスコアは、数名の評価で平均が大きく動くため、点数そのものを重視しすぎるのは適切ではありません。正社員123名という組織規模を考えれば、口コミが少ないこと自体は自然な結果であり、ネガティブな兆候と読むべきものでもありません。

そのうえで、投稿の内容には一定の傾向が見られます。

  • 労働時間:OpenWorkでは月間残業20.9時間、有給消化率83.3%という集計が示されています。ベンチャー企業として突出して長時間という水準ではなく、有給消化率はむしろ高めの部類です
  • 評価が高い側面:「日本の農業を元気にするという理念に共感できる」「地域の集荷場を通じて地元の生産者の売上向上に直接貢献している実感がある」「20代でも任される裁量が大きい」といった声
  • 不満として挙がる側面:「給与水準が高くない」「マニュアル化されていない業務が多く、担当者が抜けると学び直しの負担が大きい」「ベンチャー特有の仕組みの未整備さ」といった声
  • スコアの内訳:待遇満足度2.9、風通しの良さ2.8、人材の長期育成2.7、法令順守意識2.8、20代の成長環境3.0(いずれもOpenWorkの集計・回答者8名)

整理すると、「理念とやりがいは高く評価され、待遇と仕組み化には不満が集まる」という、社会課題解決型ベンチャーに典型的なパターンです。この構図自体は、社員数120名台・平均勤続4.9年という組織の若さと整合しています。仕組みが整っていない環境を「自分で作れる余地」と捉えられるか、「非効率な負担」と感じるかが、適性を分ける最大の分岐点になりそうです。

離職率と将来性|検索されている2つの不安に事実で答える

「農業総合研究所 離職率」「農業総合研究所 将来性」という検索が一定数あるため、この2点に絞って事実ベースで答えます。過度に不安を煽る材料も、逆に安心を保証する材料も、公開情報の中には存在しません。

離職率について確認できること

まず、離職率の会社公表値は確認できなかったという点が事実です。有価証券報告書では離職率は開示されていません。代替指標として使えるのは平均勤続年数4.9年という数字です。設立2007年・上場2016年という会社の歴史と、平均年齢35.8歳という構成を踏まえると、この4.9年という数字は「創業から関わる層と、成長段階で入社した中途層が混在している状態」を示していると考えられます(推定情報)。定着が極端に悪いとも、大手メーカーのように長期定着型とも言えない、ベンチャー〜中堅移行期に典型的な水準です。したがって、離職率について断定的な評価を下すことはできません。

将来性について確認できること

将来性は、次の4点を分けて考えるのが実際的です。

  • ①足元の業績は改善している:2023年8月期以降に黒字基調へ戻り、2025年8月期は営業利益+94.2%で「9期ぶりの最高益更新」見通しと会社が発表しました
  • ②ただし収益基盤はまだ厚いとは言えない:営業利益率2.2%は薄く、過去に複数期の営業赤字を計上した時期があります。数期の好調をもって安定期に入ったと結論づけるのは早いといえます
  • ③事業KPIは着実に伸びている:導入店舗は2,246店(前期比+140店)、登録生産者は10,419名(同+107名)と、プラットフォームの両サイドが同時に増えています。ネットワーク型ビジネスとしては健全な拡大の形です
  • ④将来性は今後、親会社の方針に強く左右される構造になった:2026年4月の非上場化により、事業の方向性はSOMPOグループの戦略の中で決まります。これが最も大きな変化です

④について補足します。転職を検討する立場からは、これは「読みにくくなった」と表現するのが正確です。上場企業であれば中期経営計画や決算説明資料から方向性を読み取れましたが、非上場化後はその材料が公開されない可能性が高くなります。将来の資本再編や事業方針について外部から予想することはできないため、面接の場で「グループ入り後の中期的な事業方針」「自分の配属部門の位置づけ」を直接質問することが、事実上唯一の確認手段になります。この質問ができるかどうかで、入社後の納得度が大きく変わります。

卸売業5社で見る立ち位置|規模・利益率・年収の比較

同社の立ち位置を客観視するために、東証33業種分類で同じ「卸売業」に属する5社を並べます。ビジネスモデルがそれぞれ異なるため優劣を比べる表ではなく、規模と収益構造の幅を把握するための表として見てください。決算期が3種類あるため、必ず年度表記とあわせて確認する必要があります。

企業名(決算期)売上高営業利益率従業員数平均年間給与上場区分
農業総合研究所(2025年8月期)83億59百万円(+15.7%)2.2%123名〔パート157名〕約490万円非上場(SOMPOグループ)
コメダホールディングス(2026年2月期)572億25百万円(+21.6%)16.5%連結828名〔臨時2,022名〕約1,100万円(持株会社6名分)上場
No.1(2026年2月期)175億29百万円(+23.4%)7.6%連結957名約552万円上場
昭栄薬品(2026年3月期)269億22百万円(+7.6%)1.9%連結80名約900万円上場
ピーバンドットコム(2026年3月期)23億11百万円(+6.0%)8.2%40名約570万円上場

この表から読み取れることを3点に絞ります。

  • 「卸売業」という分類は収益構造をまったく説明しない:営業利益率はコメダHDの16.5%から昭栄薬品の1.9%まで約8.7倍の開きがあります。フランチャイズ本部モデルと商社モデルでは、そもそも儲け方の設計が違うためです。農業総合研究所の2.2%は商社型に近い水準ですが、内訳は前述のとおり利益率14.6%の直売所事業と1.1%の産直事業の合成です
  • 規模の幅が極端に大きい:売上でコメダHDとピーバンドットコムの間に約24.8倍、従業員数でNo.1の957名とピーバンドットコムの40名の間に約24倍の開きがあります。農業総合研究所の123名は、この5社の中では下から2番目の規模です
  • 小規模企業ほど有報の平均年収は役職者比率に振られる:昭栄薬品の約900万円は連結80名・平均年齢46.3歳・平均勤続16.9年という長期定着型の構成が反映された数字であり、コメダHDの約1,100万円は持株会社6名分の数字で事業会社の給与は開示されていません。数字の背景を確認せずに横並びで比べると誤読します

産直・食品流通という事業領域で見た場合の比較対象としては、オイシックス・ラ・大地、雨風太陽(産直アプリ運営)、デリカフーズホールディングス(青果の仕入・カット加工・卸)、ビビッドガーデン(産直EC運営、非上場)などが挙げられます。ただし各社の詳細な財務・人事数値を本記事では一次確認していないため、数値の比較は行いません。推定情報として、農業総合研究所の特徴は「消費者向けECではなく、スーパー店内の産直インショップという実店舗チャネルに強みを置いている」点にあり、同じ産直領域でもEC中心の各社とは求められる経験が異なると考えられます。

向いている人・向いていない人|配属セグメントで大きく変わる

ここまでの公式情報・口コミ傾向をふまえ、適性を整理します(推定情報を含みます)。特にこの会社では、事業モデルの特殊性と組織規模の小ささが適性を大きく左右します。

向いている人向いていない人
農業・食の流通課題に自分の言葉で意義を語れる人勤務先が上場企業であることを重視している人
マニュアルがない業務を自分で型にしていける人整った制度・研修・オンボーディングを前提にしたい人
生産者・店舗との現場折衝を面白がれる人デスクワーク中心のIT企業的な働き方を想定している人
120名規模で裁量と守備範囲の広さを取りたい人職務範囲が明確に区切られた環境で専門を深めたい人
薄い利益率の中で数字を作る難しさに向き合える人年収水準を最優先の判断軸にしている人
親会社方針の変化を前向きに受け止められる人研究職・農学系の専門職を志望している人

最後の行は特に重要です。社名から研究機関を連想して応募する人が一定数いると考えられますが、同社に農学研究のポジションが常設されているという情報は確認できませんでした。推定情報として、実際に募集されるのは営業・生産者開拓・店舗運営・物流管理・システム企画・コーポレートといった、流通業とプラットフォーム運営に必要な職種が中心になると考えられます。求人票の職務内容を最優先で確認してください。

編集部の見解|「情報が減る前に情報を取り切る」ことが最大の対策

編集部の見解として、この会社への転職を検討する場合、最大のリスクは業績でも年収でもなく情報の非対称性だと考えられます。2026年4月の上場廃止により、これまで有価証券報告書や決算説明資料で外部から検証できた情報が、今後は入手しづらくなる可能性が高いためです。第19期(2025年8月期)の数値は、外から検証できる最後のまとまったデータになる可能性があります。

そのうえで総合すると、次のように整理できます。理念への共感を軸に、120名規模の組織で裁量を持って動きたい人、農業・食品流通という具体的な社会課題に事業として関わりたい人には、選択肢として十分に検討価値があると考えられます。実際に事業KPIは伸びており、直近の業績も改善しています。一方で、年収水準を最優先に置く人、整った制度の中で専門性を深めたい人、勤務先の上場区分を重視する人にとっては、条件が合いにくい会社だといえます。過去に営業赤字を計上した時期があること、営業利益率が2.2%と薄いことは、賞与や昇給の原資という観点でも織り込んでおくべき事実です。

選考に進む場合、公開情報が減る前提で、面接を情報収集の場として最大限に使うことを推奨します。具体的には、①SOMPOグループ入り後の中期的な事業方針、②配属予定が直売所事業か産直事業か、③固定残業代の時間数と金額、④評価制度と昇給の運用実績、⑤直近の人員計画。この5点は、外部資料では埋められない空白であり、質問して初めて分かる領域です。

株式会社農業総合研究所に関するよくある質問(FAQ)

転職・就職を検討する人から実際に検索されている疑問に、公開情報の範囲で回答します。

農業総合研究所はまだ上場していますか?株価はどうなりましたか?

上場していません。公式情報として、SOMPOホールディングスの子会社であるSOMPO Light Vortex株式会社によるTOB(買付価格1株767円)が2026年2月16日に成立し、2026年2月24日に同社の連結子会社となったのち、2026年4月27日に東証グロース市場での上場が廃止されました。株主優待も、2025年7月の新設から1回の実施のみで廃止されています。証券コード3541は現在使われていません。転職の文脈では「上場企業ではなくなった」という点が実務上の変更点です。

社名に「研究所」とありますが、研究職の募集はありますか?

同社は研究機関ではなく、農産物の流通プラットフォームを運営する事業会社です。公式情報として、東証33業種分類でも「卸売業」に区分されていました。農学研究のポジションが常設されているという情報は確認できなかったため、研究職を志望している場合は求人票の職務内容を確認したうえで応募を判断してください。なお、ホクレン農業総合研究所や新潟県農業総合研究所、農研機構などは同社とは別の組織です。

平均年収490万円は、転職先としてどう評価すべきですか?

公式情報として、第19期(2025年8月期)有価証券報告書によると平均年間給与は約490万円、平均年齢35.8歳、平均勤続4.9年です。同社は持株会社ではない事業会社単体の開示なので、現場実態との乖離は比較的小さいと考えられます。ただし従業員123名という小規模母集団では役職者比率が平均を大きく動かすため、この数字を自分の想定年収に直結させるのは適切ではありません。口コミ傾向では初任給20万円程度・みなし残業20時間込みという声もあるため、提示された額面の内訳を労働条件通知書で確認することが重要です。

決算期が8月なのは働き方に影響しますか?

公式情報として、同社の決算期は8月31日で、第19期は2024年9月1日〜2025年8月31日です。3月期決算の企業から転職する場合、期末の繁忙期・予算策定・評価や賞与のサイクルが一般的な会社とずれる点は推定情報として想定しておく価値があります。青果という季節性の強い商材を扱うことと合わせ、年間の業務の山谷が想像と異なる可能性があります。面接で年間の繁忙期を確認しておくと入社後のギャップが減ります。

不祥事や行政処分の情報はありますか?

本記事の調査範囲では、同社に関する不祥事・行政処分・訴訟の事実は確認できませんでした。ただし、これは「存在しない」ことを証明するものではなく、あくまで公開情報を検索した範囲での結果です。推定情報や噂の類は本記事では扱いません。なお、ネット上の懸念材料として実際に確認できるのは、過去に複数期の営業赤字を計上した時期があること(二次情報ベース)と、2026年の非上場化に伴い公開情報が減る見込みであることの2点であり、これらはいずれもコンプライアンス上の問題とは性質が異なります。

株式会社農業総合研究所への転職判断まとめ

ここまでの内容を、判断軸ごとに整理します。最終的な判断は、求人票だけでなく自分の経験・適性も含めて確認しましょう。

判断軸評価
企業の正体研究機関ではなく、青果の流通プラットフォーム/卸売事業者
上場区分2026年4月27日に上場廃止。現在は非上場のSOMPOグループ企業
年収水準有報ベース約490万円。小規模母集団のため職種・役職で振れる
業績の安定性直近は増収増益で改善。ただし営業利益率2.2%と薄く、過去に赤字期あり
事業の伸び導入店舗2,246店・登録生産者10,419名がいずれも増加
組織規模正社員123名。制度より裁量が先に来るフェーズ
働き方口コミ集計では月残業20.9時間・有給消化率83.3%(母数8名と少数)
情報の取りやすさ非上場化により今後は開示が縮小・停止する見込み。面接での確認が必須

総じて、この会社は「数字で判断しきれない部分が今後増える会社」です。だからこそ、外部から検証できる第19期の数値を正しく理解したうえで、面接で残りの空白を埋めにいく姿勢が、他のどの企業よりも重要になります。

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本記事の出典・参考情報

本記事で参照した一次情報・口コミ情報の出典は以下の通りです。最新の正確な数値は各リンク先で確認してください。なお、上場廃止に伴いIRページは縮小・閉鎖される可能性があります。

公式情報源

口コミ・評判の参照元

免責事項:本記事の数値・評価は公式情報・口コミ傾向・推定情報の3分類で示しており、口コミ傾向や推定情報は断定ではなく傾向・可能性として表現しています。過去の赤字期に関する記述は二次情報(企業財務データベースの集計)にもとづくため金額を断定していません。最終判断は読者自身で公式情報および内定時の労働条件通知書で確認してください。

この記事の編集方針・情報の確認について

この記事は、公式公開情報(有価証券報告書・IR資料)、求人情報、口コミ傾向をそれぞれ分けて整理し、転職・就職判断に役立つよう編集しています。年収・平均年齢・従業員数などの中核データは第19期(2025年8月期)有価証券報告書「従業員の状況」を一次情報として確認し、口コミ・推定情報とは明確に区別しています。上場廃止・TOBに関する事実関係、および同名・類似名の別組織との区別についても、確認できた事実のみを記載し、今後の資本再編や事業方針についての予想は記載していません。記載内容は最終更新時点の公開情報にもとづきます。最新の正確な数値は公式サイトおよび各公開情報でご確認ください。

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コロ助
コロ助
企業と転職サービスを、有価証券報告書などの一次情報から読んでいます。
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