アルフレッサの年収839万円は持株会社67名の数字|事業会社569万円と評判の実像
※本記事にはプロモーションを含みます。
この記事の結論
- 母集団に注意:有報の839万円は持株会社67名分。事業会社は569万円
- 実際の応募先:連結12,525名を擁するアルフレッサ株式会社などの事業会社
- 収益構造:売上3兆1,040億円に対し営業利益率1.2%の薄利多売型
- 口コミ傾向:法令順守4.0が突出、一方で20代成長環境は2.4
「アルフレッサ 年収」で検索すると、平均年収839万円という数字が上位に並びます。しかしこの839万円は、グループ全体ではなく従業員わずか67名の持株会社の数字です。アルフレッサ ホールディングス株式会社(証券コード2784・東証プライム)は事業を自ら行わない純粋持株会社であり、求職者が実際に応募することになるのは、連結12,525名を擁するアルフレッサ株式会社をはじめとする事業会社です。本記事では第23期(2026年3月期)有価証券報告書で新たに開示された子会社2社の実額を使い、「誰の年収なのか」を切り分けたうえで、売上3兆円企業の収益構造・口コミ傾向・独占禁止法違反の経緯・将来性までを、公式情報/口コミ傾向/推定情報の3つに分けて整理します。
アルフレッサ ホールディングスは従業員67名|応募先は「アルフレッサ株式会社」
最初に、この記事でいちばん重要な前提を確認します。アルフレッサ ホールディングス株式会社(2784)と、医薬品卸の現場を担うアルフレッサ株式会社は、別の会社です。ここを混同したまま年収や口コミを読むと、判断を誤ります。
有価証券報告書(第23期)によると、提出会社であるアルフレッサ ホールディングスの従業員数は67名(外、平均臨時雇用者1名)にすぎません。一方、連結の従業員数は12,525名(外、平均臨時雇用者3,085名)です。公式情報として、その差は約187倍にのぼります。同社は2003年9月にアズウェル株式会社および福神株式会社の株式移転により設立された持株会社で、2004年10月の会社分割で、卸売のアルフレッサ株式会社と製造のアルフレッサ ファーマ株式会社に事業を再編しました。以来、ホールディングスはグループ戦略・資本政策・管理機能に特化しています。
連結12,525名はどこにいるのか(セグメント別の人員配置)
「アルフレッサで働く」と言うとき、その職場がどの事業なのかを先に把握しておくと、求人票の読み方が変わります。有価証券報告書(第23期・2026年3月31日現在)によるセグメント別従業員数は次の通りです(カッコ内は平均臨時雇用者数)。
- 医療用医薬品等卸売事業:9,427名(2,413名)=連結の約75%。MS(マーケティング・スペシャリスト)と物流センターが中心
- セルフメディケーション卸売事業:392名(5名)=一般用医薬品・健康食品をドラッグストア等へ卸す領域
- 医薬品等製造事業:1,383名(298名)=アルフレッサ ファーマ、アルフレッサ ファインケミカルなど
- 調剤薬局等事業:1,112名(346名)=アポクリート等が保険薬局を運営
- その他:45名(1名)/全社(共通):166名(19名)
注目すべきは最後の「全社(共通)」166名です。公式情報として、これは持株会社とグループIT会社であるアルフレッサ システムの人員にあたります。つまり求人の圧倒的多数は、医療用医薬品等卸売事業の9,427名の側にあると考えるのが自然です(推定情報)。
従業員数は5期で微増|人員削減の実施は確認できなかった
転職判断で気になる「人が減っている会社ではないか」という点も先に潰しておきます。有価証券報告書に記載された連結従業員数の推移は、11,925名(2022年3月期)→11,772名→12,517名→12,452名→12,525名(2026年3月期)です。5期を通じて微増で推移しており、希望退職の募集・整理解雇・大規模な事業撤退といった人員削減の実施は、有価証券報告書および適時開示では確認できなかったのが事実です。増減は主にM&A(2024年9月のArkMS、2026年3月の株式会社テクノ・スズタの完全子会社化など)と自然減の積み上げによるものと考えられます(推定情報)。
アルフレッサ ホールディングスの公式データ一覧(有価証券報告書ベース)
本記事で扱う公式数値を一覧で確認できます。公式情報として、最新の正確な数値は公式IRページで再確認してください。とくに平均年間給与は「誰の数字か」で意味が変わるため、3社を並記しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 商号 | アルフレッサ ホールディングス株式会社(Alfresa Holdings Corporation) |
| 証券コード/市場 | 2784/東京証券取引所プライム市場 |
| 本店所在地 | 東京都千代田区大手町一丁目1番3号(本社ビルは賃借物件) |
| 設立 | 2003年9月(株式移転による持株会社設立) |
| 平均年間給与(提出会社) | 8,386,723円(従業員67名が母数・前期比約+4.2%) |
| 平均年間給与(アルフレッサ株式会社) | 5,693,338円(従業員5,667名・前期比約+1.6%) |
| 平均年間給与(アルフレッサ ファーマ株式会社) | 5,641,574円(従業員1,138名・前期比約▲3.6%) |
| 平均年齢 | 提出会社46.6歳/アルフレッサ株式会社46.7歳/アルフレッサ ファーマ44.1歳 |
| 平均勤続年数 | 提出会社14.0年/アルフレッサ株式会社17.9年/アルフレッサ ファーマ14.0年 |
| 従業員数 | 連結12,525名(外、平均臨時雇用者3,085名)/提出会社67名(外、臨時1名) |
| 売上高 | 連結3兆1,040億64百万円(前期比+4.8%) |
| 営業利益 | 連結361億64百万円(前期比▲5.0%/売上高営業利益率1.2%) |
| 経常利益 | 386億34百万円(前期比▲4.6%) |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 417億46百万円(前期比+52.4%/投資有価証券売却益253億31百万円を含む) |
| 自己資本比率/ROE | 33.7%/8.4% |
| 女性管理職比率 | 7.0%(2031年3月期に10.0%以上を目標) |
| 男女の賃金の差異 | 全労働者58.0%/正規63.1%/非正規64.6% |
| 離職率 | 有価証券報告書では開示されていない |
| 出典 | 第23期(2026年3月期)有価証券報告書(2026年6月23日提出)/公式IR資料 |
年収839万円の母集団を解剖|持株会社と事業会社で269万円の差
結論から言うと、検索結果に並ぶ「アルフレッサホールディングスの平均年収839万円」を自分の想定年収として読むのは適切ではありません。この数字は転職後にあなたが所属する可能性が高い事業会社の水準ではないためです。

ニュースサイトで見た「平均年収839万円」って、MS職で入社しても届く水準なんですか?
第23期有報が新たに開示した「最大人員会社の状況」
従来、純粋持株会社の有価証券報告書では提出会社(持株会社本体)の給与しか読み取れず、グループ実態が分からないという問題がありました。しかし第23期の有価証券報告書では、新たに「最大人員会社の状況」として子会社2社の実額が開示されています。これが本記事の核となる一次情報です。
| 会社 | 平均年間給与 | 従業員数 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 前期比 |
|---|---|---|---|---|---|
| アルフレッサ ホールディングス(提出会社・持株会社) | 8,386,723円 | 67名 | 46.6歳 | 14.0年 | 約+4.2% |
| アルフレッサ株式会社(医療用医薬品卸の事業会社) | 5,693,338円 | 5,667名 | 46.7歳 | 17.9年 | 約+1.6% |
| アルフレッサ ファーマ株式会社(医薬品等製造) | 5,641,574円 | 1,138名 | 44.1歳 | 14.0年 | 約▲3.6% |
持株会社の838.7万円と、事業会社アルフレッサ株式会社の569.3万円の差は約269万円(およそ1.47倍)です。公式情報として、持株会社67名の内訳は本社スタッフ・出向者が中心であり、役員に近い層や高度専門職の比率が高くなりやすい構造です。母数が67名しかない以上、数名の入退社で平均が大きく動く点にも留意が必要です(推定情報)。
つまり、MS職や物流職、薬剤師職としてグループに転職する人が現実的に参照すべき水準は、569万円前後(アルフレッサ株式会社・平均年齢46.7歳)ということになります。アルフレッサ ファーマの564万円も、平均年齢44.1歳という若さを考えると同水準です。
二次サイトの「689万円」は古い期の数値
年収まとめサイトやアグリゲータの中には、アルフレッサ ホールディングスの平均年収として「689万円」を掲載しているものがあります。これは過去の期の数値であり、最新の有価証券報告書の実額とは一致しません。参考までに、第22期(2025年3月期)の提出会社の平均年間給与は8,048,237円(従業員56名)でした。第23期は67名・8,386,723円ですから、直近2期はいずれも800万円台であり、689万円という水準はさらに前の期のものと考えられます(推定情報)。
- 提出会社の推移:8,048,237円(56名/第22期)→8,386,723円(67名/第23期)
- 注意点:母数が56名→67名と11名増えており、平均額の変動は昇給だけでなく人員構成の変化も反映する
- 結論:二次アグリゲータの数値は更新タイミングに差があるため、必ず最新の有価証券報告書で照合する
平均勤続17.9年が示すもの|定着率の高さと年功的な給与カーブ
年収の絶対額以上に、転職判断で効いてくるのが勤続年数です。有価証券報告書によると、事業会社アルフレッサ株式会社の平均勤続年数は17.9年。卸売業としてはかなり長い部類に入ります。平均年齢46.7歳と合わせて読むと、20代後半で入社した社員が定年近くまで在籍する構造がうかがえます。
これは2つの意味を持ちます(推定情報)。
- ポジティブ:離職の少なさは働き続けやすさの傍証になる。急な人員入れ替えや事業撤退のリスクが相対的に低い
- ネガティブ:勤続の長い層が厚いほど昇格ポストは詰まりやすく、給与カーブは年功的になりやすい。中途入社者が短期間で年収を大きく引き上げるのは難しい構造
実際、口コミ傾向としてもエン カイシャの評判やOpenWorkには「年功序列色が強い」「短期で年収を上げたい人には向かない」という趣旨の投稿が見られます。新卒初任給は公式採用サイトによると大卒基本給228,000円、固定残業20時間相当を含む場合266,000円です。
なお、有価証券報告書に記載された男女の賃金の差異は全労働者で58.0%(正規63.1%)と開きがあります。同社はこれを管理職比率と等級構成の違いによるものと説明しており、女性管理職比率は7.0%、2031年3月期に10.0%以上とする目標を掲げています。
売上3兆円・営業利益率1.2%|数字の大きさと利益の薄さを分解する
年収水準の背景には、医薬品卸という事業モデルそのものがあります。ここを理解しておくと、面接で「なぜ賞与が大きく増えないのか」「なぜコスト意識を問われるのか」が腹落ちします。
有価証券報告書(第23期)によると、連結売上高は3兆1,040億64百万円(前期比+4.8%)。対して連結営業利益は361億64百万円(前期比▲5.0%)で、売上高営業利益率は1.2%です。3兆円を動かして得られる営業利益が361億円という、典型的な薄利多売構造です。
セグメント別に見ると、どの事業も利益率1%台
セグメント別の売上高と利益は次の通りです(公式情報/売上はセグメント間取引を含む「計」ベース)。
| セグメント | 売上高 | セグメント利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|
| 医療用医薬品等卸売事業 | 2兆7,825億84百万円 | 332億97百万円 | 1.20% |
| セルフメディケーション卸売事業 | 2,670億74百万円 | 30億12百万円 | 1.13% |
| 医薬品等製造事業 | 521億79百万円 | 12億03百万円 | 2.31% |
| 調剤薬局等事業 | 371億74百万円 | 4億99百万円 | 1.34% |
売上の約89%を医療用医薬品卸が占め、その利益率が1.20%。相対的に高いのは製造事業の2.31%ですが、売上規模が521億円と小さく、全体を押し上げるには至っていません。グループ全体の稼ぐ力は、医療用医薬品卸の薄い利ざやをどれだけの数量でカバーできるかにほぼ集約されているという構造です(推定情報)。
売上高の5期推移は、2兆5,856億円(2022年3月期)→2兆6,960億円→2兆8,585億円→2兆9,610億円→3兆1,040億円と着実に伸びています。ただしこの増収は主に医薬品の単価上昇と取扱数量の拡大によるもので、利益率の改善を伴っていない点が読みどころです。
純利益+52.4%の正体|投資有価証券売却益253億円という一過性要因
ここは見落とすと評価を誤るポイントです。第23期の親会社株主に帰属する当期純利益は417億46百万円(前期比+52.4%)と大幅増益に見えます。しかし有価証券報告書によると、この中には政策保有株式の縮減に伴う投資有価証券売却益253億31百万円が含まれています。
- 営業利益:361億64百万円(▲5.0%)=本業は減益
- 経常利益:386億34百万円(▲4.6%)=同じく減益
- 当期純利益:417億46百万円(+52.4%)=特別利益による押し上げ
会社予想も同じ絵を描いています。2027年3月期の会社予想は売上高3兆1,440億円(+1.3%)に対し、営業利益339億円(▲6.3%)、当期純利益208億円(▲50.2%)。純利益がほぼ半減する見通しなのは、当期の一過性利益が剥落するためです。「増益だから業績好調」と読むのではなく、営業利益ベースで2期連続の減益局面にあると理解しておくのが正確です(推定情報)。
財務の安全性については、自己資本比率33.7%、ROE8.4%、営業キャッシュ・フローは+385億66百万円のプラスです。有価証券報告書に「継続企業の前提に関する注記」および「継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象・状況」の記載は存在せず、財務健全性の面での懸念は示されていません。株主還元では、2026年5月18日にToSTNeT-3で6,307,800株・約150億円のコミットメント型自己株式取得を実施したことが重要な後発事象として開示されています。
卸売業5社比較|規模も利益率もまったく違う
「卸売業」と一括りにしても、扱う商材で財務の形はまるで変わります。同時期に有価証券報告書を提出した卸売各社を並べると、アルフレッサ ホールディングスの位置がはっきりします。売上規模は279億円〜3兆1,040億円と約111倍、従業員数も83名〜26,789名と約323倍の開きがあるため、優劣ではなく「構造の違い」として読んでください。決算期も各社異なります。
| 企業名(コード) | 連結売上高(決算期) | 営業利益・利益率 | 従業員数(連結/提出会社) | 有報の平均年間給与 |
|---|---|---|---|---|
| アルフレッサ ホールディングス(2784) | 3兆1,040.64億円(+4.8%/2026年3月期) | 361.64億円(▲5.0%)・1.2% | 12,525名/67名 | 838.7万円=持株会社67名のみ(アルフレッサ株式会社は569.3万円) |
| 双日(2768) | 収益2兆7,573.50億円(+9.9%/2026年3月期) | IFRSのため単純比較不可(売上総利益3,674.89億円・当期利益1,036.11億円) | 26,789名/2,519名(実質就業人員2,094名) | 1,257.2万円 |
| 円谷フィールズホールディングス(2767) | 1,741.42億円(+23.9%/2026年3月期) | 174.55億円・10.0% | 1,774名/110名 | 776.4万円=持株会社110名のみ(フィールズ株式会社は747.6万円) |
| アップルインターナショナル(2788) | 408.09億円(▲6.8%/2025年12月期) | 5.68億円(▲58.7%)・1.4% | 83名/20名 | 812.1万円=提出会社20名のみ |
| 新都ホールディングス(2776) | 279.39億円(+127.21%/2026年1月期) | 5.93億円・2.1% | 121名/10名 | 429.8万円=持株会社10名のみ |
この表から読み取れることは3つです(推定情報を含みます)。
- 利益率1.2%は卸売業として珍しくない:日用品卸のあらた1.31%、食品卸の伊藤忠食品1.47%と同水準。物流機能を担う商流型卸に共通する構造で、アルフレッサ固有の弱さを意味しない
- 持株会社の給与は横並びで高く出る:アルフレッサHD838.7万円、円谷フィールズHD776.4万円、アップルインターナショナル812.1万円。いずれも母数が数十名の本社機能であり、事業会社の水準とは別物
- 比較すべきは同じ層:アルフレッサ株式会社569.3万円とフィールズ株式会社747.6万円のように、事業会社どうしで比べて初めて意味が出る
医薬品卸業界内で見ると、2026年3月期実績でメディパルホールディングス(7459)が3兆8,173億円で首位、アルフレッサ ホールディングスが業界2位、スズケン(9987)が約2兆4,866億円で続きます。東邦ホールディングス(8129)を加えた上位4社で市場シェアの9割超を占める寡占構造です。地域中堅としてはバイタルケーエスケー・ホールディングス(3151)が東北・北関東を地盤としています。
口コミ傾向|「安定・低ストレス・低成長・転勤あり」という評価像
ここからは口コミ傾向のパートです。断定ではなく、投稿の分布として読んでください。前提として重要なのは、持株会社「アルフレッサ ホールディングス」名義の口コミはOpenWorkで総合2.95・クチコミ4件と極端に少なく、統計的に扱えないということです。実態を見るには事業会社「アルフレッサ株式会社」の口コミを読む必要があります。
母数は十分にあります。OpenWork「アルフレッサ株式会社」は総合評価2.88・スコア回答者216人、エン カイシャの評判「アルフレッサ」は口コミ1,257件・総合3.1(うち年収給与の口コミ161件)、転職会議854件(うち契約社員82件)、就活会議818件が掲載されています。
| 評価項目(OpenWork・アルフレッサ株式会社) | スコア |
|---|---|
| 法令順守意識 | 4.0 |
| 社員の相互尊重 | 3.0 |
| 風通しの良さ | 2.9 |
| 人材の長期育成 | 2.8 |
| 待遇面の満足度 | 2.6 |
| 社員の士気 | 2.6 |
| 人事評価の適正感 | 2.6 |
| 20代成長環境 | 2.4 |
| 月間残業時間/有給消化率 | 19.6時間/56.8% |
退職理由の筆頭は「転勤の多さ」
投稿傾向として最も目立つ不満は、給与でも残業でもなく転勤です。全国に大型物流センターと支店網を持つ事業構造上、営業拠点間の異動が発生しやすく、「家庭の事情で続けられなくなった」という趣旨の退職理由が転職会議・エン カイシャの評判の双方で繰り返し登場します。同社の主要な物流拠点は千葉・大阪・兵庫・神奈川・静岡・愛知・群馬・高知・福岡など全国に分散しており、支店網はさらに広範です。
転職判断の観点では、勤務地限定制度の有無・実際の運用実績・転勤サイクルを、内定前に必ず確認すべき項目と言えます(推定情報)。平均勤続17.9年という定着の良さと、退職理由の筆頭が転勤であることは矛盾しません。転勤を受け入れられる人にとっては非常に長く働ける会社で、受け入れられない人にとっては早期に離脱要因になる、という二極化した読み方が妥当です。
MS職の働き方|月19.6時間の平均残業と繁忙期のギャップ
営業の中核であるMS(マーケティング・スペシャリスト)職は、医療機関・調剤薬局を担当し、価格交渉から在庫・配送調整、医薬品情報の提供までを担います。OpenWorkの月間残業19.6時間・有給消化率56.8%という数値だけを見ると穏やかですが、投稿傾向としては期末・薬価改定前後の繁忙期には残業時間が伸びやすく、休日に社用PCや携帯を持ち帰る場面があるという声も見られます。平均値と繁忙期の体感には差がある、という読み方が実態に近いと考えられます(推定情報)。
給与面については「MRと比べると条件が劣る」「年功序列で短期に上がる仕組みではない」という趣旨の投稿が複数見られます。製薬会社のMRからMSへの転職を検討する場合、年収レンジの前提が変わる可能性がある点は事前に確認が必要です。
法令順守意識4.0が全項目で突出している理由
OpenWorkの8項目を見ると、法令順守意識4.0だけが明確に高く、他は2.4〜3.0に収まっています。この偏りは偶然ではないと考えられます(推定情報)。後述する独占禁止法違反事件を受けて、グループ全体で入札対応・価格決定プロセスの管理が大きく厳格化されており、その運用が現場の実感として定着していることの表れと読めます。
一方で、最も低いのが20代成長環境2.4である点は対照的です。コンプライアンスの網が細かく張られた組織では、若手が独自判断で動ける裁量の余地が小さくなりやすく、「言われた通りに正確にやる」ことが評価される傾向が生じます。法令順守4.0と20代成長環境2.4という組み合わせは、この会社の性格を一枚で表していると言えます。裏返せば、風通しの良さ2.9・社員の相互尊重3.0という中庸なスコアと合わせ、「大きな地雷はないが、伸びしろを自分で取りに行くタイプには物足りない」という評価像になります。
独占禁止法違反の経緯|名宛人は事業会社であり持株会社ではない
アルフレッサを検討するうえで避けて通れないのが、独占禁止法違反の一連の事案です。ここは事実(日付・機関・金額)のみを整理し、解釈は分けて示します。重要な前提として、行政処分の名宛人は事業会社「アルフレッサ株式会社」であり、持株会社であるアルフレッサ ホールディングス株式会社ではありません。
- 2022年3月30日:公正取引委員会は、独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)発注の医薬品の入札参加業者に対し、排除措置命令および課徴金納付命令を行いました。名宛人はアルフレッサ株式会社・東邦薬品株式会社・株式会社スズケンで、課徴金の総額は4億2,385万円、うちアルフレッサ分は1億7,562万円です。同事件では刑事告発も行われ、東京地方裁判所で3社および担当者7名に有罪判決が出ています。アルフレッサ ホールディングスは取締役の報酬返上を実施しました。
- 2023年3月24日:公正取引委員会は、独立行政法人国立病院機構が発注する九州エリアの病院調達医薬品の入札参加業者らに対し、排除措置命令および課徴金納付命令を行いました。5社合計の課徴金は6億2,728万円です。アルフレッサは課徴金減免制度の申請に加え、調査協力減算40%が適用されています。
- 会計処理:これらに関連する「契約違約金相当額」として、連結子会社が独占禁止法関連損失引当金49億37百万円を計上しました。第22期(2025年3月期)まで残高が継続し、監査法人のKAM(監査上の主要な検討事項)にも指定されていましたが、第23期に同引当金は全額減少(支払・精算)して残高ゼロとなり、KAMからも外れています。
再発防止策として、有価証券報告書には独占禁止法専用の電話相談窓口の設置などが記載されています。第23期のKAMは「特定のヘルスケア関連ベンチャー企業等に対する投資の評価の妥当性」に切り替わっており、独禁法関連の論点は会計上いったん決着した形です。
転職判断への含意(推定情報):この経緯を「不祥事がある会社」とだけ捉えるのは一面的です。事件から4年が経過し、引当金の精算が完了し、口コミの法令順守意識が4.0という高水準に達しているという3点は、コンプライアンス体制の再構築が一巡したことを示唆します。ただし、入札・価格決定に関わる職種では現在も厳格なプロセス管理が求められるため、スピード感より正確性・記録性を重視する働き方になる点は理解しておく必要があります。
なお医薬品医療機器等法(薬機法)については、アルフレッサ ファーマにおいてズファジラン筋注5mg、ダイピン錠1mg等の自主回収の公表事例がありますが、2024年から2026年にかけて同社グループが業務停止命令等の薬機法上の行政処分を受けた事実は確認できなかったことを付記します。
将来性|毎年の薬価改定と、中期経営計画が描く三本柱
医薬品卸の将来性は、業界共通の構造要因を外して語れません。有価証券報告書の「事業等のリスク」には、次の3点が毎期明記されています。
- 薬価改定:毎年実施される薬価の引き下げが、卸の取扱単価と利ざやを直接圧迫する
- 物流費・人件費の上昇:全国配送網とコールドチェーンを維持するコストが構造的に増加する
- 医療機関との価格交渉の長期化:価格未妥結のまま納入を続ける「未妥結仮納入」の商慣行が、期をまたいだ収益変動要因になる
実際、第23期には旧千葉物流センター(千葉県木更津市)等で減損損失を計上し、アルフレッサ新潟支店なども減損対象となっています。拠点再編と物流投資が同時に進行している局面です。
これに対する会社側の答えが、中期経営計画「25-27中期経営計画 Vision2032 Stage2」です。2028年3月期の目標として売上高3兆3,000億円・営業利益435億円・ROE(3年平均)7%水準を掲げ、CDMO(医薬品受託製造開発)、再生医療、TSCS(トータルサプライチェーンサービス)、海外事業の4領域に3年累計1,200億円を投資する計画です。
編集部の見解として、この計画の読みどころは「営業利益435億円」という目標にあります。第23期実績が361億円、2027年3月期予想が339億円ですから、2028年3月期に435億円へ戻すには最終年度で約28%の増益が必要になります。つまり同社自身が、既存の卸売事業の延長線上では利益成長が難しいと認識し、製造・サービス領域へ収益源を移そうとしていると読めます(推定情報)。
転職者の立場では、これは機会にもリスクにもなります。CDMO・再生医療・TSCS・海外といった新領域は人材需要が生まれやすく、卸売の枠を超えたキャリアが開ける可能性があります。一方、既存の卸売事業に配属された場合は、薬価改定と価格交渉という構造的な逆風の中で数量とコストを守る役割が中心になります。どの領域の求人なのかを、応募段階で見極めることが最も重要です。
なお資本構成の面では、筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行(信託口)13.71%で、親会社は存在しない独立系です。上位10名の所有割合は40.37%で、海外機関投資家(Silchester International Investors 関連口座で5.38%等)の比率が高く、資本効率への要求が相対的に強い株主構成と言えます(推定情報)。配当は1株当たり68円(2026年3月期)、2027年3月期予想71円、配当性向29.6%、DOE2.5%以上を方針としています。
アルフレッサグループへの転職が向いている人・向いていない人
これまでの公式情報・口コミ傾向をふまえ、適性を整理します(推定情報を含みます)。前提として、判断対象は持株会社ではなく事業会社です。
| 向いている人 | 向いていない人 |
|---|---|
| 医療インフラを支える仕事に意義を感じ、長期就業を前提にキャリアを設計したい人(平均勤続17.9年) | 3〜5年で年収を大きく引き上げたい人(年功的な給与カーブで平均569万円・平均年齢46.7歳) |
| 全国転勤を受け入れられる、または家庭状況が転居に耐えられる人 | 勤務地を固定したい人(退職理由の筆頭が転勤) |
| ルールと記録を重視した正確な仕事の進め方が得意な人(法令順守意識4.0) | 裁量を持って独自に動きたい20代(20代成長環境2.4) |
| 景気変動より医療需要に紐づく安定した事業基盤を重視する人(売上5期連続増収) | 高い利益率・成長率の事業で自分の成果を大きく反映させたい人(営業利益率1.2%) |
| CDMO・再生医療・海外など新領域の立ち上げに関わりたい人(中計で3年1,200億円投資) | 製薬MRの年収水準・インセンティブ制度を維持したい人 |
アルフレッサに関するよくある質問(FAQ)
検索サジェストや口コミで実際に問われている論点に絞って回答します。
アルフレッサ ホールディングスの年収はいくらですか?
有価証券報告書(第23期)によると、提出会社であるアルフレッサ ホールディングスの平均年間給与は8,386,723円です。ただしこれは従業員67名の持株会社の数値です。同じ有価証券報告書に開示された事業会社の実額は、アルフレッサ株式会社が5,693,338円(5,667名)、アルフレッサ ファーマ株式会社が5,641,574円(1,138名)です。転職後の想定年収として参照すべきは後者になります。
アルフレッサに転職する場合、応募先はどの会社になりますか?
職種によって異なります。MS職・物流職など医療用医薬品卸の現場職は主にアルフレッサ株式会社、医薬品の製造・研究職はアルフレッサ ファーマ株式会社やアルフレッサ ファインケミカル株式会社、保険薬局の薬剤師職はアポクリート株式会社などが応募先になります。持株会社であるアルフレッサ ホールディングスの求人は、従業員67名という規模から、募集が限られると考えられます(推定情報)。
アルフレッサの評判・口コミはどこを見ればよいですか?
持株会社名ではなく事業会社名で検索するのが実務的です。OpenWorkでは「アルフレッサ ホールディングス」名義のクチコミが4件しかない一方、「アルフレッサ株式会社」名義は回答者216人・総合2.88です。エン カイシャの評判は「アルフレッサ」で1,257件、転職会議854件、就活会議818件が掲載されています。
アルフレッサの採用・選考ではどんな経験が評価されますか?
公式採用サイトでは職種別に募集要件が示されています。口コミ傾向および事業構造から推測すると、MS職では医療機関・調剤薬局への法人営業経験、医薬品や医療機器の商流理解、価格交渉の実務経験が評価されやすいと考えられます(推定情報)。管理部門では、上場持株会社としての連結決算・開示実務や、独占禁止法・薬機法を含むコンプライアンス実務の経験が親和的です。具体的な要件は必ず最新の求人票で確認してください。
アルフレッサ ホールディングスは業界何位ですか?
2026年3月期実績の連結売上高では、メディパルホールディングス(3兆8,173億円)に次ぐ業界2位です。アルフレッサ ホールディングスが3兆1,040億円、スズケンが約2兆4,866億円で続きます。上位4社で市場シェアの9割超を占める寡占市場です。
アルフレッサはリストラを行っている会社ですか?
有価証券報告書および適時開示では、希望退職の募集・整理解雇・大規模な事業撤退のいずれも確認できなかったのが事実です。連結従業員数は11,925名(2022年3月期)から12,525名(2026年3月期)へ微増で推移しています。ただし旧千葉物流センター等の減損損失計上にみられるように、拠点の統廃合は進行しており、配属拠点が再編対象となる可能性はあります(推定情報)。
賞与や昇給はどのくらい期待できますか?
賞与の月数は有価証券報告書では開示されていません。参考となる公式情報として、2025年度の賃上げ実績は提出会社が平均約4.0%、アルフレッサ株式会社が平均約4.0%、アルフレッサ ファーマが平均約1.9%と開示されています。口コミ傾向としては年功序列色が強いという声が多く、短期間での大幅な昇給は想定しにくいと考えられます。
アルフレッサへの転職判断まとめ
ここまでの内容を、判断軸ごとに整理します。最終的な判断は、求人票だけでなく自分の経験・適性も含めて確認しましょう。
| 判断軸 | 評価 |
|---|---|
| 年収水準 | 事業会社アルフレッサ株式会社で569.3万円(平均年齢46.7歳)。持株会社の838.7万円は67名の数字で参照不可 |
| 年収の伸びしろ | 平均勤続17.9年の年功的構成。短期で大きく上げる設計ではないと考えられる |
| 雇用の安定性 | 連結従業員は5期で微増、自己資本比率33.7%、継続企業の前提に関する注記なし |
| 働き方 | OpenWorkで月19.6時間・有給56.8%。繁忙期のギャップと転勤の多さが論点 |
| 組織風土 | 法令順守意識4.0が突出、20代成長環境2.4が最低。正確性重視の文化 |
| 収益構造 | 売上3兆1,040億円・営業利益率1.2%。卸売業として一般的だが利益の余地は薄い |
| 業績トレンド | 営業利益▲5.0%、2027年3月期も▲6.3%予想。純利益+52.4%は一過性要因 |
| 将来性 | 薬価改定という構造的逆風の一方、CDMO・再生医療・海外に3年1,200億円投資 |
| コンプライアンス | 2022・2023年の独禁法違反(名宛人は事業会社)は引当金精算済み。体制再構築が一巡 |
| 総合 | 「安定・低ストレス・低成長・転勤あり」。長期就業志向には適合、短期の年収成長志向には不適合 |
編集部の見解として、アルフレッサグループは「医療インフラを長期で支えたい人」には合理的な選択肢である一方、「数年で市場価値と年収を跳ね上げたい人」には設計が噛み合いにくい会社だと考えられます。判断の分かれ目は年収の絶対額ではなく、転勤を受け入れられるかどうかと、配属が既存の卸売事業か新領域かの2点です。この2つを内定前に確認できれば、入社後のミスマッチは大きく減らせるはずです。
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本記事の出典・参考情報
本記事で参照した一次情報・口コミ情報の出典は以下の通りです。最新の正確な数値は各リンク先で確認してください。
公式情報源
主たる一次情報は、第23期(2025年4月1日〜2026年3月31日)有価証券報告書(2026年6月23日提出)の「従業員の状況」「事業の内容」「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」「事業等のリスク」「主要な設備の状況」「大株主の状況」「セグメント情報」「監査報告書」、および第22期有価証券報告書、2026年3月期決算短信です。行政処分に関する事実は公正取引委員会の報道発表(2022年3月30日/2023年3月24日)にもとづきます。
口コミ・評判の参照元
免責事項:本記事の数値・評価は公式情報・口コミ集計・市場推定の3分類で示しており、口コミ傾向や推定情報は断定ではなく傾向・可能性として表現しています。最終判断は読者自身で公式IRおよび内定時の労働条件通知書で確認してください。
この記事の編集方針・情報の確認について
この記事は、公式公開情報(有価証券報告書・IR資料)、求人情報、口コミ傾向をそれぞれ分けて整理し、転職・就職判断に役立つよう編集しています。年収・平均年齢・平均勤続年数・従業員数などの中核データは有価証券報告書「従業員の状況」を一次情報として確認し、口コミ・推定情報とは明確に区別しています。とくに本記事では、純粋持株会社と事業会社で平均年間給与の母集団が異なる点を重視し、第23期有価証券報告書に開示された子会社2社の実額を併記しました。記載内容は最終更新時点の公開情報にもとづきます。最新の正確な数値は各公式IRページでご確認ください。
