企業

大塚ホールディングス年収1,000万円の正体|連結3.7万人と単体224名の差

コロ助

※本記事にはプロモーションを含みます。

この記事の結論

  • 有報の年収1,000万円は持株会社224名の数字:連結37,758名の実態ではありません
  • 連結と単体の差は約169倍:本シリーズで扱った持株会社で最大級の乖離です
  • 大塚製薬の年収に一次情報はない:非上場のため有報がなく口コミ由来の推計のみ
  • 2026年12月期は営業利益▲24.9%予想:好決算の直後に減益見通しが出ています

この記事は、大塚ホールディングス株式会社(証券コード4578・東証プライム市場)への転職・就職を検討している人に向けた記事です。「大塚ホールディングス」で最も多く検索されているのは株価関連の語であり、検索空間の大半は投資家の関心で占められています。本記事はそこには踏み込まず、求職者が実際に知りたい「年収の数字は誰のものか」「応募先はどの会社か」「業績はどこへ向かうのか」に絞って、有価証券報告書と決算短信の実額から整理します。とくに有価証券報告書に載っている平均年間給与1,000万円を、そのまま自分の想定年収として読んではいけない理由を、この会社は最もはっきり示してくれます。

大塚ホールディングスの公式データ一覧(有価証券報告書ベース)

まず、本記事で扱う数字を一覧にします。すべて公式情報(有価証券報告書・決算短信・公式サイト)から取得した実額です。ここで最重要なのは、平均年間給与・平均年齢・平均勤続年数・提出会社の従業員数の4項目が、いずれも純粋持株会社である大塚ホールディングス単体(224名)の数字であるという点です。最新の正確な数値は公式IRページで再確認してください。

項目内容
会社名大塚ホールディングス株式会社(Otsuka Holdings Co., Ltd.)
証券コード・市場4578/東証プライム市場(業種:医薬品)・2010年12月15日上場
設立2008年7月8日(純粋持株会社として設立。グループの源流は1921年創業の大塚製薬工場)
本店所在地東京都千代田区神田司町2-9(有価証券報告書記載)
代表者代表取締役社長 兼 CEO 井上眞(2025年1月就任)
平均年間給与10,004,876円(約1,000万円)/第18期・提出会社(単体)ベース
平均年齢46.9歳(第18期・提出会社単体。前期44.4歳)
平均勤続年数3.3年(第18期・提出会社単体)
従業員数連結37,758名/提出会社224名(2025年12月31日現在。単体は前期比+41名)
売上収益2兆4,688億92百万円(2025年12月期・前期比+6.0%)
営業利益4,793億75百万円(2025年12月期・前期比+48.2%)
事業利益4,461億29百万円(2025年12月期・前期比+3.6%)
親会社の所有者に帰属する当期利益3,631億50百万円(2025年12月期・前期比+5.8%)
2026年12月期 会社予想売上収益2兆5,200億円(+2.1%)/事業利益3,550億円(▲20.4%)/営業利益3,600億円(▲24.9%)/親会社帰属当期利益2,650億円(▲27.0%)
営業活動によるキャッシュ・フロー4,035億79百万円(2025年12月期)
現金及び現金同等物 期末残高5,346億45百万円(2025年12月期)
親会社所有者帰属持分比率72.3%
継続企業の前提に関する注記該当事項なし(2025年12月期決算短信に「該当事項はありません。」と記載。重要事象等の記載もなし)
資本金816億90百万円
連結範囲連結子会社181社/持分法適用関連会社26社(第18期)
配当2025年12月期 年間140円/2026年12月期 予想140円
出典第18期有価証券報告書(2026年3月26日提出・2025年12月期)/2025年12月期決算短信〔IFRS〕(2026年2月13日開示)/公式サイト会社概要

大塚ホールディングスとはどんな会社か|ポカリと医薬品を束ねる持株会社の正体

結論から言えば、大塚ホールディングスはそれ自体がモノを作って売っている会社ではありません。傘下のグループ各社を保有・統括する純粋持株会社であり、あなたが実際に働く場所はこの会社ではない可能性が高い、という前提から出発する必要があります。ここを押さえると、以降の年収・働き方の読み方がすべて変わります。

売上の約7割は医療用医薬品。飲料・食品は約23%

ポカリスエット、カロリーメイト、オロナミンC、エクエル、ボンカレー。一般消費者にとっての「大塚」はこれらのブランドで認識されていますが、決算短信によると2025年12月期の売上収益2兆4,688億92百万円の内訳は次のとおりで、売上の約70.6%は医療関連事業です。

セグメント売上収益(2025年12月期)構成比セグメント利益
医療関連事業1兆7,442億34百万円約70.6%4,453億02百万円
ニュートラシューティカルズ関連事業5,776億21百万円約23.4%577億19百万円
消費者関連事業346億10百万円約1.4%251億50百万円
その他事業1,124億26百万円約4.6%79億84百万円
調整額——▲567億81百万円

医療関連事業は、中枢神経領域(エビリファイ、レキサルティ)、がん領域(大鵬薬品工業のロンサーフ等)、腎・循環器領域(サムスカ、ジンアーク)、そして大塚製薬工場が国内トップクラスの地位を持つ輸液が柱です。ニュートラシューティカルズ関連事業はポカリスエットやカロリーメイト、ネイチャーメイド、エクエルなど。消費者関連事業は大塚食品のボンカレー等、その他事業は大塚化学の化学品や大塚倉庫の物流が含まれます。なお、セグメント利益は調整額を含む区分開示であり、単純な利益率の比較には向きません(推定情報を交えた解釈は避け、ここでは実額のみを示します)。

転職検討者にとっての意味はこうです。「飲料メーカーだと思って応募したら、実態は医療用医薬品が主戦場の会社だった」というギャップが起こりやすい。逆に言えば、消費財のブランド力と製薬の収益力を同じグループ内で経験できる構造は、国内のヘルスケア企業のなかでも極めて珍しい特徴です。

応募先は「大塚HD」ではなくグループ7社に分かれている

公式サイトによると、グループの中核事業会社は大塚製薬、大塚製薬工場、大鵬薬品工業、大塚化学、大塚食品、大塚倉庫、大塚メディカルデバイスなどで、連結子会社は181社にのぼります。この7社はいずれも非上場で、有価証券報告書の提出義務がありません。つまり、あなたが応募する会社の年収・平均年齢・勤続年数は、一次情報としては世の中に開示されていない、ということです。

採用チャネルも分かれています。公式サイトによると、大塚ホールディングス本体はキャリア採用のみをWorkday経由で行っており、新卒採用はグループ各社が個別に実施しています。持株会社本体の従業員は224名ですから、本体のキャリア採用は少人数の枠に限られると考えられます(推定情報)。

求職者
求職者

「大塚グループに転職」と一言で言っても、待遇はどこも同じではないということ?

そのとおりです。事業会社ごとに事業内容も収益構造も勤務地も異なり、口コミ上の評価傾向も一致していません。後述するように、大塚製薬と大塚製薬工場では投稿の体感が明確に分かれています。「大塚グループ」という括りで待遇を語ると判断を誤ります。求人票に書かれた法人名を必ず確認してください。

「大塚商会」とは資本関係のない完全な別会社

検索時に最も起こりやすい取り違えがこれです。株式会社大塚商会(4768・東証プライム)はシステムインテグレータであり、大塚ホールディングスとは資本関係のない別会社です。事業内容も採用要件も全く異なるため、口コミサイトや年収データを参照する際は、社名を最後まで確認してください。同様に、大塚製薬と大塚製薬工場も別法人です。

有報の平均年収1,000万円は誰の数字か|持株会社バイアスの構造

ここが本記事の核心です。結論を先に書きます。大塚ホールディングスの有価証券報告書に記載された平均年間給与10,004,876円は、従業員224名の持株会社単体の数字であり、連結37,758名の実態年収を示すものではありません。この差は約169倍。有価証券報告書の平均年収を鵜呑みにしてはいけない理由を説明する教材として、これ以上わかりやすい例はほとんどありません。

224名 vs 37,758名|約169倍の母数の乖離

有価証券報告書「従業員の状況」によると、第18期(2025年12月期)時点の数字は次のとおりです(すべて公式情報)。

  • 平均年間給与:10,004,876円(提出会社=大塚ホールディングス単体)
  • 平均年齢:46.9歳(前期44.4歳から上昇)
  • 平均勤続年数:3.3年
  • 提出会社の従業員数:224名(前期比+41名)
  • 連結従業員数:37,758名

有価証券報告書の「平均年間給与」欄は、制度上提出会社(=この場合は持株会社そのもの)の従業員だけを対象に算出されます。純粋持株会社の従業員とは、グループ全体の経営企画、財務・経理、法務、人事、IR、内部監査といった本社機能の担い手です。事業会社で研究や生産、MRとして働く3万7千人以上は、この平均には1人も含まれていません。

母数の性質を考えれば、この224名は各事業会社から選抜された相応のキャリアを持つ層に偏っていると考えるのが自然です(推定情報)。平均年齢46.9歳という数字も、新卒からの積み上げで構成された組織ではなく、経験者で構成された組織であることを示唆しています。

平均勤続年数3.3年が示す決定的な証拠

持株会社バイアスの最も分かりやすい証拠が、平均勤続年数3.3年です。平均年齢46.9歳の組織で勤続年数が3.3年しかない、という組み合わせを素直に読めば「入社後3年程度で辞めていく会社」に見えます。しかし実態はそうではありません。

純粋持株会社の従業員の多くは、事業会社からの出向・転籍によって集められた人員です。持株会社に籍を移した時点から勤続年数のカウントが始まるため、キャリアとしては20年以上グループで働いている人でも、持株会社での勤続年数は数年としか表示されません。つまり勤続年数の短さが、そのまま離職率の高さを意味するわけではないということです。

この構造を知らずに数字だけを見ると、次のような誤読が起こります。

  • 誤読1:「勤続3.3年=定着しない会社」→ 実際は出向・転籍者中心の統計上の見え方
  • 誤読2:「平均年収1,000万円=グループの給与水準」→ 実際は本社機能224名だけの数字
  • 誤読3:「平均年齢46.9歳=高齢化している」→ 実際は経験者で構成された本社組織の年齢構成

さらに、単体の従業員数は前期比+41名と増えています。少なくとも持株会社レベルでは、人員が減っている事実はありません。

単体平均年収8期分の推移|1,000万円前後で横ばい、直近は前期比マイナス

有価証券報告書ベースの単体平均年間給与を時系列で並べると、次のようになります。母数が224名と小さいため、数十名の人員構成の変化で数十万円単位のブレが出る点に注意して読んでください。

決算期単体平均年間給与
2018年12月期約1,054万円
2019年12月期約1,032万円
2020年12月期約991万円
2021年12月期約1,044万円
2022年12月期約1,040万円
2023年12月期約1,045万円
2024年12月期(第17期)約1,063万円
2025年12月期(第18期)約1,000万円

8期を通して1,000万円前後で推移しており、直近の第18期は前期の1,063万円から約63万円のマイナスです。ただし同じ期に従業員数が+41名(183名→224名相当の増加)、平均年齢が44.4歳から46.9歳へと動いており、この下振れは給与の引き下げではなく人員構成の変化による可能性が高いと考えられます(推定情報)。母数が小さい統計を前年比で語るときは、必ず従業員数の増減とセットで見る必要があります。

なお持株会社の機能拡大に伴い、単体従業員数は2014年3月期の75名から2025年12月期の224名へと約3倍になっています。グループ統括機能を厚くしてきた10年だった、と読むことができます。

大塚製薬の年収はいくらか|一次情報が存在しない理由と二次ソースの読み方

「大塚ホールディングス 年収」で検索する人の多くが本当に知りたいのは、持株会社224名の給与ではなく、大塚製薬をはじめとする事業会社に入った場合の年収のはずです。ここでは、その数字がなぜ一次情報として存在しないのか、そして代わりに何を見るべきかを整理します。

大塚製薬は非上場|有価証券報告書が存在しない

上場企業であれば、平均年間給与・平均年齢・平均勤続年数・従業員数は有価証券報告書「従業員の状況」に必ず記載されます。しかし大塚製薬は非上場であり、有価証券報告書の提出義務がありません。大塚製薬工場、大鵬薬品工業、大塚化学、大塚食品、大塚倉庫、大塚メディカルデバイスも同様です。したがって、これらの会社の平均年収について一次情報は存在しません。この事実自体を、まず正しく認識しておく必要があります。

ネット上には「大塚製薬の平均年収は◯◯万円」と断定的に書かれた情報が多数ありますが、その根拠をたどると、ほぼ例外なく口コミサイトの投稿集計か、報道・推計にたどり着きます。有価証券報告書の実額ではない、という点は明確に区別してください。

二次ソースの数字|OpenWork 733万円・転職メディア集計 約738万円

参考として、二次ソースの数字を口コミ傾向として整理します。いずれも口コミ由来の推計値であり、有価証券報告書の実額ではありません。

  • OpenWork:大塚製薬の平均年収は733万円(回答者:正社員301人・平均年齢32歳/レンジは300万〜1,700万円)
  • 他の転職メディア集計:約738万円(平均年齢約44歳とされる)

この2つは近い数字に見えますが、前提となる平均年齢が32歳と約44歳で大きく異なります。同じ「約735万円前後」でも、32歳平均で733万円なのか、44歳平均で738万円なのかでは、意味がまったく違います。二次ソースを比べるときは、金額だけでなく必ず回答者数と平均年齢を確認してください。

「1,000万円 vs 733万円」の落差をどう解釈するか

ここで、記事全体を貫く比較を整理します。

比較軸大塚ホールディングス(持株会社)大塚製薬(事業会社)
平均年収10,004,876円(約1,000万円)733万円(OpenWork掲載値)
情報の種類公式情報(有価証券報告書 第18期の実額)口コミ傾向(投稿由来の推計値)
母数224名(提出会社の全従業員)正社員301人(回答者のみ)
平均年齢46.9歳32歳
上場・開示東証プライム上場・有報あり非上場・有報なし

この2つは性質の異なる数字であり、単純に引き算して「差額267万円」と語ることはできません。母数も、算出方法も、対象年齢も違うからです。ただし方向感として、持株会社の本社機能に絞った1,000万円という水準を、そのまま事業会社の想定年収として期待するのは適切ではない、とは言えます。

転職検討者が実際に取るべき行動は次の3つです。

  • 求人票の年収レンジ(下限・上限)と、その根拠となる等級・グレードを面接で確認する
  • 賞与の算定方式(業績連動か固定月数か)と、直近実績の支給月数を確認する
  • 内定時の労働条件通知書で、月例給・固定残業代の有無・想定年収の内訳を必ず書面で確認する

口コミの平均値は「同世代がどのあたりにいるか」の相場観としては役に立ちますが、あなた個人のオファー額を決めるのは等級と評価です。相場観と自分のオファーは別物として扱ってください。

口コミ傾向|大塚製薬の評価は「働きやすさ○・待遇×」の非対称

最初に重要な但し書きです。大塚ホールディングス(持株会社)自体の口コミはほとんど蓄積がなく、単体での評判分析は成立しません。従業員224名の本社機能であることを考えれば当然です。そこで以下は、事業会社である大塚製薬の口コミを、別法人の数字であることを明示したうえで参照します。

OpenWork 525人の投稿から見える評価の偏り

OpenWorkの大塚製薬ページは総合評価3.34(全79,987社中の上位6%)、回答者525人と、傾向を語るには十分な母数があります。項目別の傾向は次のとおりです(口コミ傾向)。

評価項目スコア読み取れる傾向
法令順守意識3.7コンプライアンス面の評価は高め
社員の相互尊重3.6人間関係・職場の雰囲気は良好という声
待遇面の満足度2.9給与への不満が相対的に強い
人材の長期育成2.9育成の仕組みに物足りなさを感じる声
人事評価の適正感2.9評価の納得感に課題を感じる声
月間残業時間28.5時間製薬業界としては標準〜やや良好
有給休暇消化率61.6%同上

この分布は「働きやすさ・人間関係は良いが、給与と評価への不満が強い」という非対称を示しています。残業28.5時間・有給消化率61.6%という水準は、働き方だけを見れば製薬業界のなかで大きな懸念材料とは言いにくい数字です。一方で待遇・育成・評価の3項目が揃って2.9に沈んでいるのは偶然ではなく、投稿者が共通して感じている論点があると考えられます(推定情報)。

給与制度の改定が繰り返し話題になる

口コミ本文には、「年齢給の廃止によって全社員が減給になった」「早期退職を募集すべきではないか」という趣旨の投稿もあり、給与制度の改定への反発が繰り返し話題になっています(口コミ傾向。投稿者の主観であり、会社の公式見解ではありません)。前述のとおり、OpenWork掲載の平均年収733万円と、有価証券報告書の持株会社1,000万円との落差は、こうした待遇面の不満と整合的に見えます。

面接で確認するとすれば、「等級制度・評価制度が直近で改定されたか」「改定によって年収がどう動く設計になっているか」を、感情論ではなく制度の事実として聞くのが有効です。

大塚製薬と大塚製薬工場を混ぜて読まない

ここも取り違えが起きやすいポイントです。大塚製薬工場は大塚製薬とは別法人であり、OpenWorkでも別ページとして扱われています。大塚製薬工場のページでは「長時間残業」「疲弊した職場の雰囲気」といった辛口の投稿が目立ち、大塚製薬とは体感が異なる可能性が高いと見られます(口コミ傾向)。

大塚製薬工場は輸液で国内トップクラスの地位を持つ生産中心の会社で、大塚製薬とは事業構造も職種構成も異なります。口コミを読むときは、必ずどの法人のページかを確認してから解釈してください。「大塚グループの評判」という粒度で語ると、判断材料としてほとんど機能しなくなります。

業績と将来性|2025年は最高益、2026年は営業利益▲24.9%予想

転職判断で最も重要な将来性の論点は、直近の絶好調と、翌期の大幅減益予想が隣り合っているという点です。決算短信の実額と会社予想を並べて確認します。

2025年12月期は増収・大幅増益

決算短信によると、2025年12月期(第18期)の実績は次のとおりです(公式情報)。

  • 売上収益:2兆4,688億92百万円(前期2兆3,298億61百万円・前期比+6.0%)
  • 営業利益:4,793億75百万円(前期3,235億64百万円・前期比+48.2%)
  • 事業利益:4,461億29百万円(前期比+3.6%)
  • 親会社の所有者に帰属する当期利益:3,631億50百万円(前期比+5.8%)

ここで注目すべきは、営業利益が+48.2%と大きく伸びている一方、事業利益は+3.6%にとどまっていることです。事業利益は本業の実力を示す指標として使われる区分であり、この差は営業利益側に一過性の要因が含まれている可能性を示唆します(推定情報)。「営業利益が5割近く伸びた勢いのある会社」という理解のまま入社判断をするのは適切ではありません。

2026年12月期の会社予想は大幅減益

決算短信によると、2026年12月期の会社予想は次のとおりです(公式情報)。

指標2025年12月期 実績2026年12月期 会社予想増減率
売上収益2兆4,688億92百万円2兆5,200億円+2.1%
事業利益4,461億29百万円3,550億円▲20.4%
営業利益4,793億75百万円3,600億円▲24.9%
親会社帰属当期利益3,631億50百万円2,650億円▲27.0%
年間配当140円140円(予想)横ばい

売上は増える見通しなのに、利益は2割から3割減る見通しです。増収減益という形は、研究開発費や販売費の増加、製品構成の変化、一過性要因の剥落などが重なったときに現れます。個別の要因については会社の開示資料で確認するのが確実です。なお、中枢神経領域の主力品の独占期間の推移は業績変動要因になり得ますが、個別品目の具体的な時期については本記事では一次情報にもとづく確定した情報を持たないため、記載しません。推測で書けば読者の判断を誤らせるためです。

転職判断としては、次のように整理できます(推定情報を含む編集部の整理です)。

  • 入社後1〜2年は、増益局面ではなく利益が縮む局面にあたる可能性がある
  • 賞与が業績連動型であれば、支給水準に影響が出る可能性がある
  • 一方で配当予想は140円で据え置かれており、会社が短期の減益を一時的なものと位置づけている可能性も読み取れる

財務は極めて健全|継続企業の前提に関する注記なし

減益予想という言葉だけを見て財務不安を連想する必要はありません。決算短信によると、2025年12月期の財務指標は次のとおりです(公式情報)。

  • 営業活動によるキャッシュ・フロー:4,035億79百万円
  • 現金及び現金同等物 期末残高:5,346億45百万円
  • 親会社所有者帰属持分比率:72.3%
  • 継続企業の前提に関する注記:該当事項なし(重要事象等の記載もなし)

継続企業の前提に関する注記は、企業の存続に重要な疑義が生じている場合に付されるものです。2025年12月期決算短信の該当欄には「該当事項はありません。」と明記されています。営業キャッシュ・フローが4,000億円規模、手元現金が5,300億円規模、自己資本比率にあたる指標が7割超という水準は、短期的な資金面の懸念とは無縁の財務構造です。「業績予想は保守的だが、財務基盤は盤石」というのが数字から読み取れる姿です。

業界文脈として補足すると、医薬品業界では2026年から2030年代にかけて大型品の独占期間喪失が集中するとの見方があり、各社が外部からのシーズ導入やM&Aを積極化しています。大塚ホールディングスも2025年12月期にAraris Biotech AG、Otsuka ICU Medical LLCの2社を新規連結しています。潤沢な手元資金は、こうした外部導入を実行するための原資でもあります(推定情報)。

本社はどこにあるのか|神田司町と品川で表記が割れる理由

「大塚ホールディングス 本社」は求職系のキーワードとして一定の検索があります。ところが検索すると2つの異なる住所が出てきます。結論を先に書くと、有価証券報告書ベースの本店は千代田区神田司町です。

拠点所在地位置づけ
登記上の本店(大塚HD)東京都千代田区神田司町2-9有価証券報告書に記載された本店所在地
大塚製薬 本社東京都千代田区神田司町2-9持株会社と同一住所
大塚製薬 東京本部東京都港区港南2-16-4 品川グランドセントラルタワー二次情報サイトが「本社」として掲載しがちな住所
大阪本部大阪市中央区大手通3-2-27—
徳島本部徳島市川内町加賀須野463-10グループ発祥地・生産拠点が集積

金融情報サイトなどの二次情報は、本社住所として港南(品川グランドセントラルタワー)を掲載していることがあります。これは大塚製薬の「東京本部」の住所であり、誤りというより、どの機能を「本社」と呼ぶかの違いです。応募時の実務としては、求人票に記載された勤務地を優先し、面接で実際の就業場所を確認するのが確実です。

また、徳島本部・鳴門の工場群という地方拠点の存在感が大きいのもこのグループの特徴です。生産技術職やMR職では、地方配属の可能性が相対的に高いと考えられます(推定情報)。勤務地の希望が強い人は、入社時の配属方針と将来の異動範囲を必ず確認してください。

公表情報の範囲|人員削減・行政処分・訴訟について整理する

ネガティブな検索語で調べたときに出てくる情報は、他社の事例と混ざっていることが少なくありません。ここでは一次情報にもとづいて、言えることと言えないことを厳密に分けます。断定を避けるのは逃げではなく、事実の精度を保つためです。

人員削減について

大塚ホールディングスおよび大塚製薬による希望退職・早期退職の公募、整理解雇といった人員削減の公表事例は、本記事の調査範囲では一次情報として見当たりませんでした。ここで重要なのは、同業他社の希望退職の報道と混同しないことです。製薬業界では他社が構造改革を発表した例がありますが、それらは資本関係のない別法人の事案です。

事実として言えるのは、持株会社単体の従業員数が2024年12月期から2025年12月期にかけて+41名と増加していることです。少なくとも持株会社レベルでは、人員が削減された事実はありません。事業会社側の人員動向については、非上場のため開示されていません。

行政処分・自主回収について

薬機法にもとづく業務停止命令・業務改善命令などの行政処分、および製品の自主回収(クラスI/II/III)について、大塚グループを対象とする直近の事例は、本記事の調査範囲では一次情報(厚生労働省・PMDA・都道府県の公表資料)として見当たりませんでした。ただし「調査範囲で見当たらなかった」ことは「存在しない」ことの証明ではありません。したがって本記事では「処分ゼロ」といった断定はしません。

また、同じ徳島県内の他の製薬会社に対する処分事例が検索結果に混在することがありますが、それらは大塚グループとは資本関係のない別法人の事案です。社名を最後まで確認して切り分けてください。

訴訟について|原告と被告を取り違えない

大塚製薬が関わる訴訟として広く知られているのは、エクオール含有食品に関する特許権侵害訴訟です。この案件では大塚製薬が原告側として勝訴判決を得たのち、2024年8月に相手方との包括的和解が成立しています。つまり大塚製薬が自社の権利を主張して通した案件であり、被告として責任を問われた不祥事ではありません。

「訴訟」という単語だけを拾って企業の評判を判断すると、こうした取り違えが起こります。訴訟情報に接したときは、必ずどちらが原告でどちらが被告か、そして結末はどうなったかまで確認してください。

医薬品セクター5社の比較|有報の平均年収は「母数」で決まる

同じ東証プライムの医薬品セクターでも、有価証券報告書に載る平均年間給与は会社の規模や母数によって大きく変わります。この表を見れば、有報の平均年収を会社間で単純比較することの危うさが一目で分かります。決算期が会社ごとに異なるため、年度を明記しています。

企業名(コード)売上/事業収益(対象期)営業利益従業員数(連結/単体)有報の平均年間給与継続企業の前提
ダイト(4577)連結506.5億円(2026年5月期)36.37億円(+38.8%)1,073名/847名486.9万円(2025年5月期有報)注記なし
大塚ホールディングス(4578)2兆4,688.9億円(2025年12月期)4,793.8億円(2026年12月期は▲24.9%予想)37,758名/224名約1,000万円(2025年12月期)注記なし
ラクオリア創薬(4579)連結事業収益39.79億円(2025年12月期)4.83億円85名/64名755万円(2025年12月期)注記なし
シンバイオ製薬(4582)連結13.08億円(2025年12月期)営業損失44.4億円91名/86名1,375.8万円(2025年12月期)注記あり・債務超過
カイオム・バイオサイエンス(4583)5.93億円(2025年12月期・非連結)営業損失9.80億円49名767.6万円(2025年12月期)注記なし

この表から読み取れることを整理します。

  • 平均年収の順位と会社の規模はまったく一致しない:最も高い1,375.8万円は連結売上13.08億円・営業損失44.4億円の会社の数字です。母数86名・平均年齢の高い組織であることが金額を押し上げています。
  • 大塚HDの約1,000万円は「単体224名」の数字:連結37,758名との差は約169倍。5社のなかで最も母数の代表性が低い数字です。
  • ダイトの486.9万円は単体847名・連結1,073名:母数が大きく、現場の実態をおおむね反映していると考えられます(推定情報)。金額は5社で最も低いものの、数字としての信頼性はむしろ高い部類です。
  • 継続企業の前提の記載は会社によって分かれる:大塚HDは注記なしで、財務健全性の面では5社中最も安定した位置にあります。

つまり、有価証券報告書の平均年間給与は「どの会社が高給か」ではなく「誰の給与を集計したか」を表す数字だということです。転職先を比較するときは、金額の横に必ず母数(提出会社の従業員数)を並べて見てください。

大塚グループへの転職が向いている人・向いていない人

ここまでの公式情報と口コミ傾向をふまえて、適性を整理します(推定情報を含みます)。個人の志向によって評価は変わるため、あくまで判断の出発点として使ってください。

向いている人向いていない人
医療用医薬品と消費財の両方に関心があり、事業の幅を経験したい人「ポカリの会社」というイメージだけで応募を決めようとしている人
働き方・人間関係の安定を優先し、待遇は業界水準で納得できる人短期間で年収を大きく引き上げることを最優先する人
財務基盤の厚い企業で腰を据えて中長期のテーマに取り組みたい人右肩上がりの増益局面で勢いに乗ることを重視する人
徳島・大阪を含む拠点間の異動を前向きに受け止められる人勤務地を東京に固定したい人
グループ各社の違いを自分で調べて応募先を選べる人「大塚グループ」という括りで待遇を判断してしまう人
評価制度の変更にも制度の事実として向き合える人年功的な給与の積み上がりを前提に生涯設計をしたい人

大塚ホールディングスに関するよくある質問

転職・就職を検討する人から実際に検索されている疑問に、公式情報と口コミ傾向を分けて回答します。

平均年収1,000万円というのは本当ですか?

数字自体は本当です。第18期有価証券報告書によると、平均年間給与は10,004,876円と記載されています(公式情報)。ただしこれは持株会社である大塚ホールディングス単体の従業員224名を母数にした数字で、連結37,758名の実態を示すものではありません。事業会社に応募する人の想定年収としては使えない数字です。

大塚製薬に転職した場合、年収はどのくらいになりますか?

大塚製薬は非上場で有価証券報告書がないため、年収の一次情報は存在しません。参考値としてOpenWorkでは平均733万円(正社員301人・平均年齢32歳・レンジ300万〜1,700万円)、他の転職メディア集計では約738万円(平均年齢約44歳)とされていますが、いずれも口コミ傾向にもとづく推計値です。実際の金額は求人票の年収レンジと内定時の労働条件通知書で確認してください。

本社はどこですか?神田と品川のどちらですか?

有価証券報告書に記載された登記上の本店は東京都千代田区神田司町2-9です(公式情報)。港区港南2-16-4 品川グランドセントラルタワーは大塚製薬の「東京本部」の住所で、二次情報サイトが本社として掲載していることがあります。ほかに大阪本部(大阪市中央区大手通3-2-27)と徳島本部(徳島市川内町加賀須野463-10)があります。

中途採用はどこに応募すればよいですか?

公式サイトによると、大塚ホールディングス本体はキャリア採用のみをWorkday経由で実施しており、新卒採用はグループ各社が個別に行っています。持株会社本体の従業員は224名ですので、本体の募集は本社機能の少数枠が中心と考えられます(推定情報)。大塚製薬・大塚製薬工場・大鵬薬品工業などの事業会社は、それぞれ独自に採用ページを持っています。応募前に法人名を必ず確認してください。

大塚商会とは関係がありますか?

ありません。株式会社大塚商会(4768・東証プライム)はシステムインテグレータで、大塚ホールディングスとは資本関係のない完全な別会社です。年収データや口コミを参照する際に混同しやすいため、社名を最後まで確認してください。

将来性はどう見ればよいですか?買収されるリスクはありますか?

決算短信によると、2026年12月期の会社予想は営業利益3,600億円(▲24.9%)・親会社帰属当期利益2,650億円(▲27.0%)と大幅減益の見通しです(公式情報)。一方で営業CF4,035億円・現金5,346億円・親会社所有者帰属持分比率72.3%と財務は健全で、継続企業の前提に関する注記もありません。株主構成では野村信託銀行(大塚創業家持株会信託口)が9.91%を保有する第2位株主であり、創業家の持株会が単独で約1割を握っています。TOBや非公開化の具体的な動きは、2026年8月時点の公表資料には見当たりませんでした。

大塚ホールディングスへの転職判断まとめ

ここまでの内容を判断軸ごとに整理します。最終的な判断は、求人票と労働条件通知書、そして自分の適性を含めて行ってください。

判断軸評価と根拠
年収の情報精度持株会社の1,000万円は公式情報だが母数224名。事業会社の年収は一次情報なし=求人票と労働条件通知書で個別確認が必須
勤続年数の読み方3.3年は出向・転籍中心の持株会社特有の見え方。定着度の指標としては使えない
働き方大塚製薬の口コミ傾向では月残業28.5時間・有給消化率61.6%。製薬業界としては標準〜やや良好
待遇・評価への納得感OpenWorkの待遇満足度2.9・人事評価の適正感2.9と相対的に低い。給与制度改定への言及が繰り返し見られる
業績トレンド2025年12月期は増収増益だが、2026年12月期は営業利益▲24.9%・純利益▲27.0%の会社予想
財務安定性営業CF4,035億円・現金5,346億円・持分比率72.3%・継続企業の前提の注記なし。短期の資金面の懸念は見当たらない
応募先の選び方持株会社と7社の事業会社で待遇・カルチャーが異なる。法人単位で調べる必要がある
勤務地本店は千代田区神田司町。大阪本部・徳島本部があり、職種によって地方配属の可能性がある

編集部の見解として総合すると、大塚ホールディングスは「財務の安定性と事業の幅を重視する人には合理的な選択肢」である一方、「有報の年収1,000万円を期待して応募すると前提が崩れる会社」でもあります。数字そのものは正確ですが、その数字が誰のものかを取り違えると判断を誤ります。応募すべきなのは持株会社ではなく事業会社であり、年収の答えは求人票のなかにしかない——これが本記事の実務的な結論です。2026年12月期が減益予想である点も含め、入社後1〜2年の環境を冷静に見積もったうえで意思決定することをおすすめします。

どのサービスを使えばいいか決められないとき

このサイトはアフィリエイトで収益を得ています。読者がサービスに登録すると当サイトに報酬が発生します。

自分の状況だとどのサービスが合うのか判断がつかない場合は、無料の相談を受け付けています。相談内容をうかがったうえで、条件に合いそうな転職サービスをご案内します。

登録や応募を急かすことはしません。 「いま動かないほうがいい」と考えた場合はそう伝えます。

→ 無料転職相談はこちら

※当サイトは職業紹介事業者ではありません。求人の紹介・あっせんは行わず、転職サービスのご案内までを行います。

本記事の出典・参考情報

本記事で参照した一次情報・口コミ情報の出典は以下の通りです。最新の正確な数値は各リンク先で確認してください。

公式情報源

数値の一次情報は、第18期有価証券報告書(2026年3月26日提出・2025年12月期)の「従業員の状況」および2025年12月期決算短信〔IFRS〕(連結・2026年2月13日開示)です。

口コミ・評判の参照元

本記事では、匿名掲示板の書き込みは出典として使用していません。口コミは投稿者の主観であり、企業の公式見解ではありません。

免責事項:本記事の数値・評価は公式情報・口コミ傾向・推定情報の3分類で示しており、口コミ傾向や推定情報は断定ではなく傾向・可能性として表現しています。最終判断は読者自身で公式IRおよび内定時の労働条件通知書で確認してください。

この記事の編集方針・情報の確認について

この記事は、公式公開情報(有価証券報告書・IR資料)、求人情報、口コミ傾向をそれぞれ分けて整理し、転職・就職判断に役立つよう編集しています。年収・平均年齢・平均勤続年数・従業員数などの中核データは有価証券報告書「従業員の状況」を一次情報として確認し、口コミ・推定情報とは明確に区別しています。人員削減・行政処分については、一次情報で裏づけの取れなかった事項を「言えないこと」として明示し、断定を避けています。記載内容は最終更新時点の公開情報にもとづきます。最新の正確な数値は各公式IRページでご確認ください。

著者紹介
コロ助
コロ助
企業と転職サービスを、有価証券報告書などの一次情報から読んでいます。
著者紹介
記事URLをコピーしました