ステムリムの将来性と年収687万円|事業収益ゼロ・45名の阪大発創薬ベンチャー
※本記事にはプロモーションを含みます。
この記事の結論
- 正体:大阪大学発・従業員45名の「再生誘導医薬」創薬ベンチャー
- 年収:有報の平均年間給与は687万4千円(第20期・45名)
- 勤務地:本社は茨木市だが従業員33名は吹田市の研究所に在籍
- 将来性:現預金69億94百万円、収益は塩野義製薬1社に依存
株式会社ステムリム(証券コード4599・東証グロース)は、大阪大学大学院医学系研究科の研究成果をもとに設立された創薬ベンチャーです。社名で検索すると株価や掲示板に関する情報が大量に出てきますが、この記事は投資判断のための記事ではなく、転職・就職を検討している人が「この会社がどんな組織で、働く場所として将来性をどう評価すべきか」を判断するための記事です。第20期(2025年7月期)有価証券報告書の実額をもとに、事業の中身・勤務地の実態・年収・資金余力・開発パイプラインの節目までを、公式情報/口コミ傾向/推定情報の3分類に分けて整理します。
株式会社ステムリムとは|「再生誘導医薬」で何をしている会社か
最初に押さえるべき結論は、ステムリムは薬を売っている会社ではなく、薬のもとになる技術を開発して製薬企業に導出する会社だということです。ここを理解しないと、事業収益や損益の数字を正しく読めません。公式情報として、同社は2006年10月に設立され、2018年7月に「株式会社ステムリム(StemRIM Inc.)」へ社名変更、2019年8月に東証マザーズへ上場し、2022年4月の市場区分見直しでグロース市場へ移行しています。代表取締役社長CEOは岡島正恒氏(2023年10月より現任)で、旧・住友銀行を経てバイオベンチャー経営に転じた経歴を持ちます。
事業セグメントは「再生誘導医薬®事業」の単一セグメントで、連結子会社を持たない単体決算の会社です。従業員は45名(2025年7月31日現在、派遣社員23名は外数)と、上場企業としては極めて小規模な組織です。求職者にとっては、「配属先の選択肢が少ない」「一人あたりの担当範囲が広い」という前提から逆算して考える必要がある会社だといえます。
再生誘導医薬®は「細胞を入れない再生医療」
同社の中核技術は、大阪大学の玉井克人教授らが同定した「骨髄由来間葉系幹細胞の損傷組織集積メカニズム」に基づいています。一般的な再生医療・細胞治療が体外で培養した細胞そのものを投与するのに対し、再生誘導医薬はペプチド医薬を投与することで、患者自身の骨髄内にある間葉系幹細胞を動員し、損傷した組織へ集積させて再生を促すという考え方をとります。
この違いは、転職検討者にとって実務上の意味を持ちます。細胞医療企業であれば細胞培養加工施設(CPC)の運用要員や品質管理の人員が必要ですが、ペプチド医薬をベースにする同社は、製剤の製造そのものよりも非臨床研究・臨床開発・薬事・知的財産といった機能に人員が集中しやすい構造です。実際に従業員45名のうち33名が研究所に在籍しており、組織の重心が研究開発側にあることは有価証券報告書の事業所別内訳からも読み取れます。
収益は自社販売ではなく塩野義製薬への導出から生まれる
主力パイプラインはHMGB1由来ペプチド「レダセムチド」(塩野義製薬の開発コードS-005151)です。公式情報として、同社は2010年4月に塩野義製薬と骨髄由来幹細胞動員因子の共同研究契約を締結し、2014年11月にレダセムチドの全世界を対象とする再実施許諾権付き独占ライセンス契約を、2020年6月には変形性膝関節症・慢性肝疾患・心筋症への適応拡大契約を結んでいます。適応症は栄養障害型表皮水疱症、急性期脳梗塞、慢性肝疾患、変形性膝関節症、虚血性心筋症で、いずれも第II相の段階です。
つまり同社の収益は、製品の売上ではなく契約一時金・開発マイルストーン・将来のロイヤリティから生まれます。有価証券報告書によると、塩野義製薬とのライセンス契約に基づく累計受領額は契約一時金・マイルストーン合計で4,046百万円(約40億46百万円)に達しています。一方で、上市品はまだ存在せず、ロイヤリティ収入のような継続的・安定的な収益源は現時点で確立されていません。
ステムリムの公式データ一覧(第20期・有価証券報告書ベース)
まず一次情報の数値をまとめて確認します。以下はすべて第20期(自2024年8月1日 至2025年7月31日)の有価証券報告書(2025年10月21日提出)に基づく公式情報です。最新の正確な数値は公式IRページで再確認してください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 商号 | 株式会社ステムリム(StemRIM Inc.) |
| 証券コード/市場 | 4599/東京証券取引所グロース市場(2019年8月上場) |
| 本店の所在の場所 | 大阪府茨木市彩都あさぎ七丁目7番15号 |
| 設立 | 2006年10月 |
| 代表者 | 代表取締役社長CEO 岡島正恒 |
| 平均年間給与 | 6,874千円(約687万4千円)/提出会社45名・賞与および基準外賃金を含む |
| 平均年齢 | 40.6歳 |
| 平均勤続年数 | 5.2年 |
| 従業員数 | 45名(外、平均臨時雇用者数=派遣社員23名)/単体・連結子会社なし |
| 事業収益(売上高に相当) | 0円(第19期・第20期とも計上なし) |
| 営業損失 | 1,971,532千円(約19億71百万円) |
| 経常損失/当期純損失 | 1,970,444千円/1,929,437千円 |
| 研究開発費 | 1,394,651千円(約13億94百万円・前期比4.0%減) |
| 純資産/総資産 | 7,314,229千円/7,518,659千円(自己資本比率78.0%) |
| 現金及び現金同等物期末残高 | 6,994,592千円(約69億94百万円) |
| 配当 | 無配(配当実績なし) |
| 労働組合 | 結成されていない |
| 出典 | 第20期(2025年7月期)有価証券報告書/同社IR「財務ハイライト」 |
売上高・営業利益に相当する行が「0円」「損失」となっている点が、一般的な事業会社の記事との最大の違いです。これは業績が悪化したというより、導出型の創薬ベンチャーでは契約の進捗がない期に収益がゼロになるという構造上の特性によるものです。次章以降で、この構造を数字で分解します。
勤務地の実態|本社は茨木市・彩都だが、従業員の7割超は吹田市にいる
転職検討者にとって、この章の情報は年収より先に確認すべき実務情報です。結論から言うと、登記上の本社所在地と、実際に人が働いている場所が一致していません。求人票や会社概要だけを見て通勤時間を計算すると、入社後の想定が大きくずれる可能性があります。
事業所別の従業員内訳(有価証券報告書「主要な設備の状況」より)
公式情報として、第20期有価証券報告書に記載された事業所別の従業員数は以下の通りです。
| 事業所 | 所在地 | 従業員数 | 派遣社員(外数) |
|---|---|---|---|
| 本社・彩都ラボ | 大阪府茨木市 | 11名 | 12名 |
| 再生誘導医学協働研究所 | 大阪府吹田市(大阪大学テクノアライアンス棟) | 33名 | 8名 |
| 大阪大学ラボ | 大阪府吹田市 | 0名 | 1名 |
従業員45名のうち33名、実に7割超が吹田市の再生誘導医学協働研究所に在籍しています。この研究所は2020年6月に大阪大学キャンパス内のテクノアライアンス棟に開設された床面積1,540平方メートルの拠点で、大学との距離が物理的にも近い環境です。研究職として入社する場合、実質的な勤務地は茨木市の彩都ではなく吹田市の阪大キャンパス内になる可能性が高いと考えられます(推定情報を含みます。実際の配属先は求人票と労働条件通知書で必ず確認してください)。
大学キャンパス内で働くという環境は、アカデミアとの共同研究に日常的に関わりたい人にとって魅力になります。一方で、企業のオフィスらしい環境や、複数拠点間のジョブローテーションを期待する人にとってはイメージが合わない可能性があります。
同じ登記住所のファンペップ(4881)とは完全な別会社
検索時に混同されやすい点として、株式会社ファンペップ(証券コード4881)も登記上の本店所在地が「大阪府茨木市彩都あさぎ七丁目7番15号」で、ステムリムと同一住所です。ただし両社は資本関係のない完全な別会社です。ファンペップは同じく大阪大学発のペプチド医薬創薬ベンチャーですが、有価証券報告書の表紙に登記上の本店所在地である旨が明記されており、彩都のオフィスは2021年6月に閉鎖済みで、実際の業務は東京都中央区日本橋本町で行われています。
対してステムリムは、同住所に実在の拠点(本社・彩都ラボ、従業員11名)を持っています。「茨木市彩都で検索したら2社出てきた」という段階で混同すると、面接での企業研究が根本からずれます。応募前に証券コード(ステムリム=4599/ファンペップ=4881)で区別しておくことをおすすめします。
事業収益が「0円」と「23.5億円」を行き来する理由
ステムリムの数字を読むうえで最も重要なのがこの章です。結論として、同社の事業収益は年度ごとに0円と20億円台を行き来しており、単年度の損益だけを見て「業績が悪化した」「回復した」と判断することはできません。読者が得られるのは、「どの数字を見れば入社後の安定度を評価できるか」という判断軸です。
過去5期の事業収益と当期純損益(有価証券報告書「主要な経営指標等の推移」より)
公式情報として、直近5期の推移は以下の通りです。
| 期 | 事業収益 | 当期純損益 | 現金及び現金同等物期末残高 |
|---|---|---|---|
| 第16期(2021年7月期) | 約14億円 | △582,448千円 | 約101.7億円 |
| 第17期(2022年7月期) | 22,976千円 | △1,948,307千円 | 約88.8億円 |
| 第18期(2023年7月期) | 23億5,000万円 | +168,350千円 | 約102.2億円 |
| 第19期(2024年7月期) | 計上なし(0円) | △2,022,166千円 | 約84.1億円 |
| 第20期(2025年7月期) | 計上なし(0円) | △1,929,437千円 | 約69.9億円 |
この振れ幅は、塩野義製薬からの契約一時金・マイルストーンを受領した期にだけ収益が立つという収益認識の構造から生じています。第16期14億円、第18期23億5,000万円という収益は、いずれも契約の節目に対応するもので、毎年繰り返し発生する性質のものではありません。一方、費用側は研究開発費が第20期で13億94百万円と継続的に発生するため、収益がない期は自動的に20億円前後の営業損失になります。
第18期の黒字を「安定的な黒字」と読み違えない
第18期(2023年7月期)は営業利益・当期純利益ともに168,350千円の黒字でした。ただしこれは事業収益23億5,000万円という単発の一時金によるもので、継続的な収益基盤ができたことを意味しません。実際、翌第19期には事業収益がゼロに戻り、営業損失20億76百万円・当期純損失20億22百万円を計上しています。
面接で「黒字化した実績がある会社ですよね」と話すと、この構造を理解していないと受け取られる可能性があります。逆に、「収益が一時金依存であることを理解したうえで、パイプラインの進捗をどう見ているか」を語れると、企業研究の深さが伝わります(推定情報)。
資金はどれくらい持つのか|現預金69億94百万円とランウェイの考え方
創薬ベンチャーへの転職で最大の不安は「会社が資金を使い切らないか」でしょう。結論として、ステムリムは同業の小規模バイオ企業のなかでは資金余力が比較的厚い部類にあります。ただし収益ゼロが続けば資金調達が必要になる構造そのものは変わりません。事実と会社自身の開示を分けて確認します。
継続企業の前提に関する注記も「重要事象等」の記載もない
公式情報として、第20期有価証券報告書には、①継続企業の前提に関する注記=なし、②「継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象又は状況(重要事象等)」の記載=なし、のいずれも確定しています。監査法人はEY新日本有限責任監査法人で、監査意見は無限定適正意見です。また同社は債務超過ではなく、第20期末の純資産は73億14百万円、総資産75億19百万円、自己資本比率78.0%です。
キャッシュの観点では、期末の現金及び現金同等物69億94百万円を第20期の営業キャッシュ・フロー流出額(△14億1,461万円)で割ると、単純計算で約4.9年分となります。これはあくまで「今の支出ペースが続き、追加の収入も調達もない」と仮定した机上の目安ですが、上市品を持たないバイオベンチャーとしては相応の厚みがある水準です(推定情報)。
ただし直近の動きには注意が必要です。二次ソースである報道(2026年6月10日発表の2026年7月期第3四半期決算に関する記事)によると、同四半期累計の営業損失は約14.84億円、経常損失は約14.37億円で、現金及び預金はさらに約12.88億円減少し総資産は約63.57億円になったとされています。会社側は2028年までの研究開発資金を確保しているとも報じられていますが、この点は一次情報での確認が取れていないため、断定はできません。
上場維持基準と時価総額の現状
グロース市場に上場する小規模バイオ企業では、上場維持基準の充足が話題になりがちです。ステムリムの時価総額は約221.9億円(2026年8月24日時点・IRBANK)で、現行のグロース市場の基準(上場後10年経過時点で時価総額40億円。同社の上場は2019年8月のため到来は2029年8月)と、2030年適用予定の新基準100億円のいずれも、現時点では上回っています。
一方で株価そのものは下落しています。有価証券報告書に記載された最高株価は第18期1,518円に対し第20期は465円、株主総利回りは第19期54.8%から第20期38.8%へ低下しています(同期間の東証グロース市場250指数は79.3%)。現時点で上場維持基準に余裕があることと、株価が下落していることは両立します。株価水準が長期に低迷すれば将来的な論点になり得る、という理解が妥当です(推定情報)。
会社自身が挙げている「資金繰り」リスク
財務の安全性を語るうえで最も誠実な材料は、会社自身の開示です。第20期有価証券報告書の「事業等のリスク」の資金繰りに関する項目には、次のように記載されています。
「必要なタイミングで資金を確保できなかった場合は、当社事業の継続に重大な懸念が生じる可能性があります」
あわせて、資金調達を行う場合に既存株主の持分が希薄化するリスクも会社自身が挙げています。継続企業の前提に関する注記がないという事実と、会社がリスクとして資金繰りを明示している事実は、どちらも同じ有価証券報告書に併記されています。転職判断では両方を見たうえで、自分がどこまでのリスクを許容できるかを決めることになります。
ステムリムの将来性|転職先としてどう評価するか
「ステムリム 将来性」は、社名関連の検索のなかでも転職検討者からの需要が確認できるキーワードです。結論として、同社の将来性は「レダセムチドが承認されるかどうか」という一点に強く収束しており、判断の材料は開発ステージと契約構造の2つに絞られます。抽象的な「今後の成長が期待される」という説明では判断できないため、具体的な節目で整理します。
レダセムチドの開発ステージと、目前に迫る分水嶺
公式情報として、2025年7月に栄養障害型表皮水疱症を対象とした追加第II相試験で最終症例の組み入れが完了しています。また2024年12月には、AMED(日本医療研究開発機構)の令和6年度再生・細胞医療・遺伝子治療産業化促進事業に採択されています。
報道ベース(二次ソース)では、栄養障害型表皮水疱症・急性期脳梗塞のいずれも2026年9月までに治験結果の速報が得られる見込みで、表皮水疱症については2026年度下半期に国内承認申請、2027年度の上市が見込まれるとされています。急性期脳梗塞の上市時期は2028年4月から2031年3月の見通しと報じられています。これらは会社の確定的な公表値ではないため、応募前に最新のIRリリースで必ず確認してください。
転職判断の観点では、入社を検討している時期が「開発の分水嶺の直前」に当たる可能性が高いという点が重要です。良い結果が出れば承認申請・上市に向けて薬事・製造販売後の体制構築など新しい業務が急速に増える一方、想定と異なる結果になれば開発計画そのものの見直しが必要になります(推定情報)。
収益の全額が塩野義製薬1社との契約進捗に依存する構造
バイオ業界では、導入・導出型のビジネスモデルが広く定着しています。固定費が軽く、開発と交渉の職種に人材需要が集中するのが特徴ですが、裏返せば収益がパートナー企業の判断に左右されるということでもあります。ステムリムの場合、この依存度が特に高く、事業収益の実質的な全額が塩野義製薬との契約進捗によって決まります。塩野義製薬は同社株式の7.5%(4,650千株)を保有する第4位株主でもあり、資本と事業の両面でつながっています。
したがって将来性を評価する際は、「ステムリムの技術が優れているか」だけでなく、「塩野義製薬が今後もこのパイプラインに投資を続けるか」という他社側の意思決定まで視野に入れる必要があります。この構造は、大手製薬の研究開発職から転じる人にとっては新鮮であり、同時に不確実性の源にもなります。
次の柱づくり|SR-GT1と再生誘導医薬の横展開
単一パイプライン依存を緩和する動きも見られます。2026年3月には、栄養障害型表皮水疱症の根治治療を目的とした幹細胞遺伝子治療技術「SR-GT1」の特許登録(日本、出願人は大阪大学)が開示されました。またレダセムチド自体も、表皮水疱症・脳梗塞に加えて慢性肝疾患・変形性膝関節症・虚血性心筋症へと適応拡大を進めています。
ただしいずれも上市には至っておらず、収益化までの距離は依然として長いのが現状です。「複数の柱があるから安定している」と読むのではなく、「単一技術プラットフォームを複数の疾患に展開している段階」と理解するのが実態に近いといえます(推定情報)。
ステムリムの年収は687万4千円|有報の数字が誰の年収かを分解する
結論として、第20期有価証券報告書に記載された平均年間給与は6,874千円(約687万4千円)です。これは提出会社の従業員45名を母数とし、賞与および基準外賃金を含む金額です。ただしこの数字をそのまま「自分の想定年収」と考えるのは危険で、母数の構成を理解する必要があります。
平均年齢40.6歳・平均勤続5.2年が示すもの
公式情報として、2025年7月31日現在の平均年齢は40.6歳、平均勤続年数は5.2年です。勤続年数は第16期2.7年→第18期4.4年→第20期5.2年と伸びており、従業員数も第16期46名→第17期44名→第18期44名→第19期44名→第20期45名とほぼ横ばいで推移しています。数値の上では、大量離職を示すような不連続な変化は見られません(希望退職募集・整理解雇に関する開示も確認されていません)。
一方で、母数45名という規模には注意が必要です。研究職が中心で博士号保有者を含み、管理職比率も高い構成であるため、平均値は比較的シニアな層に引っ張られている可能性があります。さらに派遣社員23名は平均給与の対象外(外数)です。従業員45名に対して派遣23名という比率は、研究支援業務を派遣で賄う比重が高いことを示しており、応募職種が正社員採用なのか、どの業務範囲を担うのかは求人票で確認する必要があります(推定情報)。
口コミ上の年収傾向と「賞与」への言及
口コミ傾向としては、転職会議に掲載されている情報では平均年収550万円・平均年齢35.5歳とされており、有価証券報告書の687万4千円・40.6歳より低い水準です。これは投稿者の年齢層や職位が有報の母集団と異なるためと考えられます(推定情報)。またOpenWorkの定性コメントでは「賞与なし」という指摘が見られます。
ただし有報の平均年間給与には賞与および基準外賃金が含まれると明記されているため、賞与に関する口コミと有報の定義は、そのまま突き合わせられません。年収を確認する際は、月額固定給・賞与の有無と算定方法・ストックオプションの付与条件を、面接および内定時の労働条件通知書で個別に確認するのが確実です。

平均687万円って、研究職なら実際どのくらいもらえるんでしょうか?
役員報酬とのギャップ、ストックオプション制度
参考情報として、第20期の岡島正恒社長CEOの役員報酬総額は148,063千円(約1億4,806万円)で、報酬1億円以上の個別開示対象となっています。ただしこの金額は譲渡制限付株式報酬やストックオプション等の非金銭報酬が大半を占めます。従業員平均687万4千円と比較すると約21.5倍ですが、現金支給部分だけを比べた数字ではない点に注意が必要です。
一方、同社は従業員だけでなく派遣社員も対象に含むストックオプション制度を導入しています。上市に成功した場合のアップサイドを従業員が共有できる仕組みがあるという意味では、固定給の水準だけで報酬全体を評価すべきではないともいえます(推定情報)。
働き方と社風|数字は良好、ただし口コミの母数は極端に小さい
この章の結論は2つです。第一に、労働時間・有給に関する数値は良好です。第二に、ステムリムの口コミは合計19件・実質的な回答者は一桁にとどまり、統計的な代表性はありません。「口コミが少ないこと自体」を前提として読む必要があります。
口コミの母数(OpenWork11件・回答者2人/転職会議8件)
口コミ傾向として、OpenWorkの総合評価は3.02(全79,987社中の上位39%相当)ですが、社員クチコミは11件・回答者は2人のみです。回答者の属性は「研究職・在籍3〜5年・中途入社」1名と「研究員・2015年より前に退社・女性」1名と表示されています。項目別スコアは、社員の相互尊重3.2/20代成長環境3.2/法令順守意識3.2/待遇面の満足度3.0/社員の士気2.9/風通しの良さ2.9/人材の長期育成2.9/人事評価の適正感2.9です。
注目すべきは労働時間関連の数値で、月間残業時間10.5時間・有給消化率89.7%と、いずれも良好な水準が示されています。転職会議側では口コミ8件・総合評点3.50、月間残業32.5時間・有給消化率75%と、やや異なる数値になっています。定性コメントとしては「トップダウンの色が強い」「賞与なし」といった指摘が目立ちます。
これらを総合すると、「残業は比較的少なく有給は取りやすい一方、賞与制度が薄く、意思決定はトップダウン寄りで、評価制度への不満が残る」という小規模研究所型ベンチャーに典型的な傾向が読み取れます。ただし繰り返しになりますが、2サイト合計19件・回答者は一桁です。この傾向を会社全体の実態として断定することはできません。
女性管理職比率54.5%・育休・フレックスという公式指標
口コミが薄い分、有価証券報告書のサステナビリティ関連指標が有力な判断材料になります。公式情報として、2025年7月31日時点の女性管理職比率は54.5%です。上場企業全体で見ても際立って高い水準で、45名規模という母数の小ささを差し引いても、管理職層の男女構成が偏っていないことは事実として確認できます。
そのほか、年次有給休暇の取得は平均14.6日、女性の育児休業取得率は100%(男性は2025年7月期に対象者なし)、2021年からフレックスタイム制を導入しています。2027年7月期の目標として、男性育休取得率90%・有給年8日以上取得を掲げています。なお労働組合は結成されていません。
人事評価制度の刷新と、古い口コミとの乖離
もう一点重要なのが、同社は当期より人事評価制度を刷新したと有価証券報告書に記載していることです。OpenWorkの回答者2人のうち1人は2015年より前の退職者であり、投稿内容が現在の制度を反映していない可能性があります。
「評価制度への不満」という口コミを読む際は、それがいつ時点の制度についての言及なのかを確認し、面接で現行の評価制度・昇給の考え方を直接質問するのが実務的な対処になります(推定情報)。少人数の会社では、口コミよりも面接での確認の方が精度が高くなる場面が多くあります。
医薬品・バイオ5社の比較|決算期が異なる点に注意
同じ「医薬品」に分類される上場企業でも、収益構造と組織規模はまったく異なります。ここでは事業モデルが近い5社を、直近の有価証券報告書ベースで比較します。5社はすべて決算期が異なるため、年度を必ず併記しています。数値は各社の公式開示に基づく公式情報ですが、比較の解釈には推定情報が含まれます。
| 企業名(コード) | 対象期 | 売上高・事業収益 | 営業損益 | 従業員数 | 有報の平均年間給与 |
|---|---|---|---|---|---|
| ステムリム(4599) | 2025年7月期 | 0円 | △19.7億円 | 45名(派遣23名は外数) | 687.4万円 |
| セルソース(4880) | 2025年10月期 | 37.11億円 | +1.67億円 | 連結148名(提出会社148名) | 663.2万円 |
| ソレイジア・ファーマ(4597) | 2025年12月期 | 4.29億円 | △8.61億円 | 連結22名・単体17名 | 1,480万円 |
| ファンペップ(4881) | 2025年12月期 | 31.4万円 | △16.49億円 | 連結15名(提出会社15名) | 1,006万円 |
| Delta-Fly Pharma(4598) | 2026年3月期 | 0円 | △16.05億円 | 12名 | 594.8万円 |
この表から読み取れる、ステムリムの相対的な位置づけは次の通りです。
- 組織規模は中位:45名は、セルソース148名には及ばないものの、12〜22名の3社よりは明確に大きい。研究所単位でチームが成立する規模
- 平均年収は下から2番目だが、母数の性質が異なる:ソレイジア(平均年齢56.0歳)やファンペップ(15名中2名が使用人兼務役員)は少人数かつシニア構成で平均が押し上げられており、単純比較はできない
- 資金余力は5社で最も厚い:現預金69億94百万円・自己資本比率78.0%で、単純計算のランウェイは約4.9年。ファンペップは約1.3年、Delta-Fly Pharmaは2026年6月30日時点で債務超過に転落している
- 唯一、上場維持基準に明確な余裕がある:時価総額約221.9億円は、グロース市場の現行基準・2030年新基準のいずれも上回る水準
また、5社すべてが継続企業の前提に関する注記のない状態にありますが、Delta-Fly Pharmaは注記がないまま四半期末時点で債務超過に転落しています。「注記がない=安全」ではないことを示す実例であり、財務の安全性はキャッシュ残高と支出ペースの両方で確認する必要があります(推定情報)。
ステムリムへの転職が向いている人・向いていない人
ここまでの公式情報・口コミ傾向をふまえ、適性を整理します(推定情報を含みます)。年収の絶対額よりも、「収益ゼロの期がある会社で働くことをどう捉えるか」が判断の分かれ目になります。
| 向いている人 | 向いていない人 |
|---|---|
| アカデミア発の技術を医薬品にする過程そのものに関心がある人 | 製品を売る仕事・顧客接点のある仕事をしたい人(自社販売機能がない) |
| 大阪大学キャンパス内の研究所(吹田市)で働くことに魅力を感じる人 | 都心のオフィス勤務や複数拠点でのローテーションを望む人 |
| 45名規模で担当範囲が広く、自走してキャッチアップできる人 | 体系的な研修・メンター制度のもとで育成されたい人 |
| 単年度の損益ではなくパイプラインの進捗で会社を評価できる人 | 毎期安定した売上と賞与を前提に生活設計をしたい人 |
| ストックオプションを含めた中長期の報酬設計を許容できる人 | 意思決定プロセスへの参加感やボトムアップの文化を重視する人 |
編集部の見解|どういう条件なら選択肢になるか
編集部の見解として、ステムリムは「専門性が明確な人にとっては魅力が大きく、キャリアの安全性を最優先する人には合いにくい」会社だと考えられます。理由を4つの角度から整理します。
- 論理面:自己資本比率78.0%・現預金69億94百万円という財務は、上市品を持たないバイオベンチャーとしては厚い。一方で事業収益が2期連続ゼロという事実も同時に存在し、両者を切り離して評価することはできない
- 実利面:平均年間給与687万4千円は、大手製薬の同年代水準と比べると控えめな可能性がある。ただし月間残業10.5時間・有給消化89.7%という口コミ上の数値が正しければ、時間あたりの条件は悪くない
- 感情面:再生誘導医薬という独自の考え方に共感できるか、玉井克人教授の研究シーズを事業化するという文脈に自分を重ねられるかが、入社後の満足度を大きく左右すると考えられる
- 未来像:2026年から2027年にかけて開発の節目が集中する見通しであり、承認申請フェーズを社内から経験できる可能性がある。オンコロジー以外の再生医療領域での臨床開発・薬事の経験は、転職市場での希少価値になりやすい
総合すると、臨床開発・薬事・非臨床研究・知的財産といった専門機能で経験を積んでおり、次の5年で「承認申請まで見た経験」を取りに行きたい人にはおすすめできると考えられます。逆に、育成環境や職種転換の選択肢、毎期の安定した賞与を重視する人には、より規模の大きい企業を並行して検討することをおすすめします。
ステムリムに関するよくある質問(FAQ)
ステムリムへの転職・就職を検討する人からよくある質問と回答をまとめました。
ステムリムの年収はいくらですか?
第20期(2025年7月期)有価証券報告書によると、平均年間給与は6,874千円(約687万4千円)です。提出会社の従業員45名が母数で、賞与および基準外賃金を含みます。派遣社員23名は対象外(外数)です。過去推移では第19期604万円前後から上昇していますが、過年度値は二次ソース(EDINET DB)による参考値です。
ステムリムの将来性はどう評価すればよいですか?
判断材料は主に2つです。1つはレダセムチドの開発進捗で、栄養障害型表皮水疱症では2025年7月に追加第II相試験の最終症例組み入れが完了しています。もう1つは資金余力で、期末現金及び現金同等物69億94百万円に対し第20期の営業CF流出は14億1,461万円でした。単一パイプラインへの依存度が高いため、IRリリースで開発の節目を継続的に確認することをおすすめします。
ステムリムの勤務地はどこになりますか?
登記上の本店は大阪府茨木市彩都あさぎ七丁目7番15号ですが、有価証券報告書の事業所別従業員数では、本社・彩都ラボ(茨木市)11名に対し、再生誘導医学協働研究所(大阪府吹田市・大阪大学テクノアライアンス棟)が33名です。研究職の実際の勤務地は吹田市になる可能性が高いと考えられます(推定情報)。応募時に必ず確認してください。
ステムリムは赤字が続いていますが、経営は大丈夫ですか?
第20期有価証券報告書には、継続企業の前提に関する注記も「重要事象等」の記載もありません。監査意見は無限定適正意見で、債務超過でもありません(純資産73億14百万円・自己資本比率78.0%)。一方で会社自身が「事業等のリスク」で資金繰りを挙げ、必要なタイミングで資金を確保できなかった場合には事業継続に重大な懸念が生じる可能性があると明記しています。両方の事実をふまえて判断してください。
茨木市彩都に同じ住所の会社があるようですが、関係会社ですか?
株式会社ファンペップ(証券コード4881)が同一の登記住所を持ちますが、資本関係のない完全な別会社です。ファンペップの彩都オフィスは2021年6月に閉鎖済みで、実際の業務は東京都中央区日本橋本町で行われています。ステムリム(4599)は同住所に実在の拠点を持っており、証券コードで区別してください。
口コミが少ないのはなぜですか?どう読めばよいですか?
従業員45名という規模のため、投稿母数自体が小さいことが主因と考えられます。OpenWorkは社員クチコミ11件・回答者2人、転職会議は8件で、合計19件・実質的な回答者は一桁です。統計的な代表性はないため、口コミは参考にとどめ、有価証券報告書の一次データと面接での確認を主軸にすることをおすすめします。
ステムリムへの転職判断まとめ
ここまでの内容を、判断軸ごとに整理します。最終的な判断は、求人票だけでなく自分の経験・適性も含めて確認しましょう。
| 判断軸 | 評価 |
|---|---|
| 年収水準 | 有報の平均年間給与687万4千円(第20期・45名)。母数がシニア寄りの可能性があり、職位別には要確認 |
| 財務の安全性 | 自己資本比率78.0%・現預金69億94百万円。継続企業の前提に関する注記なし。ただし事業収益は2期連続ゼロ |
| 将来性 | レダセムチドの開発進捗に強く依存。2026〜2027年に節目が集中する見通し(二次ソースを含む) |
| 働き方 | 口コミ上は月間残業10.5時間・有給消化89.7%。有報でも有給取得平均14.6日・フレックス導入 |
| 組織・社風 | 45名規模・労働組合なし。女性管理職比率54.5%。口コミでは「トップダウン」との指摘(母数19件) |
| 勤務地 | 登記上は茨木市だが、従業員33名は吹田市の研究所に在籍 |
| キャリアの汎用性 | 再生医療領域の臨床開発・薬事の経験は業界内で評価されやすいと考えられる(推定) |
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本記事の出典・参考情報
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公式情報源
口コミ・評判の参照元
免責事項:本記事の数値・評価は公式情報・口コミ集計・市場推定の3分類で示しており、口コミ傾向や推定情報は断定ではなく傾向・可能性として表現しています。2026年7月期第3四半期の数値・開発スケジュールの見通し・過年度の平均給与推移は二次ソースに基づく参考値であり、一次情報での確認は取れていません。最終判断は読者自身で公式IRおよび内定時の労働条件通知書で確認してください。
この記事の編集方針・情報の確認について
この記事は、公式公開情報(有価証券報告書・IR資料)、求人情報、口コミ傾向をそれぞれ分けて整理し、転職・就職判断に役立つよう編集しています。年収・平均年齢・平均勤続年数・従業員数などの中核データは第20期(2025年7月期)有価証券報告書「従業員の状況」を一次情報として確認し、口コミ・推定情報とは明確に区別しています。株価・投資判断に関する評価は本記事の対象外です。記載内容は最終更新時点の公開情報にもとづきます。最新の正確な数値は各公式IRページでご確認ください。
