企業

電子楽器ローランド(7944)の評判|年収720万円は891名の日本法人の数字

コロ助

※本記事にはプロモーションを含みます。

この記事の結論

  • 対象を限定:本記事は電子楽器メーカーのローランド株式会社(7944・浜松)のみを扱います
  • 年収:有報の平均年間給与720万3千円は提出会社891名の数字です
  • 働き方:離職率2.9%・平均勤続19年11か月・月平均残業は口コミで14.6時間
  • 注意点:純利益は前期比▲63.7%、英CMA制裁金と集団訴訟が係属中です

「ローランド 評判」で検索すると、ホストで実業家のROLAND氏、浜松のもう一社であるローランド ディー.ジー.、ドイツの戦略コンサルであるローランド・ベルガーの情報が入り混じり、電子楽器メーカーとしてのローランド株式会社(証券コード7944)の実像にたどり着けません。この記事では最初に「どのローランドか」を切り分けたうえで、第54期(2025年12月期)有価証券報告書の実額を軸に、年収・勤務地・働き方・業績リスクを転職判断に使える形で整理します。売上の91%を海外で稼ぐ会社の「日本法人891名」という特殊な構造を理解できれば、求人票の数字の読み方まで変わります。

まず結論|あなたが探している「ローランド」はどれか

転職情報を調べるうえで最初にやるべきなのは、社名の特定です。「ローランド」という語は日本語の検索市場で複数の主体に分裂しており、口コミサイトの評価や「辞めた人」「やばい」といった検索候補が、まったく別の会社のものとして表示されるためです。結論として、本記事が扱うのは電子楽器メーカーのローランド株式会社(証券コード7944・本社は静岡県浜松市)だけです。以下の4者を切り分けてください。

名称正体本記事での扱い
ローランド株式会社(7944)電子ピアノ・電子ドラム・シンセサイザー・BOSSブランドのギター機器を手がける電子楽器メーカー。本社は静岡県浜松市浜名区、東証プライム上場本記事の対象
ROLAND氏/ROLANDグループホスト・実業家として著名な個人と、その関連会社(脱毛サロンのROLAND BEAUTY LOUNGE等)。検索候補の「辞めた人」「やばい」の多くはこちら側の検索対象外
ローランド ディー.ジー.株式会社同じ浜松市に本社を置くデジタル印刷機器メーカー(旧証券コード6789)。ローランド株式会社が設立に関与した経緯を持つが別法人で、2024年のMBOにより上場廃止対象外(最も混同されやすい)
ローランド・ベルガードイツ発祥の戦略コンサルティングファーム。「激務」「年収」の検索候補はこちらに紐づくものが多い対象外

さらにアパレルのトゥモローランド、化粧品のコスメテックスローランド、テーマパークのサンリオピューロランドも、部分一致で検索結果に混入します。口コミサイトを見るときは、必ず「ローランド株式会社/静岡県浜松市/証券コード7944」まで一致しているかを確認してください。企業ページのURLが同じでも、投稿者が別会社を指しているケースが起こり得ます。

求職者
求職者

OpenWorkで「ローランド」を見たら評価がバラバラだったのですが、これは同じ会社ですか?

口コミサイト側は法人ごとにページを分けているため、ページを間違えなければ同一企業の投稿です。ただし検索エンジン経由で入ると、ローランド ディー.ジー.のページやROLAND氏関連のページに着地していることがあります。本記事で引用する口コミ傾向は、いずれも電子楽器のローランド株式会社(7944)のページに掲載されたものを対象としています。

ローランド株式会社(7944)の公式データ一覧(有価証券報告書ベース)

まず判断の土台となる一次情報を一覧にします。すべて公式情報であり、出典は第54期(2025年1月1日〜2025年12月31日)の有価証券報告書(2026年3月5日提出)と、同期の決算短信です。最新の正確な数値は公式IRページで再確認してください。

項目内容
商号ローランド株式会社(Roland Corporation)
証券コード・上場区分7944/東証プライム市場(2020年12月に東証一部へ再上場、2022年4月にプライム市場へ移行)
本社所在地静岡県浜松市浜名区新都田一丁目6番4号(新本社「Roland Inspiration Hub」)
設立1972年4月18日(創業者・梯郁太郎氏が大阪市で設立)
代表者代表取締役社長 CEO 蓑輪雅弘
資本金96億4,100万円(2025年12月31日現在)
平均年間給与720万3千円(提出会社891名/賞与・基準外賃金を含む)
平均年齢46歳8か月(提出会社)
平均勤続年数19年11か月(提出会社)
従業員数連結2,897名(外、平均臨時雇用人員50名)/提出会社891名(2025年12月31日現在)
売上高連結1,009億5,200万円(前期比+1.5%)
営業利益94億1,200万円(前期比▲5.4%)/経常利益90億2,200万円(同+7.3%)
親会社株主に帰属する当期純利益21億6,800万円(前期比▲63.7%)
海外売上比率日本国外売上が全体の約91%(日本は9.2%)
グループ構成子会社14社・関連会社1社。海外社員比率69.2%
離職率2.9%(提出会社・2025年)
労働組合ローランド労働組合(上部団体非加入)/組合員533名
出典第54期 有価証券報告書(EDINET)/2025年12月期 決算短信/公式IR資料

ローランドの年収|有報の720万3千円は「891名の日本法人」の数字

結論から言えば、ローランドの年収を読むときに最も重要なのは「その平均は誰の平均か」という点です。同社は連結2,897名のうち約7割が海外勤務であり、有価証券報告書に載る平均年間給与は、そのうち日本の提出会社891名だけを対象にした数字です。ここを取り違えると、求人票のレンジや口コミの数字との差が説明できなくなります。

公式データ:平均年間給与720万3千円・平均年齢46歳8か月

有価証券報告書「従業員の状況」によると、第54期(2025年12月期)の公式情報は次のとおりです。

  • 平均年間給与:720万3千円(提出会社891名。賞与および基準外賃金を含む)
  • 前期(第53期):712万3千円 → 1年で約8万円、率にして約1.1%の増加
  • 平均年齢:46歳8か月/平均勤続年数:19年11か月
  • 年間平均総労働時間:1,915時間(提出会社・2025年)

注意すべきは、この720万3千円が連結2,897名の平均ではないことです。ローランドの日本法人891名は、研究開発・商品企画・本社機能・映像関連機器の生産に特化しており、主力の電子ピアノや電子ドラムの量産はマレーシア子会社(Roland Manufacturing Malaysia)が担っています。つまり有報の平均年収は、開発・企画・管理といった相対的に高付加価値な職種に寄った母集団の数字という性格を持ちます。世界全体の従業員の給与水準を表す数字ではない点は、面接や条件交渉の前提として押さえておく価値があります。

もう一つの前提が平均年齢46歳8か月・平均勤続19年11か月という長さです。これは日本の製造業の中でもかなり高い部類で、20代・30代の実額は平均を下回る可能性が高いと考えられます(推定情報)。逆に言えば、平均が押し上げられているのではなく、長く在籍した層が分厚いことで平均が形成されているという読み方が自然です。

口コミ上の年収傾向:OpenWork回答者ベースで694万円

口コミ傾向としては、OpenWorkに投稿された年収データ(回答者31名)の平均が694万円、レンジは360万〜1,200万円と報告されています。有報の720万3千円との差は約26万円で、回答母数が31名と限られることを踏まえれば、大きな乖離があるとは言いにくい水準です。二次アグリゲータの推定値ではなく有報の実額が主値である点は変わりませんが、口コミと公式数値がここまで近い会社は珍しく、給与情報の信頼度は比較的高いと評価できます。

レンジの下限360万円は若手・一般職・非管理職層、上限1,200万円は管理職・専門職層と推定されます(推定情報)。エン カイシャの評判では口コミ347件・総合3.5(正社員30名回答)で、借上社宅などの福利厚生を評価する声が挙がっています。住宅補助の有無は手取りの実質価値を大きく変えるため、内定時には基本給とは別に確認したい項目です。

職種・年代別の目安と、転職時に確認すべき3点

公式に職種別年収は開示されていないため、以下は口コミレンジと平均年齢構成から導いた推定情報です。断定的な数値ではなく、面接での確認材料として使ってください。

層年収の目安(推定)読み方
20代・実務担当400万〜550万円前後平均年齢46歳8か月の会社であり、平均値との差が最も大きく出やすい層
30代・中堅(開発・企画)550万〜750万円前後平均に近づく水準。中途採用の主戦場と考えられる
40代・管理職/専門職750万〜1,000万円前後口コミレンジ上限の1,200万円は管理職層と推定される

転職時に確認すべきポイントは3つです。

  • 賞与の変動幅:有報の平均年間給与は賞与を含む額です。2025年12月期は純利益が前期比▲63.7%と大きく落ちており、賞与原資の算定方式(営業利益連動か最終利益連動か)は待遇の安定性を左右します。
  • 職種による評価差:口コミではエンジニア職と営業職で総合評価に開きがあります(後述)。同じ会社でも体験が異なる可能性を前提に、配属予定部署の話を具体的に聞いてください。
  • 手当・住宅補助:借上社宅への言及が口コミにあります。浜松勤務が前提となるため、家賃補助の条件は実質年収に直結します。

勤務地はどこ?細江・都田・新都田——本社移転で割れた検索の答え

ローランドについて「本社工場」「都田工場」「細江工場」という複数の呼び名が検索されるのには、はっきりした理由があります。2026年1月6日に本社が移転したためです。転職を検討する人にとっては通勤圏の判断に直結する話なので、時系列で整理します。

時期本社所在地補足
1972年〜2005年6月大阪市創業者・梯郁太郎氏が大阪市で設立。関西発の企業だった
2005年7月〜2026年1月5日静岡県浜松市浜名区細江町中川2036番地の1いわゆる「細江」。検索候補の「細江工場」はこの旧本社所在地を指す
2026年1月6日〜静岡県浜松市浜名区新都田一丁目6番4号新本社「Roland Inspiration Hub」。検索候補の「都田工場」はこの新都田エリア

新本社Roland Inspiration Hubは2025年10月に竣工、同年11月27日に開所した鉄筋コンクリート3階建ての施設で、中心に「Roland Arena」と名付けられた空間を持ちます。公式情報として、この移転により市内に点在していた研究開発・生産・管理の各機能が一体化されました。転職者目線では、開発と生産と本社スタッフが同一敷地に集まるため、部門をまたいだ距離が物理的に近くなるという利点があります。

一方で、有価証券報告書のリスク情報には「本社、国内製造拠点及び研究開発拠点並びに国内事業に係る主要な機能の大部分が静岡県浜松市に集中している」旨と、富士山噴火・東海地震・南海トラフ地震、本社周辺の液状化リスクが会社自身によって明記されています。機能集約は効率を生む一方で地域集中リスクを高める、という両面がある点は転職判断の材料になります。

また注意したいのは、浜松の本社工場が主力量産拠点ではないことです。有価証券報告書によると、電子ピアノ・電子ドラム等の主力製品はマレーシアのRoland Manufacturing Malaysia(2014年11月設立)で生産され、浜松の本社工場は主に映像関連機器の生産と研究開発を担っています。「浜松でものづくりの現場に立つ」というイメージで応募すると、実際の職務内容とずれる可能性があります(推定情報)。生産技術職を志望する場合は、マレーシア拠点との関わり方や出張・駐在の頻度を確認しておくとよいでしょう。

働き方と社風|離職率2.9%・平均勤続19年11か月をどう読むか

ローランドの働き方を一言でまとめると、「辞めない会社」だが「育ててもらえる会社」とは限らないという構図です。これは公式データと口コミの両方が同じ方向を指しています。まず数字から確認します。

残業14.6時間・有給73.8%・男性育休67%という定量面

公式情報として、提出会社の2025年の人的資本データは次のとおりです。

  • 離職率:2.9%(国内)
  • 年間平均総労働時間:1,915時間
  • 男性育児休業取得率:67.0%(2023年19% → 2024年55% → 2025年67%と3年で急伸)
  • 育児休業後の復職率:100%
  • 女性社員比率:25.0%/管理職に占める女性比率:8.5%
  • 男女賃金差異:79.8%(正規79.6%/パート・有期66.8%)
  • 障がい者雇用率:2.7%/労働災害負傷者2名/従業員エンゲージメント指数3.7(5段階・2028年目標3.8)

これに口コミ傾向を重ねると、OpenWorkでは月間残業14.6時間・有給消化率73.8%と報告されています。年間総労働時間1,915時間という公式値とも整合しており、恒常的に長時間労働が発生する職場という像は出てきません。エン カイシャの評判でも休日・休暇満足度84%と高めの数字が出ています。

注目したいのは男性育休取得率が2年で19%から67%へ伸びた点です。これは制度があるだけでなく実際に運用が変わったことを示す指標で、育児期の転職者にとっては実利的な材料になります。一方、管理職に占める女性比率8.5%は、グループ全体の海外女性管理職比率32%と大きく開いています。日本法人の昇進構造はまだ従来型に近いと考えられます(推定情報)。

口コミスコアを分解すると「職種差」が見える

ローランドは口コミ件数が多い会社です。OpenWork、エン カイシャの評判(347件)、転職会議(221件)の3サイト合計で600件を超えており、中堅メーカーとしては十分な母数があります。母数が確保されている分、スコアの内訳まで踏み込んで読む価値があります。

評価項目(OpenWork・回答者77名)スコア読み取れること
法令遵守意識4.7全項目中で突出。英国競争法違反の経験を経たコンプライアンス強化が背景にある可能性
風通しの良さ4.0意見が言いにくい組織ではないという傾向
待遇面の満足度3.8有報720万3千円という水準に対する納得感がうかがえる
人事評価の適正感/社員の士気各3.4可もなく不可もなくの水準
20代成長環境3.0若手が自動的に伸びる仕組みは強くない
人材の長期育成2.7全項目で最低。総合3.69とのギャップが最も大きい

総合評価は3.69/5.0です。ここで見落とせないのが職種による体験の差で、口コミ傾向としてエンジニア職の総合評価4.4に対し、営業系は2.9と報告されています。同じ会社でも1.5ポイント差があるということは、「ローランドの評判」を一つの答えとして受け取ること自体が危険だという意味です。応募職種によって読むべき口コミが変わります。

転職会議の投稿では「音楽好きにとっては天職」「残業が少なく有給も取りやすい」「開発部門は若手でも製品プロデュースに関われる」という肯定的な傾向がある一方、「中長期の人材育成が弱く、仕事ができる人に業務が集中する」「管理部門は楽器に触れる機会が少なくギャップがある」という否定的な傾向も併存しています。エン カイシャの評判でも、事業の独自性4.2・社会貢献度4.0が高い一方、成長性・将来性3.2、経営陣の手腕3.0と評価が分かれています。

また、退職者13名の月間残業34時間に対し現職22時間という差も報告されています。これは特定部署や特定時期に負荷が偏っていた可能性を示唆します(推定情報)。全社平均の残業時間だけで判断せず、配属部署の実態を面接で聞くことが有効です。

業績で見るローランド|売上の91%が海外、純利益は前期比▲63.7%

転職先としての安定性を見るとき、ローランドの決算は「上と下で結論が変わる」構造になっています。売上と営業利益は堅調なのに、最終利益だけが大きく崩れたのが第54期(2025年12月期)です。数字を段階で追います。

指標第54期(2025年12月期)実績前期比
連結売上高1,009億5,200万円+1.5%
営業利益94億1,200万円(営業利益率9.3%)▲5.4%
経常利益90億2,200万円+7.3%
親会社株主に帰属する当期純利益21億6,800万円▲63.7%
ROE/ROIC5.0%/15.2%ROEは前期比8.9ポイント低下
連結従業員数2,897名2023年12月期3,044名から2期連続で減少

地域別・製品別の内訳|日本は売上の1割にすぎない

有価証券報告書によると、第54期の地域別・製品別の売上構成は次のとおりです(公式情報)。

地域売上高構成比
北米387億6,400万円38.4%
欧州289億6,800万円28.7%
アジア・オセアニア他163億9,400万円16.2%
日本92億6,200万円9.2%
中国75億6,100万円7.5%

日本市場は売上の9.2%にとどまり、9割超が海外です。これは転職者にとって二つの意味を持ちます。第一に、国内景気の変動よりも北米・欧州の消費動向と為替が業績を左右するということ。第二に、日本法人で働く891名の多くが、海外の販売会社や生産拠点を相手に仕事をするということです。日常業務での英語使用や時差を伴うやり取りは、部署によって前提条件になり得ます(推定情報)。

製品カテゴリ別では、管打楽器293億6,400万円(29.1%)、鍵盤楽器272億2,300万円(27.0%)、ギター関連機器251億4,900万円(24.9%)、クリエーション関連機器&サービス130億6,000万円(12.9%)、映像音響機器30億5,700万円(3.0%)という構成です。電子ドラムV-Drumsを含む管打楽器が鍵盤楽器を上回って最大カテゴリになっている点は、「ローランド=電子ピアノの会社」というイメージとの差として押さえておくとよいでしょう。単一の製品に依存しない均衡ポートフォリオであることは、事業リスクの分散という面ではプラスに働きます。

純利益が落ちた理由|米Drum Workshopの減損38億6,000万円

純利益が前期比▲63.7%となった主因は、営業段階の悪化ではありません。公式情報として、要因は次の2点です。

  • 米子会社Drum Workshop, Inc.(DW)に係る固定資産の減損損失38億6,000万円
  • DWの繰延税金資産取崩し等による法人税等調整額17億2,400万円

DWは2022年10月に子会社化した米国のアコースティックドラムメーカーで、ローランドが電子ドラムからアコースティック領域へ広げるための買収でした。想定していたシナジーが発現せず、買収から約3年で減損に至ったという事実は、M&Aリスクが実際に顕在化した事例として転職判断に織り込む価値があります。会社は2026年12月期にDWの営業黒字化を計画していますが、達成できない場合は追加損失のリスクが残ります。

一方で、事業そのものが縮小しているわけではない点も同時に見るべきです。減損は過去に払った買収価格の評価を切り下げる会計処理であり、キャッシュの流出を伴うものではありません。営業利益は94億円台を維持し、経常利益はむしろ+7.3%と増えています。推定情報として、前期の純利益はおおむね60億円前後だったと逆算でき、そこから21億6,800万円へ落ちた形です。配当は年間170円が維持され、配当総額45億900万円・連結配当性向208.0%という、利益を上回る還元となっています。

中期経営計画2026-2028と、2026年上期の実績

将来性を見るうえで参照すべきは、直近実績と会社計画の両方です。公式情報として、会社予想と中期経営計画は次のとおりです。

指標2026年12月期 会社予想2028年12月期 中計目標
売上高1,064億円(+5.4%)1,200億円(CAGR+5.9%)
営業利益100億円(+6.2%)144億円(+15.2%)
当期純利益72億円(+232.1%)102億円
ROE/ROIC—ROE20%/ROIC18%

そして2026年上期の実績は売上517億円(前年同期比+12.9%)・営業利益44億円(同+16.0%)と、通期計画に対して前倒しで進んでいます。減損という一過性の損失を除けば、事業の実態は伸びているという読み方が妥当です。

中期経営計画の重点戦略は「Direct Connect」で、AI/IoTを実装した楽器、直販チャネルの拡大、データ活用プラットフォームの構築が柱に据えられています。従業員エンゲージメント指数3.7を2028年に3.8へ引き上げる目標が有価証券報告書に明記されている点も、人材面の課題を会社自身が認識していることの表れといえます。ソフトウェア・クラウド・データ活用の経験を持つ人材にとっては、事業戦略と自分のスキルが直結しやすい局面だと考えられます(推定情報)。

転職前に押さえておきたいリスク|英国CMAの制裁金と係属中の集団訴訟

ローランドには、公開情報として確認できる法的リスクがあります。ネガティブな情報ですが、事実関係を正確に理解しておくことは転職判断において重要です。ここでは確定した事実と、まだ結論が出ていない事項を明確に分けて記載します。

確定した事実(公式情報・英国当局の公表資料および有価証券報告書)

  • 2020年6月29日、英国競争・市場庁(CMA)が、Roland (U.K.) Limited および親会社であるローランド株式会社について、2011年1月7日から2018年4月17日にかけて電子ドラムのオンライン再販価格維持(RPM)を行い、英国競争法およびEU競争法に違反したと決定し、£400万の制裁金を科しました。
  • 同社は和解手続において違反を認め20%の減額を受けましたが、その後不服申立てを行ったため、2021年4月に英国競争審判所(CAT)が「和解の約束に反した」として減額分を取り消し、制裁金は£510万に増額されました。同社の申立ては全面的に棄却されています。

現在進行中の事項(結論は出ていません)

  • 上記のCMA決定を根拠に、消費者側の原告であるElisabetta Sciallis氏が損害賠償を求める集団訴訟を英国競争審判所に提起しました。子会社Roland Europe Group Limitedが2022年12月16日に、ローランド株式会社本体が2023年9月21日に申立書の送達を受けています。
  • 申立書では損害賠償額を「少なくとも数千万ポンド」と見込むとされ、第54期有価証券報告書の「偶発債務」には金額的影響の算定が困難である旨が記載されています。この集団訴訟は係属中であり、解決済みではありません。

この事案をどう受け止めるかは分かれるところです。推定情報として、OpenWorkの評価項目で「法令遵守意識」が4.7と全項目中で突出して高いのは、この経験を踏まえた社内のコンプライアンス強化が浸透した結果である可能性があります。過去の違反事実と、現在の社内統制の水準は必ずしも同じではありません。ただし訴訟が係属中である以上、将来的に費用計上が発生する可能性は残ります。

そのほか、有価証券報告書に会社自身が挙げているリスクとして、以下も確認しておくとよいでしょう。

  • 地域集中リスク:国内の主要機能が浜松市に集中しており、富士山噴火・東海地震・南海トラフ地震、本社周辺の液状化が挙げられています。
  • 生産集中リスク:製造・物流機能がマレーシアに集約されており、現地の事情で供給が止まるリスクが記載されています。
  • 米国関税:2025年は米国の関税政策により生産移管やコスト負担が生じています。北米が売上の38.4%を占めるため、外部環境の変動に対する感応度は高い構造です。

採用・選考の実像|年30人規模の狭き門と「学歴」の考え方

ローランドの採用で最初に把握すべきは規模感です。公式情報として、2025年の提出会社(国内)の採用実績は新卒19人・中途12人の合計31人でした。単体891名の会社が年間31人しか採らないということは、単純計算で在籍者の約3.5%に相当する枠しかないことを意味します。離職率2.9%という低さと合わせると、そもそも席が空きにくい構造です。

「ローランド 学歴」という検索が一定量あることからも、選考の通りやすさを気にする人が多いことがうかがえます。結論として、採用大学や学歴基準は有価証券報告書でも公式採用サイトでも開示されていません。したがって「何大学なら通る」という話は本記事では扱いません。代わりに、公開情報から言える実務的な材料を挙げます(推定情報を含みます)。

  • 枠の少なさが実質的な難易度をつくる:学歴フィルターの有無以前に、中途12人という枠の小ささが競争率を押し上げます。特定ポジションの募集が出たタイミングで動けるかどうかが大きく効きます。
  • 職種と事業戦略の接点を語れるか:中期経営計画の重点は「Direct Connect」(AI/IoT実装楽器、直販チャネル、データ活用プラットフォーム)です。組込みソフト、DSP・音響信号処理、クラウド/SaaS、ECや直販マーケティング、データ分析の経験は、事業計画と直接結びつけて説明しやすい領域です。
  • グローバル前提のコミュニケーション:売上の91%が海外、グループ社員の69.2%が海外勤務という構造上、海外拠点との協業経験や英語での実務経験は評価につながりやすいと考えられます。
  • 製品への理解:口コミ傾向として「音楽好きにとっては天職」という声が多い一方、「管理部門は楽器に触れる機会が少なくギャップがある」という声もあります。志望動機を製品愛だけで組み立てると、配属によってミスマッチが起きる可能性があります。

選考を受ける際は、経営理念(「創造の喜びを世界にひろめよう」「BIGGESTよりBESTになろう」「共感を呼ぶ企業にしよう」)と自分の志向がどう重なるかを、具体的な業務経験に紐づけて説明できると強いでしょう。

同業・関連企業との位置づけ比較

転職先を比較検討するうえで、ローランドがどのポジションにいるかを整理します。年収の単純比較は各社の有価証券報告書で開示範囲や母集団が異なるため本記事では数値を並べません。代わりに、転職先として何が違うのかという軸で比較します(各社の平均年間給与を比較したい場合は、それぞれの最新の有価証券報告書「従業員の状況」で確認するのが確実です)。

企業名上場区分事業の軸ローランドとの違い向いている人(推定)
ローランド(7944)東証プライム電子楽器の単一セグメント。鍵盤・管打・ギター関連・クリエーション・映像音響の5カテゴリ—海外市場向けの製品開発・ブランドづくりに関わりたい人
ヤマハ(7951)東証プライムアコースティック楽器から電子楽器、音響機器、音楽教室まで手がける総合楽器最大手事業領域と企業規模が大きく、電子楽器は事業の一部。ローランドは電子楽器に特化幅広い事業ポートフォリオの中でキャリアを組みたい人
河合楽器製作所(7952)東証プライムピアノ・電子ピアノが中核。同じ浜松市に本社を置くアコースティックピアノの比重が高く、地元浜松での転職市場では最も比較されやすい相手ピアノという製品カテゴリに強い思い入れがある人
コルグ非上場シンセサイザー・DJ機器等で競合非上場のため有価証券報告書ベースの数値比較ができない電子楽器の中でもシンセ・DJ領域を極めたい人
ローランド ディー.ジー.(旧6789)2024年MBOで上場廃止デジタル印刷機器・3D加工機。同じ浜松市に本社ローランドが設立に関与した経緯を持つが別法人。楽器事業ではない浜松での勤務を軸に、産業機器領域を志向する人

整理すると、ローランドの位置づけは「電子楽器という一点に特化しながら、売上の9割超を海外で稼ぐ中堅グローバルメーカー」です。総合楽器メーカーのように多角化していない分、電子楽器市場の動向がそのまま業績に反映されます。一方で、5つの製品カテゴリに均等に分散しているため、単一製品への依存度は高くありません。浜松という同一地域にヤマハ・河合楽器製作所・ローランド ディー.ジー.が集積している点は、移住を伴う転職をしても地域内で選択肢が残るという実利的なメリットにもなります。

ローランドへの転職が向いている人・向いていない人

ここまでの公式情報と口コミ傾向をふまえ、適性を整理します(推定情報を含みます)。特に「人材の長期育成2.7」と「離職率2.9%」という一見矛盾する二つの数字を、自分がどう受け止めるかが分かれ目です。

向いている人向いていない人
自分で学習テーマを設定し、必要な機会を自ら取りに行ける人(人材の長期育成2.7という評価への現実的な対処)体系的な研修と明確なキャリアラダーで育ててもらいたい人
腰を据えて長く働きたい人。平均勤続19年11か月・離職率2.9%という定着環境を評価できる人3〜5年で職務が大きく変わる高速なキャリア形成を求める人
海外拠点や海外市場を相手にする仕事に前向きな人(売上の91%が海外、社員の69.2%が海外)国内市場の顧客と向き合う仕事を軸にしたい人(日本は売上の9.2%)
静岡県浜松市での勤務・生活を受け入れられる人首都圏・関西圏を離れたくない人
残業14.6時間・有給73.8%・男性育休67%という働き方の水準を重視する人成果に応じた短期的な高収入を最優先する人
電子楽器・音響・組込みソフト・データ活用の専門性を積み上げたいエンジニア(口コミの職種別評価4.4)営業職として明快な評価制度と拡大市場を求める人(同2.9と評価が分かれる)
M&Aの減損や係属中の訴訟といったリスク情報を織り込んだうえで判断できる人財務リスク・法的リスクが一切ない環境を求める人

編集部の見解|どんな人に薦められる会社か

編集部の見解として、ローランドは「働く環境の安定性は高く、成長機会は自己調達型」の会社だと考えられます。総合すると、次のような整理になります。

推せる点は、定量データの一貫性です。離職率2.9%、平均勤続19年11か月、年間総労働時間1,915時間、有給消化率73.8%、男性育休67%——これらは互いに矛盾しない数字で、働きやすさに関する主張が裏付けを伴っています。口コミの平均年収694万円と有報の720万3千円が近いことも、情報の透明性という点で好材料です。中期経営計画で2028年に売上1,200億円・ROE20%を掲げ、2026年上期に売上+12.9%と前倒しで進んでいる点も、成長領域で仕事をしたい人には追い風でしょう。

一方で、慎重に見るべき点もあります。「人材の長期育成2.7」というスコアは、総合3.69と比べたときのギャップが最も大きい項目です。長く在籍する人が多いということは、裏を返せば人の入れ替わりによる新しい役割の発生が少ないということでもあります。キャリアの主導権を自分で握る覚悟がある人にとっては働きやすい環境ですが、会社が道筋を用意してくれることを期待する人にはもどかしい可能性があります。加えて、DW買収の減損38億6,000万円と、英国での係属中の集団訴訟は、いずれも不確定要素として残ります。

結論として、電子楽器という専門領域で長く専門性を積みたいエンジニア・企画職で、浜松での生活を受け入れられる人にはおすすめできる会社です。逆に、短期間で年収を大きく引き上げたい人、体系的な育成を求める人、国内市場中心の仕事を志向する人には、別の選択肢を並行して検討することをおすすめします。

ローランド株式会社に関するよくある質問(FAQ)

ローランド株式会社(7944)への転職・就職を検討する人からよくある質問と回答をまとめました。

ローランドの年収はいくらですか?

第54期(2025年12月期)の有価証券報告書によると、平均年間給与は720万3千円です。ただしこれは提出会社(日本法人)891名の数字であり、連結2,897名の平均ではありません。前期は712万3千円で、1年で約8万円の増加でした。平均年齢は46歳8か月、平均勤続年数は19年11か月です。口コミ傾向としてはOpenWorkの回答者31名ベースで平均694万円と報告されています。

ホストのROLANDさんの会社とは関係がありますか?

まったく関係ありません。本記事で扱うローランド株式会社は1972年設立の電子楽器メーカー(証券コード7944・本社は静岡県浜松市)です。検索候補に出る「ローランドグループ 辞めた人」「ローランド 脱毛」などは、ホスト・実業家のROLAND氏および関連会社に関する検索であり、電子楽器のローランド株式会社の労働環境とは無関係です。

ローランドとローランド ディー.ジー.はどう違いますか?

別法人です。ローランド ディー.ジー.株式会社はデジタル印刷機器・3D加工機のメーカー(旧証券コード6789)で、ローランド株式会社が設立に関与した経緯を持ちますが、事業も資本構成も異なります。同じ浜松市に本社があるため最も混同されやすい相手です。ローランド ディー.ジー.は2024年のMBOにより上場廃止となっています。求人や口コミを見る際は、社名を末尾まで確認してください。

本社と工場はどこにありますか?「細江」と「都田」の違いは何ですか?

2026年1月6日に本社が移転しました。移転前は静岡県浜松市浜名区細江町中川2036番地の1(いわゆる細江)、移転後は同市浜名区新都田一丁目6番4号の新本社「Roland Inspiration Hub」です。検索候補に「細江工場」と「都田工場」の両方が出るのは、この移転が理由です。なお主力製品の量産はマレーシアのRoland Manufacturing Malaysiaが担っており、浜松の本社工場は主に映像関連機器の生産と研究開発を担当しています。

残業や有給休暇の実態はどうですか?

公式情報として、提出会社の年間平均総労働時間は1,915時間(2025年)です。口コミ傾向としては、OpenWorkで月間残業14.6時間・有給消化率73.8%と報告されています。エン カイシャの評判でも休日・休暇満足度84%と高い数字が出ています。ただし退職者13名の月間残業34時間に対し現職22時間という差も報告されており、部署や時期によって負荷が偏る可能性があります。

転職の難易度は高いですか?採用大学は決まっていますか?

採用大学や学歴基準は有価証券報告書でも公式採用サイトでも開示されていません。判断材料になるのは採用規模で、2025年の提出会社の採用実績は新卒19人・中途12人でした。単体891名の会社に対して年31人という枠であり、離職率2.9%という定着率の高さと合わせると、席が空きにくい構造だと考えられます(推定情報)。学歴よりも、募集ポジションの要件と自分の経験がどれだけ具体的に重なるかが実質的な鍵になります。

業績は大丈夫ですか?純利益が減ったと聞きました。

第54期の連結売上高は1,009億5,200万円(+1.5%)、営業利益94億1,200万円(▲5.4%)、経常利益90億2,200万円(+7.3%)で、事業そのものは黒字を維持しています。親会社株主に帰属する当期純利益は21億6,800万円(▲63.7%)と大きく減りましたが、主因は米子会社Drum Workshop, Inc.の固定資産減損損失38億6,000万円と、繰延税金資産取崩し等による法人税等調整額17億2,400万円という一過性の要因です。2026年12月期の会社予想は売上1,064億円・純利益72億円で、2026年上期実績は売上517億円(+12.9%)と計画を上回るペースで進んでいます。

ローランドへの転職判断まとめ

ここまでの内容を判断軸ごとに整理します。最終的な判断は、求人票だけでなく自分の経験・適性、そして内定時の労働条件通知書まで含めて確認してください。

判断軸評価
年収水準有報720万3千円(提出会社891名)。口コミ694万円と近く、情報の透明性は高い。ただし平均年齢46歳8か月を前提に読む必要がある
働きやすさ離職率2.9%、年間総労働時間1,915時間、有給消化率73.8%、男性育休67%。定量面は安定している
成長機会口コミ「人材の長期育成」2.7が最低スコア。自分で機会を取りに行く姿勢が前提になる
将来性2026年上期売上+12.9%、中計で2028年売上1,200億円・ROE20%。重点戦略はAI/IoTとデータ活用の「Direct Connect」
リスクDW減損38億6,000万円、英CMA制裁金£510万(確定)、集団訴訟が係属中、浜松・マレーシアへの機能集中
採用の入りやすさ2025年の国内中途採用12人。枠は小さく、募集タイミングの見極めが重要
勤務地静岡県浜松市浜名区新都田(2026年1月6日移転)。移住を伴う場合が多い
グローバル性売上の91%が海外、グループ社員の69.2%が海外。日本法人は開発・企画・本社機能に特化

どのサービスを使えばいいか決められないとき

このサイトはアフィリエイトで収益を得ています。読者がサービスに登録すると当サイトに報酬が発生します。

自分の状況だとどのサービスが合うのか判断がつかない場合は、無料の相談を受け付けています。相談内容をうかがったうえで、条件に合いそうな転職サービスをご案内します。

登録や応募を急かすことはしません。 「いま動かないほうがいい」と考えた場合はそう伝えます。

→ 無料転職相談はこちら

※当サイトは職業紹介事業者ではありません。求人の紹介・あっせんは行わず、転職サービスのご案内までを行います。

本記事の出典・参考情報

本記事で参照した一次情報・口コミ情報の出典は以下の通りです。最新の正確な数値は各リンク先で確認してください。

公式情報源

年収・従業員数・業績の数値は、第54期(2025年1月1日〜2025年12月31日)有価証券報告書(2026年3月5日提出/EDINETコードE01834)および2025年12月期決算短信から引用しています。英国競争法違反に関する記載は、英国競争・市場庁(CMA)の公表資料および同有価証券報告書の「偶発債務」欄にもとづきます。

口コミ・評判の参照元

免責事項:本記事の数値・評価は公式情報・口コミ集計・市場推定の3分類で示しており、口コミ傾向や推定情報は断定ではなく傾向・可能性として表現しています。最終判断は読者自身で公式IRおよび内定時の労働条件通知書で確認してください。

この記事の編集方針・情報の確認について

この記事は、公式公開情報(有価証券報告書・IR資料)、求人情報、口コミ傾向をそれぞれ分けて整理し、転職・就職判断に役立つよう編集しています。年収・平均年齢・従業員数などの中核データは有価証券報告書「従業員の状況」を一次情報として確認し、口コミ・推定情報とは明確に区別しています。また本記事は、同名・類似名の他企業および個人に関する情報を意図的に除外し、電子楽器メーカーのローランド株式会社(証券コード7944)のみを対象としています。記載内容は最終更新時点の公開情報にもとづきます。最新の正確な数値は各公式IRページでご確認ください。

著者紹介
コロ助
コロ助
企業と転職サービスを、有価証券報告書などの一次情報から読んでいます。
著者紹介
記事URLをコピーしました