NaITO(7624)の年収581万円と評判|勤続19.9年・岡谷鋼機45.65%の実像
※本記事にはプロモーションを含みます。
この記事の結論
- 正体:切削工具が売上の約51%を占める東証スタンダードの機械工具商社(証券コード7624)
- 年収:有報の平均年間給与は581.9万円で前期から約30万円増
- 組織:平均勤続19.9年と長い一方、連結従業員は5期で336名→309名
- 資本:岡谷鋼機が議決権45.65%を持つ親子上場。営業利益率は約0.9%
株式会社NaITO(証券コード7624・東証スタンダード市場・切削工具を主力とする機械工具商社)は、社名の読みが「ナイトー」であること、カタカナの「ナイト」や「内藤」を含む別法人・一般語が検索結果に大量に混ざることから、そもそも会社の正体にたどり着きにくい企業です。この記事では、EDINETに提出された第75期(2025年3月1日〜2026年2月28日)有価証券報告書の実額を軸に、年収・組織・業績・資本関係・拠点の5点を、転職判断に必要な順序で整理します。口コミサイトの集計値は本記事では取得できなかったため、数値はすべて一次情報である有価証券報告書と公式IRから引いています。
株式会社NaITO(7624)とはどんな会社か|同名企業との見分け方
最初に押さえるべきは企業の同定です。「ナイトー」「内藤」で検索すると、求人広告の株式会社内藤一水社(ドメインはnaito.jp)、建設業の株式会社内藤建設(naito-web.co.jp)など、まったく別の法人のページが上位に混在します。本記事が扱うのは、証券コード7624・EDINETコードE02903・公式ドメインnaito.netの株式会社NaITOです。求人票や口コミページを読む際は、必ずこの3点のいずれかで会社を突き合わせてください。ここを取り違えると、業種も年収水準もまったく違う会社の情報で転職判断をしてしまいます。
会社の基本プロフィールは次のとおりです(いずれも公式情報)。
- 商号:株式会社NaITO(Naito & Co.,Ltd./読みは「ナイトー」)
- 上場区分:東京証券取引所スタンダード市場(2004年12月にジャスダック証券取引所へ上場、2022年4月の市場区分見直しでJASDAQスタンダードからスタンダード市場へ移行)
- 発行済株式数:54,789,510株(単元100株)、時価総額はおよそ85〜86億円規模
- 決算期:2月期。直近は第75期=2025年3月1日〜2026年2月28日(令和8年2月期)
- 有価証券報告書:2026年5月19日提出(書類ID S100Y4MW)
特に見落としやすいのが決算期です。NaITOは3月期ではなく2月期のため、同業他社と業績を並べるときに「同じ年度」だと思って比較すると期ズレが生じます。求人票の「賞与実績」や「業績連動」を読む際も、どの期の話かを確認してください。
社名の変遷|1953年「株式会社内藤商店」から現在の表記へ
沿革をたどると、同名企業との違いがより明確になります。設立は1953年(昭和28年)1月、東京都荒川区で「株式会社内藤商店」として資本金150万円で機械工具の卸売を開始したのが始まりです。1964年(昭和39年)1月に「株式会社内藤」へ、そして2008年(平成20年)7月に現在の「株式会社NaITO」へ商号を変更しています。大文字・小文字が混在する独特の表記は、70年以上の歴史を持つ老舗商社が2008年に打ち出したブランド表記であり、結果として同名企業との識別ポイントにもなっています。
事業構成|売上の約51%が切削工具の「単一セグメント」商社
NaITOは切削工具を主力とする生産財商社(機械工具商社)で、会計上は単一セグメントです。第75期の商品分類別売上高は次のとおり(公式情報・有価証券報告書によると)。
| 商品分類 | 第75期売上高 | 前期比 | 構成比の目安 |
|---|---|---|---|
| 切削工具 | 223億11百万円 | +3.5% | 約51% |
| 産業機器・工作機械等 | 172億80百万円 | △4.0% | 約40% |
| 計測 | 39億26百万円 | △1.7% | 約9% |
この構成は、転職後の仕事内容を想像するうえで重要です。機械工具商社の商材は、設備の稼働に応じて消費されるリピート型の切削工具と、設備投資の波に振られる工作機械・産業機器という位相の異なる二層で成り立っています。売上の約51%を消耗品である切削工具が占めるということは、景気の谷でも一定の下支えがある反面、大型案件で一気に数字を作る性格の営業ではないということです。数十万点規模の在庫と即納体制、受発注ネットワーク「NICE-NET」やEDI連携が競争力の源で、オリジナルブランド「Victoryエンドミル」「NR」も展開しています。
NaITOの公式データ一覧(有価証券報告書ベース)
本記事で扱う公式数値を一覧で確認できます。公式情報として、最新の正確な数値は公式IRページで再確認してください。すべて第75期(2026年2月期)の有価証券報告書の実額です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,819千円(約581.9万円)/提出会社ベース・賞与および基準外賃金を含む |
| 平均年齢 | 44.7歳(2026年2月28日現在・提出会社) |
| 平均勤続年数 | 19.9年(2026年2月28日現在・提出会社) |
| 従業員数 | 連結309名(臨時従業員の年間平均雇用人員50名)/提出会社297名(同50名) |
| 売上高 | 連結435億18百万円(前期比△0.1%)/提出会社単体433億57百万円 |
| 営業利益 | 連結4億3百万円(前期比△13.1%/売上高営業利益率 約0.9%) |
| 経常利益 | 4億53百万円(前期比△9.8%) |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 2億84百万円(前期比△9.5%) |
| 自己資本比率/ROE | 74.7%/2.2% |
| 女性管理職比率 | 0.0%(第74期・第75期とも) |
| 男女の賃金の差異 | 全労働者68.8%/正規雇用67.4%/パート・有期59.8% |
| 男性育児休業取得率 | 66.7% |
| 労働組合 | 結成されていない(有価証券報告書に「労使関係は円満に推移」と記載) |
| 親会社 | 岡谷鋼機株式会社(議決権所有割合45.65%) |
| 拠点 | 本社を含む全30拠点。いずれも賃借物件で、固定資産の帳簿価額合計は302百万円 |
| 出典 | 第75期(2025年3月1日〜2026年2月28日)有価証券報告書/2026年5月19日提出・EDINETコードE02903 |
平均年収581.9万円|1年で約30万円上がった中身と注意点
結論から言うと、NaITOの平均年間給与は581.9万円で、直近1年で約30万円(+5.5%)上昇しています。有価証券報告書「従業員の状況」によると、第75期は5,819千円、前期の第74期は5,517千円(約551.7万円)でした。これは提出会社ベースの全社平均で、賞与および基準外賃金を含みます。転職検討者にとってのメリットは明確で、賃上げが「実施予定」ではなく実額として一次情報に出ている点です。求人票の年収レンジしか見えない企業と比べ、水準の検証がしやすい会社だと言えます。
この581.9万円をどう読むか|平均年齢44.7歳・勤続19.9年という前提
ただし、金額だけを他社と並べても意味がありません。NaITOの平均年齢は44.7歳、平均勤続年数は19.9年(いずれも第75期・提出会社)です。前期はそれぞれ43.9歳・19.2年で、1年で年齢も勤続年数も素直に伸びています。つまりこの581.9万円は、勤続20年近いベテラン層が中心の集団の平均値であり、20代・30代で中途入社した場合の初年度年収とは前提が違います。
- 平均年齢が高い企業の平均年収は、若手にとっては上振れした数字に見えやすい
- 逆に、長く勤めた場合の到達点を示す指標としては信頼度が高い
- 提出会社297名に対し連結309名と単体比率96.1%のため、この平均値は「会社の実態をほぼそのまま表している」タイプ(連結人員の大半が海外子会社という企業では、有報の平均年収が実態と乖離します)
単体比率が高いことは地味ですが重要な論点です。連結従業員に占める提出会社の割合が2〜3割しかない企業では、有報の平均年間給与は「本社の一部の人の数字」でしかありません。NaITOは96.1%なので、581.9万円という数字の代表性はかなり高いと評価できます。
口コミサイトの年収情報と、職種別レンジの見立て(推定情報)
正直にお伝えすると、本記事ではNaITOの口コミサイト上の集計データを取得できませんでした。OpenWork・エン カイシャの評判などの企業ページを特定できなかったため、投稿件数・総合評価スコア・自己申告年収の平均値といった数値は、この記事には一切書いていません。「口コミが少ない会社だ」という推測も、根拠がない以上は数値として提示しません。口コミ傾向を年収判断の材料にしたい場合は、後述の出典一覧にある各サイトでご自身で最新の状況を確認してください。
そのうえで、有報の実額から逆算できる範囲の推定情報を整理します。以下はあくまで一般的な商社の給与構造から考えられる目安であり、公式に開示された職種別年収ではありません。
- 平均年齢44.7歳・平均581.9万円という組み合わせから、30代前半のルート営業職は平均値を下回るレンジに置かれる可能性が高いと考えられます
- 営業利益率が約0.9%と薄い収益構造のため、短期の業績連動で賞与が大きく跳ねる設計になりにくいことも想定されます
- 一方で前期比+5.5%のベースアップが実際に起きているため、物価連動的な底上げは進んでいると見ることができます
内定前に必ず確認したい5項目
年収の話は、平均値ではなく自分の提示額で判断すべきものです。選考が進んだら、次の5点を労働条件通知書と面接の場で確認してください。
- 基本給と賞与の内訳:581.9万円は賞与・基準外賃金込みの数字なので、月例給だけを見て比較しない
- 基準外賃金(時間外手当)の想定額:平均年収に残業代がどの程度含まれる前提か
- 昇給の運用実績:第74期→第75期の+5.5%が全社一律なのか、等級による差が大きいのか
- 配属拠点と手当:全国30拠点のいずれに配属されるか、住宅・車両関連の手当はどうか
- 評価制度:営業利益率0.9%という構造の中で、何を達成すると評価が上がるのか
平均勤続19.9年・女性管理職0.0%|有報が示す「辞めないが増えない」組織
NaITOの組織を一次情報だけで表現すると、「人が辞めない会社」と「人が増えない会社」が同居しているという一文になります。これがこの企業を評価するうえで最大の分析ポイントです。
平均勤続19.9年は上場企業として長い部類
有価証券報告書によると、第75期の平均勤続年数は19.9年(前期19.2年)です。上場企業全体で見ても20年に迫る勤続年数はかなり長い部類に入ります。転職検討者にとってのプラス面は次のように整理できます。
- 顧客との関係が個人に長く紐づくルート営業型ビジネスと相性がよい(担当が数年で入れ替わらない)
- 数万点規模の製品知識が必要な業界で、知見が社内に蓄積されやすい
- 短期離職を前提とした人員計画ではないため、腰を据えて働ける環境である可能性が高い
一方で、勤続年数が長いことはポジションの空きが出にくいことの裏返しでもあります。平均年齢44.7歳と合わせて読むと、中途入社者が短期間で管理職ポストに就くタイプの組織ではないと考えられます(推定情報)。
従業員数は5期で連結336名→309名
もう一方の事実が、静かな人員減少です。有価証券報告書の推移は次のとおりです。
| 期 | 連結従業員数 | 提出会社従業員数 |
|---|---|---|
| 第71期 | 336名 | 325名 |
| 第72期 | 333名 | — |
| 第73期 | 330名 | — |
| 第74期 | 319名 | — |
| 第75期(2026年2月期) | 309名 | 297名 |
連結で5期27名減、提出会社ベースでは325名から297名へ28名の減少です。年率にすれば1〜2%程度ですが、5期連続で一度も増えていない点が特徴的です。有価証券報告書に人員削減施策の記載は見当たらず、定年退職に対して採用が追いついていない自然減の可能性が考えられます(推定情報)。転職検討者の実利で言えば、これは二面性のある事実です。
- プラス:欠員補充ニーズが継続的に発生していると考えられ、中途採用の門戸は開いている可能性がある
- マイナス:組織が拡大していないため、ポスト増による昇進機会は生まれにくい
- 要確認:一人あたり売上高は約1.4億円(連結売上435億18百万円÷309名)と高く、少人数で大きな商流を回す構造。業務負荷の実態は面接で確認したい
女性管理職比率0.0%・男女賃金差異68.8%・労働組合なし
ダイバーシティ関連の開示は、この会社を評価するうえで避けて通れない数字です。有価証券報告書によると、管理職に占める女性労働者の割合は第74期・第75期とも0.0%です。男女の賃金の差異は、男性を100としたときに全労働者68.8%、正規雇用労働者67.4%、パート・有期労働者59.8%。男性の育児休業取得率は66.7%と、こちらは相応の水準です。
これらは評価ではなく事実として開示されている数値です。読み方としては次のようになります。
- 女性管理職0.0%は、女性が管理職を目指すキャリアパスの前例が社内にないことを意味します。制度の有無ではなく実績の話であり、応募前に確認すべき論点です
- 男女賃金差異68.8%という数値は、職種構成・等級構成・勤続年数の差が積み上がった結果として生じるのが一般的で、同一労働同一賃金の状況を直接示すものではありません
- 男性育休66.7%は、少なくとも育児関連制度が実際に使われていることを示す数字です
- 労働組合は結成されておらず、有価証券報告書には「労使関係は円満に推移」と記載されています。労働条件の交渉窓口が組合ではない点は、待遇改善の進み方を考えるうえで押さえておきたい前提です
業績は横ばい、営業利益率0.9%|稼ぐ力の5期推移を読む
年収が上がった一方で、会社が稼ぐ力は落ちています。ここを直視しないと、この企業の転職判断は誤ります。
売上はほぼ横ばい、経常利益は3期連続減益
有価証券報告書および決算資料によると、5期の推移は次のとおりです。
| 期(決算年月) | 連結売上高 | 経常利益 |
|---|---|---|
| 第71期 | 436億22百万円 | 6億68百万円 |
| 第72期 | 444億57百万円 | 9億32百万円 |
| 第73期 | 440億64百万円 | 5億52百万円 |
| 第74期(2025年2月期) | 435億55百万円 | 5億2百万円 |
| 第75期(2026年2月期) | 435億18百万円 | 4億53百万円 |
売上高は5期を通じて435〜444億円のレンジに収まり、実質的に横ばいです。一方、経常利益は第72期の9億32百万円をピークに3期連続の減益となり、第75期は4億53百万円まで下がりました。第75期の連結営業利益は4億3百万円で前期比△13.1%、売上高営業利益率は約0.9%です。親会社株主に帰属する当期純利益は2億84百万円(△9.5%)。

売上435億円もあるのに、営業利益が4億円しかないのはなぜ?
これは機械工具商社という業態の構造によるものです。単価数百円〜数万円の消耗品を多品種・小口で大量に流通させるモデルのため、一件あたりの粗利は薄く、取扱高の回転で稼ぐのが基本です。上場する機械工具商社の営業利益率が数%台にとどまるのは業界共通ですが、その中でもNaITOの0.9%は薄い水準です。
ただし財務は健全で、自己資本比率74.7%と借入に依存しない構造です。ROEは2.2%で、資本を厚く持っている分だけ資本効率は低く出ます。赤字ではないが薄利という表現が実態に近く、経営が急に立ち行かなくなるタイプのリスクではありません。
「給与は上がったが、稼ぐ力は落ちている」というギャップ
ここまでの数字を並べると、次のギャップが浮かび上がります。
- 平均年間給与:551.7万円 → 581.9万円(+5.5%)
- 連結営業利益:前期比△13.1%(営業利益率約0.9%)
- 経常利益:3期連続の減益
賃上げが利益成長に先行している状態です。多くの企業に共通する現象ですが、営業利益率0.9%という水準ではこの賃上げペースを継続する余力が大きいとは考えにくい面があります(推定情報)。転職検討者としては、入社時の提示年収に納得できるかを重視し、入社後の大幅な昇給を前提にした資金計画は避けるのが現実的な判断でしょう。
岡谷鋼機が議決権45.65%|親子上場という資本構造の読み方
NaITOを理解するうえで最も特徴的なのが資本関係です。親会社は名古屋の岡谷鋼機株式会社で、議決権所有割合は45.65%(資本金9,128百万円)。有価証券報告書によると、2004年3月の第三者割当増資で関係会社となり、2005年3月の新株予約権行使で親会社となりました。NaITO自身も上場を維持しているため、いわゆる親子上場の状態にあります。
経営面の結びつきも開示されています。代表取締役社長は岡谷鋼機出身(1987年に岡谷鋼機へ入社し、2014年5月に当社社長へ就任)で、2020年5月からは岡谷鋼機の取締役も兼任しています。取締役10名のうち3名が岡谷鋼機出身です。加えて、物流センターの賃借や商品売買といった取引関係も存在します。
大株主に工具メーカーが並ぶ「持ち合い型」の株主構成
もう一つの特徴が、大株主に仕入先メーカーがずらりと並ぶことです(公式情報・有価証券報告書によると)。
| 株主 | 持株比率 |
|---|---|
| 岡谷鋼機(親会社・議決権ベース) | 45.65% |
| タンガロイ | 5.15% |
| ユニオンツール | 5.15% |
| NaITO取引先持株会 | 4.12% |
| 京セラ | 3.79% |
| 不二越 | 2.61% |
| 日東工器 | 2.56% |
| BIGDAISHOWA | 2.56% |
| SMC | 1.41% |
仕入先=株主という商社特有の構造です。これは事業上の安定性という意味ではプラスに働きます。主要メーカーとの取引関係が資本でも裏打ちされており、商材の調達力・供給の安定性は相対的に高いと考えられます(推定情報)。一方で、株式の流動性は低くなり、外部からの経営規律が働きにくい構造でもあります。
転職検討者が押さえるべき論点
親子上場は、働く側にとって次のような論点を生みます。事実と、事実から導ける範囲の見立てを分けて整理します。
- 事実:議決権45.65%を親会社が保有し、社長を含む取締役3名が親会社出身。取引関係も存在する
- 事実:現時点でTOB(株式公開買付け)や完全子会社化に関する具体的な開示は、第75期有価証券報告書の本文中には見当たりませんでした
- 推定情報:親会社主導の経営判断が入りやすい構造であり、経営の独立性という観点では論点が残ります。ただし完全子会社化の可能性について断定できる材料はありません
- 実務上の確認事項:グループ間の人事交流(岡谷鋼機への出向・転籍の有無)、意思決定の実態を面接で確認する価値があります
なお、岡谷鋼機の評判・年収とNaITOのそれはまったく別物です。口コミサイトや年収比較サイトを見るときは、必ず会社単位で切り分けて読んでください。
全30拠点が賃借のアセットライト型|勤務地が分かりにくい実務的な注意点
NaITOは、本社を含む全30拠点がすべて賃借物件で、固定資産の帳簿価額合計は302百万円と極めて小さい会社です。売上435億円に対して固定資産3億円という比率は、典型的なアセットライト型商社です。同じ在庫型の卸売業でも、営業所を自社所有する方針を有価証券報告書に明記している企業(同じ卸売業の田中商事など)とは正反対のモデルで、次のような違いを生みます。
- 拠点の開設・統廃合の機動性が高く、商圏の変化に合わせて配置を変えやすい
- 不動産を持たないぶん、資本は在庫と人に集中している(数十万点の在庫と即納体制が競争力)
- 減価償却負担が軽い一方、賃料は固定費として毎期発生する
転職検討者にとってより実務的なのは勤務地の分かりにくさです。有価証券報告書によると、登記上の本店は東京都北区昭和町二丁目1番11号ですが、2023年11月6日の本社機能移転により一時移転中で、有報に記載された「最寄りの連絡場所」は東京都台東区東上野五丁目1番5号 新台東ビル3階(管理部門)です。さらに営業部門は2024年1月に東京都荒川区へ一時移転しています。
つまり、登記上の住所・管理部門の所在地・営業部門の所在地が現時点で一致していません。求人票に書かれた住所がどの機能を指すのか、内定後の実際の就業場所はどこになるのかは、選考の早い段階で確認しておくべきポイントです。全国30拠点体制のため、転勤・拠点異動の運用ルール(頻度、エリア限定の有無)も併せて確認したい項目です。
同じ「卸売業」の中堅上場企業と比べたNaITOの立ち位置
NaITOの数字は、単独で見ると評価しづらいものです。そこで、東証33業種で同じ「卸売業」に分類される中堅上場企業の直近有価証券報告書の実額と並べます。決算期がそれぞれ異なるため、必ず期と年度を併記しています。すべて各社の有価証券報告書「従業員の状況」および決算数値に基づく公式情報です。
| 企業(証券コード) | 対象期 | 平均年間給与 | 平均勤続年数 | 連結売上高 | 営業利益率の目安 |
|---|---|---|---|---|---|
| NaITO(7624) | 第75期=2026年2月期 | 581.9万円 | 19.9年 | 435億18百万円 | 約0.9% |
| 田中商事(7619) | 第65期=2026年3月期 | 534.7万円 | 13.4年 | 440億4,821万円 | 約3.1% |
| 進和(7607) | 第75期=2025年8月期 | 731.8万円 | 11.7年 | 861億4,600万円 | 約5.3% |
| ダイトロン(7609) | 第74期=2025年12月期 | 858万円 | 15.1年 | 1,031億42百万円 | 約6.8% |
| 星医療酸器(7634) | 第52期=2026年3月期 | 562.2万円 | 10.3年 | 155億2,012万円 | 約12.4% |
この表からは3つのことが読み取れます。
- 勤続年数はこの5社で最長:19.9年は2位のダイトロン15.1年を大きく上回ります。定着という一点では明確に強みです
- 年収は中位:581.9万円は田中商事・星医療酸器より高く、進和・ダイトロンより低い位置です。「同じ卸売業だから年収も近い」わけではないことが分かります
- 営業利益率は最も薄い:0.9%は星医療酸器の12.4%と約14倍の差があります。同じ「卸売業」でも、扱う商材と収益モデルで稼ぐ力はまったく違います
同業の機械工具・生産財商社という軸での比較先としては、トラスコ中山(9830)、ユアサ商事(8074)、山善(8051)、フルサト・マルカホールディングス(7128)などが挙がります。応募先を絞り込む際は、各社の有価証券報告書「従業員の状況」を並べて確認することをおすすめします(本記事ではこれら各社の実額を検証していないため、数値は掲載していません)。
NaITOの将来性|共創ビジョン2030と、切削工具市場の追い風・逆風
将来性は「期待できます」という一般論ではなく、会社が掲げた数値目標と市場統計の両面から評価します。
2030年度目標は経常利益10億円=現状の2倍超
NaITOは2026年3月から新中期経営計画「共創ビジョン2030」(2026年3月〜2031年2月の5カ年、キーワードは「創る・繋げる・結ぶ・広げる」)を開始しました。2030年度の目標は売上高500億円・経常利益10億円です。
これを現状と突き合わせると、ハードルの高さがはっきりします。
- 売上高:435億18百万円 → 500億円(+約15%)
- 経常利益:4億53百万円 → 10億円(2倍超)
売上の伸びは年率3%弱で到達できる範囲ですが、経常利益の2倍超は売上成長だけでは届きません。粗利率の改善、物流・システム効率の向上、高付加価値商材やオリジナルブランドの拡販といった収益構造の転換が必要になります。裏を返せば、この5年間は「効率化と提案力の強化」が社内の最重要テーマになる可能性が高いということです(推定情報)。中途入社でこの領域の経験を持つ人にとっては、貢献余地が明確な局面と言えます。
市場環境は足元で追い風、ただし振れ幅の大きい循環産業
業界統計を見ると、直近は回復局面です。日本機械工具工業会の機械統計ベースで機械工具の国内生産額は2023年4,108億円、2024年4,048億円(前年比98.5%)、2025年4,133億円(同102.1%)と2年ほど横ばい圏で推移した後、2026年1〜4月累計は1,478億円(同107.8%)と伸びています。設備投資側では、日本工作機械工業会の受注額が2024年1兆4,851億円、2025年1兆6,043億円(同108.0%)、2026年1〜7月累計1兆2,482億円(同137.8%)と勢いを増しています。
ただしこの業界は、数年単位で1割規模の増減を繰り返す循環産業です。好況期の数字だけを見て入社を決めると、次の谷で賞与や評価が想定と変わる可能性があります。中長期では、EV化によってエンジン系の加工工程が減る一方、電池・モーター部材、航空機、半導体製造装置、医療機器といった難削材・高精度領域の加工需要が増える構図で、顧客ポートフォリオの組み替えが業界共通の課題です。
有価証券報告書が挙げるリスク|自動車依存と顧客の後継者不在
NaITOの顧客は自動車産業をはじめとする製造現場で、業績は同業界の生産・設備投資動向に強く連動します。加えて有価証券報告書のリスク情報には、「得意先経営者の高齢化・後継者不在による廃業・倒産」が明記されています。これは中小の加工業者を主要顧客とする生産財商社に共通する構造的リスクで、営業現場では「顧客の減少をどう補うか」が日常的なテーマになります。
海外展開は規模こそ小さいものの実在します。ベトナムに100%子会社NAITO VIETNAM(ホーチミン)、タイに持分法適用関連会社SOMAT(持株比率44%、岡谷鋼機と共同で設立)を持ち、中期計画では海外事業を「投資型タイグループ企業」へ再定義するとしています。海外志向のある人にとっては、選択肢としては存在するが主戦場ではない、という位置づけです。
NaITOの評判・口コミはどう調べるべきか
本記事の立場を明確にしておきます。NaITOについては、口コミサイトの投稿件数・総合評価スコア・自己申告年収といった集計データを取得できませんでした。OpenWork・エン カイシャの評判などで企業ページを特定できなかったため、「口コミ評価○点」「投稿○件」といった数値は本記事には一切記載していません。投稿が少ないという推測も、根拠のない数値化はしません。
そのうえで、読者が自分で評判を確認する際の手順を提案します。
- 会社の同定を最優先する:口コミサイトで「内藤」「ナイトー」を検索すると別法人が多数ヒットします。所在地(東京)・業種(機械工具卸)・証券コード7624を必ず突き合わせてください
- 複数サイトを横断する:OpenWork、転職会議、エン カイシャの評判、キャリコネ、Yahoo!しごとカタログなど、母集団の違う複数サイトで口コミ傾向が一致するかを見ます。1サイトだけの評価は投稿者の偏りを受けます
- 年収の自己申告値は有報と突き合わせる:口コミの自己申告年収は若手層に偏りやすく、平均年齢44.7歳の会社では有報の581.9万円より低く出るのが一般的です。差があること自体は異常ではありません
- 数字で確認できる事実を優先する:平均勤続19.9年・女性管理職0.0%・従業員数の5期推移といった有価証券報告書の数値は、口コミよりも検証可能性が高い情報です
本記事が有報の一次データを厚めに扱っているのは、この理由によります。
NaITOへの転職が向いている人・向いていない人
ここまでの公式情報と業界文脈をふまえ、適性を整理します(推定情報を含みます)。断定ではなく、判断材料としてお読みください。
| 向いている人 | 向いていない人 |
|---|---|
| 同じ顧客と長く関係を築くルート営業に価値を感じる人(平均勤続19.9年の組織) | 3〜5年で成果を出して昇進・転職していくキャリアを描いている人 |
| 数万点規模の製品知識を地道に積み上げることが苦にならない人 | 単一商材を深く売るメーカー型の営業を志向する人 |
| 財務が安定した会社(自己資本比率74.7%)で腰を据えて働きたい人 | 高い業績連動賞与や急激な年収上昇を期待する人(営業利益率約0.9%) |
| 在庫・物流・EDIやシステムの効率化で会社の利益率改善に貢献したい人 | 組織拡大に伴うポスト増を前提にキャリアを設計したい人(従業員数は5期連続で減少) |
| 親会社を含むグループの安定した商流の中で働くことに納得できる人 | 資本の独立性や、経営判断のスピード・自由度を重視する人 |
| 切削工具・工作機械など製造現場の技術知識を深めたい人 | 勤務地を確定させたい人(本社機能が一時移転中で全国30拠点体制) |
特に女性の転職検討者にとっては、女性管理職比率0.0%という開示事実をどう受け止めるかが重要な分岐点になります。制度としての育児支援は男性育休取得率66.7%という数字が示すとおり機能している側面がありますが、管理職登用の実績は現時点でゼロです。ロールモデルの有無は面接で確認すべき項目でしょう。
NaITOに関するよくある質問(FAQ)
NaITOへの転職・就職を検討する人から想定される質問と、公開情報に基づく回答をまとめました。
株式会社NaITOの本社はどこにありますか?
登記上の本店は東京都北区昭和町二丁目1番11号です。ただし2023年11月6日の本社機能移転により一時移転中で、第75期有価証券報告書に記載された「最寄りの連絡場所」は東京都台東区東上野五丁目1番5号 新台東ビル3階(管理部門)となっています。さらに営業部門は2024年1月に東京都荒川区へ一時移転しています(いずれも有価証券報告書によると)。登記住所と実際の執務場所が異なる状態のため、応募時は求人票の勤務地表記がどの機能・拠点を指すのかを必ず確認してください。
NaITOの平均年収はいくらですか?
第75期(2026年2月期)有価証券報告書「従業員の状況」によると、平均年間給与は5,819千円(約581.9万円)です。提出会社ベースで、賞与および基準外賃金を含みます。前期の第74期は5,517千円(約551.7万円)でしたので、1年で約30万円・+5.5%の増加です。平均年齢44.7歳・平均勤続19.9年という前提の平均値である点に注意してください。
中途採用の求人はどこで確認できますか?
採用情報は公式サイトの採用ページ(naito.net/recruit/)が一次情報です。「内藤」「ナイトー」という表記で検索すると別法人の求人が多数混ざるため、ドメインがnaito.netであること、証券コード7624の会社であることを確認したうえで応募してください。従業員数が5期連続で減少している状況からは、欠員補充型の募集が中心である可能性が考えられます(推定情報)。募集職種・想定年収・配属拠点は求人票と労働条件通知書で必ず確認しましょう。
岡谷鋼機の完全子会社になる可能性はありますか?
岡谷鋼機が議決権の45.65%を保有する親会社であることは有価証券報告書に記載された事実です。一方で、TOB(株式公開買付け)や完全子会社化に関する具体的な開示は、第75期有価証券報告書の本文中には見当たりませんでした。将来的な資本政策について予測を述べられる材料はないため、本記事では断定も否定もしません。気になる場合は公式IRの適時開示を継続的に確認してください。
不祥事や行政処分の情報はありますか?
第75期有価証券報告書の本文中には、行政処分や重要な訴訟に関する記載は見当たりませんでした。ただしこれは「該当なし」と断定できる根拠ではなく、公開情報の範囲で確認できた事実にとどまります。企業の法令遵守状況を詳しく確認したい場合は、公式IRの適時開示一覧やコーポレート・ガバナンス報告書を併せてご覧ください。
NaITOへの転職判断まとめ
ここまでの内容を、判断軸ごとに整理します。最終的な判断は、求人票だけでなく自分の経験・適性も含めて確認しましょう。
| 判断軸 | 評価と根拠 |
|---|---|
| 年収水準 | 有報581.9万円(前期比+5.5%)。同じ卸売業の中堅では中位。ただし平均年齢44.7歳ベースの数字である点に留意 |
| 定着・働きやすさ | 平均勤続19.9年は比較した5社で最長。労働組合は結成されておらず、労働条件の交渉窓口は要確認 |
| 収益力 | 営業利益率約0.9%、経常利益は3期連続減益。赤字ではないが薄利。自己資本比率74.7%で財務は健全 |
| 成長性 | 売上は5期横ばい。中計「共創ビジョン2030」は経常利益2倍超の目標で、達成には収益構造の転換が必要 |
| キャリア機会 | 従業員数が5期連続減少しポスト増は見込みにくい。一方で欠員補充の中途枠は継続的に発生する可能性 |
| ダイバーシティ | 女性管理職比率0.0%、男女賃金差異68.8%(全労働者)。男性育休取得率は66.7% |
| 資本構造 | 岡谷鋼機45.65%の親子上場。大株主に工具メーカーが並ぶ持ち合い型で、商流は安定的だが独立性は論点 |
| 勤務地 | 全30拠点が賃借。本社機能が一時移転中で登記住所と執務場所が一致せず、配属先の事前確認が必須 |
| 評判の確認しやすさ | 口コミサイトの集計データは本記事では取得できず。有価証券報告書の一次データで判断するのが確実 |
編集部の見解として総合すると、NaITOは「急成長でリターンを狙う会社」ではなく、安定した商流と長期勤続の文化の中で、専門知識を積み上げて働く会社と考えられます。財務の健全性と定着率の高さは明確な強みですが、営業利益率0.9%・従業員数の緩やかな減少・女性管理職0.0%という事実は、キャリアの伸ばし方や働き方の希望によっては合わない可能性があります。長期勤続を前提に、製造業の現場に近い専門性を身につけたい人にはおすすめできる一方、短期で年収とポジションを大きく引き上げたい人には、他の選択肢と比較したうえでの判断をおすすめします。
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本記事の出典・参考情報
本記事で参照した一次情報・口コミ情報の出典は以下の通りです。最新の正確な数値は各リンク先で確認してください。
公式情報源
- 株式会社NaITO 公式サイト
- 株式会社NaITO IRページ
- 株式会社NaITO 採用情報
- EDINET(金融庁・有価証券報告書検索):第75期有価証券報告書(EDINETコードE02903・2026年5月19日提出)
口コミ・評判の参照元
免責事項:本記事の数値・評価は公式情報・口コミ集計・市場推定の3分類で示しており、口コミ傾向や推定情報は断定ではなく傾向・可能性として表現しています。業界統計は日本機械工具工業会および日本工作機械工業会の公表値を参照しています。最終判断は読者自身で公式IRおよび内定時の労働条件通知書で確認してください。
この記事の編集方針・情報の確認について
この記事は、公式公開情報(有価証券報告書・IR資料)、求人情報、口コミ傾向をそれぞれ分けて整理し、転職・就職判断に役立つよう編集しています。年収・平均年齢・平均勤続年数・従業員数などの中核データは、株式会社NaITO(EDINETコードE02903)の第75期有価証券報告書「従業員の状況」を一次情報として確認し、口コミ・推定情報とは明確に区別しています。同名・類似名の別法人と混同しないよう、証券コード7624および公式ドメインnaito.netで企業を同定しています。記載内容は最終更新時点の公開情報にもとづきます。最新の正確な数値は各公式IRページでご確認ください。
