NISSHA(旧・日本写真印刷)の年収と評判|印刷売上7%の京都発メーカー
※本記事にはプロモーションを含みます。
この記事の結論
- 正体:印刷売上は全体の7%弱。実態は加飾フィルム・センサー・医療機器のメーカー
- 年収:有報741万円は単体724名の値。連結5,305名の14%しか映していない
- 不安の正体:激務ではなく事業の振れ幅。ディバイスは赤字と黒字を往復
- 向く人:海外売上約88%の環境で、京都本社から世界を動かしたい人
NISSHA株式会社(旧・日本写真印刷株式会社/証券コード7915・東証プライム)を転職先として調べ始めると、多くの人が最初に戸惑います。社名で検索すると「印刷会社」と出てくるのに、募集職種を見るとフィルムセンサーや医療機器の開発が並んでいるからです。この違和感は勘違いではありません。2025年12月期の連結売上収益1,948億98百万円のうち、旧本業である印刷(情報コミュニケーション)は約130億円・全体の7%弱にすぎず、残る9割超は非印刷の事業が稼いでいます。この記事では、公式情報(有価証券報告書・決算短信・公式IR)、口コミ傾向(OpenWork・エン ライトハウス等)、推定情報を明確に分けたうえで、年収・評判・将来性・就職難易度・勤務地までを転職判断に必要な順序で整理します。
NISSHA(旧・日本写真印刷)とは|印刷が売上の7%になった京都のメーカー
結論から言えば、NISSHAを「印刷会社」として評価すると転職判断を大きく誤ります。読者がまず押さえるべきは、この会社が売上の9割超を非印刷の事業で稼ぐ製造業に変わっているという事実です。ここを理解すると、後に出てくる年収の読み方も、業績の振れ幅も、求められるスキルもすべて筋が通ります。
公式情報として、公式サイトの会社概要によると創業は1929年10月6日、法人設立は1946年12月28日、資本金は121億1,979万円、本社は京都府京都市中京区壬生花井町3、代表取締役社長 兼 最高経営責任者は鈴木順也氏です。上場区分は東京証券取引所プライム市場、証券コードは7915。連結子会社は66社、拠点は国内14カ所・海外39カ所に及びます。
2017年10月、日本写真印刷はNISSHAに社名を変えた
「日本写真印刷という会社を探していたのに見つからない」という人がいますが、それは会社が消えたからではありません。公式情報として、2017年10月1日に日本写真印刷株式会社からNISSHA株式会社へ商号変更されています。つまり日本写真印刷=現在のNISSHAです。社名変更から約9年が経ち、新卒・第二新卒層は旧社名を知らない一方、40代以上や関西の印刷業界内では「日本写真印刷」の呼称が今も残っています。求人票やエージェント経由の紹介で表記が揺れることがあるため、両方の名称で情報収集しておくと取りこぼしが減ります。
なお、社名変更は単なるリブランディングではなく、事業構造の転換とセットになっています。公式情報として、2018年には情報コミュニケーション事業の東京地区を共同印刷株式会社へ譲渡したことがニュースリリースで公表されており、旧本業の商業印刷は意図的に規模を縮小してきた経緯があります。
セグメント別売上で見る「いまのNISSHA」
2025年12月期(第107期)の決算短信〔IFRS〕によると、セグメント別の売上収益は次の構成です(公式情報)。
| セグメント | 2025年12月期 売上収益 | 前期比 | 主な製品・領域 |
|---|---|---|---|
| 産業資材 | 763億円 | +3.0% | 加飾フィルム、IMD(成形同時加飾)、自動車内外装・家電の意匠部材 |
| ディバイス | 585億円 | ▲13.5% | フィルムタッチセンサー、フォースセンサー(スマホ・ゲーム機・車載) |
| メディカルテクノロジー | 471億円 | +3.3% | 医療機器の受託開発製造(CDMO)、電極・創傷ケア製品 |
| その他(情報コミュニケーション=印刷 等) | 約130億円 | — | 商業印刷、医薬品製造など |
3セグメント合計を連結売上収益1,948億98百万円から差し引いた概算で、旧本業の印刷を含む「その他」は約130億円・全体の7%弱にとどまります。1929年創業の写真印刷会社が、いまや自動車の内装パネル、スマートフォンのセンサー、そして欧米の医療機器メーカー向け受託製造で食べている——これがNISSHAの実像です。
この構造は、印刷業界全体の潮流とも重なります。国内の印刷産業は事業所数・従業者数の減少が続き、出版市場も紙媒体の縮小が止まりません。その中でTOPPANやDNPが半導体関連材料へ、共同印刷がパッケージ・BPOへと軸足を移しているように、各社は「印刷技術の応用先」で生き残りを図っています。NISSHAはその転換を最も極端に振り切った1社であり、社名や業種分類ではなく、どのセグメントに人と投資が向かっているかで求人内容もキャリアの伸び方も変わるという業界共通の見方が、そのまま当てはまります。
NISSHAの公式データ一覧(有価証券報告書ベース)
本記事で扱う公式数値を一覧で確認できます。公式情報として、最新の正確な数値は公式IRページで再確認してください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 商号 | NISSHA株式会社(旧・日本写真印刷株式会社/2017年10月1日商号変更) |
| 証券コード・上場区分 | 7915/東京証券取引所プライム市場 |
| 本社 | 京都府京都市中京区壬生花井町3 |
| 創業/設立 | 創業1929年10月6日/設立1946年12月28日 |
| 代表者 | 代表取締役社長 兼 最高経営責任者 鈴木順也 |
| 資本金 | 121億1,979万円 |
| 平均年間給与 | 741万円(第107期・2025年12月期/提出会社NISSHA単体724名) |
| 平均年齢 | 42.6歳(第107期/提出会社単体) |
| 平均勤続年数 | 15.7年(第107期/提出会社単体) |
| 従業員数 | 連結5,305名(2025年12月末)/提出会社単体724名(第107期) |
| 売上高(売上収益) | 1,948億98百万円(第107期・IFRS連結/前期比▲0.4%) |
| 営業利益 | 40億40百万円(第107期・連結/前期比▲26%) |
| 当期利益 | 13億83百万円(第107期・連結/前期比▲65.5%) |
| 拠点数 | 国内14カ所/海外39カ所、連結子会社66社 |
| 海外売上比率 | 約88%(統合報告書等にもとづく二次確認値。一次資料での直接確認は未了) |
| 離職率・職種別年収 | 有価証券報告書では開示されていない |
| 出典 | 第107期(2025年12月期)有価証券報告書「従業員の状況」/2025年12月期決算短信〔IFRS〕(2026年2月12日発表、2026年3月23日に数値データの一部訂正開示)/公式IR・会社概要 |
年収・平均年齢・平均勤続年数・従業員数は有価証券報告書「従業員の状況」に記載された実額です。ただし本記事では、有報PDF原本からの機械的な抽出ができなかったため、有報記載値を転載しているIRBANK(irbank.net)経由で数値を確認しています。数値そのものの出所は有価証券報告書ですが、確認経路が二次サイトである点を明記しておきます。
NISSHAの平均年収741万円は「724名分」の数字|口コミとの差をどう読むか
年収パートで最も重要な結論を先に述べます。有価証券報告書の741万円は、NISSHA単体724名の平均であり、連結5,305名の約14%しかカバーしていません。この一点を知らずに求人に応募すると、提示額とのギャップに驚くことになります。
有報の平均年間給与は3期連続で上昇している
公式情報として、有価証券報告書「従業員の状況」による提出会社単体の推移は次の通りです。
| 期 | 平均年間給与 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 提出会社従業員数 |
|---|---|---|---|---|
| 第105期(2023年12月期) | 712万円 | 42.9歳 | — | — |
| 第106期(2024年12月期) | 737万円 | 42.8歳 | 15.6年 | 758名 |
| 第107期(2025年12月期) | 741万円 | 42.6歳 | 15.7年 | 724名 |
3期で712万円→737万円→741万円と上昇しており、金額の水準としては東証プライム上場メーカーの中位以上です。平均勤続年数15.7年は、10年以上前(2014年3月期)の14.1年から着実に伸びており、長く勤める人が多い会社であることを示しています。一方で平均年齢が42.6歳で高止まりしている点は、若手の比率が急拡大しているわけではないことも示唆します(推定情報)。
口コミの実感値は541万〜577万円|150万〜200万円の差はなぜ生まれるか
口コミ傾向として、OpenWorkの回答者ベース平均年収は577万円(回答68人・平均年齢36歳、レンジ340万〜1,400万円)、エン ライトハウスは541万円(回答56人、レンジ350万〜950万円)です。有報の741万円とは150万〜200万円の開きがあります。
この差が生まれる理由として、次の3点が推定情報として考えられます。
- 母集団の違い:有報は日本の本体(提出会社)724名のみ。国内子会社(NISSHAエフアイエス、日本写真印刷コミュニケーションズ等)や海外子会社の社員は含まれない
- 年齢構成の違い:有報の平均年齢は42.6歳、OpenWork回答者の平均は36歳。約6〜7歳の差が、そのまま金額差の一部を説明する
- 回答者の偏り:口コミサイトは若手・中途入社層の投稿が相対的に多くなりやすい
つまり741万円も577万円も間違いではなく、見ている集団が違うだけです。転職検討者にとって実務的に重要なのは、「自分が入るのはNISSHA本体か、それともグループ会社か」という一点です。求人票の雇用主が「NISSHA株式会社」なのか「NISSHAインダストリーズ株式会社」「NISSHAエフアイエス株式会社」といったグループ企業なのかで、参照すべき年収レンジは変わります。応募前に必ず確認してください。
職種・年代別の目安と、選考時に確認すべきこと
NISSHAは職種別・役職別の年収を公式に開示していません(有価証券報告書では開示されていない項目です)。そのため以下はあくまで推定情報ですが、有報単体値と口コミレンジから逆算すると、本体所属で20代後半〜30代前半が450万〜600万円程度、30代後半〜40代の主任・係長クラスで650万〜850万円程度、管理職層で900万円以上というレンジが目安として考えられます。OpenWorkのレンジ上限1,400万円は管理職・海外拠点の責任者クラスを含むものと推測されます。
口コミ傾向では「基本給が抑えめで残業に頼る収入構造」「昇給のペースが緩やか」という指摘が見られます。これは月間残業22.0時間という数字と合わせて読むと、残業が少ないぶん、残業代込みの年収が伸びにくい構造という解釈が成り立ちます(推定情報)。選考時には次の点を必ず確認しましょう。
- 基本給と固定残業代の内訳(みなし残業時間が何時間分含まれるか)
- 賞与の算定方式(全社業績・セグメント業績・個人評価の配分)
- 配属予定セグメント(後述の通り、セグメントによって業績の振れ幅が大きく異なる)
- 雇用主がNISSHA本体かグループ会社か
特に3点目は重要です。NISSHAは事業ごとの利益の振れ幅が大きいため、賞与が全社一律なのか部門業績連動なのかで、実際の年収の安定度が変わってきます。
NISSHAの評判・口コミ傾向|法令順守4.4と待遇2.3という極端な落差
NISSHAの口コミには、はっきりした「山」と「谷」があります。結論として、コンプライアンスと風通しは高く評価される一方、待遇と評価制度への納得感は低い——これが投稿傾向から読み取れるプロファイルです。
口コミ傾向として、OpenWorkの総合評価は3.10(全79,987社中の上位23%)、クチコミ737件・回答者147人と、中堅上場メーカーとしては十分な母数があります。項目別スコアは次の通りです。
| 評価項目 | スコア(5点満点) | 位置づけ |
|---|---|---|
| 法令順守意識 | 4.4 | 突出して高い |
| 風通しの良さ | 3.9 | 高い |
| 社員の士気 | 2.6 | 低い |
| 人事評価の適正感 | 2.5 | 低い |
| 人材の長期育成 | 2.4 | 低い |
| 待遇面の満足度 | 2.3 | 最も低い |
高く評価されている点
口コミ傾向として、肯定的な投稿には次のようなテーマが繰り返し現れます。
- 研修の充実:「若手向けの講習・研修が用意されていて成長できる」という声
- 事業の幅とグローバル展開:「幅広い事業領域と海外拠点が強み」という評価
- 法令順守と風通し:4.4/3.9というスコアが、コンプライアンス面の安心感を裏づける
エン ライトハウスでも総合3.3(正社員59人回答・クチコミ278件)で、カテゴリ別の投稿数は「成長・働きがい」84件、「事業展望・強み弱み」49件が中心です。退職理由の投稿は1件と極端に少なく、不満が噴出して大量離職しているようなプロファイルではないことが読み取れます。
指摘されている点
一方、否定的な投稿は待遇と評価制度に集中します。口コミ傾向としては「基本給が抑えめ」「昇給が遅い」「印刷業のイメージのまま給与水準が据え置かれている」といった声が見られます。加えて、創業家出身の社長が率いるオーナー色の残る企業であることから、経営方針の決まり方について指摘する投稿も一定数あります。公式情報として、大株主には資産管理会社とみられる鈴木興産が5.33%(第2位株主)、京都銀行が3.00%と名を連ねており、株主構成の面でも地元・創業家との関係が残っています。
この「法令順守は高いのに士気は低い」という構造は、老舗メーカーによく見られるパターンです。ルールが整い、無理な働き方を強いられることは少ない。しかし処遇と評価で報われている実感が持ちにくい——という読み方が成り立ちます(推定情報)。
働き方|残業22.0時間・有給消化率73.0%
口コミ傾向として、OpenWork集計の月間残業時間は22.0時間、有給消化率は73.0%です。月22時間は1日あたり約1時間で、製造業としては抑えられた水準にあたります。有給消化率73.0%も国内平均を上回ります。つまりNISSHAに対する不安の中身は「働きすぎ」ではないと考えられます。

「やばい」って出てくるけど、激務ってことですか?
数字を見る限り、そうではありません。次の章で、検索候補に「やばい」が出る理由を業績データから分解します。
「NISSHA やばい」と検索される理由を、数字で分解する
結論として、NISSHAをやばい企業と断定できる根拠はありません。ただし、検索候補に「やばい」「将来性」が並ぶ背景には、実在する3つの数字上の不安材料があります。ここを避けずに直視することが、転職判断では最も役に立ちます。
理由1:ディバイス事業の営業利益が乱高下している
最大の論点はここです。公式情報として、ディバイス事業のセグメント営業利益は次のように推移しています。
| 期 | ディバイス事業 セグメント営業利益 |
|---|---|
| 2021年12月期 | 143億円 |
| 2022年12月期 | 82.9億円 |
| 2023年12月期 | ▲15.8億円(セグメント損失) |
| 2024年12月期 | 18.0億円 |
| 2025年12月期 | 21.3億円 |
143億円の利益を出した2年後に15.8億円の損失を計上する——この振れ幅は、スマートフォンやゲーム機といった大口顧客の製品サイクルに業績が強く連動する構造から生じています。2023年の赤字を受けて工場集約も実施されており、2025年12月期は減収ながら増益(585億円・▲13.5%の売上で営業利益21.3億円)と改善しました。ただし、この事業に配属される場合は「業績が数年単位で大きく上下する前提」で待遇や部門評価を見る必要があると考えられます(推定情報)。
理由2:2025年12月期は増収基調でも大幅減益だった
公式情報として、第107期(2025年12月期)の連結業績は売上収益1,948億98百万円(前期比▲0.4%)に対し、営業利益40億40百万円(▲26%)、税引前利益35億51百万円(▲42.7%)、当期利益13億83百万円(▲65.5%)。売上はほぼ横ばいなのに、利益が段階的に大きく削られています。
セグメント利益の内訳を見ると要因が見えます。産業資材は37億41百万円(前期48.7億円→▲23.2%)で、モビリティ新製品=自動車外装機能部品の量産立ち上げに伴う先行費用が利益を圧迫しました。メディカルテクノロジーも20億4百万円(前期23.9億円)と減少。増益はディバイス(18.0億円→21.3億円)だけという構図です。
先行費用による減益は、投資が回収局面に入れば反転しうる性質のものです。実際、公式情報として2026年12月期の会社予想は売上収益1,980億円・営業利益70億円・親会社所有者帰属当期利益32億円と、大幅な回復を見込んでいます。ただし報道ではこの予想は市場予想平均を下回る水準とされており、「回復途上だが力強さには不安が残る」という温度感です。
理由3:従業員数が拡大局面にない
公式情報として、提出会社の従業員数は758名(第106期)から724名(第107期)へ34名減少し、連結従業員数も前期比で約92名減となっています。積極的な人員拡大フェーズではないことは事実として押さえておくべきです。一方で、これは大規模な人員削減というより、工場集約や自然減の積み重ねとみられる規模感です(推定情報)。
なお、NISSHAをめぐっては2019年に技術情報の流出事件が報じられていますが、これは元社員個人による情報の不正持ち出しの刑事事件であり、NISSHAは技術情報を盗まれた被害者側です。京都府警が元社員を不正競争防止法違反容疑で逮捕し、2021年6月17日に京都地裁が実刑判決を言い渡しています。会社に対する行政処分や課徴金ではありません。むしろOpenWorkの法令順守意識4.4というスコアと合わせて、情報管理を厳格に運用する企業という読み方ができます(推定情報)。
まとめると、NISSHAの「やばい」は働き方の過酷さではなく、事業ポートフォリオのボラティリティと処遇への納得感に起因していると整理できます。残業22時間・有給73%・勤続15.7年という数字は、むしろ落ち着いた職場環境を示しています。
NISSHAの将来性|医療機器CDMOと海外88%が示す方向性
将来性を考えるうえでの結論は、NISSHAの成長エンジンは印刷でも国内でもなく、医療機器CDMOと海外市場にあるということです。転職後のキャリアがどこで伸びるかも、この方向性に沿って決まります。
成長領域:メディカルテクノロジーは4年で売上ほぼ倍増
公式情報として、メディカルテクノロジー事業の売上収益は2021年12月期の242億円から2025年12月期の471億円へと、4年でほぼ倍増しています。この事業は欧米企業のM&Aによって構築されたもので、医療機器の受託開発製造(CDMO)として電極や創傷ケア製品を製造・販売しています。
印刷会社が医療機器の受託製造に進出するというキャリアパスは、国内では極めて珍しいものです。品質保証(QA/RA)、医療機器の各国規制対応、海外子会社のマネジメントといった経験は、業界を越えて転用可能性が高い専門性にあたります(推定情報)。
投資領域:モビリティ向け外装機能部品の量産立ち上げ
産業資材セグメント(763億円・前期比+3.0%)は最大の売上規模を持ち、加飾フィルムやIMD(成形同時加飾)で自動車内装や家電の意匠部材を供給しています。ここで現在進行しているのが、モビリティ向け新製品=外装機能部品の量産立ち上げです。2025年12月期はその先行費用でセグメント利益が▲23.2%となりましたが、裏を返せば会社が最も資源を投じている領域であることを意味します。
自動車の外装は、内装に比べて要求される耐候性・品質水準が桁違いに高い領域です。ここを立ち上げられれば単価も参入障壁も上がる一方、立ち上げに失敗すれば先行投資が重くのしかかります。転職検討者にとっては、この投資の成否が今後2〜3年の待遇に影響しうるという見方が妥当です(推定情報)。
構造リスク:海外88%・拠点39カ所という「小さな本社・大きな海外」
NISSHAの海外売上比率は約88%(統合報告書等にもとづく二次確認値)、海外拠点は39カ所、連結子会社は66社にのぼります。対して日本の本体は724名。この構造には明確な光と影があります。
- 光:国内本体の人数が少ないため、若いうちから海外拠点や子会社を相手にする仕事が回ってきやすい
- 影:為替変動、米中関係、顧客であるスマホ・ゲーム機メーカーの生産地シフトが、業績に直撃する
- 影:国内採用者が、海外子会社の業績変動を管理する立場に置かれやすい
「京都本社の落ち着いた製造業」を期待して入ると、実務の相手が海外拠点ばかりで面食らう可能性があります。逆に、語学や海外子会社マネジメントの経験を積みたい人にとっては、国内メーカーの中でも密度の高い環境と言えます(推定情報)。
なお、印刷業界全体では「10年後も事業と雇用が維持されるのか」という不安が共通して語られますが、NISSHAに関してはその問いの立て方自体がやや的外れです。同社は既に印刷から離脱済みであり、判断すべきは加飾フィルム・センサー・医療機器という3領域の競争力です。
印刷・情報関連7社の比較|NISSHAの立ち位置を数字で確認する
NISSHAを検討する人の多くが、TOPPANやDNPと並べて比較します。同じ「印刷」の看板を掲げる企業でも、規模・収益性・年収水準はまったく異なります。公式情報(各社の直近決算・有価証券報告書)にもとづく比較は次の通りです。
| 企業名 | 売上高 | 営業利益 | 営業利益率 | 有報の平均年間給与 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| TOPPANホールディングス(7911) | 1兆8,050億円 | 671億円 | 3.7% | 868万円 | 印刷最大手。エレクトロニクス・DXへ転換 |
| 大日本印刷(7912) | 1兆5,125億円 | 1,010億円 | 6.7% | 861万円 | フォトマスク等の半導体関連が収益源 |
| NISSHA(7915) | 1,948億円 | 40.4億円 | 2.1% | 741万円(単体724名) | 加飾フィルム・センサー・医療機器CDMO。海外約88% |
| 共同印刷(7914) | 982億円 | 21.3億円 | 2.2% | 671万円 | パッケージ・BPO中心。NISSHAの印刷事業の譲受先 |
| TAKARA & COMPANY(7921) | 311億円 | 44.2億円 | 14.2% | 893万円(持株会社41名) | ディスクロージャー関連。利益率が突出 |
| 野崎印刷紙業(7919) | 140億円 | 5.16億円 | 3.7% | 523.9万円 | 中堅。有報値と実勢の乖離が小さい |
| 光村印刷(7916) | 141億円 | ▲0.69億円 | — | 490万円 | 新聞印刷中心。2期連続の営業赤字 |
この表から読み取れることを整理します。
- 年収水準:NISSHAの741万円は、TOPPAN・DNPの860万円台には届かないが、共同印刷671万円や中堅各社を明確に上回る。ただし単体724名の値である点は差し引いて読む必要がある
- 収益性:営業利益率2.1%は7社中でも低位。売上規模で共同印刷の2倍あるのに営業利益はほぼ同水準という点が、現在の課題を端的に示している
- 事業の性格:DNP(6.7%)やTAKARA & COMPANY(14.2%)と比べると、NISSHAは「規模はあるが利益率が薄い」タイプ。先行投資局面という説明と整合する
また、加飾フィルムや機能性フィルムの領域では、印刷業以外にも日東電工(6988)のような機能材料メーカーが直接の競合となります。転職市場で年収を比較する際は、印刷業界内だけでなく機能性フィルム・電子部品メーカーの相場と並べたほうが実態に近い判断ができます(推定情報)。
NISSHAの就職難易度・転職難易度|採用大学と求められる経験
NISSHAは「就職難易度」「採用大学」での検索が多い企業です。結論として、難易度は高めと考えられますが、その理由は知名度ではなく採用枠の小ささにあります。
まず前提として、NISSHAは採用人数・応募倍率・採用大学の内訳・初任給を公式に開示していません。したがって以下は推定情報であり、数値による断定はできません。
- 採用枠が構造的に小さい:提出会社の従業員は724名。東証プライム上場かつ売上約1,950億円の企業としては本体人数が極めて少なく、年間の採用数も限られると考えられる
- 関西圏での認知度が高い:京都本社の老舗メーカーとして関西の学生から人気があり、応募が集まりやすい
- 技術領域が専門的:加飾フィルム、センサー、医療機器という3領域それぞれで求められる知識が異なり、汎用的な「印刷会社志望」では通用しにくい
「採用大学」に関しては、公式な学校別実績の開示がないため、特定の大学名や学歴フィルターの有無を断定することはできません。ただし研究開発・生産技術職では材料工学・化学・機械・電気系の専門性が求められるため、学歴そのものより専攻と研究内容の合致が効くと考えられます(推定情報)。
中途採用で評価されやすい経験
公式採用サイトの募集職種一覧や事業構造から逆算すると、次のような経験が評価されやすいと考えられます(推定情報)。
- フィルム・樹脂成形の技術者:加飾フィルム、IMD、成形品の量産技術
- センサー・電子部品の設計/生産技術:タッチセンサー、フォースセンサー領域
- 医療機器の品質保証・薬事(QA/RA):CDMO事業の拡大に直結する希少人材
- 海外拠点マネジメント・貿易実務:海外39拠点・子会社66社を支える機能
- 自動車業界向けの品質管理・IATF対応:モビリティ新製品の量産立ち上げ
逆に、商業印刷の営業・制作進行の経験だけでNISSHAに応募する場合、旧本業の情報コミュニケーションは売上の7%弱まで縮小しているため、活かせるポジションは限られると考えられます。印刷営業の経験を軸にするなら、パッケージやBPOに軸足を移した共同印刷などのほうが接点が多い可能性があります(推定情報)。
選考で押さえておきたい観点
面接では「なぜ印刷会社ではなくNISSHAなのか」を説明できるかが分かれ目になりやすいと考えられます。セグメント別の売上構成、海外売上比率、応募先事業の直近業績まで踏まえた志望動機は、他の応募者との差がつきやすいポイントです。加えて、ディバイス事業の業績変動や産業資材の先行投資について「理解したうえで入りたい」という姿勢を示せると、ミスマッチの懸念を払拭しやすくなります(推定情報)。
NISSHAの勤務地|京都本社と国内拠点の実像
NISSHAの検索で最も多いキーワードのひとつが「京都本社」です。勤務地は転職判断の中心的な要素になるため、公式情報で確認できる範囲を整理します。
本社は京都府京都市中京区壬生花井町3。京都市の中心部に本社を構えるグローバル製造業という点は、他の大手電子部品メーカーには少ない特徴です。国内拠点は14カ所あり、グループ各社の製造拠点として亀岡(京都府)、甲賀(滋賀県)、加賀(石川県)などの工場が知られています。ただし、各拠点の従業員数・職種構成の詳細までは公開資料で確認していないため、配属可能性の具体的な範囲は求人票と面接で確認してください。
- 京都で働きたい人:本社機能・研究開発が京都圏にあるため、関西を離れずにグローバル製造業のキャリアを積める
- 工場勤務を検討する人:亀岡・甲賀・加賀などの製造拠点があり、生産技術・品質管理職の受け皿となる
- 転勤の可能性:海外39拠点・連結子会社66社という構造上、海外赴任の可能性は他の同規模メーカーより高いと考えられる(推定情報)
大株主に京都銀行が3.00%入っていることからも分かる通り、地元金融・地域経済との関係は現在も維持されています。「京都に腰を据えつつ、仕事の相手は世界」という働き方を志向する人には、選択肢として合理性があります。
NISSHAへの転職が向いている人・向いていない人
これまでの公式情報・口コミ傾向をふまえ、適性を整理します(推定情報を含みます)。
| 向いている人 | 向いていない人 |
|---|---|
| 「印刷会社」ではなく機能材料・デバイス・医療機器のメーカーとして志望できる人 | 老舗印刷会社としての安定感やブランドを求めている人 |
| 海外拠点・海外子会社を相手にする仕事に前向きな人 | 国内完結の業務で腰を据えたい人 |
| 事業ごとの業績変動を理解し、変化を前提に働ける人 | 年ごとの業績が安定していることを最優先する人 |
| 関西・京都を拠点にグローバルなキャリアを積みたい人 | 首都圏勤務を条件にしている人 |
| 残業が少なく法令順守が徹底された環境を重視する人 | 成果に応じた急激な昇給・昇格を求める人 |
| 材料・成形・センサー・医療機器規制などの専門性を深めたい人 | 汎用的な営業スキルだけで幅広く担当したい人 |
NISSHAへの転職|編集部の見解
編集部の見解として、NISSHAは「印刷会社」という先入観を外せる人にとっては、想像以上に面白い選択肢だと考えられます。売上1,948億円のうち9割超を非印刷で稼ぎ、海外比率約88%、医療機器CDMOは4年で倍増。この事業構成を国内で持つ企業は多くありません。
一方で、正直に言えば手放しで推奨できる状態でもありません。営業利益率2.1%は印刷クラスタ7社の中で低位であり、当期利益は前期比▲65.5%。ディバイス事業は2023年に赤字を計上した実績があります。OpenWorkの待遇満足度2.3・人事評価2.5という低スコアも、給与と評価に納得しづらい構造が続いていることを示唆しています。
総合すると、次のような整理になります。
- おすすめできるケース:材料・デバイス・医療機器の専門性を持ち、京都圏でグローバルな仕事をしたい人。残業22時間・有給73%という環境で、腰を据えて技術を深めたい人
- 慎重に検討すべきケース:短期での大幅な年収アップを狙う人。配属セグメントの業績変動を許容できない人。商業印刷の経験だけを武器に応募しようとしている人
判断のポイントは「どのセグメントに配属されるか」に尽きます。同じNISSHAでも、産業資材・ディバイス・メディカルテクノロジーでは業績の性格も求められるスキルもまったく異なります。求人票のセグメント名を確認し、そのセグメントの直近3年の売上・利益推移を見てから応募することを強く推奨します。
NISSHA(旧・日本写真印刷)に関するよくある質問
NISSHAへの転職・就職を検討する人からよくある質問と回答をまとめました。
日本写真印刷という会社は今どうなっているのですか?
公式情報として、日本写真印刷株式会社は2017年10月1日にNISSHA株式会社へ商号変更しました。会社が消滅・倒産したわけではなく、証券コード7915のまま東証プライム市場に上場を続けています。ただし事業内容は大きく変わり、旧本業の商業印刷は売上の7%弱まで縮小し、2018年には情報コミュニケーション事業の東京地区を共同印刷へ譲渡しています。
NISSHAの平均年収741万円は誰でももらえる水準ですか?
いいえ。741万円は第107期(2025年12月期)の有価証券報告書に記載された提出会社NISSHA単体・724名の平均であり、平均年齢42.6歳・平均勤続15.7年という属性の数字です。連結5,305名の約14%しかカバーしていません。口コミ傾向ではOpenWork 577万円(回答68人・平均36歳)、エン ライトハウス 541万円(回答56人)と、より若い層の実感値はこれより低く出ています。
NISSHAの就職難易度・採用大学はどの程度ですか?
採用人数・倍率・採用大学の内訳は公式に開示されていないため、数値での断定はできません。ただし提出会社の従業員が724名と少なく、採用枠が構造的に限られること、関西圏での認知度が高いことから、難易度は高めと考えられます(推定情報)。学歴そのものよりも、材料・化学・機械・電気系の専攻や研究内容との合致が重視されると推測されます。
ディバイス事業に配属されると業績変動の影響を受けますか?
公式情報として、ディバイス事業のセグメント営業利益は2021年12月期143億円→2022年82.9億円→2023年▲15.8億円→2024年18.0億円→2025年21.3億円と大きく振れています。賞与の算定に部門業績がどの程度反映されるかは公開されていないため、選考時に賞与の算定方式を確認することをおすすめします(推定情報)。
NISSHAの勤務地はどこですか?転勤はありますか?
本社は京都府京都市中京区壬生花井町3で、国内拠点は14カ所。グループの製造拠点として亀岡・甲賀・加賀などの工場があります。公式情報として海外拠点は39カ所、連結子会社は66社にのぼり、海外売上比率は約88%(二次確認値)です。この構造上、海外赴任の可能性は同規模の国内メーカーより高いと考えられます(推定情報)。具体的な転勤範囲は求人票と面接で確認してください。
NISSHAは残業が多い会社ですか?
口コミ傾向として、OpenWork集計の月間残業時間は22.0時間、有給消化率は73.0%です。製造業としては抑えられた水準にあたります。平均勤続年数15.7年、法令順守意識4.4というスコアも合わせると、働き方の負荷が高い職場という傾向は読み取れません。一方で「基本給が抑えめで残業に頼りにくい」という声もあり、残業の少なさが年収の伸びにくさとして受け止められている面があります(推定情報)。
NISSHAの過去に技術流出事件があったと聞きましたが、会社に問題があったのですか?
いいえ、逆です。2019年に報じられたのは元社員個人による技術情報の不正持ち出し事件で、NISSHAは技術情報を盗まれた被害者側です。京都府警が元社員を不正競争防止法違反容疑で逮捕し、2021年6月17日に京都地裁が実刑判決を言い渡しています。会社に対する行政処分・課徴金ではありません。
NISSHAへの転職判断まとめ
ここまでの内容を、判断軸ごとに整理します。最終的な判断は、求人票だけでなく自分の経験・適性も含めて確認しましょう。
| 判断軸 | 評価 |
|---|---|
| 年収水準 | 有報741万円(単体724名)は印刷クラスタ中位以上。ただし口コミ実感値は541万〜577万円で、所属が本体かグループかで景色が変わる |
| 働きやすさ | 残業22.0時間・有給73.0%・法令順守4.4と良好。一方で待遇満足度2.3・人事評価2.5は低位 |
| 事業の安定性 | 3セグメント分散は強みだが、ディバイスは2023年に赤字。営業利益率2.1%は課題 |
| 将来性 | メディカルテクノロジーは4年でほぼ倍増。モビリティ新製品の量産立ち上げが今後2〜3年の鍵 |
| グローバル性 | 海外売上比率約88%・海外拠点39カ所。国内メーカーとしては極めて高い |
| 転職難易度 | 提出会社724名と採用枠が小さく、専門性の合致が求められるため高めと推定 |
| 勤務地 | 京都本社+国内14拠点。関西で働きながら海外と関わりたい人に適合 |
| 向いている人 | 印刷会社ではなく機能材料・デバイス・医療機器メーカーとして志望でき、事業の変動を許容できる人 |
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本記事の出典・参考情報
本記事で参照した一次情報・口コミ情報の出典は以下の通りです。最新の正確な数値は各リンク先で確認してください。
公式情報源
平均年間給与・平均年齢・平均勤続年数・従業員数は第107期(2025年12月期)有価証券報告書「従業員の状況」の記載値です。本記事ではこの有報記載値を転載しているIRBANK(irbank.net)を経由して確認しており、数値の出所は有価証券報告書、確認経路は二次サイトであることを明記します。売上収益・営業利益・当期利益・セグメント別数値は2025年12月期決算短信〔IFRS〕(2026年2月12日発表、2026年3月23日に数値データの一部訂正が開示済み)の訂正後の値を使用しています。海外売上比率約88%は統合報告書等にもとづく二次確認値です。
口コミ・評判の参照元
免責事項:本記事の数値・評価は公式情報・口コミ集計・市場推定の3分類で示しており、口コミ傾向や推定情報は断定ではなく傾向・可能性として表現しています。最終判断は読者自身で公式IRおよび内定時の労働条件通知書で確認してください。
この記事の編集方針・情報の確認方針について
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