ニッポンインシュアの評判と年収481万円|増益でも前期比15万円減の理由
※本記事にはプロモーションを含みます。
この記事の結論
- 事業の正体:福岡・天神本社の家賃債務保証会社。督促と代位弁済回収が中核業務
- 年収:有報第25期の平均481.7万円。増収増益なのに前期比で約15万円減
- 成長性:第25期は売上37.4億円(+16.0%)・営業利益7.6億円(+81.5%)と高成長
- 注意点:口コミが7〜10名回答と少数。待遇の満足度と教育体制に課題の声
本記事は、ニッポンインシュア株式会社(証券コード5843・東証スタンダード)への転職を検討している方に向けた記事です。検索エンジンで同社名を調べると「家賃滞納」「更新料」「解約」「電話番号」「申込書」といった候補が並びますが、これらは同社と保証契約を結んだ入居者の方が問い合わせ先や支払い方法を探している検索であり、本記事の内容とは目的が異なります。入居中の契約に関するご相談は同社公式サイトの窓口をご利用ください。一方で「ニッポンインシュア 何系」という検索、つまりこの会社は結局どんな事業をしているのかという疑問は、転職検討者にとっても最初に解くべき論点です。本記事では有価証券報告書という一次情報を軸に、事業の正体・年収の実額・働き方・将来性を分けて整理します。
ニッポンインシュアは何系の会社?家賃債務保証というビジネスの正体
結論から言えば、ニッポンインシュアは東証の業種分類上「その他金融業」に属する家賃債務保証会社です。読者にとっての意味は明確で、入社後に担当するのは不動産の売買でも仲介でもなく、賃貸契約における連帯保証人の役割を会社として引き受け、滞納が起きたら立て替え、その後回収するという金融・与信の仕事だという点です。ここを理解しないまま「不動産業界だと思って入った」となると、入社後のギャップが最も大きく出ます。
会社の輪郭を公式情報で押さえます。有価証券報告書によると、同社は2002年4月10日に福岡市中央区今川で「株式会社エム・サポート」として設立されました。前身は三好不動産グループの建築コンサルティング会社で、2008年10月に家賃債務保証サービスを開始し、2014年4月に現在の商号へ変更しています。本社は福岡県福岡市中央区天神二丁目14番2号の福岡証券ビル6階、資本金は3億5,700万円(2025年9月30日現在)、代表取締役社長は坂本真也氏です。東京証券取引所スタンダード市場への上場は2023年10月3日で、公開価格810円に対して初値は1,005円をつけました。上場から5年に満たない、九州発の比較的新しい上場企業という位置づけになります。
収益モデル:保証料をどう受け取り、どこで利益を出すのか
転職判断で最初に理解すべきは「会社がどこからお金を得ているか」です。同社の住居用の基本プランは「スマートサポート」で、初回保証料は月額賃料総額の0.5カ月分(住居用は最低2万円)、更新保証料は年1万円が基本という設計です(公式情報/同社公式サイトの商品案内)。加えて、孤独死が発生した際の原状回復費や残置物撤去費まで保証範囲に含む上位プラン、店舗・事務所向けの事業用プラン、駐車場用プランなど、用途別に複数のプランを持っています。
この構造から読み取れる事業特性は3つです。第一にストック性——更新保証料が毎年発生するため、契約件数が積み上がるほど安定収益が増えます。第二に与信リスクを自社で負うこと——滞納の回収に失敗すればそのまま損失になります。第三に単価が小さく件数が多いこと——1件あたり数万円の商材を大量に扱うため、業務効率が利益率を直接左右します。第25期の営業利益率が20.3%まで上がった背景には、この効率化の進展があると推定されます。
実務の中身:審査・代位弁済・督促回収という3工程
読者が最も知りたいのは「実際に何をする仕事か」でしょう。同社の保証事業は、大きく次の3工程に分かれます。
- 審査:入居申込者の与信を判断する工程。有価証券報告書によると、審査は全国賃貸保証業協会の代位弁済情報データベースおよびJICC(日本信用情報機構)を照会して実施されます。
- 代位弁済:入居者が家賃を滞納した場合に、同社が不動産管理会社へ立て替え払いを行う工程。管理会社にとってはこれが最大の価値になります。
- 督促・回収:立て替えた分を入居者から回収する工程。ここが同社の収益性を決める最重要業務であり、同時に精神的な負荷が語られやすい業務でもあります。
この3工程目について、同社は有価証券報告書の「事業等のリスク」の中で、風評被害のリスクを自ら開示しています。滞納者に対して督促活動を行っていく必要があるため、インターネット上の書き込みや報道によって否定的な評判が広がる可能性がある、という趣旨の記載です。会社自身が一次情報として仕事の性質を明示している点は、転職検討者にとってむしろ誠実な材料と言えます。「取り立て」という言葉から想像される強引な取立行為ではなく、法令と自主規制ルールの枠内で行う電話・書面・訪問による支払い交渉と記録管理が実務の中心である点は、業界共通の理解として押さえておくべきです(推定情報を含みます)。
もっとも、同社はこの督促業務を人力だけで回してはいません。独自開発の契約管理クラウド「Cloud Insure」を基盤に、SMSを使ったWEB請求、オートコール、AIオペレータによる架電自動化を導入しています。督促業務のうち定型的な部分をどこまで自動化できているかは、この会社で働く際の負荷を左右する分岐点になります。面接時に確認する価値の高い論点です。
第2の柱:介護費・入院費という「家賃以外」の債務保証
同社は2019年10月に、介護費債務保証と医療機関向けの入院費債務保証を開始しています。これは家賃債務保証で培った与信審査と回収のノウハウを、高齢化で需要が伸びる介護施設・医療機関へ横展開する動きです。同業のイントラスト(7191)も同じ領域を手掛けており、商品構成が最も近い競合と言えます。転職検討者にとっては、家賃保証だけの単品会社ではなく「債務保証」という機能を軸に横展開する会社だと理解しておくと、将来のキャリアの広がりを見積もりやすくなります。
なお、家賃債務保証業には現時点で業法による直接規制がなく、国土交通省の登録制度と業界の自主規制ルールで運用されています。同社の登録番号は国土交通大臣(2)第43号です。有価証券報告書は競合リスクの説明のなかで参入障壁が低い点にも触れています。この点は将来性の章で改めて扱います。
ニッポンインシュアの公式データ一覧(有価証券報告書ベース)
本記事で扱う公式数値を一覧で確認できます。公式情報として、最新の正確な数値は公式IRページで再確認してください。すべて第25期(2024年10月1日〜2025年9月30日)の有価証券報告書に基づく提出会社の実額です。同社は連結財務諸表を作成していない単体決算の会社のため、以下の数値は子会社を含まない実態そのものを表しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | ニッポンインシュア株式会社(Nippon Insure Co., Ltd.) |
| 証券コード/市場 | 5843/東京証券取引所スタンダード市場(2023年10月3日上場) |
| 本社 | 福岡県福岡市中央区天神二丁目14番2号 福岡証券ビル6階 |
| 設立 | 2002年4月10日(旧商号:株式会社エム・サポート) |
| 代表者 | 代表取締役社長 坂本真也 |
| 資本金 | 3億5,700万円(2025年9月30日現在) |
| 平均年間給与 | 約481万7千円(4,817千円/賞与および基準外賃金を含む) |
| 平均年齢 | 37.0歳 |
| 平均勤続年数 | 4.6年 |
| 従業員数 | 118名(就業人員)ほかに臨時従業員の年間平均雇用人員10名 |
| セグメント別人員 | 保証事業90名/その他19名/全社共通9名 |
| 拠点別人員 | 本社66名/東京支店ほか5カ所33名/カーブス福岡唐人ほか9カ所19名 |
| 売上高 | 37億3,752万円(第25期・前期比16.0%増) |
| 営業利益 | 7億5,910万円(同81.5%増) |
| 経常利益 | 7億7,527万円(同88.9%増) |
| 当期純利益 | 5億2,846万円(同88.7%増) |
| 総資産/純資産 | 53億3,707万円/24億9,474万円 |
| 会社予想(2026年9月期) | 売上高約42.3億円・営業利益約10.3億円 |
| 労働組合 | 結成されていない |
| 出典 | 第25期 有価証券報告書(EDINET、2025年12月23日提出)/同社公式IR |
従業員数について1点補足します。同社公式サイトの「会社概要」ページは2025年9月30日現在で126名と記載しており、有価証券報告書の118名(就業人員)と一致しません。臨時従業員10名を加えた128名とも一致しないため、集計範囲の違いによるものと推定されます。本記事では一次情報である有価証券報告書の118名を採用しています。応募時に正確な人員規模を知りたい場合は、面接で直接確認するのが確実です。
ニッポンインシュアの平均年収481.7万円|増収増益なのに前期より15万円下がった理由
結論を先に述べます。公式情報として、有価証券報告書によると第25期の平均年間給与は481万7千円、平均年齢37.0歳、平均勤続年数4.6年です。読者にとって重要なのは金額そのものよりも、この数字が前期より下がっているという事実と、その理由です。営業利益が81.5%増、当期純利益が88.7%増という記録的な増益期に平均給与が減った会社は多くありません。ここを分解することが、この記事で最もお伝えしたい内容です。
有報2期比較:15万2千円の減少をどう読むか
第24期と第25期の「従業員の状況」を並べると、次のようになります(すべて公式情報/有価証券報告書)。
| 項目 | 第24期(2024年9月期) | 第25期(2025年9月期) | 差分 |
|---|---|---|---|
| 平均年間給与 | 約496万9千円 | 約481万7千円 | 約15万2千円減(−3.1%) |
| 平均年齢 | 37.6歳 | 37.0歳 | 0.6歳低下 |
| 平均勤続年数 | 4.6年 | 4.6年 | 変化なし |
| 従業員数(就業人員) | 107名 | 118名 | 11名増(+10.3%) |
| 売上高 | 約32.2億円 | 約37.4億円 | +16.0% |
| 営業利益 | 約4.18億円 | 約7.59億円 | +81.5% |
この表から読み取れる構図は明快です。従業員が1年で11名(+10.3%)増え、平均年齢が0.6歳下がっている——つまり若手・中途の増員によって平均が押し下げられた、という説明が最も自然です。実際、平均給与に人数を掛けた概算の給与総額は、第24期が約5億3,168万円、第25期が約5億6,841万円となり、総額ベースでは約6.9%増えている計算になります(推定情報/単純計算による概算)。会社全体の人件費は増えているが、増員のペースが平均を上回ったため一人あたりの平均が下がったと考えるのが妥当です。
一人あたりの生産性を見ると、この解釈はさらに補強されます。売上高を従業員数で割ると、第24期は約3,009万円、第25期は約3,167万円と約5.3%改善しています。生産性は上がっているのに平均給与が下がった以上、要因は「業績が悪化したから」ではなく「人員構成が変わったから」である可能性が高いと推定されます。
ただし、転職検討者にとってこれは安心材料であると同時に注意点でもあります。増員による構成変化で平均が動くほど母集団が小さい(118名)会社では、平均年間給与という指標そのものが自分の想定年収の予測に使いにくいのです。481.7万円は「入社時に提示される額」ではありません。役職者・管理部門・営業・店舗スタッフまでを含んだ単純平均である点を必ず踏まえてください。
口コミの388万円と有報481.7万円、なぜ約94万円もの差が出るのか
口コミ傾向として、エン カイシャの評判に掲載されている同社の平均年収は、10名の回答をもとに388万円(平均年齢37.2歳、レンジ250〜480万円)と表示されています。有価証券報告書の481.7万円との差は約93万7千円です。平均年齢がほぼ同じ(37.2歳と37.0歳)にもかかわらずこれだけ開くのは、次の理由が考えられます(推定情報)。
- 回答者の偏り:口コミ投稿は退職者や若手層の割合が高くなりやすく、管理職層の回答が入りにくい傾向があります。10名という母数では1〜2名の偏りで平均が数十万円動きます。
- 集計範囲の違い:有価証券報告書の平均年間給与は賞与および基準外賃金(時間外手当等)を含みます。口コミの自己申告額はこれらを含めずに回答されるケースがあります。
- 投稿時点の差:口コミは過去数年の投稿が混在するため、上場前後の水準が混ざります。
参考までに、日本経済新聞の企業情報でも同社の平均年収は482万円と掲載されており、これは有価証券報告書の数値と一致します。したがって主たる数値は481.7万円(有報)、口コミの388万円は職種・年次の偏りを含む参考値として区別するのが正確な読み方です。求人ボックスや年収ナビなどの二次アグリゲータの数値も同様に、参考の域を出ません。
職種別の目安と、面接で必ず確認すべき年収の内訳
同社は職種別の給与水準を有価証券報告書では開示していません。そのうえで、事業構造と有報の人員内訳から言えることを整理します(以下は推定情報です)。
- 保証事業(90名):審査・管理・債権回収・営業。会社の中核であり、平均値に最も近い層と考えられます。
- 全社共通(9名):管理部門。上場企業として開示・経理・法務の負荷があり、経験者は相応の水準が想定されます。
- その他(19名):カーブス・コインランドリーの店舗運営。臨時従業員4名を含み、給与体系が保証事業とは異なる可能性が高い層です。
つまり481.7万円という平均は、性質の異なる3種類の人員を1本にならした数字です。保証事業の総合職だけを取り出せば平均はもう少し上振れする可能性がありますし、店舗運営職を志望する場合は下振れする可能性があります。面接・内定時には次の5点を必ず確認してください。
- 基本給と賞与の比率、賞与の支給実績(何カ月分か)
- みなし残業(固定残業代)の有無と時間数
- 支店配属時の住宅補助・転勤に伴う手当の有無
- 回収実績などに連動するインセンティブの設計
- 等級制度と昇給の実績ペース(人事評価の適正感は口コミで課題が挙がる領域です)
保証会社なのにカーブスとコインランドリー?「その他」セグメントの正体
ニッポンインシュアを他の家賃保証会社と決定的に分けているのが、この「その他」セグメントです。結論として、同社は女性専用フィットネスクラブ「カーブス」6店舗と、コインランドリー「WASHハウス」3店舗をフランチャイズ加盟で福岡県内運営しています(公式情報/有価証券報告書)。金融・保証の会社に応募したつもりが、店舗運営に関わる可能性が実在するという意味で、転職検討者が事前に知っておくべき事実です。
有価証券報告書の従業員の状況には、拠点別人員として「カーブス福岡唐人ほか9カ所19名」と明記されています。臨時従業員4名を含む19名がこの領域に所属している計算です。沿革を見ると、コインランドリー事業は2009年10月、フィットネス事業は2011年6月に開始されており、家賃債務保証を開始した2008年10月の直後から並行して育ててきた事業だと分かります。後付けの多角化ではなく、創業初期からの複線経営という位置づけです。
セグメント別の数字は次の通りです(第25期・公式情報)。
| セグメント | 売上高 | 前期比 | セグメント利益 | 前期比 | 人員 |
|---|---|---|---|---|---|
| 保証事業 | 35億1,400万円 | +16.6% | 10億3,149万円 | +54.4% | 90名 |
| その他(店舗運営) | 2億2,352万円 | +7.7% | 3,545万円 | +21.8% | 19名 |
評価は両面あります。ポジティブに見れば、その他セグメントも増収増益でセグメント利益率は約15.9%あり、保証事業が景気変動で揺れた際のクッションとして機能し得ます。慎重に見れば、売上構成比は全体の約6.0%にとどまり、利益率も保証事業の約29.4%の半分程度です。経営資源の集中という観点では、投資家から説明を求められやすい領域と推定されます。
転職検討者にとっての実務的な示唆は1つです。応募する職種と配属拠点を、選考の早い段階で明確にしておくこと。有価証券報告書に記載された19名という規模から見れば店舗配属は少数派ですが、「保証事業の総合職として採用されるのか、店舗運営を含むポジションなのか」は必ず確認しておくべきポイントです。この業界には「社名や事業イメージから想像した業務と、実際の配属先が異なる」というよくある落とし穴があり、同社の場合はこのセグメントがその可能性を生んでいます。
ニッポンインシュアの業績推移|5期で売上1.7倍・営業利益3.9倍の成長カーブ
将来性を判断するうえで、単年の数字より重要なのが推移です。公式情報として、有価証券報告書および同社IR開示に基づく5期分の推移は次の通りです。
| 決算期 | 売上高 | 営業利益 | 営業利益率(概算) |
|---|---|---|---|
| 2021年9月期(第21期) | 21.7億円 | 1.94億円 | 約8.9% |
| 2022年9月期(第22期) | 26.0億円 | 3.96億円 | 約15.2% |
| 2023年9月期(第23期) | 28.8億円 | 2.92億円 | 約10.1% |
| 2024年9月期(第24期) | 32.2億円 | 4.18億円 | 約13.0% |
| 2025年9月期(第25期) | 37.4億円 | 7.59億円 | 約20.3% |
| 2026年9月期(会社予想) | 約42.3億円 | 約10.3億円 | 約24.3% |
この推移から、転職判断に効く事実を3つ取り出せます。
第一に、売上は5期連続で増収です。2021年9月期の21.7億円から第25期の37.4億円まで約1.72倍、営業利益は1.94億円から7.59億円へ約3.9倍になりました。家賃債務保証はストック型の収益構造を持つため、契約件数の積み上がりが売上に素直に反映されている姿と読めます。
第二に、利益は一本調子ではありません。2023年9月期は売上が伸びているにもかかわらず営業利益が3.96億円から2.92億円へ減っています。この期は2023年10月の上場(第24期の期初)を控えた準備期にあたり、上場関連費用や体制整備の負担が影響した可能性が推定されます。増収であっても利益が凹む年があるという事実は、賞与や昇給の原資が毎年一律に伸びるとは限らないことを意味します。
第三に、収益性の改善幅が大きい点です。営業利益率は約8.9%から約20.3%へと5期でおよそ11ポイント上昇しました。前述のCloud Insureによる督促自動化やSMS請求の導入など、業務効率化の投資が効いてきた局面と考えられます(推定情報)。会社予想の2026年9月期は営業利益率約24.3%とさらに改善を見込んでおり、この予想が実績として達成されるかどうかが当面の注目点です。なお会社予想は実績ではないため、断定的に受け取らず、四半期開示で進捗を確認する姿勢が必要です。
財務面では、第25期末の総資産53億3,707万円に対して純資産24億9,474万円で、自己資本比率は約46.7%(概算)です。代位弁済という形で先に資金を出す事業モデルであることを踏まえると、財務の安定性は一定水準を確保していると評価できます。株主総利回りは第25期360.8%(比較指標の配当込みTOPIXは121.6%)と高く、株価は最高3,485円・最低769円と変動幅も大きいのが特徴です。
資本構成にも触れておきます。有価証券報告書によると、大株主には創業に関わる三好系の法人・個人が並び、上位10名の合計持株比率は56.27%(2025年9月30日現在)です。一方で、関連当事者である株式会社三好不動産経由の保証料は保証事業売上高の6.76%まで低下しています。親密先への依存度が1割を切っていることは、自力で販路を広げてきた証左であり、転職検討者にとっては事業の自走力を示すポジティブな指標と言えます。
家賃債務保証市場の将来性|改正民法と単身・高齢化が押し上げる構造需要
個社の業績以上に、業界全体の方向が転職判断を左右します。結論として、家賃債務保証は構造的に伸びている市場であり、これは同社の成長を単なる一時的な好調と切り離して評価できる根拠になります。
民間調査会社の市場規模推計によると、家賃債務保証の市場規模は2024年度に約2,548億円(前年度比106.7%)、2025年度は約2,724億円、2029年度には3,500億円超に達すると見込まれています(推定情報/第三者機関の推計値であり、確定値ではありません)。年率6〜7%前後の成長が続く計算です。この背景には次の3つの構造要因があります。
- 2020年4月施行の改正民法:個人が根保証契約を結ぶ際に極度額(上限額)の明示が必要になりました。これにより個人の連帯保証人を立てる実務の手間とリスクが増え、法人保証への置き換えが加速しています。
- 単身世帯・高齢世帯の増加:親族に連帯保証人を頼みにくい入居者が増え、保証会社の利用が事実上の標準になりつつあります。
- 在留外国人の増加:国内に保証人を持たない入居者層が拡大し、保証ニーズの母数そのものが増えています。
同社が2019年10月に開始した介護費・入院費の債務保証も、この延長線上にあります。高齢化で介護施設・医療機関の未収金リスクが増えるほど、家賃で培った与信・回収の仕組みが横展開できる——という論理です。与信と回収のノウハウをプラットフォーム化していく会社という将来像は、転職後のキャリアの広がりを考えるうえで意味を持ちます。
一方で、慎重に見るべき論点も明確です。
- 参入障壁の低さ:家賃債務保証業には業法による直接規制がなく、国土交通省の登録制度と自主規制ルールで運用されています。有価証券報告書でも競合リスクとして参入障壁の低さに言及があります。差別化の軸は価格・審査スピード・システムに絞られ、価格競争に巻き込まれる可能性は常に残ります。
- 資本力競争の激化:同業最大手級の全保連(5845)は2025年4月にMUFG傘下の連結子会社となりました。大手金融資本が業界に入ってくる局面で、従業員118名規模の同社がどう立ち回るかは中期の焦点です。
- 景気循環との両面性:景気が悪化すると滞納が増え、短期的には代位弁済のコストが膨らみます。ただし長期では保証ニーズ自体が高まるという両面性があり、回収力の高さがそのまま競争力になる構造です。
債権の管理・回収を業とする領域に共通することですが、「厳しい取り立て」というイメージと、法規制下での管理・交渉・書類業務が中心という実務のギャップは、この業界に転職する人が最初に埋めるべき認識です。
ニッポンインシュアの働き方と社風|残業13.2時間・年間休日120日という数字の読み方
結論として、労働時間の面では負荷が軽めという傾向が口コミに表れています。ただし同時に、この会社は口コミの母数が極端に少なく、評価の信頼区間が非常に広いという前提を先に共有しておく必要があります。
口コミが示す傾向と、その数字の限界
口コミ傾向として、OpenWorkに掲載されている同社の評価は回答者7名で総合3.14、月平均残業13.2時間、有給消化率70.4%、待遇の満足度2.9(5点満点)、法令順守意識3.5です。エン カイシャの評判は口コミ総数53件・正社員9名の回答で総合3.5、内訳は「会社の成長性・将来性」3.6、「活気のある風土」3.6が高く、「イノベーションへの挑戦」3.2が最も低い評価となっています。
ここで強調しておきたいのは、7名・9名という回答者数では、1人の極端な評価が平均を大きく動かすという統計上の事実です。同じ会社でも回答者が100名を超える大手企業の評点と、7名の評点を同列に比較することはできません。本記事ではこれらを「傾向」として扱い、断定的な結論は導きません。口コミが少ないこと自体は、良い悪いではなく「情報が出回っていない会社」であることを意味します。だからこそ有価証券報告書ベースの事実確認が相対的に重要になります。
そのうえで、複数のサイトに共通して現れる傾向を整理すると次のようになります。
- 評価されている点:月平均残業13.2時間という時間の短さ、有給消化率70.4%、年間休日120日、会社の成長性・将来性、活気のある風土
- 課題として挙がる点:待遇の満足度2.9と人事評価の適正感、「教育体制が整っておらず」という退職理由、イノベーションへの挑戦の低さ
この2つを重ねると、ひとつの仮説が浮かびます(推定情報)。時間的な負荷は軽いが、育成の仕組みが業績の伸びに追いついていないという状態です。従業員が1年で107名から118名へ11名増えている事実と、「教育体制が整っておらず」という声は整合的です。急速に人を増やしている会社では、育成が後追いになりやすいのは構造的な現象と言えます。裏を返せば、自走できる人にとっては裁量が大きく、任される範囲が早く広がる環境である可能性も同時に示唆されます。

残業13.2時間って本当ですか?督促の仕事だから夜遅くまで電話しているイメージがありました。
自然な疑問です。督促業務には法令と自主規制ルールに基づく時間帯の制約があり、深夜に及ぶ架電は行われません。加えて同社はSMS請求・オートコール・AIオペレータによる自動化を進め、人が直接架電する量を抑える設計を取っています。ただし13.2時間は7名の回答に基づく数字であり、部署・時期・繁忙期(引越しシーズンの1〜3月は申込審査が集中しやすいと推定されます)による差は織り込むべきです。
女性管理職38.4%と6支店体制|キャリアと勤務地の実像
公式情報として、有価証券報告書によると同社の管理職に占める女性労働者の割合は38.4%で、自社で設定した目標30.0%以上を達成しています(第24期は30.0%)。従業員100名規模の金融系企業として、この水準はかなり高い部類に入ります。女性のキャリア形成という観点では、実績値として提示できる明確な材料です。なお同社に労働組合は結成されていません。
勤務地については、本社(福岡)に加えて東京・神奈川(藤沢)・新潟・大阪・仙台・名古屋の6支店体制です。有価証券報告書の拠点別人員では、本社66名、東京支店ほか5カ所33名、店舗9カ所19名という配分になっています。従業員の半数以上が福岡本社勤務という構造で、名古屋支店は2024年3月開設と直近の拡大局面にあります。転勤・支店配属の可能性は現実的にあるため、勤務地の希望が強い場合は選考段階で明確に伝えておくべきです。逆に、福岡で腰を据えて上場企業に勤めたいという志向の方にとっては、選択肢として希少性の高い会社と言えます。
ニッポンインシュアと同業他社の比較|4社との違いはどこにあるか
家賃債務保証の上場企業は複数あり、転職検討者が実際に併願しやすい先を4社挙げて整理します。各社の年収・評価は各社の公式IRおよび有価証券報告書で個別に確認してください(以下の比較には推定情報を含みます)。
| 企業名 | 市場 | 事業の軸 | ニッポンインシュアとの違い | 転職検討時の見方 |
|---|---|---|---|---|
| ニッポンインシュア(5843) | 東証スタンダード | 家賃債務保証+介護費・入院費保証+店舗FC運営 | 福岡本社・従業員118名の単体決算。店舗運営セグメントを持つ | 規模は小さいが成長率と利益率の改善幅が大きい。裁量を求める人向け |
| 全保連(5845) | 東証スタンダード | 家賃債務保証 | 業界最大手級。2025年4月にMUFG傘下の連結子会社化 | 大手金融グループの資本を背景にした安定志向の選択肢 |
| ジェイリース(7187) | 東証プライム | 家賃債務保証ほか | 業界で唯一のプライム上場。大分発の全国展開組 | 上場区分・全国ネットワークを重視するならこちら |
| イントラスト(7191) | 東証スタンダード | 家賃債務保証+医療費・介護費保証 | 商品構成がニッポンインシュアと最も近い | 債務保証の横展開というキャリアを描くなら直接比較すべき先 |
| Casa(7196) | 東証スタンダード | 家賃債務保証専業 | 賃貸オーナー向けサービスに強み | 保証専業で深く極めたい人向け |
この5社のなかでのニッポンインシュアの立ち位置は、「規模では最大手に及ばないが、成長率と収益性の改善では見劣りしない中堅」です。従業員118名という規模は、大手では細分化されている業務を一人が横断的に担える可能性を意味し、与信審査から代位弁済、回収、介護・医療領域の新商品まで一気通貫で経験したいという志向に合いやすい規模感です。逆に大規模組織で専門性を深めたい、全国転勤の選択肢を広く持ちたい場合は、プライム上場のジェイリースや大手資本傘下の全保連のほうが条件に合う可能性があります。
ニッポンインシュアへの転職が向いている人・向いていない人
これまでの公式情報・口コミ傾向をふまえ、適性を整理します(推定情報を含みます)。判断のポイントは「督促・回収という業務への耐性」「教育が後追いになりがちな環境での自走力」「福岡本社という勤務地」の3点に集約されます。
| 向いている人 | 向いていない人 |
|---|---|
| 金融・与信の仕事に関心があり、督促・回収を「法令の枠内での交渉と管理業務」として冷静に捉えられる人 | 顧客に感謝される場面の多さをやりがいの中心に置きたい人 |
| マニュアルが未整備でも自分で調べて動ける自走型の人(口コミで教育体制への指摘がある) | 体系的な研修とOJTを前提に、手厚く育ててもらいたい人 |
| 従業員118名規模で業務を横断的に経験し、早く裁量を得たい人 | 大組織で分業された専門領域を深く極めたい人 |
| 福岡で上場企業に勤めたい人、または6支店のいずれかへの配属・転勤を許容できる人 | 勤務地を完全に固定したい人 |
| 成長企業の変化を面白がれる人(売上5期連続増収、営業利益率は約8.9%から約20.3%へ改善) | 年功的で予測可能な昇給を求める人(待遇の満足度は口コミで2.9) |
| 店舗運営セグメントを含む多角経営を「幅」として前向きに捉えられる人 | 金融業務以外の可能性を一切許容できない人 |
ニッポンインシュアへの転職|編集部の見解
編集部の見解として、ニッポンインシュアは「業績データは明確に良いのに、働く側の情報が圧倒的に少ない会社」と整理できます。第25期の営業利益+81.5%、5期連続増収、営業利益率20.3%という数字は、同規模の上場企業のなかでも見劣りしません。市場そのものが改正民法と単身・高齢化を背景に構造的に拡大しており、追い風の方向も明確です。ここまでは公式情報で裏が取れる評価です。
一方で、口コミの母数がOpenWork7名・エン カイシャの評判で正社員9名という状態は、入社後の実像を外部から検証しにくいことを意味します。待遇の満足度2.9や「教育体制が整っておらず」という声は無視すべきではありませんが、同時にこの少数の声を会社全体の断定的な評価として扱うこともできません。情報の非対称性が大きい会社——これが最も正確な表現です。
この非対称性は、リスクであると同時に機会でもあります。情報の少なさを理由に敬遠する応募者が多い会社は、相対的に競争が緩い可能性があります。本記事で扱った「増収増益なのに平均年収が15万円下がった構図」「その他セグメントの店舗運営」「三好不動産依存の6.76%までの低下」は、いずれも有価証券報告書を読み込まなければ出てこない材料です。
総合すると、与信・回収という専門性を身につけながら、成長中の中堅上場企業で裁量を持ちたい人にはおすすめできる一方、手厚い育成環境や大企業の安定した処遇制度を求める人には慎重な検討を勧めます。判断の分かれ目は、督促・回収という業務の性質に納得できるかどうか、そして自走できる環境を歓迎できるかどうかの2点です。
ニッポンインシュアに関するよくある質問(FAQ)
ニッポンインシュアへの転職・就職を検討する人からよくある質問と回答をまとめました。入居者としての契約に関するお問い合わせは、同社公式サイトの窓口をご利用ください。
ニッポンインシュアは何系の会社ですか?
東証の業種分類では「その他金融業」に属し、実態は家賃債務保証を主力とする金融サービス会社です(公式情報)。賃貸住宅・店舗・事務所の入居者に代わって連帯保証人の役割を担い、滞納時には管理会社へ代位弁済し、その後の督促・回収まで自社で行います。加えて介護費・入院費の債務保証、さらにフランチャイズによる店舗運営(カーブス・コインランドリー)も手掛けています。不動産の売買・仲介を行う会社ではない点にご注意ください。
ニッポンインシュアの平均年収はいくらですか?
有価証券報告書によると、第25期(2025年9月期)の平均年間給与は約481万7千円、平均年齢37.0歳、平均勤続年数4.6年です(公式情報/賞与および基準外賃金を含む)。前期の第24期は約496万9千円で、増収増益にもかかわらず約15万円減少しています。これは従業員が107名から118名へ増え、平均年齢が37.6歳から37.0歳へ下がったことによる構成変化が主因と推定されます。なおエン カイシャの評判に掲載された平均年収は10名回答で388万円であり、こちらは参考値として区別してください。
未経験でも転職できますか?
職種別の応募要件は募集時期によって変わるため、公式採用サイトおよび求人票で最新の条件を確認してください。一般論として、家賃債務保証の審査・回収業務は不動産・金融・信販・コールセンターなどの経験が活きやすい領域です(推定情報)。従業員が1年で11名増えている拡大局面であることは、公式情報として有価証券報告書から確認できる採用意欲の裏付けになります。
転勤はありますか?
同社は福岡本社に加えて東京・神奈川(藤沢)・新潟・大阪・仙台・名古屋の6支店を持ち、名古屋支店は2024年3月に開設されています(公式情報)。有価証券報告書の拠点別人員は本社66名、支店33名で、従業員の半数以上が本社勤務です。支店網が拡大局面にあるため転勤の可能性は現実的にあり、勤務地の希望は選考段階で明確に伝えることをおすすめします。
残業時間や休日はどのくらいですか?
口コミ傾向として、OpenWorkでは月平均残業13.2時間・有給消化率70.4%(回答者7名)、エン カイシャの評判では年間休日120日が評価点として挙がっています。ただし回答者が7名と少数のため、この数値をそのまま全社の実態と受け取るのは適切ではありません。部署・時期による差、特に引越しシーズンの繁忙は織り込んで考えるべきです。正確な条件は労働条件通知書で確認してください。
業績は安定していますか?将来性はどう見ればよいですか?
公式情報として、売上高は2021年9月期の21.7億円から第25期の37.4億円まで5期連続で増収、営業利益は1.94億円から7.59億円へ拡大しています。ただし2023年9月期は増収ながら営業減益となっており、毎年一律に伸びているわけではありません。市場自体は改正民法の施行や単身・高齢世帯の増加を背景に拡大が見込まれる一方、業法による直接規制がなく参入障壁が低い点は有価証券報告書自身がリスクとして挙げています。2026年9月期の売上約42.3億円・営業利益約10.3億円は会社予想であり実績ではない点にご留意ください。
督促・回収の業務は具体的に何をするのですか?
滞納者への支払い交渉が中核業務に含まれることは事実で、同社も有価証券報告書の「事業等のリスク」で風評被害の可能性を自ら開示しています(公式情報)。実務は、法令および業界の自主規制ルールの枠内で行う電話・書面による支払い案内と記録管理が中心です。同社はCloud InsureやSMS請求・オートコール・AIオペレータによる自動化を進めており、定型業務の負荷軽減を図っています。適性が分かれる業務であるため、選考段階で1日の業務フローを具体的に確認することをおすすめします。
ニッポンインシュアへの転職判断まとめ
ここまでの内容を、判断軸ごとに整理します。最終的な判断は、求人票だけでなく自分の経験・適性も含めて確認しましょう。
| 判断軸 | 評価 |
|---|---|
| 年収水準 | 有報第25期の平均481.7万円(37.0歳)。前期比15万円減は増員による構成変化が主因と推定。口コミ値388万円との差は職種・年次の偏りによるものと考えられる |
| 成長性 | 5期連続増収、営業利益は5期で約3.9倍。営業利益率は約8.9%から約20.3%へ改善。2026年9月期は会社予想で売上約42.3億円 |
| 市場環境 | 改正民法・単身高齢化・在留外国人増を背景に構造的な拡大局面。ただし参入障壁の低さと大手資本の参入が競争リスク |
| 働き方 | 月平均残業13.2時間・有給消化率70.4%・年間休日120日と時間面は軽めという口コミ傾向。ただし回答者7名で信頼区間は広い |
| 育成・評価 | 「教育体制が整っておらず」という退職理由、待遇の満足度2.9、人事評価の適正感に課題の声。自走力が求められる可能性 |
| 勤務地 | 福岡本社に66名、6支店に33名。名古屋支店は2024年3月開設で拡大中。転勤の可能性あり |
| 業務適性 | 督促・代位弁済回収が中核。法令の枠内での交渉・管理業務として捉えられるかが分岐点 |
| 意外な論点 | 「その他」セグメントでカーブス6店舗・コインランドリー3店舗を運営(19名)。応募職種と配属拠点の事前確認が必須 |
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本記事の出典・参考情報
本記事で参照した一次情報・口コミ情報の出典は以下の通りです。最新の正確な数値は各リンク先で確認してください。年収・平均年齢・平均勤続年数・従業員数・業績は、すべて第25期(2025年9月期)有価証券報告書(EDINET、2025年12月23日提出)を一次ソースとしています。
公式情報源
口コミ・評判の参照元
免責事項:本記事の数値・評価は公式情報・口コミ集計・市場推定の3分類で示しており、口コミ傾向や推定情報は断定ではなく傾向・可能性として表現しています。市場規模の推計値は第三者調査機関による予測であり確定値ではありません。2026年9月期の業績は会社予想であり実績ではありません。最終判断は読者自身で公式IRおよび内定時の労働条件通知書で確認してください。
この記事の編集方針・情報の確認について
この記事は、公式公開情報(有価証券報告書・IR資料)、求人情報、口コミ傾向をそれぞれ分けて整理し、転職・就職判断に役立つよう編集しています。年収・平均年齢・従業員数などの中核データは第25期有価証券報告書「従業員の状況」を一次情報として確認し、口コミ・推定情報とは明確に区別しています。従業員数について公式サイトの会社概要ページ(126名)と有価証券報告書(118名)に差異があるため、本記事では一次情報である有価証券報告書の数値を採用しました。記載内容は最終更新時点の公開情報にもとづきます。最新の正確な数値は各公式IRページでご確認ください。
