アイナボホールディングスの評判・年収は子会社アベルコで読む|橋本総業との統合検討
※本記事にはプロモーションを含みます。
この記事の結論
- 正体:中核子会社アベルコを軸に8社を束ねる純粋持株会社(連結1,107名)
- 年収:有報の707万円は本体27名の数値。現場の水準は別途確認が必要
- 業績:売上922億円・営業利益率2.7%。次期は待遇改善で減益予想
- 統合:橋本総業HDとの経営統合は2026年9月時点で検討段階・条件未開示
アイナボホールディングス(証券コード7539・東証スタンダード市場)を転職先として調べ始めると、多くの人が同じところでつまずきます。会社名で検索しても株価・配当・株主優待といった投資家向けの情報ばかりが並び、働き方や給与の実感が出てこないからです。理由ははっきりしていて、アイナボホールディングスは自社で事業を行わない純粋持株会社であり、実際に働く場所は中核子会社のアベルコをはじめとするグループ各社だからです。この記事では「アイナボホールディングス=アベルコを中心とするグループ」という同定を出発点に、有価証券報告書の実額、中核子会社に集まる口コミ傾向、2026年3月に公表された橋本総業ホールディングスとの経営統合検討まで、転職判断に直結する材料を公式情報・口コミ傾向・推定情報に分けて整理します。
アイナボホールディングスとは|「入社先はアベルコ」という前提を最初に押さえる
転職検討者がまず理解すべき結論は、アイナボホールディングス本体の社員は27名しかいないということです。有価証券報告書(第71期・2025年9月期)によると、提出会社である持株会社本体の従業員数は27名[臨時雇用13名]、これに対して連結従業員数は1,107名[臨時雇用290名]。公式情報として、両者には約41倍の開きがあります。つまり求人に応募して実際に配属されるのは、ほぼ確実にグループ会社側です。
1924年創業のタイル工事店が源流、2013年に持株会社へ
グループの源流は1924年創業のタイル・レンガ工事の請負業で、1955年3月3日に法人化(阿部窯業株式会社)、1992年に「アベルコ」へ商号を統一し、2013年10月に事業会社アベルコから持株会社体制へ移行して現在のアイナボホールディングスが誕生しました。本社は東京都台東区元浅草、中核子会社アベルコの本社は東京都足立区鹿浜にあります。100年前のタイル工事店が母体という出自は、後述する「卸すだけでなく自分たちで施工する」という事業モデルに直結しています。
グループ8社の構成と、どの会社に入るかで変わる仕事
連結子会社は8社(アベルコ、インテルグロー、温調技研、今村、アルティス、マニックス、Maristo、ミック)で、このうちアベルコ単体が売上618億2千万円とグループ売上の約7割を占めます。次いでインテルグロー135億8千万円、マニックス95億5千万円、今村34億3千万円、温調技研23億5千万円という規模感です(公式情報/2025年9月期決算資料)。営業職・施工管理職としての募集の多くはアベルコ側、専門商材や特定エリアの機能は他のグループ会社が担う構造で、「アイナボホールディングスの求人」と見えても実態はグループ各社の職種であることを前提に求人票を読む必要があります。
「卸売と施工の両方をやる」二刀流が同業と違う点
報告セグメントは戸建住宅事業(2025年9月期売上779億63百万円・構成比84.5%)と大型物件事業(143億8百万円・15.5%)の2本立てです。戸建住宅事業の内訳は外壁工事179.9億円、住設工事245.5億円、建材販売165.2億円、住設販売189.0億円で、「販売」と「工事」がほぼ半々という珍しい構成になっています。単なる建材商社ではなく、タイル・サイディングの外壁工事やシステムキッチン・バスの取り付け工事を自社グループで完結させる点が特徴で、バスルーム工事は年間約2万件規模とされます。得意先は約7,000社、協力会社(下請け)は約2,000社で、うち半数はアイナボグループ専業と説明されています。総合技術研修センターでの職人育成や、下請け向けの自家保険制度といった施工力を囲い込む仕組みも、同業の卸売専業企業には見られない要素です。なお日経の企業情報ではタイル取扱量で業界首位と紹介されていますが、これは二次ソースによる評価であり、公式開示のシェア数値ではない点は区別して受け止めてください。
アイナボホールディングスの公式データ一覧(有価証券報告書ベース)
本記事で扱う公式数値を一覧で確認できます。公式情報として、最新の正確な数値は公式IRページで再確認してください。なお同社は9月期決算で、最新の有価証券報告書は2025年12月17日提出の第71期(2025年9月期)分です。3月期決算の企業と比べると基準日が半年〜1年ずれる点に注意してください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 商号 | 株式会社アイナボホールディングス(AINAVO HOLDINGS Co., Ltd.) |
| 証券コード/市場 | 7539/東証スタンダード市場 |
| 本社 | 東京都台東区元浅草2-6-6(中核子会社アベルコ本社は東京都足立区鹿浜) |
| 設立・創業 | 1924年創業/1955年3月3日設立/2013年10月に持株会社体制へ移行 |
| 代表者 | 代表取締役社長 阿部一成 |
| 平均年間給与 | 7,073,059円(約707万円)※提出会社=持株会社本体27名の数値 |
| 平均年齢 | 35.5歳(提出会社) |
| 平均勤続年数 | 10.2年(提出会社) |
| 従業員数 | 連結1,107名[ほか臨時雇用290名]/提出会社27名[同13名] |
| 売上高 | 連結922億72百万円(前期比+2.8%) |
| 営業利益 | 連結25億31百万円(前期比+16.6%・営業利益率2.7%) |
| 経常利益/純利益 | 28億49百万円(+15.0%)/16億79百万円(+32.3%) |
| 次期予想(2026年9月期) | 売上985億円(+6.7%)・営業利益21億円(△17.1%) |
| 財務指標 | 自己資本比率55.4%/ROE6.6%/配当性向35.9%(年26円) |
| 労働組合 | 有価証券報告書に「労働組合は結成されていない」旨の記載あり |
| 最大人員会社の平均給与 | 有価証券報告書では開示されていない |
| 離職率 | 有価証券報告書では開示されていない |
| 出典 | 第71期(2025年9月期)有価証券報告書/2025年9月期決算短信 |
平均年収707万円をそのまま受け取ってはいけない理由
年収に関する結論を先に述べます。有価証券報告書に載る平均年間給与707万円は、持株会社本体27名の管理部門の数値であり、グループで働く1,107名の実態を表すものではありません。これは同社が悪意を持って数字を作っているという話ではなく、純粋持株会社が有報を出す場合に構造的に起きる現象です。ただし転職検討者が最も間違えやすい落とし穴でもあるため、順を追って分解します。
まず公式数値を確認する:有報5期分の推移
有価証券報告書によると、提出会社の平均年間給与は7,073,059円、平均年齢35.5歳、平均勤続年数10.2年(いずれも2025年9月30日現在・公式情報)。過去5期の推移は以下の通りです。
| 決算期 | 提出会社の平均年間給与 | 連結従業員数 |
|---|---|---|
| 2021年9月期 | 約767万円 | 852名 |
| 2022年9月期 | 約757万円 | 1,013名 |
| 2023年9月期 | 約690万円 | 1,088名 |
| 2024年9月期 | 約739万円 | 1,148名 |
| 2025年9月期 | 約707万円 | 1,107名 |
直近5期で767万円→707万円と約60万円下がっていますが、母集団が27名の少人数であるため、数名の入退社や役職構成の変化で平均が大きく振れる規模です。同じ期間に提出会社の平均年齢は42.2歳から35.5歳へ、平均勤続年数は16.5年から10.2年へと下がっており、持株会社機能の担い手が世代交代・中途採用によって入れ替わった結果として平均給与も動いた可能性が考えられます(推定情報)。年収が下がった=待遇が悪化した、と単純に読むべき数値ではありません。
橋本総業HDとの比較で見える「開示の差」
ここが本記事の核心のひとつです。持株会社の有価証券報告書には、提出会社だけでなく「最大人員を有する連結子会社」の従業員数・平均年齢・平均勤続年数・平均年間給与を任意で記載する例があります。経営統合の検討相手である橋本総業ホールディングスは、この最大人員会社のデータ(808名・平均40.8歳・平均勤続12.8年・平均年収約590万円)を有価証券報告書で開示しています。一方でアイナボホールディングスの有価証券報告書には、最大人員会社であるアベルコの給与データの記載がありません。つまり同じ「持株会社の年収」でも、読者が現場水準にたどり着ける会社とたどり着けない会社があるということです。アイナボHDに応募する場合は、この情報の空白を面接や労働条件通知書で自分から埋めに行く必要があると考えてください。
口コミ上の年収傾向と、転職時に確認すべきポイント
現場水準の手がかりになるのは口コミサイトの回答値です。口コミ傾向として、OpenWorkにおける中核子会社アベルコの回答者平均年収は約413万円(回答14名・おおむね300〜510万円のレンジ)と示されています。これは回答者14名の自己申告に基づく二次ソースの参考値であり、職種構成も年齢構成も有報とは揃っていません。有報の707万円(本体27名)とアベルコの413万円(回答14名)はそもそも別の集団を測った数字であり、「707万円もらえる」とも「413万円しかもらえない」とも断定できません。転職時には次の点を確認することを推奨します。
- 応募先が持株会社本体(管理部門)か、アベルコ等の事業会社かを求人票で明確にする
- 提示額の内訳(基本給・固定残業代の有無と時間数・賞与の算定方法)を書面で確認する
- 施工管理職の場合、資格手当・現場手当・移動時間の扱いを個別に確認する
- 2026年9月期の「待遇改善」が自分の職種の給与テーブルに及ぶのかを面接で質問する
中核子会社アベルコの口コミ傾向から読む働き方
結論として、アイナボホールディングスの「働き方」を知りたいなら、見るべきは中核子会社アベルコの口コミです。持株会社本体の口コミはOpenWorkで8件(総合3.13。ただし回答者1名のためスコアが低減化されている旨の表示あり)、エン カイシャの評判で24件(総合3.1・正社員7名回答)と母数が極めて少なく、しかも企画・事務・管理系の投稿が中心で、営業や施工管理の実態を映していません。以下は口コミ傾向であり、会社の公式見解でも事実認定でもない点を前提にお読みください。また、アベルコに寄せられた投稿を「アイナボホールディングスの評判」と同一視することもできません。
評価が分かれる項目:法令順守は高め、待遇満足度は低め
OpenWorkのアベルコのページは口コミ100件・総合スコア3.14(業界内では上位18%と表示)で、項目別では法令順守意識3.6、風通しの良さ3.4が相対的に高く、待遇面の満足度2.7、20代の成長環境2.7が低めという分布です。月間平均残業時間は21.6時間、有給消化率は71%と回答されており、建設・工事関連の職場としては数値上は突出して長時間ではありません。ただしこれらは回答者の自己申告平均であり、部署・時期による差が均された値である点に注意が必要です(推定情報を含みます)。
退職理由に繰り返し出るテーマ
就活会議に掲載されたアベルコの退職理由は22件で、総合3.2(やりがい3.6、ワークライフバランス3.4、年収・評価3.0)。投稿に繰り返し現れるテーマは次の4点です。
- 責任や業務量に対して給与が見合っていないと感じた、という待遇の納得感に関する指摘
- 繁忙期は休日出勤が発生し、土曜出勤も年5回程度あるという稼働日に関する指摘
- 体育会系で飲酒・喫煙を軸としたコミュニケーションが残る、という企業文化への指摘
- 施工管理職と他職種で業務量に差がある、という職種間の負荷偏りの指摘
一方で持株会社本体側のエン カイシャの評判では「昭和的な考え方が根強い」「給与・賞与が限定的」という声が挙がっています。ネガティブ側の論点が待遇の納得感と旧来型の企業文化に集中し、事業の安定性やコンプライアンス面では相対的に評価が高い、というのが両社の口コミを通した傾向です。
公式に開示されている働き方の数値
口コミだけでなく、有価証券報告書に記載された公式情報も併せて見ておきます。連結子会社アベルコの女性管理職比率は5.9%、男性の育児休業取得率は16.7%。また同社グループには労働組合が結成されていない旨が有報に記載されています。女性管理職比率・男性育休取得率はいずれも高い水準とは言えず、組織の同質性が高い環境である可能性が読み取れます(推定情報)。労働組合がないこと自体は違法でも珍しくもありませんが、労働条件の交渉が個別対応になりやすい点は、入社前に理解しておくべき構造です。

口コミの点数だけ見ると平均的ですが、実際どう判断すればいいですか?
スコアの高低より、不満の中身が自分にとって許容できるものかで判断するのが実務的です。アベルコの投稿で繰り返される論点は「給与の納得感」「繁忙期の稼働」「体育会系の文化」に集中しており、これは業務が回っていないという話ではなく、価値観の相性の問題として現れています。逆に法令順守や風通しといった項目は相対的に高く評価されているため、「制度は整っているが文化は昔ながら」という読み方が近いと考えられます(推定情報)。
業績と事業構造|売上922億円・営業利益率2.7%という薄利業態
転職先としての体力を測るために、業績を分解します。決算短信によると2025年9月期の連結売上高は922億72百万円(前期比+2.8%)、営業利益25億31百万円(+16.6%)、経常利益28億49百万円(+15.0%)、親会社株主に帰属する当期純利益16億79百万円(+32.3%)。増収かつ大幅増益で、数字だけ見れば良い着地です。ただし営業利益率は2.7%で、流通・施工を組み合わせた業態としては薄利であることも同時に押さえてください。
セグメント別・会社別に見ると成長領域がはっきり分かれる
セグメント別では、戸建住宅事業が売上779億63百万円(+4.4%)・セグメント利益31億21百万円(+11.4%)と伸びた一方、大型物件事業は売上143億8百万円(△5.2%)・セグメント利益11億40百万円(+9.2%)と減収増益。売上規模の84.5%を戸建住宅事業が占める新築住宅依存型のポートフォリオです。会社別の営業利益では中核のアベルコが22億65百万円(+33.0%)と牽引し、温調技研が3億59百万円。他方でタイルブランドを手がけるMaristoは0億82百万円の営業赤字です。M&Aで取り込んだ事業の全てが黒字化しているわけではないという事実は、入社後にどの事業に配属されるかで見える景色が変わることを意味します(推定情報)。
2026年9月期は「増収なのに減益」、その理由が待遇改善
注目すべきは次期予想です。2026年9月期の会社予想は売上985億円(+6.7%)に対し、営業利益21億円(△17.1%)、経常利益26億円(△8.8%)、純利益16億円(△4.7%)。増収を見込みながら営業利益を17%減らす計画で、会社が説明する主因は待遇改善による人件費増です。転職検討者にとっては両面の読み方ができます。ポジティブに見れば、賃上げを利益を削ってでも実行する姿勢を数字で示したということ。慎重に見れば、営業利益率2%台の薄利業態で人件費を増やせば利益余力はさらに薄くなり、その後の昇給ペースは業績次第になる可能性があるということです(推定情報)。面接では「待遇改善が具体的にどの層・どの職種に配分されるのか」を確認する価値があります。
財務は堅い:ネットキャッシュ約128億円・自己資本比率55.4%
利益率は薄い一方で、財務基盤は安定しています。ネットキャッシュは約128億円、自己資本比率55.4%、ROE6.6%、配当性向35.9%(年26円)。実質無借金に近い財務で、これは景気後退局面でも雇用と投資を維持しやすい構造と評価できます(推定情報)。積極的なM&A(マニックス、アルティス、Maristo、ミック、上埜タイル、テクノグラスサービス、エースセンター等)や、2025年10月のアベルコ大阪支店と今村の統合といった拠点再編を続けられているのも、この財務余力が背景にあると考えられます。ベトナム子会社AVELCO VIETNAMも保有しており、海外拠点も限定的ながら存在します。
橋本総業ホールディングスとの経営統合検討|何が決まり、何が未定か
2026年に入って同社に生じた最大の変化がこれです。事実関係を正確に押さえます。公式情報として、2026年3月27日にアイナボホールディングスと橋本総業ホールディングス(7570・東証スタンダード市場)は、対等の精神による共同株式移転を通じた経営統合の検討開始を公表しました。実現した場合、両社はそれぞれ上場廃止となり、新たに設立される共同持株会社が東証に上場する予定とされています。株式公開買付け(TOB)は想定されていません。両社は相互に株式を保有しており、アイナボ側は橋本総業ホールディングス株120,032株を政策保有株式として保有しています。
2026年9月時点で「未開示」のもの
ここが最も重要です。統合比率・統合の日程・新会社の商号・最終契約のいずれも、2026年9月時点で開示されていません。これらは統合準備委員会で決定される予定とされており、基本合意書や最終契約の締結を伝える開示も確認できていません。つまり現時点の位置づけは「検討を開始した」段階であり、統合の実現を前提に転職判断を組み立てるのは適切ではありません。ニュース記事やSNSで「統合が決まった」という表現を見かけても、公式開示に立ち返って確認することを推奨します。
実現した場合の規模と、転職検討者にとっての意味
仮に統合が実現した場合、直近実績(アイナボHD連結922億72百万円+橋本総業HD連結1,724億62百万円)を単純合算すると売上2,500億円超の住宅設備・建材の流通+施工グループが生まれる計算になります。橋本総業側は管工機材・住宅設備の卸売を主軸とし、アイナボ側は卸売に加えてタイル・外壁・住設の施工機能を持つため、事業の重なりよりも補完関係のほうが大きい組み合わせと見ることもできます(推定情報)。ただし転職検討者にとっての最大の関心事である統合後の人事制度・給与テーブル・組織再編・拠点統廃合は、いずれも一切開示されていません。この記事でも推測は書きません。応募時には「統合検討が自分の応募ポジションに与える影響について、現時点で説明できる範囲を教えてほしい」と率直に確認するのが現実的な対処です。
子会社元従業員の逮捕に関する開示をどう読むか
「アイナボ 不祥事」といった文脈で言及されることのある事案について、法的性格を正確に整理します。公式情報として、2025年9月18日に同社は適時開示で、連結子会社アベルコ大阪支店の元従業員が、下請会社との架空取引に関する詐欺容疑で逮捕されたことを公表しました。社内調査により、2014年6月から2024年3月にかけて特定の下請会社への水増し発注とキックバックの受領が判明したとされています。会社は2024年5月に当該人物を懲戒解雇し、刑事告訴(2025年4月受理)。損害額約11百万円は過年度で処理済みで、2025年9月期の業績への影響はないと説明されています。
誤読を避けるために、性格を明記します。これは個人に対する刑事事件であり、会社に対する行政処分ではありません。会社は被害を受けた側であり、かつ告訴した側です。また逮捕は起訴や有罪判決とは異なる段階であり、判決に関する情報は公開情報の範囲では確認できていません。本記事では個人名・属性は記載しません。なお、これ以外の行政処分・指名停止・訴訟については、公開情報の範囲で該当するものは見当たりませんでした。
転職検討者としての読み方は両面あります。ネガティブ側の論点は、同一の不正が約10年にわたって発覚しなかった内部統制の弱さです。発注先と担当者の関係が長期間固定化しやすい業態であることの裏返しとも言え、購買・工事発注に関わる職種で入社する場合は、現在の承認フローや取引先ローテーションの運用を確認する価値があります。ポジティブ側の論点は、発覚後に懲戒解雇と刑事告訴まで踏み込み、適時開示で公表した対応です。損失を内々に処理せず開示した点は、コンプライアンス姿勢として評価できる材料と考えられます(推定情報)。口コミでアベルコの法令順守意識が3.6と相対的に高く評価されている点とも整合的です。
住宅設備・建材流通業界の中での立ち位置と将来性
将来性は、会社単体ではなく業界の需要構造と合わせて見る必要があります。同社の主戦場である新築住宅市場は縮小局面にあります。2025年4月施行の建築基準法改正(4号特例の縮小)と建築物省エネ法改正(省エネ基準適合義務化)を前にした駆け込みとその反動で、2025年度の全国新設住宅着工戸数は前年度から1割超減少し、持家も同様に大きく落ち込みました。有価証券報告書でも、新設住宅着工戸数の減少・住宅ローン金利の上昇・職人不足・2025年4月の建築基準法改正の影響がリスクとして挙げられています。売上の84.5%を戸建住宅事業が占める同社にとって、これは直接的な逆風です。
逆風の中での成長ドライバーは「省エネ」と「施工力」
一方で、業界には構造的な追い風もあります。省エネ基準適合義務化と2030年のZEH水準義務化に向けて、高性能サッシ・断熱材・高効率給湯器といった高付加価値建材への置き換え需要が発生しており、給湯省エネ・窓リノベ等の補助金がリフォーム需要を後押ししています。着工戸数が減っても1棟あたりの建材単価が上がる構造です。さらに建設業の時間外労働上限規制以降、職人不足と高齢化が深刻化し、建材卸には「モノを届ける」だけでなく施工まで含めて工務店の困りごとを解決する機能が求められるようになりました。卸売と施工の両方を自前で持ち、約2,000社の協力会社ネットワークと研修センターを抱える同社の業態は、この変化と方向性が一致しています(推定情報)。
リスク要因:LIXIL仕入依存38.4%と新築依存
他方でリスクも明確です。有価証券報告書によると、仕入の38.4%を単一の主要仕入先(LIXIL)に依存しています。特定メーカーとの関係が強いことは商流の安定につながる一方、そのメーカーの製品政策や価格改定が業績に直結する構造でもあります。加えて営業利益率2.7%という薄利体質では、資材価格の変動や人件費増を価格転嫁できるかが利益を大きく左右します。転職検討者としては「新築の縮小をリフォーム・省エネ改修と施工機能でどこまで補えるか」が、この会社の将来性を測る実質的な軸になります。
統合検討の相手・橋本総業ホールディングスとの比較
同業比較の対象として最も意味があるのは、経営統合の検討相手である橋本総業ホールディングスです。両社とも東証スタンダード上場の持株会社で、住宅設備・建材の流通を主戦場としながら、事業モデルも情報開示の姿勢も異なります。数値は各社の直近有価証券報告書・決算短信に基づく公式情報ですが、決算期が異なる(アイナボHDは9月期、橋本総業HDは3月期)ため、単純比較には注意してください。
| 比較項目 | アイナボホールディングス | 橋本総業ホールディングス |
|---|---|---|
| 証券コード/市場 | 7539/東証スタンダード | 7570/東証スタンダード |
| 直近決算期 | 2025年9月期(第71期) | 2026年3月期 |
| 連結売上高 | 922億72百万円(+2.8%) | 1,724億62百万円(+4.3%) |
| 営業利益(利益率) | 25億31百万円(2.7%) | 25億27百万円(1.5%) |
| 連結従業員数 | 1,107名 | 983名 |
| 持株会社本体の従業員数 | 27名 | 0名 |
| 有報の平均年間給与 | 約707万円(本体27名) | 提出会社に従業員なし |
| 最大人員会社の給与開示 | 開示されていない | 約590万円・40.8歳・勤続12.8年・808名を開示 |
| 事業の特徴 | 卸売+タイル・外壁・住設の自社施工 | 管工機材・住宅設備の卸売が主軸 |
| 経営統合に関する開示 | 2026年3月27日に共同株式移転による経営統合の検討開始を共同公表。統合比率・日程・新商号・最終契約は2026年9月時点で未開示 | |
この表から読み取れる実務的な示唆は2つです。第一に、売上規模では橋本総業HDが約1.9倍だが、営業利益額はほぼ同水準であり、施工機能を持つアイナボ側のほうが利益率で上回っています。第二に、年収の実態にたどり着けるかどうかは会社によって差があるという点です。橋本総業HDは最大人員会社の給与を有報で開示しているため応募前に現場水準の目安が分かりますが、アイナボHDは開示がないため面接での確認が不可欠になります。この差は待遇の優劣ではなく情報の入手しやすさの差である点を混同しないでください。なお同業には他にジューテックホールディングス(3157)などの上場建材卸や、渡辺パイプ・小泉といった非上場の住設・管材商社が存在しますが、本記事では数値の取得元が揃わないため比較表には含めていません。
アイナボホールディングスへの転職が向いている人・向いていない人
ここまでの公式情報・口コミ傾向をふまえ、適性を整理します(推定情報を含みます)。判断のポイントは「薄利だが安定した業態」「施工まで踏み込む泥臭さ」「持株会社ゆえの情報の分かりにくさ」の3つをどう受け止めるかです。
| 向いている人 | 向いていない人 |
|---|---|
| 住宅設備・建材の商流と施工の両方に関わりたい人 | 成果に応じた短期の大幅昇給を最優先したい人 |
| 工務店・ビルダーとの長期的な関係構築を得意とする人 | 飲酒を伴う場や体育会系の距離感が負担になる人 |
| 財務が堅く無借金に近い企業で腰を据えて働きたい人 | 繁忙期の休日出勤・土曜出勤を避けたい人 |
| 施工管理・現場調整の経験を市場価値に変えたい人 | 制度や情報開示が整った大手の環境を求める人 |
| 組織再編・統合検討という変化を前向きに捉えられる人 | 入社前に将来の組織像を確定させたい人 |
とくに施工管理職を検討している場合は、口コミで「施工管理職と他職種の業務量に差がある」という指摘が繰り返されている点を軽視しないでください。逆に言えば、年間約2万件のバスルーム工事をはじめとする案件数は経験を積む環境としては豊富であり、住宅設備の施工管理経験は工務店・ハウスメーカー・設備メーカーへ横展開しやすいスキルです(推定情報)。
アイナボホールディングスへの転職|編集部の見解
編集部の見解として、アイナボホールディングスは「業態のユニークさと財務の堅さを評価できるが、待遇の透明性を自分で確かめに行く必要がある会社」と考えられます。卸売と施工を両方持つ二刀流のモデルは、職人不足が進む住宅市場では希少性が高まる方向にあり、100年続くタイル工事の系譜と研修センター・協力会社ネットワークという実体を伴っています。ネットキャッシュ約128億円・自己資本比率55.4%という財務も、雇用の安定という観点では安心材料です。
一方で、営業利益率2.7%の薄利業態であること、有価証券報告書に現場の給与データがないこと、口コミで待遇の納得感と旧来型の文化が繰り返し指摘されていることは、事実として直視すべき点です。加えて経営統合の検討という不確実性が乗っています。総合すると、「住宅設備・建材の領域で専門性を積みたい」「変化のある組織で自分の役割を作りたい」という動機の人には検討価値がある一方、待遇水準と制度の明確さを最優先する人には確認事項が多い会社と言えます。応募するなら、内定時の労働条件通知書で年収の内訳を確定させることを強く推奨します。
アイナボホールディングスに関するよくある質問
検索でよく調べられている疑問に、公式情報と口コミ傾向を分けて回答します。
アイナボホールディングスは何の会社ですか?
住宅建材・住宅設備機器の卸売と、タイル・外壁・住設の専門工事を行うグループの純粋持株会社です。持株会社本体は事業を行わず、中核子会社アベルコをはじめとする8社が実際の事業を担っています。主な顧客は中小ゼネコン・工務店・ハウスビルダーで、大型物件事業では大手ゼネコン向けのタイル・石材・空調・住設工事も手がけています。
アイナボホールディングスとアベルコの関係は?応募先はどちらになりますか?
アベルコはアイナボホールディングスの中核連結子会社で、単体売上618億2千万円とグループ売上の約7割を占めます。持株会社本体の従業員は27名で管理部門が中心のため、営業職・施工管理職の募集は基本的にアベルコ等の事業会社側と考えるのが自然です(推定情報)。求人票の雇用主がどの法人かを必ず確認してください。口コミサイトでも実質的な投稿はアベルコ側に集まっています。
平均年収707万円は現場社員の年収と考えてよいですか?
いいえ。有価証券報告書の7,073,059円は提出会社(持株会社本体)27名の平均であり、連結1,107名の水準を示すものではありません。同社の有価証券報告書には最大人員会社の給与開示がないため、現場水準は公式には確認できていません。参考値として、OpenWorkにおける中核子会社アベルコの回答者平均年収は約413万円(14名回答)という口コミ傾向があります。
橋本総業ホールディングスとの経営統合はいつ実現しますか?
2026年9月時点では実現時期は決まっていません。2026年3月27日に共同株式移転による経営統合の検討開始が公表された段階で、統合比率・日程・新商号・最終契約はいずれも未開示です。実現すれば両社は上場廃止となり新設の共同持株会社が上場する予定とされていますが、検討段階である点を前提に判断してください。
従業員数は何名ですか?増えていますか?
第71期(2025年9月期)有価証券報告書によると連結1,107名[ほか臨時雇用290名]、提出会社27名[同13名]です。連結の推移は852名(2021年9月期)→1,013名→1,088名→1,148名→1,107名で、M&Aを含めて4年間で約1.3倍に増えた後、直近期は41名減となっています。セグメント別では戸建住宅事業877名、大型物件事業130名、全社共通100名です。
福利厚生や働く環境について、公式に分かることはありますか?
有価証券報告書からは、連結子会社アベルコの女性管理職比率5.9%、男性育児休業取得率16.7%、および労働組合が結成されていないことが確認できます(公式情報)。休日数・手当・住宅補助などの具体的条件は公式採用サイトと求人票、最終的には労働条件通知書で確認してください。口コミ傾向としては月平均残業21.6時間・有給消化率71%という回答値があります。
アイナボホールディングスへの転職判断まとめ
ここまでの内容を判断軸ごとに整理します。最終的な判断は、求人票と労働条件通知書、そして面接での確認を通じて行ってください。
| 判断軸 | 評価と根拠 |
|---|---|
| 企業の正体 | 中核子会社アベルコを軸とする純粋持株会社。本体27名/連結1,107名で、入社先は事業会社側になる |
| 年収の透明性 | 有報の707万円は本体27名の値。最大人員会社の給与開示がなく、現場水準は面接での確認が必要 |
| 業績の安定性 | 売上922億円で増収増益。ただし営業利益率2.7%の薄利で、次期は待遇改善により営業利益17.1%減の予想 |
| 財務の健全性 | ネットキャッシュ約128億円・自己資本比率55.4%・実質無借金に近く、雇用の安定性は高いと考えられる |
| 働き方 | 口コミ上は残業21.6時間・有給71%。繁忙期の休日出勤や土曜出勤、施工管理職の負荷偏りの指摘あり |
| 企業文化 | 法令順守・風通しの評価は相対的に高い一方、体育会系・昭和的という指摘が複数。労働組合はなし |
| 将来性 | 新設住宅着工減とLIXIL仕入依存38.4%が逆風。省エネ改修需要と施工機能の希少性が追い風 |
| 不確実性 | 橋本総業HDとの経営統合は検討段階。統合後の処遇・組織は未開示のため、入社前に確定できない |
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本記事の出典・参考情報
本記事で参照した一次情報・口コミ情報の出典は以下の通りです。最新の正確な数値は各リンク先で確認してください。有価証券報告書の数値は第71期(2025年9月期・2025年12月17日提出)に基づきます。
公式情報源
口コミ・評判の参照元
免責事項:本記事の数値・評価は公式情報・口コミ集計・市場推定の3分類で示しており、口コミ傾向や推定情報は断定ではなく傾向・可能性として表現しています。最終判断は読者自身で公式IRおよび内定時の労働条件通知書で確認してください。
この記事の編集方針・情報の確認について
この記事は、公式公開情報(有価証券報告書・IR資料・適時開示)、求人情報、口コミ傾向をそれぞれ分けて整理し、転職・就職判断に役立つよう編集しています。年収・平均年齢・従業員数などの中核データは有価証券報告書「従業員の状況」を一次情報として確認し、口コミ・推定情報とは明確に区別しています。中核子会社アベルコに関する口コミは、持株会社であるアイナボホールディングス本体の評価とは区別して記載しました。記載内容は最終更新時点の公開情報にもとづきます。最新の正確な数値は各公式IRページでご確認ください。
