ゼット株式会社(8135)の年収619万円と評判|大阪の老舗スポーツ用品卸の実像
※本記事にはプロモーションを含みます。
この記事の結論
- 正体:大阪・天王寺に本社を置く東証スタンダード上場(8135)のスポーツ用品卸です
- 事業構造:第77期の売上586億円のうち約97%が卸売部門で、製造は3.3億円です
- 年収:有価証券報告書の平均年間給与は619.2万円、平均勤続14.9年です
- 決算:純利益67.4%減は前期の一時的な売却益の反動で、営業利益は5期で最高です
「ゼット株式会社の本社はどこにあるのか」「そもそも何をしている会社なのか」。この記事は、その素朴な疑問から入って転職判断まで進めるように書いています。対象はゼット株式会社(証券コード8135・東証スタンダード市場・本社は大阪市天王寺区烏ヶ辻)です。野球用品ブランド「ZETT」の運営会社として名前を知っている人は多い一方、会社としての実態=売上のほぼ全量が卸売という事実は、あまり知られていません。ここでは第77期(2026年3月期)有価証券報告書の実額を軸に、事業構造・年収・働き方・将来性を順に整理します。
ゼット株式会社の公式データ一覧(有価証券報告書ベース)
まず判断の土台になる数字を先に置きます。以下はすべて公式情報=第77期(2025年4月1日〜2026年3月31日)の有価証券報告書(2026年6月26日提出/EDINETコードE03076)の実額です。口コミサイトの自己申告値や求人サイトの推定値は含めていません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 商号 | ゼット株式会社(ZETT CORPORATION) |
| 証券コード/市場 | 8135/東京証券取引所スタンダード市場(1981年3月大阪証券取引所市場第二部上場、その後の市場再編を経て現在) |
| 本社所在地 | 大阪市天王寺区烏ヶ辻一丁目2番16号(東京オフィス:東京都台東区浅草橋3-30-7) |
| 代表者 | 代表取締役社長 渡辺 裕之 |
| 創業/設立 | 1920年(大正9年)10月創業/1950年12月16日法人設立 |
| 資本金 | 10億510万円(発行済株式数20,102,000株) |
| 平均年間給与 | 約619万2千円(6,192千円・前事業年度比+1.9%) |
| 平均年齢 | 42.9歳 |
| 平均勤続年数 | 14.9年 |
| 従業員数 | 連結578名(臨時従業員は外数で年間平均218名)/提出会社単体422名(同24名) |
| 売上高 | 586億5,500万円(連結・前期比+6.1%) |
| 営業利益 | 12億5,100万円(連結)/経常利益14億6,100万円 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 9億7,500万円(前期比▲67.4%) |
| 自己資本比率/ROE | 45.5%/6.5% |
| 1株当たり指標 | 純資産783.22円/当期純利益49.85円/年間配当18円 |
| 出典 | 第77期(2026年3月期)有価証券報告書(EDINET書類番号 S100YJPU) |
この表で注意したいのは、平均年間給与619.2万円が「提出会社単体422名・正規社員のみ」の数値だという点です。有価証券報告書の注記により、賞与および基準外賃金を含み、臨時従業員(年間平均24名)は対象外と明記されています。連結ベースの平均給与は有価証券報告書では開示されていません。
ゼット株式会社とはどこにある何の会社か|大阪・天王寺の総合スポーツ用品卸
結論から言えば、ゼット株式会社は「野球用品ブランドの顔を持つスポーツ用品卸売会社」です。読者が最初に得るべき理解はここに尽きます。グラブやバットのイメージから製造業を想像しがちですが、有価証券報告書上の実態は、全国のスポーツ用品専門店・量販店に商品を供給する中間流通業です。東証33業種の分類も製造業ではなく卸売業です。
本社は大阪市天王寺区、拠点は全国の営業所ネットワーク
「ゼット株式会社 本社」という検索が最も多い理由は、社名からは所在地も業態も読み取れないからだと考えられます(推定情報)。公式情報として整理すると、本社は大阪市天王寺区烏ヶ辻、東京側の拠点は台東区浅草橋にあります。浅草橋は問屋街として知られる立地で、卸売会社としての性格がそのまま住所に表れているとも読めます。主要な子会社も大阪市天王寺区に集まっており、本社機能・製造子会社・物流子会社が地理的に近接しているのが特徴です。転職先として見る場合、勤務地の中心は大阪であり、次いで東京および全国の営業拠点という理解になります。
「〜ゼット」という別法人と混同しないための見分け方
この会社を調べるときの最大の落とし穴が、社名の衝突です。検索結果には「エーゼット株式会社」「ロゼット株式会社」「アゼット株式会社」「エコゼット株式会社」など、末尾に「ゼット」が付くまったく別の法人が多数混ざります。特にロゼット株式会社は化粧品メーカーであり、求人・年収・採用大学といった情報がスポーツ用品のゼットのものとして紹介されているケースがあります。誤情報をつかまないために、次の3点で同定してください。
- 証券コード8135(東証スタンダード市場)であること
- EDINETコードE03076の有価証券報告書であること
- 本社が大阪市天王寺区であること(公式サイトは zett.jp)
口コミサイトや年収サイトを見るときも、企業ページの所在地と証券コードを必ず照合するのが安全です。
1920年創業の100年企業という時間軸
沿革も公式情報として明確です。1920年(大正9年)10月に「渡辺梁三商店」の屋号で袋物・鞄・スポーツ用品の製造販売を開始したのが始まりで、1950年12月に渡辺運動用品株式会社として法人設立、1967年4月に渡辺株式会社、そして1980年10月に現商号のゼット株式会社となりました。上場は1981年3月です。創業から100年以上、法人設立からでも70年以上という時間の長さは、後述する平均勤続年数14.9年という定着の高さや、オーナー色の強い資本構成とも地続きの話です。社名「ZETT」はアルファベットの最終文字=不退転・最高・最新に由来するとされています。
売上の約97%が卸売|「メーカーだと思って入る」と起きるギャップ
この記事で最も伝えたい構造の話です。ゼット株式会社の報告セグメントは「スポーツ事業」の単一セグメントですが、その内側は卸売・製造・小売・物流の4部門に分かれています。第77期の部門別売上は公式情報として以下の通りで、金額の偏りが極端です。
| 部門 | 第77期売上高 | 前期比 | 売上構成比 |
|---|---|---|---|
| 卸売部門 | 571億600万円 | +6.3% | 約97.4% |
| 物流部門 | 7億4,400万円 | ▲3.3% | 約1.3% |
| 小売部門 | 4億7,400万円 | ▲10.8% | 約0.8% |
| 製造部門 | 3億3,000万円 | +7.9% | 約0.6% |
つまり売上のほぼ全量が卸売で、製造部門は3.3億円しかありません。ブランドとしての知名度は「メーカー」ですが、収益構造は完全に流通・卸です。
自社ブランドとライセンス、そして輸入代理店
取扱商品は総合的です。自社ブランドは野球・ソフトボール用品の「ゼットベースボール」(グラブ、バット、スパイク、ユニフォーム)で、企画・製造は子会社のゼットクリエイト株式会社が担います。加えてバスケットボールの「コンバース」などのライセンスブランドを展開し、テニス・バドミントン、サッカー、卓球、ランニング、アウトドアまで幅広く扱っています。他社ブランドの輸入代理店業も行っており、業態としては専門商社に近い機能を持っています。この「自社ブランド+ライセンス+輸入代理店」の三層構造が、卸売部門571億円の中身です。
中心職種は商品開発ではなく、全国を回るBtoB営業

野球用品メーカーだと思って応募したら、実際の仕事は違うのでしょうか?
入社後ギャップが起きやすいのはまさにこの点です。連結従業員578名のうち卸売部門が428名と全体の約74%を占めます。したがって募集の中心は、スポーツ用品専門店・量販店・学校販路を担当するルート営業やキーアカウント営業であり、「グラブの設計をする」「バットを開発する」といった職務は製造子会社側の限られたポジションになります(推定情報)。スポーツが好きという動機は歓迎されやすい一方、期待する職務内容が営業なのか商品側なのかを、応募段階で必ず確認すべき会社です。
製造・物流・小売は子会社が担う
グループ構成を知ると、単体と連結の差の意味が見えてきます。主要連結子会社は公式情報として、ゼットクリエイト株式会社(大阪市天王寺区・スポーツ用品の製造及び販売=自社ブランド商品の仕入先)、ザイロ株式会社(同・スポーツ用品の物流)、株式会社ジャスプロ(物流/グループ外業務も受託)、株式会社ロッジ(登山・アウトドア小売、1979年5月資本参加)、広州捷多商貿有限公司(中国国内での野球用品等の販売)です。提出会社単体422名は連結578名の73.0%にあたり、残る156名は主に製造・物流・小売の子会社に属します。有価証券報告書の平均年収619.2万円は、この単体422名の数字である点を押さえてください。
純利益67.4%減は業績悪化ではない|第77期決算の読み方
ゼット株式会社の決算を検索すると「純利益が67%減った」という数字が目に入ります。ここは誤読が起きやすいので、先に結論を書きます。第77期は増収増益であり、純利益の急減は前期に発生した一時的な利益の反動です。以下、公式情報として順に確認します。
売上は4期連続増収、営業利益は直近5期で最高
| 決算期 | 連結売上高 | 連結営業利益 |
|---|---|---|
| 第73期 | 447億6,200万円 | 4億9,100万円 |
| 第74期 | 498億8,700万円 | 9億9,700万円 |
| 第75期 | 519億5,700万円 | 8億7,600万円 |
| 第76期(2025年3月期) | 553億900万円 | 10億7,200万円 |
| 第77期(2026年3月期) | 586億5,500万円 | 12億5,100万円 |
売上高は4期連続で増加し、営業利益も直近5期はすべて黒字で、第77期の12億5,100万円は5期のなかで最も高い水準です。赤字期は5期のなかに一度もありません。経常利益も14億6,100万円と営業利益を上回っており、営業外の収支も安定しています。
前期の投資有価証券売却益という一時要因
では純利益はなぜ減ったのか。第76期の親会社株主に帰属する当期純利益は29億9,200万円でしたが、これは投資有価証券売却益によって一時的に押し上げられた数値です。第77期はその特別利益がなくなったため、通常の利益水準である9億7,500万円に戻りました。営業利益12億5,100万円に対して純利益9億7,500万円という関係は、税負担を考えれば自然な並びです。1株当たり当期純利益も152.89円から49.85円へ動いていますが、同じ理由によるものです。「▲67.4%」という数字だけを見て経営が悪化したと判断するのは、事実に照らして正確ではありません。
ただし3つの経営目標はすべて未達という現在地
一方で、良い面だけを見るのも公平ではありません。会社自身が掲げる経営目標と第77期実績を並べると、次のようになります(いずれも公式情報)。
| 指標 | 経営目標 | 第77期実績 | 達成状況 |
|---|---|---|---|
| 連結売上高営業利益率 | 2.5%以上 | 約2.1% | 未達 |
| ROE(自己資本利益率) | 7%以上 | 6.5% | 未達 |
| 自己資本比率 | 50% | 45.5% | 未達 |
3つの経営目標がすべて未達という事実は、中期経営スローガン「一致結束」と実績のあいだにギャップがあることを示しています。もっとも、いずれも「大きく崩れている」という距離ではなく、営業利益率で0.4ポイント、ROEで0.5ポイント、自己資本比率で4.5ポイントの差です。転職者の視点でこの3指標を読むと、「増収は続いているが、利益率と資本効率の改善が積年の課題として残っている会社」という像になります(推定情報)。給与原資の伸び方を考えるうえでも、営業利益率2%前後という薄い水準は前提として理解しておくべき数字です。
ゼット株式会社の年収619.2万円をどう読むか
年収は転職判断の中心なので、公式値から順に積み上げます。第77期有価証券報告書「従業員の状況」によると、平均年間給与は6,192千円(約619万2千円)、対前事業年度増減率は+1.9%です。逆算すると第76期は約607万6千円で、1年で約12万円増えた計算になります。賞与および基準外賃金を含む数値であり、正規社員のみが対象です。
平均年齢42.9歳・平均勤続14.9年が意味するもの
年収は年齢構成とセットで見る必要があります。平均年齢42.9歳、平均勤続年数14.9年(いずれも提出会社単体・正規社員)という数字は、卸売業のなかでも定着が高く、年齢層がやや高めの構成であることを示します。勤続14.9年ということは、平均的な社員が28歳前後で入社し、そのまま在籍しているイメージです。ここから読み取れる論点は2つあります。
- 実利の面:40代前半で619万円という水準は、長期に働く前提なら安定した設計と言えます。人の入れ替わりが激しい職場ではありません。
- キャリアの面:ポストが空きにくく、年功的な運用になりやすい構造でもあります。20代・30代の伸び幅は、平均値からは読み取れません(推定情報)。
なお参考値として、OpenWorkに掲載されている男女別の平均勤続年数は男性18.5年・女性12.6年です(二次情報のため参考扱い)。
口コミ上の年収傾向と、公式値との距離
口コミ傾向として見ると、OpenWorkの設問別スコアでは待遇面の満足度2.1、人事評価の適正感2.0(いずれも5点満点)と低めに分布しています。フリーコメントでも「給与水準が低い」「年功序列」という指摘が繰り返し現れます。ただしこれは断定できる情報ではなく、次の点に注意が必要です。
- OpenWorkの口コミ総数は72件で、上場企業としては少ない部類です。設問カテゴリ別に分解すると1カテゴリ十数件規模にとどまり、統計的な代表性は限定的です。
- 口コミの投稿者は退職者・在籍者が混在し、若手層に偏る傾向があります。したがって「平均年齢42.9歳の平均値」である619.2万円より低く感じられるのは自然な結果とも考えられます(推定情報)。
- エン ライトハウス(カイシャの評判)・転職会議の件数およびスコアは、本記事の調査範囲では特定できていません。数値としては扱いません。
職種・役職別の目安(推定)と、内定時に確認すべき点
職種別・役職別の年収レンジは有価証券報告書では開示されていません。そのうえで、公式平均619.2万円と平均年齢42.9歳から逆算すると、次のような推定情報としての目安が考えられます。断定ではなく、面接・内定時に必ず一次確認してください。
- 20代の卸売営業:平均を下回る水準からのスタートになる可能性が高いと考えられます。初任給は日経掲載で231,800円という値がありますが、基準時点が未確認の二次情報です。
- 30代後半〜40代の中堅営業:平均値619万円前後がひとつの目安と考えられます。
- 営業所長・支店長クラス:平均を上回る水準が想定されますが、公表値がないため範囲は示せません。
確認すべきポイントは3つです。①賞与の算定方式と直近3期の支給実績、②基準外賃金(残業代)が月給に含まれる割合、③配属先が提出会社なのか子会社なのか。特に③は重要で、物流子会社や製造子会社に所属する場合、619.2万円という数値はそもそも自分の待遇の参照値になりません。
働き方と社内環境|口コミ72件と有価証券報告書の人的資本データ
働き方については、口コミ傾向と公式情報で見えるものが違います。両方を並べたほうが実像に近づきます。
残業と有給|数字の上では負荷は重くない
OpenWorkの集計値では、月間残業10.3時間、有給消化率46.8%、女性比率29.6%、女性管理職比率9.3%となっています(二次情報・回答者数が限られる点に留意)。月10時間台という残業水準は、卸売・商社系のなかでは軽いほうの部類です。一方で有給消化率46.8%は半分に届いておらず、休みの取りやすさには改善余地があるという読み方もできます(推定情報)。スポーツ用品卸は新学期前や大会シーズンに繁忙が集中しやすい業態で、時期による波がある可能性は考慮しておくべきです。
評価と待遇の納得感が低いという投稿傾向
OpenWorkの設問別スコアを並べると、傾向が読み取れます。法令順守意識3.4、社員の相互尊重3.2、風通しの良さ2.9、社員の士気2.7、20代成長環境2.4、人材の長期育成2.4、待遇面の満足度2.1、人事評価の適正感2.0、総合評価2.68。人間関係やコンプライアンスは相対的に高く、待遇と評価制度が低いという分布です。フリーコメントでは「昔ながら」「古い社風」「年功序列」「体育会系」「オーナー企業のトップダウン」といった指摘が見られる一方、「明朗活発」「スポーツ好きが集まる雰囲気」という肯定的な声もあります。口コミ傾向として、働きやすさよりも報われ方の納得感が論点になっている企業だと整理できます。
人的資本の開示指標は明確な弱点がある
ここは口コミではなく公式情報です。第77期有価証券報告書によると、提出会社の人的資本指標は以下の通りです。
| 指標 | 第77期実績 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性割合 | 11.5% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 0.0% |
| 男女の賃金差異(全労働者) | 81.5% |
| 男女の賃金差異(正規雇用労働者) | 79.8% |
| 男女の賃金差異(パート・有期労働者) | 77.3% |
男性育児休業取得率0.0%は、口コミではなく会社自身が開示している数値です。育児と両立しながら働くことを重視する人にとって、この開示は無視できない判断材料になります。ただし従業員422名規模では対象者数自体が少なく、単年の0.0%が制度の不在を意味するとは限りません(推定情報)。人材戦略としては「一致結束」を中核に、選択型研修の年2回受講必須化、管理職向けマネジメント研修、OJT・メンター制度、ジョブローテーションの活性化が掲げられています。
部門で雇用の形がまるで違う|物流は臨時が正社員の3倍以上
この会社を数字で見るとき、最もユニークなのが部門別の人員構成です。公式情報として、連結578名(臨時218名は外数)の内訳は次の通りです。
| 部門 | 従業員数 | 臨時従業員(年間平均・外数) | 臨時/正社員の比率 |
|---|---|---|---|
| 卸売部門 | 428名 | 24名 | 約0.06倍 |
| 製造部門 | 88名 | 7名 | 約0.08倍 |
| 小売部門 | 7名 | 15名 | 約2.1倍 |
| 物流部門 | 55名 | 172名 | 約3.1倍 |
物流部門は正社員55名に対して臨時従業員が172名と、3倍以上の構成になっています。小売部門も正社員7名に対し臨時15名です。ここから読み取れることは3つあります。
- 正社員採用の主戦場は卸売部門である。428名という規模は連結の約74%にあたり、中途採用の受け皿もここが中心と考えられます(推定情報)。
- 物流はオペレーションを臨時雇用で支える構造である。倉庫・出荷業務の繁閑に合わせた人員設計であり、物流子会社に配属される正社員は「現場を管理する側」の役割になる可能性が高いと考えられます(推定情報)。
- 有価証券報告書の平均年収は、この臨時218名を含まない数字である。グループ全体の給与水準を表すものではありません。
また連結従業員数の推移は592名(第73期)→583→584→588→578名(第77期)と、緩やかな減少傾向にあります。売上は4期連続で増えているため、1人当たり売上高は上昇している計算になります。第73期の447億6,200万円÷592名=約7,560万円に対し、第77期は586億5,500万円÷578名=約1億146万円。5期で1人当たり売上高が約34%向上したことになり、効率化は進んでいると読めます。ただし営業利益率が2.1%にとどまることを考えると、その効率化が利益率の改善までは十分に届いていない、という評価も同時に成り立ちます(推定情報)。
ゼット株式会社の将来性|野球市場の縮小と、分散への賭け
将来性については、明るい要素と構造リスクの両方を並べます。まず会社自身が有価証券報告書の「事業等のリスク」で、国内における消費マーケットの変化を第1のリスクとして挙げている点が重要です。これは公式情報であり、少子化による競技人口の減少が主力事業に直結することを、会社が正面から認識していることを意味します。
構造リスク:野球という主力カテゴリーの縮小
スポーツ用品卸売業界に共通する課題として、以下が挙げられます。
- 野球競技人口の長期的な減少。中学・高校の野球部員数は減少傾向にあり、自社ブランドの主戦場である野球・ソフトボール用品の国内市場は拡大しにくい環境です。
- メーカー直販ECと量販店プライベートブランドによる中間流通への圧力。大手スポーツメーカーが自社ECを強化し、量販店がPBを拡大すると、卸に求められる役割は「商品を供給する」から「多ブランドの品揃え提案・小口物流・在庫リスクの引き受け」へ移ります。
- 部活動の地域移行による販路の変化。用具の購買主体が学校・保護者から地域クラブや自治体、運営受託事業者へ移りつつあり、従来の学校・スポーツ店ルートとは異なる商流が生まれています。
- 為替と生産地リスク。有価証券報告書は中国・ベトナム・台湾の協力工場に依存する生産・仕入リスク、および為替変動リスクを明記しています。円安は仕入原価を押し上げる方向に働きます。
成長要素:多競技化・アウトドア・ECへの分散
一方でポジティブな材料も実在します。取扱いはすでに野球単独ではなく、バスケットボールのライセンスブランド、テニス・バドミントン、サッカー、卓球、ランニング、アウトドアまで広がっています。アウトドア領域では小売子会社の株式会社ロッジを1979年から傘下に持ち、中国では広州捷多商貿有限公司が販売を担っています。そして何より、結果として売上は4期連続で増収しています。市場縮小が語られるカテゴリーを主力に持ちながら売上を伸ばしている事実は、分散と販路の維持が一定機能していることの裏づけと考えられます(推定情報)。
転職者にとっての意味
まとめると、ゼット株式会社の将来性は「縮小するカテゴリーを抱えたまま、周辺カテゴリーとチャネルの分散で増収を続けている過渡期の会社」と表現できます(推定情報)。安定を求めるだけの人には物足りず、変化を仕掛けたい人には余地がある、という位置づけです。実務的に価値が高いのは、EC・データを使った売場提案、地域クラブや自治体・競技団体への提案営業、新カテゴリーの販路開拓といった経験です。これらは社内での希少性も、業界内での市場価値も高くなりやすい領域だと考えられます。
同じ「卸売業」でも収益構造は違う|東証上場の卸売各社との比較
ゼット株式会社を評価するとき、スポーツ用品メーカー(ミズノ、アシックス、デサント、ヨネックス等)と並べると「規模が小さい会社」という印象だけが残ります。しかしゼットは製造業ではなく卸売業です。そこで、東証で同じ「卸売業」に分類される上場企業の実額と並べたほうが、立ち位置が正確に見えます。以下はすべて各社の有価証券報告書の実額(公式情報)で、決算期が異なるため期と年度を併記しています。
| 企業名(コード) | 対象期 | 連結売上高 | 営業利益率 | 有報の平均年間給与 | 平均勤続年数 |
|---|---|---|---|---|---|
| ゼット(8135) | 第77期=2026年3月期 | 586億5,500万円 | 約2.1% | 619.2万円 | 14.9年 |
| 田中商事(7619) | 第65期=2026年3月期 | 440億4,821万円 | 約3.1% | 534.7万円 | 13.4年 |
| オーハシテクニカ(7628) | 第74期=2026年3月期 | 409億円 | 約5.9% | 646.6万円 | 15.0年 |
| 星医療酸器(7634) | 第52期=2026年3月期 | 155億2,012万円 | 約12.4% | 562.2万円 | 10.3年 |
| NaITO(7624) | 第75期=2026年2月期 | 435億1,800万円 | 約0.9% | 581.9万円 | 19.9年 |
この表から読み取れることを整理します。
- 売上規模ではゼットが最大。586億円は上記5社のなかで最も大きく、「小さな会社」という印象は売上ベースでは当たりません。
- 営業利益率は下から2番目。約2.1%は、在宅医療サービスを主力とする星医療酸器の12.4%とは約6倍の開きがあります。同じ「卸売業」という分類でも、扱う商材と付加価値の付け方によって収益性はまったく違うということです。
- 平均年間給与619.2万円は5社中2番目。営業利益率が低いにもかかわらず給与水準は上位にあり、売上規模の大きさが給与原資を支えている構図が見えます(推定情報)。
- 平均勤続14.9年は上位。長く勤める人が多い点は、卸売業のなかでも特徴的です。
スポーツ用品業界のなかでの立ち位置についても補足します。ミズノ・アシックス・デサント・ヨネックスといった上場スポーツ企業は、自社製造とブランドを収益の柱とするメーカーであり、業態がそもそも異なります。ゼットは「メーカーと小売の間に立つ流通機能」で稼ぐ会社であり、比較すべきは各社の年収の高低ではなく、自分が身につけたいのが「ブランドを作る力」なのか「流通を回す力」なのかという職能の違いです。ここを取り違えると、入社後の納得感が大きく下がります。
オーナー色の強い資本構成と、取引先が株主に並ぶスポーツ業界らしさ
社風を理解するうえで、株主構成は有力な手がかりになります。第77期有価証券報告書の大株主の状況(2026年3月31日現在)によると、筆頭株主は創業家の資産管理会社とみられる有限会社眞徳で19.73%。以下、株式会社みずほ銀行4.96%、ゼット共栄会4.88%(当社取引先で構成する法人格なき団体)、ゼット持株会2.57%、株式会社タナベスポーツ2.13%、株式会社三井住友銀行2.05%、株式会社モルテン2.03%、日本生命保険相互会社1.71%と続きます。加えて創業家系とみられる個人株主も上位に入っており、上位10名の合計は45.70%です。親会社は存在しません。
この構成から読める特徴は2つあります。
- 典型的な老舗同族企業型の安定株主構造。創業家資産管理会社・持株会・取引先組織・金融機関で議決権の半分近くを固めており、短期的な株主圧力で経営方針が振れにくい一方、意思決定はトップダウンになりやすい構造です(推定情報)。OpenWorkのフリーコメントに「オーナー企業のトップダウン」という指摘が現れるのは、この資本構成と整合的です。
- 取引先が株主に並ぶスポーツ業界らしい関係性。ボール大手の株式会社モルテン、スポーツ小売の株式会社タナベスポーツが株主に入っており、仕入先・販売先との関係が資本でも結ばれています。取引の継続性は高い一方、新規の商流を大きく変える動きは取りにくい面もあると考えられます(推定情報)。
資本市場からの評価は控えめです。株価441円、時価総額約88億6,500万円、予想PER10.4倍、実績PBR0.56倍(2026年9月7日時点・二次情報)。PBRが1倍を大きく下回る水準は、自己資本比率45.5%・ROE6.5%という経営目標未達の状態と無関係ではないと考えられます。ブランドの知名度と、会社としての市場評価の規模差は、この会社を語るうえで避けられない論点です。なお、TOB・非公開化の動きは確認できなかった、というのが本記事の調査時点の状況です。行政処分・課徴金・製品リコール・係争中の重要訴訟・継続企業の前提に関する注記も、第77期有価証券報告書全文の範囲では記載を確認できなかったため、「問題がない」と断定はせず、事実として記録します。
ゼット株式会社への転職が向いている人・向いていない人
ここまでの公式情報と口コミ傾向をふまえ、適性を整理します(推定情報を含みます)。判断のポイントは「スポーツが好きか」ではなく、「流通の仕事で価値を出せるか」「年功的で定着の高い環境が合うか」の2点です。
| 向いている人 | 向いていない人 |
|---|---|
| 取引先網の維持・在庫回転・与信管理といった流通のオペレーション力で評価されたい人 | 自分の手で商品を設計・開発したい人(製造部門売上は3.3億円で職域が限られる) |
| 大阪を拠点に、長く同じ会社で腰を据えて働きたい人(平均勤続14.9年) | 3〜5年で役職・年収を大きく引き上げたい人(年功色の指摘が口コミで繰り返される) |
| ECや売場提案、地域クラブ・自治体向けの新しい商流開拓に挑みたい人 | 成果に応じた評価制度の透明性を最重視する人(人事評価の適正感2.0) |
| スポーツ用品という商材そのものへの愛着を仕事の推進力にできる人 | 男性の育児休業取得実績など、両立支援の実績値を重視する人(第77期は0.0%) |
| 営業利益率2%前後という薄い流通ビジネスの現実を理解したうえで改善に関わりたい人 | 高い利益率を背景とした賞与の伸びを期待する人 |
ゼット株式会社への転職|編集部の見解
編集部の見解として、ゼット株式会社は「ブランドの知名度で選ぶと外し、事業構造で選ぶと納得できる会社」だと考えられます。理由を3つに分けます。
- 財務は誤解されている。純利益▲67.4%という見出しは前期の一時要因の反動であり、営業利益は5期で最高、売上は4期連続増収です。数字を読める人ほど、この会社を過小評価しません。
- ただし収益性は課題として残る。営業利益率2.1%・ROE6.5%・自己資本比率45.5%はいずれも自社目標未達で、給与原資の伸びしろも構造的に大きくはありません。短期で年収を跳ね上げる転職には向きません。
- 職務のミスマッチが最大のリスク。売上の約97%が卸売である以上、入社後の仕事はBtoB営業が中心です。ここを理解しないまま「野球用品メーカー」として応募すると、入社後の落差が大きくなります。
総合すると、スポーツ用品の流通というニッチな専門性を、腰を据えて積み上げたい人にはおすすめできる一方、成果報酬型の評価や急速な昇進を求める人には他の選択肢を並行して検討することをおすすめします。応募前に、配属予定が提出会社か子会社か、担当が既存ルートか新規開拓かを必ず確認してください。
ゼット株式会社に関するよくある質問
検索されている疑問のうち、公式情報で答えられるものに絞って回答します。
ゼット株式会社の本社はどこにありますか?
本社は大阪市天王寺区烏ヶ辻一丁目2番16号です(公式情報)。東京オフィスは東京都台東区浅草橋3-30-7にあります。主要な連結子会社であるゼットクリエイト株式会社・ザイロ株式会社も同じ大阪市天王寺区に所在しており、本社機能と製造・物流子会社が近接した配置になっています。
ゼット株式会社は上場していますか?
上場しています。東京証券取引所スタンダード市場・証券コード8135です(公式情報)。1981年3月16日に大阪証券取引所市場第二部へ上場し、その後の市場再編を経て現在に至ります。EDINETコードはE03076で、有価証券報告書はEDINETで誰でも閲覧できます。なお「エーゼット株式会社」「ロゼット株式会社」など末尾に「ゼット」が付く別法人が複数あり、いずれも本記事の対象とは無関係です。
ゼット株式会社の平均年収はいくらですか?
第77期(2026年3月期)有価証券報告書によると、平均年間給与は約619万2千円です(公式情報)。対前事業年度増減率は+1.9%。ただしこれは提出会社単体422名・正規社員のみの数値で、賞与および基準外賃金を含み、臨時従業員24名は含みません。連結578名ベースの平均給与は有価証券報告書では開示されていません。職種別・役職別のレンジも同様に非開示です。
組織はどのような部門に分かれていますか?
報告セグメントは「スポーツ事業」の単一セグメントですが、内部は卸売・製造・小売・物流の4部門に分かれています(公式情報)。連結従業員578名の内訳は卸売部門428名、製造部門88名、小売部門7名、物流部門55名。製造はゼットクリエイト株式会社、物流はザイロ株式会社および株式会社ジャスプロ、小売は株式会社ロッジが主に担っています。
求人・採用ではどんな職種が中心になりますか?
公式の職種別採用計画は本記事の調査範囲では取得していないため、断定はできません。ただし従業員の約74%が卸売部門に所属していることから、スポーツ用品専門店・量販店を担当する営業職が中心になると考えられます(推定情報)。商品企画・生産管理は製造子会社側、物流管理は物流子会社側の職域です。募集要項の勤務地と所属法人を必ず確認してください。最新の募集内容は公式採用サイトで確認できます。
働き方や残業はどの程度ですか?
公式に開示された残業時間の数値は有価証券報告書では開示されていません。口コミ傾向としてはOpenWork集計で月間残業10.3時間、有給消化率46.8%という値が掲載されています(二次情報・回答者数が限られる点に留意)。人的資本の開示指標としては、女性管理職比率11.5%、男性育児休業取得率0.0%、男女の賃金差異は正規雇用労働者で79.8%が公式情報として開示されています。
ゼット株式会社への転職判断まとめ
ここまでの内容を、判断軸ごとに整理します。最終的な判断は、求人票と労働条件通知書、そして自分の経験・適性も含めて確認しましょう。
| 判断軸 | 評価 |
|---|---|
| 事業の正体 | 大阪・天王寺のスポーツ用品卸。売上の約97%が卸売部門で、製造は3.3億円。メーカーではなく流通 |
| 業績の安定性 | 売上4期連続増収、営業利益は直近5期すべて黒字で第77期が最高。純利益▲67.4%は前期の一時要因の反動 |
| 収益性 | 営業利益率約2.1%・ROE6.5%・自己資本比率45.5%はいずれも自社目標未達。改善が積年の課題 |
| 年収 | 有報619.2万円(単体422名・正規のみ/+1.9%)。同じ卸売業の上場5社比較では上位だが、口コミ上の待遇満足度は低め |
| 定着・働き方 | 平均勤続14.9年・平均年齢42.9歳と定着は高い。残業は口コミ集計で月10.3時間と軽め、有給消化率46.8% |
| 両立支援 | 女性管理職比率11.5%、男性育休取得率0.0%(第77期・公式開示)。実績値を重視する人は要確認 |
| 将来性 | 野球市場の縮小という構造リスクを有報が自ら明記。多競技・アウトドア・ECへの分散で増収は継続中 |
| 組織風土 | 創業家資産管理会社19.73%を筆頭とするオーナー色の強い資本構成。口コミでは年功序列・トップダウンの指摘 |
| 注意点 | 配属が提出会社か子会社かで待遇の参照値が変わる。物流部門は臨時従業員が正社員の3倍以上 |
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本記事の出典・参考情報
本記事で参照した一次情報・口コミ情報の出典は以下の通りです。最新の正確な数値は各リンク先で確認してください。
公式情報源
- ゼット株式会社 公式サイト
- ゼット株式会社 IRページ
- ゼット株式会社 採用情報
- EDINET(金融庁・有価証券報告書検索)/第77期有価証券報告書(書類番号 S100YJPU・EDINETコードE03076)
口コミ・評判の参照元
免責事項:本記事の数値・評価は公式情報・口コミ集計・市場推定の3分類で示しており、口コミ傾向や推定情報は断定ではなく傾向・可能性として表現しています。株価・時価総額・PER・PBRおよび口コミ集計値は二次情報であり、時点によって変動します。最終判断は読者自身で公式IRおよび内定時の労働条件通知書で確認してください。
この記事の編集方針・情報の確認について
この記事は、公式公開情報(有価証券報告書・IR資料)、求人情報、口コミ傾向をそれぞれ分けて整理し、転職・就職判断に役立つよう編集しています。年収・平均年齢・平均勤続年数・従業員数などの中核データは第77期有価証券報告書「従業員の状況」を一次情報として確認し、口コミ・推定情報とは明確に区別しています。また同名・類似商号の別法人と混同しないよう、証券コード8135・EDINETコードE03076・本社所在地で同定したうえで記述しています。記載内容は最終更新時点の公開情報にもとづきます。最新の正確な数値は各公式IRページでご確認ください。
