ムーンバットの評判と年収609万円|3期連続赤字から売上1.7倍に戻した服飾雑貨卸
※本記事にはプロモーションを含みます。
この記事の結論
- 正体:創業1885年、京都発の傘・服飾雑貨卸。東証スタンダード8115。
- 業績:3期連続営業赤字から4年で売上1.7倍、営業損益は21億円改善。
- 年収:有報の平均年間給与は約610万円。ただし単体127名の平均。
- 注意点:天候・インバウンドで業績が振れ、中途は非公募でエージェント経由。
ムーンバット株式会社(証券コード8115・東証スタンダード)は、LANVINやVivienne Westwoodの傘、自社ブランドHANWAYなどを手がける服飾雑貨の卸売企業です。商品としての知名度は高い一方、企業としての情報はまとまっておらず、「どんな会社なのか」「年収や働き方はどうなのか」が調べにくい会社でもあります。本記事は、第85期(2026年3月期)有価証券報告書と決算短信の実数値を軸に、コロナ禍の3期連続営業赤字から現在までの7期分の業績、平均年間給与609万円の読み方、正社員より多い臨時従業員という雇用構造、そして中途採用の入口が特殊である点まで、転職判断に必要な材料だけを整理しました。数字の出どころを公式情報・口コミ傾向・推定情報の3つに分けて示します。
ムーンバットの公式データ一覧(第85期・有価証券報告書ベース)
まず、本記事で扱う数値を一覧にします。すべて公式情報(有価証券報告書・決算短信・公式サイト)に基づく数値で、口コミや推定値は含みません。最新の正確な数値は公式IRページで再確認してください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 商号 | ムーンバット株式会社(MOONBAT CO., LTD.) |
| 証券コード・市場 | 8115/東証スタンダード市場(業種分類:卸売業) |
| 本店所在地 | 京都府京都市下京区室町通四条南入鶏鉾町493番地 |
| 東京本部 | 東京都千代田区九段北4-1-3 |
| 創業・法人化 | 1885年(明治18年)創業/1941年法人化。1977年に大阪証券取引所へ上場 |
| 平均年間給与 | 6,099,110円(約610万円/前期比4.6%増) |
| 平均年齢 | 41.5歳 |
| 平均勤続年数 | 17.3年 |
| 従業員数 | 連結213名(ほか臨時従業員348名)/提出会社単体127名(ほか臨時従業員18名) |
| 売上高(連結) | 119億3,353万円(前期比0.1%減) |
| 営業利益(連結) | 6億1,280万円(前期比12.8%減) |
| 経常利益(連結) | 6億7,500万円(前期比1.5%増) |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 5億7,000万円(前期比2.2%減) |
| セグメント構成 | 身の回り品事業114億5,100万円(連結売上の約94.8%)/情報サービス事業が残り約5% |
| 翌期(2027年3月期)会社計画 | 売上高125億円(4.7%増) |
| 離職率・職種別年収 | 有価証券報告書では開示されていません |
| 対象期・出典 | 第85期(2025年4月1日〜2026年3月31日)有価証券報告書(2026年6月24日提出)/2026年3月期決算短信/公式サイト企業情報 |
数値の出どころについて1点補足します。平均年間給与・平均年齢・平均勤続年数・従業員数は有価証券報告書「従業員の状況」に記載される項目ですが、本記事の執筆時点で有報PDF本文を直接閲覧することはできていません。そのため、EDINETのXBRLを機械的に取り込んでいるIRBANK(irbank.net)とキタイシホンの掲載値がいずれも6,099,110円・従業員127名・平均年齢41.5歳・平均勤続17.3年で一致していること、および公式サイトが示す2026年3月31日現在の単体従業員127名と整合することをもって、第85期有報の実額として扱っています。なお、一部の企業情報サイトが載せる「553万円・183名・39.6歳」は過年度の値であり、最新期の数字ではありません。年収を比較する際は、どの期の数字かを必ず確認してください。
ムーンバットはどんな会社か|京都・室町の帯地問屋から続く服飾雑貨卸
結論から言うと、ムーンバットは「傘を中心とした服飾雑貨を、ブランドライセンスと自社ブランドの両輪で企画・輸入し、百貨店やECへ卸す会社」です。メーカーでも小売専業でもなく、企画機能を持った卸売企業という立ち位置を理解しておくと、この後の年収・働き方の話がすべてつながります。
主力は洋傘と服飾雑貨。ライセンスと自社ブランドの二枚看板
取扱商材は、雨傘・日傘といった洋傘を主力に、マフラー、ストール、スカーフ、帽子、手袋、毛皮、レザー、宝飾品まで広がります。同社はこれらを「アクセントファッション(服飾雑貨)」と位置づけ、企画・輸入・製造・仕入・販売までを担っています。ブランド面では、自社ブランド「HANWAY」やリサイクル素材を使った傘「Eco-De」を持つ一方、1972年のGIVENCHYを皮切りに海外ブランドとのライセンス提携を拡大し、現在はLANVIN COLLECTION/LANVIN en Bleu、Vivienne Westwood、FURLAなど複数のライセンスブランドを展開しています。1970年の大阪万博へ傘を提供した実績もあり、ブランドライセンスの取り扱い歴は50年を超えます。
転職検討者にとって重要なのは、この構造が仕事内容を規定する点です。ライセンス商材が多いということは、ライセンサー(ブランド側)との交渉・レギュレーション遵守・ロイヤリティ管理といった業務が発生することを意味します。純粋な「仕入れて売る」だけの卸売とは異なり、企画・デザイン・素材調達・品質管理の比重が高くなりやすい点は、キャリアの積み上がり方に直結します(推定情報を含みます)。
販路は百貨店・専門店が中心、ECも併走
公式サイトによると、販路は百貨店・専門店への卸が中心で、加えて自社ECやZOZOTOWN・楽天・Amazon・マルイなどでも販売しています。百貨店を主戦場とする構造は、売場での販売スタッフを多く抱えることにつながり、後述する「臨時従業員348名」という雇用構造の背景にもなっています。
百貨店販路は、インバウンド需要や高額品市況の影響を直接受けます。2026年3月期にマフラーや毛皮といった秋冬の高単価商材が失速した理由の一つが、インバウンド需要の減退と高額品市況の低迷であったことは、この販路構造を踏まえると理解しやすくなります。
本店は京都市下京区、営業の中枢は東京・九段北という二本社体制
所在地は誤解されやすいポイントです。登記上の本店は京都府京都市下京区室町通四条南入鶏鉾町493番地であり、これに加えて東京本部を東京都千代田区九段北4-1-3に置く二本社体制をとっています。1885年に京都・室町の帯地問屋として創業し、大正期に洋装雑貨へ転換したという沿革が、いまも本店所在地に残っている形です。2025年には創業140周年を迎えました。
勤務地を検討する際は、「京都本店」と「東京本部」のどちらの機能に紐づくポジションなのかを応募段階で確認しておくと、入社後の生活設計を組みやすくなります。新卒採用では一次面接をオンラインで行い、二次・最終は京都本社または東京本部で実施すると案内されています(公式採用サイトによる公式情報)。
7期の業績を並べる|3期連続営業赤字から4年で売上1.7倍・営業損益21億円改善
この記事で最も伝えたい事実がここです。ムーンバットは、コロナ禍前後に3期連続の営業赤字を計上し、その後4年で売上をおよそ1.7倍まで戻した会社です。良い数字だけを並べても、赤字期を隠しても、転職判断の役には立ちません。連結ベースの実数値を7期分並べます(公式情報:各期の決算短信・有価証券報告書ベース)。
| 決算期 | 連結売上高 | 連結営業損益 | 補足 |
|---|---|---|---|
| 2020年3月期 | 本記事では取得していません | △14億5,700万円 | 赤字幅が最も大きかった期 |
| 2021年3月期 | 71億7,000万円 | △7億1,700万円 | 2期連続の営業赤字 |
| 2022年3月期 | 74億5,500万円 | △5億5,600万円 | 最終損益も△3億7,900万円 |
| 2023年3月期 | 95億8,000万円 | 1億1,400万円 | 黒字転換 |
| 2024年3月期 | 106億1,000万円 | 4億3,400万円 | 売上100億円台を回復 |
| 2025年3月期 | 119億4,600万円 | 7億200万円 | 直近のピーク |
| 2026年3月期 | 119億3,353万円 | 6億1,280万円 | ほぼ横ばいの売上で営業12.8%減益 |
| 2027年3月期(会社計画) | 125億円 | — | 売上4.7%増を計画 |
赤字期に何が起きていたか
2020年3月期から2022年3月期までの3期は、営業損益が連続してマイナスでした。傘・服飾雑貨は外出とセットで需要が生まれる商材であり、百貨店を主戦場としていたことから、外出機会と店頭客数の減少が売上に直撃した構図と考えられます(推定情報)。この時期に単体従業員が157名規模まで縮小した経緯もあり、単なる一過性の減収ではなく、体制そのものを縮めて耐えた期間だったことがうかがえます。
ここは面接で確認する価値のある論点です。赤字期を経験した会社は、コスト構造や在庫管理の考え方が保守的に組み替えられていることが多く、それが現在の意思決定スピードや投資姿勢に表れているためです。
回復の中身|売上1.7倍・営業損益21億円改善という数字の意味
2021年3月期の71億7,000万円から2026年3月期の119億3,353万円まで、売上は約1.66倍に伸びました。営業損益で見ると、最も悪かった2020年3月期の△14億5,700万円から2025年3月期の7億200万円まで、4〜5年で約21億円の改善です。売上規模120億円弱の会社にとって、21億円の損益改善は極めて大きな振れ幅です。
回復の質も見ておきます。2026年3月期の営業利益率は約5.1%(6億1,280万円÷119億3,353万円)、前期は約5.9%でした。卸売業は売上規模のわりに利幅が薄くなりやすい業態であることを踏まえると、この水準は同業態のなかで見劣りするものではありません(推定情報)。単なる売上回復ではなく、利益率を伴った回復である点は評価できる材料です。
一方で、連結売上119億円を連結従業員213名で割ると1人あたり約5.6億円、臨時従業員348名を含めた561名で割ると約2.1億円になります。商社・卸売型の事業モデルらしい数字であり、売上規模の大きさが人員規模や年収水準に直結しない業態であることを示しています。
2026年3月期の減益要因|暖冬とインバウンド減で秋冬商材が失速
直近期は増収基調が止まりました。売上は前期比0.1%減とほぼ横ばい、営業利益は12.8%減の6億1,280万円です。要因は明確で、記録的な猛暑により日傘・パラソル・帽子といった春夏商材が好調だった一方、暖冬に加えてインバウンド需要の減退と高額品市況の低迷が重なり、マフラー・毛皮などの秋冬商材が失速しました。身の回り品事業のセグメント利益も6億円(12.8%減)と、全社の減益をそのまま説明する形になっています。
ただし、経常利益は6億7,500万円で前期比1.5%増、会社計画の6億円も上回って着地しています。営業段階では減益でも、経常段階では計画超過という結果でした。「減益」という一語だけで判断すると実態を読み違えるため、営業・経常・最終の3段階を分けて見ることをおすすめします。

赤字を出した会社って、転職先として避けるべきですか?
赤字の履歴そのものより、その後どう戻したかと何が起きたら再び振れるかを見るほうが実務的です。ムーンバットの場合、回復は数字で確認できます。同時に、赤字の引き金が外部環境(外出機会・天候・インバウンド)であったことも数字から読み取れます。つまり、同じ種類の外部ショックが来れば再び振れる構造は残っている、という理解が妥当です。
平均年収609万円をどう読むか|127名の正社員平均という前提を外さない
年収は最も検索される項目であり、同時に最も誤読されやすい項目です。先に結論を書きます。公式情報としての平均年間給与は6,099,110円(約610万円)ですが、これは提出会社(ムーンバット単体)の正社員127名の平均であり、連結213名でも、臨時従業員348名でもありません。数字を単独で受け取らず、必ず「誰の平均か」とセットで理解してください。
有報が示す3つの数字(公式情報)
- 平均年間給与:6,099,110円(約610万円)。前期比4.6%増
- 平均年齢:41.5歳
- 平均勤続年数:17.3年
注目すべきは平均勤続17.3年です。従業員127名規模の卸売企業として、この勤続年数は極めて長い部類に入ります。平均年齢41.5歳と合わせると、24歳前後で入社した人がそのまま在籍し続けている計算になり、新卒定着型の組織である可能性が高いと考えられます(推定情報)。中途で入る場合、周囲の多くが10年・20年選手という環境になる点は、事前に想定しておく価値があります。
なお、離職率や職種別・役職別の年収は有価証券報告書では開示されていません。これらを知りたい場合は、選考過程で募集ポジションの給与レンジと評価制度を直接質問するのが確実です。
口コミ年収355〜388万円との乖離は「誰が答えているか」で説明できる
口コミ傾向として、転職口コミサイトの自己申告年収は有報の数字とかなり離れています。OpenWorkでは回答者23人の平均年収388万円(240〜550万円のレンジ、平均年齢33歳)、転職会議では年収口コミ17件で平均355万円(平均年齢31.3歳)です。有報の609万円との差は200万円以上あります。
この差は「どちらかが間違っている」という話ではありません。整理すると次のようになります。
- 有報609万円=管理職を含む単体正社員127名の全体平均(平均年齢41.5歳)
- 口コミ355〜388万円=回答者が若手中心(平均31〜33歳)の自己申告値
つまり、同じ会社の異なる年齢層を見ているだけと解されます。平均勤続17.3年という定着の高さと、年功序列的な給与制度に関する口コミを踏まえると、20代〜30代前半は300万円台、そこから年次とともに上がっていく分布であることが推測されます(推定情報)。応募時に確認すべきは「平均609万円かどうか」ではなく、自分の年齢・等級で提示されるレンジです。
有報年収の代表性は高い方|単体127名/連結213名という比率
もう一段踏み込みます。有価証券報告書の平均年間給与は「提出会社(単体)」の数字であるため、連結従業員に占める単体の比率が低い会社ほど、その数字が示す範囲は狭くなります。純粋持株会社の場合、本社数十名の平均給与が全グループの代表値のように見えてしまうことすらあります。
この観点でムーンバットを見ると、単体127名÷連結213名=約59.6%です。連結の6割弱が提出会社に属しているため、有報の609万円は「グループの一部だけを切り取った数字」ではありません。同時期に有報を出している他の卸売系上場企業では、単体比率が1割未満という会社も珍しくないことを踏まえると、ムーンバットの有報年収は比較的代表性が高い部類に入ります(推定情報)。
ただし、この59.6%という比率は臨時従業員348名を含まない数字です。臨時を含めた総人員561名に対する単体正社員127名の比率は約22.6%まで下がります。ここが次のセクションの論点です。
臨時従業員348名が連結正社員213名を上回る雇用構造
ムーンバットの人員構成は、一般的な上場企業と比べて特徴的です。公式情報として、2026年3月31日現在の従業員数は連結213名(ほか臨時従業員348名)、提出会社単体127名(ほか臨時従業員18名)です。臨時従業員の数が、連結正社員の数を上回っています。
この差の大半は、単体18名に対して連結348名という部分から生じています。つまり、臨時従業員の多くは提出会社ではなく販売関連の子会社側に属していると読むのが自然です。百貨店・専門店を主販路とする事業構造を踏まえると、店頭での販売スタッフが中心と見られます(推定情報)。
転職判断への含意を整理します。
- 職種によって処遇の枠組みが分かれる:本社総合職(企画・営業・管理)と店頭販売職では、雇用形態も給与体系も別物になりやすい構造です。有報の609万円は前者の枠に属する数字です。
- 応募窓口も分かれている:公式採用サイトでは、一般職(事務・企画等)はリクルートエージェント経由、店舗スタッフは「エクセレントスタッフ」経由と案内されています。自分がどちらのルートに乗るのかを最初に確認する必要があります。
- マネジメント経験の中身が変わる:多数の臨時従業員が支える売場を持つ会社では、店舗運営・シフト・売場教育といった領域の経験が積める一方、本社総合職はそこに直接関与しないケースもあります。
「平均年収609万円の会社」という一行だけを見て応募すると、想定と実際の待遇が食い違う可能性があります。この会社に関しては、職種と雇用区分の確認が年収額の確認より先だと考えてよいでしょう。
口コミから見える働き方|社風・人間関係は高評価、待遇と評価制度は低評価
ここからは口コミ傾向です。断定ではなく傾向として読んでください。OpenWork、転職会議、エン カイシャの評判の3サイトはいずれも総合2.8〜3.0台の中位からやや低めで、件数はOpenWork 57人、転職会議152件、エン カイシャの評判116件と、従業員規模を考えれば十分な母数があります。評価の分かれ方は非常にはっきりしています。
OpenWork|「待遇面の満足度2.0」と「風通しの良さ3.7」の対比
OpenWorkの総合評価は2.88/5.0(回答57人)です。項目別に見ると、「待遇面の満足度」が2.0と突出して低く、「人材育成」2.3、「人事評価の適正感」も低い評価になっています。その一方で「風通しの良さ」3.7、「社員の相互尊重」3.6と、人間関係・社風にあたる項目は相対的に高く出ています。働き方の数値は月間平均残業24.6時間、有給消化率60.5%、女性比率52.4%です。
残業24.6時間という水準は、過重な労働時間とは言いにくい範囲です。つまり口コミの不満は労働時間ではなく、報酬と評価・育成の仕組みに集中しているという読み方になります。
転職会議|注目トピックは賞与・残業・有給・年功序列
転職会議は総合評点2.86/5.0、口コミ152件で、★3が37%と最も多い分布です。月間残業19.6時間、有給消化率43%と、有給の数値はOpenWorkより低く出ています。注目トピックは「ボーナス」「残業」「有給」「年功序列」といった待遇・休暇系に集中しており、ここでも論点は報酬制度に寄っています。
一方で「女性の働きやすさ・キャリア」に関する口コミが24件と多い点は見逃せません。OpenWorkの女性比率52.4%という数字と整合しており、女性社員の比率が高い職場であることは複数の情報源から裏づけが取れます(公式情報ではなく口コミ由来の数値である点にご注意ください)。
エン カイシャの評判|商品への愛着と「マニュアルが固まっていない」の併存
エン カイシャの評判は総合3点(正社員21人回答)、口コミ116件です。「成長・働きがい」カテゴリが33件と多く、「自分が関わった商品が店頭に並びお客様に買ってもらえるとやりがいを感じる」という商品愛型の肯定意見が見られます。同時に「よくも悪くもマニュアルが固まっていない」という、業務の属人性を指摘する声も併存しています。
3サイトを総合すると、口コミ傾向は次のように要約できます。
- 社風・人間関係、商品への愛着は肯定的な評価が多い
- 給与・人事評価・育成制度に対しては不満の声が目立つ
- 残業は月20〜25時間程度で、過重とまでは言いにくい水準
- 有給消化率は43〜60%とサイト間で幅があり、部署・職種による差がある可能性
- 業務手順の標準化が進んでいないという指摘があり、裁量と属人性が表裏
平均勤続17.3年という定着の高さと、若手の待遇不満は矛盾しません。年功的な処遇が長く勤める人を支えている一方、20代〜30代前半には物足りなさとして表れる——この構図が、数字と口コミの両方から浮かび上がります(推定情報)。
転職先としての将来性とリスク|季節商売・小規模・株主構成の3点
将来性を考えるうえで、この会社には固有の論点が3つあります。「将来も成長が期待されます」といった一般論ではなく、数字と開示から確認できる範囲で整理します。
天候・気温・インバウンドに業績が振れる季節商売
最大の構造要因はここです。傘・マフラー・帽子といった商材は、季節と天候によって需要が動きます。2026年3月期は猛暑で春夏商材が好調だった反面、暖冬とインバウンド減で秋冬商材が失速し、営業利益が12.8%減りました。春夏と秋冬のどちらかが崩れると、通期の利益が二桁変動しうる感応度の高さがあると理解しておくべきです。
2020年3月期からの3期連続営業赤字も、外部環境の悪化に対する耐性が高くないことを示しています。逆に言えば、環境が戻れば回復できることも実証済みです。安定した業績推移を最優先する人にとっては合わない一方、変動を織り込んだうえで商品と市場に向き合える人には理解しやすい構造とも言えます。
規模と資本関係|単体127名の小規模企業、筆頭株主は八木通商24.49%
従業員規模は単体127名・連結213名で、上場企業としては小規模です。時価総額も60億円台とされる小型株です(株価により変動するため推定情報として扱ってください)。規模の小ささは意思決定の速さや裁量の大きさにつながる一方で、社内の異動先が限られるポジションの空きが出にくいというキャリア上の制約にもなります。「合わなかったら社内で異動する」という選択肢が取りにくい点は、事前に理解しておくべきリスクです。
資本関係では、筆頭株主が八木通商株式会社で議決権24.49%を保有し、有価証券報告書上「その他の関係会社」に該当します。親会社ではなく、役員の派遣もなく、経営判断は独立しているとされ、取引は海外ブランド輸入商材を中心とした仕入(2026年3月期で約3億2,670万円)にとどまります。ただし、議決権の4分の1弱を単独で握る株主が存在することは、将来的な資本政策が動く可能性を残す要素です(推定情報)。2024年12月には主要株主の異動が開示されています。TOBや非公開化の具体的な動きは、現時点の公開情報には見当たりません。
配当については、2026年3月期は創業140周年記念配当10円を含む期末41円・年間61円が実施されました。翌期は減配方針が報じられていますので、配当を重視する場合は会社の最新開示で確認してください。
第2セグメント「情報サービス事業」という異色の一手
2024年3月の取締役会決議に基づき、同年4月にソフトウェア設計・開発のセブンシステム株式会社の株式61.6%を第三者割当増資の引受により取得し、連結子会社としました。これにより「身の回り品事業」と「情報サービス事業」の2セグメント構成になっています。傘・服飾雑貨の卸売企業がIT子会社を抱えるのは異色の構成で、グループのIT化・DX推進が取得目的とされています。
ただし規模は全社売上の約5%にとどまります。本業の代替になる柱ではなく、本業を支える機能の内製化に近い位置づけと読むのが妥当でしょう(推定情報)。IT領域でのキャリアを期待して応募する場合は、募集がムーンバット本体なのか子会社なのかを必ず確認してください。
なお、不祥事・行政処分・課徴金・重大訴訟・製品リコールについては、今回の公開情報調査の範囲では公表された事案は見当たりませんでした。「存在しない」と断定するものではありませんが、報道や適時開示のうえで目立つ問題は見つかっていません。
応募ルートが特殊|中途採用は自社サイトで常時公募していない
転職検討者にとって実務上いちばん重要な情報がこれです。ムーンバットは中途採用を自社サイトで常時公募していません。公式採用サイトでは、一般職(事務・企画等)はリクルートエージェント経由、店舗スタッフは「エクセレントスタッフ」経由と案内されています。
そのため、企業名で求人を検索しても募集が表示されない時期があり、「採用していない会社」と誤解して候補から外してしまうことが起こります。実際にはエージェント側に非公開求人として存在する可能性があります。狙うなら、指定ルートの転職エージェントに登録して服飾雑貨・アパレル卸の求人を扱っているか確認し、公式採用サイトの中途採用ページも定期的に見たうえで、単体127名という規模上、募集頻度自体が高くないことを前提に他社と並行して検討するのが現実的です。
新卒採用については、一次面接はオンライン、二次・最終は京都本社または東京本部で実施されると案内されています。二本社体制であるため、選考段階から勤務地の想定を確認しておくとミスマッチを減らせます。
同業・同業態との位置づけ整理
比較の観点を示します。ここでは他社の年収実額を推定で並べることはしません(各社の有価証券報告書の数値を本記事では取得していないため)。代わりに、転職検討時に比較しやすい事業構造の軸で整理します(推定情報を含みます。各社の最新情報は各社IRでご確認ください)。
| 企業名 | 市場区分 | 事業の特徴 | ムーンバットとの比較軸 |
|---|---|---|---|
| ムーンバット(8115) | 東証スタンダード | 洋傘・服飾雑貨の企画卸。ライセンス+自社ブランドHANWAY | 本記事の対象。連結売上119億円・連結213名 |
| 三共生興(8018) | 東証スタンダード | DAKS等の海外ブランドライセンスを核とするアパレル・服飾雑貨商社 | ライセンスビジネス型という点で構造が最も近い比較先 |
| ナイガイ(8013) | 東証スタンダード | 靴下・レッグウェアを中心とした服飾雑貨の企画卸 | 百貨店販路への依存度が高い点が共通 |
| モリト(9837) | 東証スタンダード | アパレル向け副資材・服飾雑貨の専門商社 | 規模が大きく、卸売業でのキャリアパスの広さを比較しやすい |
| ヤマトインターナショナル(8127) | 東証スタンダード | カンゴール等のブランドを展開するアパレル・服飾雑貨企業 | 同規模・同市場区分の転職比較対象 |
比較時の実務的なチェックポイントは3つです。第一にライセンス依存度。契約の更新可否が業績を左右するため、自社ブランドをどれだけ持つかが中期の安定性に効きます。第二に販路構成。百貨店比率が高いほどインバウンドと高額品市況の影響を受けます。第三に単体と連結の人員比率。ムーンバットは約59.6%と高く、有報の給与数値が実感に近い会社と言えます。
業界共通の懸念と、この会社での答え合わせ
卸売業への転職では、企業を問わず繰り返し出てくる懸念があります。それぞれについて、ムーンバットの公開情報で答え合わせをしておきます。
- 「売上規模のわりに利幅が薄く、給与が業績変動に連動するのでは」:営業利益率は直近2期で5.1〜5.9%です。3期連続赤字の履歴がある以上、業績変動が処遇に及ぶ可能性は否定できません。賞与の算定根拠を選考時に確認しておくのが有効です。
- 「商社型は仕入れて売るだけで、専門性が残らないのでは」:ムーンバットは企画・輸入・製造まで担う卸であり、ライセンス管理・素材調達・品質管理といった業務が発生します。純粋な物流中継型の卸売とは性質が異なります(推定情報)。
- 「配属先や転勤範囲が読めないのでは」:連結213名のうち単体127名で、子会社にはIT(セブンシステム)と販売関連会社があります。募集が本体か子会社か、また京都本店と東京本部のどちらに紐づくかの確認は必須です。
キャリアパスの観点では、営業・ルート営業から仕入・商品企画へ、あるいは店舗運営・EC・物流管理へ横に広がる道が想定されます。業界内転職ではアパレル・服飾雑貨メーカーやブランド企業の営業・MD職、業界外ではEC運営や小売のバイヤー職が接続先になり得ます(推定情報)。
ムーンバットへの転職が向いている人・向いていない人
ここまでの公式情報・口コミ傾向をふまえ、適性を整理します(推定情報を含みます)。あくまで判断材料であり、最終的な適否は募集ポジションの条件で確認してください。
| 向いている人 | 向いていない人 |
|---|---|
| 傘・服飾雑貨という商品そのものに関心があり、自分が関わった商品が店頭に並ぶことにやりがいを感じられる人 | 短期間で年収を大きく上げたい人。年功的な処遇と待遇評価2.0という口コミ傾向を踏まえると期待とズレやすい |
| 長く同じ会社で働きたい人。平均勤続17.3年という定着の高さは、腰を据えて働ける環境の裏づけになりうる | 成果を短いサイクルで評価してほしい人。人事評価の適正感・人材育成の口コミ評価は低めに出ている |
| ライセンスブランドの企画・輸入・品質管理といった業務に関心がある人 | 大企業型の整った制度・研修体系を求める人。「マニュアルが固まっていない」という指摘がある |
| 業績が季節と天候で振れることを理解し、その前提で商品と市場を見られる人 | 業績の安定性を最優先する人。3期連続営業赤字の履歴と直近の二桁減益は事実として存在する |
| 裁量を持って自分で仕事を作りたい人。属人性の高さは裏返せば余地の大きさでもある | 社内で幅広い異動・職種転換を重ねたい人。単体127名という規模上、選択肢は限られる |
ムーンバットに関するよくある質問
ムーンバットへの転職・就職を検討する人から想定される質問と、公開情報にもとづく回答をまとめました。
ムーンバットの平均年収はいくらですか?
公式情報として、第85期(2026年3月期)有価証券報告書によると平均年間給与は6,099,110円(約610万円)です。ただしこれは提出会社(単体)の正社員127名の平均で、平均年齢41.5歳・平均勤続17.3年という前提つきの数字です。口コミ傾向では若手中心の回答者による自己申告が355〜388万円台であり、年齢層によって実感値は大きく異なります。
ムーンバットはどんな会社ですか?本社はどこですか?
1885年に京都・室町の帯地問屋として創業し、現在は洋傘を主力とする服飾雑貨の企画・輸入・卸売を行う東証スタンダード上場企業(証券コード8115)です。登記上の本店は京都府京都市下京区、東京本部を東京都千代田区九段北に置く二本社体制です。連結売上は119億3,353万円(2026年3月期)で、うち約94.8%が身の回り品事業です。
中途採用の求人はどこで見つかりますか?
公式採用サイトによると、一般職(事務・企画等)はリクルートエージェント経由、店舗スタッフは「エクセレントスタッフ」経由と案内されており、自社サイトで常時公募する形をとっていません。企業名で検索しても求人が見つからない時期があるのはこのためです。応募を検討する場合は、指定ルートのエージェントに登録したうえで、公式採用サイトの中途採用ページも定期的に確認するのが確実です。
業績は安定していますか?
公式情報として、2020年3月期から2022年3月期まで3期連続で営業赤字(最大△14億5,700万円)を計上し、2023年3月期に黒字転換、2025年3月期には営業7億200万円まで回復しました。直近の2026年3月期は売上ほぼ横ばい・営業12.8%減益です。天候・気温・インバウンド需要に業績が振れる季節商売である以上、外部環境による変動は今後も想定しておく必要があります(推定情報)。
ムーンバットへの転職判断まとめ
ここまでの内容を判断軸ごとに整理します。最終的な判断は、求人票と労働条件通知書、そして自分の経験・適性を合わせて行ってください。
| 判断軸 | 評価と根拠 |
|---|---|
| 年収水準 | 有報の平均年間給与は約610万円(単体127名・平均41.5歳)。若手層の口コミは355〜388万円台で、年次による差が大きいと見られる |
| 業績・安定性 | 3期連続営業赤字から4年で売上1.7倍・営業損益21億円改善。ただし直近期は営業12.8%減益で、天候とインバウンドへの感応度が高い |
| 働き方 | 口コミ上の月間残業は19.6〜24.6時間で過重とは言いにくい水準。有給消化率は43〜60%と情報源により幅がある |
| 社風・人間関係 | OpenWorkの「風通しの良さ」3.7、「社員の相互尊重」3.6と相対的に高評価。商品への愛着を語る口コミが多い |
| 評価・育成制度 | 「待遇面の満足度」2.0、「人材育成」2.3と口コミ評価は低め。制度面を重視する人は選考時の確認が必須 |
| キャリアの広がり | 単体127名・連結213名の小規模企業で、社内の異動先は限定的。一方でライセンス管理・企画・輸入の経験は業界内で通用しやすい |
| 応募のしやすさ | 中途は自社での常時公募がなく、指定エージェント経由。募集頻度は高くないと見込まれる |
| 資本・ガバナンス | 八木通商が議決権24.49%を保有する「その他の関係会社」。役員派遣はなく経営は独立。公表された行政処分等は見当たらない |
編集部の見解として、ムーンバットは「安定志向で選ぶ会社」ではなく「商品と事業の中身に納得して選ぶ会社」だと考えられます。3期連続赤字を実際に経験し、そこから数字で戻してきた実績は評価できる一方、季節と天候に左右される構造は今も残っています。長く働ける環境である可能性は勤続17.3年という数字が示していますが、その裏側には年功的な処遇への若手の不満があります。傘や服飾雑貨という商材に強い関心があり、年収の伸びより仕事の中身と長期の腰の据わりを優先する人には、検討する価値のある会社と言えるでしょう。逆に、短期の年収アップや制度の整った環境を求める場合は、他社と並行して比較することをおすすめします。

結局、いちばん先に確認すべきことは何ですか?
3つあります。①募集が本体か子会社か、総合職か店頭職か。②自分の年齢・等級で提示される給与レンジ(平均609万円ではなく個別のレンジ)。③勤務地が京都本店か東京本部か、そして将来の異動範囲。この3点が固まれば、この会社に関する判断材料はほぼ揃います。
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本記事の出典・参考情報
本記事で参照した一次情報・口コミ情報の出典は以下の通りです。最新の正確な数値は各リンク先で確認してください。
公式情報源
口コミ・評判の参照元
本記事の平均年間給与・平均年齢・平均勤続年数・従業員数は、第85期(2026年3月期)有価証券報告書「従業員の状況」に基づく数値です。有報PDF本文を直接閲覧してはおらず、EDINETのXBRLを取り込んだIRBANK(irbank.net)およびキタイシホン(kitaishihon.com)の掲載値が相互に一致することと、公式サイトの従業員数と整合することをもって実額として扱っています。業績数値は2026年3月期決算短信および各期の開示、口コミ数値は上記口コミサイトの集計値によります。
免責事項:本記事の数値・評価は公式情報・口コミ集計・市場推定の3分類で示しており、口コミ傾向や推定情報は断定ではなく傾向・可能性として表現しています。最終判断は読者自身で公式IRおよび内定時の労働条件通知書で確認してください。
この記事の編集方針・情報の確認について
この記事は、公式公開情報(有価証券報告書・IR資料)、求人情報、口コミ傾向をそれぞれ分けて整理し、転職・就職判断に役立つよう編集しています。年収・平均年齢・従業員数などの中核データは有価証券報告書「従業員の状況」を一次情報として確認し、口コミ・推定情報とは明確に区別しています。記載内容は最終更新時点の公開情報にもとづきます。最新の正確な数値は各公式IRページでご確認ください。
