フーディソンの評判と年収503万円の中身|魚ポチ・店舗・人材紹介の3事業を分解
※本記事にはプロモーションを含みます。
この記事の結論
- 平均年収503万円の正体:正社員103名の平均で、パート約200名は含まない
- 実態は3事業:魚ポチ約7割・sakana bacca約2割・人材紹介約1割の複合体
- 収益フェーズ:5期連続営業赤字を抜けて黒字4期目、利益率は約2.4%
- 成長可能性:売上は5年平均21.5%成長、一方で上場維持基準が課題
株式会社フーディソン(証券コード7114・東証グロース市場)は、東証33業種では「卸売業」に分類されますが、実態は水産物卸売 × 飲食店向けBtoB EC × 鮮魚の実店舗小売 × 食領域特化の人材紹介という複合体です。有価証券報告書に載る平均年間給与は503万円ですが、この数字が「どの事業の、どの雇用形態の人の平均なのか」を分けて読まないと、入社後の給与実感と大きくズレます。この記事は投資判断ではなく転職判断のための記事です。株主優待や株価の情報を探している方ではなく、「フーディソンで働くとどうなるか」を知りたい方に向けて、有価証券報告書の実額・複数期の推移・口コミ傾向を分けて整理します。
フーディソンの公式データ一覧(有価証券報告書ベース)
まず判断の土台になる数値を一覧にします。以下はすべて公式情報(有価証券報告書・決算短信)に基づく実額です。年収・年齢・勤続年数・従業員数は第13期(2026年3月期)有価証券報告書「従業員の状況」の値、業績は同期の連結値です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 商号 | 株式会社フーディソン(Foodison, Inc.) |
| 証券コード/市場 | 7114/東京証券取引所グロース市場(2022年12月16日上場) |
| 東証33業種 | 卸売業 |
| 設立 | 2013年4月1日 |
| 本社 | 東京都中央区勝どき三丁目3番7号(ケンメディアビル5F) |
| 代表者 | 代表取締役CEO 山本徹(有価証券報告書記載) |
| 資本金 | 857,562千円 |
| 決算期 | 3月31日(第13期=2025年4月1日〜2026年3月31日) |
| 平均年間給与 | 5,033千円(約503万円)/第13期・2026年3月期・提出会社(単体) |
| 平均年齢 | 37.7歳/第13期・2026年3月期 |
| 平均勤続年数 | 4.7年/第13期・2026年3月期 |
| 従業員数 | 正社員103名(提出会社単体・連結とも103名)。ほかに臨時雇用者の年間平均雇用人員が連結200名・単体123名 |
| 女性管理職比率 | 14.3% |
| 売上高 | 78億20百万円(2026年3月期・連結/前期比+13.9%) |
| 営業利益 | 1億84百万円(2026年3月期・連結/前期比+9.8%・営業利益率約2.4%) |
| 経常利益/当期純利益 | 経常利益1億86百万円/親会社株主に帰属する当期純利益1億47百万円 |
| 翌期会社予想 | 2027年3月期 売上84億円(+7.4%)・営業利益2.2億円(+19.7%) |
| 連結子会社 | 株式会社フーディソン大田(2015年10月設立・大田市場での水産物卸)1社 |
| 監査法人 | EY新日本有限責任監査法人 |
| 配当 | 無配(2026年に株主優待を新設) |
| 男性育休取得率・男女賃金差異 | 公表義務対象外のため有価証券報告書では開示されていない |
| 離職率 | 有価証券報告書では開示されていない |
| 出典 | 第13期(2026年3月期)有価証券報告書「従業員の状況」/2026年3月期決算短信 |
1点だけ出典の精度について先に断っておきます。上記の給与・年齢・勤続年数・従業員数は、有価証券報告書のPDF原文に直接アクセスして確認したものではなく、有報転記型データベース2件(irbank・キタイシホン)で数値の一致を確認する形をとっています。平均年間給与5,033千円・37.7歳・4.7年・103名の4項目はいずれも両者で一致しました。最終確認はEDINETまたは公式IRページで行ってください。
フーディソンはどんな会社か|「卸売業」の看板の下にある3つの事業
結論から言うと、フーディソンは1社の中に働き方の異なる3つの職場が同居している会社です。ここを理解しないまま「卸売業の会社」「水産の会社」というイメージだけで応募すると、配属先と想像のズレが起こりやすくなります。
会計上のセグメントは「生鮮流通プラットフォーム事業」の単一セグメントです。つまり有価証券報告書を読んでも事業別の売上や利益は分解されていません。しかし公開情報を整理すると、実態は次の3つで構成されています(構成比は公開情報ベースの推定情報を含みます)。
魚ポチ|飲食店向け生鮮品仕入れEC(売上の約7割)
主力は飲食店向けのBtoB仕入れプラットフォーム「魚ポチ」です。スマートフォンから1尾単位で発注できるのが特徴で、これまで市場や仲卸との対面・電話・FAXが中心だった飲食店の仕入れを、注文から配送までオンラインで完結させる仕組みになっています。登録店舗数は2.5万店舗超、取扱いは全国33産地・2,000種以上の水産品と公表されています。
規模感の裏づけとして、2023年3月期には魚ポチ単体の売上が39億76百万円(全社52億79百万円)と公表された実績があります。全社の約4分の3を1事業が占めている計算で、「フーディソンで働く」と言ったときに最も確率が高いのはこの魚ポチ関連の職種、という理解が現実的です。仕事の中身は、飲食店の新規開拓・既存深耕のフィールドセールス/インサイドセールス、仕入れと産地開拓を担うバイヤー、需給と在庫を回すオペレーション、そしてプラットフォームを作るエンジニア・プロダクト職に分かれます。
sakana bacca(サカナバッカ)|個人向け鮮魚専門店(売上の約2割)
個人客向けの鮮魚専門店「sakana bacca」を、東京9店舗・埼玉1店舗の計10店舗展開しています(公式店舗ページ時点)。こちらは小売業そのもので、早朝の入荷対応、鮮魚のカット・加工、対面接客、シフト管理といった、EC職とはまったく異なる業務になります。店長・店舗運営職としてのキャリアが中心です。
転職判断で重要なのは、この店舗網がパート・アルバイトを含む体制で運営されている点です。後述する平均年収503万円との関係をここで押さえておくと、給与情報の読み違いを避けられます。
フード人材バンク|食領域特化の人材紹介・派遣(売上の約1割)
3つ目が、鮮魚加工・精肉加工・飲食店従業員などを対象にした人材紹介・派遣事業「フード人材バンク」です。仕事の性質は完全に人材ビジネスで、求職者面談・企業開拓・マッチングが業務の中心になります。水産流通の会社に人材事業がある理由は、代表取締役CEOがエス・エム・エス(2175・東証プライム)の創業メンバー出身という経歴と無関係ではないと考えられます(推定情報)。
つまり、同じ「株式会社フーディソン」の中に、BtoB SaaS/EC企業のような職場・鮮魚小売の現場・人材紹介会社の営業組織という3種類の労働環境が併存しています。求人票を見るときは「フーディソンの評判」ではなく「その求人がどの事業か」を必ず特定してください。

年収503万円と書いてあったけど、店舗で働いてもその水準なの?
平均年収503万円は誰の数字か|正社員103名とパート200名の構造
先に結論です。有価証券報告書の503万円は「正社員103名の平均」であり、連結で年間平均200名いる臨時雇用者(パートタイマー)は含まれていません。店舗や加工の現場をパート中心で回す構造がある以上、この503万円をそのまま「フーディソンで働く人の平均」と読むのは正確ではありません。
公式データ:有価証券報告書の5期推移
有価証券報告書によると、第13期(2026年3月期)の平均年間給与は5,033千円、平均年齢37.7歳、平均勤続年数4.7年です。単年ではなく推移で見ると、この会社の状態がよく分かります。
| 対象期 | 平均年間給与 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 従業員数(正社員) |
|---|---|---|---|---|
| 2022年9月期 | 439万円 | 36.1歳 | 3.6年 | 102名 |
| 2023年3月期 | 474万円 | 36.4歳 | 3.8年 | 101名 |
| 2024年3月期 | 499万円 | 37.2歳 | 4.6年 | 102名 |
| 2025年3月期 | 465万円 | 37.0歳 | 4.3年 | 110名 |
| 2026年3月期(第13期) | 503万円 | 37.7歳 | 4.7年 | 103名 |
読み取れることを3つに整理します。
- 直近は増加:2025年3月期465万円 → 2026年3月期503万円で前年比+8.1%。上げ幅としては大きい部類です。
- 一本調子ではない:2024年3月期499万円から2025年3月期465万円へ、いったん34万円下がっています。平均年収は人員構成(若手採用の増減)で動くため、これだけで「賃下げがあった」とは言えません。実際、同じ期に正社員は102名→110名へ8名増えており、若手・中途の採用増が平均を押し下げた可能性があります。
- 期の並びに注意:2022年9月期という変則的な期が混在しています。決算期変更に伴うものとみられ、他期と単純に横並び比較する際は注意が必要です。
なお平均勤続年数4.7年は、他社と比べると短く見えます。ただしフーディソンは2013年設立・2022年上場の若い会社で、そもそも社歴が13年しかありません。勤続年数が構造的に伸びにくい点は、離職の多寡とは切り離して考える必要があります(推定情報)。
二次データの「413万円」との差をどう読むか
転職口コミ系サービス(doda等)の集計では、フーディソンの平均年収を413万円(平均年齢32歳)とする数値も出回っています。有価証券報告書の503万円とは約90万円の開きがあります。
これはどちらかが誤りというわけではありません。差が生じる理由は母集団の違いです。
- 有報の503万円:提出会社の正社員103名全員の平均。管理部門・本社専門職・管理職を含み、平均年齢は37.7歳。賞与・基準外賃金を含む。
- 二次データの413万円:口コミ登録者の自己申告集計。回答者は平均年齢32歳と若く、職種も偏りやすい。母数も公表されないことが多い。
年齢が5歳以上違えば平均年収が数十万円変わるのは自然です。実務的な読み方としては、「20代〜30代前半で入社する場合の現実的な目線は400万円台前半〜、社内で年次と役割が上がると500万円台が見えてくる」という理解が妥当と考えられます(推定情報)。
職種別の目安と、面接で必ず確認すべきこと
単一セグメントで職種別給与の公式開示がないため、以下は求人情報と事業構造から導いた推定情報です。断定ではなく、確認の出発点として使ってください。
| 職種グループ | 年収の考え方(推定) | 確認すべきポイント |
|---|---|---|
| 魚ポチのセールス(フィールド/インサイド) | 基本給+インセンティブ設計の有無で振れ幅が出やすい | インセンティブの算定基準・過去実績の中央値 |
| バイヤー・仕入れ/オペレーション | 早朝勤務・市場対応の有無で手当が変わる可能性 | 始業時間、早朝・深夜手当の規定 |
| エンジニア・プロダクト | 社内では相対的に高めのレンジになりやすい | 等級制度、評価とレンジの対応表があるか |
| sakana bacca 店舗職 | 小売業の水準感に近づきやすい。正社員とパートで大きく異なる | 雇用区分、店長昇格までの年数と昇給幅 |
| フード人材バンク(人材紹介) | 成果報酬色が出やすく個人差が大きい | 目標設定と達成率の分布、固定給の比率 |
面接で確認する優先順位は明確です。(1)提示額に賞与とインセンティブがいくら含まれるか(2)評価制度の等級と昇給レンジ(3)残業代の計算方法と固定残業の有無。後述しますが、口コミでは評価制度への疑問が不満の中心のひとつになっているため、ここは曖昧なまま進めないほうが安全です。
5期連続営業赤字から黒字4期目|業績推移で分かる入社フェーズ
フーディソンの転職判断で最も特徴的なのは、「赤字スタートアップが黒字化した直後のフェーズに入る会社」という点です。ここは他の卸売業の会社とはっきり性質が違います。
公式情報として営業損益の推移を整理します。
- 2018年3月期〜2022年3月期:5期連続で営業赤字。2018年3月期は経常損失3.3億円。2021年3月期・2022年3月期は営業赤字ながら赤字幅は縮小。
- 2023年3月期:営業利益1.4億円で黒字転換。
- 2024年3月期:営業利益1.9億円。
- 2025年3月期:営業利益1.7億円(前期比15.4%減)。
- 2026年3月期:営業利益1億84百万円(前期比+9.8%)。黒字は4期連続。
売上のほうはもっと明快です。2026年3月期の連結売上は78億20百万円で前期比+13.9%、2021年3月期比で約2.6倍、5年平均成長率21.5%。会社予想では2027年3月期に84億円(+7.4%)を見込んでいます。売上は伸び続けているが、利益はまだ「薄く積み上げている」段階、というのが現在地です。
2025年3月期の下方修正は「採用を強化したから」
見逃せないのが、2025年2月13日に通期業績予想を下方修正している事実です。会社は要因を「先行投資や人材採用・育成強化による生産性低下」と自ら説明しており、結果として2025年3月期の営業利益は前期比15.4%減で着地しました。
転職検討者の立場で、この開示は両面から読めます。
- ポジティブに読むなら:人を採り、育てることに実際にコストを投じている会社であり、その事実を業績下方修正の理由として公に説明している。採用が「言葉だけ」でないことの傍証になります。
- ネガティブに読むなら:採用を増やすと利益が目に見えて削られる規模感である、ということでもあります。営業利益が2億円に満たない会社で数億円規模の投資判断が動くため、採用計画や人員配置が経営環境で変わりやすい可能性があります。
「入社したら教育に投資してもらえる」と「業績次第で方針が動く」は、この会社では同じコインの裏表です。
営業利益率2.4%という薄利構造が給与水準の背景にある
売上78億円に対して営業利益は1億84百万円。営業利益率は約2.4%です。これは生鮮流通というビジネスの構造そのもので、原価(仕入れる魚そのもの)の比率が高く、物流費・人件費の上昇をそのまま被りやすい商売です。
この数字は給与の話に直結します。売上が10%伸びても、利益率2.4%の事業では原資として使える増加分は限られます。フーディソンの平均年収が2026年3月期に+8.1%と伸びた一方で、絶対水準としては東証グロース上場のIT系スタートアップの相場より控えめに見えるのは、「IT企業的なプロダクトを持ちながら、収益構造は生鮮流通である」という二重性によるところが大きいと考えられます(推定情報)。
逆に言えば、原価率と物流効率を1ポイント改善できる人材の価値がきわめて高い会社です。利益率が薄い会社ほど、コスト構造に手を入れられる人の貢献が数字として見えやすい、という見方もできます。
正社員110名→103名の純減が意味すること
増収なのに正社員が減っている、という事実があります。公式情報として、正社員数は2025年3月期の110名から2026年3月期は103名へ、直近1年で7名の純減です。同じ期に売上は+13.9%伸びています。
ここは慎重に書きます。離職率の公式数値は有価証券報告書で開示されていないため、この7名減から離職の状況を断定することはできません。考えられる要因は複数あります(以下すべて推定情報)。
- 2025年3月期に採用を強化した反動で、翌期は採用を絞った可能性
- 下方修正の要因となった「生産性低下」への対応として、体制を組み替えた可能性
- 自然減(転職・キャリアチェンジ)が採用を上回った可能性
- 業務のパート・派遣化や外部委託が進んだ可能性
ただし、転職検討者が押さえるべき事実は残ります。正社員103名に対して、連結で年間平均200名の臨時雇用者がいる——つまり人数ベースでは正社員より非正規のほうが多い組織です(単体でも正社員103名に対し臨時雇用者123名)。店舗・加工・物流という労働集約的な現場を、パート中心で回す設計になっていると読めます。
この構造から言えるのは次の2点です。第一に、正社員として入社する場合、現場の実務よりマネジメント・仕組み化を早期に求められる可能性が高いこと。103名で78億円の売上を動かしているため、1人あたり売上は約7,600万円と、少人数で回す体制です。第二に、平均年収503万円を「現場全体の水準」と誤読しないこと。この記事で繰り返し確認してきた通りです。
あわせて、女性管理職比率は14.3%と開示されています。男性育休取得率と男女の賃金差異は、従業員規模の関係で公表義務対象外のため有価証券報告書では開示されていません。
口コミ傾向|評価が高い項目と、不満が集中している項目
先に前提を明示します。各口コミサイトの回答者数は18〜33名規模で、統計的な信頼性は限定的です。正社員103名の会社なので絶対数が小さいのは当然ですが、少数の投稿が平均点を大きく動かす点は割り引いて読む必要があります。以下はすべて口コミ傾向であり、断定ではありません。
| 参照元 | 総合評価 | 主な数値 |
|---|---|---|
| エン カイシャの評判 | 3.3(正社員18名の回答/口コミ98件) | 月間残業 平均39時間 |
| 転職会議 | 3.00(33件) | 月間残業32.5時間/有給消化率67.5% |
| 就活会議 | 全22件(うち正社員14件) | 退職理由カテゴリの投稿あり |
評価が高い項目(エン カイシャの評判の項目別スコア):
- 休日・休暇の満足度 86%
- 勤務時間の納得度 77%
- 職場の人間関係が良好 73%
- 事業の独自性 3.6点
評価が低い項目:
- 年収・給与への納得度 52%
- 実力主義 3.1点
- 福利厚生が薄い(社内割引程度という記述)
- オフィスが手狭という記述
転職会議側では、「方針が変わりやすい」「給与水準が業界内で見劣りし評価制度に疑問がある」「事業の将来性への不安」といった厳しめの記述が見られます。就活会議の退職理由には「教育体制の不備」「業界知識の不足」が挙がっています。
これらを整理すると、スタートアップに典型的な「裁量とカルチャーは評価されるが、待遇と制度は未成熟」というパターンに当てはまります。特徴的なのは、労働時間に関する不満が中心ではない点です。月間残業32〜39時間は極端に長い水準ではなく、休日・勤務時間の満足度がむしろ高評価側に入っています。不満は「時間」ではなく「お金と制度」に集中している——これがフーディソンの口コミ傾向の輪郭です。
この構図は、前章の営業利益率2.4%と整合的です。制度整備や賃金原資の拡充には利益が要ります。黒字化から4期しか経っていない会社で、制度が大企業並みに整っているほうが不自然だとも言えます。読者にとっての判断軸は、「制度がまだ作られていない状態を、不利と見るか、自分が作りにいける余地と見るか」に集約されます。
なお、食品表示法違反・産地偽装・行政処分・訴訟などの報道は、公開情報の範囲では確認できませんでした。これは「そうした事実が存在しない」ことの証明ではなく、「公開情報の調査範囲では確認できなかった」という意味です。
フーディソンの成長可能性と、転職前に把握しておきたい課題
「フーディソン 成長可能性」「株価下落の理由」といった検索がされていますが、転職判断の文脈では株価そのものより、事業と雇用が続く見通しのほうが重要です。ここでは論点を5つに絞って提示します。数値は公式情報、評価部分は推定情報です。
- 収益は改善している:5期連続営業赤字(2018年3月期〜2022年3月期)を抜け、2023年3月期の黒字転換以降4期連続で営業黒字を維持。赤字を垂れ流し続けている段階ではありません。
- ただし利益は薄い:営業利益率は約2.4%。2025年3月期には「先行投資や人材採用・育成強化による生産性低下」を理由に下方修正を出しており、投資と利益の両立はまだ綱渡りです。
- 売上の成長率は高い:5年平均成長率21.5%、2021年3月期比で約2.6倍。トップラインの成長という点では、卸売業のなかでは明確に速い部類です。
- 上場維持基準の厳格化が課題:東証グロース市場は上場維持基準を見直し、2030年3月1日以降最初に到来する事業年度末から、上場後5年を経過した企業に時価総額100億円以上を求めることになりました。フーディソンは2022年12月上場、時価総額は約40億円規模(2026年9月時点)で、現状は基準に達していません。ただしこれは即座に上場廃止を意味するものではなく、適合に向けた計画を開示することで猶予が認められる枠組みが制度として用意されています。事実として把握しておくべき論点であり、過度に不安視する材料ではありません。
- 創業者が筆頭株主のオーナー企業:代表取締役CEOが約41.84%を保有しています。意思決定が速い一方で、経営トップの方針が事業運営に直結しやすい構造です。口コミにある「方針が変わりやすい」という記述と無関係ではない可能性があります。
成長材料としては、大手食品卸である三菱食品との商品連携をプレスリリースで公表している点が挙げられます。スタートアップが単独で流通網を作りきるのではなく、既存流通と組む戦略をとっていることが分かります。また2026年には株主優待(3月末に100株保有でsakana bacca商品券5,000円分または商品詰め合わせ)を新設しており、BtoC小売を自社で持つ強みを生活者接点に使う動きも見えます。配当は無配です。
編集部の見解として、この5点をまとめると「事業の存続可能性を心配する段階ではないが、待遇と制度の急改善を期待して入る会社でもない」というのが現実的な評価です。売上成長は本物で、黒字も4期続いています。一方で利益率2.4%という構造は短期では変わらず、時価総額の課題も残ります。「伸びている市場で、まだ整っていない仕組みを作る側に回りたい人」には合理的な選択肢である一方、整備された制度と安定した処遇を最優先する人には他の選択肢のほうが合うと考えられます。
同じ「卸売業」5社と並べて見るフーディソンの位置
東証33業種の「卸売業」は、扱う商材によって収益構造がまったく異なります。同じ分類の上場5社を並べると、フーディソンの特徴が立体的に見えます。以下は各社の公式情報(有価証券報告書・決算短信)に基づく数値です。決算期が5社でバラバラなので、必ず年度とセットで読んでください。
| 企業名(コード) | 売上高 | 営業利益(利益率) | 従業員数 | 有報の平均年間給与/対象期 |
|---|---|---|---|---|
| フーディソン(7114) | 78.20億円(+13.9%) | 1.84億円(2.4%) | 正社員103名〔臨時200名〕 | 503万円/2026年3月期 |
| アセンテック(3565) | 172.54億円(+18.3%) | 28.40億円(16.5%) | 連結177名・提出会社88名 | 632万円/2026年1月期 |
| 高見澤(5283) | 756.60億円(+2.8%) | 13.99億円(1.9%) | 連結1,054名〔臨時280名〕・提出会社551名 | 548.5万円/2025年6月期(第75期) |
| ジーデップ・アドバンス(5885) | 69.49億円(+4.8%) | 11.17億円(16.1%) | 34名(非連結・子会社なし) | 726万円/2026年5月期 |
| INEST(7111) | 181.85億円(▲4.1%・IFRS) | 2.55億円(1.4%) | 連結344名・提出会社29名 | 554.7万円/2026年3月期 |
この表を読む際の注意点を先に挙げます。
- 決算期が5種類:アセンテック=1月末、ジーデップ・アドバンス=5月末、高見澤=6月末、INESTとフーディソン=3月末。同じ「最新期」でも比較時点が異なります。
- 高見澤のみ期がずれる:給与データは第75期(2025年6月期)、業績データは第76期(2026年6月期)です。第76期の有価証券報告書が未提出のためで、意図的に別の期を並べています。
- INESTは持株会社:連結344名に対し提出会社29名と約11.9倍の乖離があります。有報の平均給与は持株会社29名の数字なので、グループ全体の実感とは別物です(同社は最大人員会社の給与も開示しています)。
- アセンテックは訂正開示あり:2026年4月1日に決算短信の数値データ訂正、2025年5月14日に訂正有価証券報告書が提出されています。数値を引用する際は訂正後の値かを確認すべきです。
そのうえでフーディソンの位置を整理します。
- 利益率は下から2番目:アセンテック16.5%・ジーデップ・アドバンス16.1%と、フーディソン2.4%・高見澤1.9%・INEST1.4%の間には約12倍の開きがあります。同じ卸売業でも、メーカー機能や技術付加価値を持つ商社と、取次型・生鮮流通・地域複合では収益構造がまったく違います。フーディソンは低利益率グループに属します。
- 成長率は最も高い部類:売上成長+13.9%はアセンテックの+18.3%に次ぐ水準で、高見澤+2.8%、ジーデップ・アドバンス+4.8%、INEST▲4.1%と比べると明確に速い。「利益率は低いが伸びは速い」のがフーディソンの立ち位置です。
- 持株会社バイアスがない:5社のうちフーディソンとジーデップ・アドバンスの2社は「単体≒全社」で、有報の平均給与が現場から乖離する持株会社バイアスは該当しません。ただしフーディソンには別種の注意があります——連結で年間平均200名いるパートが平均年収に含まれない点です。INESTの持株会社バイアス(乖離11.9倍)とは種類の異なる読み替えが必要になります。
- 資本イベントの明暗:アセンテックは2025年のオリックス子会社によるTOBが不成立となり上場を維持しました。フーディソンは上場維持基準の厳格化への対応が課題です。同じ「上場企業の先行き」でも、論点はまったく違います。
転職先として比較するなら、卸売業という分類より事業内容で見るほうが実用的です。フーディソンと読者が実際に迷いやすいのは、Mマート(4380・食材のBtoBマーケットプレイス)、インフォマート(2492・飲食業界向けBtoBプラットフォーム最大手)、中央魚類(8030・豊洲市場の水産卸大手)、クックビズ(6558・飲食特化の人材サービス)といった会社です(比較検討先としての推定情報)。
フーディソンが向いている人・向いていない人
ここまでの公式情報と口コミ傾向をふまえ、適性を整理します(推定情報を含みます)。3事業で職場が異なるため、応募先の事業を特定したうえで読んでください。
| 向いている可能性が高い人 | 慎重に検討したほうがよい人 |
|---|---|
| 制度や仕組みが未整備な状態を「自分が作る余地」と捉えられる人 | 評価制度・等級・福利厚生が明文化された環境を重視する人 |
| アナログな業界(水産流通)をITで変える課題に関心がある人 | すでに完成したプロダクトの運用・改善を志向する人 |
| 利益率2.4%の商売で、原価・物流・在庫の改善に手触りを持てる人 | 高い粗利を前提とした潤沢な投資環境で働きたい人 |
| 会社の方針変更に対して柔軟に動ける人 | 中長期計画が安定して運用される環境を求める人 |
| 少人数(正社員103名)で裁量を持って動きたい人 | 分業が進んだ体制で専門領域に集中したい人 |
事業別の観点も付け加えます。魚ポチならBtoB SaaS・EC企業に近い働き方、sakana baccaなら小売店舗運営そのもの、フード人材バンクなら人材紹介会社の営業に近い働き方になります。求人票のタイトルだけでは判別しづらいことがあるため、面接では「配属される事業と、その事業の売上構成比」を直接確認するのが確実です。
フーディソンに関するよくある質問
検索されている疑問のうち、転職判断に直結するものに絞って回答します。
平均年収503万円には、パート・アルバイトも含まれていますか?
含まれていません。有価証券報告書によると、平均年間給与5,033千円は提出会社の正社員103名の平均であり、臨時雇用者(パートタイマー、連結で年間平均200名・単体123名)は対象外です。また賞与および基準外賃金を含んだ金額です。店舗・加工現場をパート中心で運営する構造がある以上、「社内で働く全員の平均」ではない点にご注意ください。
フーディソンの従業員数は何名ですか?正社員が減っているのはなぜですか?
第13期(2026年3月期)時点で正社員103名(提出会社単体・連結とも同数)、臨時雇用者は連結で年間平均200名です。正社員は2025年3月期の110名から7名の純減となっています。ただし離職率は有価証券報告書では開示されていないため、この減少がどの程度離職によるものかは公開情報からは特定できません。採用の絞り込み、体制の組み替え、自然減など複数の要因が考えられます(推定情報)。
フーディソンの成長可能性はどう評価すればよいですか?
4点で見るのが実用的です。(1)売上は5年平均21.5%成長、2021年3月期比で約2.6倍。(2)5期連続営業赤字を脱し、黒字は4期連続。(3)一方で営業利益率は約2.4%と薄く、2025年3月期には下方修正も出している。(4)東証グロース市場の上場維持基準厳格化(2030年3月1日以降最初に到来する事業年度末から上場5年経過企業は時価総額100億円以上)に対し、時価総額約40億円と未達で、適合計画の開示による猶予枠組みが制度として存在する。「伸びているが、まだ利益体質は薄い」というのが公式数値から読める姿です。
株価が下落した理由は、転職判断に関係しますか?
直接的な関係は限定的です。株価は業績以外の要因(市場全体の地合い、需給、小型株特有の流動性)でも動くため、転職判断で見るべきは株価そのものより、売上・営業利益・従業員数といった事業の実績値です。ただし時価総額は上場維持基準に関わるため、その文脈でのみ確認する価値があります。なおフーディソンは無配で、2026年に株主優待を新設しています。この記事は投資判断ではなく転職判断のための記事である点を改めて申し添えます。
未経験でも応募できますか?どの職種の求人が出やすいですか?
公開されている求人情報の傾向としては、魚ポチのセールス職や人材紹介のキャリアアドバイザー職で未経験可の募集が見られます(口コミ傾向および求人情報ベース)。一方、バイヤーや店舗のマネジメント職では業界経験や現場経験が求められる可能性があります。応募前に確認したいのは、配属事業・勤務時間帯(市場対応で早朝勤務があるか)・入社後の教育体制の3点です。就活会議の退職理由には「教育体制の不備」「業界知識の不足」という記述もあるため、研修とOJTの具体的な中身は面接で聞いておくのが安全です。
行政処分や不祥事はありましたか?
食品表示法違反、産地偽装、行政処分、訴訟等の報道は、公開情報を調査した範囲では確認できませんでした。これは「存在しない」ことの証明ではなく、「調査範囲では見つからなかった」という意味です。最新の状況は公式IRページの適時開示でご確認ください。
フーディソンへの転職判断まとめ
判断軸ごとに整理します。最終判断は求人票と労働条件通知書、そして自分の経験・志向に照らして行ってください。
| 判断軸 | 評価と根拠 |
|---|---|
| 年収水準 | 有報503万円(正社員103名平均・2026年3月期)は前年比+8.1%と上昇中。ただしパート約200名を含まない数字で、二次データでは413万円という集計もある。年齢・職種で実感は大きく変わる |
| 収益の安定性 | 5期連続営業赤字を脱して黒字4期目。ただし営業利益率2.4%と薄く、採用強化が下方修正の要因になる規模感 |
| 成長性 | 売上5年平均21.5%成長、2026年3月期+13.9%。卸売業のなかでは明確に速い |
| 働き方 | 月間残業32〜39時間(口コミ傾向)で極端に長くはない。休日・勤務時間・人間関係の評価は高め |
| 制度・待遇 | 年収納得度52%、福利厚生は薄いという口コミ傾向。評価制度への疑問も投稿されており、確認は必須 |
| 配属リスク | 単一セグメントだが実態は3事業。EC職・店舗職・人材紹介職で働き方が大きく異なる |
| 会社としての課題 | 時価総額約40億円で東証グロースの新上場維持基準に未達。適合計画開示による猶予枠組みはある |
| おすすめできる人 | 未整備の仕組みを作る側に回りたい人、アナログ産業のIT化に関心がある人 |
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本記事の出典・参考情報
本記事で参照した一次情報・口コミ情報の出典は以下の通りです。最新の正確な数値は各リンク先で確認してください。給与・年齢・勤続年数・従業員数は有価証券報告書「従業員の状況」の数値を、有報転記型データベース2件(irbank・キタイシホン)で一致を確認したうえで採用しています。
公式情報源
口コミ・評判の参照元
免責事項:本記事の数値・評価は公式情報・口コミ集計・市場推定の3分類で示しており、口コミ傾向や推定情報は断定ではなく傾向・可能性として表現しています。最終判断は読者自身で公式IRおよび内定時の労働条件通知書で確認してください。
この記事の編集方針・情報の確認について
この記事は、公式公開情報(有価証券報告書・IR資料)、求人情報、口コミ傾向をそれぞれ分けて整理し、転職・就職判断に役立つよう編集しています。年収・平均年齢・従業員数などの中核データは有価証券報告書「従業員の状況」を一次情報として確認し、口コミ・推定情報とは明確に区別しています。なお本記事の給与関連データは有価証券報告書のPDF原文を直接入手したものではなく、有報転記型データベース2件での数値一致をもって採用しています。記載内容は最終更新時点の公開情報にもとづきます。最新の正確な数値は各公式IRページでご確認ください。
