テンポスホールディングスの評判と年収|有報613万円と子会社402万〜536万円の差
※本記事にはプロモーションを含みます。
この記事の結論
- 年収の実額:有報の613万円は従業員31名の持株会社単体。子会社は402万〜536万円
- 評判の二面性:20代成長環境4.3に対し待遇面の満足度2.2(OpenWork・回答者57人)
- 組織構造:連結1,306名に対し臨時雇用者1,536名。飲食事業は正社員の約2.5倍
- 業績:第34期は増収増益。ただし純利益は▲8.3%、情報・サービス事業は赤字転落
株式会社テンポスホールディングス(証券コード2751・東証スタンダード市場)の年収を調べると、サイトによって「613万円」「568万円」「506万円」とバラバラの数字が出てきます。この差はデータの精度の問題ではなく、「誰の年収を数えているか」が違うことから生まれています。同社は連結従業員1,306名を抱えるグループですが、有価証券報告書に載る平均年間給与は本社にいる31名だけの数字です。この記事では第34期(2026年4月期)の有価証券報告書を一次情報として、持株会社と事業子会社3社の年収を並べたうえで、口コミスコア・従業員構成・業績・店舗数まで、転職判断に必要な材料を分けて整理します。
テンポスホールディングスの公式データ一覧(有価証券報告書ベース)
まず、転職判断の土台となる数値を一覧にします。すべて第34期(自2025年5月1日 至2026年4月30日)の有価証券報告書に記載された公式情報です。平均年間給与・平均年齢・平均勤続年数・従業員数は「提出会社(持株会社単体)」と「連結子会社」で数字が大きく異なるため、どちらの数字かを併記しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社テンポスホールディングス(TENPOS HOLDINGS Co.,Ltd.) |
| 証券コード/市場 | 2751/東京証券取引所スタンダード市場 |
| 本店所在地 | 東京都大田区東蒲田二丁目30番17号 |
| 設立 | 1992年5月29日(1997年3月に商号を「テンポスバスターズ」へ変更し厨房機器販売を開始) |
| 代表者 | 代表取締役社長 森下 篤史 |
| 平均年間給与 | 6,132千円(約613万円・前事業年度比+7.2%)※提出会社(持株会社単体)31名の数字 |
| 平均年間給与(連結子会社) | テンポスバスターズ5,356千円/ヤマトサカナ4,867千円/あさくま4,020千円 |
| 平均年齢 | 提出会社48.6歳/テンポスバスターズ44.1歳/ヤマトサカナ48.4歳/あさくま38.1歳 |
| 平均勤続年数 | 提出会社7.3年/テンポスバスターズ7.6年/ヤマトサカナ10.3年/あさくま3.7年 |
| 従業員数 | 連結1,306名(外、平均臨時雇用者1,536名)/提出会社31名(外、臨時雇用者5名) |
| 売上高 | 連結53,408百万円(約534億円・前期比+13.5%)/提出会社単体1,640百万円 |
| 営業利益 | 連結2,890百万円(約28億9千万円・前期比+8.3%) |
| 経常利益/当期純利益 | 経常利益3,107百万円(+8.3%)/親会社株主に帰属する当期純利益1,894百万円(▲8.3%) |
| 自己資本比率/ROE | 60.35%/10.69% |
| 労働組合 | 結成されていない(有価証券報告書に明記) |
| 出典 | 第34期(2026年4月期)有価証券報告書/公式IR資料 |
注目すべきは、提出会社の売上高が16億40百万円しかない点です。連結534億円のうち97%以上は子会社が稼いでいます。つまり「テンポスホールディングス」という法人そのものは、グループを統括する管理会社に近い存在です。この構造が、次に説明する年収の読み違いを生みます。
年収613万円は「本社31名」の数字|子会社3社の実額と最大210万円の差
結論から言えば、求人を検討している人が実際に受け取る可能性が高いのは613万円ではなく、402万〜536万円のレンジです。理由は単純で、有価証券報告書の「従業員の状況」に載る平均年間給与6,132千円は、提出会社=持株会社に在籍する31名(外、臨時雇用者5名)だけを対象にした数字だからです。平均年齢48.6歳・平均勤続7.3年という属性も、この31名の平均です。
ここでテンポスホールディングスが他の持株会社と決定的に違うのは、同じ有価証券報告書の「(3) 連結子会社の状況」に、主要子会社の平均年間給与が実額で開示されていることです。多くの持株会社では子会社の給与水準が非開示で、応募者は推測するしかありません。同社は現場の数字が一次情報として読める、数少ないケースです。
子会社3社の平均年間給与を有報の実額で比較する
第34期有価証券報告書によると、主要な事業子会社の数値は以下の通りです(すべて2026年4月30日現在・公式情報)。
| 会社 | 平均年間給与 | 前期比 | 従業員数(外、臨時雇用者) | 平均年齢 | 平均勤続年数 |
|---|---|---|---|---|---|
| テンポスホールディングス(提出会社) | 6,132千円 | +7.2% | 31名(5名) | 48.6歳 | 7.3年 |
| 株式会社テンポスバスターズ(物販) | 5,356千円 | △4.1% | 380名(158名) | 44.1歳 | 7.6年 |
| ヤマトサカナ株式会社(飲食) | 4,867千円 | +7.2% | 221名(320名) | 48.4歳 | 10.3年 |
| 株式会社あさくま(飲食) | 4,020千円 | △5.6% | 156名(641名) | 38.1歳 | 3.7年 |
この表から読み取れることは3つあります。
- 金額差:持株会社613.2万円に対し、あさくまは402.0万円。同じグループ内で最大約210万円の開きがあります。
- 方向の逆行:提出会社が+7.2%と伸びた一方、テンポスバスターズは△4.1%、あさくまは△5.6%と前期比マイナスです。グループ全体の給与が一律に上がっているわけではありません。
- 年齢構成の違い:あさくまは平均38.1歳・平均勤続3.7年と若く、年収の低さの一部は年齢構成で説明できます。一方でヤマトサカナは平均48.4歳・勤続10.3年で486.7万円と、勤続年数の長さが年収に直結していない構造も見えます。
なお、求人ボックス 給料ナビでは約506万円、日本経済新聞の年収情報では約568万円と、二次情報サイトによって数字が異なります。これらは口コミや推計を含むデータであり、本記事では有価証券報告書の実額を主たる数値として扱っています。二次情報の数字が有報と食い違う場合、その多くは対象範囲(単体か連結か、正社員のみか)の違いによるものと推定情報として理解しておくと混乱しません。
応募前に確認すべき「どの会社に雇用されるのか」
テンポスホールディングスのグループは連結子会社11社で構成されており、募集職種によって雇用契約を結ぶ法人が変わります。有価証券報告書に記載された主な会社別の従業員数は、テンポスバスターズ380名(臨時158名)、ヤマトサカナ221名(臨時320名)、あさくま156名(臨時641名)、ディースパーク127名(臨時10名)、テンポス情報館74名(臨時5名)、キッチンテクノ73名(臨時5名)です。
したがって面接・内定時には、次の点を確認しておくと年収のミスマッチを防げます。
- 雇用主となる法人名(持株会社か、テンポスバスターズか、飲食事業会社か)
- 固定給と歩合・賞与の比率、および賞与の算定基準
- 変形労働時間制の適用有無と、実際の始業・終業時刻
- 配属予定の店舗・エリアと、異動の範囲

求人票に「年収613万円」と書いてあったら、それは信じていいのでしょうか?
求人票の提示額はその求人固有の条件であり、有価証券報告書の平均給与とは別物です。有報の613万円は本社31名の平均であるため、店舗販売職や飲食店の店長職の待遇を示すものではありません。労働条件通知書の基本給・みなし残業時間・賞与条件を必ず確認してください。
「テンポスホールディングス やばい」と検索される理由を口コミスコアで分解する
社名と一緒に「やばい」という語が検索されるのは事実ですが、その中身を口コミサイトのスコアで分解すると、ネガティブ一色ではなく、評価が真っ二つに割れていることが分かります。結論として、同社を一律に断定的に評価できる根拠はありません。ただし「合う人と合わない人がはっきり分かれる会社」であることは、数字からも読み取れます。
20代成長環境4.3と待遇面の満足度2.2という対比
OpenWorkの「テンポスバスターズ」ページ(総合評価3.28/回答者57人・口コミ280件)における項目別スコアは、口コミ傾向として次のようになっています。
| 評価項目 | スコア(5点満点) | 読み取れる傾向 |
|---|---|---|
| 20代の成長環境 | 4.3 | 全項目中で突出して高い。若手に早く裁量が渡る傾向 |
| 人事評価の適正感 | 3.8 | 評価の納得感は比較的高め |
| 風通しの良さ | 3.6 | 意見が通りやすいという投稿傾向 |
| 社員の士気 | 3.1 | 平均的 |
| 社員の相互尊重 | 3.1 | 平均的 |
| 人材の長期育成 | 2.7 | 体系的な育成への不満が見られる |
| 法令順守意識 | 2.6 | 低い水準。労務管理への指摘が集まりやすい |
| 待遇面の満足度 | 2.2 | 全項目中で最も低い |
同ページでは月間残業時間25.9時間、有給休暇消化率56.6%という数値も示されています。残業時間だけを見れば飲食関連業界としては突出して長いわけではありません。一方で、待遇面の満足度2.2と法令順守意識2.6の低さは、口コミの中でも目立つ位置にあります。投稿には「変形労働時間制で実際は9時30分から20時までの勤務が常態化している」といった趣旨の記述や、労働環境を厳しく評価する書き込みも見られます。
ただしOpenWorkの回答者は57人で、これは連結1,306名の一部にすぎません。エン ライトハウスの「株式会社テンポスバスターズ」ページでは口コミ295件・総合評価3.4、転職会議では「テンポスホールディングス(旧テンポスバスターズ)」76件と「テンポスバスターズ」42件に分散、就活会議ではテンポスバスターズ37件・テンポスホールディングス61件と、法人分割の影響で情報が複数ページに散っています。サンプル数が限られる点を前提に読む必要があります。
有報の独自制度と待遇不満2.2のギャップ
興味深いのは、同社が有価証券報告書の人材戦略欄で、待遇面に踏み込んだ独自制度を数多く開示している点です(すべて公式情報)。
- 3ヶ年の「賃金5割アップ計画」を掲げている
- パート社員から役員まで、給与額と賞与額を社内で公開している
- 昇給と賞与は社員同士が討論して決定する仕組みを運用している
- 2005年に定年制を廃止し、60歳以上の正社員が時短・週休3日を選べる「パラダイス社員制度」を設けている
- 4年に一度、社長の座をかけて幹部社員から立候補者を募る「社長の椅子争奪戦」を有報に明記している
- 「激流コース(プロを目指す挑戦的な働き方)」と「菊水コース(安心・安定した働き方)」を社員が選択できる
- 再入社を歓迎する「バツイチクラブ」に現在86名が在籍し、役員2名も再入社者である
制度としての透明性は高い一方、口コミ上の待遇満足度は2.2にとどまっています。この差をどう解釈するかは推定情報になりますが、考えられる読み方は2つあります。ひとつは、制度が導入途上で、まだ多くの社員の実感に届いていない可能性。もうひとつは、給与額が全公開されることで「他人との差」が可視化され、かえって不満が言語化されやすい環境になっている可能性です。いずれにせよ、制度の存在と社員の体感は別のものとして確認する姿勢が必要です。
なお同社の公式サイトには「テンポス精神」というコンテンツがあり、そこでは会社への厳しい評価をあえて正面から取り上げる記事が掲載されています。批判的な評判の存在を会社側が認識し、自ら発信している点は、企業文化を判断するうえで参考になる公式情報です。
子会社あさくまの数値をグループ全体と混同しない
検索していると、より厳しい数値を目にすることがあります。OpenWorkの「あさくま」ページでは総合評価2.79、月間残業69.5時間、有給休暇消化率23.9%という数値が示されています。ただしあさくまは証券コード7678で東証スタンダードに単独上場する別法人(テンポスホールディングスの議決権所有割合62.2%)であり、回答者も12人と母数が非常に限られます。
つまり「あさくまの残業69.5時間」を「テンポスホールディングス全体の残業時間」として読むのは正確ではありません。ステーキレストランの店舗運営職と、厨房機器の店頭販売職では業務内容も勤務時間の構造も異なります。応募先の法人単位で評判を見分けることが、この会社を調べるうえでの最重要ポイントです。
従業員1,306名より臨時雇用者1,536名が多い労働集約構造
転職判断で見落とされやすいのが、従業員構成です。第34期有価証券報告書によると、連結従業員数1,306名に対し、平均臨時雇用者数は1,536名。正社員等よりもパート・アルバイトのほうが多い構造になっています。
| セグメント | 従業員数 | 平均臨時雇用者数(外数) | 臨時/正社員比 |
|---|---|---|---|
| 物販事業 | 533名 | 194名 | 約0.4倍 |
| 情報・サービス事業 | 245名 | 20名 | 約0.1倍 |
| 飲食事業 | 528名 | 1,322名 | 約2.5倍 |
| 連結合計 | 1,306名 | 1,536名 | 約1.2倍 |
この表が示すのは、配属セグメントによって働き方の性質がまったく違うということです。物販事業と情報・サービス事業は正社員中心の組織ですが、飲食事業は正社員528名に対し臨時1,322名と、店舗オペレーションの大半をパート・アルバイトが担う体制です。会社別に見るとあさくまは従業員156名に対し臨時641名(約4.1倍)で、この傾向がさらに強く出ています。
臨時雇用者比率の高い店舗で正社員として働く場合、実務としてはシフト作成・採用・教育・欠員時のフォローといったマネジメント業務の比重が高くなると推定情報として考えられます。プレイヤーとして自分の成果を積む働き方を望む人と、人を動かす立場を早く経験したい人とでは、評価が分かれる環境です。
また連結従業員数は前期の964名(臨時1,117名)から1,306名(臨時1,536名)へ1年で342名増えていますが、有価証券報告書の注記によれば主因は2025年7月の株式会社サンライズサービスの100%子会社化です。採用による自然増ではなく、M&Aによる連結範囲の拡大が数字を押し上げている点は正確に理解しておく必要があります。なお、同社に労働組合は結成されていないことも有価証券報告書に明記されています。
テンポスホールディングスの店舗数と3つの事業|80店舗と「300店舗」の距離
「テンポスホールディングス 店舗」という検索は一定量あります。結論として、中核のテンポスバスターズは2026年4月の三島店開店で80店舗目に到達した段階です。よく語られる「全国制覇300店舗体制」は中期的な目標であり、現在地ではありません。
物販・情報サービス・飲食の3セグメント
同社は業種分類上は卸売業ですが、実態は「飲食店の開業から廃業までを丸ごと支える総合支援グループ」を標榜する持株会社です。第34期のセグメント別外部売上高は次の通りです(公式情報)。
| セグメント | 外部売上高 | 前期比 | セグメント利益 | 主な内容 |
|---|---|---|---|---|
| 物販事業 | 281億90百万円 | +3.8% | 23億34百万円(+2.6%) | 中古・新品の厨房機器、食器、イス・テーブルの店頭販売とEC |
| 情報・サービス事業 | 33億55百万円 | ▲13.1% | △1億01百万円(前期は+1億44百万円) | 居抜き物件仲介、内装工事、リース・ファイナンス、人材紹介・派遣、M&A仲介 |
| 飲食事業 | 218億62百万円 | +36.4% | 7億89百万円(+127.3%) | ステーキのあさくま、ヤマトサカナ(回転寿司)、エビス参(モツ居酒屋)ほか |
意外に思われるのは、物販事業の中身です。有価証券報告書によると中古品比率は13.4%で、新品および新古品が86.6%を占めています。「中古厨房機器の会社」というイメージが先行しがちですが、実際には新品も含めた総合流通に近い形態です。営業職として応募する場合、扱う商材は中古査定に限られないという点は認識しておくとよいでしょう。
出店計画は未達|数字で見る成長の実像
第34期の出店実績は新規4店舗+移転2店舗の計6店舗で、出店目標12店舗に対して未達であることが有価証券報告書に明記されています。同社はグループ長期目標として売上高2,000億円(物販・サービス1,000億円、外食500億円、外食以外500億円)を掲げていますが、有報自身が「既存事業の拡大もM&Aも現状は想定した速度には届いておらず、掲げた目標と現在地との距離を、当社は正面から認識しております」と記載しています。
目標の高さと現在地の差を自ら開示している点は、情報開示の姿勢としては誠実です。同時に、転職者の視点では「掲げた成長ストーリーがそのまま実現するとは限らない」という前提で、待遇の将来的な上昇余地を見積もる必要があります。飲食事業の店舗はあさくまグループで70店舗超が稼働しています。
業績5期推移とセグメント別の明暗|増収増益だが純利益は減益
結論として、第34期の連結業績は増収増益です。「業績が悪化している」という表現は事実に反します。ただし、純利益は減益で、1セグメントは赤字に転じています。この2点を分けて理解することが重要です。
| 決算期 | 連結売上高 | 前期比 |
|---|---|---|
| 第30期(2022年4月期) | 290億08百万円 | — |
| 第31期(2023年4月期) | 312億84百万円 | +7.8% |
| 第32期(2024年4月期) | 370億74百万円 | +18.5% |
| 第33期(2025年4月期) | 470億55百万円 | +26.9% |
| 第34期(2026年4月期) | 534億08百万円 | +13.5% |
5期で売上高は約1.84倍に拡大しています。ただしこの伸びはM&Aによる連結範囲の拡大が相当部分を占めており、既存店の積み上げだけによる成長と断定することはできません。第34期だけでもサンライズサービスの100%子会社化があり、2026年5月には厨房機器メーカーの明和製作所を株式交換で完全子会社化して製造機能を内製化、2026年6月にはマルシェへ出資して持分法適用(21.0%)、さらにサロングラフ設立とトミ美容室の完全子会社化により美容室事業へも参入しています。
利益面を整理すると次のようになります。
- 営業利益:28億90百万円(+8.3%)。売上高営業利益率は約5.4%
- 経常利益:31億07百万円(+8.3%)
- 親会社株主に帰属する当期純利益:18億94百万円(▲8.3%の減益)
- 財務の安全性:自己資本比率60.35%、自己資本利益率(ROE)10.69%
営業段階では増益なのに純利益が減益という形は、営業外・特別損益や税負担の変動によって生じます。自己資本比率60%超という水準は、飲食関連の企業としては財務的な余裕がある部類と推定情報として評価できます。継続企業の前提に関する注記および重要事象等の記載はいずれもなく、監査報告書も無限定適正意見です。
一方、情報・サービス事業は営業損失△1億01百万円で、前期の+1億44百万円から赤字に転じました。有価証券報告書によれば、テンポスフードプレイスは営業損失43百万円、テンポスフィナンシャルトラストは営業利益89.1%減、スタジオテンポスは「営業部門の人員確保が課題」として21.0%の減収と説明されています。会社自身が人員未充足を減収要因として挙げている点は、逆に言えばこの領域で採用意欲がある可能性を示す材料でもあります。
同じ卸売業5社との比較|利益率は約3%から28%まで開く
テンポスホールディングスは業種分類上は卸売業に属します。同じ卸売業で東証に上場する4社と並べると、事業モデルの違いが年収と利益率にどう表れるかが見えます。決算期が各社で異なるため、年度を併記します(すべて公式情報ベース、平均年間給与は各社有価証券報告書の提出会社の数値)。
| 企業名(コード) | 連結売上高(決算期) | 営業利益(利益率) | 従業員数(連結/提出会社) | 有報の平均年間給与 |
|---|---|---|---|---|
| テンポスホールディングス(2751) | 534.08億円(2026年4月期・+13.5%) | 28.90億円(約5.4%) | 1,306名(臨時1,536名)/31名 | 613.2万円 ※持株会社31名のみ。子会社は402.0万〜535.6万円 |
| トーメンデバイス(2737) | 6,336.68億円(2026年3月期・+50.3%) | 187.84億円(約3.0%) | 202名/121名 | 967.1万円 ※提出会社121名 |
| 東京エレクトロン デバイス(2760) | 2,037.48億円(2026年3月期・▲5.8%) | 102.53億円(約5.0%) | 1,408名/1,182名 | 1,074.9万円 ※一過性の株式報酬を含む |
| 石光商事(2750) | 765.27億円(2026年3月期・+17.8%) | 27.07億円(約3.5%) | 476名/242名 | 670.0万円 ※提出会社242名 |
| エフティグループ(2763) | 315.79億円(2026年3月期・▲8.8%) | 89.35億円(約28.3%) | 57名/54名 | 611.7万円 ※持株会社54名のみ。2026年7月30日付で上場廃止 |
この比較から、転職判断に使える示唆が3つ得られます。
- 売上規模と年収は連動しない:トーメンデバイスは売上6,336億円ですが従業員は連結202名。少人数で大口取引を回す商社型モデルのため、1人あたりの生産性が高く年収も高水準になります。テンポスHDは売上534億円を1,306名+臨時1,536名で稼ぐ労働集約型で、構造がまったく異なります。
- 利益率の幅が約9倍ある:約3.0%(トーメンデバイス)から28.3%(エフティグループ)まで開いています。テンポスHDの約5.4%は、店舗運営と飲食を抱える業態としては低い水準ではありません。
- 持株会社の年収は要注意が2社:テンポスHDの613.2万円もエフティグループの611.7万円も、持株会社の数十名だけの数字です。数字が近いからといって現場の待遇が同水準とは限りません。
飲食店支援業界の動向から見るテンポスHDの将来性
結論として、この会社の事業領域は外食市況が悪化した局面でも仕事の総量が急減しにくいという特徴を持ちます。開業支援と廃業・撤退対応の双方が収益源になるためです。ただし、それは「安定して伸び続ける」という意味ではありません。
業界動向として押さえておきたい論点は次の通りです(市場データは各種調査機関の公表値にもとづく推定情報を含みます)。
- 外食市場は回復しつつ倒産も増加:国内の外食市場は2025年度で約35兆円規模まで回復し、インバウンド需要も追い風になっています。一方で食材費・人件費・光熱費の「トリプル高」が利益を圧迫し、東京商工リサーチによれば2025年の飲食業倒産は初めて年間1,000件を超えました。新規開業と閉店・撤退が同時に動く状況です。
- 厨房機器市場は成長分野:業務用厨房機器の世界市場は各調査機関がCAGR5〜7%程度の成長を見込んでいます。国内ではホシザキ、ガリレイ(旧フクシマガリレイ)、マルゼンなどのメーカーが供給の中心にあり、テンポスHDはその流通側に位置します。なおガリレイは同社の第3位大株主(7.96%)、マルゼンは第4位(3.97%)でもあります。
- 省人化投資と補助金活用が商談の標準に:飲食店側は採用難を前提に、配膳ロボット、セルフレジ、モバイルオーダーなどへ投資の軸足を移しています。2026年度は「IT導入補助金」が「デジタル化・AI導入補助金」へ改称され、補助金を前提にした提案が営業実務の標準になりつつあります。
- M&Aによる垂直統合:後継者不在を背景に外食のM&A・事業承継は増加傾向で、支援側企業も買収で機能を広げています。同社の明和製作所買収(製造の内製化)はこの流れに沿った動きです。
これらを踏まえると、転職者にとっての将来性は「厨房機器の販売スキル」ではなく、補助金・省人化・物件・ファイナンスまで束ねた課題解決型の提案経験が身につくかどうかで測るのが現実的です。この経験は、厨房機器メーカーやその販売会社、飲食店向けPOS・SaaS、外食チェーンの店舗開発・購買部門といった周辺業界へ持ち出せる可能性があります。一方で、有価証券報告書のリスク欄には同社自身が「異業種(美容事業等)への多角化リスク」を挙げており、多角化の速さが必ずしも安定に直結しないことも会社側が認識しています。
過去の開示訂正・行政処分について事実を確認する
ネット上の情報を追うと、過去の決算訂正に触れた記述に行き当たることがあります。事実関係を正確に整理します。
2023年6月28日、同社は「過年度の決算短信などの訂正に関するお知らせ」を開示しました。内容は、2022年4月期の決算作業中に2021年4月期の税額計算の誤りが税理士法人の指摘で判明し、第29期・第30期の有価証券報告書と6本の四半期報告書を訂正したというものです。ここで正確に押さえるべきは次の2点です。
- これは税額計算の誤りに起因する訂正であり、不正会計・粉飾ではありません。
- 訂正の結果、第29期の純利益は199百万円から232百万円へ+33百万円(+14.22%)の上方修正となりました。利益を過大計上していたのではなく、逆方向の訂正です。
一方、労働基準法違反の公表事案、食品衛生法違反による行政処分、係争中の訴訟については、第34期有価証券報告書の偶発債務・重要な後発事象欄を含め、一次情報の範囲では該当する記載が見当たりませんでした。存在しない事実を推測で示唆することは避けます。人員削減(整理解雇・希望退職募集)についても同様に有報に記載はなく、むしろリスク項目の第2位に「人財の確保および人件費の高騰」を挙げ、採用難を経営課題としています。
なお、女性活躍推進法にもとづく開示として、全労働者ベースの男女賃金差異はテンポスバスターズ56.8%、ヤマトサカナ57.4%、あさくま55.2%、サンライズサービス53.2%、管理的地位にある女性労働者の割合はテンポスバスターズ4.0%、ヤマトサカナ11.3%、あさくま0.0%と開示されています(公式情報)。臨時雇用者に女性が多い業態であることが差異の一因と推定情報として考えられますが、女性管理職比率の水準は応募前に確認したい項目です。
テンポスホールディングスへの転職が向いている人・向いていない人
ここまでの公式情報と口コミ傾向をふまえ、適性を整理します(推定情報を含みます)。判断の軸は「若いうちの裁量と経験」を「給与水準の安定」より優先できるかどうかに集約されます。
| 向いている人 | 向いていない人 |
|---|---|
| 20代のうちに店舗運営・数字責任を任されたい人(OpenWorkの20代成長環境4.3) | 入社時点から600万円台の年収水準を求める人(子会社の平均は402万〜536万円) |
| 給与・賞与が社内で全公開される透明性を歓迎できる人 | 体系的な研修・長期育成プログラムを重視する人(人材の長期育成2.7) |
| 厨房機器・物件・内装・リース・人材と複数商材を組み合わせる提案営業に関心がある人 | 担当商材を一つに絞って専門性を深めたい人 |
| パート・アルバイト中心の店舗をまとめるマネジメント経験を積みたい人 | プレイヤーとして個人成果のみを積み上げたい人 |
| M&Aで事業が増え続ける環境の変化を面白いと感じる人 | 制度・カルチャーが成熟した安定組織で働きたい人 |
| 年功ではなく手挙げと実績で役割が変わる仕組み(社長の椅子争奪戦など)に惹かれる人 | 労働組合を通じた交渉の仕組みを重視する人(同社に労働組合はない) |
テンポスホールディングスに関するよくある質問(FAQ)
検索されている疑問のうち、転職・就職判断に直接関わるものに絞って回答します。
テンポスホールディングスの店舗数はどのくらいですか?
中核子会社のテンポスバスターズは、2026年4月の三島店開店で80店舗目に到達しました(公式情報)。飲食事業ではあさくまグループが70店舗超を運営しています。中期的には「全国制覇300店舗体制」を目標に掲げていますが、第34期の出店は新規4店舗+移転2店舗の計6店舗で、出店目標12店舗に対して未達だったことが有価証券報告書に記載されています。
平均年収613万円は本当にもらえますか?
この6,132千円は提出会社(持株会社)に在籍する従業員31名の平均であり、グループ全体の水準ではありません(公式情報)。同じ有価証券報告書に開示された子会社の平均年間給与は、テンポスバスターズ5,356千円、ヤマトサカナ4,867千円、あさくま4,020千円です。応募職種がどの法人に属するかを確認したうえで、該当する会社の水準を基準に判断してください。
残業時間や有給休暇の実態はどうですか?
OpenWorkの「テンポスバスターズ」ページでは月間残業時間25.9時間、有給休暇消化率56.6%と示されています(口コミ傾向・回答者57人)。一方、別法人として上場する子会社あさくまのページでは月間残業69.5時間、有給消化率23.9%と示されていますが、こちらは回答者12人と母数が限られます。いずれもサンプル数が限られるため、法人ごと・職種ごとに労働条件通知書で確認することをおすすめします。
中途採用ではどんな職種を募集していますか?
公式採用サイトでは、厨房機器の店頭販売・法人営業のほか、各種システムの提案型営業などが掲載されています。有価証券報告書では情報・サービス事業のスタジオテンポスについて「営業部門の人員確保が課題」と記載されており、この領域での人材ニーズがあると推定情報として考えられます。最新の募集要項は公式採用サイトで確認してください。
子会社のあさくまに応募する場合、待遇は同じですか?
異なります。株式会社あさくまは証券コード7678で東証スタンダードに単独上場する別法人で、テンポスホールディングスの議決権所有割合は62.2%です。平均年間給与4,020千円、平均年齢38.1歳、平均勤続年数3.7年と、持株会社やテンポスバスターズとは数値が別建てで開示されています(公式情報)。グループ内であっても、応募先の法人単位で条件を確認する必要があります。
テンポスホールディングスへの転職判断まとめ
ここまでの内容を、判断軸ごとに整理します。総合すると、この会社は「若手に早く裁量を渡す代わりに、給与水準は業界の中位に置く」という設計であり、その交換条件を受け入れられるかどうかが判断の分かれ目になると考えられます(編集部の見解を含みます)。最終的な判断は、求人票だけでなく自分の経験・適性も含めて確認しましょう。
| 判断軸 | 評価 |
|---|---|
| 年収水準 | 持株会社613.2万円/事業子会社402.0万〜535.6万円。応募先法人で最大約210万円の差。有報の数字をそのまま自分に当てはめないことが前提 |
| 成長機会 | 20代成長環境4.3(OpenWork)と、社長公募・コース選択制など手挙げ型の制度。若いうちの経験値という点では強みが明確 |
| 労働環境 | テンポスバスターズは月間残業25.9時間・有給消化56.6%。ただし法令順守意識2.6という口コミ傾向があり、変形労働時間制の運用実態は要確認 |
| 財務・業績 | 第34期は増収増益、自己資本比率60.35%、継続企業の前提に関する注記なし。ただし純利益は▲8.3%、情報・サービス事業は営業損失 |
| 組織構造 | 連結1,306名に対し臨時雇用者1,536名。飲食事業は臨時が正社員の約2.5倍で、マネジメント負荷が高い可能性 |
| 将来性 | 開業支援と撤退対応の両輪で需要の総量は落ちにくい。一方、売上2,000億円・300店舗の目標に対し会社自身が未達を認めており、成長ストーリーは割り引いて見る必要 |
| キャリアの汎用性 | 厨房機器メーカー、飲食店向けPOS・SaaS、外食チェーンの店舗開発・購買など周辺業界への展開余地あり |

結局、この会社は自分に合うのでしょうか?
判断材料を1つに絞るなら、「入社3年間で得られる経験の量」と「入社3年間で得られる給与の総額」のどちらを優先するかです。前者を取るなら検討する価値があり、後者を優先するなら、同じ年収帯でより固定給比率の高い企業を並べて比較したほうが納得のいく選択になるでしょう。
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この記事の編集方針・情報の確認について
この記事は、公式公開情報(有価証券報告書・IR資料)、求人情報、口コミ傾向をそれぞれ分けて整理し、転職・就職判断に役立つよう編集しています。年収・平均年齢・平均勤続年数・従業員数などの中核データは第34期(2026年4月期)有価証券報告書「従業員の状況」を一次情報として確認し、持株会社単体と連結子会社の数値を明確に区別したうえで、口コミ・推定情報とも切り分けています。記載内容は最終更新時点の公開情報にもとづきます。最新の正確な数値は各公式IRページでご確認ください。
