くろがね工作所はやばい?8期連続営業赤字と自己資本比率56.7%を有報で読む
※本記事にはプロモーションを含みます。
この記事の結論
- 本業は8期連続赤字:第106期まで連結営業損失が続く事実は有報に明記
- ただしGC注記は不記載:自己資本比率56.7%・純資産48億円で財務は厚め
- 年収は約488万円:平均年齢47.5歳・勤続20.3年の年功長期定着型
- 規模は業界大手の数十分の一:連結264名・売上63億円の超小型メーカー
「くろがね工作所 やばい」——この検索候補を見て、このページにたどり着いた方が多いのではないでしょうか。株式会社くろがね工作所(証券コード7997・東証スタンダード市場・大阪市西区)は、1927年創業のスチール製オフィス家具メーカーです。結論から言えば、「8期連続の営業損失」という不安材料と、「継続企業の前提に関する注記は付いていない」「自己資本比率56.7%」という安心材料が同時に存在する会社です。この記事では、第106期(2025年11月期)有価証券報告書の実額をもとに、どこが本当に厳しく、どこは過度に心配しなくてよいのかを、事実と口コミと推定に分けて整理します。なお同名の「くろがね工業株式会社」(別会社・非上場)とは異なる企業ですので、証券コード7997・大阪市西区新町の上場企業として読み進めてください。
くろがね工作所は「やばい」のか?8期連続営業赤字とGC注記なしの両方を見る
最初に、この記事の主題に正面から答えます。公式情報として確認できる事実は2つあり、それは互いに逆を向いています。ひとつは「本業の赤字が8期続いている」こと、もうひとつは「それでも監査上の継続企業の前提に関する注記は付いていない」ことです。どちらか一方だけを取り上げると読み手の判断を誤らせるため、両方を並べて確認していきます。「やばい会社と断定できる根拠」も「まったく心配ないと言い切れる根拠」も、どちらも単独では成立しないというのが実態です。

8期連続で営業赤字と聞くと不安です。入社して大丈夫でしょうか?
有価証券報告書に書かれた「継続企業の前提に重要な疑義」とは何か
第106期有価証券報告書によると、同社は「当社グループは、当連結会計年度まで8期連続で営業損失を計上していることから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております」と自ら記載しています。これは会計上「重要事象等」と呼ばれる開示で、会社が自社の状況を客観的に説明した一次情報です。転職検討者にとって重要なのは、これが噂やネット上の書き込みではなく、法定開示書類に書かれた同社自身の言葉だという点です。8期という期間は、単年度の景気変動やコロナ禍のような一過性の要因では説明しきれない長さで、事業構造そのものが利益を生みにくくなっていることを示していると推定情報として考えられます。
それでも「継続企業の前提に関する注記」は記載されていない
ここが最も誤解されやすいポイントです。有価証券報告書によると、同社は上記の疑義に対する対応策として、中期経営計画『Revive2025』から新中計『Power Up 2028』への移行、三菱UFJ銀行との当座貸越契約4億円、2025年9月に商工組合中央金庫と締結したポジティブ・インパクト・ファイナンスによる2億円の借入などを挙げ、その結果「継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断し、継続企業の前提に関する注記は記載しておりません」としています。つまり、いわゆるGC注記そのものは付いていません。「重要事象等の記載がある」ことと「GC注記が付いている」ことは会計上まったく別の段階であり、同社は前者に該当し後者には該当しません。ネット上では両者が混同されて語られることがあるため、ここは正確に区別してください。
自己資本比率56.7%・純資産48億51百万円という反証
財務の体力面を見ると、印象はさらに変わります。有価証券報告書によると、第106期末の連結自己資本比率は56.7%、純資産額は48億51百万円、総資産額は85億46百万円です。自己資本比率の5期推移は35.0%→34.1%→52.1%→56.8%→56.7%で、直近3期は50%台後半を維持しています。現金及び現金同等物の期末残高は10億26百万円、営業キャッシュ・フローは第106期に7,648万円のプラスへ転じました(前期は2億4,897万円のマイナス)。推定情報としての整理になりますが、売上規模63億円の会社が純資産48億円を持っている状態は、短期的な資金繰りで直ちに行き詰まる財務構造とは言いにくいと考えられます。一方で監査上の主要な検討事項(KAM)には「共用資産に係る固定資産の減損損失の認識の判定」(有形固定資産23億87百万円と無形固定資産56百万円で総資産の28.6%)が挙げられており、赤字が続けば資産の評価が論点になり続ける状態でもあります。「すぐに潰れる」とも「何の懸念もない」とも断定できない——これが第106期時点の事実に基づく整理です。
くろがね工作所の公式データ一覧(第106期有価証券報告書ベース)
ここから先の議論の土台となる数値を、先に一覧で確認します。すべて公式情報で、出典は第106期(2024年12月1日〜2025年11月30日)の有価証券報告書(2026年2月25日提出)です。決算期が11月であることに注意してください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社くろがね工作所(証券コード7997・東証スタンダード市場) |
| 本社所在地 | 大阪府大阪市西区新町一丁目4番24号(大阪四ツ橋新町ビル) |
| 創立 | 1927年(昭和2年)3月/2027年に創業100年 |
| 代表者 | 代表取締役社長 田中 成典(1957年生/旧三和銀行出身) |
| 平均年間給与 | 約488万円(4,881千円・賞与および基準外賃金を含む) |
| 平均年齢 | 47.5歳 |
| 平均勤続年数 | 20.3年 |
| 従業員数 | 連結264名/提出会社(単体)248名 |
| 売上高 | 連結63億42百万円(前期比12.0%減) |
| 営業利益 | 連結営業損失1億22百万円(前期は営業損失27百万円) |
| 経常利益 | 連結経常損失773万円 |
| 当期純利益 | 親会社株主に帰属する当期純利益4億3百万円(前期比92.5%増) |
| 純資産・自己資本比率 | 純資産48億51百万円/自己資本比率56.7% |
| 資本金 | 29億9,845万円 |
| 決算期 | 11月期(第106期=2024年12月1日〜2025年11月30日) |
| 労働組合 | JAMくろがね工作所労働組合(組合員172名) |
| 出典 | 第106期 有価証券報告書(2026年2月25日提出)/2025年11月期決算短信/公式IR |
なお有価証券報告書では、女性活躍推進法および育児介護休業法の公表義務対象外であることを理由に、管理職に占める女性労働者の割合・男性の育児休業取得率・男女の賃金の差異の記載が省略されています。これは常時雇用する労働者が301人未満の規模であることを示す情報でもあり、推定情報として言えば、大手のように制度の数値が横並びで比較できる環境ではない点は理解しておくべきです。
業績推移で見る実像|売上5期縮小と「本業赤字・最終黒字」の構造
「やばいのか」という問いに答えるには、単年度ではなく推移で見る必要があります。結論を先に言えば、売上は5期で83億円台から63億円台へ縮小し、利益は本業では赤字、最終損益では黒字という二層構造になっています。この構造を理解すると、求人票や企業サイトだけでは見えないリスクの所在がはっきりします。
連結売上高5期推移とセグメント別内訳
有価証券報告書の「主要な経営指標等の推移」によると、連結売上高は第102期83億73百万円→第103期69億20百万円→第104期71億80百万円→第105期72億03百万円→第106期63億42百万円と推移しています。第106期は前期比12.0%減で、5期の中で最も低い水準です。セグメント別では、主力の家具関連事業が47億21百万円(前期比10.7%減)、建築付帯設備機器事業が16億21百万円(同15.4%減)と、両セグメントがそろって二桁減となりました。公式情報に基づくこの数字が示すのは、特定事業の不振ではなく全社的な受注減という状況です。
| 期 | 連結売上高 | 経常利益 | 親会社株主帰属当期純利益 | 自己資本比率 | 連結従業員数 |
|---|---|---|---|---|---|
| 第102期 | 83億73百万円 | △70百万円 | △5百万円 | 35.0% | 279名 |
| 第103期 | 69億20百万円 | △265百万円 | △566百万円 | 34.1% | 264名 |
| 第104期 | 71億80百万円 | △178百万円 | +12億14百万円 | 52.1% | 257名 |
| 第105期 | 72億03百万円 | +19百万円 | +2億09百万円 | 56.8% | 254名 |
| 第106期 | 63億42百万円 | △7百万円 | +4億3百万円 | 56.7% | 264名 |
この表で注目したいのは、経常利益がほぼ一貫してマイナス圏にありながら、第104期以降の最終利益と自己資本比率が大きく改善している点です。従業員数は279名から254名まで減った後、第106期に264名へ微増しています。
営業赤字なのに最終黒字になる理由
第106期は連結営業損失1億22百万円(前期は営業損失27百万円)、連結経常損失773万円である一方、親会社株主に帰属する当期純利益は4億3百万円の黒字です。この差は、投資有価証券売却益などの特別利益によって生じています。第104期に純利益が12億14百万円へ跳ね上がったのも同じ性質の要因です。推定情報としての解釈になりますが、これは保有資産を売却して最終利益と自己資本を積み上げている構造であり、本業の稼ぐ力が回復した結果の黒字ではないと考えられます。転職検討者にとっての意味は明快で、「決算は黒字です」という説明を受けた場合、それが営業段階の黒字なのか特別利益による黒字なのかを面接や内定後の質問で必ず切り分けるべき、ということです。同時に、売却できる資産を持っていること自体が当面の耐久力になっている点も事実です。
2026年11月期(第107期)の進捗はどうなっているか
直近の進捗も見ておきます。2026年11月期は第1四半期に経常損失1億10百万円、中間期に経常損失17百万円となり、会社予想の中間期経常利益15百万円には届きませんでした。通期の経常利益予想は75百万円で、2026年7月15日時点で据え置かれています。公式情報としてはここまでで、通期の着地は本記事執筆時点では確定していません。推定情報として言えば、通期予想を達成するには下期偏重の収益改善が必要な状態にあり、転職を検討するなら次の本決算の内容を確認してから判断するという選択肢も現実的です。
くろがね工作所の年収は約488万円|平均年齢47.5歳・勤続20.3年が示すもの
年収について、まず公式の一次情報から確認します。結論を言えば、平均年間給与は約488万円で、平均年齢47.5歳という年齢構成を考えると、同年代の平均的な水準に対して高いとは言いにくい数値です。ただし、この数字は「40代後半の社員が中心の会社の平均」であるという前提を外すと読み違えます。
有価証券報告書に記載された公式数値
第106期有価証券報告書「従業員の状況(提出会社の状況)」によると、2025年11月30日現在の平均年間給与は4,881千円(約488万円)、平均年齢は47.5歳、平均勤続年数は20.3年です。給与には賞与および基準外賃金が含まれます。従業員数は連結264名・提出会社単体248名で、両者の差はわずか16名です。公式情報として押さえておきたいのは、この乖離の小ささが意味することです。持株会社形態で単体に高給の管理部門だけが残るような構造ではないため、有報の488万円は現場の実感値に比較的近いと考えられます。ただし単体248名には津工場の製造職121名と本社・営業部門が混在しているため、職種別には相応のばらつきがある可能性があります。
平均年齢47.5歳・平均勤続20.3年という組み合わせは、逆算すると20代後半で入社した社員がほとんど辞めずに定着していることを意味します。これは「長期定着・年功型」の典型的な人員構成です。裏を返せば、若手の採用・在籍が少なく、中途入社者が同世代の先輩に囲まれて働く環境になりやすいということでもあります。
口コミに繰り返し出てくる賞与・昇給の話
口コミ傾向としては、給与の決まり方について一貫した投稿が見られます。OpenWork・転職会議・エン カイシャの評判・就活会議の投稿を通して繰り返し出てくるのは、実力評価よりも規定の昇給システムで給与が決まるという指摘と、賞与の水準について「最近は月給1か月分を超えない」という声です。これらはあくまで投稿者個人の体験に基づく記述であり、会社が公表した数値ではありません。推定情報として整理すると、年功で緩やかに上がる代わりに、成果を出しても短期間で大きく報酬が動く仕組みにはなっていない可能性があります。8期連続で営業損失が続いている財務状況を踏まえれば、賞与原資が潤沢とは考えにくい、という見方も成り立ちます。
転職時に確認したい年収の見方(推定情報)
年収面で確認しておくと後悔が減るポイントを、推定情報として整理します。
- 提示年収の内訳(基本給・固定残業代・賞与見込み)を分けて確認する。平均488万円には賞与と基準外賃金が含まれます
- 賞与が業績連動なのか固定的な支給なのか、直近3期の実績月数を質問する
- 年功型の昇給テーブルにおいて、中途入社者がどの等級からスタートするかを確認する
- 津工場勤務と本社・営業拠点勤務で手当・勤務形態がどう異なるかを確認する
- 役職定年や再雇用の条件(平均年齢47.5歳の組織では自分の10年後に直結します)を確認する
オフィス家具・什器5社比較|規模と年収の差をどう受け止めるか
くろがね工作所を単体で見ても判断は難しいため、読者が実際に併願・比較しうるオフィス家具・オフィス空間系の上場5社と並べます。売上規模で見ると、くろがね工作所はオカムラの約50分の1、コクヨの約57分の1という位置づけです。公式情報(各社有価証券報告書等)と口コミ傾向(OpenWork総合スコア)を分けて掲載します。
| 企業名(コード) | 対象決算期 | 連結売上高 | 営業利益(利益率) | 有報 平均年間給与 | 平均勤続年数 | OpenWork総合 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| くろがね工作所(7997) | 2025年11月期 | 63.4億円 | 営業損失1.22億円 | 約488.1万円 | 20.3年 | 2.60 |
| オカムラ(7994) | 2026年3月期 | 3,290.3億円 | 241.4億円(7.34%) | 約852.9万円 | 17.3年 | 2.98 |
| コクヨ(7984) | 2025年12月期 | 3,598.8億円 | 262.5億円(7.3%) | 約786万円 | 15.4年 | 3.61 |
| イトーキ(7972) | 2025年12月期 | 1,536.8億円 | 136.9億円(8.9%) | 約757万円 | 13.4年 | 2.99 |
| 小松ウオール工業(7949) | 直近本決算 | 467.3億円 | 41.0億円(8.8%) | 約666.2万円 | ― | 2.44 |
比較にあたっての注意点を3つ挙げます。第一に、各社の決算月が異なります。くろがね工作所は11月期、オカムラは3月期、コクヨとイトーキは12月期であり、同一時点の比較ではありません。第二に、有報の平均年間給与はいずれも提出会社(単体)の数値で、連結従業員との乖離が大きい会社では現場実感と離れる場合があります。くろがね工作所は単体248名・連結264名と乖離が小さいため、この点では比較的素直に読める数値です。第三に、OpenWorkの総合スコアは回答者数が大きく異なり、くろがね工作所は回答者15名ベースであるため、大手のスコアと同じ重みでは扱えません。
この表から読み取れることを推定情報として整理すると、次のようになります。年収面では上場大手との差が大きく、待遇の最大化を第一目的とするなら他の4社を優先的に検討する合理性があります。一方で、平均勤続年数20.3年は5社中で最も長く、離職の少なさという点では特徴的です。また、規模が小さいということは、一人が担当する製品や顧客の範囲が広くなりやすいという意味でもあります。数千人規模の大手で細分化された役割を担うのか、260人規模の会社で企画から現場対応まで幅広く関わるのかは、キャリアの好みの問題として分かれるところです。
勤務地は大阪本社と三重・津工場|「津工場」が検索される理由
くろがね工作所の関連検索で「津工場」が上位に来るのには理由があります。同社の生産機能は、事実上この1拠点に集約されているからです。転職後の勤務地を具体的にイメージするうえで、拠点構成は年収と同じくらい重要な情報です。
生産機能は三重県津市の津工場1拠点に集約されている
第106期有価証券報告書「主要な設備の状況」(2025年11月30日現在)によると、提出会社の主要設備として記載されているのは津工場(三重県津市)のみで、従業員121名、土地面積66,329平方メートル、帳簿価額合計19億31百万円と記載されています。単体248名のうち約半数が津工場に所属している計算になり、製造・生産技術・品質管理といった職種で入社する場合は三重県勤務が前提になります。この集約は一朝一夕のものではなく、寝屋川工場は2007年5月に、京都工場(八幡市)は2023年8月に、いずれも津工場へ移転集約されています。公式情報として確認できるのはこの移転集約の事実であり、京都工場の跡地の扱いについては本記事では触れません。津工場はISO14001(2000年4月)およびISO9001(2001年9月)の登録を受けており、第106期の設備投資総額75百万円のうち家具関連65百万円は主に津工場の省力化・効率化投資に充てられています。
営業拠点・ショールームは全国に分散している
営業・設計・提案系の職種であれば、勤務地の選択肢は広がります。営業拠点・ショールームは東京・札幌・名古屋・三重(津)・大阪・福岡などに展開しており、本社は大阪市西区新町の大阪四ツ橋新町ビルにあります。推定情報として言えば、従業員264名という規模に対して拠点が全国に分散しているということは、1拠点あたりの人数が少なく、営業担当が一人で広いエリアや複数の顧客タイプ(オフィス・病院・学校・公共施設)を受け持つ体制になりやすいと考えられます。口コミ傾向として「現場対応のため土日の休日出勤が発生することがある」という声が見られるのも、什器の納入・据付が休日や夜間に行われる業界特性と、少人数体制が重なった結果である可能性があります。
社員口コミの傾向|OpenWork総合2.60の中身と、母数の小ささ
ここからは口コミ傾向のパートです。最初に強調しておきたいのは、くろがね工作所の口コミは母数が非常に小さいという点です。スコアそのものより、繰り返し出てくるテーマに注目したほうが実態に近づけます。
スコアの内訳と回答者数
OpenWorkの総合評価は5.0満点中2.60で、これは回答者15名ベースの数値です。月平均残業時間は34.9時間、有給休暇消化率は45.6%と掲載されています。項目別では、待遇面の満足度2.6、社員の士気2.2、風通しの良さ2.9、社員の相互尊重2.5、20代成長環境2.8、人材の長期育成2.2、法令順守意識2.7、人事評価の適正感2.8となっており、社員の士気と人材の長期育成が2.2と特に低い水準です。他媒体では、転職会議に37件(うち退職理由4件)、エン カイシャの評判は総合3.1(正社員9名回答)で口コミ32件、就活会議に32件が掲載されています。いずれも設問によっては回答者が10名前後にとどまるため、統計的な代表性は低いという前提で読む必要があります。総合スコアの数値だけを根拠に社風を断定することは避けてください。
投稿に繰り返し出てくる5つのテーマ
媒体をまたいで繰り返し登場するテーマを整理すると、次の5点になります(いずれも口コミ傾向であり、会社の公表事実ではありません)。
- 強い年功序列で、実力評価ではなく規定の昇給システムによって給与が決まるという指摘
- 賞与の水準が低く、「最近は月給1か月分を超えない」という趣旨の投稿
- 残業は多めで、現場対応のため土日の休日出勤が発生することがあるという声
- 仕事への意識が低く、残業前提で作業する人もいるという社内からの批判的な指摘
- 「健康な若手に経営を任せるべき」といった、経営層の高齢化・意思決定スピードへの不満
これらを有価証券報告書の数値と突き合わせると、整合する部分があります。平均年齢47.5歳・平均勤続20.3年という構成は年功型の運用と親和的ですし、8期連続の営業損失は賞与原資の制約と結びつきやすい要素です。推定情報として言えば、口コミの不満と財務の状況は別々の話ではなく、同じ構造から出ている可能性が高いと考えられます。
逆に評価されている点
ネガティブな面だけを見るのは公平ではありません。口コミ傾向として、長期定着のしやすさと老舗ならではの落ち着いた社風を評価する声もあります。平均勤続20.3年という数値は、比較した5社の中で最も長く、「良く言えば穏やか、悪く言えば停滞」という評価軸で語られることが多い会社です。また会社側の取り組みとして、健康経営優良法人2026(ブライト500)および三重とこわかカンパニー(ホワイトみえ)の認定を受けていることが公式情報として確認できます。JAMくろがね工作所労働組合(組合員172名)が存在し、労働条件の交渉窓口が制度として整っている点も、少人数企業としては安心材料の一つです。業績の厳しさと、働き方に関する対外的な取り組みが同居しているのがこの会社の特徴です。
将来性はどうか|新中期経営計画『Power Up 2028』と上場維持基準
将来性を考えるうえで押さえるべきは、「会社が何で反転を狙っているか」と「上場企業として置かれている環境」の2点です。一般論としての将来性ではなく、同社固有の材料で見ていきます。
新中計『Power Up 2028』が掲げる5つの柱
2023年11月期から2025年11月期までの中期経営計画『Revive2025』が終了し、2026年11月期からは新たな3か年計画『Power Up 2028』が始まっています。公式情報として掲げられている柱は、①米国Steelcase社の製品・知見利用の最大化、②オフィスデザイン・提案事業の拡大、③内装工事への取り組み強化、④PM(プロジェクトマネジメント)事業への本格的な取り組み、⑤サーキュラーエコノミーへの対応、の5点です。同社は1973年に米国Steelcase社との提携で株式会社エス・ケイ(現・ケイ・エス・エム株式会社)を設立した経緯があり、海外ブランドとの接点は260人規模のメーカーとしては特徴的な資産です。推定情報としての見方になりますが、①〜④はいずれも「モノを作って売る」から「空間を提案して工事まで請け負う」への軸足移動であり、求められる人材像も、製造・製品営業中心から、設計提案・プロジェクト管理・施工管理の経験者へと広がる方向にあると考えられます。中途で入るなら、この移行の担い手として自分の経験がどこに接続するかを整理しておくと話が通りやすいはずです。
オフィス家具業界の中での立ち位置
業界文脈として、オフィス家具・什器市場はハイブリッドワークの定着を受けて「席を増やす」需要から「オフィスをつくり変える」需要へ移り、リニューアル・レイアウト変更・コラボレーション空間の提案力が競争軸になっています。同時に鋼材をはじめとする原材料費や物流費の上昇が続き、価格転嫁と生産性向上を同時に進める必要があるという構図は、規模の大小を問わず各社に共通しています。この環境で、オカムラ・コクヨ・イトーキといった大手は提案・設計・施工までを含むワンストップ体制と全国のショールーム網で受注を伸ばしてきました。推定情報として整理すると、くろがね工作所が同じ土俵で正面から競うのは規模の面で難しく、病院・医療福祉施設向け什器(病室用設備ユニット「メディ・ウォード・システム」)、学校・公共施設向け什器、吊り下げ式バリアフリードア「アクドアユニット」などの建具、クリーンルーム機器、宅配ボックス、学習机といった、大手が手薄な領域や特定用途の製品でどれだけ固有の顧客を維持できるかが将来性を左右すると考えられます。持分法適用関連会社の日本アキュライド株式会社(精密スライドレール)を含め、ニッチな製品資産を複数持っていること自体は分散の効いた構造です。
上場維持基準と、時価総額20億円弱という超小型株であること
転職検討者が見落としがちなのが、上場企業としての立ち位置です。同社は東証スタンダード市場に上場しており、上場維持基準の適合に向けた計画を長期にわたって開示し、2024年2月・2025年2月に進捗状況を開示してきました。その後、2025年12月23日に「上場維持基準への適合に関するお知らせ」を開示しています。ただし本記事では当該開示の本文詳細(適合した具体的指標や数値)までは参照していないため、「適合に関するお知らせを開示した」という事実の範囲にとどめて記載します。時価総額は約17〜20億円規模の超小型株で、株主構成はワイ・ケイ株式会社8.87%、エイ・シイ工業株式会社8.35%、くろがね取引先持株会6.66%、くろがね従業員持株会4.39%、住友生命保険相互会社3.80%、三菱UFJ銀行3.41%などで、上位10位合計42.40%です。親会社は存在せず、三和グループ「みどり会」に所属しています。2025年2月には監査等委員会設置会社へ移行しました。推定情報として言えば、事業会社・持株会中心の安定株主構成は短期的な資本の混乱が起きにくい一方、超小型株であることは今後の資本政策次第で株主構成や経営体制が変わる可能性を含んでいるということでもあります。長期のキャリアを預ける先として見るなら、次の本決算と適時開示は入社前に一度確認しておくことをおすすめします。
くろがね工作所への転職が向いている人・向いていない人
ここまでの公式情報と口コミ傾向をふまえ、適性を整理します(推定情報を含みます)。年収や規模といった条件面だけでなく、「業績が厳しい局面の会社で働くことをどう捉えるか」が最大の分岐点になります。
| 向いている人 | 向いていない人 |
|---|---|
| 老舗メーカーで腰を据えて長く働きたい人(平均勤続20.3年) | 短期間で年収を大きく引き上げたい人(平均約488万円・年功型) |
| 三重県津市または大阪勤務を前向きに選べる人 | 勤務地の選択肢の多さや転勤の柔軟性を重視する人 |
| 少人数体制で企画から現場対応まで幅広く関わりたい人 | 分業された環境で専門領域を深く極めたい人 |
| オフィス以外(病院・学校・公共施設・建具)の什器に関心がある人 | 成果がすぐ評価・報酬に反映される仕組みを求める人 |
| 業績が厳しい局面での立て直しに関わることを面白いと感じる人 | 業績や上場維持に関する不確実性を抱えたくない人 |
| 提案・設計・施工管理の経験を新中計の柱に接続できる人 | 大手の潤沢な予算・ブランド力を前提に働きたい人 |
くろがね工作所に関するよくある質問(FAQ)
検索されている疑問のうち、公開情報から回答できるものをまとめました。
くろがね工作所は倒産する可能性がありますか?
断定はできません。事実として押さえるべきは2点です。第106期有価証券報告書に「8期連続で営業損失を計上していることから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在」と記載されている一方、会社は対応策により重要な不確実性は認められないと判断し、継続企業の前提に関する注記は記載していません。加えて自己資本比率56.7%・純資産48億51百万円・現金及び現金同等物10億26百万円という財務状況にあります。推定情報として、直ちに資金繰りが行き詰まる状況とは読み取りにくい一方、本業の赤字が続いていること自体はリスクとして残ります。
くろがね工作所の年収はどのくらいですか?
第106期有価証券報告書によると、提出会社の平均年間給与は約488万円(4,881千円・賞与および基準外賃金を含む)です。平均年齢47.5歳・平均勤続20.3年の組織の平均値である点に注意してください。オカムラ約852.9万円、コクヨ約786万円、イトーキ約757万円といった上場大手とは差があります(各社とも有報の提出会社単体数値、対象決算期は異なります)。
くろがね工作所の工場はどこにありますか?
三重県津市の津工場が実質的な唯一の生産拠点です。第106期有価証券報告書「主要な設備の状況」(2025年11月30日現在)では、提出会社の主要設備として津工場のみが記載され、従業員121名・土地66,329平方メートル・帳簿価額合計19億31百万円とされています。寝屋川工場は2007年5月に、京都工場(八幡市)は2023年8月に、いずれも津工場へ移転集約されました。
従業員数や会社の規模はどのくらいですか?
2025年11月30日現在で連結264名、提出会社(単体)248名です。連結従業員数は第102期279名→第103期264名→第104期257名→第105期254名→第106期264名と推移しています。売上規模は連結63億42百万円で、オカムラ(3,290.3億円)やコクヨ(3,598.8億円)とは桁が2つ近く異なります。労働組合はJAMくろがね工作所労働組合(組合員172名)です。
くろがね工作所はどんな製品を作っている会社ですか?
事業セグメントは「家具関連」と「建築付帯設備機器」の2つです。家具関連は事務用デスク・チェア・書庫・ファイリングシステムに加え、病院や医療福祉施設向けの什器(病室用設備ユニット「メディ・ウォード・システム」)、学校・公共施設向け什器、学習机などの家庭用家具、宅配ボックス、事務用紙器・紙工品まで扱います。建築付帯設備機器は、吊り下げ式バリアフリードア「アクドアユニット」などの建具・建築内部造作物・据付工事と、空調機器やクリーンルーム関連機器です。連結子会社はケイ・エス・エム、くろがね興産、ケイ・エフ・エスの3社です。
検索結果に出てくる「くろがね工業」と同じ会社ですか?
別会社です。本記事が扱っているのは、証券コード7997・東証スタンダード市場に上場し、本社を大阪市西区新町に置く「株式会社くろがね工作所」です。非上場の「くろがね工業株式会社」とは異なりますので、求人情報や口コミを参照する際は社名と所在地を照合してください。
くろがね工作所への転職判断まとめ
ここまでの内容を、判断軸ごとに整理します。最終的な判断は、求人票だけでなく自分の経験・適性、そして直近の適時開示も含めて確認しましょう。
| 判断軸 | 評価(公式情報+推定情報) |
|---|---|
| 年収水準 | 平均約488万円。上場大手4社との差は大きく、待遇最優先なら他社比較が必要 |
| 業績・財務 | 8期連続営業損失は重い一方、自己資本比率56.7%・純資産48億円で財務は厚い |
| 雇用の安定 | GC注記は不記載。平均勤続20.3年で定着率は5社中最長 |
| 働き方 | OpenWork掲載の月平均残業34.9時間・有給消化率45.6%(回答者15名ベース) |
| 勤務地 | 製造職は三重県津市がほぼ前提。営業系は大阪本社ほか全国拠点 |
| キャリアの広がり | 少人数のため守備範囲は広い。新中計で提案・内装・PM領域へ拡張中 |
| 不確実性 | 上場維持基準に関する開示を継続。時価総額20億円弱の超小型株 |
編集部の見解
編集部の見解として、くろがね工作所は「事実として厳しい部分と、過度に恐れる必要のない部分がはっきり分かれている会社」だと考えます。8期連続の営業損失と売上の縮小基調は、転職判断において軽視してよい材料ではありません。本業で利益が出ていない以上、賞与や昇給の余地が広がりにくく、口コミに現れる不満とも整合します。一方で、自己資本比率56.7%・純資産48億51百万円という財務、GC注記が記載されていないという事実、平均勤続20.3年という定着の実績は、「明日にも職を失う」という類の不安とは距離があります。総合すると、年収と成長スピードを最優先する人には積極的におすすめしにくく、勤務地・仕事の幅・長く働ける環境を重視し、立て直し局面に関わることに価値を感じる人には検討する意味がある会社です。応募する場合は、直近の四半期開示と通期予想の達成状況、そして提示条件の賞与前提を必ず確認したうえで判断してください。
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この記事の編集方針・情報の確認について
この記事は、公式公開情報(有価証券報告書・IR資料)、求人情報、口コミ傾向をそれぞれ分けて整理し、転職・就職判断に役立つよう編集しています。年収・平均年齢・平均勤続年数・従業員数などの中核データは第106期有価証券報告書「従業員の状況」を一次情報として参照し、口コミ・推定情報とは明確に区別しています。継続企業の前提に関する記述は、「重要な疑義を生じさせるような状況の記載(重要事象等)」と「継続企業の前提に関する注記」が会計上まったく別であることを踏まえ、同社が該当するのは前者であり後者ではないという事実関係を厳密に区別して記載しました。記載内容は最終更新時点の公開情報にもとづきます。最新の正確な数値は各公式IRページでご確認ください。
