TOTOの平均年収781万円|利益の半分を稼ぐのはトイレではない
※本記事にはプロモーションを含みます。
TOTOの平均年間給与は、2026年3月期の有価証券報告書で7,812,740円(前年比3.4%増)です。5年前の669万円から112万円上がっています。ただしこの記事で本当にお伝えしたいのは金額ではありません。この会社の営業利益の54%は、売上のわずか9%しかないセラミック事業が稼いでいます。 年収を調べるなら、そこまで見ないと判断を誤ります。
結論|年収は上がり続けている。ただし会社の中身が変わった
| 評価項目 | 判定 | 根拠(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 年収水準 | ◎ | 平均781万2,740円(前年比+3.4%)。5年で+112万円 |
| 財務の安全性 | ◎ | 自己資本比率63.8%。5期を通じて62〜64%で安定 |
| 直近の業績 | ◎ | 経常利益607億円(前期比+20.5%)・純利益403億円 |
| 雇用の推移 | △ | 連結従業員は4年で4,290名減(34,614→30,324名) |
| 事業の偏り | △ | 売上9%のセラミック事業が**営業利益の54%**を稼ぐ |
| 主力事業の勢い | △ | 住設事業は営業利益-9.7%の減益 |
向いている人:半導体向けセラミックの領域に関われる人、安定した財務基盤の中で長く働きたい人。
慎重に考えたい人:配属先を選べない前提で入る人。同じ会社でも事業によって置かれる状況がまったく違います。
この記事の調査条件
数値はすべてTOTOが提出した有価証券報告書の原本(PDF)から直接抽出しています。口コミサイトの推定年収や年収ランキングサイトの数値は根拠に使っていません。
- 対象:第160期(2026年3月期)有価証券報告書、および同書に記載された第156期(2022年3月期)以降の5期推移
- 抽出箇所:「第1 企業の概況」の主要な経営指標等の推移・従業員の状況、「第2 事業の状況」のサステナビリティに関する取り組みおよび経営者による分析
- 確認日:2026年9月1日
- 5期の年収推移のうち2021年3月期〜2025年3月期は各期の有報に基づく集計値、2026年3月期は原本で直接確認
判定の手順そのものは開示された平均年収を、そのままは信じないための手順にまとめています。

平均年収は781万2,740円|有報の実額
有価証券報告書には、金額が1円単位で載っています。丸めた推定値ではありません。
当事業年度における提出会社の従業員の平均年間給与は7,812,740円(対前年比3.4%増加)となりました。
提出会社(TOTO単体)の従業員データは次のとおりです。
| 項目 | 2026年3月31日現在 |
|---|---|
| 従業員数 | 7,758人 |
| 平均年齢 | 45.2歳 |
| 平均勤続年数 | 18.9年 |
| 平均年間給与 | 7,812,740円 |
| 前年比 | +3.4% |
※平均年間給与には賞与および基準外賃金が含まれます(有価証券報告書の注記)。
平均年齢が45.2歳であることは必ずセットで見てください。 この781万円は「45歳前後の社員を中心とした、管理職込み・残業代込みの平均」です。20代・30代の実感とはずれます。
5期の推移|年収は上がり続けている
| 決算期 | 平均年間給与 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 従業員数(単体) |
|---|---|---|---|---|
| 2021年3月 | 669万円 | 43.5歳 | 16.7年 | 8,158名 |
| 2022年3月 | 710万円 | 43.8歳 | 17.3年 | 7,984名 |
| 2023年3月 | 706万円 | 44.3歳 | 18.1年 | 7,934名 |
| 2024年3月 | 729万円 | 44.8歳 | 18.5年 | 7,876名 |
| 2025年3月 | 755万円 | 45.1歳 | 18.8年 | 7,836名 |
| 2026年3月 | 781万円 | 45.2歳 | 18.9年 | 7,758名 |
5年で**+112万円(16.8%)**。2023年3月期にわずかに下がった以外は上がり続けています。
注意点を1つ。 他サイトで「TOTOの平均年収は755万円」と書かれているのを見かけますが、それは2025年3月期の数字です。最新は781万円です。
この動き方をどう読むか
3つの数字を並べると、年収は上がり、勤続年数も伸び、従業員数だけが減っているという形になっています。
- 平均年間給与:669万円 → 781万円(+112万円)
- 平均勤続年数:16.7年 → 18.9年(+2.2年)
- 従業員数(単体):8,158名 → 7,758名(△400名)
人が減りながら、残った人は長く勤め、給与は上がっている。新規の採用を絞りつつ、既存社員の待遇を上げている構図と読めます。会社としては効率が上がっていますが、外から入る枠は広くないということでもあります。
連結ではもっとはっきり出ています。
| 決算期 | 連結従業員数 |
|---|---|
| 2022年3月 | 34,614名 |
| 2023年3月 | 34,152名 |
| 2024年3月 | 33,386名 |
| 2025年3月 | 32,968名 |
| 2026年3月 | 30,324名 |
4年で4,290名(12.4%)減。とくに直近1年で2,644名減っています。この点は後述します。

ここが本題|利益の54%を稼ぐのはトイレではない
年収を調べている人が見落としがちな、この会社のいちばん重要な事実です。2026年3月期のセグメント別実績を並べます。
| 事業 | 売上高 | 前期比 | 営業利益 | 前期比 |
|---|---|---|---|---|
| グローバル住設事業 | 6,697億42百万円 | -0.6% | 279億21百万円 | -9.7% |
| (うち日本住設事業) | 4,796億63百万円 | -0.3% | 202億53百万円 | -7.5% |
| セラミック事業(新領域) | 674億14百万円 | +34.0% | 289億43百万円 | +41.7% |
| 全社の営業利益 | — | — | 537億59百万円 | +10.9% |
読み取れることは1つです。
セラミック事業の営業利益289億43百万円は、全社営業利益537億59百万円の54%にあたります。 一方でこの事業の売上は674億円で、全社売上7,374億円の**9.1%**にすぎません。
さらに従業員数で見ると、差はもっと極端になります。
| 事業 | 提出会社の従業員数 | 構成比 |
|---|---|---|
| グローバル住設事業計 | 7,248人 | 93.4% |
| セラミック事業 | 416人 | 5.4% |
| その他 | 94人 | 1.2% |
| 合計 | 7,758人 | 100% |
社員の5.4%が、営業利益の54%を稼いでいる。 一方、社員の93%が属する住設事業は営業利益が9.7%の減益です。
セラミック事業の中身も有価証券報告書に明記されています。
半導体デバイスメーカーの既設工場での稼働率向上に伴い交換需要が堅調に推移し、当社グループの半導体製造装置に採用されているセラミック製品の売上も前年に比べて拡大しました。(中略)当社は静電チャックを中心としたファインセラミックス技術の深耕と開発強化に注力しています。
つまり半導体製造装置向けの部材です。TOTOは「トイレの会社」として知られていますが、利益で見ると半導体材料メーカーの顔のほうが大きくなっています。
住設事業についても、会社自身が課題を認めています。
各種コストアップなどの影響により営業利益が漸減傾向であることに対しては構造的課題と捉え
「漸減傾向」「構造的課題」というのは、有価証券報告書としてはかなり踏み込んだ表現です。
業績|2025年3月期に純利益が急減した理由
連結の主要指標を5期並べます。
| 決算期 | 売上高 | 経常利益 | 純利益 | 自己資本比率 | ROE |
|---|---|---|---|---|---|
| 2022年3月 | 645,273 | 56,870 | 40,131 | 63.2% | 10.4% |
| 2023年3月 | 701,187 | 54,760 | 38,943 | 62.0% | 9.1% |
| 2024年3月 | 702,284 | 51,515 | 37,196 | 63.6% | 7.8% |
| 2025年3月 | 724,454 | 50,369 | 12,168 | 64.1% | 2.4% |
| 2026年3月 | 737,441 | 60,689 | 40,257 | 63.8% | 7.7% |
※単位は百万円。純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。
2025年3月期だけ純利益が121億円と、前後の年の3分の1以下に落ちています。理由は有価証券報告書に書かれています。
親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、中国大陸事業における事業再編費用や投資有価証券売却益等の特別損益を計上したことにより402億5千7百万円(前期比230.8%増)となりました
中国大陸事業の再編です。連結従業員が直近1年で2,644名減っているのは、この再編と符合します。 提出会社(国内本体)の減少は400名なので、減った人員の大半は海外・グループ会社側と考えるのが自然です。
なお自己資本比率は5期を通じて62〜64%で、純利益が落ちた年も財務は揺らいでいません。
学歴別・年齢別の年収について
ここは正直に書きます。有価証券報告書に、学歴別・年齢別の給与は開示されていません。 高卒・大卒・院卒それぞれの年収も、20代・30代の年収も、一次情報としては存在しません。
したがって当サイトでは、これらの推定値を書きません。他サイトに載っている学歴別の金額は、口コミの平均値か推計です。参考程度に見てください。
有報から確実に言えるのは次の2点だけです。
- 平均年間給与781万2,740円は、平均年齢45.2歳・平均勤続18.9年の集団の平均であること
- 賞与と基準外賃金(残業代など)を含む金額であること
初任給や職種別の給与レンジを正確に知りたい場合は、応募先の求人票、または新卒採用ページで直接確認してください。 求人票は法律で記載事項が決まっている書類で、賃金の記載は必須です(職業安定法5条の3第1項、および同条4項の委任を受けた職業安定法施行規則4条の2第3項5号)。
「年収1,000万円に届くか」という点についても、有報からは答えが出ません。平均が781万円で平均年齢が45歳という事実から、管理職層でなければ届きにくい水準だと読めますが、これは編集部の推測です。役職ごとの給与レンジは公開されていません。
私が採用側で見ていたこと
採用する側として中途採用の面接を担当してきた立場から、この会社を受けるなら押さえたほうがいい点を1つ書きます。
「どの事業に配属されるか」を、選考の早い段階で確認してください。
社員の5%が利益の54%を稼ぐ会社では、事業によって社内の空気も、投資の優先順位も、キャリアの伸び方も変わります。伸びている側と、会社自身が「構造的課題」と呼んでいる側では、同じ会社にいても見える景色が違います。
面接で配属の話が曖昧なまま進む場合、それはまだ決まっていないか、聞かれたくないかのどちらかです。前者なら「決まっていない」と正直に答える会社のほうが健全です。求人票の「業務内容の変更の範囲」「就業場所の変更の範囲」の記載とあわせて確認してください。
TOTOへの転職が向く人・向かない人
向いている人
- 半導体向けセラミックの領域に関われる人。 売上+34.0%・営業利益+41.7%で、社内でもっとも勢いのある事業です
- 財務の堅い会社で長く働きたい人。 自己資本比率63.8%、平均勤続18.9年。腰を据えて働く前提の会社です
- 業績連動での待遇改善を期待する人。 平均年収は5年で112万円上がっています
積極的にはおすすめしない人
- 配属先にこだわらず入る人。 事業間の勢いの差が大きく、どこに入るかで状況が変わります
- 雇用の拡大局面を求める人。 連結従業員は4年で4,290名減、単体も400名減。採用枠は広くありません
- 住設(トイレ)事業で成長を求める人。 会社自身が営業利益の「漸減傾向」を「構造的課題」と表現しています
編集部の結論です。年収と財務だけで見れば、TOTOは検討する価値が高い会社です。 平均781万円は住宅設備メーカーとして高い水準で、5年連続に近いペースで上がっており、財務も堅い。
ただし**「トイレの大手だから安定」という理解で入ると、実態とずれます。** いま利益を生んでいるのは半導体材料であり、主力の住設は減益局面です。この構造を理解したうえで、自分がどちら側に行くのかを確認してから判断してください。
応募前には、配属予定事業、賞与の業績連動の度合い、勤務地(本店は北九州市小倉北区)を確認してください。そのうえで、まず自分の市場価値を測っておくことをおすすめします。提示された条件が高いのか低いのかは、相場を知らないと判断できません。
同じ素材・住設まわりで比較するなら、日東紡はやばい?平均年収748万円と勤続15.8年で読む実態や日本電気硝子はやばい?赤字261億円からの復活と年収738万円もあわせて見ると、水準の位置づけがつかみやすくなります。
よくある質問
TOTOの平均年収はいくらですか
2026年3月期の有価証券報告書によると、提出会社の平均年間給与は7,812,740円(前年比3.4%増)です。平均年齢45.2歳、平均勤続年数18.9年の集団の平均で、賞与と基準外賃金を含みます。
TOTOの年収は755万円ではないのですか
755万円は2025年3月期の数字です。最新の2026年3月期は781万2,740円まで上がっています。年収を比較するときは、どの決算期の数字かを確認してください。
TOTOのボーナスはいくらですか
賞与単独の金額は有価証券報告書では開示されていません。 公表されているのは賞与と基準外賃金を含んだ平均年間給与(781万2,740円)のみです。正確な賞与額は求人票または応募先で確認してください。
TOTOの高卒・大卒の年収差はどれくらいですか
学歴別の給与は有価証券報告書に開示されていません。 当サイトでは推定値を掲載していません。初任給や学歴区分ごとの給与は、新卒採用ページまたは求人票でご確認ください。
TOTOで年収1,000万円に届きますか
有価証券報告書からは判断できません。平均年間給与が781万円、平均年齢が45.2歳という事実から、管理職層でなければ届きにくい水準だと編集部は考えますが、役職別の給与レンジは公開されていません。
TOTOはリストラをしていますか
有価証券報告書に希望退職の募集に関する記載は確認できませんでした。ただし2025年3月期に中国大陸事業の事業再編費用を計上しており、連結従業員数は直近1年で2,644名減っています。国内の提出会社は同期間で400名弱の減少です。
TOTOの将来性はどうですか
半導体製造装置向けのセラミック事業が売上+34.0%・営業利益+41.7%と伸びており、全社営業利益の54%を稼いでいます。一方で主力の住設事業は営業利益-9.7%で、会社自身が「構造的課題」と表現しています。成長の柱が入れ替わりつつある会社です。
まとめ
- 2026年3月期の平均年間給与は7,812,740円(前年比+3.4%)。5年で112万円上昇
- 他サイトの「755万円」は2025年3月期の古い数字
- 平均年齢45.2歳・平均勤続18.9年の集団の平均で、賞与・残業代を含む
- 年収↑・勤続↑・従業員↓。新規採用を絞りつつ既存社員の待遇を上げている構図
- 売上9%・社員5.4%のセラミック事業が、営業利益の54%を稼いでいる
- 主力の住設事業は営業利益-9.7%。会社自身が「構造的課題」と表現
- 連結従業員は4年で4,290名減。2025年3月期の中国大陸事業の再編が主因
- 学歴別・年齢別の年収は有報に開示がない。当サイトは推定値を書かない
年収の金額だけで比べるより、どの事業に入るのかを確認するほうが、この会社については重要です。その前に、まず自分の市場価値を測っておいてください。
※本記事の数値は2026年9月1日時点で公開されている有価証券報告書に基づきます。最新の情報は必ず公式のIR資料でご確認ください。
どのサービスを使えばいいか決められないとき
このサイトはアフィリエイトで収益を得ています。読者がサービスに登録すると当サイトに報酬が発生します。だからこそ、登録を急かすことはしませんし、どの記事にも「登録しなくていい人」を書いています。
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参考・出典
- TOTO株式会社 第160期(2026年3月期)有価証券報告書(2026年6月16日提出/EDINET書類管理番号 S100YC72):https://ssl4.eir-parts.net/doc/5332/yuho_pdf/S100YC72/00.pdf
- TOTO株式会社 投資家・IR情報:https://jp.toto.com/company/ir/
- e-Gov法令検索 職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)5条の3:https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000141
- e-Gov法令検索 職業安定法施行規則(昭和二十二年労働省令第十二号)4条の2第3項:https://laws.e-gov.go.jp/law/322M40002000012

