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株式会社マツモト(7901)の正体|卒業アルバム年7,000校・年収425万円の実像

コロ助

※本記事にはプロモーションを含みます。

この記事の結論

  • 正体:年間約7,000校の卒業アルバムを作る北九州の上場印刷会社(証券コード7901)
  • 年収:有報の平均年間給与は425万円、平均勤続年数は16.42年と定着は長い
  • 業績:直近5期で営業黒字は1期のみ。最終黒字転換は特別利益によるもの
  • 働き方:2〜4月に売上・利益が集中する季節変動型。繁忙期は12〜3月

「株式会社マツモト」と検索しても、上位に出てくるのはドラッグストアのマツモトキヨシや、ランドセルのマツモト、建設資材のマツモト産業ばかり——という経験をした方は少なくないはずです。この記事で扱う株式会社マツモト(証券コード7901・東証スタンダード市場)は、それらとはまったくの別会社です。福岡県北九州市門司区に本社を置き、全国の幼稚園・小中高・大学など年間約7,000校の卒業アルバムを制作している、学校アルバム専業に近い印刷会社です。日本人の多くが一度は手にしたことのある製品を作っているのに、社名を知っている人はほとんどいない。この記事では、その「正体」を押さえたうえで、有価証券報告書の実額をもとに年収・業績・働き方・将来性を事実ベースで整理します。転職先として検討するなら、知名度ではなく決算書と季節変動の構造を見るべき会社です。

株式会社マツモト(7901)とは|マツモトキヨシとは無関係の北九州の印刷会社

まず最初に、社名の取り違えを解消しておきます。転職検討者が最初につまずくのはここだからです。株式会社マツモトの公式サイトによると、同社は1932年(昭和7年)創業、1989年2月16日設立、1994年3月22日に株式上場した、福岡県北九州市門司区社ノ木の印刷会社です(公式情報)。証券コードは7901、東京証券取引所スタンダード市場の「その他製品」に区分されています。資本金は1億円、代表取締役社長は松本大輝氏です。

一方、検索結果に混ざってくる「マツモト」は次のように多岐にわたります。

  • マツモトキヨシ(マツキヨココカラ&カンパニー・証券コード3088)=ドラッグストア。まったくの別会社です
  • 株式会社マツモト(愛知県春日井市)=ランドセル・バッグのメーカー。同名の別法人です
  • マツモト産業(大阪府)=建設資材商社
  • マツモト交商=化粧品原料の専門商社
  • 口コミサイト上に存在する「マツモト(印刷・大阪府)」=印刷業でも大阪の同名別社です
  • そのほか松本工業、松本組、松本商会、松本興産などの類似社名企業

そのため「マツモト 年収」「マツモト 評判」といった単独キーワードで出てくる情報は、この7901の会社のものとは限りません。実際、検索サジェストには「株式会社マツモト 函館」「株式会社マツモト 久御山」「株式会社マツモト 京都 求人」といった語が並びますが、公式サイトの事業所一覧に函館・京都の拠点の記載はありません。これらは同名他社の情報が混在している可能性が高いと考えられます(推定情報)。口コミサイトを見るときも、必ず「印刷・福岡県」「北九州市門司区」の表記があるページかどうかを確認してください。

この会社を確実に同定するキーワードは、「マツモト 7901」「マツモト 卒業アルバム」「株式会社マツモト 門司区」の3つです。以降の記述は、すべてこの7901の会社に関するものです。

株式会社マツモトの公式データ一覧(有価証券報告書ベース)

本記事で扱う公式数値を一覧で確認できます。公式情報として、最新の正確な数値は公式IRページで再確認してください。数値はいずれも第38期(2025年5月1日〜2026年4月30日/2026年4月期)の有価証券報告書に基づきます。同社は連結子会社を持たない非連結(単体決算)の会社であり、持株会社でもないため、以下の数値は現場の実態をほぼ直接反映していると考えられます。

項目内容
会社名株式会社マツモト(MATSUMOTO INC.)
証券コード/市場7901/東京証券取引所スタンダード市場(1994年3月22日上場)
本社所在地福岡県北九州市門司区社ノ木1-2-1
創業/設立創業1932年/設立1989年2月16日
代表者代表取締役社長 松本大輝
平均年間給与425万円(第38期=2026年4月期)
平均年齢45.42歳(第38期)
平均勤続年数16.42年(第38期)
従業員数164名(ほか臨時従業員91名)/単体・非連結(第38期)
売上高21億2,615万円(2026年4月期・前期比2.0%減)
営業利益営業損失1億5,932万円(2026年4月期)
経常利益経常損失8,489万円(2026年4月期)
当期純利益1億5,595万円(2026年4月期/特別利益による黒字転換)
資本金1億円
主力事業学校アルバム部門(売上の約8割)/一般商業印刷部門
出典第38期 有価証券報告書「従業員の状況」ほか/公式IR資料・公式サイト

⚠数値の取得経路について明記します。EDINETの原本PDFには本記事の調査時に直接アクセスできなかったため、EDINET提出XBRLを機械的に取り込んでいるirbank(企業コードE00715)経由で確認した値を使用しています。会社四季報系の二次データ(日経会社情報DIGITAL・Yahoo!ファイナンス)では平均年収414万円台・従業員174〜187人・平均年齢43.6〜43.7歳という記載が見られますが、これは前期以前の数値と考えられ、本記事の第38期の数値とは混同しないでください。

事業構造|売上の約8割は「学校アルバム部門」という一点集中型

転職判断でまず押さえるべきは、この会社の売上が何で立っているかです。結論から言えば、学校の卒業アルバム1本にかなり近い構造です。有価証券報告書上のセグメントは「印刷物の製造販売」の単一セグメントですが、社内部門は次の2つに分かれています。

  • 学校アルバム部門:2025年4月期の売上17億2,400万円(前期比4.8%減)。全社売上の約8割を占める主力
  • 一般商業印刷部門:同4億4,400万円(前期比10.2%増)。文集・パンフレット・学術図書などのほか、フォトスタジオ向けのウェディング・七五三・成人式アルバムも手がける

この構成には2つの読み方があります。ネガティブに見れば、少子化で児童生徒数が減れば売上が直撃する一本足の構造だということ。ポジティブに見れば、伸び率だけを見ると一般商業印刷が2桁増(+10.2%)で、主力を補う柱を育てようとしている段階だとも読めます。ただし規模は学校アルバムの4分の1程度しかなく、当面の会社の景色を決めるのはやはり学校アルバムです(推定情報)。

公式サイトによると、同社は全国の幼稚園・保育園・小中高・大学など年間約7,000校の卒業アルバムを制作し、北海道から沖縄まで営業網を持っています。従業員164名の会社が年間7,000校を担当するということは、単純計算で営業1人あたり数百校規模を回している計算になります。学校営業は「1校あたりの単価×校数」で積み上がるビジネスであり、担当エリアを広く任される可能性が高いと考えられます(推定情報)。

なお卒業アルバム業界の最大手級には、年間約9,320校・約100万冊を手がけるダイコロ株式会社(非上場・大阪府枚方市)があります。マツモトの約7,000校はこれに次ぐ規模感で、この業界では確実に上位の一角ですが、独占的な地位にあるわけではありません。

2〜4月に利益が集中する超・季節変動型ビジネス|働き方に直結する構造

この会社を理解するうえで最も重要な論点が、ここです。卒業アルバムは3月の卒業式に向けて納品される商品なので、売上も利益も特定の3か月に極端に集中します。転職検討者にとっては、年収や社風よりも先にこの構造を知っておくべきだと言えます。

2026年4月期の四半期別の動きを見ると、その振れ幅は明確です。

  • 第1四半期(5〜7月):営業損失1億3,900万円。受注活動と制作準備が中心で、売上がほとんど立たない時期
  • 第4四半期(2〜4月):経常利益3億8,900万円、売上営業利益率26.6%。納品が集中し、年間の利益をここで一気に回収する

つまりこの会社の損益は、年間を通じてなだらかに積み上がるのではなく、期末の数か月で一気に決まる構造です。年度前半の赤字は経営が悪化しているサインではなく、ビジネスモデル上の必然です。逆に言えば、第4四半期の受注・納品が計画を下回ると、それを取り返す機会が年内にありません。

求職者
求職者

繁忙期はどのくらい忙しいんですか?

公式採用サイトによると、月平均所定外労働時間は7.0時間、年間休日118日、平均有給取得日数10.0日と公表されています(公式情報)。一方、口コミ傾向としては「卒業アルバムの製造メーカーのため12月末〜3月中旬にかけてが繁忙期となり、休日が日曜日のみ、また残業が…」という2019年投稿(中途入社の営業職・在籍3〜5年・退職済)がエン カイシャの評判に見られます。この2つは矛盾しているようで、実は同じ現象の別の切り取り方です。年平均で均せば所定外7.0時間、繁忙期だけを切り取れば休日は日曜のみ——季節変動型ビジネスでは、この落差こそが働き方の本質です。

もう一つ、この構造を裏づける公式データがあります。従業員164名に対し、臨時従業員が91名(第38期有報)。正社員の6割近い規模の非正規人員を抱えており、これは繁忙期の製造現場をパート・派遣で厚く支える運用がなされていることを示唆します(推定情報)。製造・製本の現場職として応募する場合、この人員構成は必ず確認しておくべきポイントです。

平均年収425万円の実像|平均年齢45.42歳・勤続16.42年をどう読むか

結論から書きます。有価証券報告書によると、第38期(2026年4月期)の平均年間給与は425万円です(公式情報)。同社は持株会社ではなく事業会社そのものが上場しており、連結子会社も持たないため、この425万円は本社・工場・営業所を含めた従業員164名の実態をほぼそのまま反映した数字だと考えられます。持株会社の少数の管理職だけが分母になっている大手のケースとは異なり、数字の解像度は高いと言えます。

次に、この425万円を読み解くための前提データです。

  • 平均年齢45.42歳(第38期有報)。公式採用サイトの「数字で見るマツモト」では43.7歳(2025年4月現在)と記載があり、集計時点の違いで差があります
  • 平均勤続年数16.42年(第38期有報)。公式採用サイトでは15.4年。いずれにせよ印刷業としてはかなり長く、定着率は高い部類です
  • 参考:初任給207,300円(日経会社情報DIGITAL掲載=二次ソース値)

ここから見えるのは、平均年齢45歳・勤続16年で年収425万円という構造です。20代の若手が平均を押し下げているのではなく、ベテランが多い会社で425万円という点が重要です。国税庁の民間給与実態統計調査における給与所得者の平均給与(450万円台)と比べても、水準としては下回る位置にあります。一方で、勤続16年という数字は「賃金が伸びなくても辞めない人が多い」ことも同時に示しており、働きやすさや地元での安定性が評価されている可能性も考えられます(推定情報)。

口コミ傾向としては、エン カイシャの評判における回答者平均年収は370万円(正社員23名の回答ベース)で、有報の425万円を下回ります。これは回答者の年代・職種が偏っているためと考えられ、断定はできません。同サイトの満足度は給与53%・勤務時間65%・休日83%・人間関係59%となっており、休日への満足度が突出して高い一方、給与への満足度は半数程度という傾向が読み取れます。

職種・役職別の目安を推定情報として整理すると、平均425万円・初任給20.73万円・平均年齢45.42歳という3点から、おおよそ次のレンジが想定されます。あくまで公式の平均値から逆算した目安であり、実額は求人票と労働条件通知書で確認してください。

  • 新卒〜20代の一般職・製造職:おおむね300万〜380万円程度
  • 30代後半〜40代の中堅(営業・制作・工務):おおむね400万〜480万円程度
  • 管理職層:おおむね500万〜600万円台程度

転職時に確認すべきポイントは3つです。①賞与の算定根拠——季節変動型かつ営業赤字が続いた期があるため、業績連動部分の変動幅は必ず確認すべきです。②繁忙期の時間外手当の扱い——固定残業代の有無と時間数。③昇給テーブル——勤続16年という定着の長さが昇給に結びついているかどうかです。

業績の実態|5期中4期が営業赤字、「最終黒字転換」の中身を分解する

ここが、この記事で最も丁寧に読んでほしい部分です。株価ニュースなどでは「マツモト、最終黒字転換」という見出しが出ることがありますが、その黒字の中身を分解すると本業の姿はまったく別だからです。

まず売上高の推移です(有価証券報告書・決算短信ベース/単体)。

決算期売上高営業利益当期純利益
2022年4月期23億4,900万円2億800万円の損失12億8,700万円の損失
2023年4月期22億4,200万円1,200万円の利益—
2024年4月期22億1,400万円1億4,600万円の損失—
2025年4月期21億6,900万円2億6,500万円の損失6億5,300万円の損失
2026年4月期21億2,615万円1億5,932万円の損失1億5,595万円の利益
2027年4月期(会社予想)21億8,600万円3,200万円の利益4,800万円の利益

この表から読み取れる事実は3つです。

第一に、5期連続の減収傾向です。2022年4月期の23.49億円から2026年4月期の21.26億円まで、4年間で約2.2億円(約9.5%)減りました。同社は要因として少子化による児童生徒数の減少を挙げており、これは営業努力で短期に反転させにくい構造要因です。学校数・児童生徒数が長期減少する以上、冊数ベースでの成長は見込みにくく、業界全体が単価・付加価値での維持に軸足を移しています。

第二に、直近5期で営業黒字は2023年4月期の1期だけです。本業の儲けを示す営業損益は、2022年4月期▲2億800万円、2024年4月期▲1億4,600万円、2025年4月期▲2億6,500万円、2026年4月期▲1億5,932万円と、赤字が常態化しています。2025年4月期には収益性が低下した事業資産について減損損失3億8,500万円を特別損失に計上し、当期純損失6億5,300万円を記録しました。

第三に、2026年4月期の最終黒字1億5,595万円は特別利益によるものです。営業損益は1億5,932万円の損失、経常損益も8,489万円の損失でありながら、最終段階で黒字に転じています。その要因は役員退職慰労引当金戻入益・投資有価証券売却益といった特別利益であり、本業が黒字化したわけではありません。「黒字転換」という言葉だけを切り取ると実態を読み違えるため、営業損益とセットで見る必要があります。

そのうえで、フェアに書いておくべきポジティブ材料もあります。会社は2027年4月期予想として売上高21億8,600万円(+2.8%)、営業利益3,200万円、経常利益1,000万円、当期純利益4,800万円を掲げており、実現すれば6期ぶりの本業黒字となります。自己資本比率も40%前後(2026年4月期42.1%とする報道があります)と、財務基盤が極端に脆弱というわけではありません。一方で営業キャッシュフローのマイナス継続が指摘されている点は、転職前に直近の決算短信で自分の目で確かめるべき論点です。

編集部の見解として、この業績を「危ない会社」と一言で片づけるのも、「黒字転換したから安心」と受け取るのも、どちらも正確ではありません。正しい読み方は、構造的な減収トレンドの中で、コスト構造の見直しと新規事業でどこまで踏みとどまれるかの局面にある会社、というものです。応募するなら、2027年4月期の四半期開示(特に第4四半期の着地)を必ず確認してください。

上場維持基準への不適合と監理銘柄指定〜解除の経緯

転職検討者にとって「勤め先が上場を維持できるか」は無視できない論点です。株式会社マツモトについては、東証の上場維持基準をめぐる一連の開示があるため、事実関係を時系列で正確に整理します。いずれも会社および東証が開示した事実です(公式情報)。

  • 2025年4月30日時点:スタンダード市場の上場維持基準のうち流通株式時価総額の基準に不適合となる
  • 2025年7月31日:「上場維持基準への適合に向けた計画」を開示し、改善期間に入る
  • 2026年4月30日:東証が同社を監理銘柄(確認中)に指定(2026年5月1日付)
  • その後:2026年4月30日時点ですべての上場維持基準に適合したと会社が開示
  • 2026年5月21日付:監理銘柄(確認中)の指定が解除される

つまり現時点で上場廃止が決定した事実はなく、基準不適合の状態も解消されています。ただし安心材料として過大に受け取るのも危険です。同社の時価総額は2026年8月時点で約9億円と超小型株の水準にあり、株価の推移次第では再び流通株式時価総額の基準に抵触する可能性は残ります(推定情報)。配当は無配、PBRは約0.99倍という状況です。

この「上場維持基準」というルール自体に馴染みのない方のために補足すると、東証は市場区分ごとに株主数・流通株式数・流通株式時価総額・売買代金などの維持基準を定めており、基準に届かない企業は改善計画を出して期限内に適合させる必要があります。同じ論点を抱えた企業と比べると、状況の違いが理解しやすくなります。

  • 東京ボード工業(第33バッチ掲載)=継続企業の前提に関する注記があり、改善期間中という段階
  • カワセコンピュータサプライ(第37バッチ掲載)=東証での上場廃止が決定したうえで福岡証券取引所へ移行するケース
  • 株式会社マツモト=2025年7月に改善期間入りし、2026年5月に監理銘柄指定が解除されたケース

この3社を並べると、「上場維持基準への不適合」といっても深刻度も出口もまったく違うことが分かります。求人票に上場企業と書かれているかどうかではなく、どの段階にいるのかを見るのが正しい読み方です。

口コミ傾向から見える働き方|残業時間が3ソースで割れる理由

口コミを読む前に、前提を共有しておきます。株式会社マツモト(7901)の口コミは、評点の母数が非常に少ないという点です。数字を鵜呑みにせず、傾向として読むべき水準です。

  • OpenWork(印刷・福岡県のマツモト):総合評価2.70/5.0。ただし評点の回答者は7名と極めて少なく、統計的な信頼性は低いと考えられます。月間残業18.4時間、有給消化率43.1%。項目別では人材の長期育成2.4が最低
  • エン カイシャの評判:総合2.8/5.0(正社員23名の回答)、口コミ151〜159件。回答者平均年収370万円、月残業39時間。項目別では「事業の成長性・将来性」2.1、「経営者・経営陣」2.0が低く、「革新性」3.5が最高
  • 就活会議:口コミ153件

ここで注目したいのが、残業時間の数字が情報源ごとに大きく割れていることです。公式採用サイトは月平均所定外7.0時間、OpenWorkは18.4時間、エン カイシャの評判は39時間。3倍以上の開きがあります。

この矛盾は、前述の季節変動構造で説明がつきます。年間平均で均せば公式の7.0時間、繁忙期(12月末〜3月中旬)に在籍していた人の実感で答えれば39時間——どちらも嘘ではない、というのが実態に近いと考えられます(推定情報)。転職検討者が確認すべきは「平均残業時間は何時間ですか」ではなく、「2月の平均的な退勤時刻と休日の取り方」です。面接では質問の粒度を変えてください。

口コミ傾向として一貫して低いのは「経営陣」「事業の成長性・将来性」「人材の長期育成」の3項目です。これは少子化と紙需要の減少という構造課題への不安が反映されたものと考えられます。逆に、休日満足度83%(エン カイシャの評判)は高く、年間休日118日という公式データとも整合します。閑散期と繁忙期の落差こそがこの会社の働き方の本質であり、そこを許容できるかどうかが適性を分けます。

勤務地と募集状況|工場4拠点はすべて北九州市内、営業所は東京・名古屋・福岡

勤務地は、この会社を検討するうえで年収と並ぶ実務的な論点です。公式サイトの事業所一覧によると、拠点構成は次のとおりです(公式情報)。

拠点所在地機能
本社北九州市門司区社ノ木1-2-1本社機能
猿喰工場北九州市門司区猿喰949-1製本・印刷
松原工場北九州市門司区松原1-7-25印刷・製本
高浜工場北九州市小倉北区高浜1-6-46印刷・製本
社ノ木工場北九州市門司区社ノ木1-3-31製本・軽印刷
東京営業所東京都品川区東五反田2-3-1営業
名古屋営業所名古屋市中区栄5-28-12営業
福岡営業所福岡市博多区博多駅前4-10-13営業

ポイントは、生産拠点4か所がすべて北九州市内(門司区3・小倉北区1)に集中していることです。これは転職判断に直結します。

  • 工場勤務(印刷・製本・工務):勤務地は北九州市内に限定される可能性が高く、遠隔地への転勤リスクは相対的に小さいと考えられます(推定情報)。北九州で腰を据えて働きたい人には条件が合いやすい構造です
  • アルバム営業職:公式の募集要項では勤務地が「全国」とされており、北海道から沖縄までの営業網を担当するため、エリア異動・転勤を伴う可能性が高い職種です
  • 商業印刷営業職・営業管理/工務・フォトグラフィックデザイン:北九州勤務。アカウントプランナー:福岡勤務

なお、検索サジェストに出てくる「株式会社マツモト 函館工場」「株式会社マツモト 京都 求人」「株式会社マツモト 久御山」といった語については、公式サイトの事業所一覧にそれらの拠点の記載はありません。冒頭で述べた同名他社の情報が混ざっていると考えられます(推定情報)。

そして、応募を検討している方にとって最も重要な事実を書いておきます。2026年8月時点で、公式採用サイトは新卒・中途とも「現在、募集中の採用情報はございません」と表示されています(公式情報)。転職難易度を論じる以前に、そもそも入口が開いていない状態だということです。業績が本業黒字化に向かう局面にあることを踏まえると、採用再開のタイミングは決算の改善と連動する可能性があります(推定情報)。公式採用ページと転職サイトの両方で、定期的に募集状況を確認するのが現実的な進め方です。

将来性|少子化という逆風と、ブロックチェーン卒アルという賭け

将来性を評価するには、逆風と挑戦の両方を並べる必要があります。まず逆風から。

  • 受注母数の構造的縮小:卒業アルバムの需要は学校数・児童生徒数に直結します。文部科学省の統計でも小中学校の児童生徒数と学校数は長期の減少傾向にあり、冊数ベースの成長は見込みにくい状況です
  • 印刷産業全体の縮小:日本の印刷産業の出荷額は2023年度で約4兆8,555億円と4年連続で5兆円を下回りました。原材料・エネルギーコストの上昇と設備投資負担が重く、業界全体で二極化が進んでいます
  • 単価競争の激化:母数が細る中で各社は冊数ではなく1冊あたりの単価・付加価値で売上を維持する方向に動いており、提案力の差がそのまま業績差になります

一方で、同社は明確に手を打っています。2024年7月25日、NTT Digitalと「卒業後もずっと続く卒アル」の実現に向けた基本合意書を締結したことを公表しています(公式情報)。NTT Digitalのウォレット基盤を活用し、ブロックチェーン(Avalanche)で生徒一人ひとりに唯一無二の卒業アルバムを発行するという構想で、モデル校での実証実験が計画されています。1932年創業の老舗印刷会社が、Web3.0の技術で紙の卒アルを拡張しようとしている——この振れ幅は、同社の最大の特徴の一つです。

加えて、業界全体の流れとして次の変化が進んでいます。

  • アルバムのパーソナル化とAI活用:生徒ごとに中身が異なる「パーソナルアルバム」が主流化しつつあり、掲載写真の偏りを防ぐためにAIで個人の写り込み回数を自動カウントする仕組みも登場。オンデマンド(バリアブル)印刷を前提とした制作フローへの移行が進んでいます
  • スクールフォトのEC化:学校写真の販売はWebプラットフォームへの移行が進み、掲示・集金といった教員の業務負担を減らす提案が受注の決め手になっています。競争軸は「印刷品質」から「先生の手間をどれだけ減らせるか」へ移りつつあります

編集部の見解として、この会社の将来性は「紙の卒アルが縮む速度」と「デジタル・オンデマンド領域が立ち上がる速度」の競争だと整理できます。エン カイシャの評判で「革新性」が3.5と項目中最高である一方、「事業の成長性・将来性」が2.1と最低であることは、この二面性を社員自身が感じ取っている表れとも読めます(推定情報)。不確実性を受け入れて新規領域に手を挙げられる人には機会があり、安定した右肩上がりを求める人には向きにくい——それがフェアな評価だと考えます。

印刷業界の中での立ち位置|規模の違いを数字で把握する

「印刷会社」と一括りにされがちですが、実態は会社ごとに桁が違います。株式会社マツモトがどの位置にいるのかを、比較で確認しておきましょう。数値はいずれも各社の直近有価証券報告書・決算短信ベースです(公式情報と推定情報が混在しないよう、確認できた実額のみを記載しています)。

企業名(コード)事業の軸売上高平均年間給与(有報)転職先として見るべき点
株式会社マツモト(7901)学校アルバム(売上の約8割)21億2,615万円(2026年4月期・単体)425万円(第38期)季節変動と減収トレンド。北九州に生産拠点が集中
ダイコロ(非上場)卒業アルバム(年間約9,320校・約100万冊)非上場のため開示なし非上場のため開示なし卒アル分野の直接競合。同職種の比較先になりやすい
大日本印刷(7912)情報・パッケージ・エレクトロニクス1兆5,125億円(2026年3月期・連結)861万円(第132期・単体)印刷業の待遇の上限値。ただし単体と連結で人員が約4倍乖離
TOPPANホールディングス(7911)情報・パッケージ・半導体関連1兆8,050億円(2026年3月期・連結)868万円(第180期・持株会社単体)持株会社単体の数値で、現場の実態とは乖離する点に注意
サンメッセ(7883)総合印刷+Web/AR/3DCG各社IRで要確認各社IRで要確認デジタルシフトの先行事例として比較しやすい

この表で伝えたいのは、優劣ではなく桁の違いです。大日本印刷やTOPPANは売上1兆円超の総合企業で、いまや稼ぎ頭は半導体・ディスプレイ部材やパッケージであり、「印刷会社」という言葉のイメージからかなり離れています。対して株式会社マツモトは売上21億円の小型・専業企業です。年収の水準差はそのまま企業規模と事業ポートフォリオの差を反映しています。

ただし、規模が小さいことは一律の不利ではありません。164名の会社では、担当領域が広く、事業の全体像が見えやすいという利点があります。竹田印刷やプリントネットのような中堅・専業各社を並べて見ると、印刷業界のキャリアは「業界単位」ではなく「個社の事業ポートフォリオ単位」で選ぶべきだということがよく分かります。

株式会社マツモトへの転職が向いている人・向いていない人

ここまでの公式情報・口コミ傾向をふまえ、適性を整理します(推定情報を含みます)。この会社は「良い/悪い」ではなく、明確に人を選ぶ構造を持っています。

向いている人向いていない人
北九州・福岡で腰を据えて働きたい人(工場4拠点はすべて北九州市内)全国転勤を避けたいがアルバム営業職を志望する人(勤務地は全国)
繁忙期と閑散期の落差を許容し、メリハリのある働き方を選べる人年間を通じて業務量が一定であることを重視する人
「卒業アルバム」という残る製品に関わることに価値を感じる人短期の年収アップを最優先する人(平均425万円・無配・営業赤字が継続)
デジタル卒アル・オンデマンド印刷など新規領域に自分から手を挙げられる人成長市場で安定した右肩上がりのキャリアを描きたい人
決算・IRを自分で読み、リスクを織り込んだうえで意思決定できる人上場企業という肩書だけで安定性を判断したい人

特に強調したいのは最後の行です。この会社は入る前に決算を読むべき会社の典型例です。逆に言えば、決算を読んだうえで納得して入る人にとっては、事前情報と入社後のギャップが小さい会社でもあります。

株式会社マツモト(7901)に関するよくある質問

株式会社マツモトへの転職・就職を検討する人からよくある質問と回答をまとめました。

Q. 株式会社マツモトはマツモトキヨシと関係がありますか?

関係はありません。ドラッグストアのマツモトキヨシはマツキヨココカラ&カンパニー(証券コード3088)のグループ企業で、本記事の株式会社マツモト(証券コード7901・福岡県北九州市門司区)とは資本関係のない別会社です。ほかにもランドセルの株式会社マツモト(愛知県春日井市)、マツモト産業(大阪府)、マツモト交商など同名・類似名の企業が多数存在するため、口コミサイトを見る際は「印刷・福岡県」の表記を必ず確認してください。

Q. 高浜工場・松原工場はどこにありますか?

公式サイトの事業所一覧によると、高浜工場は北九州市小倉北区高浜1-6-46(印刷・製本)、松原工場は北九州市門司区松原1-7-25(印刷・製本)です。このほか猿喰工場(門司区猿喰949-1)、社ノ木工場(門司区社ノ木1-3-31)があり、生産拠点4か所はすべて北九州市内に集中しています。

Q. 現在、求人は出ていますか?

2026年8月時点で、公式採用サイトには新卒・中途とも「現在、募集中の採用情報はございません」と表示されています(公式情報)。過去に公表されていた募集職種は、アルバム営業職(勤務地・全国)、商業印刷営業職、営業管理/工務、フォトグラフィックデザイン(北九州)、アカウントプランナー(福岡)、工場勤務(北九州)です。募集再開の可能性はありますので、公式採用ページを定期的に確認することをおすすめします。

Q. 上場廃止になる可能性はありますか?

2026年5月21日付で監理銘柄(確認中)の指定は解除されており、現時点で上場廃止が決定した事実はありません。経緯としては、2025年4月30日時点で流通株式時価総額の基準に不適合となり、2025年7月31日に改善計画を開示して改善期間に入り、2026年4月30日時点で全基準に適合したと会社が開示しています。ただし時価総額は約9億円と小さく、株価次第で再び基準に抵触する可能性は残ります(推定情報)。最新の状況は必ず適時開示でご確認ください。

Q. 卒業アルバムの営業職はどんな仕事ですか?

有価証券報告書に職種別の業務内容は開示されていないため、公式の募集要項と業界慣行からの推定情報になりますが、担当エリアの学校を訪問して卒業アルバムの受注を取り、撮影・編集・校正・納品までの進行を管理する仕事だと考えられます。同社は年間約7,000校を担当しており、勤務地は全国とされています。学校が顧客であるため、年間スケジュールが学事暦に強く規定される点が一般的な法人営業との大きな違いです。

編集部の見解|株式会社マツモトへの転職判断まとめ

最後に、ここまでの内容を判断軸ごとに整理します。最終的な判断は、求人票だけでなく自分の経験・適性も含めて確認しましょう。

判断軸評価
年収水準有報425万円(第38期)。平均年齢45.42歳・勤続16.42年での水準であり、年収の伸びしろを重視する人には物足りない可能性がある
安定性5期連続の減収傾向、直近5期で営業黒字は1期のみ。自己資本比率は40%前後で財務は極端に脆弱ではない
働き方年間休日118日・月平均所定外7.0時間(公式)だが、12月末〜3月中旬に負荷が集中する季節変動型
勤務地工場4拠点はすべて北九州市内。アルバム営業職のみ勤務地は全国
将来性少子化という構造的逆風の一方、NTT Digitalとの提携によるデジタル卒アルへの挑戦がある
定着率平均勤続16.42年は印刷業として長く、辞めにくい環境である可能性が高い
採用状況2026年8月時点で公式採用サイトは新卒・中途とも募集停止中

編集部の見解として、株式会社マツモトは「知名度ではなく構造で選ぶ会社」です。年間約7,000校の卒業アルバムという社会的意義の大きい製品を作りながら、業績は構造的な逆風にさらされ、上場維持基準の論点も抱えています。それでも平均勤続16.42年という定着の長さは、この会社に居心地の良さがあることを示唆しています。北九州で長く働きたい人、季節変動を許容できる人、決算を自分で読んで納得できる人にとっては、検討に値する選択肢です。一方で、年収の伸びと事業の成長性を最優先するなら、より規模の大きい印刷会社や隣接業界(スクールフォトのWebプラットフォーム、教育系SaaS、フォトブックのオンデマンド印刷EC、ブライダル・記念写真スタジオなど)も並行して見るべきだと考えます。学校現場の商習慣を理解している経験は、これらの領域でそのまま強みになります。

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本記事の出典・参考情報

本記事で参照した一次情報・口コミ情報の出典は以下の通りです。最新の正確な数値は各リンク先で確認してください。平均年間給与・平均年齢・平均勤続年数・従業員数は第38期(2026年4月期)有価証券報告書「従業員の状況」の値で、EDINET提出XBRLを取り込んだirbank(企業コードE00715)経由で確認しています。

公式情報源

口コミ・評判の参照元

免責事項:本記事の数値・評価は公式情報・口コミ集計・市場推定の3分類で示しており、口コミ傾向や推定情報は断定ではなく傾向・可能性として表現しています。最終判断は読者自身で公式IRおよび内定時の労働条件通知書で確認してください。

この記事の編集方針・情報の確認について

この記事は、公式公開情報(有価証券報告書・IR資料)、求人情報、口コミ傾向をそれぞれ分けて整理し、転職・就職判断に役立つよう編集しています。年収・平均年齢・従業員数などの中核データは有価証券報告書「従業員の状況」を一次情報として確認し、口コミ・推定情報とは明確に区別しています。また同名他社との混同を避けるため、本記事の記載はすべて証券コード7901・福岡県北九州市門司区の株式会社マツモトに関するものに限定しています。記載内容は最終更新時点の公開情報にもとづきます。最新の正確な数値は各公式IRページでご確認ください。

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コロ助
コロ助
企業と転職サービスを、有価証券報告書などの一次情報から読んでいます。
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