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業務用食材卸・久世(2708)の評判と年収577万円|3期赤字からV字回復した実像

コロ助

※本記事にはプロモーションを含みます。

この記事の結論

  • 会社の正体:証券コード2708・東証スタンダードの業務用食材卸。本社は東京都豊島区東池袋
  • 業績:2026年3月期の連結売上735億03百万円で過去最高を更新し、赤字期から回復
  • 年収:有価証券報告書の平均年間給与は577万5千円(第79期・提出会社395名)
  • 注意点:2027年3月期は会社予想営業利益20億円(▲9.1%)で減益スタート

株式会社久世(くぜ)は、東京都豊島区東池袋に本社を置く業務用食材卸で、東京証券取引所スタンダード市場に証券コード2708で上場しています。ホテル・レストラン・居酒屋・給食会社といった外食・中食事業者に、和洋中の食材・調味料・冷凍食品・酒類・資材を届けるのが本業です。なお、全国に店舗を展開する食品小売ブランド「久世福商店」は株式会社サンクゼール(証券コード2937)が運営する別会社であり、本記事で扱う株式会社久世(2708)とは資本関係も事業内容もまったく異なります。検索結果では両社が混ざりやすいため、この記事では証券コード2708の株式会社久世だけを扱います。この記事では、有価証券報告書の実額をもとに、コロナ禍で3期連続の営業赤字を計上してから過去最高売上に戻るまでの推移、平均年収577万5千円の中身、口コミ傾向、そして2027年3月期の減益予想までを順に整理します。

株式会社久世(2708)の公式データ一覧(有価証券報告書ベース)

まず、転職判断の土台になる数字を一覧で押さえます。以下はすべて公式情報で、第79期(2025年4月1日〜2026年3月31日)の有価証券報告書および決算短信にもとづく実額です。口コミサイトの推定年収ではなく、この数字を基準に検討してください。

項目内容
商号株式会社久世(KUZE CO., LTD.)
証券コード・市場2708/東京証券取引所スタンダード市場
本社所在地東京都豊島区東池袋二丁目29番7号
創業・設立1950年1月(1967年7月に株式会社久世へ商号変更)
代表者代表取締役社長 久世 真也(2017年6月就任)
資本金1億00百万円(2026年3月31日現在)
平均年間給与5,775,345円(約577万5千円)/賞与および基準外賃金を含む
平均年齢42.7歳
平均勤続年数10.9年
従業員数提出会社395名(臨時従業員256名は外数)/連結649名(臨時従業員345名は外数)
売上高連結735億03百万円(前期比+7.2%・過去最高)
営業利益連結21億99百万円(前期比+19.1%・売上高営業利益率3.0%)
経常利益連結23億51百万円(前期比+7.3%)
親会社株主に帰属する当期純利益17億58百万円(前期比+0.2%)
自己資本比率39.1%(2026年3月期末)
労働組合当社および連結子会社ともに未結成(労使関係は良好と記載)
出典第79期(2026年3月期)有価証券報告書/決算短信/公式IR資料

平均年間給与・平均年齢・平均勤続年数・従業員数の4項目は、提出会社(株式会社久世単体)の数値です。久世は持株会社ではなく事業会社そのものが提出会社であるため、この数字は本体の営業・物流・管理部門の実態をおおむね反映します。ただし製造子会社であるキスコフーズや旭水産の従業員は含まれません。この点は年収の章で改めて詳しく扱います。

株式会社久世(2708)とはどんな会社か|外食に食材を届ける独立系の業務用食材卸

結論から言えば、久世は「外食産業の裏側を支える食材の問屋」です。一般消費者が店頭で久世の名前を目にすることはほとんどありませんが、ホテルの宴会場やレストランの厨房で使われる食材の多くが、こうした業務用食材卸を経由して届いています。転職先として見るときは、この「BtoBの中間流通業」という業態を理解しているかどうかで、入社後のギャップが大きく変わります。

事業の中身|食材卸売事業が売上の90.4%を占める

有価証券報告書によると、久世の事業は大きく2つに分かれます(公式情報)。

  • 食材卸売事業:首都圏を中心に関東・東北・関西で、ホテル、レストラン、居酒屋、給食会社などへ和洋中の食材・調味料・冷凍食品・酒類・資材を供給する本業。2026年3月期の外部顧客向け売上は664億19百万円で、連結売上の90.4%を占めます
  • 食材製造事業:連結子会社の株式会社キスコフーズなどが、ホテル・レストラン向けのブイヨン、スープ、ソースを製造する事業。同売上は69億20百万円

連結子会社は5社(キスコフーズ、久世フレッシュ・ワン、旭水産、久世プレナ、KISCO FOODS INTERNATIONAL=ニュージーランド工場)、持分法適用関連会社が2社という構成です。海外は台湾・香港にも関係会社を持ちますが、有形固定資産の地域別内訳を見ると日本が26億99百万円に対しニュージーランドが3億74百万円で、事業の重心は圧倒的に国内です(公式情報)。

注目したいのは顧客構成です。有価証券報告書の主要顧客の記載では、売上高の10%以上を占める相手先はありません。特定の大口チェーンに依存していない一方で、有価証券報告書の「事業等のリスク」には「当社の事業は外食依存度が高い」と会社自身がリスクとして明記しており、中食・小売向けの比率を引き上げる方針が示されています。外食市場全体の景気に業績が連動しやすい構造だと理解しておく必要があります。

拠点と勤務地|本社は東京都豊島区東池袋、物流拠点は首都圏に集中

「久世 本社」という検索が一定数あることからも、勤務地は関心の高いポイントです。本社は東京都豊島区東池袋二丁目29番7号(公式情報)。物流面では、野田DC(千葉県野田市)、横浜DC(横浜市戸塚区)、厚木DC(神奈川県厚木市)、館林DC(群馬県館林市)に加え、東北支店(宮城県)を持ちます。製造は静岡工場(静岡市清水区)とニュージーランド工場です。

物流拠点は4か所のうち3か所が賃借(野田38百万円、横浜128百万円、館林148百万円/年)であり、自社所有の巨大センターを構えるのではなく、賃借を組み合わせて首都圏をカバーする形になっています。推定情報として、営業職・配送職・物流職はいずれも首都圏勤務が中心になる可能性が高く、全国転勤の頻度は全国網を持つ大手卸より限定的だと考えられます。ただし配属や異動の実態は求人票や面接で個別に確認してください。

コロナ禍の3期連続営業赤字から過去最高売上へ|8期推移で見る久世の回復

久世を転職先として評価するうえで、最も重要な事実は「コロナ禍で深刻な打撃を受け、そこから完全に回復した会社」という点です。外食依存度の高い業態が、需要蒸発をどう乗り越えたのかが数字にはっきり出ています。以下は有価証券報告書および決算短信にもとづく連結実額です(公式情報)。

決算期連結売上高連結営業利益
2019年3月期660億06百万円2億23百万円
2020年3月期643億56百万円△0億55百万円
2021年3月期378億54百万円(前期比▲41%)△23億36百万円
2022年3月期438億51百万円△9億08百万円
2023年3月期564億60百万円8億42百万円
2024年3月期644億74百万円18億61百万円
2025年3月期685億68百万円18億47百万円
2026年3月期735億03百万円(+7.2%)21億99百万円(+19.1%)

売上は▲41%の急落から過去最高更新へ

2021年3月期の売上は378億54百万円で、前期の643億56百万円から▲41%という落ち込みでした。外食店の休業・時短が直撃した結果で、業務用食材卸という業態の脆さがそのまま表れた数字です。その後は438億円(2022年3月期)→564億円(2023年3月期)→644億円(2024年3月期)と回復し、2025年3月期の685億68百万円でコロナ前ピーク(2019年3月期の660億06百万円)を超え、2026年3月期の735億03百万円で過去最高を更新しました。谷から5期で売上を約2倍に戻した計算になります。

営業利益は3期連続赤字から21億99百万円へ

より厳しかったのが利益です。営業利益は2020年3月期に△0億55百万円、2021年3月期に△23億36百万円、2022年3月期に△9億08百万円と3期連続の営業赤字を計上しました。自己資本比率も2022年3月期には15.7%まで低下しています。そこから2023年3月期に8億42百万円で黒字転換し、2024年3月期18億61百万円、2025年3月期18億47百万円を経て、2026年3月期は21億99百万円とコロナ前(2019年3月期の2億23百万円)の約10倍に達しました。純資産も27億77百万円(2022年3月期)→96億65百万円(2026年3月期)へ積み上がり、自己資本比率は39.1%まで回復しています。

編集部の見解として、この推移が転職検討者に示すのは2点です。第一に、久世は単に売上を戻しただけでなく利益率の水準そのものを引き上げたこと。赤字期に取引条件や物流を見直した結果が、コロナ前を大きく上回る営業利益として表れていると考えられます。第二に、この業態は外部環境で業績が数十%単位で振れるという事実です。安定した給与カーブを最優先する人にとっては、この振れ幅をどう受け止めるかが判断の分かれ目になります。

「久世は倒産寸前だった」は事実誤認|継続企業の前提に関する注記は一度も出ていない

3期連続の営業赤字という数字を見ると、経営危機を連想する人もいるかもしれません。ここは誤解が生まれやすい部分なので、一次情報にもとづいて正確に整理します。

第74期(2021年3月期)から第79期(2026年3月期)までの有価証券報告書を確認したところ、久世本体について「継続企業の前提に関する注記」および「継続企業の前提に関する重要事象等」の記載は、いずれの期にも存在しません(公式情報)。監査報告書に「継続企業の前提」という語が現れますが、これは監査基準上の定型文言であり、久世固有のリスク指摘ではありません。

混同されやすいのが「債務超過」の記載です。有価証券報告書には債務超過に関する注記がありますが、これは連結子会社である株式会社久世フレッシュ・ワンについてのもので、金額は2021年3月末が3億88百万円、2022年3月末が4億61百万円です。親会社および連結ベースの債務超過ではありません。連結純資産は最も落ち込んだ2022年3月期でも27億77百万円を維持していました。

したがって整理すると次のようになります。

  • 事実①:2020年3月期〜2022年3月期の3期連続で営業赤字を計上した
  • 事実②:それでも継続企業の前提に関する注記・重要事象等の記載は一度も付いていない
  • 事実③:債務超過の注記は連結子会社1社に関するもので、親会社・連結ベースではない

この3点は同時に成立します。「3期連続赤字だったが、継続企業の前提に関する注記が付く水準ではなかった」というのが正確な表現です。なお、コロナ期には雇用調整助成金を営業外収益に計上しており、2021年3月期が1億95百万円、2022年3月期が1億20百万円でした(公式情報)。制度を使いながら雇用を維持した形です。

久世の平均年収577万5千円の実態|有報6期推移と「誰の平均か」

年収は転職判断の中心です。ここでは公式情報(有価証券報告書の実額)→ 母集団の注記 → 口コミ傾向 → 職種別の目安の順で整理します。求人サイトの推定値ではなく、有価証券報告書「従業員の状況」の数字が出発点です。

平均年間給与・平均年齢・平均勤続年数の6期推移

第79期(2026年3月期)の平均年間給与は5,775,345円で、賞与および基準外賃金を含み、対前事業年度増減率は+3.6%です(公式情報)。過去6期の推移は次のとおりです。

決算期平均年間給与従業員数(提出会社)平均年齢平均勤続年数
2021年3月期477万3千円355名38.6歳10.0年
2022年3月期464万3千円334名40.4歳10.6年
2023年3月期524万6千円344名42.0歳11.1年
2024年3月期589万6千円341名42.6歳11.2年
2025年3月期557万0千円377名42.7歳10.7年
2026年3月期577万5千円395名42.7歳10.9年

5年間で約100万円の上昇です。営業赤字だった2022年3月期に464万3千円まで下がり、業績回復とともに戻していった動きが読み取れます。ただし一直線ではありません。直近ピークは2024年3月期の589万6千円で、2025年3月期は557万0千円へ約33万円下がり、2026年3月期に577万5千円まで戻しています。この上下動は推定情報ですが、賞与の業績連動性が相対的に高いことを示唆すると考えられます。年収の絶対額だけでなく、「業績が振れると賞与も振れる」構造として捉えるのが妥当です。

平均年齢は38.6歳(2021年3月期)から42.7歳へ4.1歳上昇した一方、平均勤続年数は10.0年から10.9年とほぼ横ばいです。推定情報として、若手の採用が一時的に絞られた時期があり、その後の中途採用で経験者を迎え入れている可能性が考えられます。

この577万5千円は「誰の平均」なのか

ここは必ず確認してください。この数字の対象は提出会社(株式会社久世単体)の従業員395名であり、臨時従業員256名は外数です。つまり以下は含まれていません(公式情報)。

  • 連結従業員649名のうち、久世単体以外に所属する従業員
  • 連結ベースの臨時従業員345名(連結従業員数のほぼ半数に相当)
  • 製造子会社キスコフーズ・旭水産などの従業員

久世は持株会社ではなく事業会社そのものが提出会社なので、この577万5千円は本体の営業・物流・管理部門の実態をおおむね反映すると考えられます。一方で、製造現場や臨時従業員を含めた「グループ全体の平均」ではありません。求人ボックスなどが掲載する589万円という数値は2024年3月期の有価証券報告書の値と一致しており、掲載時点の期がずれている二次情報である点に注意してください。OpenWorkの平均年収470万円、エン カイシャの評判の393万円(平均年齢31歳)は回答者の年齢層に偏った二次的な数値であり、有価証券報告書の実額と並べる際は必ず出典を分けて考える必要があります。

口コミ上の年収傾向と職種別の目安

口コミ傾向として、待遇面の評価は高くありません。OpenWorkの「待遇面の満足度」は2.5、エン カイシャの評判の「年収給与の納得度」は57%です。「人事評価の適正感」2.6、「人材の長期育成」2.5という数値も同様の傾向を示しています。一方で、有価証券報告書の実額は5年で約100万円上昇しており、口コミが投稿された時期によって体感が大きく異なる可能性があります。赤字期に在籍していた人と、直近の回復期に在籍している人では、待遇に対する評価が変わって当然です。口コミを読む際は投稿年を確認することをおすすめします。

推定情報として、平均年齢42.7歳・平均勤続10.9年という数字から、久世単体の給与カーブは長く在籍するほど積み上がる年功的な性格を残していると考えられます。20代後半〜30代前半のルート営業であれば平均を下回るレンジ、40代の管理職層で平均を上回るレンジになる可能性が高いと推定されますが、これは職種別の公式開示がないための目安です。転職時には、必ず内定時の労働条件通知書で基本給・賞与の算定方法・みなし残業の有無を確認してください。

なお、有価証券報告書の人的資本指標(提出会社・第79期)では、管理職に占める女性の割合17.1%、男性の育児休業取得率60.0%、男女の賃金差異は全労働者58.9%・正規雇用66.2%・パート有期56.0%と開示されています(公式情報)。全労働者ベースの差異が大きく出ているのは、臨時従業員の構成比が高い業態であることが影響していると考えられます(推定情報)。

口コミから見える久世の働き方|「人はいいが待遇と将来性に不満」という構図

口コミサイトの評価は、明確なパターンを描いています。結論を先に言えば、人間関係・風通しの評価が高く、待遇・評価制度・将来性の評価が低いという構図です。これは業務用食品卸に典型的な傾向でもあります。以下はいずれも口コミ傾向であり、断定ではありません。

母数については、OpenWorkの回答者41人・総合評価2.97、エン カイシャの評判の口コミ178件・正社員回答者38人・総合3.0、転職会議219件、エンゲージ会社の評判157件です。回答者数は数十人規模で、従業員数規模を考えれば一定の参考になりますが、個別の口コミを一般化しすぎないよう注意が必要です。

高評価は人間関係・風通し

  • OpenWork「社員の相互尊重」3.5、「風通しの良さ」3.4と、社内スコアのなかでは上位
  • エン カイシャの評判では「職場の人間関係の満足度」84%が最高スコア

取引先である外食店との関係構築が仕事の中心になるため、社内も含めて対人関係を重視する文化が根づいている可能性が考えられます(推定情報)。

低評価は待遇・評価制度・将来性

  • OpenWork「待遇面の満足度」2.5、「人材の長期育成」2.5、「人事評価の適正感」2.6
  • エン カイシャの評判「会社の成長性や将来性」2.7が最低スコア、「経営陣の手腕」2.8

興味深いのは、エン カイシャの評判で退職者評価3.3点が現職者評価3.0点を上回っている点です。在籍中の満足度が相対的に低く出る傾向があり、これも口コミ傾向として押さえておく価値があります。

残業時間の数字が食い違う理由

求職者
求職者

残業時間の口コミが、サイトによって全然違うのはなぜ?

実際に数字は割れています。OpenWork集計では月間残業27.9時間・有給消化率58.5%である一方、エン カイシャの評判の集計では月間残業40時間とされています。約12時間の開きです。

この乖離は、職種による働き方の差が大きいことを示唆すると考えられます(推定情報)。業務用食材卸は、外食店の開店前に納品するための早朝配送、店舗を回るルート営業、物流センターでのピッキング・仕分けと、勤務時間帯も繁忙のリズムもまったく異なる職種が同居する業態です。平均値ひとつで判断せず、応募する職種の実労働時間を面接で個別に確認することを強くおすすめします。特に配送・物流職では始業時刻が早い可能性、営業職では取引先の営業時間に合わせた稼働の可能性を、それぞれ確認しておくべきです。

なお、労働組合は当社および連結子会社ともに未結成で、有価証券報告書には労使関係は良好である旨が記載されています(公式情報)。労働条件の交渉窓口という観点では、組合を通じた集団交渉の仕組みがない点は事実として把握しておく必要があります。

国分グループ19.99%出資と関連当事者取引|資本関係の正確な読み方

久世の資本構成には、転職検討者が誤解しやすい点が2つあります。どちらも有価証券報告書に開示されている事実です。

1つめは国分グループ本社との関係です。2022年4月、久世は国分グループ本社に対して第三者割当増資(924,945株・1株757円・約7億円)を実施し、国分グループ本社は議決権比率19.99%を保有する「その他の関係会社」となりました(公式情報)。ここで重要なのは、「その他の関係会社」であって親会社ではないという点です。久世は国分グループの連結子会社ではなく、東証スタンダード市場への上場を維持しています。TOBや非公開化に関する開示も出ていません。独立性を保ちながら、食品卸最大手の資本を受け入れ、物流・調達・商品開発での相互利用を図る構図だと整理できます。

株主構成をもう少し見ると、国分グループ本社19.99%に続き、久世晃10.28%、久世真也6.30%、久世恭子4.70%、株式会社パートナー3.10%、久世社員持株会3.10%、株式会社トーホー2.91%、久世佳代2.82%、久世祥太2.76%と続き、上位10者合計で61.41%です。創業家系で合計約30%規模の議決権を持つ構造であり、経営の安定性という面ではプラスに働く一方、推定情報として、意思決定に創業家の意向が反映されやすい体制であるとも考えられます。

2つめは関連当事者取引です。本社ビルは、代表取締役社長・久世真也氏とその近親者が議決権の過半数を保有する株式会社パートナーから賃借しており、年間賃借料43百万円が関連当事者取引として有価証券報告書に開示されています(公式情報)。これは適正に開示されている取引であり、事実としてそのまま把握しておけば十分です。上場企業として必要な開示が行われている、という理解が正確です。

なお、食品衛生法違反、食品表示法違反、製品回収(リコール)、行政処分、労働基準法違反、重要な訴訟については、有価証券報告書にも公開情報にも該当する開示は見当たりません。有価証券報告書の「事業等のリスク」には食品衛生リスクの一般論とISO22000/FSSC22000取得の記述がありますが、実際の違反事例の開示はありません。

食品卸のなかでの久世の立ち位置|同業5社比較と営業利益率3.0%

久世を単体で見ても水準感がつかめません。ここでは、上場している卸売企業5社を並べて位置づけを確認します。以下はすべて各社の有価証券報告書・決算短信にもとづく公式情報ですが、決算期が異なる点と、売上規模に約5,300倍の開きがある点を前提に読んでください。

企業名(コード)連結売上高連結営業利益従業員数有報の平均年間給与対象期
久世(2708)735.03億円(過去最高)21.99億円(+19.1%/利益率3.0%)連結649名(臨時345名)/提出会社395名(臨時256名)577.5万円2026年3月期
あらた(2733)1兆47億円132.07億円(利益率1.31%)連結3,008名/提出会社1,954名(臨時4,413名)618.9万円2026年3月期
木徳神糧(2700)1,761.91億円(+48.1%)80.25億円(+237.6%)連結385人/提出会社283人779.6万円2025年12月期
YKT(2693)133.86億円営業損失1.99億円(2期連続赤字)連結135名/提出会社90名693.3万円2025年12月期
ジェイ・ホールディングス(2721)1.90億円営業損失3.11億円(△163.8%)連結11名/提出会社5名628.8万円2025年12月期

この表から読み取れることを3点に整理します。

  • 平均年収は中位:久世の577.5万円は5社のなかで最も低い水準ですが、決算期も事業内容も異なるため単純比較はできません。特に木徳神糧の779.6万円は米価高騰局面の業績を反映した数値で、同社の2026年中間期は営業利益が前年同期比▲83.3%と大きく振れています
  • 営業利益率は上位:久世の3.0%は、同じ卸売業のあらた1.31%、伊藤忠食品1.47%を上回ります。卸売業は薄利多売と言われがちですが、久世は業務用に特化した提案型の卸として相対的に高い利益率を確保していると読めます
  • 規模は中堅:売上735億円は、1兆円規模のあらたと比べれば小さく、ジェイ・ホールディングスのような小規模企業とは桁が違います。売上規模には約5,300倍の開きがあり、「上場企業の卸売業」と一括りにできる集団ではありません

編集部の見解として、久世の位置づけは「規模で勝負する総合卸ではなく、外食向けの品揃えと提案力で利益率を確保する中堅専門卸」です。大手総合卸のスケールメリットを求める人には物足りなく、逆に顧客との距離が近い仕事を求める人には合いやすいと考えられます。

セグメント別に見る収益構造|製造事業の利益率は卸売の3倍以上

久世の収益構造で見逃せないのが、売上の1割弱にすぎない食材製造事業が、利益率では卸売事業の3倍以上を稼いでいるという点です。2026年3月期のセグメント別実額は次のとおりです(公式情報)。

セグメント外部顧客向け売上セグメント利益売上比の利益率連結従業員数(臨時は内数)
食材卸売事業664億19百万円25億60百万円3.9%412名(297名)
食材製造事業69億20百万円8億69百万円12.6%127名(42名)
その他1億63百万円0億29百万円—1名
全社費用—△12億75百万円—全社共通109名(6名)

食材製造事業(キスコフーズのブイヨン・スープ・ソース、ニュージーランド工場)の利益率12.6%は、卸売事業の3.9%を大きく上回ります。全社費用12億75百万円を差し引いた結果、連結の営業利益率が3.0%に着地する構造です。

編集部の見解として、この数字は転職後のキャリアを考えるうえで示唆的です。仕入れて売る中間流通だけでは利益率3.9%が上限に近く、自社で作る商品を持つことが利益率を押し上げているのが久世の実態です。ということは、商品開発・製造・品質保証といった領域が、会社にとって戦略的な重要度を持つと考えられます。ルート営業だけでなく、PB開発・メニュー提案・製造管理といった職種に関心がある人には、伸びしろのある領域だと推定されます。

従業員配置を見ると、連結ベースでは食材卸売事業412名(うち臨時297名)、食材製造事業127名(うち臨時42名)で、臨時従業員の比率が卸売事業で特に高いことが分かります。提出会社に限れば食材卸売事業336名(うち臨時253名)、食材製造事業0名、全社共通58名(うち臨時3名)で、製造機能は完全に子会社側にあります。つまり、久世本体に応募する場合は基本的に卸売・管理の職種になります(公式情報)。

久世の将来性|2027年3月期の減益予想と物流拠点再整備をどう読むか

ここまでは回復の話でしたが、足元は逆風局面に入っています。この点を伏せて「V字回復した好調企業」とだけ理解するのは危険です。

2027年3月期の会社予想は、売上高750億円(+2.0%)に対して営業利益20億円(前期比▲9.1%)で、増収減益の計画です(公式情報)。減益要因として会社が挙げているのは、物流拠点再整備に伴う物流費の増加と、生鮮品の仕入原価高騰です。さらに第1四半期の実績は売上179億円(+0.8%)・営業利益3億円(▲36.6%)と、計画以上に厳しい減益スタートになっています。

ただし、この減益は性質の異なる2つの要因が混ざっています。

  • 物流拠点再整備:将来の供給能力を高めるための先行投資であり、一時的なコスト増と位置づけられます。物流2024年問題への対応も含め、卸売業にとって避けて通れない投資領域です
  • 仕入原価高騰:外部環境要因で、価格転嫁の進捗次第で利益への影響度が変わります。有価証券報告書によると原材料仕入は516億03百万円(+6.2%)と増加しています

一方、成長に向けた動きも公式に開示されています(公式情報)。

  • 2025年10月、千葉県木更津市を拠点に業務用食材と包材販売を手がける坂東商会をグループ化
  • 2025年11月、自社ECサイト「クゼデポ」を正式オープン
  • 同月、経済産業省のDX認定を取得
  • 中期経営計画の第1フェーズは2026年3月期で終了

業界文脈としても、国内の家庭内消費から中食・外食への需要シフトは続いており、業務用の食材流通は構造的な受け皿になり得る領域です。同時に、外食市場は景気・物価・人手不足の影響を直接受けるため、久世自身が有価証券報告書で「外食依存度が高い」ことをリスクとして挙げています。

編集部の見解として、久世の将来性は「回復済み・ただし次の局面に入った」と整理するのが妥当です。2021年3月期の底から2026年3月期の過去最高まで戻した実行力は評価できる一方、2027年3月期は投資フェーズであり、短期的な業績と賞与の伸びは鈍る可能性があります。口コミで「会社の成長性や将来性」が2.7と最低スコアである背景にも、こうした構造的な事情が影響していると考えられます(推定情報)。入社を検討するなら、直近の四半期決算と中期経営計画の次フェーズの内容を面接前に確認しておくことをおすすめします。

久世への転職が向いている人・向いていない人

ここまでの公式情報・口コミ傾向をふまえ、適性を整理します(推定情報を含みます)。

向いている人向いていない人
外食・中食のクライアントと長期の関係を築く仕事にやりがいを感じる人短期の成果を高いインセンティブで即座に回収したい人
首都圏を拠点に働きたい人(本社は東京都豊島区東池袋、DCは首都圏中心)全国・海外を渡り歩くスケールの大きい異動を望む人
人間関係・風通しを職場選びの最優先に置く人(口コミの相対的な強み)成果と報酬の連動が明快な評価制度を最重視する人
業績の振れ幅を理解したうえで、回復局面の企業に入りたい人年収の絶対水準を最優先し、大手総合商社・大手卸の給与を求める人
PB開発・メニュー提案・品質管理など、利益率の高い領域に関わりたい人労働組合を通じた集団的な労働条件交渉の仕組みを重視する人

株式会社久世(2708)に関するよくある質問

久世への転職・就職を検討する人から実際に多い質問と、公開情報にもとづく回答をまとめました。

久世の本社はどこにありますか?

本社は東京都豊島区東池袋二丁目29番7号です(第79期有価証券報告書「提出会社の状況の場所」・公式情報)。池袋駅からアクセスできる立地で、物流拠点は野田DC(千葉県野田市)、横浜DC(横浜市戸塚区)、厚木DC(神奈川県厚木市)、館林DC(群馬県館林市)に置かれています。製造拠点は静岡工場(静岡市清水区)とニュージーランド工場です。

久世は国分グループの子会社ですか?

いいえ、子会社ではありません。国分グループ本社は久世の議決権の19.99%を保有する「その他の関係会社」であり、親会社・連結子会社の関係ではありません(公式情報)。久世は東証スタンダード市場への上場を維持しており、TOBや非公開化に関する開示も出ていません。2022年4月の第三者割当増資により資本業務提携の関係にありますが、経営の独立性は保たれています。

平均年収577万5千円は全社員の平均ですか?

いいえ。有価証券報告書の平均年間給与5,775,345円(第79期)は、提出会社(株式会社久世単体)の従業員395名が対象で、臨時従業員256名は外数です(公式情報)。連結従業員649名(うち臨時従業員345名)の平均ではなく、製造子会社キスコフーズ・旭水産の従業員も含まれません。求人サイトが掲載する589万円という数値は2024年3月期の有価証券報告書の値と一致しており、対象期が古い可能性があります。

残業時間はどのくらいですか?

口コミ傾向として、OpenWork集計では月間残業27.9時間・有給消化率58.5%、エン カイシャの評判の集計では月間残業40時間と、サイト間で数字が割れています。ルート営業・配送・物流など職種によって勤務時間帯も繁忙のリズムも異なるため、この差が生じていると考えられます(推定情報)。応募する職種の実労働時間は、面接や労働条件通知書で個別に確認してください。

久世の求人はどこで確認できますか?

新卒採用はマイナビ経由、社員・アルバイト・パートの募集は自社採用サイトで公開されています(公式情報)。ただし公式の採用ページに常時の職種一覧や募集要項が掲載されているとは限らないため、掲載状況は時期によって変わります。中途採用については転職サイト経由の募集も確認できます。応募前に、配属予定拠点・職種・勤務時間帯を必ず確認してください。

コロナ禍で経営危機に陥ったのですか?

3期連続の営業赤字(2020年3月期〜2022年3月期)を計上したことは事実です。一方で、第74期から第79期までの有価証券報告書を確認したところ、久世本体について「継続企業の前提に関する注記」および「重要事象等」の記載はいずれの期にも存在しません(公式情報)。有価証券報告書に現れる債務超過の記載は連結子会社1社に関するもので、親会社・連結ベースの債務超過ではありません。「3期連続営業赤字だったが、継続企業の前提に関する注記が付く水準ではなかった」というのが正確な理解です。

株式会社久世(2708)への転職判断まとめ

ここまでの内容を、判断軸ごとに整理します。最終的な判断は、求人票と内定時の労働条件通知書、そして自分の経験・適性を含めて確認しましょう。

判断軸評価
会社の正体証券コード2708・東証スタンダードの業務用食材卸。本社は東京都豊島区東池袋。食品小売ブランドを運営する同名の別会社とは無関係
業績の安定性2026年3月期は売上735億03百万円で過去最高。ただしコロナ禍で3期連続営業赤字を経験しており、外部環境で大きく振れる業態
財務の健全性自己資本比率は15.7%(2022年3月期)から39.1%(2026年3月期)へ回復。継続企業の前提に関する注記は一度も付いていない
年収水準有価証券報告書の平均年間給与577万5千円(提出会社395名)。5年で約100万円上昇したが、2024年3月期の589万6千円が直近ピーク
収益力連結営業利益率3.0%は、あらた1.31%・伊藤忠食品1.47%を上回る。食材製造事業は12.6%と卸売の3倍以上
働き方口コミでは人間関係・風通しが高評価、待遇・評価制度・将来性が低評価。残業時間は職種差が大きいとみられる
資本関係国分グループ本社が19.99%を保有する「その他の関係会社」。連結子会社ではなく、上場は維持
短期の逆風2027年3月期は会社予想営業利益20億円(▲9.1%)。第1四半期は営業利益▲36.6%と減益スタート

編集部の見解として、久世は「業績の谷を経験し、そこから利益体質を作り直した中堅の業務用食材卸」と総括できます。年収の絶対額で他社を圧倒するタイプではありませんが、外食産業の需要を直接受け止める仕事の面白さ、首都圏中心の勤務地、そして利益率で見れば同業を上回る収益構造は、条件次第で十分に魅力的です。一方で、2027年3月期は投資フェーズで減益予想が出ており、入社直後に賞与が大きく伸びることを前提にした設計は避けたほうが安全だと考えられます。判断材料が足りないと感じたら、直近の決算短信と中期経営計画を面接前に読み込むことをおすすめします。

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本記事の出典・参考情報

本記事で参照した一次情報・口コミ情報の出典は以下の通りです。最新の正確な数値は各リンク先で確認してください。

公式情報源

口コミ・評判の参照元

免責事項:本記事の数値・評価は公式情報・口コミ集計・市場推定の3分類で示しており、口コミ傾向や推定情報は断定ではなく傾向・可能性として表現しています。最終判断は読者自身で公式IRおよび内定時の労働条件通知書で確認してください。

この記事の編集方針・情報の確認について

この記事は、公式公開情報(有価証券報告書・IR資料)、求人情報、口コミ傾向をそれぞれ分けて整理し、転職・就職判断に役立つよう編集しています。平均年間給与・平均年齢・平均勤続年数・従業員数・売上高・営業利益といった中核データは、株式会社久世の第74期〜第79期有価証券報告書を一次情報として確認し、口コミ・推定情報とは明確に区別しています。記載内容は最終更新時点の公開情報にもとづきます。最新の正確な数値は公式IRページでご確認ください。

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コロ助
コロ助
企業と転職サービスを、有価証券報告書などの一次情報から読んでいます。
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