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興研(7963)の年収757万円と評判|同業比+167万円・防衛省向け13%の実態

コロ助

※本記事にはプロモーションを含みます。

この記事の結論

  • 年収:有報の平均年間給与は757万6,626円。同業の重松製作所を約167万円上回ります
  • 業績:2025年12月期は売上118億57百万円・営業利益12億71百万円でともに過去最高
  • 注意点:2026年12月期は増収減益予想で、会社は3期ぶりの営業減益を織り込み済み
  • 評判:口コミの総合評価はサイトにより2.6〜3.5と割れ、母数は全社合計で約100件

「マスクメーカーの転職先としてどうなのか」という視点で興研を調べ始めると、最初に目に入る数字で手が止まる人が多いはずです。従業員251名の中小規模メーカーでありながら、有価証券報告書に記載された平均年間給与は757万6,626円。直接競合の重松製作所(590.9万円)を約167万円上回ります。この記事では、その年収の中身を有報6期分の推移と同業比較で分解したうえで、業績・事業構造・勤務地・口コミ傾向まで、転職判断に必要な材料を公式情報と口コミ情報に分けて整理します。なお本記事が扱うのは証券コード7963・東京証券取引所スタンダード市場に上場する「興研株式会社」(本社:東京都千代田区四番町7番地)です。辞書出版の「研究社」や社名の似た別法人とは無関係ですのでご注意ください。

興研(7963)とはどんな会社か|売上の80%はマスク、最大顧客は防衛省

年収や評判を見る前に、この会社が何で稼いでいるのかを押さえておくと、以降の数字の意味が一気に読みやすくなります。結論から言えば、興研は労働安全衛生分野の防じんマスク・防毒マスクを主力とする独立系の呼吸用保護具メーカーで、東証の業種分類は「その他製品」に属します。1943年に興進会研究所として創業し、1963年に現社名で設立された創業83年の老舗です。

公式情報として、2025年12月期決算短信によると、セグメント別の売上構成は次のとおりです。

セグメント売上高(2025年12月期)前期比構成比
マスク関連事業95億64百万円+2.7%80.6%
環境関連事業(KOACH等)19億39百万円+82.3%16.4%
その他事業3億53百万円△8.0%3.0%
連結売上高 合計118億57百万円+10.2%100%

さらに品目別に割ると、防じんマスク46億98百万円(39.6%)、防毒マスク32億77百万円(27.6%)、マスク関連・その他製品15億88百万円(13.4%)、環境関連製品19億39百万円(16.4%)という内訳です。防じんマスクと防毒マスクの2品目だけで売上の67.2%を占めており、「マスク専業に近いメーカー」という理解で大きく外れません。

ただし、この会社を理解するうえで見落とせないのが顧客構成です。有価証券報告書の「主要な顧客ごとの情報」には防衛省が実名で記載されており、2025年12月期の防衛省向け売上は15億84百万円、連結売上の13.4%を占める単独最大顧客となっています。興研は1985年以降、40年にわたり自衛隊にNBC(核・生物・化学)防護マスクを供給してきました。決算短信によると、自衛隊向け防護マスクの売上は3期連続で前年実績を上回っています。「産業用マスクの会社」という第一印象と、実態としての防衛関連事業の比重には、はっきりしたギャップがあります。

もうひとつの顔が環境関連事業です。中核となるのは、一般的な壁で囲うクリーンルーム施工ではなく、扉のないオープン空間のままISOクラス1の清浄度を実現する自社技術「KOACH(コーチ)」。半導体市場向けの大型機「フロアーコーチ」が牽引し、名古屋・大阪・広島・熊本にショールームを展開しています。輸出は190百万円(売上比1.6%)にとどまる内需型企業で、海外は主に生産面(タイ・チョンブリ県の100%子会社SIAM KOKEN LTD.)で関わる構図です。

興研の公式データ一覧(第63期 有価証券報告書ベース)

本記事で扱う公式数値を一覧で確認できます。公式情報として、最新の正確な数値は公式IRページで再確認してください。出典はすべて第63期(2025年1月1日〜2025年12月31日)の有価証券報告書(2026年3月25日提出)および2025年12月期決算短信(2026年2月10日開示)です。

項目内容
平均年間給与757万6,626円(第63期・提出会社)
平均年齢40.9歳(第63期・提出会社)
平均勤続年数15.0年(第63期・提出会社)
従業員数単体251名/連結312名(臨時雇用者165名は年間平均人員として外数)
売上高118億57百万円(連結・前期比+10.2%/2期連続で過去最高)
営業利益12億71百万円(連結・前期比+25.9%/売上高営業利益率10.7%)
経常利益12億20百万円(前期比+21.7%)
当期純利益8億85百万円(親会社株主に帰属・前期比+22.6%)
自己資本比率61.5%(総資産224億43百万円/純資産137億97百万円)
研究開発費762百万円(売上高比6.4%)/研究開発人員68名
本社所在地東京都千代田区四番町7番地
上場区分東京証券取引所 スタンダード市場(証券コード7963)
労働組合なし(有報「(3)労働組合の状況:組合はありません」)
男性育児休業取得率75.0%(第63期有報)
女性管理職比率6.3%(第63期有報)
2026年12月期 会社予想売上122億円(+2.9%)/営業利益12億20百万円(△4.1%)
離職率・初任給・新卒採用人数有価証券報告書では開示されていない
出典第63期(2025年12月期)有価証券報告書/2025年12月期決算短信

興研の平均年収757.7万円を分解する|有報6期の推移で見る実力値

この記事でもっとも読者の判断を左右するのが、この年収パートです。結論を先に置くと、興研の平均年収757.7万円は「一時的なコロナ特需のブレ」ではなく、6期にわたって750万円台で安定している構造的な水準と読めます。以下、数字の定義から順に確認します。

有報の757万6,626円は何を含む数字か

公式情報として、有価証券報告書によると第63期(2025年12月期)の平均年間給与は757万6,626円です。ここで重要なのが有報の注記で、この金額は税込支払給与額であり、基準外賃金(残業代等)および賞与を含むと明記されています。つまり「基本給だけの数字」でも「額面から諸手当を除いた数字」でもなく、年間で実際に支払われた総額です。

さらに、この数値を素直に受け取ってよい理由がもうひとつあります。興研は持株会社ではなく、事業会社そのものが上場している会社です。「興研ホールディングス」という持株会社は存在しません。有報に載る「提出会社」の数値は興研株式会社単体(251名)のもので、連結312名との差も小さいため、持株会社形態の企業でよく起きる「本社の少数精鋭だけが高年収で、事業会社の現場とは別世界」というズレが構造的に起きにくいのが特徴です。

一方で注記しておくべき点もあります。有報には従業員251名とは別に、臨時雇用者165名が年間平均人員として外数で記載されています。平均年間給与はこの臨時雇用者を含まない正社員ベースの数字であり、事業所全体の人員構成を表すものではない点は押さえておいてください。

6期の推移|2021年をピークに750万円台で高原状態

同社有報ベースの平均年間給与の推移は以下のとおりです。

決算期平均年間給与前期からの増減
2020年12月期722万円―
2021年12月期777万円+55万円
2022年12月期747万円△30万円
2023年12月期760万円+13万円
2024年12月期753万円△7万円
2025年12月期(第63期)757.7万円+4.7万円

読み取れることは3つあります。第一に、ピークはコロナ特需が最も効いた2021年12月期の777万円で、そこから約20万円下がった水準で落ち着いています。第二に、2022年以降の4期はすべて747万〜760万円のレンジに収まっており、変動幅は13万円程度と極めて小さい。第三に、2020年から2025年までの5年間で+35.7万円(+4.9%)と、大幅な上昇も下落もしていません。

この「動かなさ」は、賞与の変動が小さいことを示唆します(推定情報)。業績連動賞与の比重が大きい会社であれば、営業利益が4.67億円から12.7億円へ変動した8期のあいだにもっと年収が上下するはずですが、実際には750万円台で安定しています。給与の予測可能性を重視する人にとってはプラス、成果で大きく上振れさせたい人にとっては物足りない構造と考えられます。

口コミ上の年収感と有報の差はどう読むか

口コミ傾向としては、エン カイシャの評判では回答者ベースの平均年収が606万円(平均35歳)と集計されています。有報の757.7万円(平均40.9歳)とは約151万円の差がありますが、この差は必ずしも矛盾ではありません。年齢が5.9歳違うこと、口コミの回答者が若手・中堅に偏りやすいこと、有報が賞与・基準外賃金を含む総支給額であることを踏まえると、おおむね年1回あたり25万円前後の積み上がりで説明できる範囲と考えられます(推定情報)。

同じくエン カイシャの評判では、年収・給与の納得度が82%と高水準で集計されています。口コミ全体で見ても、給与への不満はこの会社の主要な論点にはなっていません。

求職者
求職者

マスクメーカーで750万円台って、本当に維持できるんですか?

維持できるかどうかの答えは、この後の「業績」パートにあります。先に結論を言えば、直近8期すべて営業黒字で、原資そのものは安定しています。ただし2026年12月期は会社自身が減益を予想しているため、その中身も含めて確認する必要があります。

なぜ興研の年収は同業より167万円高いのか|重松製作所・日本エアーテックとの比較

「757.7万円は高い」と言うためには比較対象が要ります。転職検討者が実際に並べて悩むであろう2社と比べたのが下表です。競合他社の平均年収は各社の有報にもとづく二次集計値(Yahoo!ファイナンス/IRバンク等)であり、興研本体の数値とは出典の性質が異なる点にご留意ください。

企業名平均年収(推定)働きやすさ将来性転職難易度向いている人
興研(7963)約757.7万円(有報実額)残業20〜26時間の集計。労働組合なし環境関連が+82.3%で第2の柱化が進行中採用枠が小さく門は狭いと見られる専門性を深めたい技術者・規格対応人材
重松製作所(7980)約590.9万円従業員390名・平均勤続16.8年呼吸用保護具の直接競合として2強を形成同規模のニッチ専業で門は狭いと見られる呼吸用保護具一本で経験を積みたい人
日本エアーテック(6291)約649.1万円従業員455名・平均年齢42.8歳クリーンルーム専業でKOACHの競合領域クリーン環境系の経験者は接点が多い空調・クリーン環境の技術を軸にしたい人
ミドリ安全(非上場)公開情報が限られる総合安全保護具メーカー兼商社販売網の広さが強み。興研の顧客でもある職種が広く入口は比較的多いと見られる安全衛生を幅広く扱いたい人

差額を整理すると、興研は重松製作所を約167万円(+28.2%)、日本エアーテックを約109万円(+16.7%)上回ります。従業員251名の中小規模メーカーとしては明確に高い水準です。なぜこの差が生まれるのか、公式データから読み取れる要因を3点挙げます(推定情報を含みます)。

  • 収益性の差:2025年12月期の売上高営業利益率は10.7%。一般的な中堅製造業と比べても高く、賃金に回せる原資が確保しやすい構造です。
  • 一人当たり生産性の高さ:連結売上118億57百万円を連結従業員312名で割ると一人当たり売上高は約3,800万円、一人当たり営業利益は約407万円。国家検定を通らなければ販売できない参入障壁の高い製品を、価格競争に巻き込まれにくい形で売れていることが背景にあると考えられます。
  • 職種構成の偏り:研究開発人員68名は単体従業員251名の約27%を占めます。研究開発費762百万円は売上高の6.4%。技術職比率が高い会社は平均給与が押し上げられやすく、この構成自体が平均値を高くしている面があります。

逆に言えば、この757.7万円という平均値は「全職種が一律に高い」ことを意味しません。研究開発職・技術職の比重が高いことによる押し上げが含まれている可能性があるため、営業職・製造職・管理部門で応募する場合は、内定時の労働条件通知書で自分の等級・想定年収を必ず確認してください。有価証券報告書では職種別・役職別の年収は開示されていません。

興研の業績は本当に伸びているのか|売上8期推移と2026年の増収減益予想

「コロナ特需で一度膨らんで、その後しぼんだのでは」という見立てで調べ始めた人には、意外な結果になるかもしれません。公式情報として、有価証券報告書および決算短信をもとに直近8期の推移を並べます。

決算期売上高営業利益
2018年12月期83.3億円4.67億円
2019年12月期86.1億円5.68億円
2020年12月期102億円11.3億円
2021年12月期102億円9.46億円
2022年12月期106億円11.8億円
2023年12月期106億円10.1億円
2024年12月期107.6億円10.1億円
2025年12月期(第63期)118.6億円12.7億円

コロナ後の反動減は起きていない

表から読み取れる最大のポイントは、2020年12月期に102億円へ跳ねた売上が、その後102→106→106→107.6→118.6億円と一度も大きく落ちていないことです。7年間で+42.4%、年平均成長率にすると約5.2%。営業利益は4.67億円から12.7億円へ約2.7倍になっています。直近8期はすべて営業黒字で、継続企業の前提に関する注記も「該当事項はありません」です。

その理由の一端は会社自身が説明しています。有価証券報告書および決算短信によると、医療用マスクは「コロナ禍前の約3倍の水準を維持」している、と明記されています。感染対策の一時需要が去った後も、医療現場でのN95マスク常備が定着したことが下支えになっていると読めます。加えて、産業用(製造業・建設現場)、防衛省向け、環境関連という需要サイクルの異なる3系統を持つことが、単一需要の反動を吸収する構造になっています。

2025年の増収を作ったのはマスクではなくKOACH

ここは求職者にとって重要な分析です。2024年12月期107.6億円から2025年12月期118.57億円への増収額は約10.97億円。これをセグメント別に分解すると次のようになります。

  • 環境関連事業:約+8.75億円(前期比+82.3%)
  • マスク関連事業:約+2.51億円(前期比+2.7%)
  • その他事業:約△0.31億円(前期比△8.0%)

増収額のおよそ8割を、売上構成比では16.4%にすぎない環境関連事業が叩き出しています。主力のマスク関連は+2.7%と堅調ではあるものの、成長エンジンとしての役割は完全にKOACHへ移っている、というのが数字の示す姿です。「マスク一本足からの脱却」が現在進行形で起きており、第2の柱づくりに関わりたい人材にとっては入るタイミングとして意味があると考えられます(推定情報)。

2026年12月期は3期ぶりの減益予想|ここは必ず見ておくべき

過去最高益だけを見て判断すると片手落ちになります。決算短信によると、2026年12月期の会社予想は増収減益です。

項目2025年12月期 実績2026年12月期 会社予想増減率
売上高118億57百万円122億円+2.9%
営業利益12億71百万円12億20百万円△4.1%
経常利益12億20百万円11億50百万円△5.8%
当期純利益8億85百万円8億30百万円△6.2%

会社はコストアップを理由に挙げており、3期ぶりの営業減益を織り込んでいます。売上は伸びる前提なので事業そのものが縮む予想ではありませんが、入社後1〜2年の賞与原資が過去最高期ほどの伸びにはならない可能性は想定しておくのが現実的です(推定情報)。面接では「2026年12月期の減益予想は何が主因で、どう吸収する計画か」を確認すると、経営の解像度も測れます。

財務面でもう1点。自己資本比率61.5%と基盤は厚い一方、有価証券報告書によるとキャッシュ・フロー対有利子負債比率が2024年12月期の7.8年から2025年12月期は42.4年へ、インタレスト・カバレッジ・レシオが13.7倍から2.2倍へ悪化しています。主因は売上債権9億44百万円・棚卸資産3億66百万円の増加で営業キャッシュ・フローが666百万円から136百万円へ落ち込んだこと。増収に伴う運転資本の増加と読めますが、翌期以降に回収が進むかは見ておく価値のある指標です(推定情報)。

興研の評判・口コミ傾向|サイトによって2.6〜3.5に割れる理由

先に前提を共有します。興研の口コミは母数が非常に少なく、全サイトを合計しても実質100件前後です。エン カイシャの評判64件、転職会議54件、就活会議47件、OpenWorkは回答者8名という規模感で、総合スコアはサイトによって2.6〜3.5と大きく割れます。数点の違いを深読みするより、どの項目が高くどの項目が低いかという「傾向」で読むほうが実態に近づけます。

高く評価されている軸|事業の独自性と社会貢献性

口コミ傾向としては、エン カイシャの評判(総合3.5)で「事業の優位性/独自性」が4.0と最高評価になっており、「産業用マスク業界トップシェア」「命を守る仕事」といった社会貢献性(3.8)が評価軸として挙がっています。年収・給与の納得度82%と合わせて考えると、「事業内容に納得でき、待遇にも不満が出にくい」というのがこの会社の基本線と読めます。OpenWorkでも「法令順守意識」3.6が項目別で最高でした。

低く出ている軸|風通しと意思決定スピード

一方で、共通して低く出るのが組織風土まわりです。エン カイシャの評判では「職場の活気」3.2で、トップダウン体制が強いという指摘が見られます。OpenWorkでは「風通しの良さ」「社員の相互尊重」がともに2.7で項目別最低。「勤務時間の満足度」は59%で、とくに営業職の労働時間管理に課題を挙げる声、営業部門での女性のキャリア形成の難しさを挙げる声もあります。残業時間はエン カイシャの評判で月26時間、OpenWorkで月20.0時間、有給消化率78.1%と集計されています。

これは創業80年超のオーナー系ニッチトップ製造業に典型的なパターンと言えます。有価証券報告書によると、上位10名の株主で発行済株式の64.63%を保有し、公益財団法人酒井CHS振興財団11.93%、代表取締役会長の酒井眞一氏11.75%、取締役相談役の酒井宏之氏11.12%と、創業家・関連財団が上位に並びます。意思決定が速い反面、合議より上位方針が優先されやすい構造は、口コミの内容と整合的です(推定情報)。なお労働組合はありません(有報「組合はありません」)。

一次情報と口コミが一致している数少ないポイント

口コミの信頼性を測るうえで有効なのが、有報の数値と突き合わせることです。有価証券報告書によると男性育児休業取得率は75.0%で、これは口コミの「育休制度が充実しており、男性の取得実績がある」という声と整合します。制度面の口コミはある程度信頼して読める、と判断してよい材料です。

女性の働き方に関する数字も併記しておきます。有報の女性管理職比率は6.3%、男女の賃金差異は全労働者40.4%・正規雇用78.6%・非正規80.6%。全労働者ベースの40.4%という数字は一見大きいですが、会社は「女性労働者の約8割をパートタイマーが占めるため全労働者の男女差として表れている」と有報で自ら説明しています。正規雇用同士では78.6%であり、どちらの数字を見るかで印象が大きく変わる典型例です。OpenWorkの集計では女性比率14.7%、女性管理職8%とされています。

興研の勤務地と働き方|本社84名・5つのテクノヤードという配置

転職判断で意外に効くのが勤務地です。興研は工場を「工場」とも「製作所」とも呼ばず、全社的に「テクノヤード」と呼称します(1987年に全拠点の呼称を統一)。有価証券報告書「主要な設備の状況」から、単体251名の配置を整理すると次のようになります。

拠点所在地人員
本社東京都千代田区四番町7番地84名
先進技術センター埼玉県飯能市(土地46,778㎡)33名
狭山テクノヤード埼玉県狭山市18名
群馬テクノヤード群馬県みどり市18名
所沢テクノヤード埼玉県所沢市12名
嵐山テクノヤード埼玉県比企郡嵐山町10名
中井テクノヤード神奈川県足柄上郡中井町7名
埼玉配送センター埼玉県比企郡嵐山町4名
全国15営業所北海道・仙台・新潟・千葉・熊谷・東京・横浜・名古屋・北陸・大阪・神戸・倉敷・広島・四国・九州約65名(差引)

この配置から読めることが3つあります(推定情報を含みます)。

  • 製造・研究職は関東圏に集中している:5つのテクノヤード(計65名)と先進技術センターはすべて埼玉・群馬・神奈川にあり、本社を含めた製造・研究系の勤務地は首都圏から通える範囲に収まります。全国転勤前提の大手メーカーとは事情が異なります。
  • 営業所は少人数拠点:全国15営業所に配置されるのは差引で約65名。単純平均で1拠点あたり4名前後です。地方拠点では少人数で広域を担当する働き方になると考えられます。
  • 本社の比率が高い:単体251名のうち84名(33.5%)が本社勤務。開発・営業企画・管理が集中していると見られます。

人事制度についても有報に記載があります。同社は「興研トータル人事システムHOPES(ホープス)」を約30年運用しており、専門能力・業務実績達成能力・管理能力を独立した3軸で評価し、「年齢、性別、勤続年数を問わず活躍の場が与えられる」と明記しています。加えて技術者向けの「マイスター制度」、技術開発員と取締役全員が参加する「月例研究発表会」も有報に記載された制度です。平均勤続15.0年という数字(2021年の16.7年をピークに、2024年15.8年→2025年15.0年と低下傾向)と併せて読むと、年功一色の老舗というイメージと、実際の制度設計にはズレがある可能性があります。

ネガティブな開示も確認しておきましょう。有価証券報告書「事業等のリスク」には、旧研究所とテクノヤードの計2か所でトリクロロエチレンによる土壌・地下水汚染の浄化対策を継続中で、「浄化が完了する時期の想定は現在の段階では難しい」と自社開示されています。また、厚生労働省による呼吸用保護具の買取り試験で不適合を指摘されるリスクも、有報のリスク項目として自ら挙げています。老舗製造業として抱える課題を隠さず開示している点は、情報の受け取り方としてフェアに扱うべき材料です。

呼吸用保護具業界の中で興研はどこに立っているか

個社の数字だけでなく、業界構造から見ておくと将来性の判断精度が上がります。呼吸用保護具業界には、他業界と異なる4つの特徴があります。

景気ではなく法改正で需要が動く

この業界の需要は景気動向よりも労働安全衛生法令の改正に連動します。2024年4月に「保護具着用管理責任者」の選任が義務化され、2026年4月施行の改正では化学物質の自律的管理が本格化し、リスクアセスメント対象物がGHS分類済みの約2,900物質へと大幅に拡大します。個人ばく露測定やSDS通知義務の強化も進むため、製造業・建設業の現場では「どの作業にどの等級のマスクを使うか」を根拠を持って選定・記録する必要が生じています。メーカー側も製品販売にとどまらず、規制解説・保護具選定支援・フィットテスト(面体の密着性確認)といったサービス提供へ動いています。労働安全衛生法や化学物質管理の知識は、この業界では営業・技術サポートの両面で市場価値になりやすいスキルです。

参入障壁が高く、プレイヤーが少ない

呼吸用保護具は国の型式検定・国家検定を通らなければ販売できず、面体の密着設計やろ過材技術に長年の蓄積が要ります。国内は興研・重松製作所という専業メーカー、スリーエムなどのグローバル大手、ミドリ安全・山本光学といった総合安全保護具メーカーが並ぶ構図で、中堅規模の企業が技術で棲み分ける構造です。規模拡大より「特定分野の専門性を深める」キャリアを志向する人と相性が良い業界と言えます。

電動ファン付き(PAPR)への高付加価値シフト

使い捨て防じんマスクから、電動ファン付き呼吸用保護具(PAPR)への置き換えが進んでいます。PAPRは呼吸抵抗が小さく長時間作業の負担が軽い一方、単価は使い捨て品より一桁高く、フィルターや電池などの消耗品・保守で継続収益が生まれます。石綿(アスベスト)作業や溶接ヒューム対策での採用が広がり、建築物解体のピークが2028年頃と見込まれることも中期的な追い風です。機械・電気・制御・ソフトを組み合わせた製品へ移行しているため、従来の材料・成形分野以外の技術者にも入口が広がっています。サジェストに「興研 電動ファン付き呼吸用保護具」が並ぶのは、この領域が現場で実際に検討されている証拠でもあります。

クリーン環境技術への横展開=KOACHの位置づけ

呼吸用保護具で培った気流制御・ろ過技術を、半導体や医療のクリーン環境分野へ横展開する動きが業界の成長ドライバーです。その代表例が興研のKOACHで、壁で囲わずISOクラス1を実現し、設置・ランニングコストを抑えつつ移設・増設もできる点が評価されています。半導体の微細化と生成AI向け投資の拡大を背景に受注が伸び、前述のとおり2025年12月期の増収額の約8割を担いました。保護具単体ではなく「空気環境ソリューション」として事業が広がっているため、半導体・空調・クリーンルーム分野からの転職ルートも開けています。

興研への転職が向いている人・向いていない人

これまでの公式情報・口コミ傾向をふまえ、適性を整理します(推定情報を含みます)。

向いている人向いていない人
特定分野の専門性を長く深めたい人(平均勤続15.0年・研究開発人員比率27%)2〜3年で職種や事業領域を大きく変えながら幅を広げたい人
知名度より待遇と事業の安定性を優先する人(平均年収757.7万円・8期連続営業黒字)企業ブランドや会社の規模感をキャリアの資産にしたい人
規格対応・国家検定・化学物質管理といった「ルールを読む力」を武器にできる人裁量的にルールを作り替えていく仕事を好む人
関東圏(東京本社・埼玉/群馬/神奈川のテクノヤード)で腰を据えて働きたい人海外駐在やグローバル案件を主戦場にしたい人(輸出比率1.6%の内需型)
KOACHのような立ち上げ期の事業に関わりたい人(環境関連+82.3%)完成された事業基盤の上で大規模な予算を動かしたい人
成果連動より予測可能な給与を重視する人(6期にわたり747〜760万円で安定)成果次第で年収を大きく上振れさせたい人
トップダウンでも意思決定が速い環境を許容できる人ボトムアップの合意形成や強い風通しを重視する人(口コミで2.7〜3.2の項目)

興研への転職|編集部の見解

編集部の見解として、興研は「知名度と待遇のギャップが最も大きいタイプのニッチトップ企業」と位置づけられます。従業員251名という規模で平均年収757.7万円を6期にわたって維持し、8期連続で営業黒字、自己資本比率61.5%。この組み合わせは、同規模のBtoBメーカーの中では明確に上位です。加えて、防衛省向けが売上の13.4%を占める安定需要と、+82.3%で伸びる環境関連という異なる時間軸の柱を同時に持っている点は、転職先としてのリスク分散になっています。

一方で、総合すると「規模の成長ではなく専門性の深さで報われたい人」に向いた会社と考えられます。輸出比率1.6%の内需型で、拠点も関東圏中心。口コミでは風通しや意思決定プロセスに関する評価が低めに出ており、オーナー系企業特有の意思決定構造は事前に許容できるか見極めが必要です。また2026年12月期は会社自身が減益を予想しているため、「過去最高益の勢いに乗って入社する」という期待の置き方は避けたほうが安全です。

面接で確認する価値が高いのは次の3点です。①2026年12月期の減益予想の主因と、その後の回復シナリオ。②環境関連事業(KOACH)の人員配置方針と、自分の職種がそこに関われるか。③HOPES人事制度の運用実態(3軸評価が実際にどう昇給・昇格へ反映されているか)。いずれも公開情報だけでは判断できず、かつ入社後の満足度を大きく左右する論点です。

興研に関するよくある質問(FAQ)

興研への転職・就職を検討する人からよくある質問と回答をまとめました。

興研の本社はどこですか?勤務地の選択肢は?

公式情報として、本社は東京都千代田区四番町7番地です(有報・公式サイト会社概要)。製造拠点は狭山・群馬(みどり市)・所沢・中井・嵐山の5つのテクノヤード、研究拠点は埼玉県飯能市の先進技術センターと埼玉配送センター。ほかに全国15か所の営業所があります。製造・研究職の勤務地は関東圏に集中しているのが特徴です。

「興研ホールディングス」という会社はありますか?

存在しません。興研は持株会社化しておらず、事業会社そのものが東京証券取引所スタンダード市場に上場しています(証券コード7963)。そのため有報の「提出会社」の平均年収がそのまま事業会社の数値になります。辞書出版の「研究社」や、社名の似た別法人との混同にはご注意ください。

興研の平均年収757.7万円は職種によってどのくらい違いますか?

有価証券報告書では職種別・役職別の年収は開示されていません。ただし研究開発人員が単体従業員の約27%を占める構成上、技術職の比重が平均値を押し上げている可能性があります(推定情報)。口コミ傾向としてはエン カイシャの評判で回答者平均606万円(35歳)と集計されており、年齢や職種で相応の幅があると考えられます。実額は必ず労働条件通知書で確認してください。

興研に労働組合はありますか?残業はどのくらいですか?

有価証券報告書に「(3)労働組合の状況:組合はありません」と記載されており、労働組合はありません。残業時間は口コミ傾向として、エン カイシャの評判で月26時間、OpenWorkで月20.0時間と集計されています。有給消化率はOpenWorkで78.1%。有価証券報告書では残業時間・離職率は開示されていないため、面接で実績値を確認するのが確実です。

興研は「防衛関連」の会社と考えてよいですか?

売上の13.4%(15億84百万円)が防衛省向けであり、1985年から40年にわたりNBC防護マスクを供給しています。決算短信によると、自衛隊向け防護マスクの売上は3期連続で前年実績を上回りました。ただし主力はあくまでマスク関連事業全体(売上の80.6%)で、その中の民需(産業用・医療用)が大半を占めます。「防衛需要も持つ呼吸用保護具メーカー」と理解するのが正確です。

KOACH(コーチ)とは何ですか?環境関連事業に関われますか?

KOACHは、壁で囲うクリーンルームを作らずにオープン空間のままISOクラス1の清浄度を実現する自社技術です。半導体市場向けの大型機「フロアーコーチ」が牽引し、2025年12月期は前期比+82.3%と急伸。売上構成比16.4%ながら、同期の増収額の約8割を生み出しました。名古屋・大阪・広島・熊本にショールームがあります。関われるかどうかは職種・配属次第のため、求人票の職務範囲と面接で確認してください。

興研の求人はどこで探せますか?

公式採用サイトのほか、リクルートエージェント・dodaなどの転職サービスに中途求人の掲載実績が確認できます。新卒はマイナビ等に会社情報が掲載されています。ただし単体251名という規模から、年間の採用枠は限られると見られます(推定情報)。募集が常時出ているタイプの企業ではないため、複数の転職サービスに登録して求人の発生を早めに把握しておくのが現実的です。

興研への転職判断まとめ

ここまでの内容を、判断軸ごとに整理します。最終的な判断は、求人票だけでなく自分の経験・適性も含めて確認しましょう。

判断軸評価
年収水準有報実額757万6,626円。重松製作所+約167万円、日本エアーテック+約109万円。6期にわたり747〜760万円で安定
年収の伸びしろ変動幅が小さく予測可能性は高い一方、成果連動で大きく上振れする構造は読み取りにくい(推定情報)
業績の安定性直近8期すべて営業黒字、自己資本比率61.5%、継続企業の前提に関する注記は該当なし
成長性環境関連(KOACH)が+82.3%で増収額の約8割を創出。ただし2026年12月期は増収減益予想
事業リスク輸出比率1.6%の内需型。防衛省向け13.4%という顧客集中。土壌・地下水汚染の浄化対策を継続中と自社開示
働き方残業は月20〜26時間で集計、有給消化率78.1%、男性育休取得率75.0%(有報)。労働組合はなし
組織風土口コミで「事業の優位性」4.0が最高、「風通しの良さ」「相互尊重」2.7が最低。上位10株主で64.63%のオーナー系
勤務地本社(千代田区)+関東圏5テクノヤード+飯能の研究拠点。全国15営業所は1拠点あたり数名規模
スキルの汎用性国家検定対応・気流/ろ過設計・化学物質管理は、安全衛生/クリーン環境業界へ横展開が利く
口コミの信頼度全社合計で約100件と少なく、総合評価は2.6〜3.5に分散。傾向として読むのが妥当

どのサービスを使えばいいか決められないとき

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本記事の出典・参考情報

本記事で参照した一次情報・口コミ情報の出典は以下の通りです。年収・平均年齢・平均勤続年数・従業員数・売上高・営業利益は、第63期(2025年12月期)有価証券報告書および2025年12月期決算短信の実額を用いています。

公式情報源

口コミ・評判の参照元

免責事項:本記事の数値・評価は公式情報・口コミ集計・市場推定の3分類で示しており、口コミ傾向や推定情報は断定ではなく傾向・可能性として表現しています。最終判断は読者自身で公式IRおよび内定時の労働条件通知書で確認してください。

この記事の編集方針・情報の確認について

この記事は、公式公開情報(有価証券報告書・IR資料)、求人情報、口コミ傾向をそれぞれ分けて整理し、転職・就職判断に役立つよう編集しています。年収・平均年齢・平均勤続年数・従業員数などの中核データは第63期(2025年12月期)有価証券報告書「従業員の状況」を一次情報として確認し、口コミ・推定情報とは明確に区別しています。同業他社の平均年収は各社有報にもとづく二次集計値であり、出典の性質が異なる点を本文中で明示しました。記載内容は最終更新時点の公開情報にもとづきます。最新の正確な数値は各公式IRページでご確認ください。

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コロ助
コロ助
企業と転職サービスを、有価証券報告書などの一次情報から読んでいます。
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