企業

菊水化学工業の年収529万円と全国6工場|名古屋の仕上塗材メーカーの実像

コロ助

※本記事にはプロモーションを含みます。

この記事の結論

  • 正体:証券コード7953は名古屋の建築仕上塗材メーカー(東証・名証)
  • 年収:有報第69期の平均年間給与は529万8千円(前期比+4.53%)
  • 勤務地:本社1・工場6・営業拠点は札幌から鹿児島まで全国に分散
  • 働き方:残業は会社公表6時間・口コミ21.8時間と情報差が大きい

「菊水化学工業」で検索したとき、最初に確認しておきたいことがあります。この会社は、愛知県名古屋市に本社を置く建築用の仕上塗材(しあげぬりざい)メーカーであり、証券コードは7953、東京証券取引所スタンダード市場と名古屋証券取引所メイン市場に重複上場しています。この記事では、第69期(2026年3月期)有価証券報告書の実額をベースに、年収・勤務地・働き方・業績・将来性を整理し、「入社したらどの拠点で、どんな仕事をして、どのくらいの待遇になるのか」を判断できる形にまとめました。特に検索需要が集中している勤務地(本社・滋賀工場・東海工場・各務原工場・犬山工場など)については、拠点ごとの機能まで踏み込んで解説します。

菊水化学工業とは|証券コード7953・名古屋の建築仕上塗材メーカー

結論から言えば、菊水化学工業株式会社は建物の外壁・内壁を仕上げる「仕上塗材」を主力とする建築塗料・建材メーカーです。転職検討者がまず得られるメリットは、社名の似た別会社と取り違えずに情報収集できることです。

「菊水」を名乗る他社とは無関係

社名検索でつまずきやすいのが、同じ「菊水」を冠する別法人の存在です。公式情報として整理すると、以下のとおり資本関係も事業内容も別物です。

  • 菊水化学工業株式会社(7953):本記事の対象。愛知県名古屋市中区・建築仕上塗材メーカー。東証33業種分類は「その他製品」
  • 菊水電子工業(6912):計測器メーカー。2024年に菊水ホールディングスへ移行。7953とは別会社
  • 菊水酒造・菊水堂:それぞれ酒類・菓子の事業者で、7953とは無関係

求人サイトや口コミサイトを横断して調べる際は、証券コード7953/本社は名古屋市中区栄という2点で照合すると混同を避けられます。

沿革と会社の骨格

有価証券報告書の沿革によると、1959年に建築化粧仕上材の販売を目的として菊水商事有限会社が創立され、1961年3月に組織変更して菊水株式会社となり、1963年6月に現商号「菊水化学工業株式会社」へ変更されました。1988年11月に名証二部、2014年12月に東証二部へ上場し、2022年4月の市場区分見直しで東証スタンダード・名証メインへ移行しています。資本金は19億7,273万5千円、発行済株式総数は12,744,054株です。

代表取締役社長は遠山眞樹氏で、2026年6月26日に就任しました。2015年に取締役、2024年に常務を経ての昇格で、前社長の今井田広幸氏は会長に就いています。推定情報としては、社長交代直後の期は経営方針や組織体制が動きやすい時期にあたるため、選考時に中期の方向性を確認する価値があると考えられます。

菊水化学工業の公式データ一覧(有価証券報告書ベース)

本記事で扱う公式数値を一覧で確認できます。公式情報として、最新の正確な数値は公式IRページで再確認してください。

項目内容
商号/証券コード菊水化学工業株式会社/7953
上場市場東京証券取引所スタンダード市場・名古屋証券取引所メイン市場(重複上場)
本社愛知県名古屋市中区栄一丁目3番3号 AMMNATビル(2022年7月に移転)
創業・設立創業1959年5月/1961年3月に菊水株式会社へ組織変更/1963年6月に現商号へ
代表者代表取締役社長 遠山眞樹(2026年6月26日就任)
資本金19億7,273万5千円
事業内容建築仕上塗材・建築下地調整塗材・タイル接着材・建築土木資材の製造販売、ビルリフレッシュ(改修・改装工事)。報告セグメントは「製品販売・工事」の単一セグメント
平均年間給与約529万8千円(前事業年度比+4.53%)
平均年齢42.8歳
平均勤続年数14.4年(前期13.7年)
従業員数連結426名(外数で臨時従業員66名)/提出会社単体407名(同66名)
部門別人員(連結)建材塗料事業本部279名/住宅事業本部106名/全社(管理部門)41名
売上高連結216億20百万円(前期比+1.0%)
営業利益連結4億3百万円(前期比+52.3%)
経常利益/当期純利益4億95百万円/2億70百万円
自己資本比率60.05%
研究開発費3億1,164万円(建材塗料事業本部2億1,829万円、住宅事業本部9,335万円)
女性管理職比率/男性育休取得率3.0%/77.0%(提出会社)
男女の賃金の差異全労働者69.1%/正規雇用72.4%/パート・有期99.4%
労働組合結成されていない(有価証券報告書に明記)
出典第69期(2026年3月期)有価証券報告書(2026年6月26日提出・EDINETコードE00912)/2026年3月期決算短信/公式サイト

平均年間給与・平均年齢・平均勤続年数は提出会社(単体407名)の数値です。連結426名には子会社である株式会社ツーアール(大規模修繕工事・川崎市)や中国・台湾の海外子会社の従業員が含まれ、この平均年収の集計対象外である点は押さえておきましょう。

事業の中身|「材」と「工」を一体で持つ総合仕上材メーカー

この会社の特徴を一言でいうと、塗る材料をつくる会社でありながら、塗る工事まで自社で請け負う点にあります。転職検討者にとっては、「化学メーカーの仕事」と「建設・工事の仕事」が同じ会社の中に同居しているという理解が実務イメージに直結します。

製品ラインと「メーカー責任施工」

公式サイトによると、同社は下地調整塗材から仕上塗材までを一社で揃える「業界唯一の総合仕上材メーカー」を掲げています。取り扱い領域は次の5つです。

  • 建築仕上塗材:内外壁の化粧仕上げ材。主力製品群
  • 建築下地調整塗材:仕上げ前の下地を整える材料
  • タイル接着材:タイル張り工事向けの接着材料
  • 建築土木資材:吹付け用の型紙など施工に使う副資材
  • ビルリフレッシュ:建築物の改修・改装工事(施工そのもの)

自社開発の材料を自社の施工体制で使う「メーカー責任施工」が事業モデルの核であり、加盟店制度として「クリエイトパステル」「キクスイリフォームハーモニー」を運営して施工店ネットワークを販売チャネルにしています。この構造があるため、塗料メーカーでありながら施工管理職が社内に存在する点が、一般的な化学メーカーとの大きな違いです。

2本部制と人員配分から読む「主戦場」

有価証券報告書によると、連結426名の内訳は建材塗料事業本部279名、住宅事業本部106名、全社(管理部門)41名です。人員の約3分の2が建材塗料事業本部に置かれており、推定情報としては、中途採用の主戦場も建材塗料側の技術営業・生産・技術部門になる可能性が高いと考えられます。

また、研究開発費3億1,164万円のうち2億1,829万円が建材塗料事業本部に配分されており、特許・実用新案は2026年3月末時点で登録42件・出願中34件です。売上216億円規模の会社としては研究開発を継続的に回している水準で、技術系職種の受け皿は一定量あると読み取れます。

社会課題型の製品テーマ

公式サイトによると、同社は端島炭坑(軍艦島)のコンクリート構造物の保全・長寿命化プロジェクトに、無機・セメント製品の技術で参画しています。加えて、建築仕上材業界で初となるジオポリマー技術を用いた低炭素型仕上塗材「ジオアース」や、アスベスト含有塗膜の除去システムなど、環境・法規対応の文脈に乗る製品群を持っています。志望動機を組み立てる際、この「築古建物の延命」というテーマは同社固有の切り口として使えます。

勤務地はどこか|本社・全国6工場・営業拠点の配置を読む

菊水化学工業の検索で最も多いのは、実は「本社」「滋賀工場」「東海工場」といった勤務地に関する検索です。ここでは拠点ごとの位置づけを整理します。転職検討者が得られるのは、「自分が働く可能性のある場所」と「転勤の広がり方」の見通しです。

本社と営業拠点

本社は愛知県名古屋市中区栄一丁目3番3号のAMMNATビルにあり、2022年7月に現本社へ移転しています。名古屋の中心部(栄)に本社機能を置く一方、営業拠点は札幌から鹿児島まで全国に展開しています。

この配置から読める実務上のポイントは次のとおりです(推定情報を含みます)。

  • 管理部門(連結41名)は本社に集約されており、コーポレート職の求人は本社勤務が中心になると考えられます
  • 営業職は全国の支店・営業所に配属される構造で、広域の転勤可能性を前提に考えるのが現実的です
  • 顧客は設計事務所・ゼネコン・管理会社・塗装店・リフォーム会社などで、地域ごとの施工店ネットワークとの関係構築が業務の軸になります

全国6工場の所在地と特徴

公式情報として、生産拠点は以下の6工場です。売上216億円規模のメーカーとしては拠点数が多く、材料の重量物という性質上、需要地の近くに分散配置していると読み取れます。

工場所在地押さえておきたい点
茨城工場茨城県古河市丘里14-2関東圏をカバーする拠点。首都圏の改修需要に近い
東海工場愛知県瀬戸市北丘町129本社と同じ愛知県内。検索需要も大きい主力工場
犬山工場愛知県犬山市羽黒新田字不二見坂1-3愛知県北部。東海工場とあわせて愛知に2拠点
各務原工場岐阜県各務原市松本町2-457技術部を併設。研究開発・製品技術系の勤務地になり得る
滋賀工場滋賀県湖南市石部口3-1-1関西圏をカバー。勤務地KWの検索が多い拠点
福岡工場福岡県大野城市御笠川1-14-152024年5月に糟屋郡志免町から移転。九州圏の生産拠点

注目すべきは、6工場のうち東海・犬山・各務原の3拠点が愛知・岐阜に集中している点です。推定情報として、生産・技術系で入社した場合は東海エリアが生活の軸になる可能性が高く、逆に言えば東海圏に腰を据えて働きたい人にとっては転居のリスクが相対的に小さいと考えられます。

拠点構成が示す「働き方の分岐」

拠点の性格が違えば、同じ会社でも働き方は変わります。整理すると次の3系統に分かれます(推定情報)。

  • 本社・営業拠点系:顧客訪問と仕様提案が中心。移動時間が長く、担当エリアの広さで負荷が変わる
  • 工場(生産・技術)系:各務原の技術部を含め、勤務地が固定されやすい。交替制や繁忙期の生産調整が働き方に影響する
  • 施工・工事系(住宅事業本部・ビルリフレッシュ):現場常駐や工期・天候の影響を受けやすく、繁忙期の負荷が読みにくい

後述する残業時間の情報の食い違いは、この3系統の違いによって生じている可能性があります。応募時には「どの系統の職種か」を必ず特定してください。

菊水化学工業の年収|有報4期の推移と職種別の目安

結論として、第69期(2026年3月期)有価証券報告書によると、提出会社の平均年間給与は5,298千円(約529万8千円)で、前事業年度比+4.53%の増加です。賞与および基準外賃金を含んだ金額で、対象は提出会社の従業員407名です。

平均年収の4期推移|横ばいから明確な増加へ

単年の数字だけでは判断できないため、有価証券報告書の開示を並べます(いずれも提出会社・公式情報)。

対象期平均年間給与前期比
第66期(2023年3月期)約506万円—
第67期(2024年3月期)約510万円微増
第68期(2025年3月期)約506万円微減
第69期(2026年3月期)約529万8千円+4.53%

読み取れるのは、3期にわたり506〜510万円で足踏みしていた水準が、直近期に初めて明確に切り上がったという動きです。同期の連結営業利益が前期比+52.3%と回復していることを踏まえると、推定情報として、業績回復と物価上昇局面での賃上げが同時に効いた期だったと考えられます。ただし1期の上昇だけでは基調転換とまでは言い切れず、次期以降も同水準の伸びが続くかどうかは公表資料で継続確認する必要があります。

平均年齢42.8歳・平均勤続14.4年をどう読むか

有価証券報告書によると、平均年齢は42.8歳、平均勤続年数は14.4年(前期13.7年)です。この組み合わせは、28歳前後で入社した人が中心層として長く在籍していることを示唆します。

年収529万8千円という水準を、平均年齢42.8歳という条件とセットで見ると、評価は次のように分かれます(推定情報)。

  • 実利面:40代前半の平均としては突出して高い水準ではないものの、東海地区の中堅メーカーとしては相場圏に収まると考えられます
  • キャリア面:勤続14.4年が示すとおり長期在籍を前提とした賃金カーブになっている可能性が高く、短期で大幅な年収アップを狙う設計とは考えにくいです
  • 将来面:直近期の+4.53%が継続するかは業績次第で、売上216億円・営業利益4億円という利益規模が原資の上限を規定します

口コミ上の年収傾向と職種別の目安

口コミ傾向として、OpenWorkでは待遇面の満足度が2.9(回答者24人)と平均前後からやや低めに位置づけられており、転職会議やエン カイシャの評判でも給与水準そのものより賞与や昇給ペースに言及する投稿が見られます。求人ボックスや日本経済新聞の企業情報など二次的なアグリゲータでは510〜530万円前後の数値が示されることがありますが、主たる根拠は有価証券報告書の529万8千円で判断してください。

職種別のレンジについては、有価証券報告書では開示されていません。そのうえで、募集職種区分(総合塗料営業・住宅営業・技術・生産)と平均値から逆算した推定情報としての目安は次のとおりです。

  • 営業(総合塗料・住宅):全社平均に近いレンジ。実績連動部分の比率で個人差が出る可能性
  • 技術・研究開発:各務原工場の技術部が中核。専門性の評価は入社後の等級運用に左右される可能性
  • 生産・工場:交替勤務手当の有無で手取りが変動する可能性
  • 施工管理(ビルリフレッシュ・住宅事業):資格手当・現場手当の設計次第で差が出る可能性

転職時に確認すべきポイントは3つです。①賞与の支給実績(何か月分か、業績連動の割合)、②基準外賃金の実態(固定残業代の有無と時間数)、③昇給テーブルと等級制度。平均年収は分布の代表値にすぎないため、内定時の労働条件通知書で必ず個別条件を確認してください。

働き方と社風|残業時間の情報が食い違う理由

この会社を評価するうえで最も注意が必要なのが、労働時間に関する情報の出典による差です。結論として、公表値と口コミ集計は同じ会社の話とは思えないほど開きがあり、どちらか一方だけを見て判断するのは危険です。

公表値と口コミ集計のギャップ

項目会社がマイナビに掲載する数値OpenWorkの社員クチコミ集計
月平均残業時間6時間21.8時間
有給休暇消化率(育休取得率は男女とも100%と掲載)40.5%
平均勤続年数13.6年—(有価証券報告書では14.4年)

求職者
求職者

公式は残業6時間なのに、口コミは21.8時間。どちらを信じればいいの?

どちらかが誤りと決めつけるのではなく、集計対象が違う可能性を疑うのが実務的です。会社公表値は全社平均(管理部門や工場を含む)である一方、口コミの投稿者は営業や施工現場など負荷の高い職種に偏りやすい傾向があります。前述のとおり同社は本社・営業・工場・施工の4系統を抱えるため、平均値と体感値が乖離しやすい構造そのものを持っています(推定情報)。

口コミ評価の実像|相対的に高い項目と低い項目

口コミ傾向として、OpenWorkの総合評価は3.13(回答者24人)です。回答者が24人と母数が少ないため、数値は参考値として扱う必要があります。項目別に見ると濃淡がはっきりしています。

  • 相対的に高い:法令順守意識3.8、社員の相互尊重3.7
  • 相対的に低い:待遇面の満足度2.9、社員の士気2.9、風通しの良さ2.8、20代の成長環境2.7

他プラットフォームでは、エン カイシャの評判が総合3.1(正社員38人回答・口コミ164件)、転職会議が総合3.1(157件)と、いずれも近い水準に収まっています。推定情報として整理すると、コンプライアンスや人間関係のトラブルよりも、処遇の伸びと若手の成長実感に課題を感じる投稿が多いという傾向が読み取れます。

「長く残る人」と「早く抜ける人」の二極化

就活会議の「退職理由・離職率」カテゴリには25件の書き込みがあり、「人の入れ替わりが激しく、会社が大量採用・大量離職を前提とした体制」「休日が少ない」といった指摘が見られます(口コミ傾向)。一方で、有価証券報告書の平均勤続年数は14.4年で、前期の13.7年からむしろ伸びています。

この2つは矛盾しているように見えますが、推定情報として次のように整理できます。

  • 長期定着層が厚いために平均勤続が14年台まで押し上げられている
  • 同時に、合わない層が比較的早期に退職することで「入れ替わりが激しい」という体感が生まれている
  • 結果として、合う人は非常に長く残り、合わない人は早期に離れるという二極化が起きている可能性がある

そのため、この会社を検討する際は「平均的に働きやすいか」ではなく、自分がどちら側に入りそうかという問いに置き換えて判断するのが実践的です。判断材料としては、地域密着で長く同じ顧客・同じ製品に向き合う働き方を許容できるか、施工現場や職人・協力会社との折衝を面白いと感じられるか、といった観点が有効です。

ダイバーシティ関連の客観データ

口コミの主観を裏づける客観データとして、有価証券報告書の人事関連開示が使えます(公式情報)。提出会社の管理職に占める女性労働者の割合は3.0%、男性労働者の育児休業取得率は77.0%、労働者の男女の賃金の差異は全労働者69.1%・正規雇用72.4%・パート有期99.4%です。会社は差異の理由について「賃金制度・体系に性別による差はなく、主に男女の勤続年数の差異による」と説明しています。

また、労働組合は結成されていないことが有価証券報告書に明記されています。労使協議の枠組みが組合ではないため、労働条件の改定プロセスがどう運用されているかは、選考の場で直接確認しておく価値があります。

従業員数5期推移が示す組織の変化

年収と並んで見ておきたいのが人員動向です。結論として、連結従業員数はピークだった2022年3月期の470名から、直近の2026年3月期は426名まで4期で44名減少しています(公式情報/有価証券報告書)。

対象期連結従業員数前期からの増減
2022年3月期470名—
2023年3月期457名-13名
2024年3月期439名-18名
2025年3月期442名+3名
2026年3月期426名-16名

4期で約9.4%の減少です。これをどう読むかは論点が分かれます(推定情報)。

  • ネガティブに見る読み方:売上が213〜224億円のレンジで横ばい推移するなか人員が減っており、1人あたりの担当範囲が広がっている可能性がある。口コミの「入れ替わりが激しい」という体感とも整合しやすい
  • ポジティブに見る読み方:同期間に平均勤続年数は13.7年から14.4年へ伸び、直近期の平均年間給与は+4.53%。人員を絞りつつ既存社員の処遇を改善する方向に資源を寄せている可能性がある

新卒採用はマイナビ掲載情報で2027年卒11〜15名募集、過去3年の採用実績は年間8〜13名程度と小規模です。推定情報として、この規模の採用と44名の純減を突き合わせると、退職者数が採用数を上回る期が続いてきたと考えられます。面接では「直近の欠員補充なのか、増員なのか」を確認しておくと、入社後の負荷を見積もりやすくなります。

業績と将来性|計画未達の中身と改修シフトの追い風

結論を先に言えば、財務は安定している一方、成長は横ばい圏で、会社計画に対しては未達が続いているという評価になります。転職判断としては「潰れるかどうか」ではなく「伸びしろがどこにあるか」を見るべき企業です。

直近5期の業績推移

公式情報として、連結売上高と有価証券報告書の主要な経営指標等における経常利益を並べます。

対象期連結売上高経常利益(主要な経営指標等)
2022年3月期221億62百万円5億34百万円
2023年3月期224億23百万円6億50百万円
2024年3月期223億92百万円6億35百万円
2025年3月期213億90百万円3億41百万円
2026年3月期216億20百万円4億95百万円

売上は5期を通じて213〜224億円のレンジで、明確な成長トレンドはありません。利益は2025年3月期にいったん落ち込み、直近期で回復に向かった形です。第69期の連結営業利益は4億3百万円で前期比+52.3%、当期純利益は2億70百万円、自己資本比率は60.05%です。直近5期に最終赤字の期はありません。

会社計画に対する未達をどう評価するか

ここが最も重要な論点です。第69期は増収増益で着地しましたが、売上は会社計画225億円に対して8億98百万円の未達、営業利益は計画6億50百万円に対して2億47百万円の未達でした。会社は売上未達の理由を戸建て塗り替え需要の低迷と説明しており、営業利益未達については完成工事補償引当金の積み増しが要因とされています。

推定情報として、この2つの未達要因は性質が異なります。戸建て塗り替え需要は物価高による消費者の支出抑制という外部要因ですが、完成工事補償引当金の積み増しは自社施工を抱えるビジネスモデル固有のコストです。「材」と「工」を一体で持つ強みは、裏を返せば施工品質のリスクを自社で負うということでもあります。この点は、施工管理や品質保証の職種を検討する人にとっては特に理解しておきたい構造です。

直近四半期と今後の見方

2027年3月期第1四半期は、売上高58億円(前年同期比+10.6%)、営業利益2億63百万円(同+170.5%)と好調な滑り出しとなりました。なお同期の通期業績予想は、中東情勢による原材料・エネルギー価格の不透明さを理由に当初「未定」とされ、その後2026年8月7日に公表されています。年間配当予想は17円です。通期の予想数値は必ず公式IRの原資料で最新版を参照してください。

業界構造から見た将来性

建築塗料・仕上塗材業界の構造は、同社にとって追い風と向かい風が同居しています(業界動向にもとづく推定情報)。

  • 追い風:国内の新設住宅着工は減少基調だが、築30〜40年のマンションストック増加を背景に大規模修繕市場が構造的に拡大している。同社は改修(ストック)市場の比重が高く、数量より単価・付加価値で稼ぐ方向と親和的
  • 追い風:2025年4月以降の省エネ基準適合義務化やアスベスト事前調査の対象拡大により、遮熱・断熱・高耐候といった機能性塗材や、アスベスト含有塗膜の除去システムの提案余地が広がる
  • 向かい風:原油・ナフサ・樹脂・溶剤・物流費の上昇で価格改定が常態化しており、値上げを通す交渉力が営業の実力差に直結する
  • 向かい風:建設業就業者の高齢化と職人不足が続き、自社施工体制を維持するための協力会社網の育成コストが重い

押さえておくべきリスク(事実ベース)

ネガティブ材料も事実として把握しておきましょう。いずれも有価証券報告書・適時開示で確認できる公式情報です。

  • 特定顧客への依存:2026年3月期の大和ハウスリフォーム株式会社向け売上は29億36百万円で、総販売実績の13.6%を占めます。有価証券報告書にも主要な取引先との関係に関するリスクとして記載があります
  • 訴訟の経緯:日本ペイントホールディングスが、営業秘密を不正に取得のうえ使用したとして、一部製品の製造・販売差止めと損害賠償を求めて同社を提訴しました(会社は2017年に訴訟提起に関するお知らせを開示)。2023年3月6日に和解が成立し、同社は訴訟の長期化が事業に与える影響等を踏まえ総合的に検討した結果として和解に応じ、2023年3月期に訴訟費用3億7,200万円を特別損失に計上し純利益予想を下方修正しています。和解による解決であり、裁判所が同社の違法行為を認定したという事実は本記事では扱っていません
  • 規模と株式:時価総額は2026年8月時点で約51億円と東証スタンダードの小型株です。大株主は取引先持株会8.34%、ティー・サポート7.26%、社員持株会4.68%、名古屋銀行4.15%、あいち銀行3.23%と、東海地区の取引先・地銀・従業員で構成される安定株主構造で、親会社を持たない独立系です

なお、第69期の有価証券報告書に継続企業の前提に関する注記や重要事象等の記載はなく、監査意見は無限定適正(仰星監査法人)です。財務面の健全性という観点では、自己資本比率60.05%とあわせて安定した部類に入ると評価できます。

同業他社と比べた立ち位置

建築塗料・仕上塗材の分野では、日本ペイントホールディングス・関西ペイント・エスケー化研といった大手が上位を占め、菊水化学工業は仕上塗材専業に近い中堅という位置づけです。転職検討者にとって重要なのは規模の順位ではなく、「規模の違いが働き方とキャリアにどう跳ね返るか」です。推定情報を含むため、各社の最新数値は公式IRで確認してください。

企業名位置づけ転職検討者から見た違い
菊水化学工業(7953)建築仕上塗材の中堅。売上216億円規模・連結426名。平均年間給与は有報開示で約529万8千円下地材から仕上材、さらに施工まで一気通貫で関われる。少人数ゆえ担当範囲が広くなりやすい
エスケー化研(4628)建築仕上塗材の国内最大手。時価総額は菊水化学の20倍超同じ仕上塗材領域での最大の競合。規模・シェアで比較されやすく、営業の直接競合先になる
日本ペイントホールディングス(4612)塗料の総合大手・東証プライム建築以外に自動車・工業用など事業領域が広く、グローバル志向のキャリアを描きやすい
関西ペイント(4613)建築用塗料の大手・東証プライム大手ならではの制度・研究開発体制。専門特化型のキャリアになりやすい
アイカ工業(4206)愛知県清須市が本社の建装建材・化成品メーカー・東証プライム東海地区での人材競合先。地元志向で待遇水準を比較するなら候補に入りやすい

中堅である菊水化学工業を選ぶ合理性は、「材料開発・技術営業・施工まで、建物の外装が仕上がるプロセス全体に一人で関与できる」という経験値にあります。大手では分業が進み、材料開発の人が施工現場の課題を肌で知る機会は限られます。逆に、大手の制度・研修体系・海外展開を重視するなら、規模の差は正直に不利に働きます。

菊水化学工業に向いている人・向いていない人

ここまでの公式情報・口コミ傾向をふまえ、適性を整理します(推定情報を含みます)。判断のポイントは「東海圏で長く働けるか」「材と工の両方に関心があるか」の2軸です。

向いている人向いていない人
東海圏(名古屋・愛知・岐阜)を生活の軸に据えて長く働きたい人短期間で年収を大幅に引き上げたい人。賃金カーブは長期在籍前提と考えられる
材料の知識と施工現場の実務、その両方に関心がある人研究開発だけ、営業だけと役割を限定して深めたい人
職人・協力会社・施工店との関係構築を面白いと感じる人取引先が建設・工事寄りの商習慣であることに抵抗がある人
改修・長寿命化という社会課題テーマに納得感を持てる人成長市場で事業規模の急拡大を経験したい人
担当範囲が広くても自走でき、制度より裁量を優先する人大手企業の整った研修体系・制度を重視する人
労働組合がない環境で、条件交渉を自分で行える人組合を通じた労働条件交渉の枠組みを前提にしたい人

応募前に確認しておきたい5つのポイント

公式採用サイトによると、キャリア採用の募集職種は総合塗料営業・住宅営業・技術・生産の区分に整理されています。ここでは、この記事で扱った論点をそのまま面接・条件確認のチェックリストに落とし込みます。

  • 配属拠点と転勤範囲:本社・6工場・全国営業拠点のどこに配属されるのか、転勤の範囲は全国か東海圏内か。特に技術職は各務原工場(技術部併設)勤務の可能性を確認
  • 残業実態の職種別内訳:会社公表の月平均6時間と口コミ集計の21.8時間の差について、応募職種での実績値を確認する
  • 賞与と昇給の設計:平均年間給与529万8千円がどう構成されているか(基本給・賞与・基準外賃金)、直近の賞与支給月数と昇給テーブル
  • 欠員補充か増員か:連結従業員数が4期で44名減っている背景と、募集ポジションの位置づけ
  • 事業の重心:建材塗料事業本部(279名)と住宅事業本部(106名)のどちらに属するか、また改修市場向けの製品・工事のどの領域を担当するか

求職者
求職者

中堅メーカーだからこそ、条件は入社前に細かく詰めておきたいですね。

菊水化学工業に関するよくある質問

菊水化学工業への転職・就職を検討する人からよくある質問と回答をまとめました。

菊水化学工業の平均年収はいくらですか?

第69期(2026年3月期)有価証券報告書によると、提出会社の平均年間給与は5,298千円(約529万8千円)で、前事業年度比+4.53%です。賞与および基準外賃金を含みます。同期の平均年齢は42.8歳、平均勤続年数は14.4年です。なお連結426名には子会社の従業員が含まれ、この平均年収の集計対象外です。

本社や工場はどこにありますか?転勤はありますか?

本社は愛知県名古屋市中区栄一丁目3番3号のAMMNATビルで、2022年7月に移転しています。工場は茨城(古河市)、東海(瀬戸市)、犬山(犬山市)、各務原(各務原市・技術部併設)、滋賀(湖南市)、福岡(大野城市・2024年5月に志免町から移転)の6拠点です。営業拠点は札幌から鹿児島まで全国にあるため、営業職は広域の転勤可能性を前提に考えるのが現実的です(推定情報)。

菊水電子工業や菊水酒造と同じ会社ですか?

別会社です。証券コード7953の菊水化学工業株式会社は名古屋市に本社を置く建築仕上塗材メーカーで、計測器メーカーの菊水電子工業(6912/2024年に菊水ホールディングスへ移行)や、菊水酒造・菊水堂とは資本関係も事業内容も異なります。求人情報を調べる際は証券コードと本社所在地で照合してください。

残業時間や有給休暇の実態はどうですか?

情報源によって数値が大きく異なります。会社がマイナビに掲載する数値は月平均残業6時間、育児休業取得率は男女とも100%です。一方、OpenWorkの社員クチコミ集計では月21.8時間、有給休暇消化率40.5%となっています(口コミ傾向/回答者24人と母数が少ない点に注意)。本社・営業・工場・施工と職種系統が分かれる会社であるため、応募職種ごとの実績値を選考時に確認することをおすすめします。

中途採用ではどんな職種を募集していますか?

公式採用サイトによると、募集職種は総合塗料営業・住宅営業・技術・生産の区分に整理されています。特徴的なのは、材料メーカーでありながらビルリフレッシュ(改修工事)を自社で手がけるため、施工管理に近い業務領域が社内に存在する点です。人員配分は建材塗料事業本部279名、住宅事業本部106名、全社(管理部門)41名です(公式情報)。

労働組合はありますか?福利厚生はどうですか?

有価証券報告書には「労働組合は結成されておりません」と明記されています(公式情報)。福利厚生の詳細は公式採用サイトで確認できますが、住宅手当や退職金制度など個別条件については内定時の労働条件通知書で確認してください。なお社員持株会が大株主の一角(4.68%)を占めており、従業員が株主として関与する仕組みは存在します。

菊水化学工業への転職判断まとめ

ここまでの内容を、判断軸ごとに整理します。最終的な判断は、求人票だけでなく自分の経験・適性も含めて確認しましょう。

判断軸評価(公式情報+推定情報)
年収水準有報第69期で約529万8千円・前期比+4.53%。3期の足踏みから直近期に切り上がった。平均年齢42.8歳との組み合わせでは相場圏
勤務地・転勤本社(名古屋・栄)+6工場+全国営業拠点。工場の半数が愛知・岐阜に集中し、東海志向とは相性が良い
働き方会社公表6時間と口コミ21.8時間の差が大きい。職種系統によって実態が分かれる可能性が高く、個別確認が必須
定着性平均勤続14.4年(前期13.7年)と長い一方、口コミには入れ替わりの激しさを指摘する声。合う人が長く残る二極化と考えられる
財務の安定性自己資本比率60.05%、直近5期に最終赤字なし。継続企業の前提に関する注記もなし
成長性売上は213〜224億円で横ばい圏。会社計画に対しては売上8億98百万円・営業利益2億47百万円の未達
事業リスク大和ハウスリフォーム向けが売上の13.6%。自社施工ゆえの完成工事補償引当金負担、原材料価格の変動
キャリアの汎用性塗料化学・機能性材料の開発経験、改修提案・施工管理の経験はいずれも業界内外で通用しやすい
組織・制度労働組合なし。女性管理職比率3.0%、男女賃金差異69.1%と、女性活躍指標は見劣りする

編集部の見解として、菊水化学工業は「急成長を取りに行く会社」ではなく、改修市場という構造的に需要が残る領域で、材料から施工までを一貫して扱う経験を積める会社と位置づけるのが実態に近いと考えられます。東海圏で腰を据えて、建物の外装という具体的なモノに関わり続けたい人にはおすすめできる一方、制度の整った大手環境や短期の年収アップを求める人には他の選択肢を並べて比較することをおすすめします。

どのサービスを使えばいいか決められないとき

このサイトはアフィリエイトで収益を得ています。読者がサービスに登録すると当サイトに報酬が発生します。

自分の状況だとどのサービスが合うのか判断がつかない場合は、無料の相談を受け付けています。相談内容をうかがったうえで、条件に合いそうな転職サービスをご案内します。

登録や応募を急かすことはしません。 「いま動かないほうがいい」と考えた場合はそう伝えます。

→ 無料転職相談はこちら

※当サイトは職業紹介事業者ではありません。求人の紹介・あっせんは行わず、転職サービスのご案内までを行います。

本記事の出典・参考情報

本記事で参照した一次情報・口コミ情報の出典は以下の通りです。最新の正確な数値は各リンク先で確認してください。

公式情報源

口コミ・評判の参照元

免責事項:本記事の数値・評価は公式情報・口コミ集計・市場推定の3分類で示しており、口コミ傾向や推定情報は断定ではなく傾向・可能性として表現しています。最終判断は読者自身で公式IRおよび内定時の労働条件通知書で確認してください。

この記事の編集方針・情報の確認について

この記事は、公式公開情報(有価証券報告書・IR資料)、求人情報、口コミ傾向をそれぞれ分けて整理し、転職・就職判断に役立つよう編集しています。年収・平均年齢・平均勤続年数・従業員数などの中核データは第69期(2026年3月期)有価証券報告書「従業員の状況」を一次情報として確認し、口コミ・推定情報とは明確に区別しています。訴訟に関する記載は開示済みの事実関係にとどめ、評価や認定に関する表現は行っていません。記載内容は最終更新時点の公開情報にもとづきます。最新の正確な数値は各公式IRページでご確認ください。

著者紹介
コロ助
コロ助
企業と転職サービスを、有価証券報告書などの一次情報から読んでいます。
著者紹介
記事URLをコピーしました