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カワセコンピュータサプライの上場廃止は倒産ではない|IT企業ではない実態と年収441万円

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この記事の結論

  • 上場廃止:2026年10月に東証スタンダードを廃止予定。倒産や非公開化ではない
  • 社名の実態:IT企業ではなく1955年創業の帳票印刷会社(旧・川瀬紙工)
  • 年収:有報ベースで約441万円(43.4歳・勤続12.8年・従業員102人)
  • 判断の分かれ目:残業は短めだが直近10期で5期が営業赤字と振れが大きい

カワセコンピュータサプライ(証券コード7851)を調べると、まず目に入るのが「上場廃止」という言葉です。ただ、この4文字だけで判断すると事実を取り違えます。同社は東証スタンダード市場の上場維持基準に届かず2026年10月に東証を上場廃止する予定ですが、これはTOBによる非公開化でも経営破綻でもありません。2025年8月に福岡証券取引所へ新規上場しており、東証を離れたあとも上場会社として存続する見込みです。そしてもう一つ、社名から想像しがちな「IT・SIer企業」という理解も実態と異なります。同社は1955年に大阪で「川瀬紙工株式会社」として創業した、請求書・伝票などの帳票を自社一貫生産する印刷・情報処理の会社です。この記事では、上場廃止の経緯を時系列で正確に整理したうえで、有価証券報告書の実額(平均年間給与441万円、売上27億9,708万円、従業員102人)と口コミ傾向を分けて示し、転職・就職を検討する人が判断に使える形にまとめます。

カワセコンピュータサプライの公式データ一覧(有価証券報告書ベース)

まず判断の土台になる数字を一覧にします。以下はすべて公式情報で、第71期(2025年4月1日〜2026年3月31日、2026年3月期)の有価証券報告書および公式サイトの企業概要にもとづきます。同社は連結子会社を持たない単体決算のため、下表の数値は提出会社そのものの実態を示しています。持株会社のように「本体は少人数で子会社に現場がある」構造ではない点は、数字を読むうえで重要です。

項目内容
商号カワセコンピュータサプライ株式会社(証券コード7851)
設立1955年5月21日(大阪市にて「川瀬紙工株式会社」として創業/1976年11月に現社名へ変更)
代表者代表取締役社長 川瀬啓輔(監査等委員会設置会社)
本社東京都中央区銀座7丁目16-14 銀座イーストビル4階(2022年に大阪市中央区から本店移転)
生産拠点情報センター(千葉県佐倉市西御門明神台424-3/ちばリサーチパーク内)1ヶ所
平均年間給与4,415千円(約441万円)/前年度比+3.3%と有価証券報告書に明記
平均年齢43.4歳
平均勤続年数12.8年
従業員数102人(ほか臨時従業員50人)/単体・連結子会社なし
売上高27億9,708万円(第71期・単体/前期28億3,127万円から減収)
営業利益4,884万円(経常利益7,585万円、当期純利益6,699万円)
資本金・株式資本金1億円/発行済株式数5,160千株
上場区分東証スタンダード市場(2026年10月に上場廃止予定・整理銘柄)/福岡証券取引所本則市場(2025年8月新規上場)
労働組合カワセコンピュータサプライ労働組合(1961年12月結成・上部団体非加盟/労使関係は良好と記載)
出典第71期(2026年3月期)有価証券報告書、公式サイト企業概要、日本取引所グループ開示

従業員102人の内訳も有価証券報告書に開示されています。ビジネスフォーム事業17人(臨時3人)、情報処理事業32人(臨時28人)、間接部門53人(臨時19人)という構成です。正社員102人のうち53人、つまり半数強が間接部門という点は、後述する年収や職種の話に直結するので覚えておいてください。

2026年10月の東証上場廃止|何が決まり、何が決まっていないのか

結論から言うと、決まっているのは「東証スタンダード市場からの退出」であって、「会社がなくなること」でも「株式が非公開になること」でもありません。ここを正確に理解しておくと、応募や在籍判断のときに必要以上に不安になることも、逆に影響を過小評価することもなくなります。以下、事実関係と、転職検討者にとっての実務的な意味を分けて整理します。

上場廃止に至った経緯を時系列で整理する

きっかけは業績不振ではなく、上場維持基準のうち「流通株式時価総額10億円以上」という要件に届かなかったことです。市場区分の再編以降、基準未達の会社は適合計画を開示して改善を図る仕組みになっており、同社もその流れをたどりました(以下は公式情報/日本取引所グループの開示および東証適時開示にもとづきます)。

時期できごと
2001年3月大阪証券取引所第二部に上場
2013年7月東京証券取引所第二部へ
2022年4月市場区分再編によりスタンダード市場へ移行。以降、上場維持基準への適合に向けた計画を開示
2023年6月30日/2024年6月27日適合計画の進捗を開示するも、流通株式時価総額の基準には届かず
2025年8月福岡証券取引所本則市場へ新規上場
2026年3月31日東証が監理銘柄(確認中)に指定
2026年5月13日東証が上場廃止を決定し、整理銘柄に指定
2026年10月東証スタンダード市場の上場廃止(予定)

なお、廃止日として「2026年10月1日」という日付が各所で伝えられていますが、当社が確認できた範囲ではこの日付は二次情報にもとづく記載です。正確な日付は東証の開示および同社IRページで確認してください。時価総額は約9.5億円、株価184円、PBR0.33倍(2026年8月18日時点、株式情報サイトの集計)と、東証の基準に照らして小さい水準にとどまっていたことが数字からも分かります。また2026年5〜8月にかけて、同社は複数回の自己株式取得(ToSTNeT-3による取得を含む)と譲渡制限付株式報酬の処分を実施しています。

「倒産・非公開化ではない」と言い切れる理由

上場廃止という言葉が不安を呼ぶのは、多くの人が「経営破綻による廃止」や「MBO・TOBによる非公開化」を連想するからです。同社のケースはそのどちらでもありません。

  • 破綻ではない:第71期は営業利益4,884万円・経常利益7,585万円・当期純利益6,699万円と黒字。第71期の有価証券報告書に、継続企業の前提に関する注記は付されていません(公式情報)。
  • 非公開化ではない:親会社による完全子会社化やTOBの開示はありません。廃止理由はあくまで流通株式時価総額という形式基準への不適合です。
  • 上場自体は継続する見込み:2025年8月に福岡証券取引所本則市場へ新規上場済みで、東証廃止後は福証単独上場の上場企業として存続する見込みです。つまり有価証券報告書の提出義務や適時開示も続き、外部から業績を確認できる状態は保たれます。

この「福証にすでに上場している」という一手が、同社のケースを他の上場廃止と決定的に分けています。実際、転職検討者が最も気にする「決算情報が見えなくなるのでは」という懸念については、当面は当てはまらないと考えられます(推定情報)。

それでも転職検討者が織り込むべきマイナス面

一方で、東証銘柄でなくなること自体にデメリットがないわけではありません。フェアに書いておきます。

  • 知名度・信用の目減り:「東証上場企業」という肩書きは、家族への説明、住宅ローン、取引先の与信、そして次の転職での通りやすさに効いてきます。福証単独上場は上場ではあるものの、一般的な認知度は東証と同等ではありません。
  • 株式の流動性低下:地方単独上場になると売買高は細りやすく、持株会や譲渡制限付株式報酬など株式で受け取る報酬の換金性は下がる可能性があります(推定情報)。
  • 資金調達の選択肢:時価総額約9.5億円という規模では、そもそもエクイティでの大型調達は現実的でなく、上場廃止の有無にかかわらず設備投資は自己資金・借入中心になると見られます。ただし東証銘柄でなくなることで、機関投資家の視界からは外れやすくなります。

まとめると、「潰れる会社ではないが、看板は一段小さくなる」というのが実務的な受け止め方です。年収や仕事内容がすぐ変わるわけではありませんが、5年後10年後のキャリアの見え方には影響し得る要素として計算に入れておくのが妥当でしょう。

社名は「コンピュータサプライ」だがIT企業ではない|正体は帳票印刷の老舗

ここが、応募前に必ず押さえておくべき2つ目のポイントです。カワセコンピュータサプライはシステム開発会社でもSIerでもありません。東証の33業種分類も「情報・通信業」ではなく「その他製品」に置かれています。ITエンジニアとしてのキャリアを想定して応募すると、業務内容に大きなギャップを感じる可能性が高い会社です。

川瀬紙工から現社名へ|社名がミスリードを生む経緯

同社は1955年(昭和30年)5月21日、大阪市旭区大宮西之町で「川瀬紙工株式会社」として設立され、ビジネスフォームと巻取紙の製造販売から始まりました。1976年11月に現在の「カワセコンピュータサプライ株式会社」へ商号変更しています。当時の文脈では、コンピュータ(メインフレーム)が出力する連続帳票用紙=コンピュータ用サプライ品を供給する会社、という意味で自然な命名でした。つまり社名は「コンピュータに供給する紙を作る会社」という原義であって、コンピュータそのものを作る・組む会社という意味ではありません。1997年に情報処理サービスを開始し、1998年8月にグリーンシート銘柄、2001年3月に大阪証券取引所第二部へと歩んできた老舗です。

求職者
求職者

社名にコンピュータって入っているので、てっきりIT企業だと思っていました。

この誤解は珍しくありません。求人サイト経由で社名だけを見て応募すると、面接で「印刷工程と封入発送の話」が出てきて驚く、というミスマッチが起こり得ます。逆に言えば、「帳票・データ処理・発送を一括で請け負うBPO寄りの会社」だと理解したうえで応募する人にとっては、競合が少ない狙い目のポジションとも言えます。

3つの事業領域|紙で稼ぎ、紙を減らす仕組みも売っている

事業は3領域に分かれます。それぞれ求められる仕事の質がかなり違うため、応募職種を考えるうえで区別が必要です(以下公式情報)。

  • ビジネスフォーム事業:請求書・伝票などの帳票について、デザインから製版・印刷・加工までを自社で一貫生産する、創業以来の主力事業。第71期売上の約55.9%を占めます。
  • 情報処理事業:システム開発によるデータ編集・加工から、インクジェット高速プリンタやフルカラーオンデマンド機によるデータプリント(一通ごとに内容が変わる可変印字)、製本・封入封緘・発送までを受託するアウトソーシング。いわゆるDPS(データプリントサービス)です。従業員内訳では正社員32人・臨時28人と、現場人員が最も厚い領域です。
  • 電子通知事業:電子請求書配信・電子通知物配信などのクラウドサービス。紙の通知物を電子に置き換える側のビジネスです。

主戦場は金融機関向けの帳票・通知物です。ここで見えてくるのが、この会社を理解する最大の鍵になる構図です。売上の55.9%を稼ぐ紙帳票を縮小させる張本人が、自社の電子通知事業でもある——つまり、自らの主力事業を自らカニバライズしながら移行しようとしている状態です。有価証券報告書の事業等のリスクにも、電子化の進展により紙帳票の市場縮小は避けられないという趣旨が会社自身の言葉で記載されています。ここを「衰退」と読むか「転換の途上」と読むかで、この会社の評価は大きく変わります。

年収は約441万円|有報の実額と口コミの355万円が食い違う理由

年収について結論を先に言うと、有価証券報告書によると第71期の平均年間給与は4,415千円(約441万円)で、前年度比+3.3%と明記されています。まずこの実額を基準に置き、そのうえで口コミの数字をどう読むかを整理します。

平均年齢43.4歳・勤続12.8年という人員構成から読む

同じ441万円でも、どんな人が平均を作っているかで意味が変わります。有価証券報告書の「従業員の状況」によると、平均年齢43.4歳、平均勤続年数12.8年、従業員102人です。40代半ばで勤続13年近い層が中心の441万円という読み方になります。

  • 長期勤続型の組織:勤続12.8年は、中途採用で人を大量に入れ替える組織ではないことを示します。定着はしているが、新陳代謝は緩やかと考えられます(推定情報)。
  • 間接部門比率の高さ:正社員102人のうち間接部門が53人。管理・営業・企画系の比率が高い構成のため、製造現場(情報センター)の職種の水準は全社平均441万円より下振れする可能性があります(推定情報)。
  • 昇給の傾向:前年度比+3.3%という開示は、少なくとも直近期は賃上げが行われたことを示す公式情報です。ただし単年の数字であり、継続性は業績次第と見るのが妥当です。

なお、株式情報サイトなどの二次ソースでは平均年収4,480千円・平均年齢43.0歳と表示されている場合があります。この記事では一次情報である有価証券報告書の実額(4,415千円)を採用しています。

口コミベースの年収と、業界水準との比較

口コミ傾向として、エン カイシャの評判(エン ライトハウス)に掲載されている平均年収は355万円(平均年齢38歳)で、有価証券報告書の441万円より低い水準です。この差はごまかさずに読むべきですが、単純に「どちらかが間違い」ではありません。

  • 口コミの回答者は平均38歳と、有報の43.4歳より若い層に寄っています。年功的な賃金カーブがある組織では、若年層の実額が全社平均を下回るのは自然です。
  • 口コミサイトの平均は回答者の職種構成に強く左右されます。同社の口コミ母数は正社員22名の回答(口コミ総数159件)と少なく、数値を断定的に扱える規模ではありません。
  • したがって、「20代〜30代の実感値は350万円台、40代を含む全社平均が441万円」という重ね方が実態に近いと考えられます(推定情報)。

業界水準と比べるとどうでしょうか。求人統計ベースの相場感(推定情報)では、印刷オペレーター職でおおむね353万〜434万円、営業職で420万〜600万円程度とされます。同社の全社平均441万円は、この帯の中では中位、営業職の上限帯には届かない位置づけです。高給を狙って選ぶ会社ではなく、安定と労働時間の短さを取りにいく会社という性格が数字からも読み取れます。

選考・内定時に確認しておくべきこと

平均値は交渉材料になりません。応募時には次の点を必ず個別に確認してください。

  • 配属先と勤務地:本社(銀座)勤務か、情報センター(千葉県佐倉市)勤務かで、通勤も働き方も別物になります。
  • 賞与の算定方式:直近10期のうち5期が営業赤字という業績の振れ幅(後述)を踏まえると、賞与が業績連動でどこまで動くのかは重要な論点です。
  • 昇給の実績:前年度比+3.3%が単年のものか、複数年続いているのかを面接で確認しましょう。
  • 職種別の年収レンジ:有価証券報告書では職種別・役職別の年収は開示されていません。求人票と労働条件通知書の記載で確認する必要があります。

業績は直近10期で5期が営業赤字|数字で見る収益の振れ幅

上場廃止の話とは別に、転職判断でより重要なのが業績の中身です。ここは楽観も悲観もせず、実数だけを並べます。同社の売上規模は過去10期にわたり25〜31億円のレンジで推移しており、長期的には漸減トレンドにあります。

直近5期の売上高・営業利益の推移

以下は有価証券報告書・決算短信ベースの公式情報(単体)です。

決算期売上高営業利益
2022年3月期(第67期)25億187万円4,511万円
2023年3月期(第68期)25億221万円△3,859万円
2024年3月期(第69期)25億9,333万円△2,707万円
2025年3月期(第70期)28億3,127万円7,911万円
2026年3月期(第71期)27億9,708万円4,884万円

この5期だけを見ても、黒字→赤字→赤字→黒字→黒字(ただし減益)と、利益がプラスとマイナスの間を行き来していることが分かります。売上は25億円台から28億円台へ回復したものの、第71期は減収に転じました。

10期スパンで見ると赤字期が半分|2020年3月期の純損失6.6億円

視野を10期に広げると、収益構造の弱さがより鮮明になります。営業損益ベースで赤字だったのは、2018年3月期(△1,291万円)、2019年3月期(△7,019万円)、2020年3月期(△1億4,189万円、当期純損失△6億6,261万円)、2023年3月期(△3,859万円)、2024年3月期(△2,707万円)の5期です。つまり直近10期のうち半数が営業赤字でした。とくに2020年3月期は純損失が6.6億円に達しており、これは現在の時価総額(約9.5億円)に迫る規模です。

ここは冷静に読む必要があります。売上28億円規模の会社で営業利益が数千万円ということは、営業利益率が1〜3%程度という薄い水準です。原紙価格やエネルギーコストが動けば、あるいは大口顧客の受注が1件抜ければ、簡単に赤字に振れる構造ということになります。実際、有価証券報告書の事業等のリスクには上位10社で売上の35.8%を占める取引先集中と、原材料(原紙)価格変動が明記されています。

一方で、財務が危険水域にあることを示す開示は見当たりません。前述のとおり第71期の有価証券報告書に継続企業の前提に関する注記は付されておらず、直近期は営業・経常・純利益とも黒字です。「すぐに存続が危ぶまれる状態ではないが、利益の安定性は高くない」——これが数字から言える範囲の評価です(推定情報)。

勤務地は実質「佐倉の情報センター」1ヶ所|銀座本社との違い

意外に見落とされがちですが、応募前にいちばん現実的な影響があるのがここです。本社は東京都中央区銀座7丁目16-14 銀座イーストビル4階にあり、2022年に大阪市中央区から本店移転しています。ただし銀座はオフィス機能であって、モノを作る場所ではありません。

有価証券報告書の事業等のリスクには、「現有生産拠点は『情報センター』1ヶ所」と明記されています。この情報センターは千葉県佐倉市西御門明神台424-3、ちばリサーチパーク内にあります。つまり印刷・データプリント・製本・封入封緘・発送といった現場業務に関わる職種は、勤務地が事実上ここ一択になります。

拠点所在地主な機能
本社東京都中央区銀座7-16-14 銀座イーストビル4階本社機能・営業
情報センター千葉県佐倉市西御門明神台424-3(ちばリサーチパーク内)唯一の生産拠点(印刷・データプリント・封入封緘・発送)
関西支社大阪市中央区久太郎町関西エリアの営業
各支店名古屋(名古屋市東区葵)・神戸・横浜・京都・千葉(幕張テクノガーデン)営業拠点
大阪商品センター東大阪市本庄東商品の保管・供給

この「1ヶ所集中」は、会社にとってはリスク(災害・設備トラブルが起きれば代替生産ができない)であり、有価証券報告書もリスク項目として挙げています。一方、求職者にとっては転勤の心配が少ないという読み替えも可能です。営業職で入れば支店異動の可能性はありますが、現場職で入れば佐倉に腰を据えて働くことになります。都内在住で応募を考えている人は、佐倉までの通勤が現実的かを最初に確認してください。同社は個人情報を大量に取り扱う業務の性質上、情報漏洩リスクも有価証券報告書に明記しており、現場は相応に厳格な入退室・持ち込み管理が敷かれていると考えられます(推定情報)。

評判・口コミの傾向|「働きやすいが将来性に不安」という評価の中身

先に注意点を書きます。同社の口コミは母数が非常に少なく、数値を断定的な結論に使える規模ではありません。OpenWorkの総合評価は5点満点中2.90ですが、これは回答者10人の集計です。エン カイシャの評判(エン ライトハウス)は総合2.8で、正社員22名の回答・口コミ総数159件。いずれも傾向として読むに留めてください。

OpenWorkとエンで残業時間の記載が大きく食い違う

この会社の口コミで最も注意すべきなのが労働時間です。口コミ傾向として、OpenWorkの集計では月間残業8.1時間、有給消化率56.4%、法改正前から1時間単位での有給取得が可能という記載があります。一方、エン カイシャの評判では月間残業29時間と、3倍以上の開きがあります。

この食い違いをどう読むか。考えられる要因は次のとおりです(推定情報)。

  • 職種差:間接部門・営業と、情報センターの生産現場では稼働の山が違います。
  • 繁忙期の差:金融機関向けの通知物は決算期や制度改定のタイミングに物量が集中しやすく、投稿時期によって体感が変わります。
  • 回答母数の差:どちらも十数人〜二十数人規模の集計で、数人の極端な回答が平均を動かします。

結論としては、「全社的には残業が少ない部署が多いが、部署・時期によっては月30時間近くまで振れることがある」と幅を持って理解し、面接で配属予定部署の実績を直接確認するのが実務的です。

高く評価される点と、低く評価される点

口コミ傾向を項目別に見ると、評価が明確に二極化しています。

相対的に高い項目相対的に低い項目
法令順守意識 3.9(OpenWork)会社の成長性・将来性 2.1(エン)
待遇面の満足度 3.5(OpenWork)経営陣の手腕 2.3(エン)
休日休暇の満足度 80%(エン)風通しの良さ 2.5(OpenWork)
人間関係の満足度 71%(エン)20代の成長環境 2.5(OpenWork)
勤務時間の納得度 61%(エン)人材の長期育成 2.5(OpenWork)/年収納得度 53%(エン)

読み取れる像は一貫しています。コンプライアンス・休暇・人間関係といった「働きやすさ」は評価される一方、成長性・経営・若手の育成環境には厳しい声が集まっている。1961年結成の労働組合が現存し、労使関係は良好と有価証券報告書に記載されていることも、労働環境面の評価と整合します。これは老舗の小型BtoB企業に典型的なパターンで、「腰を据えて長く働きたい人には合うが、20代で急成長したい人には物足りない」という構図です。ただし前述のとおり母数が小さいため、この整理も傾向以上のものではありません。

将来性|紙の縮小と電子化への転換が同時に進む業界の中で

同社の将来性は、会社単体ではなく業界構造とセットで見る必要があります。結論としては、逆風は本物だが、その逆風の内側に同社が張ろうとしている陣地もあるという構図です。一般論ではなく、具体的な外部データで確認します。

紙帳票を減らす制度変更が、外側から次々に来ている

  • 印刷市場そのものの縮小:日本印刷産業連合会の統計では2025年の印刷産業出荷額は約3兆5,960億円(速報)で、コロナ前の2019年(約3兆7,039億円)に届いていません。帝国データバンクによれば2025年度の印刷業の休廃業・解散は230件で過去最多(前年度比18.6%増)、倒産91件と合わせ300社超が市場から退出しました。
  • 金融分野の電子交付:2025年4月施行の金融商品取引法等の改正により、証券会社が顧客に交付する取引報告書・目論見書などは原則デジタル提供が可能になりました。野村證券は2026年3月以降、各種書面を原則Web交付へ切り替えると公表しています。銀行界も手形・小切手について2026年度末に電子交換所の交換枚数ゼロ、2027年度初に交換廃止という目標を掲げています。金融機関向け帳票・通知物を主戦場としてきた同社にとって、紙の発生源が制度側から減っていく局面です。
  • 郵便料金の上昇:2024年10月に約30年ぶりの大幅改定があり、定形郵便物110円・通常はがき85円となりました。発送側では同じ予算で送れる通数が減るため、通知物の統合や電子化による通数削減の検討が広がっています。封入封緘・発送の物量は減る前提で考えるのが自然です。

これらは同社が売上の55.9%を依存するビジネスフォーム事業に、まっすぐ効いてくる変化です。有価証券報告書自身が電子化による市場縮小は避けられないと記載しているのは、この現実を反映しています。

それでも「終わり」ではない理由|BPO市場と電子通知事業

ただし、紙が減ることと会社が縮むことは同義ではありません。矢野経済研究所によると2024年度の国内BPO市場は前年度比4.0%増の5兆786億5,000万円(非IT系1兆9,566億5,000万円、IT系3兆1,220億円)で、2027年度には5兆3,159億円に達すると予測されています。労働人口減少・人件費高騰・DX推進が追い風で、印刷各社はデータ編集加工から可変印字、製本・封入封緘・発送までを一括受託するDPSや、BPO・業務設計の領域へ主戦場を移しています。

同社の情報処理事業と電子通知事業は、まさにこの流れの上にあります。顧客の帳票データを預かって処理し、紙でも電子でも届けられる立場は、紙が減っても仕事が残る形に転換できる可能性を持っています。転職検討者にとっての実務的な示唆は明快です。

  • 紙の工程だけに紐づくスキルは、中長期で評価されにくくなる可能性があります。
  • データ処理・システム開発・電子サービス側に軸足を作れれば、社内でも社外でも価値が残りやすいと考えられます(推定情報)。
  • キャリアの出口としては、大手DPS・BPO事業者、電子帳票・電子請求書SaaSベンダーの導入支援職、金融機関や事業会社の事務企画・BPR部門などが現実的な選択肢になります。

有価証券報告書が挙げるリスクと、株主構成という論点

会社自身が開示しているリスク(公式情報)を整理しておきます。

  • 紙帳票が売上の約55.9%を占め、電子化により市場縮小は避けられない
  • 原紙価格の変動
  • 上位10社で売上の35.8%を占める取引先の集中
  • 生産拠点が情報センター1ヶ所に集中
  • 個人情報を大量に取り扱うことによる漏洩リスク

加えて資本構成にも特徴があります。大株主は山田株式会社(14.17%)を筆頭に山田家の個人株主が並び、有価証券報告書には筆頭株主グループが議決権の29.4%を保有し、今後の経営関与によって経営方針が影響を受ける可能性がある旨が記載されています。創業家である川瀬家(川瀬啓輔社長3.56%、川瀬三郎3.89%)との二重構造になっており、上位10名で発行済株式の約49.19%を占めます。経営の方向性が少数の大株主の意向に左右されやすい構造である点は、中長期のキャリアを預けるかどうかを考えるうえで知っておくべき事実です。

近い立ち位置の上場印刷会社との比較

同社を単体で見ても評価は難しいため、事業が重なる会社と並べて相対的な位置を確認します。なお年収の横比較は各社の有価証券報告書で対象期・単体/連結の別が異なるため、この表では数値を並べず、事業構造と規模の観点で整理します(各社の平均年間給与は、それぞれの最新の有価証券報告書でご確認ください)。

企業名上場区分事業の重なり比較の観点
カワセコンピュータサプライ(7851)東証スタンダード(2026年10月廃止予定)/福証本則ビジネスフォーム・DPS・電子通知従業員102人・売上28億円規模。金融帳票特化の小所帯
TOPPANエッジ(旧トッパン・フォームズ)非上場(TOPPAN傘下)ビジネスフォーム・DPS全般業界最大手。待遇・規模・案件の幅を比べる筆頭
共同印刷(7914)東証プライム情報系印刷・BPO総合印刷の中堅。事業の幅と安定性で対照的
イムラ(3955)東証スタンダード封筒・DM・帳票周辺封筒最大手。発送物の川上で領域が隣接
光村印刷(7916)東証スタンダード商業印刷同じスタンダード帯の上場印刷会社として比較しやすい

この並びで見ると、同社は「規模はもっとも小さいが、金融機関向け帳票と可変印字・発送の一貫受託という領域を絞り込んでいる会社」という位置づけになります。大手のような案件規模やジョブローテーションの幅は望みにくい一方、少人数ゆえに一人が担当する工程の範囲は広くなりやすいと考えられます(推定情報)。

なお、同じ「紙の需要縮小」という逆風の中にいる上場企業として、総合商研、ウイルコホールディングス、日本創発グループの記事も参考になります。また「社名から業種を誤解されやすい会社」という共通点では、アイフィスジャパン(東証33業種は「その他製品」ではないものの、社名からは事業が読み取りにくい金融情報サービス企業)のケースが近く、社名と実態のギャップという同じ論点を扱っています。

カワセコンピュータサプライに関するよくある質問(FAQ)

検索でよく組み合わせられるキーワードをもとに、応募検討者から出やすい疑問に答えます。

上場廃止ということは、会社が倒産するのですか?

いいえ。今回の上場廃止は、東証スタンダード市場の上場維持基準(流通株式時価総額10億円以上)に適合できなかったことによるもので、経営破綻によるものではありません。第71期(2026年3月期)は営業利益4,884万円・当期純利益6,699万円の黒字で、有価証券報告書に継続企業の前提に関する注記も付されていません(公式情報)。ただし直近10期のうち5期が営業赤字と利益の振れ幅は大きいため、業績の安定性そのものは別途確認すべき論点です。

東証を上場廃止したあと、株式や会社の情報開示はどうなりますか?

同社は2025年8月に福岡証券取引所本則市場へ新規上場しており、東証の上場廃止後は福証単独上場の上場企業として存続する見込みです。したがって有価証券報告書の提出や適時開示は継続すると考えられ、外部から業績を確認できる状態は保たれる見通しです(推定情報)。一方で、東証銘柄でなくなることで知名度や株式の流動性は下がる可能性があります。

IT企業ですか?エンジニアとして応募できますか?

社名に「コンピュータサプライ」とありますが、IT・SIer企業ではありません。1955年に「川瀬紙工株式会社」として創業した印刷・情報処理の会社で、東証33業種分類も「その他製品」です。ただし情報処理事業ではデータ編集・加工のためのシステム開発を行っており、電子請求書配信・電子通知物配信といったクラウドサービスも手がけています。Web系・受託開発のエンジニア職を想定すると仕事内容にギャップが生じる可能性が高く、「帳票データを扱う業務システム寄りの仕事」と理解して臨むのが適切です。

勤務地はどこになりますか?佐倉の情報センターとは何ですか?

本社は東京都中央区銀座7丁目、生産拠点は千葉県佐倉市西御門明神台のちばリサーチパーク内にある「情報センター」です。有価証券報告書に「現有生産拠点は『情報センター』1ヶ所」と明記されており、印刷・データプリント・封入封緘・発送などの現場業務は事実上この1ヶ所になります。ほかに関西支社(大阪)、名古屋・神戸・横浜・京都・千葉の各支店、大阪商品センター(東大阪市)があり、営業職はこれらの拠点勤務の可能性があります。

平均年収441万円と口コミの355万円、どちらが実態に近いですか?

どちらも「対象が違う数字」です。441万円は有価証券報告書の第71期の平均年間給与(対象は提出会社の従業員102人、平均年齢43.4歳)で、公式情報としての一次データです。355万円はエン カイシャの評判に掲載されている口コミ傾向で、回答者の平均年齢は38歳と若い層に寄っています。20代〜30代の実感値と、40代を含む全社平均の差と読むのが妥当と考えられます(推定情報)。なお有価証券報告書では、職種別・役職別の年収は開示されていません。

残業時間や休みの取りやすさはどうですか?

口コミ傾向では、OpenWorkの集計が月間残業8.1時間・有給消化率56.4%(法改正前から1時間単位の有給取得が可能との記載あり)、エン カイシャの評判が月間残業29時間・休日休暇満足度80%と、残業時間の記載に大きな開きがあります。部署や時期による差が大きい可能性があるため、面接では配属予定部署の実績を具体的に確認することをおすすめします。

転職判断まとめ|向いている人・向いていない人と編集部の見解

ここまでの公式情報・口コミ傾向・推定情報を、判断軸ごとに整理します。最終的な判断は、求人票と労働条件通知書、そして面接での確認を経て行ってください。

判断軸評価
企業存続直近期は黒字で継続企業の前提に関する注記なし。上場廃止は形式基準によるもので、福証上場は継続見込み
年収有報ベース約441万円(43.4歳)。業界水準の中位。高給狙いには向かない
働きやすさ法令順守・休日休暇の評価は高め。残業は口コミ間で8.1時間と29時間の開きがあり要確認
業績の安定性直近10期で5期が営業赤字。営業利益率1〜3%と薄く、外部コストや大口顧客の影響を受けやすい
成長環境20代の成長環境・人材の長期育成は口コミで2.5と低め。勤続12.8年の長期定着型組織
将来性紙帳票55.9%への依存は逆風。電子通知・DPSへの転換が進むかが分岐点
勤務地現場職は千葉県佐倉市の情報センター一択。転勤リスクは小さいが選択肢も少ない

向いている人・向いていない人

向いている人向いていない人
残業の少なさ・休暇の取りやすさを年収より優先したい人30代前半で年収600万円以上を目指したい人
千葉・東京東部に生活基盤があり、転勤を避けたい人全国転勤や海外を含む幅広い異動でキャリアを広げたい人
金融機関向けの帳票・通知物という専門領域を深めたい人最新技術のWebサービス開発に携わりたいエンジニア
少人数の会社で工程の上流から下流まで見たい人大企業の分業体制と教育プログラムを求める人
紙から電子への移行を自分の手で進めることに関心がある人会社の看板(東証上場という肩書き)を重視する人

編集部の見解

編集部の見解として、この会社は「上場廃止というニュースの見え方と、実際の勤務環境のギャップが大きい会社」だと整理しています。東証を離れるという事実は確かに小さくありませんが、それは流通株式時価総額という株式市場側の基準の話であり、佐倉の情報センターで動いている業務や、金融機関との取引関係が明日から変わるわけではありません。むしろ転職判断で重く見るべきは、直近10期で5期が営業赤字という利益の振れ幅と、売上の55.9%を占める紙帳票が制度変更によって外側から削られていく構造のほうです。

そのうえで、総合すると次のように考えられます。「働きやすさを優先し、専門領域を長く深めたい人」には検討の余地がある一方、「年収の伸びとキャリアの拡張性を重視する人」には合いにくい会社です。応募するのであれば、電子通知事業やDPSといった転換の中核に関われるポジションかどうかを面接で確かめること、そして自分のスキルが紙の工程だけに閉じない形で積み上がるかを確認することを強くおすすめします。逆に、その確認ができるなら、競合が殺到しにくい環境で専門性を積める場という見方も成り立ちます。なお不祥事・行政処分・重大な訴訟に関する開示は、有価証券報告書および適時開示の範囲では見当たりませんでした。

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本記事の出典・参考情報

本記事で参照した一次情報・口コミ情報の出典は以下の通りです。最新の正確な数値は各リンク先で確認してください。

公式情報源

口コミ・評判の参照元

免責事項:本記事の数値・評価は公式情報・口コミ集計・市場推定の3分類で示しており、口コミ傾向や推定情報は断定ではなく傾向・可能性として表現しています。最終判断は読者自身で公式IRおよび内定時の労働条件通知書で確認してください。

この記事の編集方針・情報の確認について

この記事は、公式公開情報(有価証券報告書・IR資料)、求人情報、口コミ傾向をそれぞれ分けて整理し、転職・就職判断に役立つよう編集しています。年収・平均年齢・従業員数などの中核データは第71期(2026年3月期)有価証券報告書「従業員の状況」を一次情報として確認し、口コミ・推定情報とは明確に区別しています。上場廃止に関する事実関係は日本取引所グループの開示および東証適時開示にもとづき、廃止日など二次情報に依拠する部分はその旨を本文に明記しました。記載内容は最終更新時点の公開情報にもとづきます。最新の正確な数値は各公式IRページでご確認ください。

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コロ助
コロ助
企業と転職サービスを、有価証券報告書などの一次情報から読んでいます。
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