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大石産業の年収586万円は誰の数字か|評判・工場勤務・将来性を有報で検証

コロ助

※本記事にはプロモーションを含みます。

この記事の結論

  • 年収:有報の平均年間給与は586万8千円。ただし単体372名の数字
  • 安定性:直近5期すべて黒字、自己資本比率69.7%と財務は厚い
  • 注意点:経常利益は4期連続の減益。ROE3.8%は自社想定コスト6.5%割れ
  • 働き方:北九州中心の6工場・交替勤務あり。平均勤続14.9年と長い

大石産業株式会社(証券コード3943・東証スタンダード市場/福岡証券取引所)は、スーパーの鶏卵トレーやりんごのトレー、持ち帰りドリンクのホルダーといった「誰もが毎日見ているのに、社名は知らない」タイプの産業用包装資材メーカーです。転職検討者が知りたいのは、社名の知名度ではなく年収の実額・工場勤務の実態・この先の成長余地のはずです。本記事は第80期(2026年3月期)有価証券報告書の実額を軸に、口コミ傾向と切り分けながら、転職判断に必要な材料だけを整理します。

大石産業の公式データ一覧(有価証券報告書ベース)

まず、本記事で扱う数値の出所をまとめます。以下はすべて公式情報(第80期=2025年4月1日〜2026年3月31日の有価証券報告書、2026年6月19日提出)に基づく実額です。最新の正確な数値は公式IRページで再確認してください。

項目内容
会社名大石産業株式会社(OHISHI SANGYO CO.,LTD.)
本社福岡県北九州市八幡東区桃園二丁目7番1号
上場市場東京証券取引所スタンダード市場・福岡証券取引所(証券コード3943)
代表者代表取締役社長 山口 博章
創業1925年4月(2025年4月に創業100周年)/法人設立1947年2月
平均年間給与5,868千円(約586万8千円/前事業年度比+4.0%・提出会社単体)
平均年齢40.6歳(提出会社)
平均勤続年数14.9年(提出会社)
従業員数連結594名/提出会社(単体)372名(臨時従業員は連結72名・単体66名で外数)
売上高連結234億87百万円(前期比+0.0%)/提出会社単体191億57百万円
営業利益連結7億17百万円(前期比▲20.7%)
経常利益/当期純利益経常9億91百万円(▲12.3%)/親会社株主に帰属する当期純利益7億24百万円(▲23.4%)
財務指標自己資本比率69.7%/ROE3.8%/総資産280億54百万円・純資産196億11百万円
働き方の開示値有給取得率55.3%(2035年3月までに75%目標)/平均残業12.5時間・月(目標10時間)
女性活躍の開示値女性管理職比率2.4%(提出会社)/男女賃金差異は全労働者61.2%・正規雇用73.2%/男性育休取得率12.5%
労働組合提出会社に4組合(紙袋26名・段ボール34名・パルプモウルド47名・フィルム16名/いずれも上部団体非加盟)
出典第80期(2026年3月期)有価証券報告書/公式IR資料

離職率・職種別年収・初任給の内訳といった項目は、有価証券報告書では開示されていません。本記事ではこれらを口コミ傾向・推定情報として明示的に区別して扱います。

大石産業とはどんな会社か|鶏卵トレーで国内トップクラスの「隠れBtoB」

結論から言えば、大石産業は「紙で緩衝材をつくる」ことに100年を賭けてきたニッチ特化型メーカーです。転職検討者にとっての意味は、業界内で名前が通っている一方、業界外の知人には説明しづらい会社だということです。

有価証券報告書によると、同社は「緩衝機能・包装機能をもった包装関連資材の製造・販売」を主業とし、事業は2つのセグメントに分かれます。

  • 緩衝機能材事業:パルプモウルド(古紙を原料とする紙製成形トレー。鶏卵トレー、りんご等の青果物トレー、持ち帰りドリンク用トレー、工業用緩衝材)、段ボール、樹脂成型品・宙吊り式包装容器「ゆりかーご」
  • 包装機能材事業:食品容器用ポリスチレンフィルム・自動車向けキャストフィルム、および製粉・飼料・合成樹脂・化学薬品向けのクラフト重包装袋(大型紙袋)

1925年4月に八幡(現・北九州市八幡東区)で藁工品・麻袋を扱う「大石商店」として創業し、1933年に再生紙袋の製造販売へ。1952年にスチールサッシ会社を吸収合併した際に現社名へ改称した、という珍しい社名由来を持ちます。2025年4月に創業100周年を迎えました。

東証の業種分類は「パルプ・紙」です。この分類だけを見て斜陽産業と受け取られやすいのですが、実態は紙媒体の需要とは別の市場、すなわち食品流通・青果物流通・化学品物流を支える包装資材市場で戦っている会社です。脱プラスチックの流れはパルプモウルドにとって追い風方向に働く要素であり、業種分類のイメージと事業の実態がずれている点は、転職判断の前提として押さえておく価値があります(推定情報を含みます)。

求職者
求職者

正直、名前を聞いたことがない会社です。安定しているんでしょうか?

安定性は、知名度ではなく財務で確認できます。有価証券報告書の「主要な経営指標等の推移」では第76期から第80期まで5期連続で黒字、継続企業の前提(GC)に関する注記もありません。自己資本比率69.7%は、上場中小型メーカーとしてはかなり厚い水準です。一方で利益は伸び悩んでおり、その内実は後述します。

大石産業の年収586万8千円は「誰の」数字か

先に結論を書きます。有報の平均年間給与586万8千円は、連結594名の平均ではなく提出会社(単体)372名の平均です。求人票の年収レンジを読むとき、この前提を知っているかどうかで解像度が大きく変わります。

公式の平均年間給与・平均年齢・平均勤続年数

第80期有価証券報告書「従業員の状況」によると、提出会社の平均年間給与は5,868千円(約586万8千円)で、前事業年度比+4.0%。賞与および基準外賃金を含む金額です。平均年齢40.6歳、平均勤続年数14.9年(いずれも2026年3月31日現在)。

この3つの数字は、セットで読むと意味が立ち上がります。

  • 平均年齢40.6歳で586万8千円:40代前半のメーカー社員の平均としては、突出して高くも低くもない中庸な水準です(推定情報)。
  • 平均勤続14.9年:平均年齢40.6歳から逆算すると、多くの社員が25歳前後で入社してそのまま定着している計算になります。上場中小型メーカーとしてはかなり長い部類で、人が短期間で入れ替わる職場ではないことを示唆します。
  • 前期比+4.0%:同社は2025年度に管理職層の処遇水準見直し、従業員持株会の奨励金付与率10%→15%引き上げ、持株会加入者への譲渡制限付株式(1人100株)導入を実施しています。人的資本投資が実際に金額として動いている期にあたります。

なお、年収アグリゲーターサイトでは565万円程度の数値が掲載されている場合がありますが、これは過去期の値です。本記事では一次情報である有価証券報告書の586万8千円を採用しています。

連結594名と単体372名 ―― 差の222名は誰か

ここが本記事でもっとも実務的な論点です。有価証券報告書によると従業員数は連結594名/提出会社単体372名。差の222名の内訳は次の通りです。

会社所在地従業員数
CORE PAX (M) SDN.BHD.マレーシア・ジョホール州152名
柳沢製袋株式会社埼玉県深谷市33名
株式会社アクシス北九州市八幡西区20名
ENCORE LAMI SDN.BHD.マレーシア13名
FUSIONS TRADING MALAYSIA SDN.BHD.マレーシア・クアラルンプール4名

222名のうち169名がマレーシア子会社です。つまり有報の586万8千円は、マレーシア現地採用の給与水準を含まない「日本の大石産業本体で働く372名」の平均ということになります。連結594名ベースで平均を取れば、この金額より低くなる可能性が高いと考えられます(推定情報)。

日本国内で大石産業本体に応募する求職者にとっては、586万8千円が実態に近い参照値と考えて差し支えありません。逆に、グループ会社(柳沢製袋・アクシス)経由での応募を検討する場合は、有報の数字がそのまま当てはまらない点に注意が必要です。なお株式会社アクシス(ソフトウエア開発・情報処理機器販売)は、2026年4月1日付で大石産業に吸収合併され消滅しています。

口コミに現れる職種別レンジと、賞与への不満

口コミ傾向として整理します。まず前提として、大石産業は口コミの母数が極めて少ない企業です。エン カイシャの評判は全36件(うち評価スコアは正社員6名の回答に基づく)、OpenWorkは総合スコア2.88で回答者9名、転職会議の年収・給与制度の回答は3件、就活会議は全13件。統計的な信頼性は低く、少数の投稿が全体像を代表しているとは限らない点をあらかじめ押さえてください。

そのうえで投稿傾向を見ると、職種による年収差が大きいことがうかがえます。求人系サイトの投稿では機械オペレーターで350万円台、営業で640万円前後といった幅のある数値が見られ、新卒4年目の営業職で400〜450万円という具体例も挙がっています(いずれも推定情報を含む口コミベースの数値であり、会社の公式レンジではありません)。有報の平均586万8千円は、勤続の長い層と管理職層を含んだ平均であることを踏まえると、20代〜30代前半の実額はこれより下に分布すると考えるのが自然です。

給与面のネガティブな指摘としては、次のような声が挙がっています。

  • 賞与が想定より少なく、昇給が見込みにくいという不満
  • 営業職に残業代・休日手当が支給されないとの指摘
  • 実力主義より年功・人物評価に偏るという評価(実力主義の項目スコアは3.1点)

これらは断定できる事実ではなく、あくまで少数の投稿傾向です。ただし「実力主義より年功」という指摘は、平均勤続14.9年という有報の数字と方向としては整合します。短期で成果を出して一気に処遇を上げたい人には合いにくく、腰を据えて積み上げる人には向くという構造が読み取れます(推定情報)。面接では、評価制度の運用実態・賞与の直近実績月数・営業職の時間外手当の扱いを具体的に確認しておくことをおすすめします。

5期の業績推移で読む大石産業|売上は横ばい、利益は4期連続の減益

転職判断で見るべきは単年の決算ではなく、数期にわたる推移です。有価証券報告書「主要な経営指標等の推移」から5期分を並べると、この会社の現在地がはっきりします。

期(決算期)連結売上高連結従業員数単体従業員数
第76期(2022年3月期)197億52百万円531名333名
第77期(2023年3月期)217億88百万円545名337名
第78期(2024年3月期)219億64百万円579名346名
第79期(2025年3月期)234億85百万円582名358名
第80期(2026年3月期)234億87百万円594名372名

読み取れることは3つです。

  • 売上は5期で約19%成長したが、直近1期は完全な横ばい(234億85百万円→234億87百万円、前期比+0.0%)。原燃料高を受けた価格転嫁が一巡し、数量成長のフェーズに入り切れていない状態です。
  • 従業員数は一貫して増加。連結531名→594名、単体333名→372名と、5期で単体だけでも39名増えています。人員を絞る局面ではなく、採用を続けている会社です。
  • 利益は縮小。経常利益は第76期の15億28百万円から第80期9億91百万円へ、4期連続の減益トレンドにあります。

減益の3要因と、セグメント別の明暗

第80期の減益要因として有価証券報告書が挙げているのは、①海外事業の減収、②設備投資拡大に伴う減価償却費の増加、③処遇改善・人的資本投資による人件費の増加、の3点です。②と③は「将来のために今払っているコスト」であり、単純な業績悪化とは性質が異なります。実際、減価償却費は12億08百万円、有形固定資産の取得支出は24億80百万円に達しています。

セグメント別に見ると、事業部によって景色がまったく違います。

セグメント売上高(前期比)セグメント利益(前期比)
緩衝機能材事業116億38百万円(+5.3%)11億81百万円(+34.8%)
 うちパルプモウルド部門68億99百万円(+6.2%)―
 うち段ボール部門35億58百万円(+6.9%)―
 うち成型部門11億80百万円(▲4.0%)―
包装機能材事業114億01百万円(▲4.9%)6億26百万円(▲32.7%)
 うちフィルム部門45億01百万円(▲7.5%)―
 うち重包装袋部門68億99百万円(▲3.1%)―
その他(ソフトウエア・農産物輸入等)4億47百万円(+0.9%)33百万円のセグメント損失

要するに、主力のパルプモウルドを含む緩衝機能材は増収・大幅増益、フィルムと重包装袋の包装機能材は減収・3割超の減益という構図です。これは転職判断に直結します。同じ大石産業でも、鞍手・北茨城・八戸のパルプモウルド系ラインに配属されるのと、フィルム部門や重包装袋部門に配属されるのとでは、当面の事業モメンタムが逆方向を向いているからです。応募職種がどのセグメントに属するのかは、面接で必ず確認しておきたいポイントです。

もうひとつの弱点が海外です。マレーシア子会社CORE PAXは第80期に売上高28億56百万円に対して経常損失85百万円・当期純損失81百万円を計上。「その他」に含まれるマレーシアでの日本産農産物輸入販売も立ち上げ損失でセグメント損失となっています。海外はまだ収益貢献のフェーズに入っていないと見るのが妥当です(推定情報)。

資本効率についても、会社自身が課題を開示しています。2026年5月14日開示の「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応(アップデート)」では、長期ビジョンとしてPBR1.0倍・ROE8%を掲げていますが、第80期のROEは3.8%で、自社が想定する株主資本コスト6.5%を下回ります。財務は厚いが資本を効かせきれていない、という典型的な老舗メーカーの姿です。裏を返せば、改善余地を経営が自覚し数値目標として公表している会社でもあります。

勤務地は北九州中心の6拠点|鞍手・茨城・小倉・八戸の実態

大石産業の検索では、社名と並んで「鞍手工場」「茨城工場」「小倉工場」「八戸工場」といった工場名での検索が非常に多いのが特徴です。これは求職者が「どこで働くのか」を最重視していることの表れなので、ここは具体的に整理します。

拠点所在地主な担当領域
本社福岡県北九州市八幡東区桃園二丁目7番1号本社機能(管理・営業本部)
紙袋工場北九州市小倉南区クラフト重包装袋
段ボール工場福岡県直方市段ボール
鞍手工場福岡県鞍手郡フィルム/パルプモウルド/樹脂成型
茨城(北茨城)工場茨城県北茨城市フィルム/パルプモウルド
八戸工場青森県上北郡パルプモウルド
海外拠点マレーシア・ジョホール州ほか紙袋・ラミネート/農産物輸入販売

ここから見える転職判断上のポイントは次の通りです。

  • 九州で腰を据えて働ける会社である:本社・紙袋・段ボール・鞍手と、主要拠点の大半が福岡県内に集中しています。北九州・福岡エリアで上場メーカーに勤めたい人にとって、選択肢として現実的です。
  • ただし全国転勤の可能性はある:茨城県北茨城市、青森県上北郡と、九州から遠い生産拠点を持っています。総合職として入社する場合、これらの拠点への異動可能性は考慮しておくべきです(推定情報)。
  • 工場は装置産業の性格が強い:パルプモウルドもフィルムも連続運転の設備で生産する製品であり、製造現場では交替勤務を伴う運用が一般的です。生活リズムへの影響は、応募前に必ず具体的な勤務シフトを確認しましょう。

働き方の数値は会社が開示しています。有価証券報告書のサステナビリティ関連開示によると、有給取得率55.3%(2035年3月までに75%を目標)、平均残業12.5時間・月(目標10時間)。一方、OpenWorkの投稿ベースでは平均残業19.4時間・月、有給取得率44.8%という数値が出ています(回答者9名)。会社開示値と口コミ集計値の差は、母数の少なさと部署差の両方が理由と考えられます(推定情報)。少なくとも、残業時間が突出して長い会社という像は、公式開示・口コミのどちらからも出てきません。

また、提出会社には工場ごとに4つの労働組合(紙袋工場26名、段ボール工場34名、パルプモウルド工場47名、フィルム工場16名)があり、いずれも上部団体に加盟していません。工場単位で労使協議のチャネルが残っている組織形態は、製造現場の労働条件を考えるうえでプラス材料と読めます(推定情報)。

口コミから見える評判|母数の少なさを前提に読む

大石産業の評判を調べると、エン カイシャの評判・OpenWork・転職会議・就活会議・Yahoo!しごとカタログといった各サイトがヒットします。ただし前述の通り、いずれも投稿数は数件〜数十件規模です。ここでは「傾向」として読める部分だけを取り出します。

評価されている点|ニッチトップ性と安定性

口コミ傾向として最も高いスコアが付いているのは「会社の成長性・事業の優位性」(3.5点)です。パルプモウルドという特殊な製法・設備に紐づく事業で、参入障壁が高くニッチな領域を押さえていること、地元の安定企業として景気変動の影響を受けにくいことが評価されています。転職会議の退職者投稿にも、地元の安定企業として世の中の経済状況を過度に気にせず働けた、横のつながりが強く働きやすかった、という趣旨の声が見られます。

この「定着しやすい」という評価は、有報の平均勤続14.9年という公式情報と方向が一致します。口コミの母数が少なくても、勤続年数という客観指標が同じ方向を指しているため、この点は比較的信頼して読める部分です。

指摘されている点|処遇・育成・福利厚生

一方、ネガティブ側の指摘は次のように整理できます(いずれも口コミ傾向であり断定ではありません)。

  • 賞与が少なく、昇給の見通しが立ちにくいという声
  • 営業職に残業代・休日手当が支給されないとの指摘
  • 実力主義より年功・人物評価に偏るという評価
  • 新人教育・人材育成の体制が弱いという声
  • 住宅補助など福利厚生が他社比で見劣りするという指摘

4点目については、会社側の開示とも符合する部分があります。有価証券報告書の人的資本開示では研修参加率20.6%(目標70%)、エンゲージメントスコアは2023年度比+2.2%(目標+50%)と、目標と実績の乖離がそのまま公表されています。教育投資の仕組みづくりが途上であることを、会社自身が数字で認めている状態です。裏を返せば、育成体制が整った大企業のような研修を期待して入ると、ギャップを感じる可能性があるということです(推定情報)。

「女性は働きづらい」という声を有報の数値で検証する

口コミの中には「女性は働きづらい」という趣旨の評価があります。これは印象論として片付けられがちですが、大石産業の場合は一次情報と突き合わせて検証できる数少ないテーマです。

指標(提出会社単体)数値
女性管理職比率2.4%
男女の賃金の差異(全労働者)61.2%
男女の賃金の差異(正規雇用労働者)73.2%
男性育児休業取得率12.5%
参考:連結ベースの女性管理職比率15.4%

提出会社単体の女性管理職比率2.4%は、女性が管理職に到達する事例がまだ限られていることを示す数値です。男女賃金差異61.2%(正規雇用でも73.2%)も、職種構成・勤続年数・役職分布の違いが積み上がった結果と考えられます。連結だと15.4%まで上がるのは、マレーシア子会社の女性管理職比率が高いためであり、日本国内の実態を表す数字ではありません。

つまり、口コミの「女性は働きづらい」という声は、有報の数値と方向として整合していると言えます。ここは印象ではなく公式情報として確認できるので、女性の求職者は面接で「女性の管理職・リーダー職の実例」「産休育休からの復職実績」「工場勤務における配置の考え方」を具体的に質問することをおすすめします。会社が数値を包み隠さず開示していること自体は、改善に取り組む前提が整っているとも読めます。

労災・安全リスクを会社自身がどう開示しているか

製造業への転職で見落とされがちなのが安全面です。大石産業については、会社が有価証券報告書の「事業等のリスク」で正面から記載しています。

  • 製造現場について、日常的に「挟まれ・巻き込まれ」等の事象が発生しやすい環境であると明記
  • 2023年3月にパルプモウルド八戸工場で火災が発生。以後、全パルプモウルド工場にスプリンクラーを設置し、年1回の動作確認を実施

成形・裁断といった工程を持つ工場である以上、挟まれ・巻き込まれのリスクはゼロにはなりません。それを「ある」と書き、火災についても発生事実と再発防止策まで開示している点は、リスクを隠さない姿勢として評価できる材料です(推定情報)。なお、厚生労働省が公表する労働基準関係法令違反に係る公表事案の一覧に、大石産業の名称は掲載されていません。行政処分や係争中の重要訴訟についても、有価証券報告書の記載は一般的なリスク記述にとどまっています。現場職での応募を考えている場合は、安全教育の頻度、交替勤務時の人員配置、労災発生時の対応フローを面接で確認しておくと、入社後のギャップを減らせます。

大石産業の将来性|脱プラの追い風と中期経営計画『New Challenge 2027』

将来性を評価する材料は、①事業の追い風、②中期経営計画の中身、③その計画が数字として機能しているか、の3層で見ると整理できます。

①事業の追い風:主力のパルプモウルドは、古紙を原料に紙で成形トレーをつくる技術です。プラスチック製トレーからの置き換え需要、食品流通における環境配慮包装のニーズは中期的に伸びる方向にあります。第80期のパルプモウルド部門が+6.2%、段ボール部門が+6.9%と成長していることは、この方向性を裏づけています。特殊な設備と製法に紐づくため、参入障壁が高いことも同社の防御力になっています。

②中期経営計画:第8次中期経営計画『New Challenge 2027』(2028年3月期が最終年度)では、設備投資80億円を計画しています。連結売上234億円規模の会社が3年間で80億円を投じるのは、相当に踏み込んだ投資判断です。長期ビジョンとして売上高300億円・経常利益20億円・PBR1.0倍・ROE8%、配当方針としてDOE2.0%以上を掲げています。2024年11月にはパーパス「未来を包む – Inclusion for Future -」、ビジョン「循環型社会に最適解を提供する」を策定しています。

③計画は数字として機能しているか:ここは冷静に見る必要があります。長期ビジョンの経常利益20億円に対し、第80期の実績は9億91百万円。売上高300億円に対し実績は234億87百万円。つまり経常利益は目標の半分程度、売上は8割弱の地点にいます。そして経常利益は4期連続で減っています。80億円の設備投資はこのギャップを埋めるためのアクセルですが、短期的には減価償却費として利益を圧迫します。

総合すると、大石産業の将来性は「事業の方向性は追い風だが、投資フェーズの負担が数年続く」局面にあると整理できます(推定情報)。転職者にとっての意味は明快です。投資が実を結ぶ数年後にリターンを享受したい人には妙味があり、直近数年で処遇の大幅な改善を期待する人には向きにくいということです。

なお、上場維持基準への不適合や改善計画の開示、TOB・MBO・非公開化に関する動きは、適時開示・IR資料の範囲では公表されていません。2026年5月の資本コスト対応の開示も上場継続を前提とした内容であり、「上場廃止」という検索候補が示すような事態が進行している状況ではありません。

王子ホールディングスとの関係|筆頭株主だが子会社ではない

「大石産業 親会社」という検索がある通り、資本関係を気にする人は少なくありません。結論として、大石産業に親会社は存在せず、独立系の上場企業です。

第80期有価証券報告書の「大株主の状況」(2026年3月31日現在、自己株式を除く発行済株式総数に対する割合)は次の通りです。

順位株主持株比率
1王子ホールディングス株式会社9.61%
2OSK社員持株会7.23%
3株式会社西日本シティ銀行4.77%
4株式会社福岡銀行4.70%
5株式会社北九州銀行2.96%
10中越パルプ工業株式会社1.31%

王子ホールディングスは9.61%を持つ筆頭株主であり、大石産業は王子HDの子会社ではありません。持分法適用の親会社にも該当しないため、経営の独立性は保たれています。一方、原紙・素材の調達面で大手製紙との関係が事業運営に関わる可能性はあり、業界内でのポジションを理解するうえでは押さえておく価値があります(推定情報)。

もうひとつ注目したいのが株主構成の「九州色」です。2位に社員持株会7.23%、3〜5位に西日本シティ銀行・福岡銀行・北九州銀行という地元金融機関が並び、自己株式も14.86%を保有しています。地元と社員が株を持ち合う安定株主構成であり、外部からの急激な資本イベントが起きにくい構造だと読めます(推定情報)。

同業・関連企業との比較|どこと迷うかで見方が変わる

大石産業は事業構成が独特なため、「同業だから」という理由だけで比較しても意味が薄くなります。ここでは、実際に転職検討で並べられやすい包装資材関連の上場企業を、比較の観点つきで整理します。

企業名市場・コード主力領域大石産業との重なり転職時の見方
大石産業東証スタンダード・福証/3943パルプモウルド、重包装袋、フィルム、段ボール―北九州拠点。ニッチ特化と財務の厚さが持ち味。有報の平均年間給与586万8千円(単体)
昭和パックス東証スタンダード/3954クラフト重包装袋重包装袋部門と直接競合重包装袋の専業性が高い。大石産業は事業が分散している分、単一市場の変動には強い構造
ザ・パック東証プライム/3950紙製包装資材の総合包装資材メーカーとしての位置づけプライム上場で企業規模が大きく、扱う商材・顧客層が広い
トーモク東証プライム/3946段ボール、住宅事業段ボール部門段ボール大手。住宅事業も持つ複合構造で、事業ポートフォリオの考え方が異なる
レンゴー東証プライム/3941板紙・段ボール・軟包装・重包装段ボール、重包装袋国内首位で連結売上1兆円超。有報の平均年間給与は約818万円(単体)と業界の給与ベンチマーク

この表で挙げた平均年間給与は、本記事で有価証券報告書を直接参照した2社のみを記載しています(他社は本記事の調査対象外のため数値を掲載していません)。給与水準だけを見ればプライム上場の大手が上に来ますが、比較すべきは金額だけではありません。大石産業を選ぶ理由になりうるのは、①北九州・福岡で腰を据えて働けること、②パルプモウルドという他社が容易に真似できない領域に関われること、③自己資本比率69.7%という財務の安全性、の3点です(推定情報)。逆に、給与水準の絶対額、教育制度の充実度、キャリアの選択肢の広さを最優先するなら、大手を並行して検討するのが合理的です。

大石産業への転職が向いている人・向いていない人

ここまでの公式情報・口コミ傾向をふまえ、適性を整理します(推定情報を含みます)。自分がどちら側に多く当てはまるかで判断してください。

向いている人向いていない人
北九州・福岡で長く働ける上場メーカーを探している人都心勤務・オフィスワーク中心の環境を希望する人
短期の昇給より、勤続を重ねて安定的に積み上げる働き方を望む人成果に応じて数年で処遇を大きく上げたい実力主義志向の人
パルプモウルドのような特殊な製法・設備に技術的な面白さを感じる人汎用性の高いスキルを短期間で身につけたい人
自己資本比率69.7%という財務の安全性を重視する人高成長・高ROEの企業でキャピタルゲイン的な報酬を狙いたい人
交替勤務を含む製造現場の働き方を受け入れられる人生活リズムを固定したい人、夜勤を避けたい人
研修が整っていなくても、現場で自走して覚えられる人体系的な研修・育成プログラムを前提にキャリアを描きたい人
BtoB中間素材の地味さを「安定」と捉えられる人自社ブランドの知名度・BtoCの華やかさを求める人

大石産業への転職|編集部の見解

編集部の見解として、大石産業は「条件付きで勧められる会社」だと考えます。

勧められる条件は明確です。北九州・福岡を生活の拠点にしたい人、製造業の現場で長く働きたい人、そして「会社が潰れないこと」を転職の優先条件に置く人です。第76〜80期すべて黒字、自己資本比率69.7%、平均勤続14.9年という公式情報は、この3条件に対して素直に良い答えを返しています。加えて、有給取得率も研修参加率も女性管理職比率も、目標に届いていない実績値をそのまま開示している会社です。数字を都合よく見せない姿勢は、入社後の情報の透明性を推測するうえで悪くない材料です。

一方で、勧めにくいケースもはっきりしています。経常利益は4期連続の減益、ROE3.8%は自社想定の株主資本コスト6.5%割れ、海外子会社は損失計上中、包装機能材事業は3割超の減益。80億円の設備投資が実を結ぶまでには時間がかかり、その間の処遇は「毎年着実に上がるが、跳ねはしない」ものになる可能性が高いと考えられます(推定情報)。20代〜30代前半で年収を一段上げることを最優先するなら、他の選択肢と並べて比較すべきです。

総合すると、生活基盤の安定と技術的な専門性を取りにいく転職としては合理的、年収の最大化を狙う転職としては物足りない――これが編集部の評価です。

大石産業に関するよくある質問(FAQ)

大石産業への転職・就職を検討する人からよくある質問と回答をまとめました。

大石産業の平均年収はいくらですか?

第80期(2026年3月期)有価証券報告書によると、提出会社の平均年間給与は5,868千円(約586万8千円)で、前事業年度比+4.0%です。賞与・基準外賃金を含みます。ただしこれは提出会社単体372名の平均であり、マレーシア子会社CORE PAX(152名)などを含む連結594名の平均ではない点に注意してください。年収アグリゲーターサイトに掲載されている数値は過去期のものである場合があります。

大石産業の求人はどこで確認できますか?どんな職種がありますか?

公式採用サイト(recruit.osk.co.jp)が一次情報です。あわせて転職媒体や北九州市の地域求人サイトにも中途採用情報が掲載されることがあります。職種としては、製造・生産技術・設備保全といった工場系、法人向けの営業、および管理部門が中心です(推定情報)。募集要項の内容は時期によって変わるため、必ず公式採用サイトで最新情報を確認してください。

鞍手工場・茨城工場ではどんな製品をつくっていますか?

有価証券報告書の「主要な設備の状況」によると、福岡県鞍手郡の鞍手工場はフィルム・パルプモウルド・樹脂成型を、茨城県北茨城市の工場はフィルムとパルプモウルドを担っています。青森県上北郡の八戸工場はパルプモウルド専業、北九州市小倉南区は重包装袋(クラフト紙袋)、福岡県直方市は段ボールです。検索需要の多い鞍手工場は、複数の製品ラインを持つ中核拠点にあたります。

「大石産業 不祥事」という検索候補が出るのはなぜですか?

2009年8月28日に公表された、連結子会社の株式会社アクシス(北九州市八幡西区)における元従業員の不正が該当します。元従業員がパソコンを5年間にわたり不正に転売して代金を着服していたもので、被害総額は約8,200万円、2009年9月中間期損益への影響は約3,400万円と発表されました。同社は当該元従業員を2009年8月27日付で懲戒解雇のうえ刑事告発し、民事手続で回収を図るとしています。17年前の事案であり、主体は子会社の元従業員個人で、大石産業本体や現在の経営体制による事案ではありません。なおアクシスは2026年4月1日付で大石産業に吸収合併され消滅しています。

大石産業は王子ホールディングスの子会社ですか?

子会社ではありません。第80期有価証券報告書「大株主の状況」によると、王子ホールディングスは持株比率9.61%の筆頭株主です。中越パルプ工業も1.31%を保有しています。大石産業に親会社は存在せず、持分法適用の親会社にも該当しないため、経営は独立して行われています。

転勤はありますか?

生産拠点が福岡県(北九州市・直方市・鞍手郡)、茨城県北茨城市、青森県上北郡、およびマレーシアに分かれているため、職種によっては拠点間の異動可能性があります(推定情報)。主要拠点の多くが福岡県内に集中しているため、九州で働き続けられる可能性は相対的に高いと考えられますが、採用区分ごとの転勤の有無は面接で明確に確認してください。

大石産業に上場廃止・非公開化の可能性はありますか?

上場維持基準への不適合や改善計画の開示、TOB・MBO・非公開化に関する適時開示は公表されていません。むしろ2026年5月14日開示の「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応(アップデート)」では、PBR1.0倍・ROE8%という長期目標を掲げ、上場を継続する前提の施策が示されています。自己資本比率69.7%・直近5期連続黒字という財務状況からも、経営基盤の毀損を示す材料は見当たりません。

大石産業への転職判断まとめ

ここまでの内容を、判断軸ごとに整理します。最終的な判断は、求人票だけでなく自分の経験・適性、そして内定時の労働条件通知書で確認しましょう。

判断軸評価
年収水準有報の平均年間給与586万8千円(単体372名・前期比+4.0%)。中庸な水準で、跳ねは期待しにくい
財務の安定性自己資本比率69.7%、第76〜80期すべて黒字、GC注記なし。転職リスクは低い部類
成長性パルプモウルド+6.2%・段ボール+6.9%と主力は伸長。ただし全社売上は前期比+0.0%
収益性経常利益は4期連続減益(15.28億円→9.91億円)。ROE3.8%は自社想定の資本コスト6.5%割れ
事業ポートフォリオ緩衝機能材は増益(+34.8%)、包装機能材は減益(▲32.7%)。配属セグメントで景色が変わる
働き方会社開示で有給取得率55.3%・残業12.5時間/月。工場は交替勤務前提
定着率平均勤続14.9年・平均年齢40.6歳。長く働く前提の会社
育成・キャリア研修参加率20.6%(目標70%)。体系的な育成はこれからの領域
勤務地本社・主要工場は福岡県内中心。北茨城・八戸への異動可能性あり
女性の働きやすさ女性管理職比率2.4%(単体)・男女賃金差異61.2%。改善途上で、面接での確認が必須
資本の独立性親会社なし。王子HDが9.61%の筆頭株主。社員持株会と地元金融機関が安定株主

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この記事の編集方針・情報の確認について

この記事は、公式公開情報(有価証券報告書・IR資料)、求人情報、口コミ傾向をそれぞれ分けて整理し、転職・就職判断に役立つよう編集しています。年収・平均年齢・平均勤続年数・従業員数などの中核データは第80期有価証券報告書「従業員の状況」を一次情報として参照し、口コミ・推定情報とは明確に区別しています。口コミについては投稿母数が少ない点を本文中に明記しました。記載内容は最終更新時点の公開情報にもとづきます。最新の正確な数値は各公式IRページでご確認ください。

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コロ助
コロ助
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