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岡山製紙の年収558万円と転勤なしの実態|王子HD49%出資の板紙メーカー

コロ助

※本記事にはプロモーションを含みます。

この記事の結論

  • 正体:段ボールの中芯原紙と紙管原紙で売上の約9割を稼ぐ岡山の板紙メーカー
  • 年収:有報の平均年間給与は約558万円(第184期)。交替手当込みの実額
  • 働く場所:生産拠点は本社工場1か所のみ。採用サイトは「転勤は原則なし」と明記
  • 両面:無借金・自己資本比率約78%の一方、営業利益は3期連続の減益見通し

岡山製紙株式会社(証券コード3892)は、岡山市南区浜野の本社工場を唯一の生産拠点とする従業員約200人の板紙メーカーです。全国的な知名度が高い会社ではないため、「そもそも何をつくっている会社なのか」「岡山で長く働ける勤め先なのか」が分からないまま求人票を眺めている方が多いのではないでしょうか。実際、口コミサイトの投稿件数はOpenWorkで3名、就活会議で17件と極端に少なく、ネット検索では実像がつかみにくい企業です。この記事では、第184期有価証券報告書・第185期定時株主総会招集ご通知・決算短信・公式採用サイトという一次情報を軸に、年収・働き方・資本関係・業績の4点から「地元で長く働ける会社かどうか」を判断するための材料を整理します。

岡山製紙の公式データ一覧(有価証券報告書ベース)

まず判断の土台になる数字を一覧にします。以下はすべて公式情報で、給与・従業員データは第184期(2024年6月1日〜2025年5月31日/2025年8月25日提出の有価証券報告書)、業績は第185期(2026年5月期/2026年7月14日公表の決算短信)の実額です。同社の決算期は5月なので、他社と比べるときは期ズレに注意してください。

項目内容
会社名株式会社岡山製紙(OKAYAMA PAPER INDUSTRIES CO.,LTD.)
証券コード/市場3892/東証スタンダード市場(業種:パルプ・紙)
設立1907年(明治40年)2月。2026年5月期で第185期
代表者代表取締役社長 宮田 正樹(2026年5月31日現在)
本社・工場岡山県岡山市南区浜野1丁目4番34号(生産拠点はこの1か所のみ)
平均年間給与5,576,985円=約558万円(第184期・2025年5月31日現在/賞与および基準外賃金を含む)
平均年齢43.3歳(第184期)/第185期招集ご通知では43.1歳
平均勤続年数17.5年(第184期)/第185期招集ご通知では16.0年
従業員数192人(第184期・単体)/第185期招集ご通知では204名。連結子会社を持たないため連結数値は存在しない
売上高112億21百万円(第185期・2026年5月期/前期比2.6%減)
営業利益9億40百万円(第185期/前期比8.9%減・営業利益率8.4%)
当期純利益8億21百万円(第185期/前期比2.9%増・EPS177円00銭)
財務借入金ゼロ。総資産185億18百万円・純資産144億81百万円・自己資本比率約78%(第185期末)
筆頭株主王子ホールディングス株式会社 48.84%(2026年5月31日現在・自己株式を除く議決権比率)
出典第184期有価証券報告書/第185期定時株主総会招集ご通知/第185期決算短信/公式採用サイト

注意点を1つ挙げておきます。第185期の有価証券報告書は2026年8月25日時点で未提出のため、平均年間給与・平均年齢・平均勤続年数の有報ベースの最新値は第184期が最終です。従業員数のみ、招集ご通知の事業報告に2026年5月31日現在の204名という数字が出ています。なお会社公式の「会社概要」ページは196名と表示されており、これは更新時点の差によるものと考えられます(推定情報)。

岡山製紙は何をつくっている会社か|売上の約9割は段ボールの「中芯原紙」

結論から言うと、岡山製紙は古紙を原料に紙を抄く(すく)素材メーカーであり、消費者が店頭で目にする最終製品はほとんど扱いません。ここを理解しておかないと、入社後に「思っていた仕事と違う」というギャップが生まれやすい会社です。

有価証券報告書によると、事業は次の2セグメントで構成されています。

  • 板紙事業:段ボールの波打った中間層に使う「中芯原紙」と、紙・布・フィルム・糸などを巻き取る芯に使う「紙管原紙」の製造販売。第184期の売上は101億88百万円で構成比88.4%。
  • 美粧段ボール事業:青果物・食品・家電・医薬品向けの包装箱や贈答箱の製造販売。第184期の売上は13億34百万円で構成比11.6%。

特徴的なのは、製紙工場と加工工場を同一敷地に併設した一貫生産体制を敷いている点です。自社で抄いた原紙をそのまま隣で箱に加工できるため、小ロット・短納期の要求に応えやすい構造になっています。美粧段ボール事業では日本初導入という6色インクジェットプリンター「Glory1606」を稼働させ、段ボールシートへ直接デジタル印刷する多品種小ロット・バリアブル印刷に対応しています。

働く側の視点に翻訳すると、こうなります。板紙事業は24時間体制で抄紙機を回す装置産業であり、設備を止めないこと・品質を安定させることが仕事の中心です。設備保全・生産技術・工程管理といったスキルが蓄積され、化学・食品・電機など他の装置産業の工場部門へ横移動しやすい性質を持ちます。一方の美粧段ボール事業は、印刷・加工・営業が絡む受注型のビジネスで、顧客の販促要求に応える提案力が問われます。同じ会社の中でも仕事の性質がかなり異なるため、配属先の確認は選考段階で優先度が高い項目です。

業界文脈も押さえておきましょう。日本製紙連合会の内需見通しでは、紙・板紙の国内需要は5年連続の減少で、2026年は統計開始以来初めて2,000万トンを下回る見込みです。ただし内訳を見ると、新聞・印刷用紙などのグラフィック用紙が前年比6.8%減と大きく落ちるのに対し、段ボール原紙を含むパッケージング用紙は同1.0%減と相対的に底堅い。岡山製紙は売上の約9割が段ボール向けの中芯原紙ですから、製紙業界の中では需要が崩れにくい側に立っているという読み方ができます(推定情報)。

王子ホールディングスが議決権48.84%|「親会社ではない筆頭株主」の読み方

岡山製紙を語るうえで避けて通れないのが資本関係です。王子ホールディングス株式会社が議決権の48.84%(2,268千株/自己株式を除く)を保有する筆頭株主で、有価証券報告書上は「その他の関係会社」として記載されています。ここは誤解が生まれやすいので、事実だけを整理します。

  • 王子HDは親会社ではなく「その他の関係会社」。岡山製紙は王子HDの連結子会社ではありません。
  • 岡山製紙自身も連結子会社・関連会社を持たず、第185期事業報告に「重要な親会社及び子会社の状況=該当事項なし」と記載されています。決算も非連結(単体)です。
  • したがって連結と単体の乖離が存在しません。有報の平均年間給与も従業員数も、そのまま岡山市南区の現場の数字です。
  • 販売面では、王子HDの100%子会社である森紙販売・佐賀板紙・王子コンテナーとの製品販売取引があります。
  • 同社は東証へ毎年『支配株主等に関する事項について』を開示しています(直近は2025年8月28日)。

持株会社傘下の事業会社だと、有報の平均給与が持株会社の社員(本社機能・管理系中心)の数字になり、現場の実態と乖離することがよくあります。岡山製紙にはその問題がありません。公式情報として出ている約558万円は、交替勤務の製造職を含む従業員192人の平均です。求人票と有報を突き合わせて考えられるという点は、この会社を検討するうえで大きな利点です。

もう1つ、資本の変遷も知っておくと会社の性格が見えます。岡山製紙は1994年から2001年にかけて林原グループの子会社であり、2009年11月に王子製紙(現・王子HD)へ株式が移りました。岡山を代表する企業グループから業界最大手グループへ、という地元色の濃い経緯をたどっています。

気になる方が多いであろう資本再編の可能性については、事実だけを書きます。2026年8月25日時点で、王子HDによる完全子会社化・TOB・MBO・上場廃止に関する適時開示は見当たりません。一方で、王子HDの48.84%に自己株式855,076株(発行済株式総数5,500,000株の15.5%)を加えると浮動株は薄く、流通株式比率が構造的に低い状態にあります。上場維持基準の不適合や適合計画の開示も見当たらず、東証の適合状況一覧での該当も見当たりませんでした。ただし「問題なし」と断定できる材料もないため、推定情報としては「議決権49%弱を握る株主がいる構造上、将来的な資本再編の可能性は制度上排除できない」という一般論にとどめるのが正確です。具体的な動きの報道や開示は存在しません。

岡山製紙の年収は約558万円|有報の実額と、平均額の中身

年収を知りたい方が最初に見るべきなのは、二次アグリゲータの推定値ではなく有価証券報告書の実額です。有価証券報告書によると、岡山製紙の平均年間給与は5,576,985円(第184期・2025年5月31日現在)。注記により賞与および基準外賃金を含む金額です。従業員192人・平均年齢43.3歳・平均勤続17.5年という母集団の平均であることを、必ずセットで押さえてください。

平均年間給与の推移と、伸び幅の実際

2期分の実額を並べると、次のようになります。

期基準日平均年間給与平均年齢平均勤続年数従業員数
第183期2024年5月31日5,513,580円43.0歳17.3年196人
第184期2025年5月31日5,576,985円43.3歳17.5年192人
差分—+63,405円(+1.2%)+0.3歳+0.2年▲4人

1年で+1.2%。近年の物価上昇局面と比べると穏やかな伸びです。この間、営業利益は第183期の16億81百万円から第184期の10億32百万円へ38.6%減少していますから、利益が大きく落ちた期でも給与水準は下げずに微増を維持したという読み方ができます(推定情報)。裏を返せば、業績が伸びた期に大きく跳ねるタイプの賃金設計ではない可能性も示唆されます。

なお第185期の有価証券報告書は2026年8月25日時点で未提出のため、有報ベースの平均年間給与としては第184期の5,576,985円が最新かつ最終の数値です。第185期の実額は、次回の有報提出を待つ必要があります。

初任給と3交替勤務手当|募集要項に出ている数字

公式採用サイトによると、募集は勤務形態によって条件が明確に分かれています。

  • 交替勤務職:初任給205,500円以上(交替勤務手当込み)、年間休日110日、3交替制(7:00-15:00/15:00-23:00/23:00-翌7:00)
  • 昼勤務職:初任給185,500円以上、年間休日121日、完全週休二日、8:30-17:15

この2万円の差が、交替勤務手当の目安に相当します。平均年間給与約558万円という数字は、この交替手当や深夜手当を含んだ全体平均です。従業員の6割超が交替勤務を含む製造職(第184期の設備別配置人員は板紙生産設備100人・美粧段ボール生産設備36人・全社共通他54人)であることを踏まえると、昼勤の管理・事務系で入社した場合の水準は平均値より下に位置する可能性があります(推定情報)。逆に、夜勤を含む交替勤務に抵抗がない方にとっては、平均値がそのまま現実的な目標水準になります。

口コミ傾向としては、OpenWorkに「年収360万円(基本給192万円、賞与80万円、その他3万円)」という個別の投稿が見られます。ただしこれは回答者3名という極小サンプルの1件であり、勤続年数や職位も限定的です。年収の判断軸は有報の実額に置き、口コミは個別事例として参照するのが妥当です。求人ボックス給料ナビは551万円、日本経済新聞の会社情報は558万円と表示していますが、いずれも有報の実額と大きくは離れていません。

男女の賃金差異80.4%を、会社自身がどう説明しているか

有価証券報告書は男女の賃金差異を全労働者80.4%(正規79.5%、パート・有期96.0%)と開示しています。特筆すべきは、その理由を会社自身が明記している点です。有報では「女性管理職がいないこと」「夜勤交替が発生する部署への配属が男性のみで、交替手当・深夜手当の支給があること」の2点が挙げられています。

会社公式の人的資本ページでは、管理職に占める女性労働者の割合0.0%、女性従業員比率9.7%(2023年度)という数字も開示されています。一方で、男性育児休業取得率は第183期の0.0%から第184期は100.0%へ変化しました。構造としては男性中心の製造現場でありながら、制度面では動き始めているという現在地です(推定情報)。女性が総合職として長期キャリアを描けるかを重視する方は、選考時に具体的な配属先と将来の職域拡大方針を確認する価値があります。

転勤は原則なし|生産拠点が岡山市南区の1か所しかないという意味

この会社を検討する方にとって、おそらく最も価値のある事実がここです。公式採用サイトによると、勤務地は「岡山県岡山市南区浜野1-4-34(本社・工場)」で、「転勤は原則ありません」と明記されています。

これは採用広報上のリップサービスではなく、事業構造から裏付けられます。第184期有価証券報告書の「主要な設備の状況」に記載されている事業所は本社(岡山市南区)のみ。ほかにあるのは大阪加工営業所(大阪市淀川区三津屋中/2024年7月に淀川区野中南から移転)だけで、生産拠点は本社工場1か所に集約されています。工場が1つしかない以上、製造職に全国転勤が発生する余地が構造的にありません。

製紙業界の共通の悩みとして、大規模工場が地方に点在するため生産系職種では転勤の可能性が付きまとう、という点がよく挙げられます。上場企業でこの悩みが最初から存在しない会社は多くありません。「岡山を離れたくない」「持ち家がある」「配偶者の仕事や親の介護で動けない」といった制約がある方にとって、この一点だけで検討する価値がある企業だと言えます。

3交替(4勤1休)と昼勤で、年間休日が110日/121日に分かれる

ただし、転勤がないことと働きやすいことはイコールではありません。年間休日の差が実態を物語ります。

項目交替勤務職昼勤務職
勤務時間7:00-15:00/15:00-23:00/23:00-翌7:00の3交替8:30-17:15
休日形態4勤1休のシフト制完全週休二日
年間休日110日121日
初任給205,500円以上(交替勤務手当込み)185,500円以上

年間休日で11日、初任給で2万円の差があります。24時間止められない抄紙機を回す以上、この構造は避けられません。夜勤を含む生活リズムを何十年も続けられるかどうかが、この会社で長く働けるかを分ける最大の分岐点になります。

働き方の実態を示す数字も見ておきましょう。口コミ傾向としてOpenWorkでは月間残業4.7時間・有給消化率61.1%という数値が出ています(回答者3名)。残業の少なさは肯定的な声としてほぼ一致しており、「定時で帰れる」「残業が少ない」は複数サイトで共通する評価です。会社公式の開示では労災度数率2.7人/100万時間(2023年度)、死亡・重篤災害0件。健康経営優良法人(中小規模法人部門)の認定も2023年3月に受けて維持しています。

労働組合はなく、労使関係は「円満」と有報に記載

有価証券報告書には「労働組合は結成されていない」と明記され、あわせて「労使関係は円満に推移している」と記載されています。これは良し悪しではなく、事実として押さえるべき構造です。

労働組合がない場合、賃上げ・労働条件の改定は会社側の判断と個別交渉に委ねられます。前述のとおり平均年間給与の伸びは第183期→第184期で+1.2%と穏やかでした。集団交渉による処遇改善を期待する方には物足りない可能性がある一方、組合活動の負担がない働き方を望む方には合うという、評価が分かれる論点です(推定情報)。

岡山製紙の評判・口コミ|まず「件数が極端に少ない」ことを知っておく

この会社の口コミを読むときは、前提の共有から始める必要があります。投稿件数が全サイトで極端に少なく、統計的な傾向として語れる水準にありません。

  • OpenWork:総合評価2.89点/回答者わずか3名。回答者は全員が製造部門の男性・新卒入社中心。
  • エン カイシャの評判:総合3.2点/正社員8名の回答・口コミ28件。
  • 就活会議:口コミ17件。
  • 転職会議:退職理由の投稿は全3件と少数。

OpenWorkの項目別スコアは、法令順守意識3.1が最高、人材の長期育成2.7が最低、待遇面2.8・社員の士気2.8です。ただし3名の平均値ですから、1人の評価が0.3点動けば全体が変わります。この数字を「岡山製紙の評価」として受け取るのは適切ではありません。むしろ、有報や採用サイトで開示されている客観的な数値(平均勤続17.5年、労災度数率2.7、男性育休取得率100.0%、年間休日110日/121日)のほうが判断材料として信頼できます。

肯定側の声と否定側の声を、両方並べる

口コミ傾向として繰り返し出てくるテーマを整理すると、評価の分かれ方に一貫性があります。

肯定的な投稿に多いテーマ否定的な投稿に多いテーマ
売上がほぼ横ばいで安定している待遇・給与への不満
残業が少なく、定時で帰りやすい人材の長期育成が弱い
地元・岡山で長く働ける今後売上が増える見込みが薄いと感じる
海外輸出に伸びしろがあると感じる若手人員が不足している

「安定・低残業・地元密着」と「成長性と処遇への物足りなさ」が同居する、地方素材メーカーの典型的な評価パターンです。両者は矛盾しません。市場が緩やかに縮小する業界で、無借金・高自己資本比率を保ちながら堅実に回している会社は、爆発的な昇給や事業拡大の実感を得にくい構造にあります。どちらを重く見るかで、この会社の評価は正反対になります。

なお「人材の長期育成2.7」が最低スコアだった点と、直近1年で従業員が192人→204人へ12名純増し平均勤続年数が17.5年→16.0年へ下がった事実は、あわせて読む価値があります。採用を増やしている局面で育成体制がどこまで整備されているかは、面接で具体的に確認したい論点です(推定情報)。

業績は3期連続の減益見通し、財務は無借金|将来性を両面で見る

将来性の評価は、売上・利益・財務を分けて見ないと誤ります。結論を先に言うと、財務は極めて堅く、利益トレンドは下向きです。

期(決算期は5月)売上高営業利益営業利益率
第181期(2022年5月期)100億84百万円6億88百万円約6.8%
第182期(2023年5月期)108億70百万円6億13百万円約5.6%
第183期(2024年5月期)115億11百万円16億81百万円約14.6%
第184期(2025年5月期)115億22百万円10億32百万円約9.0%
第185期(2026年5月期)112億21百万円9億40百万円8.4%
第186期(2027年5月期・会社予想)117億00百万円7億50百万円約6.4%

読み取れることを整理します。

  • 売上は5期で100.8億円→112.2億円へ増えたものの、直近の第185期は前期比2.6%減。会社予想では第186期に117億円(+4.3%)へ戻す計画です。
  • 営業利益は第183期の16億81百万円がピークで、第184期▲38.6%、第185期▲8.9%、第186期会社予想も7億50百万円(▲20.2%)と3期連続の減益見通し。
  • ただし直近5期はいずれも黒字で赤字期はなく、第184期有価証券報告書に継続企業の前提に関する注記の記載もありません。
  • 第185期の当期純利益は8億21百万円で前期比2.9%増(EPS177円00銭)。営業段階は減益でも、最終利益は増えています。

財務面は対照的です。第185期末の総資産185億18百万円・純資産144億81百万円・自己資本比率約78%で、借入金はゼロ。取引銀行は中国銀行・三井住友信託銀行・農林中央金庫ですが借入はありません。現金及び現金同等物は52億62百万円、2026年5月期の営業キャッシュフローは+16億61百万円。年間配当は50円で配当利回り約3.2%、PBRは約0.5倍という水準です(2026年8月下旬時点)。短期的な財務不安は極めて乏しい一方、成長投資よりも堅実運営に寄った経営という評価が妥当でしょう(推定情報)。

第184期有価証券報告書の「事業等のリスク」がわずか3項目(国内需要の減少および市況価格の下落/古紙・産業用ガスなど原燃料価格の上昇/台風・豪雨・地震等の災害)にとどまっている点も、この会社の事業構造のシンプルさを表しています。訴訟・行政処分・偶発債務に関する記載は見当たりませんでした。

美粧段ボール事業は2期連続のセグメント赤字

セグメント別に見ると、収益構造の偏りがはっきりします。第184期のセグメント利益は、板紙事業が10億77百万円の黒字に対し、美粧段ボール事業は44百万円のセグメント損失。前期の第183期も3百万円の損失で、2期連続の赤字です。

美粧段ボール事業は売上構成比11.6%と小さく、全社の利益を毀損する規模ではありません。ただし、日本初導入という6色インクジェットプリンター「Glory1606」を投入して差別化を図っている領域が、まだ利益貢献に至っていないという事実は押さえておく必要があります。「最新設備は入れたが黒字化はこれから」という現在地です。この事業の立ち上げに関わりたい人にとってはやりがいのあるフェーズであり、安定を第一に考える人にとっては注意して見るべき論点になります。

設備投資は第184期に6億50百万円(N3号抄紙機の給排気設備更新、蒸気タービン発電機更新、従業員用更衣室の建設)。中期経営計画は2024年7月12日に策定され、2025年7月14日・2026年7月24日に進捗が開示されています。

製紙・パルプ業界9社と比べた岡山製紙の位置

同じ「パルプ・紙」業種でも、会社によって中身はまったく異なります。規模と収益性を並べると、岡山製紙の立ち位置がはっきりします。決算期が各社異なる点に注意してください(岡山製紙のみ5月期、他社は3月期)。数値は各社の直近本決算実績で、営業利益率は編集部が算出した参考値です。

企業名(コード)売上高営業利益(利益率)従業員数王子HDとの関係
王子ホールディングス(3861)1兆8,617億円345.8億円(1.9%)連結38,757名—
日本製紙(3863)1兆1,926億円252億円(2.1%)連結15,042名—
大王製紙(3880)6,668億円240.3億円(3.6%)連結11,639名—
北越コーポレーション(3865)2,877億円75.4億円(2.6%)連結3,728名—
三菱製紙(3864)1,574.6億円2.6億円(0.2%)連結2,513名王子HDの持分法適用会社(32.90%保有)
中越パルプ工業(3877)1,104億円27.4億円(2.5%)連結1,273名王子HDの持分法適用会社(21.91%保有・筆頭株主)
特種東海製紙(3708)954億円43.0億円(4.5%)連結1,873名—
ニッポン高度紙工業(3891)186億円35.3億円(19.0%)連結462名最大顧客が王子エフテックス
岡山製紙(3892・2026年5月期)112億円9.4億円(8.4%)192名(非連結)王子HDが48.84%保有

この表から言えることは3つあります。

  • 規模は9社中で最小。売上112億円は王子HDの約166分の1で、従業員も約200人。組織の階層が浅く、一人が担当する範囲が広くなる可能性が高い環境です。
  • 営業利益率8.4%は9社中2位。1位のニッポン高度紙工業(19.0%)には及びませんが、大手4社が1.9〜3.6%で並ぶ中では明確に上位です。中芯原紙という需要が底堅い品種に集中し、拠点を1か所に絞っていることが効いていると考えられます(推定情報)。
  • 王子HDとの資本・取引関係が業界を横断している。三菱製紙32.90%、中越パルプ工業21.91%、岡山製紙48.84%と、王子HDは複数社の株式を保有しています。その中でも岡山製紙の48.84%は突出して高い比率です。

転職判断への翻訳としては、こうなります。「大手製紙の一員として大規模設備と全国転勤の中でキャリアを積む」のか、「岡山に腰を据えて小規模だが収益性の高い会社で長く働く」のか。この選択の軸を明確にできれば、岡山製紙が自分の選択肢に入るかどうかは自ずと決まります。

岡山製紙への転職が向いている人・向いていない人

ここまでの公式情報・口コミ傾向をふまえ、適性を整理します(推定情報を含みます)。

向いている人向いていない人
岡山を離れずに働き続けたい人(生産拠点1か所・転勤原則なし)全国・海外を含む広いフィールドでキャリアを広げたい人
夜勤を含む3交替の生活リズムを長期間続けられる人生活リズムの固定を重視し、夜勤を避けたい人
設備を止めない・品質を安定させるという地道な仕事に価値を感じる人新規事業立ち上げや急成長のダイナミズムを求める人
無借金・自己資本比率約78%という財務の堅さを安心材料と考える人業績連動で大きく処遇が伸びる仕組みを期待する人
残業が少なく、家庭や地域との両立を優先したい人体系的な研修・育成プログラムの充実を最優先する人
装置産業の工程知識を積み、他業界の工場部門への横移動も視野に入れたい人BtoCの商品企画・ブランドマーケティングに携わりたい人

キャリアの出口についても触れておきます。製紙・パルプ業界では、工場の製造・設備保全・生産技術からライン責任者・工場マネジメントへ進み、社外では化学・食品・電機など他の装置産業の工場・プラント部門やエンジニアリング企業へ移るルートが一般的です。岡山製紙は生産拠点が1か所であるぶん、抄紙工程から加工までを同一敷地で一通り見られる可能性があり、工程全体を語れる人材になりやすいという見方もできます(推定情報)。一方で、複数工場の比較や大規模プロジェクトの経験は積みにくい構造です。

岡山製紙に関するよくある質問(FAQ)

岡山製紙への転職・就職を検討する人からよくある質問と回答をまとめました。

岡山製紙の年収はいくらですか?

公式情報として、有価証券報告書によると平均年間給与は5,576,985円=約558万円です(第184期・2025年5月31日現在/賞与および基準外賃金を含む)。前期の第183期は5,513,580円で、+1.2%の伸びでした。従業員192人・平均年齢43.3歳・平均勤続17.5年の平均値であり、従業員の6割超を占める交替勤務の製造職の交替手当・深夜手当を含んだ金額です。第185期の有価証券報告書は2026年8月25日時点で未提出のため、有報ベースではこの数値が最新です。

岡山製紙に転勤はありますか?

公式採用サイトによると、勤務地は岡山県岡山市南区浜野1-4-34(本社・工場)で「転勤は原則ありません」と明記されています。有価証券報告書の「主要な設備の状況」に載る事業所も本社のみで、生産拠点はこの1か所に集約されています。ほかにあるのは大阪加工営業所(大阪市淀川区)のみです。

岡山製紙は王子製紙の子会社ですか?

子会社ではありません。王子ホールディングスは議決権の48.84%を保有する筆頭株主ですが、有価証券報告書上の位置づけは「その他の関係会社」です。岡山製紙自身も連結子会社・関連会社を持たず、第185期事業報告に「重要な親会社及び子会社の状況=該当事項なし」と記載され、決算も非連結(単体)で行われています。販売面では王子HDの子会社である森紙販売・佐賀板紙・王子コンテナーとの取引があります。

岡山製紙の勤務形態と年間休日は?

公式採用サイトの募集要項によると、交替勤務職は3交替(7:00-15:00/15:00-23:00/23:00-翌7:00)の4勤1休で年間休日110日、昼勤務職は8:30-17:15の完全週休二日で年間休日121日です。初任給は交替勤務職が205,500円以上(交替勤務手当込み)、昼勤務職が185,500円以上と公開されています。

岡山製紙の業績や将来性はどうですか?

公式情報として、第185期(2026年5月期)の売上高は112億21百万円(前期比2.6%減)、営業利益9億40百万円(同8.9%減)、当期純利益8億21百万円(同2.9%増)です。営業利益は第184期▲38.6%、第185期▲8.9%、第186期会社予想も▲20.2%と3期連続の減益見通しですが、直近5期はいずれも黒字で赤字期はありません。財務は借入金ゼロ・自己資本比率約78%です。国内の紙・板紙需要は5年連続で減少していますが、同社の主力である段ボール原紙などパッケージング用紙はグラフィック用紙に比べて減少幅が小さい分野です。

岡山製紙に労働組合はありますか?

有価証券報告書には「労働組合は結成されていない」と明記されており、あわせて「労使関係は円満に推移している」と記載されています。処遇改定は会社側の判断と個別交渉によることになるため、賃上げの考え方や評価制度については選考段階で確認しておくとよいでしょう。

岡山製紙の口コミが少ないのはなぜですか?

従業員約200人規模で全国的な知名度が高くないこと、離職が少なく投稿母数が生まれにくいことが背景として考えられます(推定情報)。OpenWorkは回答者3名、就活会議は17件、エン カイシャの評判は正社員8名の回答にとどまります。口コミ傾向を統計的に語れる水準ではないため、有価証券報告書・招集ご通知・採用サイトの募集要項といった一次情報を判断の主軸に据えることをおすすめします。

岡山製紙への転職判断まとめ

ここまでの内容を、判断軸ごとに整理します。最終的な判断は、求人票だけでなく自分の経験・適性も含めて確認しましょう。

判断軸評価
年収水準有報実額で約558万円(第184期)。従業員200人規模の地方メーカーとしては相応の水準だが、伸び幅は+1.2%と穏やか
勤務地の安定性生産拠点1か所・転勤原則なし。上場企業としては希少な条件で、この記事で最も強い判断材料
働き方交替勤務職は年間休日110日・3交替、昼勤務職は121日・完全週休二日。残業は少ないという声が共通
定着性平均勤続17.5年(第184期)。ただし採用増で第185期は16.0年へ低下
業績トレンド3期連続の減益見通し。売上は第186期に117億円へ回復する会社予想
財務の安全性借入金ゼロ・自己資本比率約78%・現金52億62百万円。GC注記の記載なし
事業の偏り板紙事業が売上の88.4%。美粧段ボール事業は2期連続のセグメント赤字
資本構造王子HDが48.84%。TOB・完全子会社化・上場廃止の適時開示は2026年8月25日時点で見当たらない
情報の透明性有報・招集ご通知・採用サイトの開示は充実。一方で口コミは全サイト合計でも数十件規模
育成・キャリア口コミでは「人材の長期育成」が最低スコア。採用増局面の育成体制は面接での確認事項

編集部の見解として総合すると、岡山製紙は「岡山で、転勤なく、長く働く」という条件を最優先する人にとって合理性の高い選択肢と考えられます。無借金・自己資本比率約78%という財務、平均勤続17.5年という定着性、月間残業4.7時間という働き方は、その条件を支える裏付けになります。一方で、営業利益が3期連続の減益見通しであること、労働組合がなく賃上げが会社判断に委ねられること、口コミで「人材の長期育成」が最低評価だったことは、成長とキャリア開発を重視する人には物足りない可能性があります。年収の絶対額よりも「働く場所を動かさずに済むこと」に価値を置けるかどうかが、この会社を選ぶかどうかの分水嶺です。

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本記事の出典・参考情報

本記事で参照した一次情報・口コミ情報の出典は以下の通りです。最新の正確な数値は各リンク先で確認してください。

公式情報源

数値の主たる根拠は、第184期有価証券報告書(2025年8月25日提出/EDINETコード E00687)の「従業員の状況」「事業の内容」「関係会社の状況」「大株主の状況」「主要な設備の状況」「事業等のリスク」、第183期有価証券報告書(2024年8月28日提出)、第185期定時株主総会招集ご通知(2026年5月31日現在)、第185期決算短信(2026年7月14日公表)、および公式採用サイトの募集要項です。

口コミ・評判の参照元

免責事項:本記事の数値・評価は公式情報・口コミ集計・市場推定の3分類で示しており、口コミ傾向や推定情報は断定ではなく傾向・可能性として表現しています。最終判断は読者自身で公式IRおよび内定時の労働条件通知書で確認してください。

この記事の編集方針・情報の確認について

この記事は、公式公開情報(有価証券報告書・IR資料)、求人情報、口コミ傾向をそれぞれ分けて整理し、転職・就職判断に役立つよう編集しています。年収・平均年齢・従業員数などの中核データは有価証券報告書「従業員の状況」を一次情報として確認し、口コミ・推定情報とは明確に区別しています。とくに本記事の対象企業は口コミ投稿数が全サイト合計でも数十件規模と少ないため、口コミの数値をもって企業評価を断定しない方針を採っています。記載内容は最終更新時点の公開情報にもとづきます。最新の正確な数値は各公式IRページでご確認ください。

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コロ助
コロ助
企業と転職サービスを、有価証券報告書などの一次情報から読んでいます。
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