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ヤマシタヘルスケアホールディングスの年収・評判|有報が示す事業会社570万円の実額

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※本記事にはプロモーションを含みます。

この記事の結論

  • 正体:証券コード9265、九州地盤の医療機器卸の持株会社です
  • 年収の実額:事業会社は約570万円、持株会社は約640万円と二重構造です
  • 稼ぐ力:売上641億円に対し営業利益率1.1%で中計目標1.3%に未達です
  • 定着:事業会社の平均勤続14.1年と長く、不満は待遇と育成に集中しています

「ヤマシタヘルスケアホールディングス」で検索してこのページにたどり着いた方の多くは、まずこの会社が何をしている会社なのかが分からないという状態ではないでしょうか。社名に「ヘルスケア」とあるだけで、病院なのか、メーカーなのか、介護なのかが見えません。さらに「ヤマシタ」は姓に由来する社名のため、福祉用具レンタルの株式会社ヤマシタなど、まったく別の法人と混同されやすいという事情もあります。この記事では証券コード9265のヤマシタヘルスケアホールディングス株式会社に対象を限定し、第9期(2026年5月期)有価証券報告書という一次情報を軸に、事業の正体・年収の実額・業績構造・働き方の傾向を順に整理します。とくに年収については、持株会社の数字と事業会社の数字が同じ有報の中で二重に開示されているという特殊な状況があり、既存の年収まとめ記事の多くが持株会社側の数字だけを引用しています。この点を最初に正しておくことが、この会社を転職先として評価するうえで最も実利のある作業になります。

ヤマシタヘルスケアホールディングス(9265)の公式データ一覧

まず判断の土台になる数値を先に置きます。以下はすべて公式情報として、第9期(2025年6月1日〜2026年5月31日/2026年5月期)の有価証券報告書に記載された実額です。同社は決算期が5月末である点に注意してください。3月期決算の企業と比較する際は、参照している期がずれます。

項目内容
商号ヤマシタヘルスケアホールディングス株式会社(YAMASHITA HEALTH CARE HOLDINGS,INC.)
証券コード/市場9265/東京証券取引所スタンダード市場
設立2017年12月1日(山下医科器械株式会社の単独株式移転により設立)
本店所在地福岡市博多区下川端町2番1号(2020年7月に本店移転)
中核事業会社の本社山下医科器械株式会社/長崎県佐世保市(1926年創業)
決算期5月期(第9期=2025年6月1日〜2026年5月31日)
平均年間給与(提出会社)6,408,182円(前事業年度比△4.4%/対象31名)
平均年間給与(最大人員会社・山下医科器械)5,704,852円(前事業年度比△2.3%/対象524名)
平均年齢提出会社46.0歳/山下医科器械42.0歳
平均勤続年数提出会社12.1年(山下医科器械での勤続を通算)/山下医科器械14.1年
従業員数連結617名(外、臨時従業員の年間平均雇用人員244名)/提出会社単体31名
売上高連結641億49百万円(前期比0.5%減)
営業利益連結7億37百万円(前期比12.1%減/売上高営業利益率1.1%)
経常利益/当期純利益経常8億77百万円(△3.5%)/親会社株主に帰属する当期純利益6億48百万円(+5.1%)
自己資本比率34.6%(前期32.6%)
連結子会社8社
監査法人有限責任監査法人トーマツ
出典第9期(2026年5月期)有価証券報告書(2026年8月25日提出)/公式IR資料

離職率・職種別年収・年間休日といった項目は、有価証券報告書では開示されていません。これらは選考過程や労働条件通知書で個別に確認する必要があります。

そもそも何の会社か|医療機器卸(ディーラー)という業態の中身

結論から言うと、ヤマシタヘルスケアホールディングスは医療機器のメーカーと医療機関の間に立つ卸=医療機器ディーラーの持株会社です。自社で医療機器を大量生産しているわけでも、病院を経営しているわけでもありません。持株会社自身はグループ会社の経営管理だけを行い、実際の商売は連結子会社8社が担っています。公式情報として、連結売上の99%超を占めるのが「医療機器販売業」セグメントで、金額は642億1百万円(前期比△0.4%)です。

読者にとって重要なのは、「医療機器卸の営業」が具体的に何を売り、誰と話す仕事なのかという点でしょう。同社の医療機器販売業は有報上、次の5分野で構成されています。この分野の名前がそのまま、入社後に担当する商材の種類になります。

  • 一般機器:CT・MRI・超音波診断装置、手術室ユニット、電気メスなどの設備・装置
  • 一般消耗品:汎用消耗品・手術関連消耗品、および院内物品管理(SPD)。佐賀県鳥栖市と福岡市にSPDセンター2拠点
  • 低侵襲治療:オリンパス社製電子内視鏡の特約店として、サージカル・IVE・IVR・循環器領域を担当
  • 専門分野:整形、理化学、眼科、皮膚形成・再生医療、透析
  • 情報・サービス:電子カルテ、医療ガス配管工事、機器メンテナンス、医療廃棄物収集運搬、開業支援、M&A・事業承継コンサルティング

このほかに、整形外科用インプラント等を手がける「医療機器製造・販売業」(売上2億10百万円)と、賃料収入が中心の「医療モール事業」(売上74百万円)があります。売上規模で見ればこの2つは全体の0.5%にも届かず、事業の実体はほぼ卸業一本と理解して差し支えありません。

「装置は売れないが消耗品は伸びる」という第9期の実像

第9期の分野別売上を並べると、医療機器卸という業態の性格がはっきり出ます。公式情報として、内部売上を含む分野別の数値は次のとおりです。

分野売上高(第9期)前期比
一般消耗品265億86百万円+2.9%
低侵襲治療148億85百万円+1.1%
専門分野131億32百万円+2.9%
一般機器78億59百万円△16.5%
情報・サービス17億36百万円△1.6%

4分野のうち3分野が増収であるにもかかわらず全社が減収になったのは、一般機器が△16.5%と急減したためです。有報は減収要因として放射線機器・画像診断機器等の設備投資需要減を挙げています。一方で消耗品はSPD契約施設の増加、低侵襲治療は検査・手術件数の増加で伸びています。

これは同社固有の事情というより、業界共通の構造です。医療機器卸の顧客である病院は、収入が公定価格である診療報酬で決まるため、物価や人件費が上がっても自力で値上げができません。日本病院会などの調査では2024年度に医業赤字の病院が7割を超えたとされ、赤字病院の割合は過去20年で最も高い水準にあると報じられています。推定情報として、こうした環境では数千万円単位のCT・MRIといった高額機器の商談が先送りされる一方、日々消費される手術関連消耗品や内視鏡関連の需要は患者数に連動して安定的に発生する、という非対称が生まれやすいと考えられます。第9期の分野別実績はその典型例です。

転職検討者にとっての実利的な意味は明確です。同じ「営業職」でも、担当分野によって数字の作りやすさと仕事の性質がまったく違うということです。一般機器の担当は数年に一度の大型更新案件を追う仕事になり、消耗品・SPDの担当は契約施設あたりの取引を積み上げる仕事になります。面接では「どの分野の担当を想定しているか」を必ず確認しておきたいところです。

SPDと物流の自動化|「卸=人力」というイメージとの差

同社は自社開発のWeb版物品管理システムを使い、SPD(院内物品管理アウトソーシング)を展開しています。SPDとは、病院内の消耗品の在庫管理・各部署への供給・期限切れ削減までを外部が請け負う仕組みで、業界では売り切り型の販売から脱してストック型の収益を積む主要な差別化軸になっています。同社は佐賀県鳥栖市と福岡市に専用のSPDセンターを構え、物流センターには自動倉庫・搬送ロボット・WMS(倉庫管理システム)を導入して自動化を進めていると公式に説明しています。

推定情報ですが、SPDの受託は地域内に拠点と人員を持てるかどうかが競争条件になるため、拠点投資を先に済ませている事業者は後発に対して優位に立ちやすいと考えられます。キャリアの観点でも、物流設計・在庫管理・センター運営の経験は3PLやSCM領域に持ち出しやすい汎用スキルで、営業以外の職域を社内に持っている点は選択肢の広さにつながります。

年収は640万円か570万円か|有報に二つの数字がある理由

ここが本記事の中心です。結論を先に言うと、現場の実態に近いのは山下医科器械の5,704,852円(524名の平均)であり、6,408,182円は持株会社の管理部門31名だけの平均です。この違いを知らずに応募すると、期待値が70万円分ずれたまま面接に臨むことになります。

1. 公式の平均年間給与|提出会社と最大人員会社の二層

公式情報として、第9期有価証券報告書「従業員の状況」には次の2つの平均年間給与が記載されています。いずれも賞与・基準外賃金を含む金額です。

区分平均年間給与対象人数前期比
提出会社(持株会社)6,408,182円31名△4.4%
最大人員会社・山下医科器械株式会社5,704,852円524名△2.3%

提出会社の31名は、有報の記載上全員が総務・経理等の管理部門に所属し、しかも山下医科器械からの出向者を含みます。営業も、SPDセンターの運営も、機器メンテナンスも、この31名には含まれていません。連結従業員617名に対する比率はわずか5%です。つまり6,408,182円は、グループ全体の給与水準を代表する数字ではありません。

ここで押さえておきたいのが開示の経緯です。第8期(2025年5月期)の有報には「最大人員会社の状況」という欄そのものが存在せず、提出会社31名分の6,703,885円しか開示されていませんでした。第9期から事業会社の実額が初めて数値開示されたため、既存の年収まとめサイトや過去記事の多くが引用してきた「約670万円」という数字は、持株会社の管理部門31名の前期の値ということになります。求人検索の過程でこの数字を見た方は、ここで一度上書きしてください。

持株会社を挟む企業では、事業会社の給与が開示されず提出会社の数字しか取れないケースが少なくありません。その意味で、同社の第9期の開示は読者にとって精度の高い判断材料が揃った状態だと言えます。

2. 平均年齢・平均勤続年数から読める人員構成

公式情報として、平均年齢は提出会社46.0歳・山下医科器械42.0歳、平均勤続年数は提出会社12.1年(山下医科器械での勤続を通算した数値)・山下医科器械14.1年です。前期の提出会社は45.0歳・13.0年でした。

注目すべきは事業会社の平均勤続14.1年です。平均年齢42.0歳で勤続14.1年ということは、平均的な社員が28歳前後で入社し、そのまま働き続けている計算になります。新卒中心の採用で、離職が大量に発生していれば平均勤続はここまで伸びません。推定情報として、定着率は業界水準に照らして高い部類に入ると考えられます。

その一方で、勤続が長いこと自体は「年功的な賃金カーブ」と表裏になりやすい構造でもあります。同じ有報の中で、平均年齢42.0歳・勤続14.1年の集団の平均が570万円である点を、キャリアの途中で入社する立場からどう評価するかが判断の分かれ目になります。

3. 口コミ上の年収傾向と、有報との乖離をどう解釈するか

口コミ傾向としては、有報の実額より低い数値が並びます。OpenWorkでは回答者32名の平均年収が約460万円、エン カイシャの評判では平均396万円(回答者の平均年齢31歳)と掲載されています。有報の570万円と比べると110万〜170万円の差があります。

この乖離は「どちらかが間違っている」という話ではなく、母集団と定義の違いによるものと考えるのが妥当です。推定情報として、次の3点が主な要因と考えられます。

  • 年齢構成の違い:エンの回答者の平均年齢は31歳で、有報の42.0歳より11歳若い。年功色のある賃金カーブでは、この差だけで100万円前後の開きが生じ得る
  • 集計対象の違い:有報の平均年間給与は賞与・基準外賃金を含む全社員の平均。口コミサイトは投稿者の自己申告で、管理職層の投稿が相対的に少ない傾向がある
  • 投稿タイミングの違い:口コミは過去数年分が累積するため、直近の処遇改善が反映されにくい

読み方としては、20代〜30代前半で入社した場合の体感値が400万〜460万円前後、勤続を重ねた全社平均が570万円という二段構えで捉えるのが現実的です(推定情報)。

直近は提出会社△4.4%・事業会社△2.3%と、いずれも前期割れである点も押さえておきましょう。公式情報として、第9期の平均年間給与は提出会社が前事業年度比△4.4%、山下医科器械が△2.3%と、いずれも前期を下回っています。平均年間給与は賞与・基準外賃金を含む数値のため、推定情報として賞与部分の変動が影響している可能性がありますが、減少の内訳は有価証券報告書に記載がなく、その理由まで特定することはできません。

ただし同じ有報の中で、営業利益の減益要因として「人材確保・育成を目的とした処遇改善と定期昇給の継続」が明記されている点は見逃せません。会社としては人件費を増やす方向に動いており、平均額の低下は必ずしも一人ひとりの賃下げを意味しません。母集団の入れ替わり(新卒採用の継続や定年退職)でも平均は動きます。面接では「基本給の改定実績」と「賞与の支給月数の推移」を分けて確認するのが、平均額を追うより実利のある質問になります。

求職者
求職者

求人票の年収レンジと有報の570万円、どちらを信じればいいですか?

どちらも正しい数字ですが、意味が違います。有報の570万円は在籍している524名の実績平均で、勤続14.1年の層まで含みます。求人票のレンジは入社時のオファー水準です。中途入社の初年度年収は、年齢・経験に応じて求人票のレンジ内に収まるのが通常で、570万円は「長く勤めた場合に到達し得る水準の目安」として読むのが適切です(推定情報)。

売上641億円・営業利益率1.1%をどう読むか

転職先として評価するうえで、給与原資がどこから出ているかを見ておく価値があります。結論から言えば、同社は売上規模は大きいが利益率が極めて薄いという、卸業に典型的な財務構造を持っています。

5期の売上推移と、第9期の減収

公式情報として、連結売上高の推移は次のとおりです(いずれも5月期)。

決算期連結売上高
2022年5月期551億45百万円
2023年5月期581億95百万円
2024年5月期615億55百万円
2025年5月期644億86百万円
2026年5月期(第9期)641億49百万円

4期連続で増収を続けた後、第9期が5期ぶりの減収(△0.5%)となりました。ただし減少幅は3億円台で、原因も前述のとおり一般機器分野の設備投資需要減に集中しています。事業全体が縮小しているわけではなく、消耗品・低侵襲治療・専門分野の3分野は増収を維持しています。

営業利益率1.1%と、中期経営計画目標1.3%の未達

より重い論点はこちらです。公式情報として、第9期の連結営業利益は7億37百万円(前期比△12.1%)、売上高営業利益率は1.1%でした。有価証券報告書には中期経営計画の目標1.3%に対し実績1.1%と明記されています。売上641億円という規模に対し、営業利益は7億円台にとどまるという構造です。

有報が挙げる減益要因は次の4点です。いずれも売上原価ではなく販管費の増加であり、薄利ゆえに費用増が利益を直撃する構造をよく示しています。

  • 人材確保・育成を目的とした処遇改善と定期昇給の継続
  • 譲渡制限付株式付与に伴う費用32百万円
  • セキュリティ・DX関連システム費用の増加
  • 子会社マイクロソニックの超音波画像診断装置「ブレストスキャン」の金型減価償却費増加

セグメント別の利益は、医療機器販売業が21億32百万円(△3.0%)、医療機器製造・販売業が1億85百万円のセグメント損失(前期は2億20百万円の損失)で赤字が継続、医療モール事業が7百万円(+37.1%)です。製造・販売セグメントは売上2億10百万円に対して損失1億85百万円と、規模の割に損失が大きく、連結営業利益7億37百万円に対して無視できない重さを持っています。損失幅自体は前期より縮小しており、改善方向にはあります。

もう一点、報酬制度に関する記載があります。有価証券報告書によると、取締役の業績連動報酬は連結売上高営業利益率1.3%超を条件とする設計で、当期はこの基準に達していません。経営陣の報酬と利益率目標が直接連動しており、かつ当期は基準未達だった――この事実は、会社が利益率をどれだけ重く見ているかを示す客観的な材料になります。

なお中期経営計画の最終年度(2027年5月期)の目標は、連結売上730億円・営業利益9.5億円・営業利益率1.3%以上・経常利益10億円です。第9期実績(641億円/7.37億円)からの逆算では、残り1期で売上を約89億円、営業利益を約2.1億円積み増す必要があります。推定情報として、一般機器分野の設備投資需要の戻り方次第で難度が大きく変わる目標だと考えられます。

財務の安全性と株主還元

公式情報として、自己資本比率は34.6%(前期32.6%)で、1年間で2.0ポイント改善しています。卸売業は仕入債務と売上債権が大きく膨らむため自己資本比率が低めに出やすい業種で、この水準は同業の中で著しく薄いとは言えません。継続企業の前提に関する注記も付されていません。

配当については、第9期の期末配当が1株107円で、この中に中核事業会社の創業100周年記念配当30円が含まれています。記念配当を含む水準であるため、次期以降も同額が継続するとは限らない点は読み取っておく必要があります(推定情報)。

働き方と社内評価|「辞めないが不満はある」型の口コミ構造

口コミを読むうえでの前提を一つ置きます。持株会社名「ヤマシタヘルスケアホールディングス」での口コミはほぼ存在せず、投稿は事業会社名「山下医科器械」に集まっています。ホールディングス名で検索して情報が出てこなかった方は、事業会社名で調べ直すと件数が一気に増えます。

口コミ傾向として、OpenWorkは総合評価2.97(回答53名)、エン カイシャの評判は総合3.2(口コミ321件・うち正社員41名回答)となっています。転職会議・キャリコネ・就活会議にも掲載があり、就活会議の年収・給与カテゴリだけで28件の投稿があります。件数としては傾向を語るに足る水準です。

項目別スコアに現れる明確なコントラスト

OpenWorkの項目別評価には、はっきりした濃淡があります(口コミ傾向)。

  • 高い項目:法令遵守意識 4.5(突出して高い)
  • 低い項目:人材の長期育成 2.2/待遇面の満足度 2.4
  • 労働時間:月間残業25.6時間、有給消化率59.9%

エン カイシャの評判でも同様の傾向で、「会社の成長性・将来性」3.6と「社会貢献」3.6が高く、「経営陣の手腕」2.8、「実力主義」3.0、「イノベーション・挑戦」3.0が低く出ています。退職検討理由としては「給料が安い」「毎日同じような営業業務」「支社によって雰囲気が異なる」といった声が挙がっています。

この構造は、有報の平均勤続14.1年という高い定着率と矛盾しません。推定情報として、コンプライアンスや安定性は評価される一方、処遇と育成に物足りなさを感じながらも辞めるほどではない――いわゆる「辞めないが不満はある」型の職場像が浮かびます。医療機関を顧客とする業種は薬機法をはじめ規制が厳しく、法令遵守意識のスコアが高く出るのは業態上自然な結果とも言えます。

残業月25.6時間という水準は、卸・商社系の営業職として突出して重いとは言えない範囲です。ただしこれは投稿者の自己申告値であり、部署・支店による差は反映されにくい点に留意してください。「支社によって雰囲気が異なる」という声があることからも、配属先による差が実態として存在する可能性は見ておくべきです(推定情報)。

労働組合とダイバーシティ指標

公式情報として、持株会社に労働組合はありませんが、山下医科器械にはUAゼンセン加盟の「山下医科器械ユニオン」が2008年4月19日に結成されており、2026年5月31日現在の組合員数はパートタイマーを含め868名です。有報には労使関係は円満と記載されています。連結従業員617名(臨時244名)に対して組合員868名という数字は、パートタイマーを広く含む集計であることを示しており、中堅の地域卸としては組織化が進んでいる部類です。

一方、ダイバーシティ関連の指標は課題が数字に出ています。山下医科器械の女性管理職比率は3.8%(前期2.1%)、男女の賃金差異は全労働者で42.7%、正規雇用労働者で61.8%です。男性の育児休業取得率は50.0%と改善傾向にあります。女性比率は口コミベースで23.4%、産休・育休の取得率は100%とされています(口コミ傾向)。

推定情報ですが、女性管理職比率3.8%という水準は、女性が管理職層に到達するまでのキャリアパスがまだ十分に確立していない段階にあることを示唆します。前期2.1%からは改善していますが、母数が小さいため数字の振れも大きくなります。女性が長期のキャリアを描いて入社を検討する場合は、直近の女性管理職の登用実績や、育休復帰後の職務内容を面接で具体的に確認しておくことをおすすめします。

連結従業員数の推移から見る採用の継続性

公式情報として、連結従業員数は574名(2022年5月期)→570名→606名→613名→617名(2026年5月期)と微増基調です。5期で43名増、年平均では10名前後の純増となります。セグメント別の内訳は医療機器販売業564名(臨時241名)、医療機器製造・販売業9名、医療モール事業0名、全社共通44名(臨時3名)です。

この推移から読めるのは、大量採用も大量削減もない、安定した人員運営です(推定情報)。純増が年10名前後ということは、退職者を補充したうえでの増加分であり、実際の採用人数はこれより多いと考えられます。急拡大企業のようなポジションの急増は期待しにくい反面、事業縮小に伴う人員整理のリスクも当面は読み取れません。

株主提案の否決とガバナンス上の緊張(2026年8月時点の事実)

この会社を検討するうえで、資本政策に関する動きを事実として押さえておく価値があります。ここでは評価や善悪の判断は行わず、公式に確認できる事実のみを時系列で整理します。

  • 医療法人グループ「さくら十字」系の株式会社CARPE DIEMが、2023年5月時点の5.06%から2025年10月31日時点で18.43%まで株式を買い増し、議決権の3分の1までの買増意向を表明
  • 2025年に提示された資本業務提携の提案について、会社側は「数千の医療機関と取引する中立性・公正性」を理由に拒否
  • 2026年6月、社外取締役2名の選任・増配(剰余金処分)・企業価値向上委員会設置の定款変更という3議案が株主提案される
  • 2026年8月28日開催の第9回定時株主総会で、3議案とも否決

株主構成としては、創業家系とみられる個人株主が24.44%、社員持株会が10.33%を保有しており、この2者だけで約35%に達します。社員持株会が第2位株主という構成で、2026年4月・5月には社員持株会向けの譲渡制限付株式処分も実施されています。なおCARPE DIEMについては、実質所有株式数を会社が把握していないとして、有価証券報告書の大株主表には記載されていない点に注意が必要です。

転職検討者にとっての意味は2つあります。第一に、提案が拒否された理由として会社が挙げたのが「中立性・公正性」だったという点です。医療機器卸は数千の医療機関と取引する立場にあり、特定の医療法人グループと資本関係を持つことが取引先との関係に影響し得るという論理です。これは業態の性質を理解するうえで示唆的です。第二に、資本政策の変動リスクが中期的に存在するという点です。TOBや非公開化の公表は行われていませんが、大株主が買増意向を表明している以上、株主構成が今後動く可能性はあります(推定情報)。

ただし、この緊張が日々の業務にどう影響するかは別問題です。推定情報として、営業現場の仕事内容が短期的に変わる性質のものではなく、経営体制の変化があり得るという中期的な論点として位置づけるのが妥当でしょう。なお、公正取引委員会による排除措置命令・課徴金納付命令、その他の行政処分、係属中の重要な訴訟は、公開情報の範囲では見当たりませんでした。有報の「事業等のリスク」に医療事故発生時の訴訟可能性や薬機法違反時の損害賠償請求の可能性が一般的リスクとして記載されているのみで、実際に発生した事案の記載はありません。

医療機器卸業界の中での立ち位置

国内の医療機器の末端市場はおよそ4兆円規模とされ、メーカーと医療機関の間に立つ卸・ディーラーがその商流の大半を担っています。業界上位には売上1,000億円級のグループが並び、仕入条件や物流効率で規模の経済が働く構造です。売上641億円のヤマシタヘルスケアホールディングスは、全国規模の最大手ではないが、九州エリアでは有力な広域ディーラーという位置づけになります。

以下は転職先として比較検討されやすい企業の整理です。各社の平均年収は決算期・持株会社構造・開示範囲がそれぞれ異なり単純比較が成立しないため、ここでは事業上の位置づけの違いで比較します。数値は各社の公式IRで個別に確認してください(推定情報を含みます)。

企業名(証券コード・市場)事業上の位置づけヤマシタHDと比べたときの見方
ヤマシタヘルスケアホールディングス(9265・スタンダード)九州地盤の医療機器卸の持株会社。売上641億円、SPDと低侵襲治療に強み—
メディアスホールディングス(3154・スタンダード)医療機器卸の持株会社。企業規模・上場市場が最も近い持株会社構造・事業内容ともに最も直接的な比較対象。開示の粒度も近い
シップヘルスケアホールディングス(3360・プライム)医療機器卸に加え病院トータルパック・給食など多角展開の最大手級規模と事業領域が一段広い。子会社を通じ九州でも競合する
アルフレッサホールディングス(2784・プライム)医薬品卸大手。医療機器・医療材料卸やSPD領域も強化主戦場は医薬品だがSPDで競合。全国網の規模が違う
日本ライフライン(7575・プライム)循環器領域の医療機器商社兼メーカー自社製品を持つため利益率の構造が異なる。低侵襲治療の担当者が比較しやすい

比較の観点として実利があるのは、「自社製品を持つか持たないか」という軸です。日本ライフラインのように自社製品を持つ企業は粗利率が高く、卸専業は薄利になります。ヤマシタヘルスケアホールディングスも医療機器製造・販売業を保有していますが、売上2億円台・セグメント損失1億85百万円という段階で、収益構造を変えるまでには至っていません。営業利益率1.1%という数字は、この構造の帰結として理解するのが正確です。

業界全体では、1960〜70年代創業の地域密着型ディーラーでオーナーの高齢化と事業承継が重なり、M&Aや持株会社化による再編が続いています。同社が2017年に単独株式移転で持株会社体制へ移行し、子会社8社体制を敷いているのもこの流れの中にあります。推定情報として、今後もグループ会社間の異動や統合後の業務標準化に関わる機会が生じやすい一方、所属会社の位置づけが変わる可能性も見ておくべきでしょう。

入社後に身につく経験と、その先のキャリア

「卸の営業は調整役で、専門性として説明しづらいのではないか」という懸念は、この業界を検討する人に共通するものです。実際のところ、同社の場合は分野別の専門営業体制を敷いている点が、この懸念への部分的な回答になります。

同社はオリンパスの電子内視鏡システムの特約店であり、低侵襲治療分野ではIVR・内視鏡・循環器といったカテゴリ別に専門営業スタッフを配置しています。手術室での立ち会いや使用説明を伴う商材が増えるほど、製品知識と術式理解が求められます。推定情報として、こうした領域を担当した経験は、以下のようなキャリアの選択肢につながりやすいと考えられます。

  • 社内・営業系:病院・診療所のルート営業 → 内視鏡・循環器・整形・透析等の専門分野担当 → 支店長・営業所長 → 事業会社の経営管理ポジション
  • 社内・サービス系:機器メンテナンス、医療ガス配管、電子カルテ導入支援、SPDセンター運営管理。臨床工学技士や医療情報技師などの資格を活かす道もある
  • 業界内転職:医療機器メーカーの営業やクリニカルスペシャリスト、外資系メディカルデバイス企業、大手医療機器卸グループ。特約店で扱った製品の知見はメーカー側で評価されやすい
  • 業界外転職:病院・医療法人の事務局や購買・用度部門、医療コンサルティング、医業承継M&A仲介、医療ITベンダー、3PLのヘルスケア部門

とくに診療報酬・材料価格の改定を読み解いて提案時期や在庫を組み立てられる人材は、社内でも転職市場でも評価されやすい傾向があります。2026年度改定では診療報酬本体が引き上げ、薬価・材料価格が引き下げで決着し、材料価格改定は2026年6月実施とされています。制度の動きが直接業績に響く業界であるため、この読み解き能力は他業界に持ち出しにくい代わりに、業界内では強い武器になります。

逆に、同社の事業構成から見て身につきにくいのは、自社製品の企画・開発経験や、海外市場を相手にした経験です。医療機器製造・販売業は保有しているものの規模が小さく、事業の主軸はあくまで国内・九州圏の卸です。プロダクト開発やグローバル展開の経験を積みたい場合は、メーカー側の求人と併せて検討するのが合理的です(推定情報)。

転職判断で確認すべき論点の整理

ここまでの内容を、判断軸ごとに整理します。最終的な判断は、求人票と労働条件通知書、そして自分の経験・適性を含めて確認してください。

判断軸確認できた事実と評価
年収水準事業会社の平均5,704,852円(524名・42.0歳・勤続14.1年)が実態に近い。持株会社の6,408,182円は管理部門31名の値で参照しない
年収の伸び方平均年齢42.0歳で570万円。年功的なカーブが想定され、若手期の水準は口コミベースで400万円台(推定情報)
雇用の安定連結従業員574名→617名と5期で微増。平均勤続14.1年、継続企業の前提に関する注記なし、自己資本比率34.6%
収益力営業利益率1.1%で中計目標1.3%に未達。販管費増に利益が食われやすい構造。製造・販売セグメントは損失継続
成長性消耗品・低侵襲治療・専門分野は増収。一般機器△16.5%が全社減収の主因。2027年5月期目標は売上730億円
働き方残業は口コミ傾向で月25.6時間、有給消化率59.9%。支店による差があるとの声
評価・育成口コミ傾向で人材の長期育成2.2、待遇満足度2.4、実力主義3.0と低め。法令遵守意識4.5は高い
ダイバーシティ女性管理職比率3.8%(前期2.1%)、男女賃金差異42.7%(全労働者)、男性育休取得率50.0%
資本政策大株主が18.43%を保有し議決権3分の1までの買増意向を表明。2026年8月28日に株主提案3議案が否決
キャリアの持ち出しやすさ特約店として扱う専門領域の知見、SPD・物流運営の経験は業界内外に展開しやすい

ヤマシタヘルスケアホールディングスに関するよくある質問

検索されている疑問のうち、公開情報で回答できるものに絞って回答します。

採用は持株会社と事業会社のどちらが行っていますか

実際の採用は中核事業会社である山下医科器械株式会社が行っています。持株会社であるヤマシタヘルスケアホールディングスの従業員は31名のみで、全員が総務・経理等の管理部門です。求人情報を探す際は「山下医科器械」で検索するほうが情報にたどり着きやすく、口コミも事業会社名に集まっています。中途採用の情報は事業会社の採用サイトに掲載されています。

福祉用具レンタルの「株式会社ヤマシタ」とは同じ会社ですか

まったくの別法人です。「ヤマシタ」は姓に由来する社名のため同名の企業が複数存在します。本記事が扱っているのは証券コード9265、東京証券取引所スタンダード市場に上場するヤマシタヘルスケアホールディングス株式会社で、中核事業会社は長崎県佐世保市に本社を置く山下医科器械株式会社です。求人や口コミを調べる際は、証券コードまたは事業会社名で確認してください。

配当はどうなっていますか

公式情報として、第9期(2026年5月期)の期末配当は1株あたり107円で、この中に中核事業会社の創業100周年を記念した記念配当30円が含まれています。記念配当は一時的な性格のものであるため、次期以降も同じ水準が継続するとは限りません。なお、2026年6月には増配を求める株主提案(剰余金処分)が提出されましたが、同年8月28日の第9回定時株主総会で否決されています。最新の配当方針は公式IRページでご確認ください。

本社は福岡ですか、長崎ですか

両方が正解です。登記上の本店は福岡市博多区下川端町で、2020年7月に移転しています。一方、中核事業会社である山下医科器械の本社は長崎県佐世保市にあり、1926年の創業地でもあります。有価証券報告書の提出先も福岡財務支局長です。勤務地は配属される事業所によって異なるため、応募時に必ず確認してください。

決算期はいつですか

5月期決算です。第9期は2025年6月1日から2026年5月31日までで、有価証券報告書は2026年8月25日に提出されています。3月期決算の企業と業績を比較する際は、参照している期間がずれる点に注意が必要です。ボーナスや昇給の時期も、決算期に紐づいて一般的な3月期企業とは異なる可能性があります(推定情報)。

編集部の見解

編集部の見解として、ヤマシタヘルスケアホールディングス(山下医科器械)は、安定性と地域密着性を重視する人には合理的な選択肢である一方、短期間で処遇を大きく伸ばしたい人には物足りなさが残りやすい会社だと考えられます。

評価できるのは3点です。第一に、平均勤続14.1年という定着の実績。第二に、第9期から「最大人員会社の状況」が開示され、応募者が事業会社の実額で判断できるようになったという情報開示の姿勢。持株会社体制の企業では事業会社の給与が最後まで分からないケースが少なくないため、これは応募者にとって明確なプラスです。第三に、消耗品・低侵襲治療・専門分野という利益の源泉が伸びていること。装置需要の変動に左右されながらも、事業の芯の部分は成長しています。

一方で慎重に見るべきも3点あります。営業利益率1.1%という薄さは、賃上げ原資の伸び代がそのまま制約を受けることを意味します。口コミの「待遇面の満足度2.4」「人材の長期育成2.2」というスコアは、この財務構造と無関係ではないでしょう。また、女性管理職比率3.8%という水準は、女性が長期のキャリアを描く際の判断材料になります。そして資本政策の緊張が続いている点も、中期の視点では見ておく必要があります。

総合すると、医療という社会性の高い領域で、専門商材の知識を積みながら腰を据えて働きたい人にはおすすめできる会社です。逆に、成果に応じた短期の処遇改善や、全国・海外規模のダイナミックな事業展開を求める人は、大手医療機器卸グループやメーカーの求人と並べて比較したほうが納得のいく判断ができるでしょう。いずれの場合も、選考では「配属予定の分野」「基本給の改定実績」「賞与の支給月数の推移」の3点を具体的に確認することをおすすめします。

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本記事の出典・参考情報

本記事で参照した一次情報・口コミ情報の出典は以下の通りです。最新の正確な数値は各リンク先で確認してください。

公式情報源

口コミ・評判の参照元

免責事項:本記事の数値・評価は公式情報・口コミ集計・市場推定の3分類で示しており、口コミ傾向や推定情報は断定ではなく傾向・可能性として表現しています。最終判断は読者自身で公式IRおよび内定時の労働条件通知書で確認してください。

この記事の編集方針・情報の確認について

この記事は、公式公開情報(有価証券報告書・IR資料)、求人情報、口コミ傾向をそれぞれ分けて整理し、転職・就職判断に役立つよう編集しています。年収・平均年齢・従業員数などの中核データは第9期(2026年5月期)有価証券報告書「従業員の状況」を一次情報として確認し、口コミ・推定情報とは明確に区別しています。株主提案の可否は第9回定時株主総会の決議通知にもとづきます。記載内容は最終更新時点の公開情報にもとづきます。最新の正確な数値は各公式IRページでご確認ください。

著者紹介
コロ助
コロ助
企業と転職サービスを、有価証券報告書などの一次情報から読んでいます。
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