フルキャストは危ない?単発は派遣ではなく紹介という仕組み
※本記事にはプロモーションを含みます。
「フルキャスト 危ない」と検索した人に、最初に伝えるべき事実があります。この会社で単発の仕事をするとき、あなたを雇うのはフルキャストではありません。 就業先の企業です。同社は仕事を紹介する側に立ちます。
長期の仕事だけが派遣で、そのときは雇用主がフルキャストグループになります。危ないかどうかの答えは、口コミではなくこの仕組みの中にあります。
結論|「危ない」の正体は、雇用主が入れ替わる分かりにくさ
| 評価項目 | 判定 | 根拠 |
|---|---|---|
| 事業の適法性の確認 | ○ | 労働者派遣事業(派13-010733)と有料職業紹介事業(13-ユ-010325)の許可が公表されている |
| 会社の規模・財務 | ○ | 連結売上772億27百万円、経常利益77億78百万円(2025年12月期) |
| 直近の利益 | △ | 純利益は前期比12.9%減。自己資本比率は69.0%→53.0% |
| 派遣の情報公開 | ◎ | マージン率・派遣料金・賃金の平均額を事業所ごとに公表(東京支社24.7%) |
| 紹介の実績開示 | ○ | 「離職が判明せず」が令和2年度から5年連続0人。就職後を追跡できている |
| 仕組みの分かりやすさ | △ | **期間によって雇用主が変わる。**ここが伝わらないまま登録する人が多い |
向いている人:1日単位で働く先を自分で選びたい人、決まった仕事を確実に消化できる人。
慎重に考えたい人:誰に雇われるかを気にせず登録する人。残業代や労災の相談先は、雇用主が誰かで変わります。
この記事の調査条件
口コミを根拠にしていません。 次の4種類の一次情報だけで組み立てています。
- 有価証券報告書:株式会社フルキャストホールディングス 第33期(2025年12月期、2026年3月26日提出)。連結5期の推移、従業員の状況、経営者による分析を参照
- 労働者派遣法23条5項に基づく情報公開:株式会社フルキャストが自社サイトで事業所ごとに公表しているマージン率等の書面
- 厚生労働省 人材サービス総合サイト:許可番号13-ユ-010325の職業紹介事業詳細
- 同社公式サイトの制度説明:雇用形態の説明、ペナルティポイント制度、よくあるご質問
- 確認日:2026年9月1日
この記事で使う数値には、期間の異なる系列が混じっています。 有価証券報告書は2025年12月期、派遣の情報公開は2024年度、職業紹介の実績は令和6年度です。別系列のため、割り算や引き算での接続はしていません。
事業者を公表データで見分ける手順そのものは、エージェントの報酬構造と、公表データで事業者を見分ける手順にまとめています。

まず仕組み|単発は「紹介」、長期は「派遣」
同社の公式サイトは、2つのサービスをはっきり分けて説明しています。
| 短期人材サービス | 長期人材サービス | |
|---|---|---|
| 契約の形 | 人材紹介 | 労働者派遣 |
| 雇用主 | 就業先の企業 | フルキャストグループ |
| 指揮命令 | 就業先の企業 | 派遣先 |
| 給与の支払い元 | 就業先の企業 | フルキャストグループ |
公式サイトの記載はこうです。短期人材サービスは「企業と労働者が直接、雇用契約を締結し、企業の指揮命令のもと労働に従事」する形です。長期人材サービスは「フルキャストグループと労働者が雇用契約を締結」する形になります。
つまり、1日だけの仕事に応募したあなたは、フルキャストの社員でも派遣スタッフでもありません。 その日の就業先に直接雇われるアルバイトです。フルキャストはその間を取り持ち、企業から手数料を受け取ります。

なぜ単発だけ紹介なのか
ここは編集部の見立てを書きます。背景には、日雇派遣の原則禁止があると考えます。
労働者派遣法35条の4第1項は、「日々又は三十日以内の期間を定めて雇用する」労働者派遣を原則として禁止しています。例外は2種類あります。労働者派遣法施行令4条1項が定める19業務と、同条2項が定める場合です。
後者には注意点があります。同条2項の柱書は、派遣元が安全・衛生の確保その他の雇用管理上必要な措置を講じていることを前提としています。 60歳以上・学生・一定の収入要件といった属性に当てはまるだけでは足りません。
1日だけの仕事を派遣の形で提供するのは、この規制の下では原則としてできません。 職業紹介であればこの条文はかかりません。単発が紹介、長期が派遣という区分は、この規制と無関係ではないと編集部は考えます。
求職者は手数料を払わない
もう1つ確認しておきます。紹介であっても、あなたが手数料を払うことはありません。
求職者から手数料を受け取ることは、職業安定法32条の3第2項により原則として禁止されています。人材サービス総合サイトに掲載されている同社の手数料表でも、**金額の記載がある項目の負担者はいずれも求人者(企業側)**でした。求職者が負担する項目には、金額も負担者も記載がありません。
会社の規模|連結売上772億円、ただし純利益は減っている
有価証券報告書の連結5期です。単位は百万円です。
| 決算期 | 売上高 | 経常利益 | 純利益 | 自己資本比率 | ROE |
|---|---|---|---|---|---|
| 2021年12月 | 52,366 | 7,624 | 5,012 | 66.2% | 27.8% |
| 2022年12月 | 64,645 | 9,884 | 6,622 | 66.7% | 30.6% |
| 2023年12月 | 68,974 | 8,686 | 5,889 | 65.2% | 24.0% |
| 2024年12月 | 68,556 | 7,312 | 5,493 | 69.0% | 20.3% |
| 2025年12月 | 77,227 | 7,778 | 4,784 | 53.0% | 16.1% |
※純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。
読み取れることが3つあります。
① 売上は5期で最高だが、利益はピークアウトしている。 売上は5期で523億→772億円へ増えました。一方で経常利益は2022年12月期の98億84百万円がピークで、そこから戻っていません。純利益は直近で12.9%減です。
② 自己資本比率が69.0%から53.0%へ下がった。 これは業績の悪化ではありません。有価証券報告書によると、総資産が414億68百万円から578億30百万円へ増え、短期借入金が95億円増えて105億円になっています。持分法適用関連会社だった株式会社ビートとその子会社を、2025年10月29日付で連結の範囲に含めたことによるものです。
③ ROEは16.1%で、5期を通じて高い水準を保っている。 27.8%からは落ちていますが、水準そのものは高いままです。
事業の内訳|短期業務支援が売上の8割
セグメント別の実績です。
| セグメント | 売上高 | 前期比 | セグメント利益 | 前期比 |
|---|---|---|---|---|
| 短期業務支援 | 61,097百万円 | +10.6% | 8,469百万円 | +1.7% |
| 営業支援 | 5,050百万円 | +52.1% | 247百万円 | +11.5% |
| 飲食 | 7,442百万円 | -2.6% | 456百万円 | -17.7% |
| 警備・その他 | 3,639百万円 | +53.7% | 530百万円 | +170.7% |
短期業務支援事業が連結売上の約79%を占めます(編集部の算出。61,097÷77,227)。有価証券報告書は、このセグメントについて「紹介、BPO、派遣、請負の4つの短期人材サービスを展開」と記載しています。派遣専業の会社ではない、というのが会社自身の説明です。
同社の決算説明資料(2026年2月13日)によると、2025年12月期のこのセグメントの内訳は次のとおりです。
| サービス | 売上高 | 構成比 |
|---|---|---|
| 派遣 | 39,226百万円 | 64.2% |
| 紹介 | 8,614百万円 | 14.1% |
| 請負 | 7,733百万円 | 12.7% |
| BPO(業務の外部受託) | 5,523百万円 | 9.0% |
この構成比を「働いた人数の比率」と読まないでください。 派遣は派遣料金の全額が売上に立ちますが、紹介は手数料だけが売上に立ちます。同じ1人分の就業でも、売上に乗る金額の大きさが違います。
平均年収573万円は「持株会社の101人」の数字
有価証券報告書に載っている平均年間給与を、そのまま「フルキャストで働く人の年収」と読むと間違えます。
| 項目 | 2025年12月31日現在 |
|---|---|
| 従業員数 | 101名(外、臨時126名) |
| 平均年齢 | 40.1歳 |
| 平均勤続年数 | 12.0年 |
| 平均年間給与 | 5,733千円 |
※平均勤続年数は有価証券報告書では「12年0ヶ月」と表記されています。5期の推移と揃えるため、本記事では小数表記に統一しました。
この101名は、株式会社フルキャストホールディングス(持株会社)の従業員です。 実際に人材サービスを運営しているのは株式会社フルキャストほかの事業会社で、連結の従業員数は1,515名、これとは別に年間平均の臨時従業員が2,729名います。
5期の推移も並べておきます。
| 決算期 | 平均年間給与 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 従業員数 |
|---|---|---|---|---|
| 2021年12月 | 503万円 | 38.0歳 | 10.33年 | 94名 |
| 2022年12月 | 520万円 | 38.7歳 | 10.67年 | 96名 |
| 2023年12月 | 528万円 | 39.1歳 | 11.67年 | 95名 |
| 2024年12月 | 553万円 | 39.9歳 | 11.67年 | 101名 |
| 2025年12月 | 573万円 | 40.1歳 | 12.0年 | 101名 |
※2021年12月期〜2024年12月期は各期の有価証券報告書に基づく集計値、2025年12月期は原本で直接確認した数値です。
2021年12月期からの4年間で70万円上がり、勤続年数も伸びています。**ただし対象は101人。**この数字で「フルキャストの待遇」を判断することはできません。
有価証券報告書に載っている労働環境の数字も101人分
同社は次の指標も開示しています。女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成27年法律第64号)に基づいて算出したものです。
| 指標 | 提出会社 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 19.2% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 57.9% |
| 男女の賃金の差異(全労働者) | 68.3% |
| 男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 76.3% |
| 男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 84.5% |
注意点です。この表も提出会社の分だけで、連結子会社ごとの数値は第33期の有価証券報告書に記載されていませんでした。
そして、有価証券報告書に残業時間・離職率・ハラスメントに関する数値の開示はありません。 当サイトはこれらの推定値を書きません。開示がない項目については、応募先の求人票と就業条件の書面で直接確認してください。
会社の数字から働き方を読む手順は、決算の数字から職場の実態に近づく道筋にまとめています。
派遣で働くなら|マージン率は公表されている
長期の仕事は労働者派遣です。派遣で働くときに使える一次情報が1つあります。
労働者派遣法23条5項は、派遣元事業主に対し、マージン率などの情報をインターネット等で提供することを義務づけています。マージン率とは、派遣料金の平均額から派遣労働者の賃金の平均額を引いた金額が、派遣料金に占める割合のことです。
同社が公表している書面から、2つの事業所を取り出しました。いずれも2024年度の実績です。
| 項目 | 東京支社 | 道央営業部 |
|---|---|---|
| 許可番号 | 派13-010733 | 派13-010733 |
| 許可年月日 | 2000年4月1日 | 2000年4月1日 |
| マージン率 | 24.7% | 23.1% |
| 派遣料金の平均額(1日8時間) | 16,178円 | 14,168円 |
| 派遣労働者の賃金の平均額(1日8時間) | 12,185円 | 10,901円 |
| 派遣労働者数(2025年6月2日時点) | 414名 | 280人 |
| 派遣先事業所数 | 476所 | 249 |
| 労使協定の有効期間の終期 | 2027年3月31日 | 2028年3月31日 |
1日8時間あたりの賃金を時間あたりに直すと、東京支社が約1,523円、道央営業部が約1,363円になります(編集部の算出。公表値を8で割ったものです)。
この数字の使い方を1つ。 提示された時給がこの平均から離れているなら、なぜ離れているのかを事業所に聞いてください。公表が義務づけられている数字なので、質問すること自体に遠慮は要りません。
教育訓練についても、両事業所とも「入職時から段階的に実施」「費用は派遣元が負担し有給」「1年を超える雇用見込みがある場合は概ね年8時間以上」と記載されています。キャリアコンサルティングの相談窓口も事業所ごとに電話番号が公表されています。
注意点です。この公表は事業所単位で、同社は150を超える事業所ぶんを個別に公開しています。 上の2つは全社の代表値ではありません。自分が登録する事業所の書面を見てください。

紹介で働くなら|厚生労働省に登録された実績
単発の仕事は職業紹介です。有料職業紹介事業者には実績の公表が義務づけられており、誰でも無料で確認できます。
基本情報(人材サービス総合サイト)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 事業所名 | 株式会社フルキャスト 関西支社 |
| 許可番号 | 13-ユ-010325 |
| 許可年月日 | 平成11年3月1日(1999年) |
| 取扱職種 | 全職種 |
| 取扱地域 | 国内 |
| 手数料表 | 有 |
| 返戻金制度 | 無 |
職業紹介の許可は1999年取得で、事業歴は27年です。前に検証した事業歴3年のよりそい転職を同じ手順で見た例とは、開示されている履歴の長さがまったく違います。
実績|4か月以上は年200人前後、4か月未満は年300万人日規模
| 情報登録年度 | 就職者(4か月以上の有期および無期) | うち無期雇用 | 4か月未満の有期(人日) | 6か月以内の離職者 | 離職が判明せず |
|---|---|---|---|---|---|
| 令和2年度 | 97 | 33 | 1,767,600 | 0 | 0 |
| 令和3年度 | 183 | 83 | 3,094,300 | 8 | 0 |
| 令和4年度 | 194 | 55 | 3,601,079 | 6 | 0 |
| 令和5年度 | 155 | 94 | 3,605,790 | 1 | 0 |
| 令和6年度 | 212 | 104 | 3,141,882 | 11 | 0 |
| 令和7年度 | 288 | 111 | 3,845,502 | (集計中) | (集計中) |
この表から言えることを3つに絞ります。
① この会社の職業紹介は、圧倒的に単発です。 4か月以上の就職は年間200人前後にとどまる一方、4か月未満の有期は年間300万人日を超えます。単位が違うため直接は比較できませんが、どちらに事業の重心があるかは一目でわかります。求人を紹介するサービスというより、単発の就業を大量に仲介する仕組みです。
② 「離職が判明せず」が令和2年度から5年連続で0人。 この欄は、就職した人のその後を追跡できなかった人数を表します。5年連続ゼロは、数字を良く見せるためにここへ逃がしていないということです。なお令和7年度は集計中です。
③ 6か月以内の離職率は令和6年度で10.6%(11人÷104人。編集部の算出)。ただし母数が104人と小さく、令和5年度は1.1%、令和4年度は10.9%と年度で大きくぶれます。 この規模の母数では、離職率を単独の評価指標に使えません。母数と離職率をセットで見る考え方は、人材紹介大手クイックを同じ公表データで検証した記事で詳しく書きました。
この表の読み方について、注記を2つ置きます。
1つ目。このページの表は2段組の見出しになっており、「就職者」の欄が3つの列をまとめています。テキストとして機械的に取り出すと列がずれます。編集部は1回目の取得で「令和2年度の就職者数1,767,600人」という誤読をしており、見出しの構造まで確認して列の対応を確定させました。
2つ目。この登録は事業所単位です。 編集部が確認できたのは関西支社の登録分だけで、同じ許可番号の他の事業所のページはURLを特定できませんでした。全社の合計かどうかは、当サイトでは判断していません。
複数応募したら優先順位はどうなるのか
ここは検索需要の割に、どこにも答えが書かれていない論点です。確認できたことと、確認できなかったことを分けて書きます。
確認できなかったこと
確認したのは、同社公式サイトのよくあるご質問、ペナルティポイントの案内、キャンセル操作方法の案内です。その範囲では、複数応募したときの採用の優先順位に関する基準は見当たりませんでした。
他サイトに書かれている「評価の高い人が優先される」といった説明も、出典を確認できませんでした。当サイトは推測を書きません。
仕組みから言えること
代わりに、構造から言えることが2つあります。
① 決めるのはフルキャストではなく、就業先の企業です。 単発は職業紹介なので、雇用契約を結ぶ相手は就業先です。手数料を負担するのも求人者側です。応募が採用を意味しないのは、この構造の当然の帰結です。
② 応募のキャンセルと、決定後のキャンセルはまったく別物です。 ここが実務上いちばん重要です。
同社のペナルティポイント制度(仕事のキャンセルや遅刻に点数が付き、たまると一時的に利用できなくなる仕組み)の公式説明によると、次のとおりです。
- 応募のキャンセルはペナルティポイントの対象外
- 決定した仕事のキャンセル・遅刻は対象。就業開始時間から1時間以内のキャンセルは欠勤扱いで6ポイント
- 合計7ポイントで最長14日間の一時利用停止
- 無断欠勤は最長半年間の一時利用停止
- 毎月1日から月末までの就業日数(遅刻・早退がないもの)を1日1ポイント換算し、翌月10日に最大6ポイント減点
- 一時利用停止の解除後は、4ポイントからのスタート
※2025年9月10日に、対象となるキャンセルの時間について変更があった旨が公式ページに記載されています。最新の内容は必ず公式で確認してください。
ここから導かれる実務的な結論は1つです。 複数応募が効くのは「決定前」までで、決定後に片方を断る形の複数応募は割に合いません。 欠勤扱い1回で6ポイント、7ポイントで利用停止だからです。
決定の連絡が来る前に、行かない案件の応募を取り下げてください。ペナルティを避けたいなら、この運用になります。
「危ない」と言われる背景にある過去の処分
上位に出てくる記事の多くが、過去の行政処分を「危ない理由」に挙げています。この点も、確認できた範囲だけを書きます。
2007年8月に、同社が労働者派遣事業の停止を受けたことが報じられています(東洋経済オンライン 2007年8月22日「フルキャスト事業停止 グッドウィルにも違法派遣の疑惑」)。編集部は当時の行政処分の一次資料(厚生労働省・労働局の発表)を確認できなかったため、処分の対象業務・期間・範囲についてはここに書きません。
現在について確認できる事実は次のとおりです。
- 労働者派遣事業の許可番号派13-010733(許可年月日2000年4月1日)が、同社の情報公開の書面に現在も記載されている
- 有料職業紹介事業の許可番号13-ユ-010325(許可年月日 平成11年3月1日)が、厚生労働省の人材サービス総合サイトに掲載されている
- 有価証券報告書の「事業等のリスク」は、派遣事業の許可の有効期間を5年とし、更新時に基準へ適合しない場合のリスクを記載している
19年前の出来事を根拠に現在を判断するなら、その間に何度の更新を通っているかもあわせて見るべきだ、というのが編集部の立場です。
私が採用側で見ていたこと
採用する側として中途採用の面接を担当してきた立場から、1つ書きます。
受け入れる側は、「この人はうちの社員なのか、そうでないのか」を必ず区別しています。 区別しないと、労働時間の管理も、苦情への対応も、誰の責任かが決まらないからです。
働く側にも同じ区別が要ります。派遣であれば、苦情の申出を受けた派遣先は、その内容を派遣元へ通知したうえで、誠意をもって遅滞なく処理を図らなければなりません(労働者派遣法40条1項)。窓口が二重にあるということです。
一方、紹介による直接雇用にはこの条文がかかりません。 労働条件の明示も賃金の支払いも、雇用主である就業先企業が直接負います。相談先はフルキャストではなく、その日の就業先です。
これは良し悪しの話ではありません。知らずに登録すると、困ったときに連絡する先を間違えるという話です。 そして応募の前に、賃金の額は必ず示されていなければなりません(職業安定法5条の3第1項、および同条4項の委任を受けた職業安定法施行規則4条の2第3項5号)。示されていない募集には応募しないでください。
フルキャストが向く人・向かない人
向いている人
- 1日単位で働く先を自分で選びたい人。 4か月未満の有期が年間300万人日を超える規模で仲介されています
- 決めた仕事を確実に消化できる人。 ペナルティポイントの減点は就業日数に連動するため、働くほど有利になる設計です
- 長期で派遣として働くことも考えている人。 マージン率・賃金の平均額・教育訓練の内容が事業所ごとに公表されており、比較材料があります
積極的にはおすすめしない人
- 予定が変わりやすい人。 決定後のキャンセルは欠勤扱いになりえます。合計7ポイントで最長14日間、無断欠勤は最長半年間の一時利用停止です
- 誰に雇われるかを気にせず登録する人。 単発は就業先との直接雇用です。相談先を間違えます
- これ1本で生計を立てようとする人。 単発の仕事は応募が採用を意味せず、収入の見通しが立ちません
編集部の結論です。「危ないから避ける」という判断には、公表データ上の根拠が見当たりません。 上場企業として連結売上772億27百万円、職業紹介の事業歴27年、「離職が判明せず」は5年連続0人。マージン率も事業所ごとに開示されており、確かめられる材料はひととおりそろっています。
危ないのは会社ではなく、仕組みを知らずに登録することのほうだと編集部は考えます。 単発なら雇用主は就業先、長期なら雇用主はフルキャストグループ。この1点だけは、登録前に頭に入れてください。
応募前には、就業先の企業名、賃金の額、交通費の扱い、その仕事が紹介と派遣のどちらかを確認してください。そのうえで、単発の仕事に時間を使い続けるのが自分の市場価値にとって得なのかも、一度考えてみることをおすすめします。
よくある質問
フルキャストは派遣会社ですか
単発の仕事に限れば、派遣ではありません。 同社の公式説明では、短期人材サービスは人材紹介で、雇用契約は就業先の企業と直接結びます。長期人材サービスが労働者派遣で、こちらはフルキャストグループが雇用主になります。許可は労働者派遣事業(派13-010733)と有料職業紹介事業(13-ユ-010325)の両方を持っています。
株式会社フルキャストは危ないですか
当サイトが確認できた公表データの範囲では、危険と判断する根拠は見当たりませんでした。2025年12月期の連結売上高は772億27百万円、経常利益は77億78百万円です。職業紹介の許可は1999年取得で事業歴27年、厚生労働省への登録では「離職が判明せず」が令和2年度から5年連続0人です。ただし純利益は前期比12.9%減で、自己資本比率も69.0%から53.0%へ下がっています。
フルキャストは違法ですか
適法か違法かを当サイトが断定することはできません。確認できる事実として、労働者派遣事業と有料職業紹介事業の許可がいずれも公表されています。なお労働者派遣法35条の4第1項は、「日々又は三十日以内の期間を定めて雇用する」労働者派遣を原則として禁止しています。1日単位の仕事が紹介の形になっているのは、この規制と無関係ではないと編集部は考えます。
フルキャストの平均年収はいくらですか
2025年12月期の有価証券報告書によると、平均年間給与は5,733千円です。ただしこれは持株会社である株式会社フルキャストホールディングスの従業員101名の平均であり、現場で働く人の年収ではありません。連結の従業員数は1,515名、年間平均の臨時従業員は2,729名です。
複数のお仕事に同時に応募してもいいですか
応募のキャンセルはペナルティポイントの対象外であることが公式に案内されています。一方で決定後のキャンセルは対象で、就業開始時間から1時間以内のキャンセルは欠勤扱いの6ポイントです。合計7ポイントで最長14日間の一時利用停止になります。なお採用の優先順位に関する基準は、公式サイトを確認した範囲では見当たりませんでした。
フルキャストのマージン率はどれくらいですか
事業所ごとに公表されており、2024年度の実績では東京支社が24.7%、道央営業部が**23.1%**でした。同社は150を超える事業所ぶんを個別に公開しているため、自分が登録する事業所の書面を確認してください。マージン率は労働者派遣法23条5項に基づく公表義務の対象です。
フルキャストの残業時間や離職率は分かりますか
有価証券報告書に、残業時間・離職率・ハラスメントに関する数値の開示はありません。 当サイトは推定値を掲載していません。開示されているのは持株会社101名分の女性管理職比率19.2%、男性の育児休業取得率57.9%、男女の賃金の差異68.3%(全労働者)までです。
まとめ
- 単発の仕事は職業紹介で、雇用主は就業先の企業。 長期の仕事だけが労働者派遣で、雇用主はフルキャストグループ
- 1日単位の仕事が紹介の形なのは、日雇派遣の原則禁止(労働者派遣法35条の4第1項)と無関係ではないと編集部は考える
- 連結売上は5期で523億→772億27百万円。ただし純利益は前期比12.9%減、自己資本比率は69.0%→53.0%
- 自己資本比率の低下は業績悪化ではなく、株式会社ビートの連結子会社化と短期借入金95億円増によるもの
- 平均年間給与5,733千円は持株会社101名の数字。現場で働く人の年収ではない
- 派遣のマージン率は事業所単位で公表。東京支社24.7%・道央営業部23.1%(2024年度)
- 職業紹介の許可は1999年取得で事業歴27年。「離職が判明せず」は令和2年度から5年連続0人
- 4か月以上の就職は年200人前後、4か月未満は年300万人日規模(単位が違うため直接比較はしない)。単発が主戦場
- **応募のキャンセルはペナルティ対象外、決定後のキャンセルは対象。**7ポイントで最長14日間の一時利用停止
- 残業時間・離職率は有価証券報告書に開示がない。当サイトは推定値を書かない
登録するかどうかを決める前に、自分が誰に雇われるのかを確認してください。そのうえで、単発で働き続けることが自分の市場価値をどう動かすのかも、一度測っておくことをおすすめします。
※本記事の数値は2026年9月1日時点で公開されている資料に基づきます。内訳は有価証券報告書、決算説明資料、労働者派遣法23条5項に基づく情報公開、人材サービス総合サイトの登録内容です。公表義務データは事業者による登録・公表であり、第三者の監査を経たものではありません。制度・条件は変更されることがあるため、最新の内容は必ず公式でご確認ください。
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参考・出典
- 株式会社フルキャストホールディングス 第33期(2025年12月期)有価証券報告書(2026年3月26日提出/EDINET書類管理番号 S100XTTU):https://www.fullcastholdings.co.jp/assets/upload/2026/03/annualreport_20260326.pdf
- 株式会社フルキャストホールディングス IRライブラリ:https://www.fullcastholdings.co.jp/corporate/ir/library/
- 株式会社フルキャストホールディングス 2025年12月期 決算説明資料(2026年2月13日):https://www.fullcastholdings.co.jp/assets/upload/2026/02/presentation_20254Q.pdf
- 株式会社フルキャストホールディングス「初めての方」(短期人材サービスと長期人材サービスの雇用形態の説明):https://www.fullcastholdings.co.jp/staff/beginner/
- 株式会社フルキャストホールディングス「ペナルティポイント(スタッフ向け)」:https://www.fullcastholdings.co.jp/lp/penaltypoint_fc/
- 株式会社フルキャスト「労働者派遣法に基づく派遣事業の情報開示について」(事業所ごとの公表書面。本記事は東京支社および道央営業部を参照):https://www.fullcast.co.jp/disclosure/
- 株式会社フルキャスト 各種許認可について(派13-010733/13-ユ-010325):https://fullcast.jp/flinkpc/ns/license/
- 株式会社フルキャスト よくあるご質問:https://fullcast.jp/flinkpc/ns/faq/
- 厚生労働省 人材サービス総合サイト「職業紹介事業詳細」(株式会社フルキャスト 関西支社/許可番号13-ユ-010325):https://jinzai.hellowork.mhlw.go.jp/JinzaiWeb/GICB102030.do?screenId=GICB102030&action=detail&detkey_Detail=13-%E3%83%A6-010325,9+++++
- e-Gov法令検索 労働者派遣法(昭和六十年法律第八十八号)23条5項・35条の4第1項・40条1項:https://laws.e-gov.go.jp/law/360AC0000000088
- e-Gov法令検索 労働者派遣法施行令(昭和六十一年政令第九十五号)4条1項・4条2項:https://laws.e-gov.go.jp/law/361CO0000000095
- e-Gov法令検索 職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)5条の3第1項・32条の3第2項:https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000141
- e-Gov法令検索 職業安定法施行規則(昭和二十二年労働省令第十二号)4条の2第3項:https://laws.e-gov.go.jp/law/322M40002000012
- 東洋経済オンライン「フルキャスト事業停止 グッドウィルにも違法派遣の疑惑」(2007年8月22日。見出しと掲載日のみ確認。本文は有料のため未読):https://toyokeizai.net/articles/-/192

